JP2017217465A - 吸収性物品 - Google Patents

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Akira Yuyama
暁 湯山
祐一 廣瀬
Yuichi Hirose
祐一 廣瀬
義徳 村上
Yoshinori Murakami
義徳 村上
幸江 加藤
Yukie Kato
幸江 加藤
雅義 阿部
Masayoshi Abe
雅義 阿部
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Abstract

【課題】経血に血球凝集剤が接触して生じた赤血球の凝集塊が、肌に付着しにくく、経血の吸収性能及び装着感に優れている吸収性物品を提供すること。
【解決手段】肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3及びこれら両シート間に配されている吸収体4を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向X及びそれに直交する横方向Yを有する経血吸収用の吸収性物品1であり、表面シート2は、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布10からなり、表面シート2よりも裏面シート3に近い位置に配されたコアラップシート等の下方部材42aに血球凝集剤が含まれている。
【選択図】図2

Description

本発明は、経血吸収用の吸収性物品に関する。
血液に作用させる流体処理剤を吸収性物品に適用して、該吸収性物品の経血の吸収性能を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献3)。
特許文献1には、多価イオンの塩を含有する吸収性パッドを含む月経帯が開示されている。特許文献2には、部分水和無水ジカルボン酸コポリマー又はポリカチオンを血液ゲル化剤として含むナプキンが開示されている。特許文献3にはポリプロピレンオキシド及びポリエチレンオキシドを含むトリブロックポリマー又はポリカチオンを流体処理材として含むパーソナルケア吸収性物品が提案されている。
また、本出願人は、先に、水溶性の金属化合物を含む血液凝固剤を、吸収性コアに含有した吸収性物品を提案した(特許文献4参照)。
特公昭38−17449号公報 特開昭57−153648号公報 特表2002−528232号公報 特開2005−287997号公報
しかし、特許文献1及び4では、血液凝固剤として水溶性の金属化合物を用いる以外、流体処理剤の吸収性物品における塗布状態についての開示がない。吸収性物品の肌対向面を形成する表面シートや表面シートの隣接する吸収体の表面等に血液凝固剤を配した場合、赤血球の凝集塊が、表面シートの肌対向面側の表面に生じたり該表面に移動したりして、着用者の肌に付着する恐れがあった。赤血球の凝集塊は、粘度が高く、強くべたつくため、着用者の肌に付着すると着用感の悪化や排泄部周辺の皮膚トラブルにつながる。一方、特許文献2及び特許文献3に記載の吸収性物品は、赤血球成分を凝集させることはできるが、継続して排出される経血が、初期で形成された凝集塊によって後期の経血吸収を妨げられてしまう可能性が高く、また、ポリカチオンを含む流体処理剤を使用しうることは記載しているものの、実際にはノニオン系の処理材でのデータしか開示されていない。また、これら技術では、吸収性物品の排泄スポット部zに対向する部分での血球凝集物による通液性の低下により、血液の吸収体への吸収が妨げられ、血液を吸収するのに時間が掛かり、継続的に当該メカニズムによる血液の吸収を保障することは難しく、使用時に血液が肌側へ戻る、いわゆる液戻りの点でも不利なものであった。
本発明の課題は、従来技術が有する解決課題を解決し得る吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に配されている吸収体を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する経血吸収用の吸収性物品であって、前記表面シートは、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなり、前記表面シートの非肌対向面よりも前記裏面シートに近い位置に配された下方部材に血球凝集剤が含まれている、吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品によれば、経血に血球凝集剤が接触して生じた赤血球の凝集塊が、肌に付着しにくく、経血の吸収性能及び装着感に優れている。
図1は、本発明の吸収性物品の実施形態である生理用ナプキンを肌対向面側から視た平面図である。 図2は、図1のII−II線模式断面図である。 図3は、本発明の実施形態である生理用ナプキンの表面シートとして使用した凹凸不織布を示す斜視図である。 図4は、図3のIV−IV線模式断面図である。 図5は、本発明の実施形態である生理用ナプキンの表面シートとして使用し得る他の凹凸不織布を示す斜視図である。 図6は、図5のVI−VI線模式断面図である。
以下、本発明の経血吸収用の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しつつ説明する。経血吸収用の吸収性物品は、生理用品に含まれる。
本発明の吸収性物品は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に配されている吸収体を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向X及び該縦方向に直交する横方向Yを有する経血吸収用の吸収性物品であり、好ましくは、生理用ナプキンである。
本発明の実施形態の生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう。)は、図1及び図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配されている液保持性の吸収体4を備えている。表面シート2、吸収体4及び裏面シート3は、一体化されて吸収性本体5を構成している。吸収性本体5の長手方向両側部の表面シート2側には、サイド防漏シート6が配されている。サイド防漏シート6は、表面シート2に接合されていない自由端61と、表面シート2に接合された固定端62とを有しており、使用時には、固定端62と自由端61との間が表面シート2から離間し、側方への横漏れを防止する防漏ポケット(図示せず)を形成する。吸収性本体5の非肌対向面にはショーツのクロッチ部への固定に用いられる本体粘着部(図示略)が設けられている。また、ナプキン1は、縦方向Xにおける両側部に、一対のウイング部7を有している。一対のウイング部7の裏面シート3側の面には、ショーツのクロッチ部の非肌対向面への固定に用いられるウイング部粘着部(図示略)が設けられている。
図1に示すように、ナプキン1は着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有している。またナプキン1は、縦方向Xに関して、幅方向(横方向)Y中央部に膣口等の着用者の液排泄部に対向配置される排泄スポット部Pを有する排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有している。即ち、ナプキン1は、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cにこの順番に区分される。
本発明の吸収性物品において、肌対向面は、ナプキン1又はその構成部材(例えば表面シート2,吸収性コア41)における、ナプキン1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、ナプキン1又はその構成部材における、ナプキン1の着用時に肌側とは反対側(通常着衣側)に向けられる面である。排泄スポット部Pとは、ナプキン1等の吸収性物品の着用時に、着用者の液排泄部に対向配置され、経血が直接的に供給される部位であり、通常、前述した排泄部対向部Bの縦方向X及び幅方向Yの中央部に位置している。
本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態のナプキン1のように所謂ウイング部を有する場合には、吸収性物品の縦方向Xにおいてウイング部を有する領域(一方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、吸収性物品がウイング部を有しない場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
ナプキン1においては、表面シート2は吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、裏面シート3は吸収体4の非肌対向面の全域を被覆している。表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の縦方向Xの両端縁からの延出部分が互いに接合されている。また裏面シート3及びサイド防漏シート6は、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出した部分が互いに接合されている。このようにして、吸収体4が表面シート2と裏面シート3とで挟持され、表面シート2及び裏面シート3がナプキン1の外縁部全周で接合されている。ナプキン1を構成するシート間の接合には、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の任意の接合手段が用いられる。
本発明の吸収性物品は、表面シートとして、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなる表面シートを有している。本実施形態のナプキン1は、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなる表面シートとして、以下(1)に記載の凹凸不織布からなる表面シートを具備している。
(1)凹凸の凸部の内部が中実であり、平面視において凸部が散点状に配置されている凹凸不織布。
前記(1)の凹凸不織布としては、図3及び図4に示される凹凸不織布10や、熱伸長繊維を用いて形成された凹凸不織布が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図3及び図4に示す凹凸不織布10は、熱収縮した熱収縮性繊維を含む下層繊維層22と、非熱収縮性繊維からなる上層繊維層23とを有しており、両繊維層22,23は、多数の熱融着部24において部分的に熱融着されて厚さ方向に一体化されている。熱融着部24は、表面シート2の平面方向に散点状に形成されている。凹凸不織布10は、その製造の際に、熱収縮性繊維を含む下層繊維層22と、非熱収縮性繊維からなるか、熱収縮性繊維の含有割合が下層繊維層22よりも少ない上層繊維層23とを積層し、それらをヒートシール、超音波シール等により部分的に熱融着させた後、その積層体に熱風処理を施し、4つの熱融着部24に囲まれた領域内の下層繊維層22を熱収縮させ上層繊維層23を肌対向面側に突出させて多数の凸部25を形成したものである。
凹凸不織布10又はそれが組み込まれた吸収性物品の平面視において、凸部25、及び熱融着部24を中心に有する凹部26は、それぞれ散点状に形成され、より具体的には、それぞれ千鳥状に形成されている。個々の凸部25の内部は、図4に示すように中実である。また、凹凸不織布10は上層繊維層23側の面が凹凸形状を有する一方、吸収体側に向けられる下層繊維層22側の面は平坦であるか、上層繊維層23側の面に比して凹凸の高低差が半分未満である。凹凸不織布10は、凹凸形状を有する上層繊維層23側を、肌対向面側、下層繊維層22側を吸収体4側に向けてナプキン1等の吸収性物品に組み込まれる。
下層繊維層22を収縮させる熱収縮性繊維としては、公知のものを特に制限無く用いることができ、潜在捲縮性繊維を用いることがより好ましい。潜在捲縮性繊維は、熱処理により螺旋状の捲縮を発現して収縮するものであり、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイドバイサイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号明細書に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料の例としては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体(EP)とポリプロピレン(PP)との組合せが好適に挙げられる。下層繊維層22は熱収縮性繊維100%から構成されていてもよく、他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維が含まれる場合、熱収縮性繊維の量は、下層繊維層22の質量に対して50質量%以上、特に70〜90質量%であることが好ましい。上層繊維層23に含まれる非熱収縮性繊維としては、熱収縮性を示さない繊維、及び熱収縮性は示すが、下層繊維層に含まれる熱収縮性繊維の熱収縮開始温度以下では実質的に熱収縮しない繊維が挙げられる。また上層繊維層23には、下層繊維層22に含まれる熱収縮性繊維の熱収縮開始温度TSより高い融点TMを有する熱融着樹脂を含む熱融着繊維が含まれていることが好ましい。熱融着繊維は、該熱融着樹脂の質量基準で上層繊維層23の質量に対して好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含まれている。最も好ましくは、上層繊維層23を構成する非熱収縮性繊維は、前記熱融着繊維100質量%からなる。
凹凸不織布10においては、下層繊維層22が熱収縮して密度が増大している一方、下層繊維層22の熱収縮により上層繊維層23が凸部25を形成し、それに伴って上層繊維層23の密度はむしろ減少する傾向にある。そのため、図4に示すように、表面シート2の平面方向において上層繊維層23の繊維密度を比較したとき、凹部26近辺の繊維密度が最も高く、凸部の頂部25tの繊維密度よりも高くなっている。凹部26近辺とは、熱融着部24又はその近傍である。
図5及び図6に示す凹凸不織布10Aは、熱伸長繊維を用いて形成された凹凸不織布の一例であり、表面シートとして好ましく用いられる凹凸不織布である。
図5及び図6には、凹凸不織布10Aの肌対向面10aには、ナプキン1の縦方向X及び横方向Yそれぞれに交差する方向に延びる窪み部12が斜め格子状に形成されており、窪み部12によって凹凸不織布10Aが多数の領域に区画化されて、多数の区画領域13が形成されている。
凹凸不織布10Aは例えば単層構造又は多層構造の不織布などの繊維シートからなり、好ましくは親水化剤で処理されている。凹凸不織布10Aの肌対向面10aは、図5に示すように、斜め格子状に形成された窪み部12及び該窪み部12で囲まれた領域に形成された多数の凸部11を有する凹凸形状を有している。凹凸不織布10Aの非肌対向面10bは、凹凸形状を実質的に有しておらず、略平坦となっている。凹凸不織布10Aにおいては、窪み部12が凹部である。
窪み部12は、繊維シートの構成繊維が圧着又は接着されて形成されている。繊維を圧着する手段としては、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、超音波圧搾加工等のエンボス加工等が挙げられる。その結果、凹凸不織布10Aにおいては、窪み部12の密度が凸部11の密度よりも高くなっている。つまり、窪み部12は、凹凸不織布10Aにおいて相対的に密度の高い高密度部であり、凸部11は、凹凸不織布10Aにおいて相対的に密度の低い低密度部である。凹凸不織布10Aにおける窪み部12は、例えば、カード法によって形成した繊維ウエブに熱エンボス加工を施して形成されており、構成繊維である熱融着性繊維が熱融着により一体化している。
図5及び図6に示す凹凸不織布10Aは,窪み部12として、互いに平行に且つ所定の間隔で形成された多数本の第1線状の窪み部12aと、互いに平行に且つ所定の間隔で形成された多数本の第2線状の窪み部12bとを有しており、第1線状の窪み部12aと第2線状の窪み部12bとが所定の角度をなして互いに交差している。第1線状の窪み部12a及び第2線状の窪み部12bは、いずれも、縦方向X及び横方向Yそれぞれに交差する方向に直線状に延びている。第1線状の窪み部12aの幅と第2線状の窪み部12bの幅は同じであっても良く、あるいは異なっていても良い。第1線状の窪み部12aどうし間の間隔と第2線状の窪み部12bどうし間の間隔も、同じであっても良く、あるいは異なっていても良い。
個々の区画領域13は、それぞれ周囲を線状の窪み部12に囲まれた領域であり、好ましくは四角形状、より好ましくは正方形又は菱形形状である。個々の区画領域13の面積は、例えば0.25cm2以上2cm2以下であることが好ましい。区画領域13は、菱形形状である場合、平面視において縦方向Xよりも横方向Yに長い菱形形状とすることができ、あるいは横方向Yよりも縦方向Xに長い菱形形状とすることもできる。
各区画領域13には、該区画領域13を囲む窪み部12に対して相対的に隆起する凸部11が形成されている。凸部11は、その内部が凹凸不織布10Aの構成繊維で満たされており、中実構造を有している。区画領域13及び凸部11が、窪み部10によって包囲され、平面視において閉じた形状をしていることにより、区画領域13及び凸部11が窪み部1によって包囲されていない場合に比して、不織布や繊維ウエブの厚み方向に向かって伸張しやすくなり高低差の大きい凸部11が形成される。
窪み部12は平面視において線状であることが好ましい。ここで、「線状」とは、図5に示すような直線に限られず、曲線を含み、各線は、連続線でも良く、あるいは平面視において長方形、正方形、菱形、円形、十字等の多数の凹部(エンボス部、高密度部)が実質的に間隔を置かずに連なって全体として連続線を形成していても良い。「実質的に間隔を置かずに」とは、凹部の隣り合う間隔が5mm以内であることを言う。
凹凸不織布10,10Aは、ナプキン1の縦方向Xに沿う凸部25又は凸部11の幅W11が、好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.8mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下、更に好ましくは8.0mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以上8.0mm以下である。
また、凹凸不織布10,10Aは、凹部26又は窪み部12の幅W12が、好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.4mm以上であり、また、好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.0mm以下であり、また、好ましくは0.2mm以上3.0mm以下、更に好ましくは0.4mm以上2.0mm以下である。また、凹凸不織布10,10Aは、平面視において凸部25又は凸部11間の距離L11が好ましくは0.5mm以上であり、更に好ましくは0.8mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下であり、更に好ましくは8.0mm以下であり、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以上8.0mm以下である。凹凸不織布10,10Aの凸部25,11の幅W11、凹部26又は窪み部12の幅W12、凸部25,11間の距離L11をこの範囲とすることで、使用時の液体吸収速度や吸収量が向上する一方、吸収体からの液戻りを抑えるなどの吸収性能に優れる。更に吸収性物品と使用者の肌との間の通気性の向上や適度なクッション性を実現することができる。
凹凸不織布10,10Aの厚みについては、凹凸不織布10,10Aを側面視したときの、凸部25又は凸部11の厚みT11が、好ましくは、1.0mm以上、更に好ましくは、1.5mm以上であり、また、好ましくは、7.0mm以下、更に好ましくは、5.0mm以下であり、また、好ましくは、1.0mm以上7.0mm以下、更に好ましくは、1.5mm以上5.0mm以下である。また、凹凸不織布10,10Aは、凹部26又は窪み部12の厚みT12が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.4mm以上であり、また、好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.0mm以下であり、また、好ましくは0.2mm以上3.0mm以下、更に好ましくは0.4mm以上2.0mm以下である。凹凸不織布10,10Aの厚みをこの範囲とすることにより、使用時の体液吸収速度が一層速く、吸収量も向上する一方、吸収体からの液戻りを抑えるなどの吸収性能に優れる。更に、適度なクッション性を実現することができる。
前述した凹凸不織布10Aは、構成繊維に熱伸長繊維を含む単層又は多層の原料シートに窪み部12を形成した後、熱処理により熱伸長繊維を伸長させて得られたものである。熱伸長繊維を用いて形成された凹凸不織布としては、特開2010−150686号公報に記載のものを用いることもできる。
熱伸長性繊維を含む肌対向面側の上層と、熱伸長繊維を含まないか、上層よりも低い割合で含む非肌対向面側の下層とを有し、これらをヒートシール、超音波シール等の公知の接合方法により部分的に接合した後、その積層体に対して熱風処理を施し、上層に含まれる熱伸長性繊維を熱伸長させることによって凸部を形成したものを用いることもできる。このような構造の凹凸不織布としては、特開2010−115479号公報、特開2010−148730号公報に記載のもの等を挙げることができる。
特開2010−115479号公報に記載のものは、肌対向面側に上層、非肌対向面側に下層を有する2層構成の表面シートであり、前記上層は、熱伸長性繊維を用いて形成され、該熱伸長性繊維どうしの交点が接合された繊維接合部を有し、前記下層は、熱伸長性繊維を含まないか又は熱伸長性繊維を上層より低い割合で含み、前記上層の肌対向面側が凹凸形状をなしている。さらに、前記上層と前記下層との界面は、互いに接合された固着部と、該上層と該下層とが剥離可能に積層された非固着部とを有していることが大きな空隙形成による液通過性を高める効果を有する点から好ましい。
また、表面シート10内の液が残りにくくする観点から、凹凸不織布10は、繊維の伸長後における前記上層を構成する繊維の平均径と前記下層を構成する繊維の平均径が略同一であるか、又は前記上層を構成する繊維の平均径よりも前記下層を構成する繊維の平均径が大きいことが好ましい。凹凸不織布10の構成繊維、特に上層に含まれる熱伸長繊維の平均繊維径は、10μm以上30μm以下であることが好ましい。さらに、前記上層の繊維間距離が、前記下層の繊維間距離よりも大きいことが好ましい。繊維の平均径が略同一であるとは、下記方法により測定した平均繊維径を比較したときに、上層を構成する繊維の平均径と、下層を構成する繊維の平均径との比(前者/後者)が、0.9〜1.1であることをいう。
<構成繊維の平均径の測定方法>
構成繊維の平均径は、繊維の断面形状により異なる2通りの方法のいずれかにより計測した。計測には、日本電子株式会社製「キャリースコープJCM−5100」を使用した。
まず、構成繊維の断面輪郭形状を500〜1000倍の倍率にて確認した。この際、繊維の断面輪郭だけでなく、芯鞘構造繊維/単繊維、芯成分/鞘成分面積比率、繊維の(太さ・形状等により区別される)種類を把握する。(断面は異なる5〜10ヶ所を測定する)
第1の方法は、断面が円形の繊維のみで形成されている場合の計測方法であり、上層及び下層各々5ヶ所の200〜500倍の平面拡大画像より、繊維融着部を除く任意の20本の繊維の太さを計測し平均して「構成繊維の平均径」を得る。
第2の方法は、繊維の断面が円形ではない繊維が含まれている場合の計測方法であり、繊維の断面輪郭形状を計測するための500〜1000倍の倍率の拡大画像を使用し、繊維を略90度で切断した一本の繊維の断面の面積を画像解析装置等の面積を算出できる手段により算出し、その面積を円に見立てて直径を繊維の径とする。このような一本の繊維の断面の観察結果が50本となるまで、電子顕微鏡による画像観察をおこない、50本の平均値を「構成繊維の平均径」とする。
繊維の断面の面積を計測する画像解析装置としては、例えばNEXUS社製の画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.20)を使用できる。
繊維間距離(繊維と繊維との隙間)は、下記方法で測定した繊維間距離を比較したときに、前記上層の繊維間距離と、前記下層の繊維間距離との差(前者−後者)が、0μm以上であることが液の移動の観点から好ましく、0μm以上50μm以下であることが表面シートの強度と肌触りの観点より好ましい。
<繊維間距離の測定方法>
下記Wrotnowskiの式により求めた。

ここで、繊維の充填密度及び繊度(デニール)は以下のように計測する。
繊維の充填密度の計測は、以下の手順でおこなう。
表面シートの表面側の平面画像より線状エンボスの面積率を算出する。算出に当たっては線状エンボスが20ヶ所程度を一度に計測することが好ましい。次いで、縦方向及び横方向の長さと、重量を計測した矩形状の表面シートの重量を計測する。表面シートの重量と、縦方向と横方向の長さより坪量(g/m2)を算出する。算出に当たっては、線状エンボスの面積の因子を補正する。縦方向及び横方向の長さを乗じて得られる表面シートの面積から線状エンボスの面積を算出し、表面シートの重量における線状エンボス部分を算出して、上層の坪量算出時には表面シートの面積から線状エンボス部分を差し引いた面積を使用し、面積を使用する。)次いで、表面シートの断面積を計測する。計測には、電子顕微鏡を使用することが好ましいが、キーエンス製デジタルハイスコープVH8000のような光学式の装置を使用してもかまわない。拡大画像は線状エンボス部分から凸部の頂部が含まれたものであり、凸部が異なる高さを有する場合は、各々の断面画像について観察する。充填密度の算出には坪量(g/m2)を高さ(m)で除することで得られるが、本発明のように線状エンボス部分から凸部まで実質的な坪量が同じで高さが変化する場合には、表面シートの断面面積から平均高さを算出し、この平均高さを算出時の「高さ」として「繊維の充填密度」を得る。断面面積は、線状エンボス部分を除く部分について、画像解析装置により計測し、断面面積から線状エンボス部分を除く線状エンボス部分間の長さを除することで得る。
繊度(デニール)は、表面シートの繊維がそれぞれ1種類の繊維からなっている場合には、DSCにより繊維に使用されている樹脂を特定し、比重(実質的に密度)と繊維の断面積より繊維の長さが9000mのときの重量がデニールとなる。芯鞘構造のような複合繊維では、鞘成分が融着成分であるので、同様にDSCを使用して樹脂の特定をおこない、拡大観察時の断面から平均比重を算出して求める。複数の繊維が用いられている場合には、平均径計測における方法2より繊維の配合比率より平均比重を算出する。(本発明では、高密度ポリエチレンの比重を0.94、ポリプロピレン0.96、ポリエステル1.36としている)
ナプキン1は、肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなる表面シートとして、以下(2)〜(4)に記載の凹凸不織布からなる表面シートを用いることもできる。
(2)吸収性物品の縦方向Xに延びる複数の畝部と吸収性物品の横方向Yにおいて隣り合う前記畝部間に存する溝部とを有する畝溝構造を有している凹凸不織布。
(3)肌対向面側に凹凸を有し、非肌対向面側にも凹凸を有している凹凸不織布。好ましくは、肌対向面側の凸部の裏側が非肌対向面側の凹部、肌対向面側の凹部の裏側が非肌対向面側の凸部となっている凹凸不織布。
(4)第1不織布と第2不織布とが部分的に融着等により接合されて接合部が形成されており、第1不織布が、該接合部に囲まれた非接合部において第2不織布から離れる方向に突出して、内部が中空の凸部を多数形成している凹凸不織布。
前記(2)の凹凸不織布としては、特開2009−215667号公報に記載の凹凸不織布のように、内部が中実な畝部を有するものが挙げられるが、前記(2)の凹凸不織布は、これらに制限されるものではない。特開平10−80445号公報、特開平8−302555号公報等に記載の凹凸不織布のように、縦方向に延びる畝部に直交する断面形状が、肌対向面側の面及び非肌対向面側の面のいずれについても連続波形形状を有するもの等が挙げられる。
〔畝部及び溝部の厚みの測定方法〕
畝部及び溝部の厚みや高低差は、マイクロスコープVH−8000(キーエンス社製)を用い、凹凸不織布10の断面を50〜200倍に拡大観察して測定する。断面はフェザー剃刀(品番FAS−10、フェザー安全剃刀(株)社製)を用い、凹凸不織布10の断面を切断して得ることができる。
前記(3)の凹凸不織布としては、縦方向に延びる畝部に直交する断面形状が、肌対向面側の面及び非肌対向面側の面のいずれについても連続波形形状を有する凹凸不織布等が挙げられる。しかしながら、前記(3)の凹凸不織布は、これらに制限されるものではない。
前記(4)の凹凸不織布としては、特開2004−174234号公報、特開2015−142721号公報、特開2015−112116号公報に記載の立体シート等が挙げられる。しかしながら、前記(4)の凹凸不織布は、これらに制限されるものではない。
ナプキン1における吸収体4は、図2に示すように、パルプ繊維を含む吸収性コア41と該吸収性コア41を被覆するコアラップシート42とを有している。図2に示すコアラップシート42は、吸収性コア41の肌対向面側を被覆する上側部分42aと、吸収性コア41の非肌対向面側に巻き下げられて、該吸収性コア41の非肌対向面側を被覆する下側部分42bとを有している。また、コアラップシート42は、下側部分42bにシートどうしの重なり部42cを有している。吸収性コア41を被覆するコアラップシートは、一枚のシートで吸収性コア41の全体を包んでいても良いし、2枚以上のシートで吸収性コア41の全体を包んでいても良い。例えば、吸収性コア41の肌対向面側と非肌対向面側とが別々のシートで被覆されていても良い。吸収性コア41の被覆に使用されているシートの枚数に拘わらずに、吸収性コア41の肌対向面側を被覆しているコアラップシートを肌側コアラップシート42a、吸収性コア41の非肌対向面側を被覆する部分を非肌側コアラップシート42bともいう。
ナプキン1においては、図2に示すように、コアラップシート42における、吸収性コア41の肌対向面側を被覆する上側部分(肌側コアラップシート)42aの全域が、血球凝集剤を含む凝集剤配置部9となっている。肌側コアラップシート42aは、ナプキン1の厚み方向において、表面シート2よりも裏面シート3に近い位置に配されている下方部材の一つである。即ちナプキン1においては、吸収性コア41の肌対向面を覆う肌側コアラップシート42aが、血球凝集剤が含まれている下方部材(凝集剤配置部9)である。ナプキン1は、下方部材として、肌側コアラップシート42a、吸収性コア41及び非肌側コアラップシート42bを有している。血球凝集剤を含む凝集剤配置部9は、吸収性物品の厚み方向において表面シート2に隣接する下方部材である肌側コアラップシート42aに少なくとも形成されていることが好ましい。血球凝集剤を含む凝集剤配置部9は、肌側コアラップシート42aのみに形成されていても良いが、肌側コアラップシート42a及び吸収性コア41に形成されていても良く、更に肌側コアラップシート42a、吸収性コア41及び非肌側コアラップシート42bに亘るように形成されていても良い。また、血球凝集剤を含有させる下方部材は、肌側コアラップシート以外の部材、例えば吸収性コア又は非肌側コアラップシートであっても良く、また、血球凝集剤を2つ以上の下方部材に含有させても良い。例えば、肌側コアラップシート、吸収性コア及び非肌側コアラップシートのうちの任意の2つ以上に亘るように血球凝集剤を配することができ、また、肌側コアラップシート、吸収性コア及び非肌側コアラップシートの全部に亘るように血球凝集剤を配することもできる。また、血球凝集剤を含む凝集剤配置部9は、吸収体4の構成や、表面シート2と吸収体4の間にセカンドシートがあるか否かによらず、表面シート2の非肌対向面に隣接する部材から裏面シート3の肌対向面に隣接する部材に至る全ての下方部材に亘っていても良い。
コアラップシートは、単独では保形性が不十分な吸収性コアの保形性を高めたり、吸収性コアの構成材料の漏れだしを防止する目的で使用されるものであり、薄紙や不織布等の繊維シートが使用されている。
本実施形態のナプキン1のコアラップシート42の基材シートを構成するセルロース系繊維としては、木材パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース繊維等が挙げられる。セルロース系繊維の原料パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の非木材パルプが挙げられる。これらのセルロース系繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また強度向上の観点から、非セルロース系繊維を少量混合することもできる。非セルロース系繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等の縮合系繊維等が挙げられる。薄紙の構成繊維中、セルロース系繊維の割合は、好ましくは70質量%以上100質量%以下、より好ましくは90質量%以上100質量%以下、更に好ましくは100質量%である。
コアラップシートとして用いる不織布は、各種製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、高速水流処理により繊維ウエブの構成繊維同士を交絡させて得られる不織布であるスパンレース不織布、熱風処理により繊維ウエブの構成繊維同士を熱融着させて得られる不織布であるエアスルー不織布、接着剤で繊維ウエブの構成繊維同士を接着させて得られる不織布であるレジンボンド不織布等が挙げられる。スパンレース不織布やエアスルー不織布、レジンボンド不織布の繊維ウエブは、カード機や空気中で繊維を積繊してなるエアレイド法等によって製造することができる。
不織布の原料繊維は、木材パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等のセルロース系の親水性繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等の合成樹脂からなる合成繊維が挙げられる。合成繊維は、芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維を用いることもできる。これらの中でも、薄紙を用いるのと同様の理由から、不織布製法を採った場合も原料繊維がセルロース系繊維であるものが好ましい。不織布の構成繊維中、セルロース系繊維の割合は、好ましくは70質量%以上100質量%以下、より好ましくは90質量%以上100質量%以下、更に好ましくは100質量%である。不織布の原料繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のナプキン1の吸収性コア41は、パルプ繊維と高吸収性ポリマーとの混合積繊体からなる。混合積繊体は、周面に集積用凹部を有する積繊ドラムを備えた公知のドラム式積繊装置により製造されたものであり、集積用凹部の底面から吸引しつつ、積繊ドラムの周面に、吸収性コアの形成材料としてのパルプ繊維及び高吸収性ポリマーを飛散状態にて供給し、吸収性コアの形成材料を集積用凹部内に堆積させた後、集積用凹部から離型して得られるものである。本実施形態のナプキン1の吸収性コア41は、高吸収性ポリマーを含まないパルプ繊維の単独積繊体であっても良い。
吸収性コア41を構成するパルプ繊維としては、木材パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース等のセルロース系の親水性繊維が挙げられる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。パルプ繊維の原料パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の非木材パルプが挙げられる。また強度向上の観点から、吸収性コア41には、セルロース系の親水性繊維からなるパルプ繊維の他に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等の縮合系繊維等の合成繊維を少量混ぜても良い。なお、本発明における吸収性コアは、パルプ繊維(セルロース系繊維)、特に木材パルプ繊維の割合が、好ましくは70質量%以上100質量%以下、より好ましくは90質量%以上100質量%以下、更に好ましくは100質量%である。
高吸収性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。高吸収性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸又はメタクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合物も用いることができる。吸収性コア41が高吸水性ポリマーを含有することで、吸収性コア41はより安定的に大量の血液などの排泄液を素早く吸収し、保持することができる。また、吸収性コア41には、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて配合しても良い。吸収性コア41における消臭剤及び抗菌剤の配合量には特に制限はなく、当該技術分野で通常配合されている量とすればよい。
コアラップシート42等のナプキンの構成部材にカチオン性ポリマーを含む血球凝集剤を含有させて凝集剤配置部を形成する方法としては、その構成部材に血球凝集剤を保持させ得る限り特に制限されないが、例えば、血球凝集剤を、水、エタノール等の適宜の溶媒に溶解させ、粘度等の諸物性を適宜調整した溶液とし、該溶液をコアラップシート42に付着又は浸漬させた後、コアラップシート42を乾燥して溶媒を除去することが、コアラップシート42の空孔部に血球凝集剤を埋めた状態に保持されやすい観点から好ましい。血球凝集剤を含む溶液をコアラップシート42に付着させる方法としては、コアラップシート42の所定箇所への溶液の滴下、各種の塗工方法を採用することができる。例えば、スプレー法、ディッピング法、転写法、ダイ塗工、グラビア塗工、インクジェット法、スクリーン印刷等の公知の液体塗工装置を用いたコアラップシート42の所定箇所への液体の塗工等が挙げられる。これらの中でも、スプレー塗工法が、粘度等の諸物性を適宜調整した血球凝集剤を含む溶液を、スプレー用ノズルの形状、その塗布量等を適宜調整することで、効率的に空孔を埋める状態に保持できる点から好ましい。また、乾燥は、加熱による乾燥、減圧による乾燥、加熱と減圧とを組み合わせた乾燥の何れでも良いが、これらの強制乾燥に代えて自然乾燥でも良い。加熱による乾燥、基材シートの空孔部を埋めた状態に固定する観点から、血球凝集剤や基材シートが損傷しない範囲において、より高温に加熱し、溶媒を急激に除去することにより乾燥することが、より好ましい。
本実施形態の生理用ナプキンは、通常の生理用ナプキンと同様に、ショーツのクロッチ部等に固定して使用される。
ナプキン1は、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布10からなり、肌側コアラップシート42a等の下方部材に血球凝集剤が含まれているため、表面シート2上に排泄された経血が、表面シート2を通過して下方部材に達すると、その経血に血球凝集剤が接触して、赤血球の凝集塊を生じる。表面シートが、フラットな不織布からなる場合、この凝集塊が、表面シート内や表面シートの近傍に生じると、着用中に加わる体圧により表面シートが加圧されたときに、その凝集塊が、表面シートの肌に接する表面に移動し、着用者の肌に付着しやすいが、ナプキン1においては、表面シート2が、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布10からなることから、着用中に体圧等により表面シートに圧力が加えられても凸部が優先的に潰れる一方、経血は表面シート2の凸部の側面部や凹部を通過し、表面シート2の非肌対向面よりも前記裏面シートに近い位置に配された血球凝集剤と反応することで、赤血球の凝集塊は、表面シートの凹部や表面シート2の下層よりも前記裏面シート側に優先的に形成されるため、着用者の肌に赤血球の凝集塊が接触してべたつきなどの不快感を生じることが効果的に防止される。
特に、本実施形態のように、表面シート2が、肌対向面側に内部が中実の凸部を有するものであると、高い装着圧時に繊維密度が高くなり、また、凸部がつぶれることなく形状が維持されるため、排泄された経血の吸収速度が速くなるので好ましい。更に、高い装着圧時に、繊維間空孔が小さくなるため、生成された赤血球の凝集塊が中実底部で繊維に引っ掛りやすくなり、表面シートの表面までは移動しにくいため、赤血球の凝集塊が着用者の肌に付着してべたつきを生じることが一層効果的に防止される。
また、本実施形態のように、表面シート2が、肌対向面側の凹凸の凹部近辺の繊維密度が、凸部の頂部の繊維密度より高いものであると、凸部よりも凹部の毛管力が大きくなる。そのため、赤血球の凝集塊が表面シートの表面までは移動しにくくなり、赤血球の凝集塊が着用者の肌に付着してべたつきを生じることが一層効果的に防止される。凹部近辺の繊維密度及び凸部の頂部の繊維密度は、それぞれ以下のようにして測定される。
<繊維密度の測定方法>
表面シート2の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率に調整;150〜500倍)し、一定面積当たり(0.5mm2程度)の前記切断面によって切断されている繊維の断面数を数える。次に1mm2当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度とする。測定は3箇所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とする。走査電子顕微鏡には、例えば、日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いることができる。
また、本実施形態のように、表面シート2が、肌対向面側に配された上層と該上層よりも非肌対向面側に配された下層とを有し、前記下層の繊維密度が前記上層の繊維密度よりも高いものであると、前記上層よりも前記下層の毛管力が大きくなる。そのため、排泄された経血の吸収速度が速くなり、更に下方部材で生成された赤血球の凝集塊が表面シートの表面までは移動しにくくなるめ、赤血球の凝集塊が着用者の肌に付着してべたつきを生じることが一層効果的に防止される。
また、本実施形態の生理用ナプキンのように、表面シート2が、平面視において凸部が独立して散点状に配置されている凹凸不織布10からなると、表面シート2に加わる圧力が平面方向に伝播し難い。さらに平面方向における広い面積において、経血が下層側に引き込まれるため吸収速度が速まり、下層側で生成された赤血球の凝集塊が表面シート2の表面に戻ることが防止される。経血は表面シート2の凸部の側面部や凹部を通過し、表面シート2の非肌対向面よりも裏面シート3に近い位置に配された血球凝集剤と反応することで、赤血球の凝集塊は、凹部や表面シート2の非肌対向面よりも前記裏面シート側に優先的に形成されるため、着用者の肌に赤血球の凝集塊が接触してべたつきなどの不快感を生じることが効果的に防止される。
図1及び図2に示すナプキン1は、図1に示すように、ナプキン1の肌対向面における縦方向中央線CLの両側に、縦方向Xに延びる側方防漏溝81,81を有している。
一対の側方防漏溝81のそれぞれは、横方向Yにおける排泄スポット部Pを挟む両側それぞれにおいて、ナプキン1の縦方向Xに延びている。一対の側方防漏溝81,81は、少なくとも排泄部対向部Bにおける、排泄スポット部Pを挟む両側それぞれにおいて、縦方向Xに延びていることが好ましい。側方防漏溝81は、排泄部対向部Bから前方部A又は後方部Bに亘って延在していることが好ましく、図1に示すように、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cに亘って延在していることがより好ましい。
また、一対の側方防漏溝81,81は、排泄スポット部Pより前方側を通る前方防漏溝82により、前方部A側の端部どうしが連結されていることが好ましく、また、排泄スポット部Pより後方側を通る後方防漏溝83により、後方部C側の端部どうしが連結されていることが好ましい。
一対の側方防漏溝81のそれぞれは、排泄スポット部を挟んで横方向Yの両側に位置する部分に、横方向Yの外方に向かって凸状に湾曲した平面視形状を有する中央円弧状部81bを有しており、縦方向Xにおける中央円弧状部81bの前後に、それぞれ横方向Yの外方に向かって凸状に湾曲した平面視形状を有する前方円弧状部81a及び後方円弧状部81cを有している。一対の側方防漏溝81のそれぞれは、横方向Yの外方に向かって凸に湾曲した前記の3つの円弧状部81a,81b,81cが、縦方向Xに3つ連なった平面視形状を有しており、中央円弧状部81bと前方円弧状部81aとの接続部及び中央円弧状部81bと後方円弧状部81cとの接続部は、一対の側方防漏溝81の距離が狭まった括れ部となっている。
側方防漏溝81、前方防漏溝82及び後方防漏溝83のいずれにおいても、吸収体4の肌対向面側が、表面シート2とともに溝状に陥没しており、吸収体4は、防漏溝81,82,83が形成されている部位が、それぞれ、該吸収体4における、該防漏溝81,82,83を挟んでその両側に位置する部分に比して圧密化している。環状防漏溝8は、例えば、表面シート2と吸収体4とを重ねたものに対して、裏面シート3に向って、一体に加圧、又は加熱及び加圧を伴うエンボス加工を施すことにより形成することができる。防漏溝8の主たる役割は、ナプキン1の平面方向の液の拡散抑制である。
また、表面シート2として用いる凹凸不織布は、厚み方向又は平面方向における全体又は一部が親水性であることが好ましい。特に防漏溝81、82、83を形成している部位が親水性であることが好ましい。防漏溝81、82、83を形成している部位の表面シート2が親水性であると、親水性である経血が吸収体内を効率よく拡散する事ができる。
表面シート2の全体又は一部を親水性とする方法としては、表面シート2として、木材パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース繊維等のセルロース系繊維を主たる構成繊維とする不織布や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル、ポリアミド等の縮合系繊維等の合成繊維を親水性油剤で親水化した繊維を主たる構成繊維とする不織布等を用いる方法が挙げられる。
本発明の血球凝集性繊維に用いられる血球凝集剤としては、血液中の赤血球を凝集させ得る作用を有するものが用いられる。血球凝集剤によって凝集した赤血球は凝集塊となる。血球凝集剤としてはカチオン性ポリマーが有用である。その理由は次のとおりである。赤血球はその表面に赤血球膜を有する。赤血球膜は、2層構造を有している。この2層構造は、下層である赤血球膜骨格と上層である脂質皮膜からなる。赤血球の表面に露出している脂質皮膜には、グリコホリンと呼ばれるタンパク質が含まれている。グリコホリンはその末端にシアル酸と呼ばれるアニオン電荷を帯びた糖が結合した糖鎖を有している。その結果、赤血球はアニオン電荷を帯びたコロイド粒子として扱うことができる。コロイド粒子の凝集には一般に凝集剤が用いられる。赤血球がアニオン性のコロイド粒子であることを考慮すると、凝集剤としてはカチオン性の物質を用いることが、赤血球の電気二重層を中和する点から有利である。また凝集剤が高分子鎖を有していると、赤血球の表面に吸着した凝集剤の高分子鎖どうしの絡み合いが生じやすくなり、そのことに起因して赤血球の凝集が促進される。更に、凝集剤が官能基を有している場合には、該官能基間の相互作用によっても赤血球の凝集が促進されるので好ましい。血球凝集剤(カチオン性ポリマー)によれば、以上の作用機序によって経血中に赤血球の凝集塊を生成することが可能になる。
本発明で用いられる好ましい血球凝集剤は、血液中の赤血球を凝集させて赤血球塊を形成するとともに血漿成分が分離されるよう作用するものが望ましい。特に好ましい血球凝集剤は、擬似血液に、測定サンプル剤を1000ppm添加した際に、血液の流動性が維持された状態で、少なくとも2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成する性質を有するものである。
前記の「血液の流動性が維持された状態」は、測定サンプルが1000ppm添加された擬似血液10gをスクリュー管瓶(マルエム社製 品番「スクリュー管No.4」、口内径14.5mm、胴径27mm、全長55mm)に入れ、該擬似血液を入れたスクリュー管瓶を180度反転した際に、5秒以内で80%以上の該擬似血液が流れ落ちる状態を意味する。擬似血液とは、B型粘度計(東機産業株式会社製 型番TVB−10M、測定条件:ローターNo.19、30rpm、25℃、60秒間)を用いて測定した粘度が8mPa・sになるように脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製)の血球・血漿比率を調製したものである。
前記の「2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成」しているか否かは、次のようにして判断される。すなわち、測定サンプルが1000ppm添加された前記擬似血液を、生理食塩水で4000倍に希釈し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製 型番:LA−950V2、測定条件:フロー式セル測定、循環速度1、超音波なし)を用いたレーザー回折散乱法によって、温度25℃にて測定した体積粒径平均のメジアン径が、2個以上の赤血球が凝集した凝集塊のサイズに相当する10μm以上である場合に、「2個以上の赤血球が凝集して凝集塊を形成」していると判断する。
本発明で用いられる血球凝集剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物若しくは前記の性質に当てはまる単一の化合物の複数の組み合わせ、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(赤血球の凝集を発現し得る)剤である。つまり血球凝集剤とは、あくまで前記定義によるところの赤血球凝集作用があるものに限定した剤のことである。したがって、血球凝集剤に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、それを血球凝集剤組成物と表現し、血球凝集剤と区別する。なお、ここでいう「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
本発明で用いる血球凝集剤としては、カチオン性ポリマーが好適なものとして挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン化セルロースや、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン等のカチオン化デンプンなどが挙げられる。また、本発明で用いられる血球凝集剤は、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含むこともできる。本発明において「第4級アンモニウム塩」とは、窒素原子の位置にプラス一価の電荷を有している化合物、又は中和によって窒素原子の位置にプラス一価の電荷を生じさせる化合物を包含し、その具体例としては、第4級アンモニウムカチオンの塩、第3級アミンの中和塩、及び水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンが挙げられる。以下に述べる「第4級アンモニウム部位」も同様の意味で用いられ、水中で正に帯電する部位である。また、本発明において「共重合物」とは、2種以上の重合性単量体の共重合によって得られた重合物のことであり、二元系共重合物及び三元系以上の共重合物の双方を包含する。本発明において「重縮合物」とは、2種以上の単量体からなる縮合物を重合することで得られた重縮合物である。このように、本明細書において「血球凝集剤」とは、血液の赤血球を凝集させることができる単一の化合物若しくは又はその単一の化合物の組合せ、又は、複数の化合物の組み合わせによって赤血球の凝集を発現する剤のことである。つまり、血球凝集剤とは、あくまで赤血球凝集作用があるものに限定した剤のことである。したがって、血球凝集剤に第三成分を含む場合には、それを血球凝集剤組成物と表現し、血球凝集剤と区別する。なお、ここでいう「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
本発明で用いる血球凝集剤が、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び/又は第4級アンモニウム塩共重合物及び/又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含む場合、該血球凝集剤は、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物のうちのいずれか1種を含んでいてもよく、あるいは任意の2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。また第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。同様に、第4級アンモニウム塩共重合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に同様に、第4級アンモニウム塩重縮合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前述した各種のカチオン性ポリマーのうち、特に、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を用いることが、赤血球への吸着性の点から好ましい。以下の説明においては、簡便のため、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物を総称して「第4級アンモニウム塩ポリマー」と言う。
第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種用い、これを重合することで得られたものである。一方、第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を少なくとも1種用い、必要に応じ第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を少なくとも1種用い、これらを共重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を2種以上用い、これらを共重合させて得られたものであるか、又は第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い、これらを共重合させて得られたものである。第4級アンモニウム塩共重合物は、ランダム共重合物でもよく、交互共重合物でもよく、ブロック共重合物でもよく、あるいはグラフト共重合物でもよい。第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それら縮合物を重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体2種以上の縮合物を用い、これを重合させて得られたものであるか、又は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない単量体1種以上からなる縮合物を用い、これを縮重合させて得られたものである。
第4級アンモニウム塩ポリマーは、第4級アンモニウム部位を有するカチオン性のポリマーである。第4級アンモニウム部位は、アルキル化剤を用いた第3級アミンの第4級アンモニウム化によって生成させることができる。あるいは第3級アミンを酸若しくは水に溶解させ、中和で生じさせることができる。あるいは縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化によって生成させることができる。アルキル化剤としては、例えばハロゲン化アルキルや、硫酸ジメチル及び硫酸ジメチルなどの硫酸ジアルキルが挙げられる。これらのアルキル化剤のうち、硫酸ジアルキルを用いると、ハロゲン化アルキルを用いた場合に起こり得る腐食の問題が生じないので好ましい。酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、リン酸、フルオロスルホン酸、ホウ酸、クロム酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸、ギ酸、アスコルビン酸、ヒアルロン酸などが挙げられる。特に、アルキル化剤によって第3級アミン部位を第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ポリマーを用いると、赤血球の電気二重層を確実に中和できるので好ましい。縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化は、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの開環重縮合反応、ジシアンジアミドとジエチレントリアミンの環化反応のようにして生じさせることができる。
赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは、その分子量が2000以上であることが好ましく、1万以上であることが更に好ましく、3万以上であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以上であることによって、赤血球間でのカチオン性ポリマーどうしの絡み合いや、赤血球間でのカチオン性ポリマーの架橋が十分に生じる。分子量の上限値は1000万以下であることが好ましく、500万以下であることが更に好ましく、300万以下であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以下であることによって、カチオン性ポリマーが経血中へ良好に溶解する。また、カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以下であると、経血の凝集塊が適度な大きさになり易く、吸収性コアに含まれるパルプ繊維空隙やコアラップシートの空孔部内の空隙を凝集塊が塞ぐことを抑制できるので、カチオン性ポリマーが経血中へ良好に溶解した後でも、吸収性コア及びコアラップシートにおける経血の透過性が高く維持される観点からも好ましい。カチオン性ポリマーの分子量は、2000以上1000万以下であることが好ましく、2000以上500万以下であることが更に好ましく、2000以上300万以下であることが一層好ましく、1万以上300万以下であることが更に一層好ましく、3万以上300万以下であることが特に好ましい。本発明に言う分子量とは、重量平均分子量のことである。カチオン性ポリマーの分子量は、その重合条件を適切に選択することで制御することができる。カチオン性ポリマーの分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8320GPCを用いて測定することができる。具体的な測定条件は次のとおりである。
カラムとしては、東ソー株式会社製のガードカラムαと分析カラムα−Mを直列でつないだものを、カラム温度:40℃で用いる。検出器は、RI(屈折率)を用いる。測定サンプルとしては、溶離液1mLに対して1mgの測定対象の処理剤(第4級アンモニウム塩ポリマー)を溶解させる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、水に150mmol/Lの硫酸ナトリウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、溶離液10mLに対して、分子量5900のプルラン、分子量47300のプルラン、分子量21.2万のプルラン、分子量78.8万のプルラン、各2.5mg溶解させたプルラン混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は流速:1.0mL/min、注入量:100μLで測定する。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、エタノール:水=3:7(体積比)に50mmol/Lの臭化リチウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、溶離液20mLに対して、分子量106のポリエチレングリコール(PEG)、分子量400のPEG、分子量1470のPEG、分子量6450のPEG、分子量5万のポリエチレンオキシド(PEO)、分子量23.5万のPEO、分子量87.5万のPEO、各10mg溶解させたPEG−PEO混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は流速:0.6mL/min、注入量:100μLで測定する。
赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは水溶性であることが好ましい。本発明において「水溶性」とは、100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に0.05gの1mm以下の粉末状又は厚み0.5mm以下のフィルム状カチオン性ポリマーを25℃の50mLイオン交換水に添加混合したときに、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、アズワン株式会社製マグネチックスターラーHPS−100を用いて600rpm攪拌下、その全量が24時間以内に水に溶解する性質のことである。なお、本発明において、更に好ましい溶解性としては、全量が3時間以内に水に溶解することが好ましく、全量が30分以内に水に溶解することが更に好ましい。
カチオン性ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。特に第4級アンモニウム塩ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。第4級アンモニウム部位は側鎖に存在していることが好ましい。この場合、主鎖と側鎖とが1点で結合していると、側鎖の可撓性が阻害されにくくなり、側鎖に存在している第4級アンモニウム部位が赤血球の表面に円滑に吸着するようになる。尤も本発明において、カチオン性ポリマーの主鎖と側鎖とが2点又はそれ以上で結合していることは妨げられない。本発明において「1点で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの1個が、側鎖の末端に位置する1個の炭素原子と単結合していることをいう。「2点以上で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの2個以上が、側鎖の末端に位置する2個以上の炭素原子とそれぞれ単結合していることをいう。
カチオン性ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、例えば第4級アンモニウム塩ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、各側鎖の炭素数は4以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましく、6以上であることが一層好ましい。炭素数の上限値は、10以下であることが好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることが一層好ましい。例えば側鎖の炭素数は4以上10以下であることが好ましく、5以上9以下であることが更に好ましく、6以上8以下であることが一層好ましい。側鎖の炭素数とは、該側鎖における第4級アンモニウム部位(カチオン部位)の炭素数のことであり、対イオンであるアニオン中に炭素が含まれているとしても、その炭素は計数に含まない。特に、側鎖の炭素原子のうち、主鎖に結合している炭素原子から、第4級窒素に結合している炭素原子までの炭素数が前述の範囲であることが、第4級アンモニウム塩ポリマーが赤血球の表面の表面に吸着するときの立体障害性が低くなるので好ましい。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマーである場合、該ホモポリマーとしては、例えば第4級アンモニウム部位又は第3級アミン部位を有するビニル系単量体の重合物が挙げられる。第3級アミン部位を有するビニル系単量体を重合する場合には、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位をアルキル化剤によって第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ホモポリマーとなるか、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位を酸によって中和した第3級アミン中和塩となるか、重合後に水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンとなる。アルキル化剤や酸の例は、前述したとおりである。
特に第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、以下の式1で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
第4級アンモニウム塩ホモポリマーの具体例としては、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。また、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と1点で結合しているものであるポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムメチル硫酸塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルトリメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩)、ポリ(3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド4級塩)、ポリメタクル酸ジメチルアミノエチル、ポリアリルアミン塩酸塩、カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリアミジンなどが挙げられる。一方、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と2点以上で結合しているホモポリマーの例としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルアミン塩酸塩が挙げられる。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩共重合物である場合には、該共重合物として、前述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を2種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物として、前述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。更に、ビニル系重合性単量体に加えて、又はそれに代えて、他の重合性単量体、例えば−SO2−などを用いることもできる。第4級アンモニウム塩共重合物は、前述したとおり、二元系の共重合物又は三元系以上の共重合物であり得る。
特に、第4級アンモニウム塩共重合物は、前記の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有することが、赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から好ましい。
また、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体としては、カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体を用いることができる。これらの重合性単量体中で、特にカチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体を用いることで、第4級アンモニウム塩共重合物内において第4級アンモニウム部位との電荷相殺が起こらないので、赤血球の凝集を効果的に生じさせることができる。カチオン性重合性単量体の例としては、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を有する環状化合物としてビニルピリジンなど、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を主鎖に有する直鎖状化合物としてジシアンジアミドとジエチレントリアミンの縮合化合物などが挙げられる。アニオン性重合性単量体の例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、及び、スチレンスルホン酸、並びに、これらの化合物の塩などが挙げられる。一方、ノニオン性重合性単量体の例としては、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる。これらカチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体は、それらのうちの一つを用いることができ、あるいは任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。またカチオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、アニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、あるいはノニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることもできる。カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体及び/又はノニオン性重合性単量体を重合性単量体として用いて共重合された第4級アンモニウム塩共重合物は、その分子量が、前述のとおり1000万以下であることが好ましく、特に500万以下、とりわけ300万以下であることが好ましい(以下に例示する第4級アンモニウム塩共重合物についても同様である。)。
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いること、それから得られる第4級アンモニウム塩共重合物を用いて赤血球を凝集させたときに、硬い凝集塊が生じやすくなり、高吸収性ポリマーの吸収性能が一層阻害されにくくなる。水素結合をすることが可能な官能基としては、例えば−OH、−NH2、−CHO、−COOH、−HF、−SHなどが挙げられる。水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。特に、水素結合が強く働く、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアクリルアミドなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いることで、前述した、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いる場合と同様の有利な効果、すなわち赤血球の硬い凝集塊が生じやすくなるという効果が奏される。疎水性相互作用をすることが可能な官能基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、アルキルナフタレン基、フッ化アルキル基などが挙げられる。疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレンなどが挙げられる。特に、疎水性相互作用が強く働き、第4級アンモニウム塩ポリマーの溶解性を大きく低下させない、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第4級アンモニウム塩共重合物中での、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体とのモル比は、該第4級アンモニウム塩共重合物によって赤血球が十分に凝集するように適切に調整されることが好ましい。特に、第4級アンモニウム塩共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上であることが好ましく、22モル%以上であることが更に好ましく、32モル%以上であることが一層好ましく、38モル%以上であることが更に一層好ましい。また、100モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることが更に好ましく、65モル%以下であることが一層好ましく、56モル%以下であることが更に一層好ましい。具体的には、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上100モル%以下であることが好ましく、22モル%以上80モル%以下であることが更に好ましく、32モル%以上65モル%以下であることが更に好ましく、38モル%以上56モル%以下であることが一層好ましい。
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩重縮合物である場合には、該重縮合物として、前述した第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それらの縮合物を重合することで得られた重縮合物を用いることができる。具体例としては、ジシアンジアミド/ジエチレントリアミン重縮合物、ジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合物などが挙げられる。
前述した第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び第4級アンモニウム塩共重合物は、ビニル系重合性単量体の単独重合法又は共重合法によって得ることができる。重合方法としては、例えばラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、開環重合、重縮合などを用いることができる。重合条件に特に制限はなく、目的とする分子量、流動電位、及び/又はIOB値を有する第4級アンモニウム塩ポリマーが得られる条件を適切に選択すればよい。
以上に詳述したカチオン性ポリマーは、上述した「特に好ましい血球凝集剤」の例示であり、その効果は特願2015−239286号、及び当該出願の日本国公開公報である特開2016−107100号公報及び当該出願を優先権主張の基礎とする国際出願の国際公開2016/093233号パンフレットに記載の実施例1乃至45によって参照可能である。
また、本発明で用いる血球凝集剤は、ポリカチオン(カチオン性ポリマー)以外に、第三成分、例えば、溶媒、可塑剤、香料、抗菌・消臭剤、スキンケア剤等の他の成分を1種以上含んだ組成物(血球凝集剤組成物)の形態であってもよい。溶媒としては、水、炭素数1ないし4の飽和脂肪族一価アルコール等の水溶性有機溶媒、又は該水溶性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオールなどを用いることができる。香料としては、特許第4776407号公報に記載されているグリーンハーバル様香気を有する香料、植物の抽出エキス、柑橘類の抽出エキスなどを用いることができる。抗菌・消臭剤としては、特許第4526271号公報に記載されている抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、特許第4587928号公報に記載されているフェニル基を有する重合性モノマーから重合された多孔性ポリマー、特許第4651392号公報に記載されている第4級アンモニウム塩、活性炭、粘土鉱物などを用いることができる。スキンケア剤としては、特許第4084278号公報に記載されている植物エキス、コラーゲン、天然保湿成分、保湿剤、角質柔軟化剤、消炎剤などを用いることができる。
前記血球凝集剤組成物に占めるカチオン性ポリマーの割合は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが一層好ましい。前記血球凝集剤組成物に占めるカチオン性ポリマーの割合をこの範囲内に設定することで、吸収性物品に有効量のカチオン性ポリマーを付与することができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、肌側コアラップシート等の下方部材における吸収性コアと重なる部分の全域に血球凝集剤を配するのに代えて、肌側コアラップシート等の下方部材における吸収性コアと重なる部分の一部に任意のパターンで血球凝集剤を部分的に配することも好ましい。
また、血球凝集剤を含有させる下方部材は、肌側コアラップシート以外の部材、例えば吸収性コア又は非肌側コアラップシートであっても良く、また、血球凝集剤を2以上の下方部材に含有させても良い。例えば、肌側コアラップシート、吸収性コア及び非肌側コアラップシートのうちの任意の2つ以上であっても良く、肌側コアラップシート、吸収性コア及び非肌側コアラップシートの全部に亘るように血球凝集剤を配することもできる。
また、吸収性コア41は、厚みが平面方向の全域に亘って均一であるものに限定されず、例えば、平面方向の一部、例えば、排泄部対向部Bの中央部分等に、着用者の肌側に向かって隆起する隆起部を形成することもできる。斯かる隆起部は、例えば、吸収性コア41の一部に、パルプ繊維等の構成材料の坪量を部分的に増やして形成することができる。
また、環状の防漏溝8とは別に、本発明の吸収性物品は、表面シートから形成された肌対向面に、エンボス加工等の圧縮加工により、表面シート2が吸収体4内に陥入した任意の形状を有する凹部を有することが好ましい。斯かる凹部は、相互に離間させて複数設けることが好ましい。斯かる凹部を有すると、経血の吸収体への引き込み性が向上する。凹部の平面視形状は、小円形、星形、正方形、六角形等の任意の形状とすることができる。
また吸収性物品は、サイド防漏シート及びそれによる防漏機構を有しないものであっても良く、またウイング部を有しないものであっても良く、また防漏溝を有しないものであっても良い。また、また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
上述した本発明の実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収性物品を開示する。
<1>
肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に配されている吸収体を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する経血吸収用の吸収性物品であって、前記表面シートは、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなり、前記表面シートの非肌対向面よりも前記裏面シートに近い位置に配された下方部材に血球凝集剤が含まれている、吸収性物品。
<2>
前記凹凸不織布は、肌対向面側の前記凹凸の凹部近辺の繊維密度が凸部の頂部の繊維密度より高い、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記凹凸不織布は、平面視において前記凹凸の凸部が散点状に配置されている、前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記凹凸不織布が、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記下層の繊維密度が前記上層の繊維密度よりも高い、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5>
前記凹凸不織布の肌対向面側の前記凹凸の凸部は内部が中実である、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記凹凸不織布は、平面視において前記凹凸の凸部の頂部間の距離が0.5mm以上10.0mm以下である、<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記凹凸不織布は、平面視において、前記凹凸の凹部の幅が0.2mm以上3.0mm以下である、<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記凹凸不織布は、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記上層は、熱伸長性繊維を用いて形成され、該熱伸長性繊維どうしの交点が接合された繊維接合部を有し、前記下層は、熱伸長性繊維を含まないか又は熱伸長性繊維を前記上層より低い割合で含んで形成されている、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記凹凸不織布は、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記上層と前記下層との界面が、互いに接合された固着部と、前記上層と前記下層とが剥離可能に積層された非固着部とを有している、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記凹凸不織布は、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記上層を構成する繊維の平均径と前記下層を構成する繊維の平均径が略同一であるか、又は前記上層を構成する繊維の平均径よりも前記下層を構成する繊維の平均径が大きい、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
<11>
前記凹凸不織布は、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記上層の繊維間距離が前記下層の繊維間距離よりも大きい、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記凹凸不織布は、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記上層の繊維間距離と、前記下層の繊維間距離との差(前者−後者)が、0μm以上50μm以下である、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記凹凸不織布は、平均繊維径が、10μm以上30μm以下である、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14>
前記凹凸不織布は、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記上層を構成する繊維の平均径と、前記下層を構成する繊維の平均径との比(前者/後者)が、0.9〜1.1である、前記<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記吸収性物品は、肌対向面において、前記横方向における排泄スポット部を挟む両側それぞれに、前記縦方向に延びる一対の側方防漏溝を有している、前記<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記吸収性物品は、肌対向面において、前記横方向における排泄スポット部を囲む環状防漏溝を有している、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>
前記防漏溝は、前記表面シートおよび前記吸収体を前記裏面シート側に向って一体にエンボス加工により形成されたものである、前記<15>又は<16>に記載の吸収性物品。
<18>
前記防漏溝は、加熱及び加圧を伴うエンボス加工を施すことにより形成されたものである、前記<17>に記載の吸収性物品。
<19>
前記吸収性物品は外縁部全周が接合された状態となっている、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
前記吸収体は吸収性コアと該吸収性コアの肌対向面側を覆うコアラップとを備えており、該吸収性コアは一体成形により形成されている、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21>
前記凹凸不織布は厚み方向又は平面方向における全体又は一部が親水性である、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>
前記吸収体は吸収性コアを含み、該吸収性コアは高吸収性ポリマーを含有する、前記<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>
前記吸収体は吸収性コアを含み、該吸収性コアには消臭剤が配合されている、前記<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収体は吸収性コアを含み、該吸収性コアには抗菌剤が配合されている、前記<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>
前記吸収性物品の排泄部対向部における前記横方向両側部に一対のウイング部を備えている、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>
前記吸収性物品の前記表面シートの前記縦方向(前後方向)に沿う左右両側には、前記表面シートに接合されていない自由端と、前記表面シートに接合された固定端とを有するサイド防漏シートが配されている、前記<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
<27>
前記吸収性物品の前記裏面シートの下着に接する部分には粘着剤が部分的に施された状態となっている、前記<1>〜<26>の何れか1に記載の吸収性物品。
<28>
肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に配されている吸収体を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する経血吸収用の吸収性物品であって、前記表面シートは、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなり、前記表面シートの非肌対向面よりも前記裏面シートに近い位置に配された下方部材にカチオン性ポリマーが含まれている、吸収性物品。
<29>
前記カチオン性ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物である、前記<28>に記載の吸収性物品。
<30>
前記カチオン性ポリマーは、分子量が1万以上300万以下である前記<29>に記載の吸収性物品。
<31>
前記吸収体が、吸収性コアとこれを被覆するコアラップシートとを有しており、前記該吸収性コアの肌対向面を覆う該コアラップシートが前記下方部材である前記<1>〜<30>の何れか1に記載の吸収性物品。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示す生理用ナプキンと同様の構成を有する生理用ナプキンを常法に従って作製した。表面シートとしては、下記の凹凸不織布Aを用い、裏面シートとしては非透湿性の樹脂フィルムを用いた。
凹凸不織布A:原料となる熱伸長性繊維を、本出願人の先の出願に係る特開2005−350836号公報の実施例の記載に従い製造した。具体的には、第1樹脂成分としてのポリプロピレン及び第2樹脂成分としての高密度ポリエチレンを原料として用い高速溶融紡糸を行い、同心タイプの芯鞘型熱伸長性繊維を得た。第1樹脂成分と第2樹脂成分との重量比は50:50であった。得られた繊維を繊維長51mmの短繊維とし、この短繊維に二次元の機械捲縮を施した。この繊維の熱伸長率は11.2%、捲縮率は11.8、第1樹脂成分の融点は163℃、第2樹脂成分の融点は128℃であった。紡糸条件は以下のとおりである。
・口金温度:250℃
・紡糸速度2000m/min
・繊維径:3.8dtex
・延伸:なし
得られた熱伸長繊維を原料として用い、これをカード機に供給して坪量30g/m2のカードウエブを製造した。このカードウエブを、エンボス装置を用いてエンボス加工し、エンボスシートを得た。エンボス装置におけるエンボスロールは、凹部が菱形格子状のパターンとなっており、凸部が菱形の形状をしているものであった。凹部の個々の面積は0.52cm2であり、凹部の機械方向の長さPmに対する幅方向の長さPcの比(Pc/Pm)は0.62であった。エンボス装置におけるエンボスロール24の加熱温度は120℃、平滑ロールの加熱温度は120℃であった。線圧は9.8MPa/cmであった。エンボスロールにおける凹部の表面は微細な凹凸加工が施されており、この表面粗さRaは50μmであった。またエンボスロールにおける凹凸部間の深さは1.0mmであった。次に、エンボスシートに熱風を吹き付けてエアスルー方式の熱処理をした。熱風の温度は136℃であった。熱風は、エンボス加工を施した面(つまり、エンボスロールが当接した面)に吹き付けた。このようにして図5及び図6に示す形態の凹凸不織布A(坪量30g/m2)を得た。
凹凸不織布Aは多数の凸部25が存在する面がナプキンの肌対向面側に位置するように用いた。凹凸不織布Aは、肌対向面側の凹凸の凹部近辺の繊維密度が、凸部の頂部の繊維密度より高いものであった。吸収性コアは坪量300g/m2であり、高吸収性ポリマーの坪量が56g/m2、高吸収性ポリマーとしては日本触媒社製のアクアリックCAを用いた。製品厚みは4.2mmとし、厚み調整のために適宜吸収体4を圧縮した。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、坪量が16g/m2、厚みが0.3mmの薄紙(ティッシュペーパ)を用いた。
コアラップシートの全域に、下記処方の血球凝集剤5.00gを、100gのイオン交換水に溶解した溶液をコアラップシートへ120g/m2の坪量となるよう浸漬させた後、乾燥機にて60℃環境下で24時間放置させることで乾燥させ、乾燥後のコアラップシートに含有する血球凝集剤が6g/m2となったものを用いた。血球凝集剤に含有されるカチオン性ポリマーとしては、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(日本ルーブリゾール社製の商品名マーコート100(重量平均分子量:15万)を用いた。
〔血球凝集剤の処方〕
マーコート100を乾燥して得られたポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量:15万、流動電位:7488μeq/L)
〔比較例1〕
コアラップシートに血球凝集剤を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例1のサンプルとした。
〔比較例2〕
表面シートとして、下記の不織布Fを用いる以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作製し、これを比較例2のサンプルとした。
不織布F:繊維径3.3dtexで繊維長51mmの合成繊維(芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンからなる親水化処理された芯鞘型複合繊維)であり、坪量25g/m2、厚み0.5mmのエアスルー不織布を後加工をせず用いた。この不織布Fは、肌対向面及び非肌対向面のいずれにも凹凸を有しないフラットな不織布である。
〔評価試験〕
実施例及び比較例の生理用ナプキンについて、下記方法により(1)表面液戻り量及び(2)静的最大吸収量をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
表面液戻り量は、表面への液戻りのし難さ示す指標であり、少ないほど経血や赤血球凝集塊が肌に付着しにくいことを示し、静的最大吸収量は、生理用ナプキンが経血を吸収できる最大量を示す指標であり、静的最大吸収量が大きいほど吸収性能が高いことを示す。なお、擬似血液としては、前述した擬似血液(粘度8mPa・s)を用いた。
<表面液戻り量>
生理用ナプキンのサンプルを表面シートが表面側となるようにして水平に置き、底部に直径1cmの注入口が付いた円筒つきアクリル板を重ねて、注入口から擬似血液を6g注入し、注入後1分間その状態を保持した。次に、円筒つきアクリル板を取り除き、表面シートの表面上に、縦6cm×横9.5cmで坪量13g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を16枚重ねて載せた。更にその上に圧力が20×98Pa(20gf/cm2)になるように重りを載せて5秒間加圧した。加圧後、吸収紙を取り出し、加圧前後の紙の重さを測定して差し引くことで、紙に吸収された擬似血液の重量を算出し表面液戻り量(mg)とした。
<静的最大吸収量>
生理用ナプキンのサンプルをアクリル板に固定し、液排スポット部より3gの擬似血液を注入し、液注入終了より3分静置させた後、液排泄点に単位平方センチメートル当たり50gとなるよう1分間荷重を加えた。以降、同操作を繰り返し行い、生理用ナプキンのウイング部から液がしみ出した時点で終了し、静的最大吸収量(g)とした。
表1に示す結果から、実施例1の生理用ナプキン(本発明品)は、表面シートとして凹凸不織布を用いているとともに、下方部材に血球凝集剤を配したことによって、静的最大吸収量が向上してより多くの経血を吸収可能であり、また表面に赤血球凝集塊が戻りにくいことが判る。これに対して、下方部材に血球凝集剤を配していない比較例1の生理用ナプキンは、静的最大吸収量が向上しておらず、ナプキンの吸収性能に対して凝集効果が発揮されていないことが判る。さらに表面液戻り量が多く、装着中に圧力が加わったときに、赤血球の凝集塊が着用者の肌に接触しやすい表面シートの表面に移行し易いことが判る。また、下方部材に血球凝集剤を含ませているが、表面シートとしてフラットな不織布を用いた比較例2の生理用ナプキンは、比較例1に比べ、静的最大吸収量が良好であるものの、表面液戻り量が多く、装着中に圧力が加わったときに、赤血球の凝集塊が着用者の肌に接触しやすい表面シートの表面に移行し易いことが判る。
本発明の吸収性物品によれば、下方部材に血球凝集剤を含ませることと、表面シートとして凹凸不織布を用いることとの両方が、表面への液の移行性とナプキンが経血を吸収できる最大吸収量とを両立させる観点から重要であることが判る。
〔実施例2〜3〕
実施例1において、血球凝集剤を以下のものに代えた以外は同様にして生理用ナプキンを作製した。
・実施例2:ニットーボーメディカル社製の商品名PAS−H−5Lを乾燥して得られたポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量:3万、流動電位7447μeq/L、IOB2.1)
・実施例3:Aldrich社製のポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)溶液を乾燥して得られた、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(重量平均分子量:40万〜50万、流動電位6827μeq/L、IOB2.1)
〔実施例4〕
実施例2において、表面シートとして、ユニ・チャーム社製「はだおもい多い昼〜ふつうの日用 羽つき21cm」から、製品を冷却することで剥離した畝溝構造を有する表面シートを、畝と溝がそれぞれ生理用ナプキンの縦方向に向かって延び、かつ、肌対向面側に向けて貼りあわせたものを使用した以外は実施例2と同様にして生理用ナプキンを作製した。
〔評価〕
実施例1〜4のサンプル(生理用ナプキン)及び比較例1〜2のサンプル(生理用ナプキン)について、動的最大吸収量を以下の方法により評価した。また、実施例1と同じ方法で表面液戻り量(mg)を評価した。その結果を以下の表2に示した。
<動的最大吸収量>
生理用ナプキンのサンプルを生理用ショーツに固定し、液体注入用チューブを備えた排泄口を有する人体の動的モデルに装着した。動的モデルの歩行動作を開始させ、歩行動作開始より1分後に、排泄口より2gの擬似血液を注入した(1回目)。更に1回目の液注入終了より3分後に2gの擬似血液を注入した(2回目)。更に2回目の液注入終了より3分後に2gの擬似血液を注入した(3回目)。3回目以降の液注入は液注入後から3分後に2gの擬似血液を繰り返し注入し、生理用ナプキンのウイング部から液が染み出した時点で終了し、動的最大吸収量(g)とした。
表2に示す結果から、実施例1〜4の生理用ナプキン(本発明品)は、比較例1及び2の生理用ナプキンと比較して動的最大吸収量が向上するとともに、表面液戻り量が顕著に向上することが判る。
〔実施例5〜8、及び比較例3〜4〕
実施例1〜4及び比較例1〜2それぞれで使用した吸収性コアを、木材パルプ繊維の坪量を280g/m2、高吸収性ポリマーの坪量を29g/m2に変更した以外は同様の構成とし、実施例5〜8及び比較例3〜4として厚み4.0mmの生理用ナプキンを作製した。動的最大吸収量及び表面液戻り量を上述の実施例1〜4及び比較例1〜2と同様に評価した。
表3に示すように、ポリマーの配合量が比較的少ない実施例5〜8の生理用ナプキンであっても、動的最大吸収量及び表面液戻り量の抑制について、血球凝集剤を含まない生理用ナプキン(比較例3)及び血球凝集剤を吸収体の非肌側に含むもの(比較例4)に比べて、改善されていることが判る。実施例1〜4のように、ポリマー配合量が比較的多いものであれば吸収性能を著しく向上できるが、ポリマー配合量が少ない場合においても、吸収性能の向上が図れる点で有効である。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
10 凹凸不織布
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収性コア
42 コアラップシート
42a 肌側コアラップシート(吸収性コアの肌対向面側を被覆するコアラップシート)
5 吸収性本体
6 サイド防漏シート
7 ウイング部
8 環状の防漏溝
81 側方防漏溝
9 凝集剤配置部
A 前方部
B 排泄部対向部
P 排泄スポット部
C 後方部

Claims (9)

  1. 肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に配されている吸収体を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する経血吸収用の吸収性物品であって、
    前記表面シートは、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなり、
    前記表面シートの非肌対向面よりも前記裏面シートに近い位置に配された下方部材に血球凝集剤が含まれている、吸収性物品。
  2. 前記凹凸不織布は、肌対向面側の前記凹凸の凹部近辺の繊維密度が、凸部の頂部の繊維密度より高い、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記凹凸不織布は、平面視において前記凹凸の凸部が散点状に配置されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記凹凸不織布が、肌対向面側に配された上層と該上層より非肌対向面側に配された下層とを有し、前記下層の繊維密度が前記上層の繊維密度よりも高い、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記凹凸不織布の肌対向面側の前記凹凸の凸部は内部が中実である、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に配されている吸収体を備え、着用者の前後方向に沿う縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有する経血吸収用の吸収性物品であって、
    前記表面シートは、少なくとも肌対向面側に凹凸を有する凹凸不織布からなり、
    前記表面シートの非肌対向面よりも前記裏面シートに近い位置に配された下方部材にカチオン性ポリマーが含まれている、吸収性物品。
  7. 前記カチオン性ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物である、請求項6に記載の吸収性物品。
  8. 前記カチオン性ポリマーは、分子量が1万以上300万以下である請求項7に記載の吸収性物品。
  9. 前記吸収体が、吸収性コアとこれを被覆するコアラップシートとを有しており、該吸収性コアの肌対向面を覆う該コアラップシートが前記下方部材である請求項1〜8の何れか1項に記載の吸収性物品。
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