JP3667935B2 - 開孔不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面材等に適した開孔不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面材として様々なものが提案され、実用に供されている。
【0003】
例えば、特開昭62−170565号公報や特開昭61−176346号公報では、主として疎水性繊維からなる開孔不織布であって、非開孔部が実質的に液不透過性である不織布を表面材として使用することが提案されている。また、特開平4−300546号公報には、ポリオレフィン同士の分割型複合繊維をウォータージェットにより分割するとともに交絡し、かつ開孔を形成させた不織布からなる表面材が記載されている。いずれも、繊維径の小さな疎水性繊維を使用することで、柔軟性とドライ感を得ようとしており、また開孔を付与することで体液の吸収速度を向上させようとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
さて、最近の吸収性物品は吸収材の改良に伴い、長時間にわたる使用が可能になりつつある。長時間使用タイプの吸収性物品は、複数回にわたって排泄された大量の体液を吸収するのみならず、使用中、使用者が不快感を感じないようなものでなければならない。使用中の不快感の有無は表面材に左右される。そこで最近では、排泄された体液をすばやく吸収材へ移行させ、かつ吸収された体液を液戻りさせないという性能が、複数回の排泄があった場合でも維持され得る表面材が要望されている。
【0005】
しかし、一般に、吸収性物品を使用したときには、1回目の排泄時にはさほど不快感を感じないものの、2回目以降には不快感を感じることが多い。これは、1回目の排泄で表面材に付着していた親水性油剤が洗い流されたり、また表面材を構成する繊維の隙間に体液が残ったりして、2回目に排泄された体液の吸収が阻害されるためである。
【0006】
先に例示した表面材も複数回の排泄に必ずしも耐えうるものではない。即ち、繊維径の小さな疎水性繊維からなる不織布は、構成繊維そのものが疎水性であることに加えて不織布の繊維密度が高いために、液残りしやすく使用者にべたつき感を与える。そして使用時間が長いほど表面材上には体液が蓄積され、使用者の不快感を増大させることとなる。
【0007】
かかる不都合を解消するため、先に例示した表面材には開孔部が形成されているが、開孔率30〜50%程度の開孔部のみで、一度に大量に排泄される体液をすばやく吸収材へ移行させることは困難である。もちろん開孔面積や開孔率を大きくすれば体液の移行は円滑になるが、あまりに大きくすると吸収材に吸収された体液が使用者の肌に再度接触する現象、即ち「液戻り」が無視できなくなる。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、吸収性物品が長時間使用され、体液が複数回排泄された場合でも、使用者に不快感を与えることのない表面材に特に適した不織布を得ることをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の吸収性物品表面材用の開孔不織布は、ポリエチレンを鞘成分、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維50〜90重量%と、親水性繊維50〜10重量%とが混合されてなる繊維が交絡され、かつ繊維が再配列されて開孔が形成された不織布であって、特定の方法によって測定された同じ部位における1回目の吸液時間T1 と2回目の吸液時間T2 が、T1 ≧T2 の関係を満たすことを特徴とする。かかる不織布を吸収性物品の表面材として用いれば、複数回の排泄があったときにも1回目の排泄時と同等の使用感を維持することができる。
【0010】
前記開孔不織布においては、T1 ≦10であることが望ましい。吸液時間が長いと排泄後表面材上に液溜まりが生じやすくなる。これを防止するため、吸液時間はできるだけ短いことが望ましい。
【0011】
本発明の開孔不織布は、疎水性繊維50〜90重量%と、親水性繊維50〜10重量%とが混合されてなることが望ましい。疎水性繊維によりドライ感の付与と液戻りの防止を図り、親水性繊維により吸液時間の短縮を図るためである。
【0012】
前記不織布においては、疎水性繊維がポリエチレンテレフタレートを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維であることが望ましい。この繊維の使用により、液戻りを抑制しつつ吸液時間をより短くすることが可能となる。
【0013】
本発明の開孔不織布は、構成繊維同士が少なくとも一部の接合点において熱接着された不織布であることが望ましい。熱接着された不織布は形態安定性に優れ、毛羽抜けおよび毛羽立ちも少なく、嵩高性に富み、吸液時間と液戻りを両立したものが得られる。
【0014】
本発明の開孔不織布においては、開孔一つあたりの面積が0.3〜5.0mm2 であり、開孔率が10〜50%であることが望ましい。吸液時間と液戻りの均衡を図るためである。
【0015】
本発明の開孔不織布には親水性油剤が付与されても良い。親水性油剤により、1回目の吸液時間がより短くなる。
【0016】
本発明の開孔不織布は、吸収性物品の表面材として用いることが最も望ましい。かかる用途においてこそ、本発明の特性が最も発揮される。また、他の不織布等と積層して表面材を構成する場合には、本発明の不織布が必ず使用者の肌と接するよう構成することが肝要である。
以下、本発明の内容を説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の吸収性物品表面材用の開孔不織布は、高圧流体流の作用によりポリエチレンを鞘成分、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維50〜90重量%と、親水性繊維50〜10重量%とが混合されてなる繊維が交絡され、かつ繊維が再配列されて開孔が形成された不織布であって、下記測定法により吸液時間(秒/3cc)を同じ部位において2回測定し、1回目の吸液時間をT1 、2回目の吸液時間をT2 としたときに、T1 ≧ T2 の関係を満たすものである。
【0018】
吸液時間は、吸収材の上に不織布を広げ、その中央に直径25mm、高さ70mmの円筒を置き、円筒から温度30℃の人工血液を3cc注入し、人工血液を注入しはじめてから全ての人工血液が不織布表面から消えるまでの時間(秒)で表される。2回目の吸液時間は、1回目の吸液時間を測定してから3分後に同じ部位で同じことを繰り返して測定される。人工血液1リットル中の組成は以下のとおりである。
▲1▼グリセリン(和光純薬社製 和光1級)100.0g
▲2▼塩化ナトリウム(関東化学社製 鹿1級)10.0g
▲3▼無水炭酸ナトリウム(和光純薬社製 和光1級)10.7g
▲4▼カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)4.6g
▲5▼イオン交換水875.0g
【0019】
1 ≧T2 の関係を満たすということは、これを吸収性物品の表面材として用いた場合、2回目に排泄された体液が1回目と同等以上の速度で吸収材へ移行することを意味する。従って、2回目の排泄があったときに1回目のときに比べて著しく強い不快感を感じるということはない。
【0020】
なお、T1 ≧T2 の関係を満たすものは、3回目以降の吸液時間も2回目と同等もしくはそれ以上に短くなる傾向にある。よって、複数回の排泄があった場合にも使用者の不快感が著しく増大することはない。
【0021】
この条件を満たす開孔不織布は、繊維ウェブに高圧流体流が噴射されて繊維同士が交絡すると同時に繊維の再配列により開孔が形成された不織布である。以下、本発明の具体的な構成をその製造方法とともに説明する。
【0022】
本発明の開孔不織布を構成する繊維は、特に限定されない。従って、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等から任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。また、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン、等の組み合わせからなる芯鞘型複合繊維もしくは分割型複合繊維等を使用してもよい。
【0023】
例えば、ドライ感を付与するためには、繊維表面が疎水性である繊維を使用するとよい。具体的にはポリエチレンやポリプロピレンからなる単一繊維、もしくはこれらが繊維表面の少なくとも一部を占めてなる芯鞘型複合繊維や分割型複合繊維を使用するとよい。
【0024】
エチレン−プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート等の組み合わせからなる分割型複合繊維を用いれば、高圧流体流の作用によって極細繊維が形成されるので不織布に柔軟性を付与することができる。また、ポリエチレン/ポリプロピレン等、オレフィン同士の組み合わせからなる分割型複合繊維を用いれば、さらにドライ感を付与することができる。
【0025】
但し、疎水性繊維のみで不織布を形成すると、1回目の吸液時間が長くなる傾向にある。T1 が大きい不織布を表面材として用いると、1回目に排泄された体液が吸液されずに液溜まりとなるため、使用者は排泄後しばらくの間、不快な湿潤感を感じることになる。同様のことは不織布を構成する繊維の繊度が小さい場合にもいえる。
【0026】
そこで、T1 をある程度小さくするために、親水性の繊維を混合するとよい。親水性繊維としては、綿(コットン)、麻、レーヨン、アセテート等があるが、本発明ではレーヨン繊維を使用することが好ましい。親水性繊維を混合する場合には、その混合割合は50%以下にすることが望ましい。50%を超えると、吸液した親水性繊維による湿潤感が無視できなくなる。より好ましい親水性繊維の割合は40〜20%である。
【0027】
さらに本発明者らは様々な繊維について試験を行った結果、芯/鞘がポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンである芯鞘型複合繊維を用いれば、1回目の吸液時間が比較的短いにも拘わらず、液戻りの少ない開孔不織布が得られることを見いだした。その理由は定かではないが、ポリエチレンによって疎水性が付与されるとともに、繊維端等において露出しているポリエチレンテレフタレートが何らかの形で吸液時間の短縮に寄与しているものと推察する。また、この芯鞘型複合繊維50〜90重量%と、親水性繊維50〜10重量%とを混合して不織布を形成すれば、1回目の吸液時間が10以下となる極めて吸液時間の短い不織布を得ることが可能である。
【0028】
上記芯鞘型複合繊維は、高圧流体流により開孔を形成した後、複合繊維の融点近傍の温度で熱処理を施して、繊維同士を少なくとも一部の接合点において熱接着させるとさらに好ましい。熱接着により不織布の形態が安定化され、強度も向上するとともに毛羽抜けおよび毛羽立ちが抑制される。さらに、複合繊維の収縮作用と融着作用によって熱処理前に比べ嵩高で繊維間空隙の大きな不織布が得られる。これを表面材として用いると、吸液時間が短く、且つ液戻りの少ないものが得られる。熱処理方法は、嵩高性を考慮してサクションドラム方式、サクションパンド方式等の非接触熱媒体方法が使用される。
【0029】
繊維の繊度を大きくすることによっても吸液時間は短くなる。具体的には1〜3デニールの繊維を使用するとよい。3デニールを超えると不織布の繊維間空隙が大きくなって、表面材として用いたときに液戻りが生じやすくなる。
【0030】
本発明の開孔不織布を得るにあたっては、上述の繊維を予め繊維ウェブの状態にしておく必要がある。繊維ウェブの態様は特に限定されず、繊維長25〜125mm、より好ましくは38〜64mmの短繊維で構成されるパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ等であればよい。ウェブの目付は、最終的に得ようとする不織布の用途等に応じて決定すればよい。例えば、本発明の開孔不織布を吸収性物品の表面材として用いる場合には、15〜50g/m2 程度とすることが好ましい。
【0031】
繊維ウェブに高圧流体流を噴射して繊維同士を交絡させると同時に、繊維を再配列させて開孔を形成させる開孔不織布の製造方法は、既に広く知られている。本発明の開孔不織布を製造するにあたってもそれら既知の方法を任意に採用することができる。
【0032】
具体的には、モノフィラメントや金属線を織成して形成したパターンネットや、突起物を設けたロール等の開孔形成用支持体上に繊維ウェブを置き、高圧流体流を噴射して不織布を形成する。なお、噴射する「流体」は、工程管理上、特に水を用いることが望ましい。また噴射する流体の態様は、スプレー状、柱状等いずれであってもよい。
【0033】
高圧流体流の噴射は、開孔形成用支持体上でのみ行っても良い。また、20〜60kg/cm2 の低圧の流体流を噴射して予備的に交絡させた後、開孔形成用の支持体上で流体流を噴射しても良い。予備的に交絡させると、得られる不織布の強力は大きくなる。
【0034】
開孔形成用支持体上に噴射する流体流の圧力は、処理する繊維ウェブの目付や予備交絡の有無に応じて決定すると良い。例えば、20〜100g/m2 の繊維ウェブを処理する場合、流体流の圧力は30〜100kg/cm2 であることが望ましい。30kg/cm2 未満では流体流のエネルギーが不十分で開孔を形成させることが難しい。100kg/cm2 を超えると繊維が飛散して地合が悪くなり、また支持体の素材、形状等によっては支持体の損傷を招くおそれがある。
【0035】
不織布の開孔の形状および開孔一つあたりの面積ならびに開孔率は、開孔形成用支持体の形態により決定される。本発明における開孔の形状は特に限定されず、円状、楕円状、長方形状、菱形状等いずれであってもよく、不織布の表面から裏面にかけて繊維の存在しない部分が一部でもあれば開孔とみなされる。また、開孔一つあたりの面積は0.3〜5.0mm2 、開孔率は10〜50%であることが望ましい。特に面積は0.5〜3.0mm2 、開孔率は15〜30%であることがより好ましい。開孔面積が0.3mm2 未満あるいは開孔率10%未満では、T1 ≧T2 の関係を満たす不織布を得ることができない。開孔面積が5.0mm2 を超えたり、開孔率が50%を超えると、T1 ≧T2 の関係は満たされるが、吸収性物品の表面材として用いる場合に液戻りが無視できなくなる。
【0036】
本発明の開孔不織布には、親水性油剤を付与してもよい。親水性油剤の付与により不織布の1回目の吸液時間が著しく短縮される。例えば疎水性繊維のみからなる不織布に親水性油剤を付与することは、T1 を小さくする手段として有効である。よって、親水性油剤を付着させた不織布は、T1 ≦T2 となる場合がある。
【0037】
親水性油剤としては、例えばアルキルリン酸エステルなどのリン酸系アニオン活性剤、脂肪族カルボン酸石けんなどの石けん系アニオン活性剤、アルキルサルフェートなどのサルフェート系アニオン活性剤等が使用され、特にC8 〜C12アルキルリン酸エステルが親水性に優れており好ましい。
【0038】
不織布に付着させた親水性油剤は、一度液体と接触すると洗い流されるため、その効果は最初に接触する液体に対して主に発揮される。本発明の開孔不織布は構造的に2回目の吸液時間が短いものであるから、油剤が洗い流された後でも、他の不織布のように吸液時間が大幅に長くなることはない。従って、本発明の開孔不織布に親水性油剤を付着させたものは、油剤処理による効果と相俟って極めて実用価値の高い不織布となる。
【0039】
本発明の開孔不織布は、吸収性物品の表面材として用いる場合にその効果を最も発揮するものである。表面材として使用する場合、他の不織布等と積層して用いても良いが、本発明の不織布が使用者の肌側に接するように積層することが望ましい。本発明の吸液性に優れた不織布は表面材以外に、例えばふきんなどの水拭き用ワイパー、ガーゼ、おしぼり等に用いることも可能である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。実施例において不織布の物性は以下の方法により評価した。各評価で使用する人工血液の組成は先に説明したとおりである。
【0041】
(吸液時間)市販の生理用ナプキン(商品名「エリス 大王製紙株式会社製)から表面材を外して取り出した吸収材(上層:目付70g/m2のパルプ100%不織布、中間層:吸収性ポリマー、下層:防漏フィルム 以下、同じものを使用)の上に不織布を広げ、その中央に直径25mm、高さ70mmの円筒を置く。円筒から温度30℃の人工血液を3cc注入し、人工血液を注入しはじめてから全ての人工血液が不織布表面から消えるまでの時間(秒)を測定し、これをT1 とする。3分後に同じことを同じ部位で繰り返し行い、測定した時間をT2 とする。
(拡散面積)吸収材の上に不織布を広げ、その中央に直径25mm、高さ70mmの円筒を置き、円筒から温度30℃の人工血液を3cc注入する。1分後、人工血液が不織布の下で広がった幅、長さの広がりを測定する。幅方向の最大の広がりをa(cm)、長さ方向の最大の広がりをb(cm)として拡散面積(cm2 )={π×(a/2)×(b/2)}の式から拡散面積を算出する。1回目の拡散面積を測定してから3分後に同様の操作を行い、2回目の拡散面積を測定する。
(液戻り)吸収材の上に不織布を広げ、その中央に直径25mm、高さ70mmの円筒を置き、円筒から温度30℃の人工血液を6cc注入する。2分後、予め重量を測定しておいた四つ折りのティッシュペーパーをのせ、その上に底面がタテ×ヨコが4×5cmの長方形である重量100gのおもりを10秒間のせる。その後、ティッシュペーパーの重量を測定し、増加分を液戻り量としてあらわした。
【0042】
(実施例1)芯/鞘がポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維(繊度2.0デニール、繊維長51mm)70重量%と、レーヨン繊維(繊度1.5デニール、繊維長40mm)30重量%とを混合して目付が約30g/m2 の繊維ウェブを作成した。これに、孔径0.13mmのオリフィスが1mm間隔で設けられたノズルから水圧50kg/cm2 の高圧柱状水流をウェブの表側から2回噴射して予備交絡させた後、開孔形成用支持体上で水圧70kg/cm2 の高圧柱状水流をウェブの裏側から3回噴射して開孔不織布を得た。高圧柱状水流噴射の際の処理速度は4m/分とした。ここでは開孔形成用支持体として、ポリエステルモノフィラメントからなる平織物であって、メッシュ数が縦および横方向とも25メッシュ/インチのものを使用した。得られた開孔不織布は、一つの開孔面積が0.7mm2 、開孔率は23%であった。
【0043】
(実施例2)実施例1で得られた不織布に、加熱温度130℃に設定した熱風貫通型乾燥機を用いて加熱処理を施し、ポリエチレン成分により繊維同士を熱接着させた。
【0044】
(実施例3)実施例1で得られた不織布に、C8 オキシエチレンリン酸カリウム塩65重量%を主成分とする親水性油剤を0.3重量%付着させた。
【0045】
参考例1)芯/鞘がポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維(繊度2.0デニール、繊維長51mm)のみを用いて目付が約30g/m2のパラレルウェブを作成した。これに実施例1と同じ方法で高圧柱状水流を噴射し、開孔不織布を得た。
【0046】
参考例2)芯/鞘がポリプロピレン/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維(繊度2.0デニール、繊維長51mm)70重量%と、レーヨン繊維(繊度1.5デニール、繊維長40mm)30重量%とを混合して目付が約30g/m2 の繊維ウェブを作成した。これに実施例1と同じ方法で高圧柱状水流を噴射し、開孔不織布を得た。
【0047】
参考例3)ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレートとが、それぞれ同容積ずつ互いに隣接するように菊花状に配置された分割数16の分割型複合繊維(3.0デニール、繊維長45mm)70重量%と、レーヨン繊維30重量%とを混合して目付が約30g/m2のパラレルウェブを作成した。これに実施例1と同じ方法で高圧柱状水流を噴射し、開孔不織布を得た。この不織布においては、分割型複合繊維の約90%が分割しており、繊度約0.2デニールの極細繊維が多数形成されていた。ここで「分割型複合繊維の約90%が分割」とは、分割型複合繊維のうち90%が各構成単位に分割したことを意味する。
【0048】
参考例4)エチレン−プロピレン共重合体とポリエチレンテレフタレートとが、それぞれ同容積ずつ互いに隣接するように菊花状に配置された分割数8の分割型複合繊維(2.0デニール、繊維長51mm)70重量%と、レーヨン繊維(1.5デニール、繊維長40mm)30重量%とを混合して目付が約30g/m2のパラレルウェブを作成した。これに実施例1と同じ方法で高圧柱状水流を噴射し、開孔不織布を得た。この不織布においては、分割型複合繊維の約90%が分割して、繊度約0.25デニールの極細繊維が多数形成されていた。
【0049】
(比較例1)実施例1で使用したのと同じ芯鞘型複合繊維のみを用いて目付が約20g/m2 のパラレルウェブを作成し、実施例1で使用したのと同じレーヨン繊維のみを用いて目付が約10g/m2 のパラレルウェブを作成した。この二つの繊維ウェブを積層し、実施例1と同じ方法で高圧柱状水流を噴射し、開孔不織布を得た。そして芯鞘型複合繊維層側を表面層とした。
【0050】
(比較例2)実施例7で使用したのと同じ分割型複合繊維のみを用いて目付が約20g/m2 のパラレルウェブを作成し、実施例7で使用したのと同じレーヨン繊維のみを用いて目付が約10g/m2 のパラレルウェブを作成した。この二つの繊維ウェブを積層し、実施例1と同じ方法で高圧柱状水流を噴射し、開孔不織布を得た。この不織布においては、分割型複合繊維の約90%が分割しており、繊度約0.25デニールの極細繊維が形成されていた。そして、分割型複合繊維層側を表面層とした。
【0051】
実施例1〜参考例1〜4、比較例1〜2で得た開孔不織布の物性を表1および表2に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0003667935
【0053】
【表2】
Figure 0003667935
【0054】
実施例1と比較例から明らかなとおり、同じ繊維を同じ割合で使用した場合でも、混合したものと積層したものとでは、T1とT2の関係は異なっている。また、芯成分/鞘成分がポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの芯鞘型複合繊維を使用した実施例1〜3は、吸液時間が短く、液戻りも小さい。さらに実施例2においては液戻り性も優れている。実施例3によれば、親水性油剤により1回目の吸液時間が短くなっていることが分かる。その他、T2がT1よりも小さい不織布の例を参考例1〜4で示す。
【0055】
【発明の効果】
本発明の開孔不織布は、1回目の吸液時間T1 と2回目の吸液時間T2 がT1 ≧T2 の関係を満たすものである。これを吸収性物品の表面材に用いれば、2回目に排泄された体液が1回目のときよりも速やかに吸収されるので、使用者の不快感を軽減することができる。よって本発明の開孔不織布は、長時間にわたって使用される吸収性物品の表面材に適している。
【0056】
また、特定の繊維を使用すれば吸液時間が大幅に短縮した不織布を得ることができるので、液溜まりが生じにくくなる。よって、この繊維からなる不織布を表面材として用いた場合には排泄後に感ずる湿潤感を軽減することが可能となる。更に、親水性油剤を付着させることにより、1回目の吸液時間を短縮させることができるから、本発明の開孔不織布の特性と相俟って、極めて実用価値の高い不織布を提供することができる。

Claims (5)

  1. 高圧流体流の作用によりポリエチレンを鞘成分、ポリエチレンテレフタレートを芯成分とする芯鞘型複合繊維50〜90重量%と、親水性繊維50〜10重量%とが混合されてなる繊維が交絡され、かつ繊維が再配列されて開孔が形成された不織布であって、下記測定法により吸液時間(秒/3cc)を同じ部位において2回測定し、1回目の吸液時間をT1 、2回目の吸液時間をT2 としたときに、T1 ≧ T2 の関係を満たすことを特徴とする吸収性物品表面材用の開孔不織布。
    (吸液時間の測定方法) 吸収材の上に不織布を広げ、その中央に直径25mm、高さ70mmの円筒を置く。円筒から温度30℃の人工血液を3cc注入し、人工血液を注入しはじめてから全ての人工血液が不織布表面から消えるまでの時間(秒)を測定し、これをT1とする。3分後に同じことを同じ部位で繰り返し行い、測定した時間をT2とする。
  2. 1≦10である請求項1記載の吸収性物品表面材用の開孔不織布。
  3. 構成繊維同士が少なくとも一部の接合点において熱接着された不織布である請求項1〜いずれか一項に記載の吸収性物品表面材用の開孔不織布。
  4. 開孔一つあたりの面積が0.3〜5.0mm2であり、開孔率が10〜50%である請求項1〜いずれか一項に記載の吸収性物品表面材用の開孔不織布。
  5. 請求項1〜いずれか一項に記載の開孔不織布に、親水性油剤が付与されている吸収性物品表面材用の開孔不織布。
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