JP7374404B2 - 吸収性物品用不織布および吸収性物品 - Google Patents

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Description

本開示は、吸収性物品用不織布およびその不織布を含む吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)等の吸収性物品を構成するシート、すなわち吸収性物品用シートとして、種々の構成の不織布が提案されている。例えば、特許文献1は、優れた液戻り防止性に加えて良好な肌触りをも有する表面シートの提供を目的として、肌当接面を形成する第1層と吸収体側に配置される第2層とを有する2層構造の表面シートを開示する。特許文献2は、優れた嵩回復性を有する不織布、液が速やかに吸収体に移行して肌に液を残しにくい不織布の提供を目的として、熱伸長性繊維と、非熱伸長性の熱融着性複合繊維とを含む不織布を開示する。
特開2006-305044号公報 特開2011-127258号公報
吸収性物品は、一般に、表面シートと、バックシートと、この表面シートとバックシートとの間に配置される吸収体とを有し、さらに必要に応じて、その他の部材を有する。吸収性物品用の不織布は、それが用いられる態様によって、高い吸液速度、高い液戻り防止性などの性能を兼ね備えることが要求される場合がある。
高い吸液速度は、尿または経血等の排泄体液(以下、単に「液体」とも称す)を速やかに吸収体に移行させるために必要とされる。従って、「高い吸液速度」とは、吸液時間が、より短いことをいう。また、吸収性物品は、継続して長時間にわたって使用される場合もあるので、初期(1回目の吸収)だけでなく、その後の2回目以降の吸収においても、吸液時間が短いことが求められる。
吸収性物品に関して、「液戻り」とは、一旦表面シートを通過して吸収体に到達した液体が再び表面シートの表面に滲出することをいう。このような液戻りにより表面に滲み出る液体の量、すなわち液戻り量が多いほど、使用者はより不快感を覚える。従って、「高い液戻り防止性」とは、このような液戻り量がより少ないことをいう。また、この液戻り量には、液体が吸収体に到達せずに不織布内に留まる「液残り」により表面に滲み出る液体の量も含まれる。
さらに、吸収性物品では、場合によっては、高い吸液速度および高い液戻り防止性だけでなく、表面シート上での高い拡散防止性が求められる場合もある。例えば、生理用ナプキンなどの場合、経血が表面シート上に拡散すると、血液の色が目立つため、使用者は不快感を覚える。従って、「高い拡散防止性」とは、表面シート上で計測される液体の拡散長がより短いことをいう。また、初期(1回目の吸収)だけでなく、その後の2回目以降の吸収についても、拡散長が短いことが求められる。
そこで、本開示は、高い吸液速度および高い液戻り防止性とともに高い拡散防止性をバランス良く備える吸収性物品用不織布およびそれを含む吸収性物品の提供を目的とする。
本開示は、以下の吸収性物品用不織布を提供する。
吸収性物品用不織布であり、前記不織布は、第1繊維と第2繊維とを含み、
前記第1繊維の繊維表面と水との初期接触角Aは、45度~70度であり、
前記第2繊維の繊維表面と水との初期接触角Bは、65度~85度であり、
前記初期接触角Aは、前記初期接触角Bよりも10度以上小さく、
前記第1繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、90度~120度であり、
前記第2繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、65度~85度であり、
前記不織布は、前記不織布の総質量を基準として、前記第1繊維を30質量%~70質量%の割合で含み、前記第2繊維を70質量%~30質量%の割合で含む(ただし、前記第1繊維の割合および前記第2繊維の割合の合計は100質量%を超えない)、
吸収性物品用不織布。
また、本開示は、表面シートとして、上記の吸収性物品用不織布を含む吸収性物品を提供する。
本開示によれば、高い吸液速度および高い液戻り防止性とともに高い拡散防止性をバランス良く備える吸収性物品用不織布およびそれを含む吸収性物品が得られる。
図1は、水滴と繊維(表面)とがなす接触角を模式的に示す。 図2は、水透過後の接触角を測定するために、不織布サンプルに水滴を付着させるためのステンレス製プレートを模式的に示す。
[吸収性物品用不織布]
本開示の吸収性物品用不織布(以下、単に「不織布」ともいう)は、少なくとも「第1繊維」と「第2繊維」とを含む。第1繊維および第2繊維は、以下にて詳しく説明する通り、繊維表面と水との接触角で規定することができる。なぜなら、繊維表面と水との接触角は、その繊維表面の親水性の程度などを表すものであり(例えば、接触角が大きいほど繊維表面の親水性がより低いことを示し、接触角が小さいほど繊維表面の親水性がより高いことを示す)、ひいては不織布の「吸液速度」、「液戻り防止性」、「拡散防止性」などの性質に密接に関連する特徴であるからである。特に吸収性物品用不織布では、水が透過する前後の接触角、すなわち、以下にて詳細に説明する「初期接触角」および「水透過後接触角」が重要となる。
[第1繊維の繊維表面と水との初期接触角および水透過後接触角]
第1繊維の繊維表面と水との初期接触角(以下、「初期接触角A」という)は、45度~70度である。好ましくは50度~68度、より好ましくは55度~65度である。初期接触角Aが、上記範囲内であると、吸液速度が向上するなどの効果が得られる。
第1繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、90度~120度である。好ましくは93度~114度、より好ましくは98度~108度である。水透過後接触角が、上記範囲内であると、不織布の液残り性または液戻り性を下げることで液戻り量を低減させるなどの効果が得られる。
第1繊維では、上記の通り、水の透過の前後において、接触角の値が増加することを特徴とする。このような第1繊維は、例えば、以下にて詳しく説明する通り、好ましくは親水性で非耐久性(例えば、水と接触することにより親水性が著しく低下する性質(例えば第2繊維と比べた場合))の繊維処理剤を用いて繊維を処理することによって得ることができる。つまり、第1繊維では、非耐久性の繊維処理剤を使用することによって、水が透過した後、親水性が低下し、接触角の値を増加させることができる。
水の透過の前後での接触角の増加は、例えば、10度~90度が好ましい。より好ましくは20度~70度、更により好ましくは30度~50度である。接触角の増加が、上記範囲内であると、不織布の液残り性または液戻り性を下げることで液戻り量を低減させるなどの効果が得られる。
[第2繊維の繊維表面と水との初期接触角および水透過後接触角]
第2繊維の繊維表面と水との初期接触角(以下、「初期接触角B」という)は、65度~85度である。好ましくは67度~83度、より好ましくは69度~81度である。初期接触角Bが、上記範囲内であると、不織布の液残り性または液戻り性を下げることで液戻り量を低減させるなどの効果が得られる。
第2繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、65度~85度である。好ましくは67度~83度、より好ましくは69度~81度である。水透過後接触角が、上記範囲内であると、繰り返し吸液時の吸液速度が向上するなどの効果が得られる。
第2繊維では、上記の通り、水の透過の前後において、接触角の値は実質的に同じであることを特徴とする。このような第2繊維は、例えば、以下にて詳しく説明する通り、好ましくは親水性で耐久性の繊維処理剤を用いて繊維を処理することによって得られる。つまり、第2繊維では、耐久性の繊維処理剤を使用することによって、水が透過した後でも、接触角の値を実質的に同じにすることができる。水の透過の前後において、「接触角の値が実質的に同じ」とは、水の透過の前後で、接触角の値の変動が±5度以内であることを意味する。水の透過の前後において、接触角の値が実質的に同じであると、繰り返し吸液時の吸液速度が向上するなどの効果が得られる。
また、本開示の不織布では、上記の初期接触角Aは、上記の初期接触角Bと比べて、10度以上小さい。好ましくは11度~20度小さく、より好ましくは12度~18度小さい。初期接触角A、Bの間に上記の差を設けると、吸液速度の低下を抑制しつつ、不織布の液残り性または液戻り性を低くすることができ、吸液速度と液戻り防止性とを好適に両立させることができるなどの効果が得られる。
初期接触角Aを初期接触角Bよりも小さくするためには、例えば、以下にて詳しく説明する通り、第1繊維において使用する繊維処理剤により付与され得る親水性と、第2繊維において使用する繊維処理剤により付与され得る親水性との間で、第1繊維が、より親水性となるように、付与する親水性に差を設けることなどが考えられる。例えば、第1繊維の親水性を第2繊維の親水性よりも高くすればよい。例えば、第1繊維において高親水性の繊維処理剤を使用することや、第2繊維において低親水性の繊維処理剤を使用することが好ましい。あるいは、それらの両方を使用することが特に好ましい。
さらに、本開示の不織布は、その総質量を基準として、第1繊維を30質量%~70質量%、好ましくは34質量%~66質量%、より好ましくは38質量%~62質量%の割合で含み、第2繊維を70質量%~30質量%、好ましくは66質量%~34質量%、より好ましくは62質量%~38質量%の割合で含むことを特徴とする。ただし、前記第1繊維の割合および前記第2繊維の割合の合計は100質量%を超えない。
また、本開示の不織布は、他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維は、不織布の総質量を基準として、例えば40質量%以下含まれていてもよく、20質量%以下含まれていることが好ましく、10質量%以下含まれていることがより好ましい。他の繊維としては、例えば、接触角が第1繊維および第2繊維のいずれにも該当しない繊維などが挙げられる。
上記の割合で第1繊維と第2繊維とを配合することによって、本開示の不織布は、はじめて、高い吸液速度と、高い拡散防止性と、高い液戻り防止性とをバランス良く備えることができる。
[初期接触角の測定方法]
水と繊維表面との初期接触角は、下記の方法で測定することができる。
(株)キーエンス製マイクロスコープVHX-1000にズームレンズ((株)キーエンス製、型番:VH-Z100R)を取り付けた測定部を水平方向に倒した状態で固定する。接触角の測定対象である繊維を含む不織布を縦(MD方向)×横(CD方向)が50mm×10mmの大きさとなるようにカットして、測定サンプルを作製する。測定サンプルの測定面を上向きにした状態で、ズームレンズのレンズ面に対して不織布のCD方向が垂直となる向きにして(すなわち、観察方向がCD方向と平行となるように)測定サンプルを試験台に置いて、両端をテープで固定する。なお、観察方向(ズームレンズを通して対象物を見る方向)は、観察方向と直交する方向に繊維が延びているように選択される限りにおいて、特に限定されない。不織布の種類によっては、不織布のCD方向と例えば45°の角度をなす方向を観察方向としてよい。
次に、測定用サンプルに、霧の大きさがなるべく一定で細かくなるような霧吹きを使って、イオン交換水(水温約20℃)の水滴を吹き付ける。吹き付け後5秒以内に、繊維表面の上に載った水滴を、ズームレンズを用いて、観察する繊維の繊維径に応じて50~1000倍で観察して画像を取り込む。吹き付けと画像取り込みを繰り返して、水滴が鮮明に写っている20点の画像を得る。得られた画像の中から、繊維が水平になっている画像を選ぶ。これは、繊維が傾いていると接触角が変化することによる。選んだ画像の数が10点以上である場合には、それらの画像を用いて接触角を求める。繊維が水平になっている画像の数が10点未満であるときは、さらに20点の画像を得て、それらの中から繊維が水平になっている画像を選ぶことを、繊維が水平になっている画像の合計数が10点以上となるまで繰り返す。
接触角は、例えば、図1に示すように、水滴の空気と触れる面と繊維とが接する箇所にて水滴に接線を引き、当該接線と繊維とがなす角度とした。接触角は、画像解析処理ソフト(例えば、スカラ株式会社より入手可能な2次元画像解析ソフト『MicroMeasure』)または分度器等によって測定する。選んだ各画像において接触角を測定し、それらの平均値(算術平均値)を求めて、測定対象となる繊維の接触角とする。
接触角は、不織布を用いて測定せずに、測定面から対象となる構成繊維を取り出して、構成繊維に水滴を吹き付ける方法で測定してもよい。
接触角の測定は、以下の点に注意する。
(1)繊維の上に載った水滴の接触角を測定する。繊維の下まで垂れ下がった水滴及び2本以上の繊維にまたがった水滴の接触角は測定しない。
(2)繊維が螺旋状等の細かい捲縮を発生している場合は、捲縮が少ないところか、繊維を伸張させて捲縮状態を無くして測定する。
(3)接触角の測定結果は、上記のとおり、測定する箇所又は測定サンプルを変えて、繊維が水平になっている画像を10点以上選んで測定値を平均して求める。繊維の親水化度が高い場合、接触角を測定するときに繊維の上で水滴が移動し得る(すなわち、水滴の形状が変化し得る)。その場合、その移動の状況を考慮して「接触角」を求める。
接触角の測定箇所が20点になるまでに、測定回数の合計(水滴の撮影を試みた測定箇所の合計、撮影中に水滴が移動した場合と移動しなかった場合の合計)の40%未満で水滴が移動した場合、繊維が水平になっている画像を10点以上選んで測定値を平均して接触角とする。
接触角の測定箇所が20点になるまでに、測定回数の合計の40%以上で水滴が移動した場合、接触角は20°以下とする。
[水透過後接触角の測定方法]
水透過後の接触角の測定は、下記の様に、不織布サンプル(測定サンプル)を調製する以外は、上述の接触角の測定方法で測定する。
不織布をタテ方向22cm、ヨコ方向5cmの寸法に裁断して測定サンプルを作製する。次に、図2に示す、直径15mmの穴が等間隔(穴の中心間の距離は20mm)に開けられたステンレス製のプレートを用意する。プレートの穴内の4箇所に油性のマジックペンでマーキングする。プレートを測定サンプルの測定面の上に置く。測定サンプルにステンレス製プレートを載せたまま、ステンレス製プレートに設けた穴の中心部分に位置する測定サンプルの測定面に対し、約20℃に調整した0.04mlのイオン交換水を、駒込ピペット又はビュレットを用いて滴下させる。イオン交換水を滴下後、測定サンプルのイオン交換水を吸収させる。滴下した水滴が測定サンプル表面から消失後、測定サンプルを20~50℃の雰囲気中で乾燥させる。なお、測定サンプルに水滴を滴下後、水滴を吸収させる際、水滴が残っている部分を下側から吸引して、水分を下側の層に強制的に吸収させてもよい。
乾燥させた測定サンプルを、図2に示すステンレス製プレートの点1及び点2を通る直線で裁断する。イオン交換水を滴下した箇所に対応する測定サンプルの切断面の上から、上述の霧吹きで、約20℃のイオン交換水を噴霧し、測定サンプルの繊維に水滴を付着させる。以下、上述の接触角の測定方法と同様の方法で、測定サンプルの繊維上の水滴を観察することで、水透過後の接触角を測定する。
[繊維]
第1繊維、第2繊維および他の繊維として特に制限はなく、例えば、以下にて詳しく説明する繊維を何ら制限なく使用することができる。
繊維の原料又は材質は、本開示が目的とする吸収性物品用不織布を得ることができる限り、特に制限されることはない。
繊維は、例えば、下記の繊維を含むことができる:コットン、シルク及びウールなどの天然繊維;ビスコースレーヨン、キュプラ、及び溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)及びテンセル(登録商標))等の再生繊維;ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリスチレン系繊維、及び環状ポリオレフィン系繊維などの合成繊維。
繊維は、単一種類の樹脂でできている繊維のみならず、二種以上の樹脂でできている複合繊維(例えば、同心又は偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維)などを用いることもできる。
なお、天然繊維を含む場合、その繊度又は繊維径については、JIS L 1019 7.4.1 マイクロネヤによる方法に準じ、算出できる。
繊維として、合成繊維が好ましく、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維及びその組み合わせがより好ましい。繊維は、本開示が目的とする不織布を得られる限り、合成繊維に、再生繊維及び/又は天然繊維を含むことができる。
繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維;ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレン三元共重合体等のポリオレフィン系繊維;及びそれらを組み合わせた繊維を含むことができる。
ポリエチレンは、高密度ポリエチレンであることが、捲縮を容易に付与できるので更に好ましい。
本開示では、後述するように繊維に親水性を施すために繊維処理剤を使用することができる。
これらの繊維は、単独で、又は組み合わせて用いることができる。
2種類の繊維を組み合わせる場合、各々の繊維を単純に混合した繊維や、芯鞘型の複合繊維などを使用してもよい。本開示の吸収性物品用不織布では、触感や、風合い、毛羽立ち、見た目などの観点から、複合繊維を使用することが好ましい。複合繊維を使用すると、例えば熱接着などの程度により、触感や、風合い、毛羽立ち、見た目などを向上または適切に調節することができる。複合繊維としては、特に限定されず、公知の複合繊維、例えば、同心又は偏心芯鞘型複合繊維や、海島型複合繊維、分割型複合繊維などの複合繊維を使用することができる。
複合繊維を構成する異なる二つの樹脂成分が同心円状に配置された複合繊維、いわゆる同心芯鞘型複合繊維(同心円断面の芯鞘型複合繊維とも称される)や、芯成分と鞘成分で構成される複合繊維において、繊維断面における芯成分の重心位置が、複合繊維全体の重心位置とは違う位置にある、いわゆる偏心芯鞘型複合繊維であることが好ましい。
繊維は、芯成分を100質量%としたときに、芯成分が、例えば30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更により好ましくは50質量%以上の熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂;ポリプロピレン樹脂、エチレン-プロピレン共重合体樹脂、環状オレフィン樹脂を始めとするポリオレフィン系樹脂;6,6-ナイロン樹脂や6-ナイロン樹脂を始めとするポリアミド系樹脂などが挙げられる)を含む芯鞘型複合繊維であることが好ましい。芯成分が、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、またはポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂を含み、鞘成分がポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂など)を含む芯鞘型の複合繊維がより好ましい。尚、鞘成分は、複数の樹脂を含んでいてもよい。
繊維は、芯鞘型複合繊維を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、繊維が芯鞘型複合繊維であることが特に好ましい。
[第1繊維]
第1繊維は、上述の通り、45度~70度の初期接触角A(ただし、初期接触角Aは、初期接触角Bよりも10度以上小さい)と、90度~120度の水透過後接触角とを有する。
従って、第1繊維は、水透過後に親水性が低下する傾向を有し、得られる不織布の吸液速度、拡散防止性、液戻り防止性などに影響を与えることができる。
このような第1繊維は、例えば、以下にて詳しく説明する「繊維処理剤」で上記の繊維を処理することによって得ることができる。
第1繊維において使用する繊維の繊度は、例えば、1.0dtex~4.4dtexであり得、1.0dtex~3.8dtexであり得、1.0dtex~3.5dtexであり得、1.0dtex~2.6dtexが好ましい。より好ましくは1.1dtex~2.4dtex、更により好ましくは1.2dtex~2.2dtexである。上記の範囲内であると、不織布の触感が向上するなどの効果が得られる。
第1繊維は、例えば、熱接着を利用して不織布を作製するなどの観点から、芯鞘型複合繊維であることが好ましい。芯鞘型複合繊維は、同心でも偏心でもよい。より好ましくは、同心芯鞘型複合繊維である。同心芯鞘型複合繊維を用いると、不織布の触感、特に滑らかさが向上するなどの利点が得られる。特に第1繊維の繊度が上述の範囲の通り比較的小さい場合(例えば第2繊維と比べた場合)、同心芯鞘型複合繊維であると不織布を厚さ方向から見たときの第1繊維の占有面積が大きくなるため、滑らかさをより向上させることができる。第1繊維は、同心芯鞘型複合繊維と偏心芯鞘型複合繊維の組み合わせであってよい。
第1繊維が、芯鞘型複合繊維である場合、その芯成分は、不織布の滑らかさの観点から、ポリプロピレンを含むことが好ましい。また、不織布の柔らかさの観点からポリエチレンテレフタレートを含むことが好ましい。鞘成分は、熱接着成分として機能させるなどの観点から、ポリエチレンを含むことが好ましく、高密度ポリエチレンを含むことがより好ましい。高密度ポリエチレンの融点は120℃以上140℃以下であることが好ましく、125℃以上138℃以下であることがより好ましい。芯鞘型複合繊維の鞘成分の融点は120℃以上140℃以下であることが好ましく、125℃以上135℃以下であることがより好ましい。
第1繊維は、その繊維長は特に限定されないが、カード通過性を考慮すると、繊維長は25mm以上65mm以下であることが好ましく、30mm以上55mm以下であることがより好ましく、35mm以上48mm以下であることがさらに好ましい。
第1繊維は、繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形等の異形であってよい。第1繊維は、繊維断面に長さ方向に連続する空洞部分を有さない、いわゆる中実繊維であってよく、あるいは長さ方向に連続する1箇所以上の空洞部分を有する、いわゆる中空繊維であってもよい。
第1繊維は、風合いや触感を向上させるために、繊維中に酸化チタン等の添加剤を含むことができる。このような添加剤は、添加剤等も含む繊維全体を100質量%として、0.1~10質量%含まれることが好ましく、1~5質量%含まれることがより好ましい。また、第1繊維が芯鞘型複合繊維である場合、添加剤は芯成分により多く含まれていることが好ましく、芯成分のみに含まれていることが好ましい。添加剤が鞘成分に含まれている場合、不織布等の製造装置が傷つけられることがある。
第1繊維が、芯鞘型複合繊維であり、かつ芯成分がポリプロピレンである場合、芯成分と鞘成分との芯鞘比(芯成分/鞘成分 体積比)は、55/45~80/20であることが好ましく、60/40~75/25であることがより好ましく、62/38~68/32であることが特に好ましい。芯鞘比(体積比)がこの範囲である場合、繊維同士が熱処理時に少なくとも一部が溶融した鞘成分により適度に接着しつつ、柔らかい不織布が得られるため好ましい。芯鞘比が上述の範囲を外れ、芯成分の熱可塑性樹脂が多すぎた場合、第1繊維が剛直になり、不織布の風合いが固くなったり、鞘成分が少なすぎることで、得られる熱接着不織布の繊維接着点の強度が弱くなり、不織布そのものの強度低下及び不織布表面の毛羽立ちが発生したりするおそれがある。逆に、芯鞘比が上述した範囲を外れ、鞘成分が多すぎることで、熱処理をした際、繊維同士の熱接着した接着点が大きくなりすぎることで、得られる不織布が硬くなりすぎることがある。加えて芯成分が少なすぎることで、第1繊維そのものの剛直性が不足し、不織布を製造する際のカード工程にて繊維同士が過剰に絡まる、いわゆるネップが発生しやすくなるほか、繊維が柔らかすぎて、繊維がカード機を通過せずカード機内を舞ってしまう、いわゆるフライの状態になりやすくなるおそれがある。
第1繊維が、芯鞘型複合繊維であり、かつ芯成分がポリエチレンテレフタレートである場合、芯成分と鞘成分との芯鞘比(芯成分/鞘成分 体積比)は、30/70~75/25であることが好ましく、35/65~70/30であることがより好ましく、40/60~60/40であることが特に好ましい。芯鞘比(体積比)がこの範囲である場合、上述した芯成分がポリプロピレンである場合の芯鞘比と同様、芯成分が多すぎ、鞘成分が少なすぎることで生じる第1繊維及びそれを含む不織布の風合いの悪化や不織布の毛羽立ちが発生することがなく、逆に、鞘成分が多すぎ、芯成分が少なすぎることで生じる第1繊維のカード通過性の低下、及び熱接着が過剰に進行することによる不織布の風合いの悪化が発生することもないので好ましい。
[第2の繊維]
第2の繊維は、上述の通り、65度~85度の初期接触角B(ただし、初期接触角Bは、初期接触角Aよりも10度を超えて大きい)と、65度~85度の水透過後接触角とを有する。
従って、第2繊維は、水透過後に親水性の程度が、実質的に同じであり、不織布の吸液速度、拡散防止性、液戻り防止性などに影響を与えることができる。
このような第2の繊維は、例えば、以下にて詳しく説明する「繊維処理剤」で上記の繊維を処理することによって得ることができる。
第2繊維の繊度は、例えば、1.0dtex~4.4dtexであり得、1.1dtex~4.4dtexであり得、1.2dtex~4.4dtexであり得、2.2dtex~4.4dtexが好ましい。より好ましくは2.4dtex~3.8dtex、更により好ましくは2.6dtex~3.5dtexである。上記の範囲内であると、不織布の液残り性を下げて液戻り量を低減させるなどの効果が得られる。第2繊維の繊度は、第1繊維の繊度よりも大きいことが好ましく、第2繊維の繊度は、第1繊維の繊度よりも0.5~3.4dtex大きいことがより好ましく、0.5~3.0dtexであることがより好ましく、1.0~2.5dtexであることが更に好ましく、1.0~2.0dtex大きいことがさらに好ましい。
第2繊維は、例えば熱接着を利用して不織布を作製するなどの観点から、芯鞘型複合繊維であることが好ましい。芯鞘型複合繊維は、同心でも偏心でもよい。より好ましくは、偏心芯鞘型複合繊維である。偏心芯鞘型複合繊維を用いると、不織布の触感、特に柔らかさが向上するなどの利点が得られる。特に第2繊維の繊度が上述の範囲の通り比較的大きい場合(例えば第1繊維と比べた場合)、偏心芯鞘型複合繊維であると不織布の厚さが大きくなるため、柔らかさをより向上させることができる。第2繊維は、同心芯鞘型複合繊維と偏心芯鞘型複合繊維の組み合わせであってよい。
第1繊維と第2繊維は、一方が同心芯鞘型複合繊維であり、他方が偏心芯鞘型複合繊維であってよい。
第2繊維は、立体捲縮を有することが好ましい。本明細書で、「立体捲縮」という用語は、捲縮の山(または山頂部)が鋭角である機械捲縮と区別されるために用いられる。立体捲縮は、例えば、山部が湾曲した捲縮(波形状捲縮)、山部が螺旋状に湾曲した捲縮(螺旋状捲縮)、波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮、機械捲縮の鋭角の捲縮と波形状捲縮および螺旋状捲縮の少なくとも一つとが混在した捲縮をいう。立体捲縮を有することで繊維間空隙を好適にすることができ、特に吸液速度を小さくすることができるため好ましい。
第2繊維が、芯鞘型複合繊維である場合、その芯成分は、不織布の厚さを大きくして柔らかさを向上させる観点から、ポリエチレンテレフタレートを含むことが好ましい。また、鞘成分は、熱接着成分として機能させるなどの観点から、ポリエチレンを含むことが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。鞘成分が直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンを含むことによって、不織布表面に柔らかさおよび滑らかさなどの心地よい触感を不織布に付与することができるため好ましい。鞘成分の融点は、120~130℃であることが好ましく、122~128℃であることがより好ましい。
第2繊維の繊維長は、第1繊維で挙げた繊維長と同様に選択すると良い。第2繊維の繊維断面における形態は、第1繊維で挙げた繊維断面における形態と同様に選択すると良い。第2繊維は、第1繊維と同様に添加剤を含んでも良い。
第2繊維が、芯鞘型複合繊維である場合、芯成分と鞘成分との芯鞘比(芯成分/鞘成分 体積比)は、80/20~30/70であることが好ましく、70/30~35/65であることがより好ましく、60/40~40/60であることが特に好ましい。芯鞘比(体積比)がこの範囲内である場合、例えば、繊維同士が熱処理時に少なくとも一部が溶融した鞘成分により適度に接着しつつ、柔らかい不織布が得られるため好ましい。芯鞘比が上述の範囲を外れ、芯成分の熱可塑性樹脂が多すぎた場合、第2繊維が剛直になり、不織布の風合いが固くなったり、鞘成分が少なすぎることで、得られる熱接着不織布の繊維接着点の強度が弱くなり、不織布そのものの強度低下及び不織布表面の毛羽立ちが発生したりするおそれがある。逆に、芯鞘比が上述した範囲を外れ、鞘成分が多すぎることで、熱処理をした際、繊維同士の熱接着した接着点が大きくなりすぎることで、得られる不織布が硬くなりすぎることがある。
第1繊維の繊度と第2繊維の繊度は、相違することが好ましく、その相違は、0.5~3.4dtexであることが好ましく、0.5~3.0dtexであることがより好ましく、1.0~2.5dtexであることが更に好ましく、1.0~2.0dtexであることが特に好ましい。
また第1繊維の繊度と第2繊維の繊度の一方が、1.0dtex~2.6dtexであり、他方が、2.2dtex~4.4dtexであることが好ましく、一方が、1.1dtex~2.4dtexであり、他方が、2.4dtex~3.8dtexであることがより好ましく、一方が、1.2dtex~2.2dtexであり、他方が、2.6dtex~3.5dtexであることが更により好ましい。
前記第1繊維と前記第2繊維の一方が、同心芯鞘型複合繊維であり、他方が偏心芯鞘型複合繊維であることが好ましい。前記同心芯鞘型複合繊維の芯成分はポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートを含み、鞘成分はポリエチレンを含むことが好ましい。更に、前記同心芯鞘型複合繊維の鞘成分は高密度ポリエチレンを含むことがより好ましい。また、前記偏心芯鞘型複合繊維の芯成分はポリエチレンテレフタレートを含み、鞘成分はポリエチレンを含むことが好ましい。更に、前記偏心芯鞘型複合繊維の鞘成分は直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンを含むことがより好ましい。
更に、上述の第1繊維と第2繊維に関する構成及び数値は、入れ替えて(又は交換して)良い。
[繊維処理剤]
繊維処理剤とは、例えば繊維に親水性、疎水性などの機能を付与し得るものであり、目的の不織布が得られる限り、第1繊維、第2繊維において、上記で規定の「初期接触角」および「水透過後接触角」を与えることができるものであれば、特に制限なく使用することができる。
第1繊維および第2繊維のそれぞれにおいて、例えば、親水性を付与することのできる繊維処理剤(以下、「親水性繊維処理剤」ともいう)を使用することが好ましい。
親水性繊維処理剤の種類は特に限定されない。親水性繊維処理剤は、公知のものであってよい。親水性繊維処理剤として、例えば、界面活性剤を含む繊維処理剤等が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン性及びノニオン性の界面活性剤等を用いることができる。
アニオン性の界面活性剤としては、アルキルホスフェートナトリウム塩、アルキルエーテルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルホスフェートナトリウム塩、ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホネートナトリウム塩、アルキルスルホネートナトリウム塩、アルキルサルフェートナトリウム塩等を挙げることができる。前記アニオン性の界面活性剤において、いずれのアルキルも炭素数が6~22であることが好ましい。また、これらのアニオン性の界面活性剤において、ナトリウム塩に代えてカリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩)を用いることもできる。
カチオン性の界面活性剤としては、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライド、アルキル(又はアルケニル)ピリジニウムハライド等を挙げることができる。前記カチオン系の界面活性剤は炭素数が6~18のアルキル基またはアルケニル基を有するものが好ましい。上記ハライド化合物におけるハロゲンとしては、塩素、臭素等が挙げられる。
両性イオン性の界面活性剤としては、アルキルジメチルベタインなどのベタイン型両性イオン性界面活性剤や、アミノ酸型両性界面活性剤、アミノスルホン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性の界面活性剤の例としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、前記多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物ポリオキシアルキレン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。
親水性繊維処理剤として、アニオン性の界面活性剤を含む繊維処理剤が好ましい。より好ましくはアルキルホスフェートナトリウム塩またはカリウム塩を含む繊維処理剤、更により好ましくはC8~C16アルキルホスフェートナトリウム塩またはカリウム塩を含む繊維処理剤である。
第1繊維では、親水性かつ非耐久性の繊維処理剤を使用することがより好ましい。より好ましくは、高親水性かつ非耐久性の繊維処理剤を使用する。かかる繊維処理剤を使用することによって、「初期接触角」および「水透過後接触角」を上記の範囲に調節することができる。
第2繊維では、親水性かつ耐久性の繊維処理剤を使用することがより好ましい。より好ましくは、低親水性かつ耐久性の繊維処理剤を使用する。かかる繊維処理剤を使用することによって、「初期接触角」および「水透過後接触角」を上記の範囲に調節することができる。
本開示において、「高親水性」、「低親水性」とは、第1繊維で使用する繊維処理剤が付与する親水性と、第2繊維で使用する繊維処理剤が付与する親水性との間での相対的な関係を示すために用いられる用語であり、絶対的な意味として解釈されるべきではない。
また、「耐久性」、「非耐久性」についても同様に、第1繊維で使用する繊維処理剤が付与する親水性の耐久性と、第2繊維で使用する繊維処理剤が付与する親水性の耐久性との間での相対的な関係を示すために用いられる用語であり、絶対的な意味として解釈されるべきではない。ただし、上記の繊維処理剤により親水性が付与された第1繊維および第2繊維は、それぞれ、上記の「初期接触角」および「水透過後接触角」の要件を満たさなければならない。
第1繊維および第2繊維において、付与され得る繊維処理剤の含有形態は特に限定されない。繊維処理剤は、繊維の表面に付着していてよく、あるいは繊維中に分散させられていてよい。繊維処理剤は、繊維の表面にスプレー等で吹き付けることにより、または任意の方法で繊維の表面に塗布することにより、繊維の表面に付着させることができる。あるいは、繊維処理剤を練り込んだ熱可塑性樹脂を溶融紡糸することによって、繊維処理剤を繊維中に分散させてもよい。
繊維処理剤の含有量は、繊維質量(繊維処理剤を除く繊維の質量)を100質量%としたときに、例えば、0.1質量%~2.0質量%であってよい。親水性繊維処理剤の含有量は、例えば、0.15質量%~1.0質量%であってよく、好ましくは0.2質量%~0.6質量%であってよい。
[不織布の製造方法]
不織布の製造方法は、少なくとも上記の第1繊維と第2繊維とを規定の割合で含む不織布を製造することができれば、特に制限はない。
不織布は、例えば、第1繊維と第2繊維とを混合して繊維ウェブを作製すること、当該繊維ウェブに含まれる繊維同士を一体化させる処理に付すことを含む製造方法などによって製造することができる。
繊維ウェブは、例えば、公知の方法で作製することができる。繊維ウェブの形態は、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブであってよい。
繊維ウェブは、例えば、その中に含まれる繊維同士を一体化させる処理に付される。繊維同士を一体化させる処理は、例えば、高圧流体を用いた交絡処理、またはニードルパンチ処理のように、繊維同士を交絡により一体化させる処理であってよく、あるいは、熱接着処理または接着剤処理等の接着処理であってよい。
不織布は、第1繊維を構成する成分および第2繊維を構成する成分によって接着されているものであってよい。そのような不織布を得るためには、繊維ウェブは、好ましくは熱処理に付される。熱処理によれば、第1繊維を構成する成分(例えば、芯鞘型複合繊維の鞘成分)および第2繊維を構成する成分(例えば、芯鞘型複合繊維の鞘成分)が熱処理の際、加熱によって溶融または軟化して、繊維ウェブを構成する繊維同士を接着することができる。熱処理は、例えば、熱風を吹き付ける熱風加工処理、熱ロール加工(熱エンボスロール加工)、または赤外線を使用した熱処理等である。熱風加工処理は、所定の温度の熱風を繊維ウェブに吹き付ける装置、例えば、熱風貫通式熱処理機、または熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施してよい。不織布は、嵩高性が求められる場合には、熱風加工処理を実施して製造することが好ましい。熱風加工処理によれば、比容積の減少を比較的抑制できる。
熱処理温度(例えば、熱風の温度)は、第1繊維を構成する成分および第2繊維を構成する成分であって、熱接着成分として機能させるもののうち、最も融点が高い成分が軟化または溶融する温度としてよい。例えば、熱処理温度は、当該成分の融点以上の温度としてよい。例えば、第1繊維および第2繊維がともにポリエチレンを成分として含み、ポリエチレンを熱接着成分とする場合には、熱処理温度を130℃~150℃としてよい。また、第1繊維の熱接着成分の融点と、第2繊維の熱接着成分の融点とが異なる場合、最も融点が低い成分の軟化または溶融する温度よりも例えば5~30℃、好ましくは5~20℃、より好ましくは5~10℃高い温度以下の熱処理温度とすることが、不織布表面に柔らかさおよび滑らかさなどの心地よい触感を不織布に付与することができるため好ましい。
(目付)
不織布(不織布サンプルを含む)の目付は、特に制限されず、その用途等に応じて適宜選択され得る。不織布の目付は、例えば、10g/m~50g/mが好ましい。より好ましくは15g/m~45g/m、更により好ましくは20g/m~40g/mである。不織布の目付が小さすぎると、不織布の破れ、ヨレまたは破損などが起こりやすくなることがあり、大きすぎると、通気性が低下することがある。
(厚さ)
不織布(不織布サンプルを含む)の厚さは、特に制限されず、その用途等に応じて適宜選択され得る。不織布の厚さは、例えば、0.10mm~1.5mmが好ましい。より好ましくは0.15mm~1.0mm、更により好ましくは0.20mm~0.80mmである。不織布の厚さが小さすぎると、不織布の破れ、ヨレまたは破損などが起こりやすくなることがあり、大きすぎると、通気性が低下することがある。不織布の厚さは、例えば、厚み測定機((株)大栄科学精器製作所製の商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR-60A)を用いて、不織布に294Paの荷重を加えた状態で測定することができる。
(比容積)
不織布(不織布サンプルを含む)の比容積は、上記の目付と厚さから計算により求めることができる。不織布の比容積は、特に制限されず、その用途等に応じて適宜選択され得る。不織布の比容積は、例えば、5cm/g~90cm/gが好ましい。より好ましくは10cm/g~80cm/g、更により好ましくは15cm/g~60cm/gである。比容積が小さすぎると、液体が透過しにくく吸液速度が低下することがある。
(不織布1cmあたりの繊維表面積)
第1繊維、第2繊維について、不織布1cmあたりの繊維表面積S(cm)は、それぞれ下記式から算出することができる。
S=[目付(g/m)×混綿率(質量%)×繊維径(μm)×円周率π]/[繊度(dtex)×厚さ(mm)×1000]
「目付」および「厚さ」については、上記不織布全体の値を代入し、「混綿率」、「繊維径」および「繊度」については、第1繊維、第2繊維の値をそれぞれ代入することによって、第1繊維、第2繊維についての不織布1cmあたりの繊維表面積S(cm)をそれぞれ算出することができる。
第1繊維について、不織布1cmあたりの繊維表面積は、特に制限されず、その用途等に応じて適宜選択され得る。第1繊維についての不織布1cmあたりの繊維表面積は、例えば、24cm~75cmが好ましい。より好ましくは29cm~70cm、更により好ましくは34cm~65cmである。繊維表面積が上記範囲内であると、第1繊維が繊維表面の親水性が比較的高い繊維を含むため(例えば第2繊維と比べた場合)、吸液速度が向上するなどの効果が得られる。
第2繊維について、不織布1cmあたりの繊維表面積は、特に制限されず、その用途等に応じて適宜選択され得る。第2繊維についての不織布1cmあたりの繊維表面積は、例えば、10cm~70cmが好ましい。より好ましくは15cm~65cm、更により好ましくは20cm~60cmである。繊維表面積が上記範囲内であると、第2繊維が繊維表面の親水性が比較的低い繊維を含むため(例えば第1繊維と比べた場合)、不織布の液残り性または液戻り性を下げて液戻り量を低減させるなどの効果が得られる。
(不織布1cmあたりの合計繊維表面積)
不織布1cmあたりの合計繊維表面積は、特に制限されず、その用途等に応じて適宜選択され得る。不織布1cmあたりの合計繊維表面積は、例えば、40cm~145cmが好ましい。より好ましくは50cm~135cm、更により好ましくは60cm~125cmである。不織布1cmあたりの合計繊維表面積が大きすぎると、液体が透過しにくく吸液速度が低下することがある。
本開示の吸収性物品用不織布は、不織布の一方の面に他の不織布を積層してもよいが、本開示の吸収性物品用不織布は第1繊維と第2繊維とを含む単層構造の不織布であることが好ましい。
(用途)
本開示の吸収性物品用不織布は、例えば、吸収性物品の表面シート(トップシートとも称される)、中間シート、吸収コアを被覆するシート(SAPシート、コアラップシートとも称される)、バックシート等を構成する部材として使用できるが、表面シートとして好適に使用することができる。特に吸収性物品用の表面シートとして好適に使用することができる。
[吸収性物品]
本開示の別の実施形態として、吸収性物品を説明する。本実施形態の吸収性物品は、少なくとも、表面シートとして、上記の吸収性物品用不織布を含むことが好ましい。例えば、表面シートと、バックシートと、この表面シートとバックシートとの間に配置される吸収体とを含む吸収性物品である。
本実施形態において、表面シートは、先に説明した実施形態の吸収性物品用不織布である。バックシートは、液不透過性材料からなるシートであってよい。バックシートは通気性を有していてよく、あるいは有していなくてよい。
吸収体は、例えば、高分子吸収体(SAPとも称される。一般に粉状物である)、粉砕パルプ、繊維集合物、およびフィルムから選択される1または複数の部材で構成される吸収コアが、不織布およびフィルムから選択されるコアラップシートにより被覆されたものであってよい。あるいは、吸収体は、コアラップシートにより被覆されず、吸収コアのみから成るものであってよい。
本実施形態の吸収性物品には、例えば、使い捨ておむつ、失禁パッド、軽失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、産褥パッド、ペットシート等の吸収性物品が包含されるが、本実施形態の吸収性物品は、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用する材料について詳しく説明する。
・繊維
繊維A:ポリエチレンテレフタレート(PET)(融点260℃)が芯であり、高密度ポリエチレン(HDPE)(融点132℃)が鞘であり、複合比(芯/鞘、容積比)が40/60である、繊度2.2dtex(繊維径16.0μm)、繊維長45mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SH))(鞘成分の融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を5.0mgとして、10℃/minの昇温スピードで常温から200℃まで昇温して、繊維を融解させて、得られた融解熱量曲線から求めると、127℃であった。)
繊維B:ポリプロピレン(PP)(融点160℃)が芯であり、高密度ポリエチレン(HDPE)(融点132℃)が鞘であり、複合比(芯/鞘、容積比)が65/35である、繊度1.6dtex(繊維径14.8μm)、繊維長38mmの同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(H))(鞘成分の融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を5.0mgとして、10℃/minの昇温スピードで常温から200℃まで昇温して、繊維を融解させて、得られた融解熱量曲線から求めると、127℃であった。)
繊維C:ポリエチレンテレフタレート(PET)(融点260℃)が芯であり、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(融点120℃)と低密度ポリエチレン(LDPE)(融点106℃)(質量比(直鎖状低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン)が85/15)が鞘であり、複合比(芯/鞘、容積比)が50/50である、繊度3.3dtex(繊維径19.1μm)、繊維長38mm、偏心率25%の偏心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製の商品名NBF(SL)V)(鞘成分の融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を5.0mgとして、10℃/minの昇温スピードで常温から200℃まで昇温して、繊維を融解させて、得られた融解熱量曲線から求めると、126℃であった。)
・繊維処理剤
繊維処理剤1:C12アルキルホスフェートカリウム塩を含む非耐久高親水性繊維処理剤
繊維処理剤2:C12アルキルホスフェートカリウム塩を含む耐久低親水性繊維処理剤
繊維処理剤3:C12アルキルホスフェートカリウム塩を含む耐久高親水性繊維処理剤
実施例1
繊維処理剤1が付与された繊維Aを60質量%と、繊維処理剤2が付与された繊維Cを40質量%とを混綿し、パラレルカード機を使用して、狙い目付25g/mでパラレルカードウェブを製造した。
このパラレルカードウェブを、熱風貫通式熱処理機を用いて132℃で約15秒間熱処理して繊維A及び繊維Cの鞘成分を熱融着させてサーマルボンド不織布を得た。
このサーマルボンド不織布に、1mあたり2400kgの荷重を10日間かけて厚み加工を行い、実施例1の不織布を得た。
繊維処理剤1が付与された繊維Aの初期接触角は60.2度であり、水透過後接触角は102.6度であった。
繊維処理剤2が付与された繊維Cの初期接触角は75.6度であり、水透過後接触角は72.9度であった。
実施例2~4および比較例1~7
以下の表に示す通り、繊維、繊維処理剤、混綿率を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~4および比較例1~7の不織布を得た。
実施例及び比較例で作製した不織布について、評価用の吸収性物品を作製し、その吸収性を評価した。評価結果については、以下の表に示す。
[吸収性物品の製造]
市販の生理用ナプキン(キンバリー・クラーク社製の商品名「KOTEX超大吸」)から、トップシートを剥がしてセカンドシートを剥き出しにし、そのトップシートの代わりに、上述の実施例及び比較例の不織布(タテ30cm×ヨコ10.5cm)を積層して、評価用の吸収性物品を得た。この評価用の吸収性物品を用いて、実施例及び比較例の不織布の吸収性の特徴として、「吸液時間」、「拡散長」及び「液戻り量」を評価した。
[吸液時間]
実施例及び比較例の不織布の上に、注入筒付きプレート(高さ75mm、筒上部の内径25mm、筒下部の内径10mm、肉厚5mmの二段円筒状のもの)を置き、この注入筒付きプレートの注入筒内に、6.0ccの人工経血(温度37℃、粘度8mPa・s)を注入した。不織布表面から液体が見えなくなるまでに要した時間(吸液時間(秒))を測定した。なお、人工経血の組成は、グリセリン12.30質量%、イオン交換水85.18質量%、CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)0.45質量%、NaCl(塩化ナトリウム)0.97質量%、NaCO(炭酸ナトリウム)1.04質量%、青粉0.06質量%であった。
また、上記吸液時間の測定後、15分が経過した後、2回目の吸液時間(秒)の測定を行った。
1回目、2回目の吸液時間の評価基準は、それぞれ以下の通りである。吸液時間が短いほど、吸液速度は高いといえる。
[1回目 吸液時間の評価基準]
○:10.5秒未満
×:10.5秒以上
[2回目 吸液時間の評価基準]
○:14.0秒未満
×:14.0秒以上
[拡散長]
1回目の吸液時間の測定の際、人工経血の注入から5分後に、実施例及び比較例の不織布のタテ方向における人工経血を吸収した部分の長さを計測し、拡散長とした。
また、2回目の吸液時間の測定の際にも、1回目と同様に人工経血の注入から5分後に拡散長を計測した。
1回目、2回目の拡散長の評価基準は、それぞれ以下の通りである。拡散長の値は、小さいほど、経血の色が目立たなくなるため良い。
[1回目 拡散長の評価基準]
○:3.5cm未満
×:3.5cm以上
[2回目 拡散長の評価基準]
○:4.0cm未満
×:4.0cm以上
[液戻り量]
別途に用意した評価用の吸収性物品において、上記1回目の吸液時間の測定と同様にして人工経血を注入し、注入から10分後に、実施例及び比較例の不織布の上にろ紙(東洋濾紙株式会社製、商品名ADVANTEC(登録商標)No.2、10cm×10cm)を10枚置き、ろ紙の上に質量1kg(形状:正方形、10cm×10cm)の重りを載せた。重りを載せてから20秒後にろ紙を取り出して、人工経血を吸収したろ紙の質量を測定し、不織布の上に載せる前のろ紙の質量を差し引き、液戻り量(g)を算出した。
液戻り量の評価基準は、以下の通りである。液戻り量が小さいほど、液戻り防止性が高いといえる。
[液戻り量の評価基準]
○:0.10g未満
×:0.10g以上
尚、吸液時間、拡散長および液戻り量の測定に際しては、各実施例及び比較例の不織布について、それぞれ2つのサンプルを用意した。2つのサンプルのそれぞれについて測定した吸液時間、拡散長および液戻り量の平均値を、各実施例及び比較例の不織布の吸液時間、拡散長および液戻り量とした。
Figure 0007374404000001
Figure 0007374404000002
Figure 0007374404000003




Figure 0007374404000004
実施例1~4の不織布は、繊維処理剤1(高親水性ではあるが非耐久性である)で処理された第1繊維と、繊維処理剤2(低親水性ではあるが耐久性を有する)で処理された第2繊維とを特定の混綿率で含むので、「吸液時間」(1回目、2回目の両方)、「拡散長」(1回目、2回目の両方)、「液戻り量」の全てについて、バランスよく高評価の結果を示した。実施例3の不織布は、実施例2における第1繊維と第2繊維の繊維処理剤以外の繊維構成を入れ替えた不織布であるが、実施例2と同様に「吸液時間」(1回目、2回目の両方)、「拡散長」(1回目、2回目の両方)、「液戻り量」の全てについて、バランスよく高評価の結果を示した。
比較例1の不織布は、「吸液時間」(1回目、2回目の両方)、「拡散長」(1回目、2回目の両方)、「液戻り量」のいずれにおいても、良好な結果を全く示さなかった。特に、比較例1の不織布は、第1繊維に、繊維処理剤3(高親水性であり耐久性を有する)を使用するので、「液戻り量」の結果は良くなかった。
比較例2の不織布は、第1繊維を含まず、第2繊維のみを含み、第2繊維において繊維処理剤2(低親水性ではあるが耐久性を有する)を使用するので、「拡散長」(1回目、2回目の両方)の結果が良くなかった。繊維処理剤2が低親水性であるため、液体が吸収体まで透液しづらく、液体が横に流れていったと考えられる。
比較例3、4の不織布から、単に実施例2と同じ第1繊維と第2繊維とを混綿しただけでは、「吸液時間」、「拡散長」および「液戻り量」の全てにおいて、良好な結果が得られないこともわかった。
比較例5の不織布は、第2繊維を含まず、第1繊維のみを含み、第1繊維において繊維処理剤1(高親水性ではあるが非耐久性である)を使用するので、「液戻り量」の結果は良くなかった。
また、比較例3~5の不織布から、第1繊維の小さい繊度(1.6dtex)(第2繊維と比べて)に起因して、比容積の値が小さくなるにつれて、液体が吸収体まで透液しにくくなり、吸液時間が大きくなった。
比較例6の不織布は、第1繊維と第2繊維の繊維処理剤が、両方共繊維処理剤1であるので、「拡散長」(2回目)の結果が良くなかった。
比較例7の不織布は、第1繊維と第2繊維の繊維処理剤が、両方共繊維処理剤2であるので、「吸液時間」(1回目、2回目の両方)「拡散長」(1回目、2回目の両方)の結果が良くなかった。
本発明の実施形態は、以下の態様を含む。
(態様1)
吸収性物品用不織布であり、前記不織布は、第1繊維と第2繊維とを含み、
前記第1繊維の繊維表面と水との初期接触角Aは、45度~70度であり、
前記第2繊維の繊維表面と水との初期接触角Bは、65度~85度であり、
前記初期接触角Aは、前記初期接触角Bよりも10度以上小さく、
前記第1繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、90度~120度であり、
前記第2繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、65度~85度であり、
前記不織布は、前記不織布の総質量を基準として、前記第1繊維を30質量%~70質量%の割合で含み、前記第2繊維を70質量%~30質量%の割合で含む(ただし、前記第1繊維の割合および前記第2繊維の割合の合計は100質量%を超えない)、
吸収性物品用不織布。
(態様2)
第1繊維の繊度と、第2繊維の繊度との相違は、0.5dtex~3.4dtexである、態様1に記載の吸収性物品用不織布。
(態様3)
前記第1繊維の繊度と前記第2繊維の繊度の一方が、1.0dtex~2.6dtexであり、他方が2.2dtex~4.4dtexである、態様1又は2に記載の吸収性物品用不織布。
(態様3-2)
前記第1繊維の繊度は、1.0dtex~2.6dtexである、態様1~3のいずれか1態様に記載の吸収性物品用不織布。
(態様3-3)
前記第2繊維の繊度は、2.2dtex~4.4dtexである、態様1~3-2のいずれか1態様に記載の吸収性物品用不織布。
(態様4)
前記第1繊維と前記第2繊維の一方が、同心芯鞘型複合繊維であり、他方が偏心芯鞘型複合繊維である、態様1~3のいずれか1態様に記載の吸収性物品用不織布。
(態様5)
前記同心芯鞘型複合繊維の芯成分はポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートを含み、鞘成分はポリエチレンを含む、態様4に記載の吸収性物品用不織布。
(態様6)
前記偏心芯鞘型複合繊維の芯成分はポリエチレンテレフタレートを含み、鞘成分はポリエチレンを含む、態様4又は5に記載の吸収性物品用不織布。
(態様7)
比容積が5cm/g~90cm/gである、態様1~6のいずれか1態様に記載の吸収性物品用不織布。
(態様8)
表面シートとして、態様1~7のいずれか1態様に記載の吸収性物品用不織布を含む、吸収性物品。
本実施形態の吸収性物品用不織布は、高い吸液速度および高い液戻り防止性とともに高い拡散防止性をバランス良く備える。したがって、本実施形態の吸収性物品用不織布は、例えば、表面シートと、バックシートと、かかる表面シートとバックシートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品において、表面シートとして好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 吸収性物品用不織布であり、前記不織布は、第1繊維と第2繊維とを含み、
    前記第1繊維の繊維表面と水との初期接触角Aは、45度~70度であり、
    前記第2繊維の繊維表面と水との初期接触角Bは、65度~85度であり、
    前記初期接触角Aは、前記初期接触角Bよりも10度以上小さく、
    前記第1繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、90度~120度であり、
    前記第2繊維の繊維表面と水との水透過後接触角は、65度~85度であり、
    前記不織布は、前記不織布の総質量を基準として、前記第1繊維を30質量%~70質量%の割合で含み、前記第2繊維を70質量%~30質量%の割合で含み(ただし、前記第1繊維の割合および前記第2繊維の割合の合計は100質量%を超えない)、
    第1繊維と第2繊維は、両方共、芯鞘型複合繊維であり、
    第1繊維の繊度と、第2繊維の繊度との相違は、0.5dtex~3.4dtexであり、
    前記第1繊維の繊度は、1.0dtex~2.6dtexであり、前記第2繊維の繊度は、2.2dtex~4.4dtexである、
    吸収性物品用不織布。
  2. 前記第1繊維と前記第2繊維の一方が、同心芯鞘型複合繊維であり、他方が偏心芯鞘型複合繊維である、請求項に記載の吸収性物品用不織布。
  3. 前記同心芯鞘型複合繊維の芯成分はポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートを含み、鞘成分はポリエチレンを含む、請求項に記載の吸収性物品用不織布。
  4. 前記偏心芯鞘型複合繊維の芯成分はポリエチレンテレフタレートを含み、鞘成分はポリエチレンを含む、請求項2又は3に記載の吸収性物品用不織布。
  5. 比容積が5cm/g~90cm/gである、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  6. 表面シートとして、請求項1~のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布を含む、吸収性物品。
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