JP6709068B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、生理用ナプキンやおむつなどの吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品は、通常、表面シート、裏面シート及び両シート間の吸収体を有し、表面シート側の面を着用者の肌に当てて使用される。このような吸収性物品において、排泄液が表面シートから素早く吸収体へと透過され、液が肌に触れないようにすることが、基本的な吸収性能として求められる。この吸収性能を高めるため、表面シートと吸収体との間に液透過性のシート部材(以下、セカンドシートという。)を配する技術がある。
例えば、特許文献1には、尿と経血の両方の吸収性の観点から、前記セカンドシートについて、該シートの繊維を面方向に粗密に分布させたものが記載されている。特許文献2には、前記液透過性シートを2層からなるものとし、吸収体側の第1の層がコイル状に捲縮した繊維を含んで、表面シート側の第2の層から第1の層へ毛管力を高くしたものが記載されている。
また、特許文献3には、表面シートやセカンドシート等に用いられる不織布として、第1面側の第1突出部と反対側の第2面側の第2突出部とを交互に配する両面凹凸の不織布が記載されている。該不織布は、第1面側の繊維の親水性が第2面側の繊維の親水性より低くされている。加えて、第1突出部の繊維密度が第2突出部の繊維密度よりも低くすることが記載されている。
特開2013−74934号公報 特開2004−33236号公報 特開2014−25187号公報
従来の吸収性物品では、セカンドシートを配した場合でも、長時間の装着で受液量の累積増加などがあると、液量によっては、相対的に液の吸収速度が低下することがある。この場合、液吸収過程での肌と液との接触の可能性がある。また、表面シートと吸収体との間に介在するセカンドシートでは、排泄量によっては、セカンドシートの表面シートと接する部分で液が残り、微量の液戻りが生じてしまうことがある。液吸収の僅かな遅れや極微量の液残存でも人肌は濡れを感じやすいため、装着中の持続的なドライ感の点において、液の吸収速度をさらに改善する余地があった。特に、経血等の、粘性があり液拡散速度が小さい排泄液では排泄ポイントに止まりやすいため、経血等の僅かな滞留をも解消する、液吸収速度のさらなる向上が望まれる。
本発明は、上記の点に鑑み、使用者が排泄後に感じるドライ感をさらに高めるべく、装着時の吸収速度をより高めた吸収性物品に関する。また、本発明は、前記液吸収速度とともに、肌側での液残り防止性を高いレベルで維持できる吸収性物品に関する。
本発明は、表面シート、裏面シート、及び該表面シートと該裏面シートとの間に配された液保持性の吸収体を備え、前記表面シートと吸収体との間にセカンドシートを有する吸収性物品であって、前記セカンドシートは、突出部を複数配してなる凹凸構造を有する不織布を含み、前記突出部は、該突出部の頂部に連なる、毛管力が1.5×10N以上2.5×10N以下の壁部を有する、吸収性物品を提供する。
本発明の吸収性物品は、使用者が排泄後に感じるドライ感をさらに高めるべく、装着時の吸収速度をより高めたものとなる。また、本発明の吸収性物品は、前記液吸収速度とともに、肌側での液残り防止性を高いレベルで維持できる。
本発明における一実施形態としての生理用ナプキンを肌面方向から模式的に示した一部切欠斜視図である。 図1のII−II線断面を示す断面図である。 図2に示すセカンドシートの一部を拡大して示す拡大断面図である。 セカンドシートの突出部の他の好ましい形態を示す図3相当の拡大断面図である。 セカンドシートの、内部空間を有する凹凸構造を示す図3相当の拡大断面図である。 (A)及び(B)は、セカンドシートの、内部空間を有する両面凹凸構造を示す図3相当の拡大断面図である。 (A)及び(B)は、セカンドシートの、中実の両面凹凸構造を示す図3相当の拡大断面図である。 セカンドシートの別の好ましい具体例(第1実施態様)を模式的に示す一部断面斜視図である。 図8のセカンドシートの凹凸構造を一部拡大して示す断面図である。 図8に示すセカンドシートの変形例を示す一部断面斜視図である。 セカンドシートの更に別の好ましい具体例(第2実施態様)を模式的に示す一部断面斜視図である。 セカンドシートの更に別の好ましい具体例(第3実施態様)を部分的に拡大して模式的に示す断面図である。 セカンドシートの更に別の好ましい具体例(第4実施態様)を模式的に示す斜視図である。 図13に示すセカンドシートの変形例を示す斜視図である。 セカンドシートの更に別の好ましい具体例(第5実施態様)を模式的に示す斜視図である。 図15に示すセカンドシートの構成繊維同士が熱融着部にて固定された状態を模式的に示す説明図である。 セカンドシートの更に別の好ましい具体例(第6実施態様)を模式的に示す斜視図である。 セカンドシートの更に別の好ましい具体例(第7実施態様)を模式的に示す斜視図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の動的環境下での試験を行ったあとの表面シートの状態を撮像した図面代用写真である。
本発明の吸収性物品について、その好ましい実施形態としての生理用ナプキン10を示し、図面を参照しながら以下に説明する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、これと反対側を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。この前端部と後端部とを結ぶ方向、つまり着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘る方向を、吸収性物品の縦方向(Y方向)という。この縦方向と直交する方向を横方向(X方向)という。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚みという。
図1及び2に示すように、本実施形態の生理用ナプキン10(以下、単にナプキン10ともいう。)は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び該両シートの間に配置される液保持性の吸収体3を有する。表面シート1と吸収体3との間に液透過性のセカンドシート4が配置されている。
セカンドシート4は、突出部6を複数配してなる凹凸構造を有する不織布を含む。本実施形態においては、前記凹凸構造により肌当接面側が凹凸面となっている。肌当接面側に突出する突出部6は、頂部61に連なる、毛管力が1.5×10N以上2.5×10N以下の壁部62を有する。壁部62は、突出部6において、表面シート1側(肌当接面側)の頂部61から吸収体3側に向かって延出した部分である。本実施形態では、壁部62は、図2に示すように、肌当接面側の頂部61と非肌当接面側の裾野部63とを繋ぐ部分であり、頂部61から裾野部63に向かって下る傾斜壁部となっている。
この凹凸構造と壁部62の上記毛管力とにより、ナプキン10装着時の加圧下において、表面シート1にある排泄液の吸収速度が加速され、素早く吸収体3へと引き渡すことができる。そのため、液の透過時間が短縮されて表面シート1での液の滞留時間が短縮され、また液透過後の表面シート1ないしセカンドシート4の突出部頂部での液残りも極めて低く抑えられる。
また、セカンドシート4の凹凸構造により、表面シート1に触れる着用者の肌は、柔らかなクッション感を感じることができ、心地よい装着感が実現される。このとき、上記の優れた液吸収速度により、セカンドシート4での液の残存が抑制され、表面シートへの液戻りも高いレベルで抑えられる。これにより、ナプキン10は、着用者に安心感を与える吸収性能を担保しつつ、さらなる薄型化の実現が可能となる。
このセカンドシート4の詳細については後述する。
ナプキン10においては、表面シート1及び裏面シート2は、吸収体3の外周縁の外方で、吸収体3を介在させずに接合されている。さらに、生理用ナプキン10の肌当接面側には、表面シート1から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝5が配されており、該防漏溝5は平面視、環形状をなしている。
このようにして形成された生理用ナプキン10は、縦方向(Y方向)と、該縦方向と直交する横方向(X方向)とを有する、縦長形状である。ナプキン10は、表面シート1側を着用者の肌当接面側に向け、かつ、その縦方向を下腹部側から臀部側にかけて配し、その幅方向を左右の足をつなぐラインに沿う方向に向けて配して着用される。
ナプキン10は、縦方向(Y方向)において、着用者の排泄部を覆う股下部C、股下部Cよりも前方の下腹部側に対応する前方部F、後方の臀部側に対応する後方部Rを有する。股下部Cには、幅方向中央に、排泄液を直接受ける液吸収部C1がある。本実施形態における股下部Cは、生理用ナプキン10を縦方向に3領域の区分したときの中央の領域である。なお、この区分は、股下部Cを基準に前方部F及び後方部Rが決められる。そのため、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さにより区分位置が異なる。例えば、臀部を覆う幅広の後方フラップを有する吸収性物品の場合、股下部Cは、ナプキンの前方寄りとなる。
次に、セカンドシート4についてさらに詳細に説明する。
本実施形態のセカンドシート4は、図2に示すように、突出部6を複数配してなる凹凸構造を、肌当接面側(すなわち表面シート1側)に有する。この凹凸構造では、肌当接面側に突出した突出部6と突出部6との間が、肌当接面側における窪み部7となっている。すなわち、突出部6と窪み部7とがセカンドシート4の肌当接面側で面方向に交互に配されて凹凸面41を形成している。一方、本実施形態のセカンドシート4は、非肌当接面側において、上記のような凹凸構造を有さず平坦面42とされている。
突出部6は、図3に示すように、肌当接面側から順に、上部の頂部61、中腹の壁部62及びその下部の裾野部63を有する。頂部61の頂点61Aは、頂部61の先端の外表面を意味し、突出部6の吸収体3側の底面(水平面)64から垂直方向に最も離れた位置にある部分である。本実施形態において、セカンドシート4が片面凹凸構造であることから、突出部6の底面64は、セカンドシート4の平坦面42である。なお、頂部61、壁部62及び裾野部63はそれぞれ、突出部6の表面部分のみならず、該表面の内側の繊維で満たされた部分をも含む。すなわち、頂部61、壁部62及び裾野部63は、突出部6を構成する繊維層を、突出部6の突出高さ方向に沿って区分した部分である。
頂部61、壁部62及び裾野部63の区分は、突出部6の断面の外周線における曲率が変わるところを境界として決めることができる。また、このような境界が明確でない場合でも、図2のような片面凹凸構造においては、突出部61の突出高さを3等分して、頂部61、壁部62及び裾野部63が決められる。ここで「突出部6の突出高さ」は、セカンドシート4の厚み方向において、突出部6が底面64から肌当接面側に突出している高さである。本実施形態においては、片面凹凸構造のセカンドシート4の厚みに等しい。すなわち、頂部61の頂点61Aとセカンドシート4の平坦面42との間の高さである。
なお、突出部6の高さ及びセカンドシート4の厚みは、実質無荷重状態(毛羽立ちを抑えて測定ブレを抑える程度の49Pa荷重をかけた状態)での突出高さ及び厚みである。突出部6における上記の頂部61、壁部62及び裾野部63の3区分も前記実質無荷重状態で判断される。また、前記突出部6の高さ及びセカンドシート4の厚みの測定は、測定対象の吸収性物品からコールドスプレーでセカンドシートを剥がして行う。これらの定義及び測定方法は、本実施形態の場合に限らず、他の形態においても同様である。
本実施形態において、壁部62の毛管力は、後述する(毛管力の測定方法)により測定される。そこに示したLaplace式(1)における繊維間距離は、凹凸構造における突出部が中実であるときの壁部62の場合、以下に示す繊維厚み部において定められる。
壁部62の繊維厚み部は、上記の実質無荷重状態(49Pa荷重状態)で、1/3の位置の点から、内部に対しての厚みに対してレーザー顕微鏡を用いて計測される。具体的には、図3に示す突出部6の頂点61を通る厚み方向の断面において次のようにして測定される。まず頂点61から吸収体側へ下した仮想垂線6A(1点鎖線)を引く。次いで、突出部6の突出高さの頂点61Aから1/3の高さ位置の外表地点66を通る仮想水平線6B(1点鎖線)を引く。仮想水平線6Bと仮想垂線6Aとの交点67、外表地点66間の水平部6Cを、壁部62の繊維厚み部とする。この繊維厚み部における繊維間距離を後述の(繊維間距離の測定方法)により測定し、壁部の毛管力の測定算出の基礎数値となる。
中実の突出部6における壁部62の繊維厚み部は、液透過路と関連して定められたものである。すなわち、中実の突出部6において、繊維厚み部が下層側過ぎると、場合によって熱や圧力でフィルム化して液が透過しない場所が多く含まれる可能性がある。この場合、液の透過路となり得ない部分を含むことになってしまう。そのため、このような部位を避け、頂部61Aから1/3の高さ位置の、壁部の最も肌当接面側に近く液透過経路として最も毛管力が作用する部位を壁部62の繊維厚み部と定める。この繊維厚み部において、毛管力が働く繊維間距離を定める。この測定方法は、本実施形態の場合に限らず、突出部が中実である他の形態においても同様に用いられる。
窪み部7は、複数の突出部6に囲まれた空間であり、窪み部7の最も深い部分にセカンドシート4の凹部底部71が配されている。窪み部7の空間形状は、突出部6の外表面の形状によって決められる。
本実施形態のセカンドシート4では、肌当接面側の凹凸面41と表面シート1との接触が、突出部6の頂部61の部分のみに抑えられている。この形態において、表面シート1が受けた排泄液は、例えば次の経路でセカンドシートへと移行する。1つは、セカンドシート4の頂部61から壁部62、裾野部63へと移行する経路J1、J2である。もう1つは、排泄液が、通液抵抗の低い空間部分の窪み部7へと落とされ、一時貯蔵されつつ、壁部62や裾野部63へと移行する経路J3である。さらに、窪み部7からそのまま凹部底部71へと移行する経路J4がある。
頂部61から壁部62、裾野部63へと移行する経路J1、J2では、壁部の繊維の毛管力と突出部6の下り傾斜の形状とが、液の吸収速度を高める。また、窪み部7を介した移行経路J3では、特に粘性の経血等が通液抵抗の低い空間部分である窪み部7に落下して一時貯蔵されるため、表面シート1での液滞留時間の短縮と、液残り防止性の向上に寄与する。そして壁部62等にその毛管力で引き込まれて吸収体3へ引き渡される。
壁部62は、セカンドシート4における上記いずれの液透過経路においても、表面シート1から吸収体3への液の移行の中継地点又は導通路となる。また、セカンドシート4における液の透過は、繊維間距離が密な壁部62の毛管力に大きく影響される。この壁部62を、前述のとおり1.5×10N以上2.5×10N以下の毛管力とすることで、頂部61や窪み部7の空間にある排泄液を素早く引き込んで肌当接面側から遠ざける作用をする。また、壁部62での液の引き込みは、凹部底部71を介した移行経路J4での液透過負担を軽減し液滞留を早期に解消し得る。
このように、セカンドシート4のなかで、液の導通路である壁部62の毛管力を上記のように高めることで、セカンドシート4の凹凸構造による液の透過経路を機能させ続けることができる。これにより、繰り返しの排泄でも、表面シート1から吸収体3への液吸収速度を高かめて持続させることができる。
すなわち、セカンドシート4の前記凹凸構造と壁部62の上記毛管力とが相俟って、ナプキン10の装着時の加圧下における液吸収速度を高めて持続させ、表面シートの液残りや液戻りを抑え、良好なドライ感を高いレベルで維持できる。
壁部62の毛管力は、表面シート1からの排泄液の素早い引き込みの観点から、1.5×10N以上であり、1.55×10N以上が好ましく、1.6×10N以上がより好ましく、1.65×10N以上が更に好ましい。また、壁部62の毛管力は、引き込んだ排泄液を滞留させずに吸収体3へ遅滞ない引き渡す観点から、2.5×10N以下であり、2.4×10N以下が好ましく、2.3×10N以下がより好ましく、2.0×10N以下が更に好ましい。
具体的には、壁部62の毛管力は、1.5×10N以上2.5×10N以下であり、1.55×10N以上2.4×10N以下が好ましく、1.6×10N以上2.3×10N以下がより好ましく、1.65×10N以上2.0×10N以下が更に好ましい。
また、壁部62の上記毛管力に対し、頂部61はこれよりも低い毛管力であることが、頂部61での液滞留を防止する観点から好ましい。すなわち、セカンドシート4において、頂部61でなく、壁部62の毛管力を高めることで経血等の排泄液の引き込み性を向上させ、液の吸収速度を向上させることができる。ただし、頂部61は、表面シート1よりも毛管力が高いことが液の引き込み性の観点から好ましい。
一方、本実施形態のセカンドシート4の非肌当接面側では、平坦面42が吸収体3と面状に接している。これにより、肌当接面側で引き受けた排泄液を広い面領域で吸収体へと引き渡すことができる。
セカンドシート4の突出部6は、図3に示す形状に限定されず、上記の作用を奏する限り、どのような突出形状であってもよい。例えば、種々の錐体や斜錐体、錐台の形状、これらに類似する形状等が挙げられる。錐体や斜錐体では、図3に示すような頂部61に頂点61Aを有する。錐台では、図4に示すように、頂点61Aを有さない踏み台のような立体形状で、平坦な上面61Bを有する。ただ、突出部6は、表面シート1と接触して、人肌が表面シート1に触れたときの感触に影響するため、柔らかなクッション感を与える観点から、頂部61に丸みのある形状であることが好ましい。
また、セカンドシート4の凹凸構造は、本実施形態のものに限定されず、上記の作用を奏する限り種々のものとすることができる。例えば、凹凸構造はセカンドシート4の肌当接面側に配される場合に限らず、非肌当接面側に配されてもよく、肌当接面側及び非肌当接面側の両方に配されていてもよい。また、突出部6は、その内部を繊維で埋められた中実構造でもよく、内部空間を有する中空構造でもよい。これらの凹凸構造の形成は、この種の物品に用いられる方法により行うことができる。例えば、エンボス加工、1対の凹凸ロール同士の噛み合いによる加工、熱融着前の繊維ウエブを凹凸支持体上に載置して熱風を吹き付けるエアスルー加工などがある。
片面凹凸で中空の態様としては、例えば、図5のような内部空間68を有するものが挙げられる。中空であると、頂部61直下での排泄液の一時貯蔵が可能となるため、表面シート1からの排泄液のさらなる引き込み性向上に貢献でき好ましい。
両面凹凸の態様として、例えば、図6(A)及び(B)の中空のものや、図7(A)及び(B)の中実のものなどが挙げられる。これらは、肌当接面側(第1面側)に突出する第1突出部6と、その反対側の非肌当接面側(第2面側)に突出する第2突出部8とを有する。
図6(A)では、第1突出部6は、非肌当接面側(第2面側)に開放された内部空間68A(非肌当接面側の窪み部9)を有する。第2突出部は、肌当接面側(第1面側)に開放された内部空間68B(肌当接面側の窪み部7)を有する。この第1突出部6及び第2突出部8が、セカンドシート4の平面視交差する異なる方向において交互に複数連続して配されていると、液をセカンドシート4において過度に拡散させることなく、一時貯蔵を可能とし、表面シート1から吸収体3への液移行を迅速に行うことができる。
図6(B)では、第1突出部6と第2突出部8とが厚み方向に重なる配置とされている。第1突出部6と第2突出部8との間には、両突出部に跨る内部空間86Cが配されている。内部空間86Cでは、図6(A)よりも一時貯蔵容量がより大きい。
突出部6の3区分は、凹凸構造がいずれの態様においても、前述のとおり、図3の場合と同様に定められる。すなわち、肌当接面側の突出部6が底面64から肌当接面側に突出している高さを突出高さとして定義し、この突出高さを3等分して壁部が定められる。
例えば、突出部6が、図4のように、平坦な上面61Bのある錐台の場合、突出部6の突出高さはセカンドシート4の厚みであり、上面61Bから底面64(セカンドシート4の水平面42)までの高さである。この突出高さを3等分した中間位置が壁部となる。
図4においても、突出部6は中実であり、毛管力算出の基礎となる繊維間距離は、図3の形態の場合と同様に定められる。すなわち、頂部61Aから1/3の高さ位置の交点67と外表地点66とを結んだ水平部6Cを繊維厚み部とし、この繊維厚み部において繊維間距離が決められる。
図5のように、突出部6の非肌当接面側に内部空間68を有する場合でも、片面凹凸構造である場合は、セカンドシート4の厚みが突出部6の突出高さとする。該突出高さを3等分して壁部が定められる。
突出部6が中空である場合、壁部62は内部空間68と連携した液透過を作用しやすい。そのため、液透過経路における壁部62の毛管力を定める繊維間距離の測定部位として、下記のとおり繊維厚み部を定める。この場合の下記繊維厚み部は、内部空間を有する関係で、中実のようなフィルム化した部分が含み難く液透過路を十分に備える。
中空の突出部6における壁部62の繊維厚み部は、前述した実質無荷重状態(49Pa荷重状態)で、1/3の位置の点から、内部に対しての厚みに対してレーザー顕微鏡を用いて計測される。具体的には、まず、図5に示すように、頂点61から吸収体側へ下した仮想垂線6A(1点鎖線)を引く。次いで、仮想垂線6Aと突出部6の底面64との交点65と、突出部6の突出高さの頂点61Aから1/3の高さ位置の外表地点66とを結んだ仮想斜線6D(1点鎖線)を引く。仮想斜線6Dのうち、前述した壁部62として区分される繊維層にある斜線部6Eの長さ部分を、壁部62の繊維厚み部とする。この測定方法は、本実施形態の場合に限らず、突出部が中空である他の形態においても同様に用いられる。
図6及び7に示すように、セカンドシート4が両面に凹凸構造を有する場合は、前記突出高さは、セカンドシート4の厚みではなく、肌当接面側の突出部6の高さである。突出部6の底面64がセカンドシート4の水平面として明確に把握できれば、その底面64から厚み方向への高さが、突出部6の突出高さである。底面64が明確に把握できない場合は、両面の突出部の頂点(又は上面)間の高さを2等分した肌当接面側の厚みが突出部6の突出高さである。この定義において、該突出高さを3等分した中間部位が壁部となる。
この肌当接面側の突出部6の突出高さにおいて、液透過経路における壁部62の毛管力を定める繊維間距離の測定部位として、下記のとおり繊維厚み部を定める。すなわち、図7のように中実の場合は図3及び4のように水平部6Cを壁部62の繊維厚み部とする。図6のように中空の場合は図5のように斜線部6Eを壁部62の繊維厚み部とする。
(毛管力の測定方法)
上記の毛管力は、セカンドシートに肌当接面側から49Pa荷重をかけた状態で各値を測定し、下記Laplace式(1)により計算できる。
測定にあたってはセカンドシートを構成する不織布の前記区分定義される「壁部」について、中空及び中実の各態様に応じた前述の繊維厚み部において任意に3箇所測定し、その平均値を「壁部」の毛管力とする。
w=2×γ×cosθ/R ・・・・(1)
w:毛管力
γ:対象液の表面張力
cosθ:繊維の接触角より算出
R:毛管半径(繊維間距離の1/2を毛管半径として計算)
上記「対象液」はイオン交換水を用いる。「対象液の表面張力」は、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、プレート法(Wilhelmy法)により、白金プレートを使用して測定することができる。その際の測定装置としては、自動表面張力計「CBVP−Z」(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いることができる。白金プレートは、純度99.9%、大きさが横25mm、縦10mmのものを用いる。
なお、前記式中の、繊維の接触角及び繊維間距離については、下記記載の方法で算出したものを用いる。
(接触角の測定方法)
セカンドシートにおける壁部の、中空及び中実の各態様に応じた前述の繊維厚み部の繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定にはイオン交換水を用いる。
インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー株式会社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが好ましい。本測定では、17ms毎に画像が録画される。
録画された映像において、不織布から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行う。これに基づいて、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。不織布から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
(繊維間距離の測定方法)
繊維間距離は、測定対象の壁部62の、中空及び中実の各態様に応じた前述の繊維厚み部に対して、次の条件及び手順に基づいて測定し、下記式(2)に当てはめて求める。
まず、測定対象のセカンドシートが組み込まれた吸収性物品(生理用ナプキン等)に対し、肌当接面側(表面シート側)から49Pa荷重をかけた状態にする。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%、測定機器にはマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−1000)を用いる。次いで、49Pa荷重をかけた状態の吸収性物品について、図3や5に示すような突出部の縦断面(厚み方向の断面)が切り出されるようにして前記吸収性物品の厚み方向の断面を切り出す。この断面に対し、中空及び中実の各態様に応じた前述の壁部の繊維厚み部が含まれるよう、拡大写真を得る。拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。前記拡大写真にスケールを合わせ、前記繊維厚み部の長さ(図3等に示す水平部6C(矢印部分)や図5等に示す斜線部6E(矢印部分)の長さ)を測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を乾燥状態の壁部の繊維厚み部の厚みh[mm]とする。なお積層品の場合は、繊維径からその境界を判断し、厚みを算出する。
次いで、測定対象の壁部の繊維層厚み部を構成する繊維の繊維間距離は、以下に示す、Wrotnowskiの仮定に基づく式により求められる。Wrotnowskiの仮定に基づく式は、一般に、不織布を構成する繊維の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrotnowskiの仮定に基づく式によれば、繊維間距離A(μm)は、壁部の繊維厚み部の厚みh(mm)、坪量e(g/m)、壁部の繊維厚み部を構成する繊維の繊維径d(μm)、繊維密度ρ(g/cm)によって、上記の式(2)で求められる。
なお、繊維径d(μm)は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製Carry Scope JCM−5100)を用いて、カットした繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径とする。
繊維密度ρ(g/cm)は、DSCの融解ピークの温度から、樹脂を特定し、樹脂の密度を文献値から参照する。DSCは、セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200を使用する。DSCの測定は、細かく裁断した繊維試料(サンプル質量1mg)の熱分析を昇温温度10℃/minで行い、樹脂の融解ピーク温度を測定する。複数樹脂の場合は、おおよその成分比を測定し、樹脂1の密度×樹脂1の分率+樹脂2の密度×樹脂2の分率で算出する。文献値を使用できないのであれば、特定された樹脂の重みを測定して体積で除することで密度(g/cm)を算出する。あるいは、不織布の重みを測定し、不織布の断面積を前述の操作かが電子顕微鏡で観察して、重量を(繊維の断面積の総和+不織布の厚み)で除することで算出する。
坪量(目付)e(g/m)は、所定(0.12m×0.06mなど)の大きさにカットし、質量測定後に、下記式(3)で算出して坪量を求める。
質量÷所定の大きさから求まる面積=坪量(g/m) ・・・(3)
壁部62の毛管力を上記の範囲のものとするためには、種々の方法をとり得る。例えば、セカンドシート4をなす不織布の繊維の親水度を高める方法が挙げられる。また、該繊維の繊維間距離を短くする(すなわち、繊維密度を高める)方法が挙げられる。これらの方法を含む種々の方法のうち、いずれか1つの方法を採用してもよく、複数の方法を組み合わせてもよい。特に、繊維の親水度と繊維間距離の両方で制御することが、壁部の毛管力を所望の値に設定しやすく好ましい。
繊維の親水度を高める方法を採る場合、例えば、次のような方法が好ましい。すなわち、セカンドシート4が繊維処理剤の付着した熱融着性繊維を含み、壁部62の繊維に付着した繊維処理剤に、HLBが5以上7以下のポリオキシアルキレン変性シリコーンを含有することが好ましい。言い換えると、セカンドシート4は、HLBが5以上7以下のポリオキシアルキレン変性シリコーンを含有していることが好ましい。前記HLBは、セカンドシート4の壁部62の繊維の親水度を高めて前記範囲の毛管力とするため、5以上であり、5.3以上が好ましく、5.5以上がより好ましく、5.7以上が更に好ましい。また、前記HLBは、排泄液との繰り返しの接触で前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンが流れ親水度が低下することを防ぐ(耐久親水性を担保する)観点から、9以下であり、8以下が好ましく、7.5以下がより好ましく、7以下が更に好ましい。
また、前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、繊維に所望の親水性と耐久親水性を付与する観点から、壁部62を構成する繊維に付着した繊維処理剤の質量に対して、15質量%以上含有していることが好ましく、20質量%以上含有していることがより好ましく、25質量%以上含有していることが更に好ましい。加えて、前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、加工性の調整等の観点から、繊維に付着した繊維処理剤の質量に対して、95質量%以下含有していることが好ましく、90質量%以下含有していることがより好ましく、80質量%以下含有していることが更に好ましい。なお、繊維処理剤とは、繊維に付着した剤のうち水分を除いた成分をいう。なお、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、他の剤と共に繊維処理剤中に含まれているものを繊維に処理してもよく、他の繊維処理剤とは別に繊維に処理してもよい。最終的に繊維に付着しているこれらの繊維処理剤の質量に対して、上記の含有量であることが好ましい。
なお、本発明の、繊維処理剤が付着した不織布において、その付着した繊維処理剤を分析する場合は、次の手順に従って分析することが好ましい。先ず、分析対象の不織布を適切な溶媒で洗浄する。この洗浄用溶媒としては、例えば、エタノールとメタノールとの混合溶媒、エタノールと水との混合溶媒が挙げられる。分析対象の不織布が、生理用品又は子ども用若しくは大人用おむつの如き、吸収性物品のセカンドシートである場合は、吸収性物品においてこの不織布と他の部材との接合に用いられている接着剤をドライヤー等の加熱手段で加熱することで溶融軟化させる。その後に、不織布を剥がし、剥がした不織布を洗浄用溶媒で洗浄する。なお、セカンドシートとして組み込まれた不織布の引き剥がしは、前述のドライヤー等の加熱手段に代えて、コールドスプレーを用いて行ってもよい。
次に、分析対象の不織布を洗浄するのに用いた溶媒(繊維処理剤を含む洗浄用溶媒)を乾燥させ、その残渣を定量することで、該不織布に付着していた繊維処理剤の総量が測定できる。また、この残渣を、その構成物に合わせて適切なカラム及び溶媒を選択した上で、それぞれの成分を高速液体クロマトグラフィーで分画し、さらに各画分についてMS測定、NMR測定、元素分析等を行うことで、各画分の構造を同定することが出来る。また、繊維処理剤が高分子化合物を含む場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの手法を併用することで、構成成分の同定を行うことがより容易になる。
前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、セカンドシート4の壁部62が上記の作用を奏する毛管力とするのに好適である。これは、ポリオキシアルキレン変性シリコーンが、ポリシロキサン鎖を有することで、合成樹脂繊維の内部に浸透し難く表面に残りやすいことによる。また、シリコーンのなかでも、ポリオキシアルキレン変性シリコーンが、ポリオキシアルキレン変性基の種類や変性度を変化させることで、親水度を容易に高めることが可能である。また、繊維の表面に残りやすい性質により、セカンドシート4に部分的な熱溶融加工(例えば防漏溝やエンボス部の形成など)が施されても、その部分における親水性が保持される特長がある。セカンドシートは、その吸収性物品における配置の関係から、防漏溝やエンボス加工などが付与されることが一般的である。すなわち、熱溶融加工に対して、繊維表面に残りやすい性質を有し、高い親水度を保持することが可能なポリオキシアルキレン変性シリコーンを用いることが、好適である。
このポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、特に制限するものではないが、例えば特開2002−161474の段落[0010]〜[0012]に記載のものがある。
より具体的には、ポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、下記の一般式(M)で表されるものが好ましい。
式中、Meはメチル基、Rはメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、N-(アミノエチル)メチルイミノ基、又はN-(アミノプロピル)プロピルイミノ基などを表し、Xはポリオキシアルキレン基を表す。上記のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、及びこれ等の構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。
また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリオキシエチレン(POE)変性及びポリオキシプロピレン(POP)変性のいずれか又は双方の変性基を有することが好ましい。この変性基をもつものとしては、特に制限するものではないが、例えば特開2002−161474の段落[0006]及び[0012]に記載のものがある。
すなわち、ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等があり、特にポリオキシエチレン単独、又はポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのランダム又はブロックコポリマーが好ましい。付加モル数は2〜20モル、より好ましくは5〜15モルである。共重合するポリオキシエチレンはポリオキシプロピレンと等モルないし、それ以上が好ましい。ポリオキシエチレンの付加モル数は10モル以上であることが、水溶性を担保する観点から更に好ましい。また、この変性シリコーン中のSi含有率は20%以上70%以下である必要があり、70%を越えると製品の安定性が悪くコストが高くなる。また、20%未満の場合は十分な親水性性能が得られず好ましくない。上記のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、及びこれ等の構成モノマーが共重合されたもの等を挙げることができるが、ポリオキシエチレン部を少なくともポリオキシアルキレンに対して20重量%以上含有する必要がある。これ未満では、十分な親水性性能と水溶性が得られず好ましくない。又、上記変性シリコーンの分子量は、1,000以上100,00以下にする必要があり、この範囲を外れると親水性が低下し、特に1,000未満の場合にこの傾向が著しい。
より具体的には、ポリオキシエチレン(POE)ポリオキシプロピレン(POP)変性シリコーンや、ポリオキシエチレン(POE)変性シリコーンなどが挙げられる。
前記前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンを含有する繊維処理剤を、壁部62を構成する繊維の表面に付着させる方法としては、この種の物品に用いられる各種の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、親水性油剤への浸漬、等が挙げられる。これらの処理は、ウエブ化する前の繊維に対して行っても良いし、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行っても良い。繊維処理剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、エチレン樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。
また、セカンドシート4において、壁部62と、頂部61及び裾野部63との親水度を異ならせる場合、前述の繊維処理剤の塗布方法としては、筆を用いて塗工する、スプレーを用いる、テープ等でマスキングをして塗工するなどの手法を用いることができる。
一方、上記の毛管力とするために繊維間距離を短くする方法を採る場合、該繊維間距離は80μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましく、70μm以下が更に好ましい。またその下限は、繊維間距離が小さくなりすぎることによる、液残り量の増大や吸収速度低下を防止する観点から、35μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、45μm以上が更に好ましい。なお、この繊維間距離は前述の測定方法により得られる。
さらに上記の繊維間距離とするために、用いる繊維の繊度は、3.3dtex以下が好ましく、2.7dtex以下がより好ましく、2.2dtex以下が更に好ましい。また、その下限は、繊維が低繊度化されすぎると、繊維の表面積の増加に伴い、繊維処理剤の膜厚が減少して、接触角が疎水的になってしまい、所望の親水度を実現することが困難になり、結果として狙いの毛管力を実現できなくなる観点から、1.0dtex以上が好ましく、1.2dtex以上がより好ましく、1.5dtex以上が更に好ましい。なお、不織布における親水度は、構成繊維の接触角の相対比較によって示すことができる。接触角の値が小さいことは親水度が高いことを示し、接触角の値が大きいことは親水度が低いことを示す。
また、セカンドシート4において、壁部62と、頂部61及び裾野部63との繊維密度を異ならせる場合、前述の繊維処理剤の塗布方法としては、エンボス加工を壁部のみ、あるいは頂部および裾野部に施すなどの手法を用いることができる。
(繊度の測定方法)
電子顕微鏡等により繊維の断面形状を計測し、繊維の断面積(複数の樹脂より形成されている繊維では各々の樹脂成分の断面積)を計測するとともに、DSC(示差熱分析装置)により、樹脂の種類(複数樹脂の場合は、おおよその成分比も)を特定して、比重を割り出し、繊度を算出する。
例えば、PETのみから構成される短繊維であれば、まず断面を観察し、その断面積を算出する。その後、DSCで測定することで、融点やピーク形状から単成分の樹脂から構成されており、それがPET樹脂から構成されていることを同定する。その後、PET樹脂の密度と断面積を用いて、繊維の質量を算出することで、繊度を算出する。
加えて、セカンドシート4において、繊維内部に酸化チタンを、該繊維の質量に対して、1質量%以上含有していることが好ましく、2質量%以上含有していることがより好ましく、3質量%以上含有していることが更に好ましい。酸化チタンを含有させた繊維を用いることにより、不織布は白色度が高まり、隠蔽性が高くなる。特に、酸化チタンを含有させた繊維をセカンドシート4の構成材料として使用した場合、吸収体に吸収した経血や尿等の体液に対する隠蔽性が高く、使用後の外観からくる視覚的ドライ感を得ることができる。また、生産性、繊維強伸度物性、不織布とする場合のカード工程性、後加工工程でのカット性の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。なお、ここで言う「繊維の質量」とは、繊維表面に付着している繊維処理剤を除去した状態での質量を意味する。
酸化チタンは、例えば粒径が0.1μm以上2μm以下の範囲であることが好ましく、繊維紡糸工程で樹脂に含有させて紡糸することができる。
特に、前記繊維が芯鞘構造の複合繊維である場合、前記酸化チタンは、不織布切断時に使用する刃物の摩耗を防ぐ観点から、芯部にあることが好ましい。
さらに、セカンドシート4において、前述した液吸収速度の観点から、肌当接面側に複数のエンボス部(図示せず)が平面方向に分散配置されていることが好ましい。このエンボス部が、表面シート1からの液引き込みと吸収体3への液引渡しの両方の起点となり、繊維網目構造において、エンボス部が液拡散における中継地点となる。
また、前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、エンボス形成時の繊維の圧密化でも、繊維の内部に入り難く表面に残りやすいので、エンボス部の親水性が維持され好ましい。
さらに、セカンドシート4と吸収体3との間で、互いの毛管力を相互に作用させて液の引き渡しを迅速に行わせるため、両部材は当接、すなわち直接接触していることが好ましい。この場合、セカンドシート4の非肌当接面側が平坦面であればその全面で吸収体3と直接接触し、前記非肌当接面側が凹凸構造であれば突出部で吸収体3と直接接触することなる。また、セカンドシート4と吸収体3とは、接触状態が離れないよう固定化されていることがより好ましい。固定化の方法としては、例えば、ホットメルト接着剤などの接着剤などで、例えばスパイラス状などの粗な塗工パターンで密着する方法が挙げられる。
また、セカンドシート4は、上記の液拡散性の観点から、吸収体3の肌当接面を覆う大きさであることが好ましい。さらに、液拡散によるナプキン10の周縁部からの液漏れを防止する観点から、吸収体3の外形よりも縦方向及び幅方向において小さくされていることがより好ましい。
加えて、セカンドシート4が表面シート1からの液の引き込みを円滑にするため、両部材は当接、すなわち直接接触していることが好ましく、接触状態が固定化されていることが好ましい。この場合、セカンドシート4の突出部6が表面シート1と直接接触することとなる。固定化の方法としては、例えば、ホットメルト接着剤などの接着剤などで、例えばスパイラス状などの粗な塗工パターンで密着する方法が挙げられる。
次に、本発明に係るセカンドシートの凹凸構造の好ましい具体例について説明する。
まず、図8及び9は、両面凹凸で突出部に内部空間を有する具体例のセカンドシート410を示している(第1実施態様)。
セカンドシート410は、熱可塑性繊維を含む1層構造の不織布を含み、該不織布は両面に凹凸構造を有する。具体的には、平面視した側の第1面1A側(肌当接面側)に突出する第1突出部411と、該第1面側とは反対側の第2面1B側(非肌当接面側)に突出する第2突出部412とを複数配した凹凸構造である。また、第1突出部411及び第2突出部412はそれぞれ内部空間を有する。
第1突出部411と第2突出部412とは、セカンドシート410の厚み方向に重なることなく、平面視した際の交差する異なる方向において交互に連続して配されている。第1突出部411は、第1頂部411A、壁部411B及び裾野部411Cを有する。第2突出部412は、第2頂部412A、壁部412B及び裾野部412Cを有する。また、この構造において、壁部411B、裾野部411C、壁部412B及び裾野部412Cは、それぞれ平面方向に環状構造を有しており、全体として平面方向に環状構造を有する環状壁部415となる。環状壁部415は、厚み方向における中間に位置し、両突出部(頂部同士)を繋いでいる。
これにより、第1突出部411及び第2突出部412は、環状壁部415を介して、平面視した際の交差する異なる方向において交互に連続して配されている。この反対方向に突出した第1突出部411及び第2突出部412の交互かつ連続配置により、セカンドシート430は両面凹凸構造を有する。
さらに、第1突出部411の内部空間は、第2面1B側(第1面1A側の反対面側)に開口部413Hを有する開放された空間であり、この部分が第2面1B側における窪み部413をなす。また、第2突出部412の内部空間は、第1面1A側(第2面1B側の反対面側)に開口部414Hを有する開放された空間であり、この部分が第1面1A側における窪み部414をなす。これにより、第1面1Aにおいて、第1突出部411と窪み部414(第2突出部412の第1面側1Aの部分)が交互に配されて凹凸構造を形成している。また、第2面1Bにおいて、第2突出部412と窪み部413(第1突出部の第2面側1Bの部分)とが交互に配されて凹凸構造を形成している。すなわち、第1面1A側及び第2面1B側の両面に、セカンドシート410の厚みに近似する凹凸構造を有する。
環状壁部415は、第1突出部411及び第2突出部412それぞれの内部空間の壁面を形成しており、平面方向に環状構造を有する。より詳細には、第1突出部411の第1頂部411Aの頂点411Tと開口部413Hとの間で環状壁部415が平面方向の環状構造を有している。この環状構造が開口部413Hから頂点411Tに向かって収束するように連続し、頂部411とともにすり鉢形状(又はカップ形状)をなしている。同様に、環状壁部415は第2突出部412の第2頂部412Aの頂点412Tと開口部414Hとの間で環状壁部415が面方向の環状構造を有している。この環状構造が開口部414Hから頂点412Tに向かって収束するように連続し、頂部412とともにすり鉢形状(又はカップ形状)をなしている。
このセカンドシート410において、環状壁部415の一部をなす壁部411Bが、前述した、特定範囲の毛管力を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部411Bの毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。
加えて、セカンドシート410は、両面に凹凸構造を有し、各突出部に内部空間を有するため、表面シート1からの排泄液の受け入れ能力が高い。また、内部空間が両面にあるため、液の様々な透過経路の途中での液の一時貯蔵も可能であり、液捕捉性に優れる。そのため、予想外の液量でもあふれさせることなく、吸収体3への液引き渡しの準備ができる。
また、第1突出部411及び第2突出部412の異なる方向への交互配置により、対応する窪み部413及び414は、平面方向に広がる空間でなく、環状壁部415で区画されたすり鉢状(又はカップ状)の空間になっている。そのため、受け入れた液を過度に液拡散させずに一時貯蔵することが可能となる。一方で、隣接する窪み部413及び414の内部空間が、環状壁部415を介した双方の連携により、液の受け渡しも可能である。すなわち、一時貯蔵しながら適度な液分配を可能にする。この液分配において、環状壁部415の環状構造、壁部411Bの前記特定範囲の毛管力が、隣接する内部空間同士の液流通の促進に寄与する。例えば、表面シート1から引き抜かれた排泄液が第1面1A側の窪み部414(第2突出部412の内部空間)に落とされて一時貯蔵される場合、第2突出部412から吸収体3へ移行するだけでなく、壁部411Bの毛管力で環状に隣接する第2面1B側の窪み部413(第1突出部の内部空間)に移行して、そのまま吸収体3へと引き渡される。また、さらに液が多い場合でも、第2面1B側の窪み部413での一時貯蔵が可能である。
これにより、セカンドシート410は、表面シート1からの液の繰り返しの引き抜きを可能にし、表面シート1での液残り、液拡散を高いレベルで防止することができる。特に経血等の粘性のある排泄液について、積極的に表面シート1から両窪み部の内部空間に引き抜くことができ好ましい。
したがって、このセカンドシート410は、前記凹凸構造、壁部の前記特定の毛管力、及び、壁部における環状構造で区画された両面の窪み部413及び414による液一時貯蔵が相俟って、吸収性物品における液吸収速度をさらに高め、より持続させることができる。
さらに、セカンドシート410において、第1面1A及び第2面1Bが頂部411T及び412Tでの点接触となるため、面接触や線接触とは異なり、3次元的な変形性に優れる。そのため、セカンドシート410を表面シート1と吸収体3との間に介在させると、表面シート1が変形しやすく、また吸収体3の厚みによる硬さが表面シート1に伝わりにくくなる。その結果、ナプキン10を装着したときの肌に触れる感触が柔らかく、良好なクッション感が得られる。また、セカンドシート410の3次元的な変形により、着用者の動きに合わせた表面シート1の追従が可能で隙間が生じ難く、良好なフィット性を奏し得る。
加えて、セカンドシート410において、環状壁部415は、第1突出部411と第2突出部412とを繋ぐ方向に繊維配向性を有すると、壁部にコシが生まれる。これにより、セカンドシート410は、ほどよいクッション性により圧力がかかっても回復性に優れ、各内部空間が潰れてしまうことを回避できる。また、両面突出により体圧に対する分散性が高く、接触面積も抑えられるので、柔らかい肌触りと液戻り防止性に優れる。このようなセカンドシート430は、いずれの面を肌当接面側としてもよく、いずれの場合も吸収性物品にほどよいクッション性や柔らかい肌触り、優れた低液戻り性能を付与することができる。
この不織布410の製造には、例えば、繊維ウエブに対して、熱風温度及び風速を制御しながら多段階の熱風処理を行うエアスルー加工を採用することができる。例えば、特開2012−136790号の段落[0031]及び[0032]に記載の製造方法を用いることができる。また、ウエブを凹凸賦形させる支持体としては、中実の突起部と開口部とを有するものを用いることが好ましい。例えば、特開2012−149370号の図1及び2に示す支持体や特開2012−149371号の図1及び2に示すに示す支持体を用いることができる。
このとき、繊維量の調整により、内部空間の大きさを変更することができ、第1突出部411及び第2突出部412を中実のものとすることもできる。セカンドシート410を中実にする方法としては、例えば、特開2014−12913号公報の段落[0043]〜[0050]に記載の製造方法が挙げられる。
図10は、上記セカンドシート410の不織布を用いて2層構造にした、片面凹凸のセカンドシート410Bを示している。具体的には、セカンドシート410をなす不織布(第1繊維層)410Cの第2面1B側(非肌当接面側)に沿って第2繊維層410Dが接合されている。セカンドシート410Bは、第1面1A側(肌当接面側)に、第1突出部411と窪み部414とからなる凹凸構造と、環状構造の壁部411Bを有する。
このセカンドシート410Bにおいても、壁部411Bが、前述した、特定範囲の毛管力を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部411Bの毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。
次に、図11は、片面凹凸で中空構造の具体例のセカンドシート420を示している(第2実施態様)。
セカンドシート420は、図11に示すように、中空部425を有する二層構造不織布を含む。いずれの層も熱可塑性繊維を含む。セカンドシート420においては、第1不織布421と第2不織布422とが部分的に熱融着された接合部420Aを有する。接合部420Aに囲まれた非接合部420Bにおいて、第1不織布421が、第2不織布422から離れる方向に突出して、内部に中空部425を有する突出部423を多数有する。接合部420Aの第1面1A側は、隣り合う突出部423,423間に位置する窪み部424であり、突出部423と共に第1面1Aの凹凸構造を構成している。このセカンドシート420は、例えば、2つの凹凸ロールの噛み合わせにより第1不織布421を凹凸賦形した後、第2不織布422を貼り合わせてセカンドシート420を得る。
突出部423は、セカンドシート420の厚みを突出厚みとし3等分して、第1面1A側から、頂部426、壁部427、裾野部428と区分される。
このセカンドシート420においても、壁部427が、前述した、特定範囲の毛管力を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部427の毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。
次に、図12は、片面凹凸で中実構造の具体例のセカンドシート430を示している(第3実施態様)。
セカンドシート430は、第1面1A(肌当接面)側の上層431と第2面1B(非肌当接面)側の下層432の2層構造の不織布を含む。第1面1A側から厚み方向にエンボス加工(圧搾)が施されて2層が接合されている(エンボス加工が施された底部を凹状接合部433という。)。下層432は、熱収縮性繊維の熱収縮が発現した層である。上層431は、非熱収縮性繊維を含む層であり、非熱収縮性繊維は凹状接合部433で部分的に接合されている。非熱収縮性繊維は、加熱により全く収縮しないものに限らず、下層432の熱収縮性繊維の熱収縮を阻害しない程度に収縮するものを含む。
このセカンドシート430の不織布は、例えば、特開2002−187228号公報の段落[0032]〜[0048]の記載の素材と製造方法とによって製造することができる。この製造において、例えば、上層431と下層432の積層体に対し、上層側431からエンボス加工等した後、熱処理で熱収縮性繊維を熱収縮させる。このとき、その繊維の収縮によって隣接するエンボス部分同士が引っ張られ互いの間隔が縮まる。この変形により、上層431の繊維は、凹状接合部433を基点として第1面1A側に隆起し、突出部434を形成する。
このように製造されたセカンドシート430において、エンボス凹部(窪み部)435では、上層431が下層側432に圧搾されて接合されている。このエンボス凹部435及び凹状接合部433は、セカンドシート430の平面方向に散点状に形成されており、エンボス凹部435及び凹状接合部433に囲まれた部分が、前述の、上層431が隆起してなる突出部434である。突出部434は、三次元的な立体形状であり、例えばドーム形状をなしている。上記のようの製造方法で形成される突出部434は、繊維が下層432よりも粗な状態となっている。突出部434の内部は、図12に示すように繊維で満たされた中実構造でもよく、上層431と下層432とが分離してなる内部空間を有する中空構造でもよい。エンボス凹部435と突出部434との平面配置は任意とすることができ、例えば、格子配置としてもよい。
突出部434は、セカンドシート430の厚みを突出厚みとし3等分して、第1面1A側から、頂部436、壁部437、裾野部438と区分される。
このセカンドシート430においても、壁部437が、前述した、特定範囲の毛管力を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部437の毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。加えて、セカンドシート430は、窪み部をエンボスにより形成したエンボス凹部435としているので、凹部底部の不織布繊維の密度が高められている。そのため、前述した表面シート1からのいずれの液引き込み経路においても、エンボス凹部435から凹部底部の高密度部分に液が集められて吸収体3へと抜けやすい。また、これによりセカンドシート430中の液残りが少なくなり、かつ、逆方向への液戻りが抑えられる。
次に、図13は、片面凹凸で中実構造の別の具体例のセカンドシート440を示している(第4実施態様)。
セカンドシート440は、熱可塑性繊維を含む1層構造の不織布を含み、該不織布は第1面1A側にのみ凹凸構造を有する。より詳細には、第1面1A側に、半円筒状の突出部441と該突出部441の側縁に沿って配された窪み部442とが複数交互に配置された形状を有する。窪み部442の下側には、不織布の繊維からなる窪み底部443が配されている。窪み底部443は、突出部441よりも繊維密度が低くされている。加えて、このセカンドシート440においては、突出部441上に別の繊維層445を部分的に積層してもよい(図14参照)。
突出部441は、セカンドシート440の厚みを突出厚みとし3等分して、第1面1A側から、頂部446、壁部447、裾野部448と区分される。
このセカンドシート440においても、壁部447が、前述した、特定範囲の毛管力を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部447の毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。加えて、セカンドシート440では、壁部447の毛管力で突出部441の頂部446から引き込んだ液は、窪み底部443の繊維密度の低さにより窪み底部443へと移行しやすく、窪み部442において第2面1B側へと移行しやすい。これによりさらに液残りが少なく肌のべたつきが抑えられる。
このようなセカンドシート440は、繊維ウエブに対して、窪み部442とする部分に熱風等の流体を吹き付けて繊維を移動させることにより形成することができる。これにより窪み底部443の繊維密度がその周辺よりも低くすることができる。
図15は、両面凹凸で内部空間を有する別の具体例のセカンドシート450を示している(第5実施態様)。
セカンドシート450は、図15に示すように、一方向(Y方向)に延びる筋状の凸条部451と凹条部452とが、交互に配された凹凸構造を有する不織布を含む。また、セカンドシート450の厚み方向において、前記凹凸構造を2等分した肌当接面側の部分について、頂部450A、壁部450B及び裾野部450Cの3等分に区分することができる。
セカンドシート450は構成繊維454同士の交点の熱融着部455を複数有する。1本の構成繊維454に着目すると、構成繊維454は、図16に示すように、隣り合う融着部455同士の間に、繊維径の小さい2個の小径部456に挟まれた大径部457を有する。柔軟性の観点から、小径部456から該大径部457への変化点458は、隣り合う融着部455,455同士の間隔Tの、融着部455寄りの1/3の範囲内(図16のT1及びT3の範囲)にあることが好ましい。このような構成繊維における小径部456及び大径部457の構成は、凸条部451及び凹条部452を形成する刃溝延伸加工の際に、繊維が延伸されることによって形成される。その際用いる繊維としては、延伸度の高い繊維が好ましい。例えば、特開2010−168715号公報の段落[0033]に記載の処理工程を経て得られる、加熱により樹脂の結晶状態が変化して長さの延びる熱伸張性繊維などが挙げられる。
このセカンドシート450においても、壁部450Bが、前述した、特定範囲の毛管力を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部450Bの毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。
セカンドシート450は、単独で用いる場合に限らず、平坦な繊維層と接合した積層構造にしてもよく、凹凸のある繊維層に積層して該凹凸に沿って一体化した積層構造としてもよい。例えば、前述のセカンドシート410〜440の第1面1A側又は第2面1B側に積層して用いてもよい。
図17は、片面凹凸で中実構造の別の具体例のセカンドシート460を示している(第6実施態様)。
セカンドシート460は、熱伸長性繊維を含む凹凸構造を有する不織布を含む。図17に示すように、第1面1A側が凹凸形状である。一方、第2面1B側は平坦であるか第1面1A側よりも凹凸の程度が極めて小さい。第1面1A側の凹凸形状は、具体的には、複数の突出部461とこれを囲む線状の窪み部462とかならなる。窪み部462は、セカンドシート460の構成繊維が圧着又は接着された圧接着部を有し、熱伸長性繊維は非伸長の状態である。突出部461は、熱伸長性繊維が熱伸長して第1面1A側に隆起した部分である。したがって、突出部461は、繊維密度が窪み部462よりも疎で嵩高い部分となっている。また、線状の窪み部462は格子状に配置しており、格子で区画される各領域に突出部461が点在して配置されている。なお、セカンドシート460は、単層構造であってもよく、2層以上の複数層の構造であってもよい。
このセカンドシート460においても、突出部461が、頂部の吸収体側に位置する、前述した特定範囲の毛管力を有する壁部を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部の毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。
セカンドシート460は次の方法により製造することができる。まず、繊維ウエブに対して、ヒートエンボス加工によって線状の窪み部462を形成する。このとき、窪み部462では、熱伸長性繊維は圧着または融着されて熱熱伸長されないで固定されている。次いで、エアスルー加工により窪み部461以外の部分に存する熱伸長性繊維が伸長して突出部461が形成され、セカンドシート460となる。また、不織布60の構成繊維としては、上記の熱伸長性繊維と非熱伸長性の熱融着性繊維との混綿であってもよい。これらの構成繊維としては、例えば、特開2005−350836号公報の段落[0013]、[0037]〜[0040]に記載のもの、特開2011−1277258号公報の段落[0012]、[0024]〜[0046]に記載のものなどを用いることができる。
図18は、片面凹凸の別の具体例のセカンドシート470を示している(第7実施態様)。
セカンドシート470は、図18に示すように、熱可塑性繊維を含む上層471と下層472からなる2層構造の不織布を含む。第1面1A側の上層471には突出部473と窪み部474とが交互に配されており、窪み部474は開孔している。窪み部474の繊維密度は、突出部473の繊維密度よりも低くされている。突出部473と窪み部474とが交互に繰り返し配置される領域は、上層471の一部にあってもよく全体にあってもよい。一方、下層472は実質的に繊維密度が均一である。下層472は、少なくとも、上層471の突出部473と窪み部474とが交互に繰り返し配置される領域に対応して積層される。
このセカンドシート470においても、突出部473が、頂部の吸収体側に位置する、前述した特定範囲の毛管力を有する壁部を有する。これにより、前述したセカンドシート4の場合と同様に、前記凹凸構造と前記壁部の毛管力とが相俟って、表面シート1からの液引き込み性を高め、吸収性物品の速い液吸収速度を高いレベルで維持する。
このようなセカンドシート470は、例えば、特開平4−24263号公報の第6頁左下欄12行〜第8頁右上欄19行の記載の方法により製造することができる。
本実施形態のナプキン10の構成部材の素材としては、この種の物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
セカンドシートは不織布を含み、該不織布は上記の毛管力を具備し得るものを特に制限なく採用できる。例えば、エアスルー不織布、エアレイド不織布、サクションヒートボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられる。特に、液透過の観点から、エアスルー不織布、エアレイド不織布、ケミカルボンド不織布が好ましく用いられる。これらの不織布が、疎水性の繊維(例えば熱融着性繊維)から構成されている場合には、前述した繊維処理剤を用いて親水化させることが好ましい。セカンドシート4をなす不織布の坪量は、20g/m2以上50g/m2以下であることが、装着感を損なわず且つセカンドシート4が有する保水性や液拡散性を損なわない点から好ましい。また、セカンドシート4の厚みは、好ましくは0.4mm以上2.0mm以下、更に好ましくは0.4mm以上1.5mm以下である。
吸収体3としては、この種の物品に用いられるものを特に制限することなく任意に採用できる。例えば、親水性の繊維集合体からなる吸収性コアをコアラップシートで被覆してなるもの、シート状のものなどが挙げられる。前記吸収性コアにはさらに高吸水性ポリマーが含有されていてもよい。前記シート状のものとしては、例えば、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシートなどがある。また、二枚の吸収紙又は不織布の間に高吸水性ポリマーの粒子を挟持固定した吸水性シート(例えば、特開平8−246395号に記載の吸水性シートや特開2004−275225号に記載のポリマーシート)などがある。前記繊維集合体をなす繊維は、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプや植物パルプ等の天然繊維、キュプラやレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。前記コアラップシートの素材としては、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシート、親水性の不織布などが挙げられる。
表面シート1は、液透過性であり、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
裏面シート2の素材としては、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布との貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。
本実施形態の生理用ナプキン10は、凹凸構造と前記毛管力とを備えたセカンドシート4とを有するものであれば、他の部材構成や形状は特に前述したもの限定されない。例えば、本発明の吸収性物品は、防漏溝5を環状ではなく、複数に分離した溝の組み合わせであってもよい。また、後方部Rに、着用者の臀部を覆うように長く広がる後部フラップ部等を有するものであってもよく、股下部Cに、下着のクロッチに固定させる一対のウイング部を有するものであってもよい。さらに、表面シート1上の縦方向(Y方向)の両側に、排泄液の横漏れを防ぐ、撥水性のサイドシートが配されていてもよい。また、裏面シート2の非肌当接面側に、下着に固定する粘着部を有していてもよく、さらに該粘着部を剥離可能に覆う剥離シートなどがあってもよい。
また、本発明の吸収性物品は、上記の生理用ナプキンに限定されるものではなく、排泄液を吸収保持する種々のものとすることができる。例えば、パンティライナーや失禁パッド、おむつ、尿とりパッドなどであってもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
(1)セカンドシート用不織布の作製:
繊維に対して繊維処理剤を塗工し、24時間乾燥後、特開2012−136790号公報の段落[0031]に記載の製造方法に基づき、図8及び9に記載の両面凹凸のエアスルー不織布を作製した。該不織布には、芯部がポリエチレンテレフタレート樹脂、鞘部がポリエチレン樹脂からなり、繊度が2.2dtexの熱融着性芯鞘複合繊維を用いた。不織布全体の厚み(見掛けの厚み)は2.8mmであり、全体の目付は25gsmであった。また、壁部の繊維厚み部(図5の斜線部6E(矢印部分)に相当する部分。図示せず。)の繊維間距離は49μmであった。
なお、不織布作製の前に原綿に対して、予め下記の油剤A:油剤B=50質量%:50質量%で調製した繊維処理剤を、浸漬方法で塗工した。
(繊維処理剤)
・油剤A:HLB7.0のポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン〔信越化学工業株式会社社製、KF6012(商品名)〕:50質量%
・油剤B:HLB7.0のステアリン酸ジエタノールアミド〔川研ファインケミカル株式会社社製、アミゾールSDE(商品名)〕:50質量%
また、上記の不織布には、マスターバッチ(樹脂に高濃度の酸化チタンを練りこんだペレット状のもの)に含有した酸化チタンとPETを溶融混練して押し出し成型する方法により、繊維の質量に対して、酸化チタンを3質量%含有させた。
上記処理を施し得られた実施例1のセカンドシート用不織布の壁部の毛管力は、前述した(毛管力の測定方法)に基づいて測定した結果、1.68×10Nであった。また、実施例1のセカンドシート用不織布の壁部の親水度は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、66°であった。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して実施例1のセカンドシートとした。
(2)吸収体の作製:
次のようにして2種類の大きさの吸収性シートからなる吸収体Aを作製した。
まず、各吸収性シートとして、特許2963647に記載の方法(主に段落[0079]〜[0087]に記載の方法)に沿って作製したもので、二枚の親水性繊維集合体の間に高吸水性ポリマーの粒子を挟持固定した吸水性シートを用いた。2種類のうちの一方の吸水性シートの大きさは、幅90mm、長さ90mm、他方の吸水性シートの大きさは、幅160mm、長さ215mmとした。
次いで、幅90mm、長さ90mmの吸水性シートを二つ折りにすることで、幅35mm、長さ90mmの状態にして吸収体Bを作製した。さらに該吸収体Bを覆うように、幅160mm、長さ215mmの吸収性シートを長さ215mm、幅75mmに折りたたむことで、吸収体Aを作成した。
得られた吸収体Aの液吸収部の厚みは2.9mmであり、密度は0.15cm/gであった。
(3)表面シート用不織布の作製:
特開2007−182662号公報の実施例1と同様にして作製した。ただし、坪量は25gsm、厚みは1mmとした。
(実施例2)
吸収体及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
セカンドシート用不織布は、壁部の繊維厚み部の繊維間距離66μmとし、繊維処理剤(実施例1で用いた油剤の混合比を油剤A及び油剤B=35質量%:65質量%)を用い、酸化チタンの含有量0.15質量%とした以外は、実施例1と同様にして作製した。実施例2のセカンドシート用不織布の壁部の毛管力は、実施例1と同様にして、繊維間距離に応じた、親水度を調整した前述の繊維処理剤を塗工することで調製し、毛管力1.60×10Nとした。また、実施例2の不織布の壁部の親水度は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、58°であった。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して実施例2のセカンドシートとした。
(実施例3)
吸収体及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
セカンドシート用不織布は、両面の凹凸構造を有するエアスルー不織布であり、第1突出部の内部に繊維で埋められた中実部とした(すなわち内部空間を有さない第1突出部とした)。その製造法は、特開2014−12913号公報の段落[0043]〜[0050]に記載の製造方法に基づいて作製した。セカンドシート用不織布の構成繊維は、実施例1と同様の素材で、繊度を4.2dtexとした。繊維処理剤は実施例1と同様のものを用いた。また、酸化チタンの含有量は実施例と同様にした。セカンドシート用不織布全体の厚み(見掛けの厚み)は2.8mmであり、全体の目付は25gsmであった。また、壁部の繊維厚み部(図3の水平部6C(矢印部分)に相当する部分。図示せず。)の繊維間距離は55μmであった。
実施例3のセカンドシート用不織布の壁部の毛管力は、実施例1と同様にして、繊維間距離に応じた、親水度を調整した繊維処理剤を塗工することで調製し、2.15×10Nとした。また、実施例3のセカンドシート用不織布の壁部の親水度は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、54°であった。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して実施例3のセカンドシートとした。
(実施例4)
吸収体及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
セカンドシート用不織布については、壁部の繊維厚み部の繊維間距離を50μmとし、下記の油剤A:油剤B=80質量%:20質量%で調製した繊維処理剤を用いた以外は、実施例1と同様にして作製した。
(繊維処理剤)
・油剤A:HLB5.0のポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン〔信越化学工業株式会社社製、X22451(商品名)〕:80質量%
・油剤B:HLB7.0のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム〔花王株式会社製、ぺレックスOT−P(商品名)〕:20質量%
実施例4のセカンドシート用不織布の壁部の毛管力は、実施例1と同様にして、繊維間距離に応じた、親水度を調整した上記の繊維処理剤を塗工することで調製し、毛管力1.71×10Nとした。また、実施例4のセカンドシート用不織布の壁部の親水度は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、65°であった。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して実施例4のセカンドシートとした。
(実施例5)
吸収体及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
セカンドシート用不織布については、壁部の繊維厚み部の繊維間距離を45μmとし、下記の油剤A:油剤B=15質量%:85質量%で調製した繊維処理剤を用いた以外は、実施例1と同様にして作製した。
(繊維処理剤)
・油剤A:HLB7.0のポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン〔信越化学工業株式会社社製、KF6012(商品名)〕:15質量%
・油剤B:HLB7.0のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム〔花王株式会社製、ぺレックスOT−P(商品名)〕:85質量%
実施例5のセカンドシート用不織布の壁部の毛管力は、実施例1と同様にして、繊維間距離に応じた、親水度を調整した上記の繊維処理剤を塗工することで調製し、毛管力2.01×10Nとした。また、実施例5のセカンドシート用不織布の壁部の親水度は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、60°であった。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して実施例5のセカンドシートとした。
(実施例6)
セカンドシート用不織布及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
吸収体は、パルプ繊維の集合体をセルロース繊維からなる被覆シートで包んだもの(これをパルプ吸収体という。)である。この吸収体の厚みは4.6mmであり、密度は0.06cm/gであった。
(比較例1)
吸収体及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
比較例1のセカンドシート用不織布は、繊維ウエブを凹凸賦形させずに熱風処理して得た、平坦な形状のエアスルー不織布である。用いた繊維は、実施例1と同様に、芯部がポリエチレンテレフタレート樹脂、鞘部がポリエチレン樹脂からなり、繊度が2.2dtexの熱融着性芯鞘複合繊維であった。不織布全体の厚みは0.4mmであり、全体の目付は25gsmであった。また、繊維間距離は45μmであった。
なお、比較例1のセカンドシート用不織布作製の前に原綿に対して、予め下記の油剤A:油剤B=15質量%:85質量%で調製した繊維処理剤を、浸漬方法で塗工した。
(繊維処理剤)
・油剤A:HLB7.0のポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン〔信越化学工業株式会社社製、KF6012(商品名)〕:15質量%
・油剤B::HLB7.0のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム〔花王株式会社製、ぺレックスOT−P(商品名)〕85質量%
また、比較例1のセカンドシート用不織布には、実施例1と同様にして、繊維の質量に対して、酸化チタンを3質量%含有させた。
得られた比較例1のセカンドシート用不織布の毛管力は、前述した(毛管力の測定方法)に基づいて測定した結果、1.93×10Nであった。また、比較例1のセカンドシート用不織布の繊維の接触角は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、64°であった。この場合の毛管力及び接触角は、不織布の表面の部位から10点を測定し平均することにより測定した。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して比較例1のセカンドシートとした。
(比較例2)
吸収体及び表面シート用不織布は実施例1と同様にして作製した。
セカンドシート用不織布は、壁部の繊維厚み部の繊維間距離を46μmとし、下記の油剤A:油剤B=60質量%:40質量%で調製した繊維処理剤を用い、酸化チタンの繊維質量に対する含有量を0.15質量%とした以外は、実施例1と同様にして作製した。
(繊維処理剤)
・油剤A:HLB9.0のポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸カルシウム〔ミヨシ油脂株式会社社製、アンホレックスMP−2K(商品名)〕:60質量%
・油剤B:HLB7.0のステアリン酸ジエタノールアミド〔川研ファインケミカル株式会社社製、アミゾールSDE(商品名)〕:40質量%
比較例2のセカンドシート用不織布の壁部の毛管力は、実施例1と同様にして、繊維間距離に応じた、親水度を調整した上記の繊維処理剤を塗工することで調製し、毛管力0.56×10Nとした。また、比較例1のセカンドシート用不織布の壁部の親水度は、前述した(接触角の測定方法)に基づいて測定した結果、87°であった。
上記のセカンドシート用不織布を、6.5cm×25cmの大きさに切断して比較例2のセカンドシートとした。
(比較例3)
セカンドシート用不織布及び表面シートは比較例1と同様のものを作製し、吸収体は実施例6と同様のものを作製した。
(比較例4)
セカンドシート用不織布及び表面シートは比較例2と同様のものを作製し、吸収体は実施例6と同様のものを作製した。
(評価)
まず、評価用の生理用ナプキンを次のとおりにして準備した。吸収性物品の一例として生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエSpeed+肌きれいガード、2013年製)から表面シートから吸収体までの部材を取り除いた。そこに、各実施例及び各比較例の吸収体を載置し、セカンドシート用の不織布を所定の大きさに裁断して積層し、さらに表面シート用の不織布を所定の大きさに裁断して積層し、その周囲を固定した。これを各実施例及び各比較例の評価用の生理用ナプキン(以下、サンプルともいう)とした。評価用の生理用ナプキンの大きさは、縦方向20cm、横方向10cmであった。
(加圧下吸収時間;液吸収速度)
各評価用の生理用ナプキンの表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに5g/cmの一定荷重を掛けて静置した。その際、前記透過孔が評価用生理用ナプキンの表面シート上の縦横中央付近に位置するようにした。前記透過孔には、高さ6cmの筒状の注入口を設けた。
静置して1分後、斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)4.0gを流し込んだ(1回目)。なお、前記脱繊維馬血の粘度は、東機産業株式会社のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬血は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿など)は、上澄みとして残る。その粘度の低い部分(血漿など)と粘度の高い部分(赤血球など)との混合比率を、8.0cPになるように調整した。
次いで、前記脱繊維馬血を流し込んでから15分後に更に脱繊維馬血4.0gを流し込んだ(2回目)。2回目の脱繊維馬血の注入開始から、前記筒状の注入口内の馬血がすべて透過されるまでの時間を吸収時間として測定した。
以上の操作を3回行い、3回の平均値を各評価用の生理用ナプキンの加圧下吸収時間とした。この時間が短い程、装着時における液吸収速度が速いことを示す。
(動的環境下での液吸収性ないし赤み隠蔽性の測定)
前述の評価用の生理用ナプキンを、(加圧下吸収時間;液吸収速度)のものとは別に用意し、各サンプルを生理用ショーツに固定し人体の動的モデルに装着した。
次いで、動的モデルの歩行動作を開始させ、歩行動作開始より5秒後に、液排泄点より3gの脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)を注入した(1回目)。
更に1回目の液注入終了より3分後に3gの馬血を注入した(2回目)。
最後に液を注入し終わってから30分後歩行動作を継続した後、吸収性物品のサンプルを生理用ショーツから外し、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333を用いて馬血を注入した点のL値(明度)を測定した。該測定は、馬血の注入点を中心に視野直径8mmの範囲で行った。また、注入点において、異なる部位で計3回測定し、その平均を各サンプルのL値とした。
上記の測定の結果得られたL値は液注入後の表面シート白さを表し、該L値が高いほど、表面シートの赤みが消えて液吸収されていることを示す。すなわち、L値が高いほど、日常的な歩行環境において繰り返しの排泄があっても、優れた液残り抑制を示し、表面シートの良好なドライ感が維持されていることを示す。
上記試験結果は、下記表1〜3のとおりであった。
上記表1及び2に示すとおり、実施例1〜5の加圧下吸収時間は、比較例1及び2の加圧下吸収時間よりも格段に短くなっていた。すなわち、セカンドシートが凹凸構造を有し壁部の毛管力が1.5×10N以上2.5×10N以下であることにより、繰り返し排泄の状況下で速い液吸収速度が高いレベルで維持されていた。例えば、実施例1は、図8及び9の凹凸構造と壁部毛管力1.68×10Nとの組み合わせたセカンドシートにより、比較例1の、平坦で実施例よりも高い壁部毛管力セカンドシートのものよりも、5分の1以下の液吸収時間であり優れた液吸収速度を示した。
また、動的環境下での液吸収性ないし赤み隠蔽性の測定では、実施例1〜5は、比較例1及び2に比べ、液の吸収速度を維持しながら、表面シート上の赤みが抑えられており、液残りなく優れた液吸収性を示した。例えば、実施例1は、図19(A)に示すとおり、比較例2のもの(実施例1と同じ凹凸構造で、壁部の毛管力が0.56×10N)の結果(図19(C)参照)に比べて、表面シート上の赤みが消えていた。これは、セカンドシートの肌当接面側の頂部の液が壁部の毛管力による引き抜きが有効に作用しことによると考えられ、突出部がなく平坦で毛管力の高い比較例1の場合(図19(B)参照)と遜色ない結果であった。
一方、表3は、実施例6並びに比較例3及び4の試験結果を示す。ここでは、吸収体を吸収体Aからパルプ吸収体に代えて試験した結果を示している。パルプ吸収体の系で、実施例6は比較例4より吸収速度が優れていた。一方、実施例6と比較例4は同じ吸収時間であった。これは、パルプ吸収体が、液の吸収性がよい吸収体で、もともとの吸収時間が少ないために、表面から液が不織布に入り込む間の時間には差異が見えなかったためである。
しかし、動的評価の結果は実施例6の方が優れていた。これは、不織布表面から内部での液の受け渡しが毛管力によってスムーズに働いたためである。
以上のことから、本発明の吸収性物品は、繰り返しの排泄でも低下しない優れた液吸収速度を維持し、液吸収後の残りも高いレベルで抑えられていた。すなわち、本発明の吸収性物品は、液吸収速度と液残り防止とを高いレベルで維持して、装着している間、繰り返しの排泄があっても、肌の良好なドライ感が実現されることが分かる。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
4、410、420、430、440 セカンドシート
6、411、412、423、434、441、451、461、473 突出部
7、413、414、424、435、442、452、462、474 窪み部
61、411A、426、436、446、450A 頂部
62、411B、427、437、447、450B 壁部
10 生理用ナプキン

Claims (8)

  1. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと該裏面シートとの間に配された液保持性の吸収体を備え、前記表面シートと吸収体との間にセカンドシートを有する吸収性物品であって、
    前記セカンドシートは、突出部を複数配してなる凹凸構造を有する不織布を含み、
    前記突出部は、該突出部の頂部に連なる、毛管力が1.5×10N以上2.5×10N以下の壁部を有する、吸収性物品。
  2. 前記セカンドシートが、HLBが5以上7以下のポリオキシアルキレン変性シリコーンを含有する請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンが、ポリオキシエチレン変性及びポリオキシプロピレン変性から選ばれる少なくとも1の変性基を有する請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンを、繊維処理剤の質量に対して、15質量%以上含む請求項2又は3に記載の吸収性物品。
  5. 前記セカンドシートの繊維内部に酸化チタンを、繊維の質量に対して、1質量%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記セカンドシートの不織布は、平面視した側の第1面側に突出し内部空間を有する第1突出部と、前記第1面側とは反対側の第2面側に突出し内部空間を有する第2突出部とを複数配してなる凹凸構造を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記第1突出部及び前記第2突出部は、前記壁部を介して、前記不織布の平面視交差する異なる方向において交互に連続して配されている請求項6記載の吸収性物品。
  8. 前記第1突出部の内部空間は第2面側に開口部を有し、該開口部と前記第1突出部の頂部との間で、前記壁部が環状構造を有している請求項6又は7に記載の吸収性物品。
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