JP6329991B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品は、通常、表面シート、裏面シート及び両シート間の吸収体を有し、表面シート側の面を着用者の肌に当てて使用される。このような吸収性物品において、排泄液が表面シートから素早く吸収体へと透過され、液が肌に触れないようにすることが、基本的な吸収性能として求められる。近年、吸収性物品には、ドライ性など着用者の着用感を高める技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、吸収性物品のトップシート(前記表面シート)に経血の残存が少ないことをユーザーに視覚的に認識させる観点から、着色抑制剤を前記トップシートに含有させることが記載されている。また、特許文献2には、吸収性物品の液吸収性等の向上の観点から、HLB9〜20の界面活性剤で処理した合成繊維を含有する繊維層を含む吸収性物品が記載されている。
特開2012−236001号公報 特開2008−237569号公報
吸収性物品を構成する上記のような構成部材には、不織布等の繊維材料が用いられることが多い。該不織布等には、繊維間が狭い領域が存在する。その領域には、排泄液(例えば尿や経血。単に液体ともいう。)を透過できる空間があっても、繊維間のメニスカス力や血漿タンパク質による表面活性、また血液の表面粘性が高いことから、繊維間に安定した液膜が生じ、液が留まりやすい。従来の技術においては、完全には液膜を解消することはできず、ドライ性はまだ満足できるものではなかった。さらに、近年はドライ性に加え、消費者から肌触りの良さが求められている。そのため、細い繊維を用いることが行われている。しかしながら、細い繊維を用いると繊維間はより狭くなる。これにより、繊維間の液膜が更に生じやすく、かつ液膜が破裂しにくくなって、液がなおさら残りやすくなる。また、これは吸収対象液が血液に限定されるものでない。例えば、尿においてもリン脂質による表面活性があるため、上記と同様に液膜が生じて液残りに繋がる。このように種々の排泄液が液膜として繊維間に安定的に残存し、従来の技術では解消し得ず、不織布等を用いた吸収性物品のドライ性はまだ満足できるものではなかった。
そのため、不織布中の繊維間が狭い部分にできる液膜を取り除く技術が求められている。しかし、液膜の高い安定性ゆえに取り除くことは困難であった。また、液の表面張力を下げて液膜を取り除くべく、水溶性の界面活性剤を塗布することも考えられる。しかし、このような界面活性剤を吸収性物品に用いて液膜除去を可能にしようとすると、液が液防漏性のバックシートをも透過するおそれがあった。
また、吸収性物品を構成する表面シートが不織布からなるとき、該不織布を液透過性に優れたものとすることが求められる。この観点から、表面シートをなす不織布表面において、液が繊維間に入り込みやすい適度な親水性が必要である。不織布表面における親水性が低すぎると、液が繊維間に入るよりも先に、不織布表面の液流れが発生する可能性が高くなる。
本発明は、上記の問題点に鑑み、液残り低減の更なる向上を実現しながら、表面シート表面での液流れ防止性を高めた吸収性物品に関する。
本発明は、表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、前記表面シートと吸収体との間には、液膜開裂剤を含有するセカンドシートが配されている吸収性物品を提供する。
本発明の吸収性物品は、液残り低減の更なる向上を実現しながら、表面シート表面での液流れ防止性を高めたることができる。
発明に係る吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンを肌面方向から模式的に示した一部切欠斜視図である。 不織布の繊維間の隙間に形成された液膜を示す模式図である。 (A1)〜(A4)は本発明に係る液膜開裂剤が液膜を開裂していく状態を側面から模式的に示す説明図であり、(B1)〜(B4)は本発明に係る液膜開裂剤が液膜を開裂していく状態を上方から模式的に示す説明図である。
本発明に係る吸収性物品について、その好ましい実施形態としての生理用ナプキン10を示し、図面を参照しながら以下に説明する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側、肌当接面側又は表面側といい、これと反対側を非肌面側、非肌当接面側又は裏面側という。着用時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。この前端部と後端部とを結ぶ方向、つまり着用者の腹側部から股下部を介して背側部に亘る方向を、吸収性物品の縦方向(Y方向)という。この縦方向と直交する方向を横方向(X方向)という。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚みという。
図1に示すように、本実施形態の生理用ナプキン10(以下、単にナプキン10ともいう。)は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1、非肌当接面側に配置される裏面シート2、及び該両シートの間に配置される液保持性の吸収体3を有する。表面シート1と吸収体3との間に、液膜開裂剤を含有する、液透過性のセカンドシート4が配置されている。さらに、生理用ナプキン10の肌当接面側には、表面シート1から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝5が配されており、該防漏溝5は平面視、環形状をなしている。
ナプキン10は、縦方向(Y方向)と、該縦方向と直交する横方向(X方向)とを有する、縦長形状である。ナプキン10は、表面シート1側を着用者の肌当接面側に向け、かつ、その縦方向を下腹部側から臀部側にかけて配し、その幅方向を左右の足をつなぐラインに沿う方向に向けて配して着用される。
ナプキン10は、縦方向(Y方向)において、着用者の排泄部を覆う股下部C、股下部Cよりも前方の下腹部側に対応する前方部F、後方の臀部側に対応する後方部Rを有する。股下部Cには、幅方向中央に、排泄液を直接受ける液吸収領域C1がある。本実施形態における股下部Cは、生理用ナプキン10を縦方向に3領域の区分したときの中央の領域である。なお、この区分は、股下部Cを基準に前方部F及び後方部Rが決められる。そのため、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さにより区分位置が異なる。例えば、臀部を覆う幅広の後方フラップを有する吸収性物品の場合、股下部Cは、ナプキンの前方寄りとなる。
吸収体3は、吸収性物品において通常とり得る種々の構成とすることができる。通常、液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアの形状を保持するコアラップシートとからなる。コアラップシートは、吸水紙や親水性の不織布等からなる。
吸収体3の具体例としては、例えば、パルプ繊維の集合体(ウエブ)からなる吸収性コア、又は該パルプ繊維及び高吸水性ポリマー材(いわゆるSAPと呼ばれる表面架橋された高分子材料)の集合体からなる吸収性コアと、該吸収性コアの肌当接面及び非肌当接面を被覆するコアラップシートとからなるものが挙げられる(以下、パルプ吸収体ともいう。)。また、前記高吸水性ポリマー材の集合体からなる吸収性コアを基材シートのコアラップシートで挟持して固定させた吸収性シートが挙げられる。吸収性シートは、シート状の吸収体であり、パルプ吸収体よりも格段に厚みが薄くされている。
次に、セカンドシート4について詳述する。
セカンドシート4は親水性の不織布からなり、表面シートの非肌当接面に当接して配されている。セカンドシート4は、液透過性を有し、表面シート1内に存在する排泄液を積極的に引き抜いて表面シート1下で液拡散をし、これにより吸収体3に対して、広い面で液の引き渡しをする機能を有する。また、セカンドシート4は、表面シート1と吸収体3との間に一定の距離を確保して、吸収体3から表面シート1への液戻りを抑制する機能を有する。
このような機能を有するセカンドシート4は、吸収体3を構成する部材でなく、独立した部材である。すなわち、セカンドシート4は、上記の液戻り抑制機能を有することから、液を保持する吸収性コアに当接しておらず、該吸収性コアに当接するコアラップシートや基材シートとは異なる部材である。
なお、セカンドシート4は、1枚のシートからなるものであってもよく、複数のシートが積層されたものであってもよい。また、複数の繊維層が一体化された1枚のシートからなるものであってもよい。
セカンドシート4が含有する前記液膜開裂剤とは、液、例えば、経血等の高粘性の液や尿などの排泄液が不織布に触れて不織布の繊維間ないしは繊維表面に形成される液膜を開裂させたりして、液膜の形成を阻害する剤のことをいい、形成された液膜を開裂させる作用と、液膜の形成を阻害する作用とを有する。前者は主たる作用、後者は従たる作用ということができる。液膜の開裂は、液膜開裂剤の、液膜の層の一部を押しのけて不安定化せる作用によりなされる。この液膜開裂剤の作用により、液が不織布の繊維間の狭い領域に留まることなく通過しやすくなる。すなわち、液透過性に優れた不織布となる。
(液膜を消失させる性質)
本発明で用いられる液膜開裂剤は、液膜を消失させる性質を有しており、斯かる性質により、該液膜開裂剤を血漿成分を主体とする試験液又は人工尿(組成:尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル(約0.07質量%)であり、表面張力を53±1dyne/cm(23℃)に調整したもの)に適用した場合に液膜消失効果を発現し得る。ここでいう液膜消失効果には、試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体について、該構造体の液膜形成を阻害する効果と、形成された該構造体を消失させる効果との双方が含まれ、少なくとも一方の効果を発現する剤は、液膜消失効果を発現し得る性質を有していると言える。
前記試験液は、脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト製)から抽出された液体成分である。具体的には、100mLの脱繊維馬血を温度22℃、湿度65%の条件下で1時間静置すると、該脱繊維馬血は上層と下層とに分離するところ、この上層が前記試験液である。上層は主に血漿成分を含み、下層は主に血球成分を含む。上層と下層とに分離した脱繊維馬血から上層のみを取り出すには、例えばトランスファーピペット(日本マイクロ株式会社製)を用いることができる。
ある剤が前記の「液膜を消失させる性質」を有するか否かは、当該剤が適用された前記試験液又は人工尿から形成される液膜によって空気が抱えこまれた構造体が発生しやすい状態にした場合の、該構造体即ち液膜の量の多少で判断される。すなわち、前記試験液又は人工尿を、温度25℃に調整し、その後、スクリュー管(株式会社マルエム製 No.5 胴径27mm、全長55mm)に10g入れて、標準サンプルを得る。また、測定サンプルとして、標準サンプルと同じものに、25℃に予め調整した測定対象の剤を0.01g添加したものを得る。標準サンプルと測定サンプルをそれぞれ前記スクリュー管の上下方向に2往復強く振とうした後、水平面上に速やかに載置する。このサンプルの振とうにより、振とう後のスクリュー管の内部には、前記構造体の無い液体層(下層)と、該液体層の上に形成された多数の該構造体からなる構造体層(上層)とが形成される。振とう直後から10秒経過後に、両サンプルの構造体層の高さ(液体層の液面から構造体層上面までの高さ)を測定する。そして、標準サンプルの構造体層の高さに対して、測定サンプルの構造体層の高さが90%以下となった場合、測定対象の剤は液膜開裂効果を有しているとする。
本発明で用いられる液膜開裂剤は、前記の性質に当てはまる単一の化合物若しくは前記の性質に当てはまる単一の化合物の複数の組み合わせ、又は複数の化合物の組み合わせによって前記の性質を満たす(液膜の開裂を発現し得る)剤である。つまり液膜開裂剤とは、あくまで前記定義によるところの液膜開裂効果があるものに限定した剤のことである。したがって、吸収性物品中に適用されている化合物に、前記定義に当てはまらない第三成分を含む場合には、液膜開裂剤と区別する。
なお、液膜開裂剤及び第三成分について、「単一の化合物」とは、同じ組成式を有するが、繰り返し単位数が異なることにより、分子量が異なる化合物を含める概念である。
セカンドシート4が液膜開裂剤を含有する又は含むとは、主に繊維の表面に付着させることをいう。ただし、液膜開裂剤は、繊維の表面に残存する限り、繊維内に内包しているようなものや、内添により繊維内部に存在しているようなものがあってもよい。液膜開裂剤を繊維の表面に付着させる方法としては、通常用いられる各種の方法を特に制限なく採用することができる。例えば、フレキソ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、噴霧、刷毛塗布等が挙げられる。これらの処理は、繊維を各種の方法でウエブ化した後に行ってもよいし、その後、該ウエブを不織布にした後や吸収性物品に組み込んだ後に行ってもよい。液膜開裂剤が表面に付着した繊維は、例えば、熱風送風式の乾燥機により、繊維樹脂の融点より十分に低い温度(例えば120℃以下)で乾燥される。また、前記付着方法を用いて繊維へ付着させる場合、液膜開裂剤を希釈させずに用いてもよく、必要により液膜開裂剤を溶媒に溶解させた液膜開裂剤を含む溶液、ないしは液膜開裂剤の乳化液、分散液を用いてもよい。
本発明に係る液膜開裂剤は、セカンドシート4において後述する液膜開裂効果を有するためには、液膜開裂剤が体液に触れた際に液状として存在する必要がある。この点から、本発明に係る液膜開裂剤の融点は40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。さらに、本発明に係る液膜開裂剤の融点は−220℃以上が好ましく、−180℃以上がより好ましい。
セカンドシート4においては、表面シート1から排泄液を受け取ると、上記のとおり液膜開裂剤によって、繊維間や繊維表面に生じる安定的な排泄液の液膜が開裂される。これにより、セカンドシート4において、液膜による液残りが防止され、繊維間における排泄液の拡散ないし透過の経路(以下、液通路ともいう。)が確保される。また、セカンドシート4に確保された液通路を通じて、吸収体3の液吸収力が表面シート1へと伝わりやすくなる。すなわち、セカンドシート4における液膜開裂剤の作用により、表面シート1で受領された排泄液の、セカンドシート4、吸収体3への素早い移行が可能となり、ナプキン10全体の液吸収力が高まる。そのため、ナプキン10に対し繰り返しの排泄や一度に多量の排泄があっても、表面シート1やセカンドシート4での排泄液の滞留が少なく、該排泄液は迅速に効率よく吸収体3に吸収保持される。
その結果、生理用ナプキン10は、排泄直後、その後の装着期間中、交換時を通じて、表面シート1、更にはセカンドシート4における液残りが極めて小さく抑えられてドライ性の高いものとなる。
液膜開裂剤は、後述するように表面張力が、従来の、不織布繊維に用いられる親水化処理剤等に比べて小さい。そのため、該液膜開裂剤は、表面シート1の表面での液流れを防止し、できるだけ素早く液を透過させる観点から、表面シート1ではなく、セカンドシート4に含有されている。これにより、表面シート1と吸収体3とを繋ぐ液通路の確保とともに表面シート1の親水性を好適に保持することができ、表面シート表面での液流れ、これによるナプキン10の液漏れを抑制することができる。更に、セカンドシート4は、含有する液膜開裂剤によって適度な疎水性を備え、吸収体3から表面シート1への液戻りを防止することができる。該液戻り抑制と前述した液残り抑制とにより、表面シート表面の汚れが目立ち難くなる。汚れの目立ち難さは、ナプキン10は吸収性の良いもので着け心地の良いものとの印象を使用者が持つ端緒となり得る。
前記液膜開裂剤の、セカンドシート4の質量に対する含有割合(OPU)は、液通路の確保の観点から、0.02質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.25質量%以上が更に好ましい。また、前記液膜開裂剤の、セカンドシート4の質量に対する含有割合(OPU)は、表面シート1や吸収体3との接着強度維持の観点から、5.0質量%以下が好ましく、3.5質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下が更に好ましい。
次に、前記液膜開裂剤の好ましい実施態様について説明する。
第1実施態様の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上で、水溶解度が0g以上0.025g以下である。
液膜開裂剤が有する「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」とは、上記のような経血や尿等の排泄液を想定した液体に対する拡張係数をいう。該「拡張係数」とは、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で後述の測定方法により得られる測定値から、下記式(1)に基づいて求められる値である。なお、式(1)における液膜は「表面張力が50mN/mの液体」の液相を意味し、繊維間や繊維表面で膜を張った状態の液体、膜を張る前の状態の液体の両方を含み、単に液体とも言う。また、式(1)の表面張力は、液膜及び液膜開裂剤の気相との界面における界面張力を意味し、液相間の、液膜開裂剤の液膜との界面張力とは区別する。この区別は、本明細書の他の記載においても同様である。
S=γ−γ−γwo ・・・・・ (1)
γ:液膜(液体)の表面張力
γ:液膜開裂剤の表面張力
γwo:液膜開裂剤の液膜との界面張力
式(1)から分かるとおり、液膜開裂剤の拡張係数(S)は、液膜開裂剤の表面張力(γ)が小さくなることで大きくなり、液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)が小さくなることで大きくなる。この拡張係数が15mN/m以上であることで、液膜開裂剤は、繊維間の狭小領域で生じる液膜の表面上での移動性、すなわち拡散性の高いものとなる。この観点から、前記液膜開裂剤の拡張係数は、20mN/m以上がより好ましく、25mN/m以上が更に好ましく、30mN/m以上が特に好ましい。一方、その上限は特に制限されるものではないが、式(1)より表面張力が50mN/mの液体を用いた場合は上限値が50mN/m、表面張力が60mN/mの液体を用いた場合は上限値が60mN/m、表面張力が70mN/mの液体を用いた場合には上限値が70mN/mといったように、液膜を形成する液体の表面張力が上限となる。そこで、本発明では、表面張力が50mN/mの液体を用いている観点から、50mN/m以下である。
液膜開裂剤が有する「水溶解度」とは、脱イオン水100gに対する液膜開裂剤の溶解可能質量(g)であり、後述の測定方法に基づいて、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で測定される値である。この水溶解度が0g以上0.025g以下であることで、液膜開裂剤は、溶解しにくく液膜との界面を形成して、上記の拡散性をより効果的なものとする。同様の観点から、液膜開裂剤の水溶解度は、0.0025g以下が好ましく、0.0017g以下がより好ましく、0.0001g未満が更に好ましい。また、前記水溶解度は小さいほどよく、0g以上であり、液膜への拡散性の観点から、1.0×10−9g以上とすることが実際的である。なお、上記の水溶解性は、水分を主成分とする経血や尿等に対しても当てはまるものと考えられる。
上記の、液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γ)、液膜開裂剤の表面張力(γ)、液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)、及び液膜開裂剤の水溶解度は、次の方法により測定される。
なお、測定対象のセカンドシートが生理用品や使い捨ておむつなどの吸収性物品に組み込まれたものである場合は次のように取り出して測定を行う。すなわち、吸収性物品において、測定対象のセカンドシートと他の部材との接合に用いられる接着剤などをコールドスプレー等の冷却手段で弱めた後に、測定対象のセカンドシートを丁寧に剥がして取り出す。この取り出し方法は、本発明の吸収性物品に係る種々の測定において適用される。
また、繊維に付着した液膜開裂剤について測定する場合、まず液膜開裂剤が付着した繊維をヘキサンやメタノール、エタノールなどの洗浄液で洗浄し、その洗浄に用いた溶媒(液膜開裂剤を含む洗浄用溶媒)を乾燥させて取り出す。このときの取り出した物質の質量は、液膜開裂剤の繊維質量に対する含有割合(OPU)を算出するときに適用される。取り出した物質の量が表面張力や界面張力の測定には少ない場合、取り出した物質の構成物に合わせて適切なカラム及び溶媒を選択した上で、それぞれの成分を高速液体クロマトグラフィーで分画し、さらに各画分についてMS測定、NMR測定、元素分析等を行うことで、各画分の構造を同定する。また、液膜開裂剤が高分子化合物を含む場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの手法を併用することで、構成成分の同定を行うことがより容易になる。そして、その物質が市販品であれば調達、市販品でなければ合成することにより十分な量を取得し、表面張力や界面張力を測定する。特に、表面張力と界面張力の測定に関しては、上記のようにして取得した液膜開裂剤が固体である場合、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
(液膜(液体)の表面張力(γ)の測定方法)
温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、プレート法(Wilhelmy法)により、白金プレートを使用して測定することができる。その際の測定装置としては、自動表面張力計「CBVP−Z」(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いることができる。白金プレートは、純度99.9%、大きさが横25mm、縦10mmのものを用いる。
なお、液膜開裂剤に関する下記測定では、前述した「表面張力が50mN/mの液体」は、上記の測定方法を用いて、脱イオン水にノニオン系界面活性物質であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)を加えて、表面張力50±1mN/mに調整された溶液を用いる。
(液膜開裂剤の表面張力(γ)の測定方法)
液膜の表面張力(γ)の測定と同様に、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、プレート法により、同じ装置を使用して測定することができる。この測定に際し、前述のとおり、取得した液膜開裂剤が固体である場合、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
(液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)の測定方法)
温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、ペンダントドロップ法により測定できる。その際の測定装置としては、自動界面粘弾性測定装置(TECLIS−ITCONCEPT社製、商品名THE TRACKERや、KRUSS社、商品名DSA25S)を用いることができる。ペンダントドロップ法では、ドロップが形成されると同時に表面張力が50mN/mの液体に含まれたノニオン系界面活性物質の吸着が始まり、時間経過で界面張力が低下していく。そのため、ドロップが形成された時(0秒時)の界面張力を読み取る。また、この測定に際し、前述のとおり、取得した液膜開裂剤が固体である場合、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
また界面張力の測定時に、液膜開裂剤と表面張力が50mN/mの液体の密度差が非常に小さい場合や、粘度が著しく高い場合、界面張力値がペンダントドロップの測定限界以下の場合には、ペンダントドロップ法による界面張力測定が困難になる場合がある。その場合には、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、スピニングドロップ法により測定することで、測定が可能となる。その際の測定装置としては、スピニングドロップ界面張力計(KURUSS社製、商品名SITE100)を用いることができる。また、この測定についても、ドロップの形状が安定化した時の界面張力を読み取り、取得した液膜開裂剤が固体である場合には、該液膜開裂剤の融点+5℃まで加熱して液体に相転移させ、その温度条件のまま測定を実施する。
尚、双方の測定装置で界面張力を測定可能な場合は、より小さな界面張力値を測定結果として採用する。
(液膜開裂剤の水溶解度の測定方法)
温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で、100gの脱イオン水をスターラーで撹拌しながら、取得した液膜開裂剤を徐々に溶解していき、溶けなくなった(浮遊や沈殿、析出、白濁が見られた)時点での溶解量を水溶解度とする。具体的には、0.0001g毎に剤を添加して測定する。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とする。なお、液膜開裂剤が界面活性剤の場合、「溶解」とは単分散溶解とミセル分散溶解の両方を意味し、浮遊や沈殿、析出、白濁が見られた時点での溶解量が水溶解度となる。
液膜開裂剤は、上記の拡張係数と水溶解度とを有することで、液膜の表面上で、溶解することなく広がり、液膜の中心付近から液膜の層を押しのけることができる。これにより、液膜を不安定化させて開裂する。
ここで、本実施形態のセカンドシート4における前記液膜開裂剤の作用について、図2及び3を参照して具体的に説明する。
図2に示すように、繊維間の狭い領域においては、経血等の粘性の高い液や尿などの排泄液は、液膜82を張りやすい。これに対し、液膜開裂剤は次のようにして液膜を不安定化して破り、形成を阻害して、不織布中からの排液を促す。まず、図3(A1)及び(B1)に示すように、不織布の繊維81が有する液膜開裂剤83が、液膜82との界面を保ったまま、液膜82の表面上を移行する。次いで、液膜開裂剤83は、図3(A2)及び(B2)に示すように、液膜82の一部を押しのけて厚み方向へと侵入し、図3(A3)及び(B3)に示すように、液膜82を徐々に不均一で薄い膜へと変化させていく。その結果、液膜82は、図3(A4)及び(B4)に示すように、はじけるようにして穴が開き開裂される。開裂された経血等の液は、液滴となってなお不織布の繊維間を通過しやすくなり、液残りが低減される。また、上記の液膜開裂剤の液膜に対する作用は、繊維間の液膜に対する場合に限らず、繊維表面にまとわりついた液膜に対しても同様に発揮される。すなわち、液膜開裂剤は、繊維表面にまとわりついた液膜上を移行して該液膜の一部を押しのけ、液膜を開裂させることができる。また、液膜開裂剤は、繊維表面にまとわりついた液膜に対しては、繊維に付着した位置で移動せずともその疎水作用によっても液膜を開裂させ、形成を阻害することができる。
このように本発明に係る液膜開裂剤は、液膜の表面張力を下げるなどの液改質をするのではなく、繊維間や繊維表面に生じる液膜自体を押しのけながら開裂し、阻害することでセカンドシート4中からの液の排液を促す。これにより、セカンドシート4内の液通路を確保することができ、表面シート1からセカンドシート4及びセカンドシート4から吸収体3への液の移行性、すなわち生理用ナプキン10の液吸収性が向上する。その結果、表面シート1上の液流れ、表面シート1及びセカンドシート4の液残りが低減されてドライ性が高まる。特に、粘性の高い経血など繊維間に留まりやすい液の吸収性を高めることができる。そして、表面シートにおける赤み等の汚れが目立ちにくく、吸収力を実感できる、安心で信頼性の高い吸収性物品となる。
本実施態様において、前記液膜開裂剤は、さらに、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下であることが好ましい。すなわち、前述した式(1)における拡張係数(S)の値を定める1変数である「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」が20mN/m以下であることが好ましい。「液膜開裂剤の液膜との界面張力(γwo)」を低く抑えることで、液膜開裂剤の拡張係数が上がり、繊維表面から液膜中心付近へ液膜開裂剤が移行しやすくなり、前述の作用がより明確となる。この観点から、液膜開裂剤の「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下がより好ましく、13mN/m以下が更に好ましく、10mN/m以下がより更に好ましく、9mN/m以下が特に好ましく、1mN/m以下がとりわけ好ましい。一方、その下限は特に制限されるものではなく、液膜への不溶性の観点から0mN/mより大きければよい。なお、界面張力が0mN/m、すなわち溶解する場合には、液膜と液膜開裂剤間での界面を形成することができないため、式(1)は成り立たず、剤の拡張は起きない。
拡張係数はその式からもわかるように、対象となる液の表面張力により、その数値が変化する。例えば、対象液の表面張力が72mN/m、液膜開裂剤の表面張力が21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は50.8mN/mとなる。
また、対象液の表面張力が30mN/m、液膜開裂剤の表面張力21mN/m、これらの界面張力が0.2mN/mの場合、拡張係数は8.8mN/mとなる。
いずれの場合においても、拡張係数が大きい剤ほど、液膜開裂効果は大きくなる。
本明細書では、表面張力50mN/mにおける数値を定義したが、表面張力が異なったとしても、その各物質同士の拡張係数の数値の大小関係に変化はないことから、体液の表面張力が仮に、日ごとの体調などで変化したとしても、拡張係数が大きい剤ほど優れた液膜開裂効果を示す。
また、本実施態様において、液膜開裂剤の表面張力は、32mN/m以下が好ましく、30mN/m以下がより好ましく、25mN/m以下が更に好ましく、22mN/m以下が特に好ましい。また、前記表面張力は小さいほどよく、その下限は特に限定されるものではない。液膜開裂剤の耐久性の観点から、1mN/m以上が実際的である。
次に、第2実施態様の液膜開裂剤について説明する。
第2実施態様の液膜開裂剤は、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きい、すなわち正の値であり、水溶解度が0g以上0.025g以下で、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である。前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」を20mN/m以下とすることは、前述のように液膜開裂剤の液膜上での拡散性が高まることを意味する。これにより、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」が15mN/m未満であるような拡張係数が比較的小さい場合でも、拡散性が高いため繊維表面から多くの液膜開裂剤が液膜内に分散し、多くの位置で液膜を押しのけることにより、第1実施態様の場合と同様の作用を奏し得る。
なお、液膜開裂剤に関する、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」、「水溶解度」及び「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」とは、第1実施態様で定義したものと同様のものであり、その測定方法も同様である。
本実施態様において、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、前記「表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力」は、17mN/m以下が好ましく、13mN/m以下がより好ましく、10mN/m以下が更に好ましく、9mN/m以下がより更に好ましく、1mN/m以下が特に好ましい。下限値については、第1実施態様と同様に特に制限されるものでなく、液膜(表面張力が50mN/mの液体)に溶解しない観点から、0mN/mより大きくするのが実際的である。
また、「表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数」は、液膜開裂剤の前記作用をより効果的なものとする観点から、9mN/m以上が好ましく、10mN/m以上がより好ましく、15mN/m以上が更に好ましい。その上限は特に制限されるものではないが、式(1)より液膜を形成する液体の表面張力が上限となる観点から、50mN/m以下が実質的である。
また、液膜開裂剤の表面張力及び水溶解度のより好ましい範囲は、第1実施態様と同様である。
第1実施態様の液膜開裂剤を含むセカンドシート、第2実施態様の液膜開裂剤を含むセカンドシートは、さらにリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。これにより、繊維表面の親水性が高まり、濡れ性が向上することによって、液膜と液膜開裂剤が接する面積が大きくなること、そして、血液や尿は生体由来のリン酸基を有する界面活性物質を有することから、リン酸基を有する界面活性剤を併用することで、活性剤の相溶性に起因して、さらに血液や尿に含まれるリン脂質との親和性もよいため、液膜開裂剤が液膜に移行しやすくなり、液膜の開裂がさらに促進される。液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は、質量比(液膜開裂剤:リン酸エステル型のアニオン界面活性剤)で、1:1〜19:1が好ましく、2:1〜15:1がより好ましく、3:1〜10:1が更に好ましい。特に、前記含有比率は、質量比で、5:1〜19:1が好ましく、8:1〜16:1がより好ましく、11:1〜13:1が更に好ましい。
リン酸エステル型のアニオン界面活性剤としては特に制限なく用いられる。例えば、その具体例としては、アルキルエーテルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルなどが挙げられる。その中でも、アルキルリン酸エステルが液膜との親和性を高めると同時に不織布の加工性を付与する機能の観点から好ましい。
アルキルエーテルリン酸エステルとしては、特に制限なく種々のものを用いることができる。例えば、ポリオキシアルキレンステアリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンミリスチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンパルミチルエーテルリン酸エステルなどの飽和の炭素鎖を持つものや、ポリオキシアルキレンオレイルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンパルミトレイルエーテルリン酸エステルなどの不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。また、ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及びこれ等の構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。なお、アルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類などが挙げられる。アルキルエーテルリン酸エステルは、一種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
アルキルリン酸エステルの具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステル等の飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステル等の不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和又は部分中和塩である。尚、アルキルリン酸エステルの塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類等が挙げられる。アルキルリン酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記のような液膜開裂剤、又は液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を含んだセカンドシート4の構成繊維の接触角が100度以下であることが好ましく、90度以下であることがより好ましく、80度以下であることが更に好ましい。これにより、繊維表面が親水的になり、濡れる面積が増加し、液膜開裂剤が液膜へ移行しやすくなる。
上記の接触角の測定は、次の方法により行うことができる。
すなわち、セカンドシート4の所定の部位から繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。温度25度、相対湿度(RH)65%の測定条件で行う。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー株式会社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、不織布から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。不織布から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。該繊維81本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を接触角と定義する。
次に、第1実施態様及び第2実施態様における液膜開裂剤の具体例について説明する。これらは前述した特定の数値範囲にあることで水に溶けないか水難溶性の性質を有し、前記液膜開裂の作用をする。これに対し、従来の繊維処理剤として使用される界面活性剤などは実用上、水に対して溶解して使用する基本的には水溶性のものであり、本発明の液膜開裂剤ではない。
第1実施態様及び第2実施態様における液膜開裂剤としては、質量平均分子量が500以上の化合物が好ましい。この質量平均分子量は液膜開裂剤の粘度に大きく影響する。液膜開裂剤は、粘度を高く保つことで、液が繊維間を通過する際に流れ落ちにくく、セカンドシート4における液膜開裂効果の持続性を保つことができる。液膜開裂効果を十分に持続させる粘度とする観点から、液膜開裂剤の質量平均分子量は、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、2000以上が特に好ましい。一方、液膜開裂剤が配された繊維から液膜への液膜開裂剤の移行、即ち拡散性を保持する粘度とする観点から、50000以下が好ましく、20000以下がより好ましく、10000以下が更に好ましい。この質量平均分子量の測定は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)「CCPD」(商品名、東ソー株式会社製)を用いて測定される。測定条件は下記のとおりである。また、換算分子量の計算はポリスチレンで行う。
分離カラム:GMHHR−H+GMHHR−H(カチオン)
溶離液:LファーミンDM20/CHCl3
溶媒流速:1.0ml/min
分離カラム温度:40℃
また、第1実施態様における液膜開裂剤としては、後述するように、下記の構造X、X−Y、及びY−X−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物が好ましい。
構造Xは、>C(A)−〈Cは炭素原子を示す。また、<、>及び−は結合手を示す。以下、同様。〉、−C(A)−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R)<、>C(R)−、−C(R)(R)−、−C(R−、>C<及び、−Si(RO−、−Si(R)(R)O−のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造のシロキサン鎖、又はその混合鎖を表す。構造Xの末端には、水素原子、又は、−C(A)、−C(A)B、−C(A)(B)2、−C(A)−C(R、−C(RA、−C(R、また、−OSi(R、−OSi(R(R)、−Si(R、−Si(R(R)からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。
上記のRやRは各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル基が好ましい。)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)などの各種置換基を示す。A、Bは各々独立に、水酸基やカルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基などの酸素原子や窒素原子を含む置換基を示す。構造X内にR、R、A、Bが各々複数ある場合はそれらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、連続するC(炭素原子)やSi間の結合は、通常、単結合であるが、二重結合や三重結合を含んでいてもよく、CやSi間の結合には、エーテル基(−O−)、アミド基(−CONR−:Rは水素原子または一価の基)、エステル基(−COO−)、カルボニル基(−CO−)、カーボネート基(−OCOO−)などの連結基を含んでもよい。一つのC及びSiが、他のC又はSiと結合している数は、1つ〜4つで、長鎖のシリコーン鎖(シロキサン鎖)又は混合鎖が分岐していたり、放射状の構造を有している場合があってもよい。
Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、ポリオキシアルキレン基(オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましい。例えば、ポリオキシエチレン(POE)基、ポリオキシプロピレン(POP)基が好ましい。)、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホベタイン基(これらのベタイン基は、各ベタイン化合物から水素原子を1つ取り除いてなるベタイン残基をいう。)、4級アンモニウム基などの親水基単独、もしくは、その組み合わせからなる親水基などである。これらの他にも、後述するMで挙げた基及び官能基も挙げられる。なお、Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
構造X−Y及びY−X−Yにおいて、Yは、X、又はXの末端の基に結合する。YがXの末端の基に結合する場合、Xの末端の基は、例えばYとの結合数と同数の水素原子等が取り除かれてYと結合する。
この構造において、親水基Y、A、Bを具体的に説明した基から選択して前述の拡張係数、水溶解度、界面張力を満たすことができる。こうして、目的の液膜開裂効果を発現する。
上記の液膜開裂剤は、構造Xがシロキサン構造である化合物が好ましい。さらに、液膜開裂剤において、上記の構造X、X−Y、Y−X−Yの具体例として、下記(1)〜(11)式で表される構造を、任意に組み合せたシロキサン鎖からなる化合物が好ましい。さらに、この化合物が前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。
Figure 0006329991
式(1)〜(11)において、M、L、R21、及びR22は次の1価又は多価(2価又はそれ以上)の基を示す。R23、及びR24は次の1価若しくは多価(2価又はそれ以上)の基、又は単結合を示す。
は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基を有する基や、エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基もしくはエチレングリコール基などの複数の水酸基を有する親水基(エリスリトール等の複数の水酸基を有する上記化合物から水素原子を1つ取り除いてなる親水基)、水酸基、カルボン酸基、メルカプト基、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えばメトキシ基が好ましい。)、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、スルホン酸基、4級アンモニウム基、スルホベタイン基、ヒドロキシスルホベタイン基、ホスホベタイン基、イミダゾリウムベタイン基、カルボベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、(メタ)アクリル基、又はそれらを組み合わせた官能基を示す。なお、Mが多価の基である場合、Mは、上記各基又は官能基から、さらに1つ以上の水素原子を除いた基を示す。
は、エーテル基、アミノ基(Lとして採りうるアミノ基は、>NR(Rは水素原子または一価の基)で表される。)、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基の結合基を示す。
21、R22、R23、及びR24は、各々独立に、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えばフェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、もしくはアラルキル基、又はそれらを組み合わせた炭化水素基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)を示す。なお、R22及びR23が多価の基である場合、上記炭化水素基から、さらに1つ以上の水素原子又はフッ素原子を除いた多価炭化水素基を示す。
また、R22又はR23がMと結合する場合、R22又はR23として採りうる基は、上記各基、上記炭化水素基又はハロゲン原子の他に、R32として採りうるイミノ基が挙げられる。
液膜開裂剤は、なかでも、Xとして、(1)、(2)、(5)及び(10)式のいずれかで表される構造を有し、Xの末端、又はXの末端とYとからなる基として、これらの式以外の上記式のいずれかで表される構造を有する化合物が好ましい。さらに、X、又はXの末端とYとからなる基が、上記(2)、(4)、(5)、(6)、(8)及び(9)式のいずれかで表される構造を少なくとも1つ有するシロキサン鎖からなる化合物が、好ましい。
上記化合物の具体例として、シリコーン系の界面活性剤の有機変性シリコーン(ポリシロキサン)が挙げられる。例えば、反応性の有機基で変性された有機変性シリコーンとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、ジオール変性、カルビノール変性、(メタ)アクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性のものが挙げられる。また、非反応性の有機基で変性された有機変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性(ポリオキシアルキレン変性を含む)、メチルスチリル変性、長鎖アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性のものなどが挙げられる。これらの有機変性の種類に応じて、例えば、シリコーン鎖の分子量、変性率、変性基の付加モル数など適宜変更することで、上記の液膜開裂作用を奏する拡張係数を得ることができる。ここで、「長鎖」とは、炭素数が12以上であるものをいい、好ましくは12〜20であるものをいう。また、「高級」とは、炭素数が6以上であるものをいい、好ましくは6〜20であるものをいう。
その中でも、ポリオキシアルキレン変性シリコーンやエポキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、ジオール変性シリコーンなど、変性シリコーンである液膜開裂剤が少なくとも一つの酸素原子を変性基中に有する構造を有する変性シリコーンが好ましく、特にポリオキシアルキレン変性シリコーンが好ましい。ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリシロキサン鎖を有することで、繊維の内部に浸透し難く表面に残りやすい。また、親水的なポリオキシアルキレン鎖を付加したことにより、水との親和性が高まり、界面張力が低いため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。そのため、前述した液膜表面上での移動が起きやすく好ましい。また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、エンボス等の熱溶融加工が施されても、その部分において繊維の表面に残りやすく液膜開裂作用は低減し難い。特に液が溜まりやすいエンボス部分において液膜開裂作用が十分に発現するので好ましい。
ポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、下記式[I]〜[IV]で表されるものが挙げられる。さらに、このポリオキシアルキレン変性シリコーンが前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。
Figure 0006329991
Figure 0006329991
Figure 0006329991
Figure 0006329991
式中、R31は、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)を示す。R32は、単結合又はアルキレン基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。)を示し、好ましくは前記アルキレン基を示す。複数のR31、複数のR32は各々において、互いに同一でも異なってもよい。M11は、ポリオキシアルキレン基を有する基を示し、ポリオキシアルキレン基が好ましい。上記のポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、又はこれらの構成モノマーが共重合されたものなどが挙げられる。m、nは各々独立に1以上の整数である。なお、これら繰り返し単位の符号は、各式(I)〜(IV)において別々に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。
また、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、ポリオキシエチレン変性及びポリオキシプロピレン変性のいずれか又は双方の変性基を有するものであってもよい。また、水に溶けない、かつ低い界面張力を有するにはシリコーン鎖のアルキル基R31にメチル基を有することが望ましい。この変性基、シリコーン鎖をもつものとしては、特に制限するものではないが、例えば特開2002−161474の段落[0006]及び[0012]に記載のものがある。より具体的には、ポリオキシエチレン(POE)ポリオキシプロピレン(POP)変性シリコーンや、ポリオキシエチレン(POE)変性シリコーン、ポリオキシプロピレン(POP)変性シリコーンなどが挙げられる。POE変性シリコーンとしては、POEを3モル付加したPOE(3)変性ジメチルシリコーンなどが挙げられる。POP変性シリコーンとしては、POPを10モル、12モル、又は24モル付加したPOP(10)変性ジメチルシリコーン、POP(12)変性ジメチルシリコーン、POP(24)変性ジメチルシリコーンなどが挙げられる。
前述の第1実施態様の拡張係数と水溶解度は、ポリオキシアルキレン変性シリコーンにおいて例えば、ポリオキシアルキレン基の付加モル数(ポリオキシアルキレン変性シリコーン1モルに対する、ポリオキシアルキレン基を形成するオキシアルキレン基の結合数)、下記変性率等により、所定の範囲にすることができる。この液膜開裂剤において、表面張力及び界面張力も同様にして、それぞれ、所定の範囲にすることができる。
上記観点から、該ポリオキシアルキレン基の付加モル数が1以上であるものが好ましい。1未満では、上記の液膜開裂作用にとって界面張力が高くなることにより、拡張係数が小さくなることから液膜開裂効果が弱くなってしまう。この観点から、付加モル数は3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。一方、付加モル数は多すぎると親水的になって水溶解度が高くなってしまう。この観点から、付加モル数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。
変性シリコーンの変性率は、低すぎると親水性が損なわれるため、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、高すぎると水に溶けてしまうため、95%以下が好ましく、70%以下がより好ましく40%以下が更に好ましい。なお、前記変性シリコーンの変性率とは、変性シリコーン1分子中のシロキサン結合部の繰り返し単位の総個数に対する、変性したシロキサン結合部の繰り返し単位の個数の割合である。例えば、上記式[I]及び[IV]では(n/m+n)×100%であり、式[II]では、(2/m)×100%であり、式[III]では(1/m)×100%である。
また、前述の拡張係数及び水溶解度は、ポリオキシアルキレン変性シリコーンにおいて、それぞれ、上記したもの以外にも、変性基を水可溶性のポリオキシエチレン基と水不溶性のポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基を併用すること、水不溶性のシリコーン鎖の分子量を変化させること、変性基としてポリオキシアルキレン変性に加えてアミノ基、エポキシ基、カルボキシ基、水酸基、カルビノール基などを導入すること等により、所定の範囲に設定できる。
この液膜開裂剤として用いられるポリアルキレン変性シリコーンは、セカンドシートの質量に対する含有割合として(Oil Per Unit)、0.02質量%以上5.0質量%以下含有されることが好ましい。該ポリアルキレン変性シリコーンの含有割合が多すぎることによるセカンドシート4と表面シート1及び吸収体3との接着強度の低下を防ぐため、前記含有割合(OPU)は、1.0質量%以下がより好ましく、0.40質量%以下が更に好ましい。また、該ポリアルキレン変性シリコーンによる液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.04質量%以上がより好ましく、0.10質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。
第2実施態様における液膜開裂剤としては、後述するように、下記の構造Z、Z−Y、及びY−Z−Yからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する化合物が好ましい。
構造Zは、>C(A)−<C:炭素原子>、−C(A)−、−C(A)(B)−、>C(A)−C(R)<、>C(R)−、−C(R)(R)−、−C(R−、>C<のいずれかの基本構造が、繰り返されるか、もしくは2種以上が組み合わされた構造の炭化水素鎖を表す。構造Zの末端には、水素原子、又は、−C(A)、−C(A)B、−C(A)(B)2、−C(A)−C(R、−C(RA、−C(Rからなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有する。
上記のRやRは各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子などの各種置換基を示す。A、Bは各々独立に、水酸基やカルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基などの酸素原子や窒素原子を含む置換基を示す。構造X内にR、R、A、Bが各々複数ある場合はそれらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、連続するC(炭素原子)間の結合は、通常、単結合であるが、二重結合や三重結合を含んでいてもよく、C間の結合には、エーテル基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基などの連結基を含んでも良い。一つのCが、他のCと結合している数は、1つ〜4つで、長鎖の炭化水素鎖が分岐していたり、放射状の構造を有している場合があってもよい。
Yは、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子から選ばれる原子を含む、親水性を有する親水基を表す。例えば、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基; 又は、ポリオキシアルキレン基(オキシアルキレン基の炭素数は1〜4が好ましい。例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基が好ましい。); 又は、 エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基、エチレングリコール基、などの複数の水酸基を有する親水基; 又は、 スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホベタイン基、カルボベタイン基、ホスホベタイン基、4級アンモニウム基、イミダゾリウムベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、メタクリル基などの親水基単独; 又は、 その組み合わせからなる親水基などである。なお、Yが複数の場合は互いに同一でも異なっていてもよい。
構造Z−Y及びY−Z−Yにおいて、Yは、Z、又はZの末端の基に結合する。YがZの末端の基に結合する場合、Zの末端の基は、例えばYとの結合数と同数の水素原子等が取り除かれてYと結合する。
この構造において、親水基Y、A、Bを具体的に説明した基から選択して前述の拡張係数、水溶解度、界面張力を満たすことができる。こうして、目的の液膜開裂効果を発現する。
上記の液膜開裂剤は、上記の構造Z、Z−Y、Y−Z−Yの具体例として、下記(12)〜(25)式で表される構造を、任意に組み合せた化合物が好ましい。さらに、この化合物が前述した範囲の質量平均分子量を有することが液膜開裂作用の観点から好ましい。
Figure 0006329991
式(12)〜(25)において、M、L、R41、R42、及びR43は下記の1価又は多価の基(2価又はそれ以上)を示す。
は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基を有する基や、エリスリトール基、キシリトール基、ソルビトール基、グリセリン基もしくはエチレングリコール基などの複数の水酸基を有する親水基、水酸基、カルボン酸基、メルカプト基、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えばメトキシ基が好ましい。)、アミノ基、アミド基、イミノ基、フェノール基、スルホン酸基、4級アンモニウム基、スルホベタイン基、ヒドロキシスルホベタイン基、ホスホベタイン基、イミダゾリウムベタイン基、カルボベタイン基、エポキシ基、カルビノール基、(メタ)アクリル基、又はそれらを組み合わせた官能基を示す。
は、エーテル基、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、又は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、もしくはそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基、などの結合基を示す。
41、R42、及びR43は各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基が好ましい。)、アルコキシ基(炭素数1〜20が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えばフェニル基が好ましい。)、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子が好ましい。)からなる各種置換基を示す。
42が多価の基である場合、R42は、上記各置換基から、さらに1つ以上の水素原子を除いた基を示す。
なお、それぞれの構造に記載されている結合手の先には、任意に他の構造が連結しても、水素原子が導入されてもよい。
さらに上記化合物の具体例として、次のような化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
第1に、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤が挙げられる。具体的には、式(V)のいずれかで表されるポリオキシアルキレンアルキル(POA)エーテルや、式(VI)で表される質量平均分子量1000以上のポリオキシアルキレングリコール、ステアレス、ベヘネス、PPGミリスチルエーテル、PPGステアリルエーテル、PPGベヘニルエーテルなどが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、POPを3モル以上24モル以下、好ましくは5モル付加したラウリルエーテルなどが好ましい。ポリエーテル化合物としては、ポリプロピレングリコール(PPG)を17モル以上180モル以下、好ましくは約50モル付加した質量平均分子量1000〜10000、好ましくは3000のポリプロピレングリコール(PPG)などが好ましい。なお、上記の質量平均分子量の測定は、前述した測定方法で行うことができる。
このポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤は、セカンドシートの質量に対する含有割合として(Oil Per Unit)、0.10質量%以上5.0質量%以下含有されることが好ましい。該ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤の含有割合が多すぎることによるセカンドシート4と表面シート1及び吸収体3との接着強度の低下を防ぐため、前記含有割合(OPU)は、1.0質量%以下がより好ましく、0.40質量%以下が更に好ましい。また、該ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤による液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.15質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上が更に好ましい。
Figure 0006329991
Figure 0006329991
式中、L21は、エーテル基、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボニル基、カーボネート基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、又はそれらを組み合わせたポリオキシアルキレン基、などの結合基を示す。R51は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、フルオロアルキル基、アラルキル基、もしくはそれらを組み合わせた炭化水素基、又はフッ素原子からなる各種置換基を示す。また、a、b、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cはアルキル基(n=2m+1)を表し、Cはアルキレン基(a=2b)を表す。なお、これら炭素原子数および水素原子数は、各式(V)及び(VI)において各々独立に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。以下、式(VII)〜(XV)のm、m’、m’’、n、n’及びn’’においても同様である。なお、−(CO)−の「m」は、1以上の整数である。この繰り返し単位の値は、各式(V)及び(VI)において各々独立に決められるものであり、必ずしも同じ整数を示すものではなく異なっていてもよい。
前述の第2実施態様の拡張係数、表面張力及び水溶解度は、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤において、例えば、ポリオキシアルキレン基のモル数等により、それぞれ、所定の範囲に設定することができる。この観点から、ポリオキシアルキレン基のモル数が1以上70以下であるものが好ましい。1未満では界面張力が高く、上記の液膜開裂作用が弱くなってしまう。この観点から、モル数は5以上がより好ましく、7以上がさらに好ましい。一方、付加モル数は、70以下が好ましく、60以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。こうすることで、分子鎖のからみが適度に弱くなり、液膜内での拡散性に優れ、好ましい。
また、前述の拡張係数、表面張力、界面張力及び水溶解度は、それぞれ、ポリエーテル化合物やノニオン界面活性剤において、水溶性のポリオキシエチレン基と水不溶性のポリオキシプロピレン基及びポリオキシブチレン基を併用すること、炭化水素鎖の鎖長を変化させること、炭化水素鎖に分岐鎖を有するものを用いること、炭化水素鎖に二重結合を有するものを用いること、炭化水素鎖にベンゼン環やナフタレン環を有するものを用いること、または上記を適宜組み合わせること等により、所定の範囲に設定できる。
第2に、炭素原子数5以上の炭化水素化合物が挙げられる。炭素原子数は、液体の方がより液膜表面に拡張しやすくなる観点から、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。この炭化水素化合物は、ポリオルガノシロキサンを除くもので、直鎖に限らず、分岐鎖であってもよく、その鎖は飽和、不飽和に特に限定されない。また、その中間及び末端には、エステルやエーテルなどの置換基を有していてもよい。その中でも、常温で液体のものが好ましく単独で用いられる。この炭化水素化合物は、セカンドシートの質量に対する含有割合として(Oil Per Unit)、0.10質量%以上5.0質量%以下含有されることが好ましい。該炭化水素化合物の含有割合が多すぎることによるセカンドシート4と表面シート1及び吸収体3との接着強度の低下を防ぐため、前記含有割合(OPU)は、1.0質量%以下が好ましく、0.99質量%以下がより好ましく、0.40質量%以下が更に好ましい。また、該炭化水素化合物の含有割合による液膜開裂効果を十分に発揮する観点から、前記含有割合(OPU)は、0.15質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上が更に好ましい。
炭化水素化合物としては、油又は脂肪、例えば天然油もしくは天然脂肪が挙げられる。具体例としては、ヤシ油、ツバキ油、ヒマシ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ひまわり油、トール油、及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、カプリル酸、カプリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、及びこれらの混合物などの式(VII)で表すような脂肪酸が挙げられる。
Figure 0006329991
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換の多価アルコール脂肪酸エステル又は多価アルコール脂肪酸エステルの混合物の例として、式(VIII−I)又は(VIII−II)で表すような、グリセリン脂肪酸エステルやペンタエリスリトール脂肪酸エステルが挙げられ、具体的にはグリセリルトリカプリレート、グリセリルトリパルミテート及びこれらの混合物などが挙げられる。なお、グルセリン脂肪酸エステルや、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの混合物には、典型的には多少のモノ、ジ、およびトリエステルが含まれる。グリセリン脂肪酸エステルの好適な例としては、グリセリルトリカプリレート、グリセリルトリカプリエートの混合物などが挙げられる。また、界面張力を低下させ、より高い拡張係数を得る観点から、水不溶性を維持できる程度にポリオキシアルキレン基を導入した多価アルコール脂肪酸エステルを用いてもよい。
Figure 0006329991
Figure 0006329991
式中、m、m’、m’’、n、n’及びn’’は各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、C、C’H’及びC’’H’’は、それぞれ、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の脂肪酸が、多数の水酸基を有するポリオールとエステルを形成し、一部の水酸基がエステル化されずに残存している脂肪酸又は脂肪酸混合物の例として、式(IX)のいずれか、式(X)のいずれか、又は式(XI)のいずれかで表すような、グリセリン脂肪酸エステルや、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルの部分エステル化物が挙げられる。具体的には、エチレングリコールモノミリステート、エチレングリコールジミリステート、エチレングリコールパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、グリセリルジミリステート、グリセリルジパルミテート、グリセリルモノオレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリステアリル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、及びこれらの混合物などが挙げられる。なお、グルセリン脂肪酸エステルや、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどの部分エステル化物からなる混合物には、典型的には多少の完全エステル化された化合物が含まれる。
Figure 0006329991
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
Figure 0006329991
式中、R52は、炭素原子数2以上22以下の、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)を示す。具体的には、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基などが挙げられる。
Figure 0006329991
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。複数のm、複数のnは各々において、互いに同一でも異なっていてもよい。ここで、Cは、上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。
また、ステロール、フィトステロール及びステロール誘導体が挙げられる。具体例としては、式(XII)のステロール構造を有する、コレステロール、シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、及びこれらの混合物などが挙げられる。
Figure 0006329991
アルコールの具体例としては、式(XIII)で表すような、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物などが挙げられる。
Figure 0006329991
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、Cは、上記各アルコールの炭化水素基を示す。
脂肪酸エステルの具体例としては、式(XIV)で表すような、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、セチルエチルヘキサノエート、トリエチルヘキサノイン、オクチルドデシルミリステート、エチルヘキシルパルミテート、エチルヘキシルステアレート、ブチルステアレート、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレート、コレステリルイソステアレート及びこれらの混合物などが挙げられる。
Figure 0006329991
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。ここで、2つのCは、同一でも異なっていてもよい。C−COO−のCは上記各脂肪酸の炭化水素基を示す。−COOCのCはエステルを形成するアルコール由来の炭化水素基を示す。
また、ワックスの具体例としては、式(XV)で表すような、セレシン、パラフィン、ワセリン、鉱油、流動イソパラフィンなどが挙げられる。
Figure 0006329991
式中、m及びnは各々独立に1以上の整数である。
前述の第2実施態様の拡張係数、表面張力、水溶解度及び界面張力は、それぞれ、上記の炭素原子数5以上の炭化水素化合物において、例えば、親水的なポリオキシエチレン基を水不溶性を維持できる程度に少量導入すること、疎水的だが界面張力を低下させることができるポリオキシプロピレン基やポリオキシブチレン基を導入すること、炭化水素鎖の鎖長を変化させること、炭化水素鎖に分岐鎖を有するものを用いること、炭化水素鎖に二重結合を有するものを用いること、炭化水素鎖にベンゼン環やナフタレン環を有するものを用いること等により、所定の範囲に設定できる。
本実施形態の生理用ナプキン10において、上述した液膜開裂剤の他に、必要により他の成分をセカンドシート4に含有させてもよい。また、第1実施態様の液膜開裂剤、第2実施態様の液膜開裂剤は、別々に用いる形態以外にも、両者の剤を組み合わせて用いてもよい。この点は、第2実施態様の液膜開裂剤における第1の化合物と第2の化合物についても同じである。
なお、含有される液膜開裂剤やリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を同定する場合は、上記の液膜(表面張力が50mN/mの液体)の表面張力(γw)等の測定方法で述べた同定の方法を用いることができる。
また、液膜開裂剤の成分が主鎖にシロキサン鎖を有する化合物又は炭素原子数1以上20以下の炭化水素化合物である場合、その繊維質量に対する含有割合(OPU)は、前述の分析手法により得た物質の質量を基に、その液膜開裂剤の含有量を繊維の質量で割ることにより求めることができる。
本実施形態の生理用ナプキン10は、液膜開裂剤の上記作用により、液透過性に優れたものとなる。これは、表面シート1に直接当接するセカンドシート4に液膜開裂剤が含有されていることで、セカンドシート4における液膜面積率を低減して、表面シート1と吸収体3と繋ぐ液通路を確保できることによる。すなわち、セカンドシート4における液通路の確保により、表面シート1で受領された排泄液の、セカンドシート4、吸収体3への素早い移行を可能にし、全体として液吸収性が高いものとなる。その結果、生理用ナプキン10は、排泄直後、その後の装着期間中を通して、表面シート、更にはセカンドシートの液残りが低くされてドライ性が高く、着け心地の良いものとなる。また、交換時においてもドライ性が高いことを実感することができ、交換作業が円滑化される。
また、前述した液膜開裂剤の表面張力は、水に対する溶解度が小さく、疎水性を示すため、表面シート1ではなく、セカンドシート4に含有させることで、液透過路の確保とともに表面シート1の親水性を好適に保持でき、表面シート表面での液流れ、これによる生理用ナプキン10の液漏れを抑制することができる。更に、液膜開裂剤によってセカンドシート4に適度な疎水性を与えることが可能となり、これにより本発明の吸収性物品は、吸収体3から表面シート1への液戻りに対する抑制の点でも優れたものとなる。
なお、上記の液残り量は、表面シート1全体、及びセカンドシート4全体に保持されている液量を意味する。液膜面積率が小さくされば、一概に比例的とまではいかないが、液残りは低減する。また、表面シート表面の白さは後述するL値として表される。L値は、表面シート表面の液膜が破れることで、液残り量が低下し、数値が高まる傾向にあり、視覚的に白さが際立ちやすくなる。
(液膜面積率の測定方法)
前述した液膜面積率は、次の方法により測定することができる。
吸収体3を、肌当接面側からマイクロスコープ「VHX−1000」(商品名、株式会社キーエンス製)により撮影する。撮像した画像から画像解析ソフト「NewQube」(商品名、ネクサス社製)を用いて解析する。解析は、まずRGBカラー画像をモノクロ256階調の画像に変換する。そして、その画像を用いて二値化処理することにより液膜を表す黒い部分のみ抽出することで、液膜部分の面積を算出する。これを画像の面積に対する百分率で示したものを液膜面積率とする。液膜面積率が小さいほど、繊維間の液膜開裂効果が大きいことを示している。
生理用ナプキン10のセカンドシート4において、少なくとも一部の繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に液膜開裂剤が局在化していることが好ましい。ここでいう液膜開裂剤の「局在」とは、セカンドシート4を構成する繊維の表面全体に均等に液膜開裂剤が付着した状態ではなく、各繊維の表面よりも繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に偏って付着している状態をいう。具体的には、繊維表面(交絡点間あるいは融着点間の繊維表面)に比べて交絡点や融着点付近の液膜開裂剤濃度が高いと定義することができる。その際、繊維交絡点付近又は繊維融着点付近に存在する液膜開裂剤は、繊維交絡点又は繊維融着点を中心に繊維間の空間を部分的に被覆するように付着されていてもよい。交絡点や融着点付近の液膜開裂剤濃度は濃い程良い。該濃度は、用いる液膜開裂剤の種類や使用する繊維の種類、他の剤と混合する場合の有効成分割合等により変わってくるため一義的に定められないが、前述した液膜開裂作用を発揮する観点から適宜定めることができる。
液膜開裂剤の局在によって、液膜開裂作用がより発現しやすくなる。すなわち、繊維交絡点付近又は繊維融着点付近は特に液膜が生じやすい場所であるため、その場所に、より多くの液膜開裂剤があることで液膜に直接的に作用しやすくなる。
このようは液膜開裂剤の局在は、セカンドシート4全体の繊維交絡点付近又は繊維融着点付近の30%以上で生じていることが好ましく、40%以上で生じていることがより好ましく、50%以上で生じていることが更に好ましい。セカンドシート4のなかでも、繊維交絡点または繊維融着点同士の距離が比較的短いところは繊維間の空間が小さく特に液膜が生じやすい。そのため、繊維間の空間が小さいところの繊維交点付近又は繊維融着点付近に選択的に液膜開裂剤が局在していると特に液膜開裂作用が効果的に発現し好ましい。また、上記のような選択的な局在の場合、液膜開裂剤は、比較的小さな繊維間空間に対する被覆率を大きくし、比較的大きな繊維間空間に対する被覆率を小さくすることが好ましい。これにより、セカンドシート4における液通路を確保しつつ、毛管力が大きく液膜が生じやすい部分での開裂作用を効果的に発現することができ、不織布全体における液残り低減効果が高くなる。
(液膜開裂剤の局在状態の確認方法)
上記の液膜開裂剤の局在状態は、以下の方法により確認することができる。
まず、不織布を5mm×5mmにカットし、試料台にカーボンテープを用いて取り付ける。試料台を走査型電子顕微鏡(S4300SE/N、株式会社日立製作所製)に無蒸着の状態で入れ、低真空もしくは真空状態にする。アニュラー形反射電子検出器(付属品)を用いて検出を行うことにより、原子番号の大きいほど反射電子を放出しやすいことから、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)やポリエステル(PET)を主に構成する炭素原子や水素原子より原子番号の大きい酸素原子やケイ素原子を多く含む液膜開裂剤が塗工された部分が白く写るので、白さによって局在の状態を確認できる。なお、その白さは原子番号が大きいか、または付着量が多いほど白さが増す。
セカンドシート4を構成する不織布の繊維としては、この種の物品に通常用いられるものを特に制限なく採用することができる。例えば、熱融着性芯鞘型複合繊維、熱伸長性繊維、非熱伸長性繊維、熱収縮性繊維、非熱収縮性繊維、立体捲縮繊維、潜在捲縮繊維、中空繊維等の種々の繊維を挙げることができる。特に熱可塑性樹脂を有することが好ましい。また、非熱伸長性繊維及び非熱収縮性繊維は熱融着性であることが好ましい。芯鞘型の複合繊維は、同心の芯鞘型でも、偏心の芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも、異型形でも良く、同心の芯鞘型であることが好ましい。この繊維及び不織布の製造において、液膜開裂剤、又は液膜開裂剤及びリン酸エステル型のアニオン界面活性剤の繊維への含有は、いずれの工程において行ってもよい。例えば、繊維の紡糸時に通常用いられる繊維用紡糸油剤に液膜開裂剤や、液膜開裂剤及びリン酸型アニオン界面活性剤の混合物を配合して塗布しても良く、繊維の延伸前後の繊維用仕上げ油剤に液膜開裂剤や、液膜開裂剤及びリン酸型アニオン界面活性剤の混合物を配合して、塗布してもよい。また、不織布の製造に通常用いられる繊維処理剤に液膜開裂剤やリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を配合して繊維に塗工してもよく、不織布化後に塗工してもよい。
また、セカンドシート4を構成する不織布の製造に際しては、この種の物品に通常用いられる方法を採用できる。例えば、繊維ウエブの形成方法として、カード法、エアレイド法、スパンボンド法等を用いることができる。繊維ウエブの不織布化方法としては、スパンレース、ニードルパンチ、ケミカルボンド、ドット状のエンボス加工等の通常用いられる各種の不織布化方法を採用できる。その中でも、肌触りの観点から、エアスルー不織布、スパンボンド不織布であることが好ましい。ここでいう「エアスルー不織布」とは、50℃以上の流体、例えば気体や水蒸気を、ウエブ又は不織布に吹き付ける工程(エアスルー処理工程)を経て製造された不織布をいう。また、「スパンボンド不織布」はスパンボンド法で製造された積層不織布をいう。本工程のみで製造される不織布のみならず、他の方法で作製された不織布に本工程を付加して製造した不織布あるいは本工程の後に何らかの工程を行って製造した不織布をも含む意味である。また、セカンドシート4を構成する不織布は、エアスルー不織布やスパンボンド不織布のみからなるものに限らず、エアスルー不織布、スパンボンド不織布と他の不織布等の繊維シートやフィルム材とを複合化したものも包含する。
セカンドシート4を構成する不織布の製造方法において、前述のように不織布化後に液膜開裂剤を塗工する場合、液膜開裂剤を含む溶液中に原料不織布を浸漬する方法が挙げられる。前記溶液は、例えば液膜開裂剤を溶媒で希釈した溶液などが挙げられる(以下、この溶液を液膜開裂剤溶液ともいう。)。また別の方法としては、原料不織布に対して、液膜開裂剤単体、もしくは前記液膜開裂剤を含む溶液(希釈液)を塗布する方法が挙げられる。なお、前記液膜開裂剤を含む溶液にリン酸エステル型のアニオン界面活性剤を混合していてもよい。その場合の液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤との含有比率は前述のとおりであることが好ましい。前記溶媒としては、水溶解度の極めて小さい液膜開裂剤を、不織布に塗工しやすいように溶媒中に適度に溶解または分散させて乳化させることができるものを特に制限なく用いることができる。例えば、溶解させるものとしてエタノール、メタノール、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒、もしくは乳化液とする場合には当然ながら水も溶媒ないしは分散媒体として用いることができ、乳化させる時に使用する乳化剤としてアルキルリン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキルベタイン、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなどを含む各種界面活性剤が挙げられる。
上記の原料不織布に対して塗布する方法としては、この不織布の製造方法に用いられるものを特に制限なく採用することができる。例えば、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、グラビア方式、フレキソ方式、ディッピング方式による塗布等などが挙げられる。
前述した繊維交絡点付近又は繊維融着点付近への液膜開裂剤の局在化の観点からは、スプレーによる塗布方法、フレキソ方式による塗布方法が特に好ましい。
また、原料不織布としては、吸収性物品におけるセカンドシートとして通常用いられる種々の構成とすることができる。特に、液膜開裂剤の局在化の観点から繊維交絡点が熱融着又は熱圧着しているものが好ましく、前述したエアスルー処理や熱エンボスにより繊維同士を熱接着して得られた不織布を用いることがより好ましい。
本実施形態の生理用ナプキン10の構成部材の素材としては、この種の物品に採用されるものを特に制限なく用いることができる。
セカンドシート4は不織布からなり、該不織布はこの種の物品に用いられるものを特に制限なく採用できる。例えば、エアスルー不織布、エアレイド不織布、サクションヒートボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ケミカルボンド不織布等が挙げられる。特に、液透過の観点から、エアスルー不織布、エアレイド不織布、ケミカルボンド不織布が好ましく用いられる。これらの不織布が、疎水性の繊維(例えば熱融着性繊維)から構成されている場合には、前述した繊維処理剤を用いて親水化させることが好ましい。セカンドシート4をなす不織布の坪量は、20g/m2以上50g/m2以下であることが、装着感を損なわず且つセカンドシート4が有する保水性や液拡散性を損なわない点から好ましい。また、セカンドシート4の厚みは、好ましくは0.4mm以上2.0mm以下、更に好ましくは0.4mm以上1.5mm以下である。
吸収体3としては、この種の物品に用いられるものを特に制限することなく任意に採用できる。例えば、親水性の繊維集合体からなる吸収性コアをコアラップシートで被覆してなるものなどが挙げられる。前記吸収性コアにはさらに高吸水性ポリマーが含有されていてもよい。前記コアラップシートの素材としては、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシート、親水性の不織布などが挙げられる。
また、吸収体3としては、シート状にしたものでもよい。前記シート状のものとしては、例えば、親水性繊維を原料として製造された紙やパルプシートなどがある。また、二枚の基材シート(吸収紙又は不織布)の間に高吸水性ポリマー材の集合体からなる吸収性コアを挟持固定した吸水性シート(例えば、特開平8−246395号に記載の吸水性シートや特開2004−275225号に記載のポリマーシート)などがある。
前記繊維集合体の繊維や前記親水性繊維は、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプや植物パルプ等の天然繊維、キュプラやレーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類等の合成繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
表面シート1は、液透過性であり、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と肌触りのよさの観点とから親水性のサーマルボンド不織布が好ましく、特にエアスルー不織布が好ましい。親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工する。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、当業者公知の親水化剤による親水化処理を用いることができる。
裏面シート2の素材としては、透湿性フィルム単独、又はフィルムと不織布との貼り合わせ、撥水性の不織布(SMSやSMMS等)を用いることができる。コスト面やズレ止め粘着剤とのマッチングなどから、透湿フィルム単独を防漏材として用いることが最も好ましい。この場合のフィルム材としては、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを溶融混練して押し出したフィルムを所定の寸法に延伸して微細孔をあけたフィルム、または、本質的に水分の相溶性が高く、浸透膜のように水蒸気排出可能な無孔性のフィルムが挙げられる。
本実施形態の生理用ナプキン10は、セカンドシート4に前記液膜開裂剤を含有するものであれば、他の部材構成や形状は特に前述したもの限定されない。例えば、本発明の吸収性物品は、防漏溝5を環状ではなく、複数に分離した溝の組み合わせであってもよい。また、後方部Rに、着用者の臀部を覆うように長く広がる後部フラップ部等を有するものであってもよく、股下部Cに、下着のクロッチに固定させる一対のウイング部を有するものであってもよい。さらに、表面シート1上の縦方向(Y方向)の両側に、排泄液の横漏れを防ぐ、撥水性のサイドシートが配されていてもよい。また、裏面シート2の非肌当接面側に、下着に固定する粘着部を有していてもよく、さらに該粘着部を剥離可能に覆う剥離シートなどがあってもよい。
また、本実施形態の生理用ナプキン10において、液膜開裂剤は、セカンドシート4に加えて、更に他の部材に含有されていてもよい。ただし、表面シート1での液流れを抑制しつつナプキンの厚み方向への液透過性を確保する観点から、表面シート1の非肌当接面側に位置する部材に含有することが好ましい。また、表面シートの液透過性及び吸収体の液保持性に必要な親水性を保持する観点から、セカンドシート4と吸収体3の肌当接面側の表面とに含有させることがより好ましく、セカンドシート4のみに含有させることが特に好ましい。
吸収体3の肌当接面側の表面に液膜開裂剤を含有させる場合、該液膜開裂剤の、吸収体3の質量に対する含有割合(OPU)は、液通路の確保の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が更に好ましい。また、前記液膜開裂剤の、吸収体3の質量に対する含有割合(OPU)は、表面シートやセカンドシートとの接着強度維持の観点から、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
本発明の吸収性物品は、液膜開裂剤を含有するセカンドシートを有する限り、上記の生理用ナプキンに限定されるものではなく、排泄液を吸収保持する種々のものとすることができる。例えば、パンティライナーや失禁パッド、おむつ、尿とりパッドなどであってもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。また、拡張係数、界面張力、表面張力及び水溶解度は、前述のとおり、温度25℃、相対湿度(RH)65%の環境領域で測定したものである。下記実施例における、液膜開裂剤の表面張力、水溶解度及び界面張力は、前述の測定方法により行った。なお、下記表中における、「−」は、項目名に示される剤を用いないこと、項目に該当する値を有さないこと等を意味する。
(実施例1)
(1)表面シート試料の作製
繊度4.2dtexの熱伸長性繊維(繊維1)と繊度3.3dtexの熱融着性芯鞘複合繊維(繊維2)を有する繊維ウエブを用いて、次の方法により実施例1の表面シート試料を作製した。
まず、前記繊維ウエブに対して、ヒートエンボス加工によって線状の凹部を格子状に形成する。このとき、前記凹部では、熱伸長性繊維は圧着または融着されて熱熱伸長されないで固定されていた。次いで、エアスルー加工により前記凹部以外の部分に存する熱伸長性繊維を伸長して凸部を形成した。これにより、一方の面が凹凸面で、厚み1mmの不織布を作製した。該不織布を生理用ナプキン用の寸法に裁断して実施例1の表面シート試料とした。
(2)セカンドシート試料の作製
(2−1)原料セカンドシートの作製
まず、芯部がポリエチレンテレフタレート樹脂、鞘部がポリエチレン樹脂からなり、繊度が2.2dtexの熱融着性芯鞘複合繊維を用い、136℃でエアスルー加工することによりエアスルー不織布を作成した。次いで、エンボス加工を施して、厚み0.7mmの原料セカンドシートを作製した。エンボス加工は、ドット状のエンボス部が形成され且つエンボス部の面積率が25%になるように行った。
(2−2)液膜開裂剤の塗工液の調製
ポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製 KF−6015)で、構造X−YにおけるXが−Si(CHO−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(CO)−からなるPOE鎖からなり、POE鎖の末端基がメチル基(CH)であり、変性率が20%、ポリオキシエチレン付加モル数が3、質量平均分子量が4000の液膜開裂剤を溶質エタノールに溶解させ液膜開裂剤の有効成分0.06質量%の希釈液を塗工液として作製した。
上記のポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンは、表面張力21.0mN/m、水溶解度0.0001g未満であった。また、ポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンの、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数は28.8mN/mであり、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力は、0.2mN/mであった。これらの数値は、前述の測定方法により測定した。その際、「表面張力が50mN/mの液体」は、100gの脱水イオン水にノニオン系界面活性物質であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名レオオールスーパーTW−L120)をマイクロピペット(ACURA825、Socorex Isba SA社製)で3.75μL添加し、表面張力を50±1mN/mに調整した溶液を用いた。また、水溶解度は、0.0001g毎に剤を添加して測定した。その結果、0.0001gも溶けないと観察されたものは「0.0001g未満」とし、0.0001gは溶けて、0.0002gは溶けなかったと観察されたものは「0.0001g」とした。それ以外の数値についても同様の方法により測定した。
(2−3)セカンドシート試料の作製
前記原料セカンドシートの肌当接面側に対して、前記液膜開裂剤の塗布液をフレキソ印刷方式により塗布し、自然乾燥させて実施例1のセカンドシート試料を作製した。この液膜開裂剤であるポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンの、セカンドシート試料の質量に対する含有割合(OPU)は0.4質量%とした。
(3)吸収体試料の作製
市販の生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ Super Slimguard、2012年製)から、コールドスプレーを用いて、慎重に表面材とセカンドシート及びバックシートを取り除き、吸収体試料(吸収体A)を得た。吸収体Aは、高吸水性ポリマー材の集合体と、該高吸水性ポリマー材の集合体の肌当接面側及び非肌当接面側を被覆する基材シートとからなるものであった。
得られた吸収体試料(吸収体A)の液吸収部の厚みは3.2mmであり、密度は0.15cm/gであった。吸収体試料(吸収体A)の質量は3.4gであった。
(実施例2)
(1)表面シート試料及びセカンドシート試料の作製
実施例1と同様にして実施例2の表面シート試料及びセカンドシート試料を作製した。
(2)吸収体試料の作製
実施例1で作製した吸収体試料と同様のものを原料吸収体として準備した。次いで、原料吸収体の肌当接面側に対して、実施例1において原料セカンドシートに塗布したものと同様の液膜開裂剤の塗布液をスプレーにより塗布し、自然乾燥させて実施例2の吸収体試料(吸収体A)を作製した。これにより、実施例2の吸収体試料では、少なくとも肌当接面側の表面に液膜開裂剤が含有されていた。この液膜開裂剤としてのポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンの、吸収体試料の質量に対する含有割合(OPU)は0.1質量%とした。
(実施例3)
(1)表面シート試料の作製
実施例1と同様にして、実施例3の表面シート試料を作製した。
(2)セカンドシート試料の作製
液膜開裂剤として下記のポリプロピレングリコール(PPG)を溶質エタノールに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分3.0質量%とした塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3のセカンドシート試料を作製した。
<液膜開裂剤>
ポリプロピレングリコール(PPG)(花王株式会社製 消泡剤No.1)で、構造XにおけるXがPOP鎖からなるものであり、ポリオキシプロピレン基のモル数が52、質量平均分子量が3000の液膜開裂剤。
前記液膜開裂剤は下記の性質を有していた。
表面張力:32.7mN/m
水溶解度:0.0001g未満
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数:16.3mN/m
表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力:1.0mN/m
(3)吸収体試料の調製
実施例1で作製した吸収体試料と同様のものを原料吸収体として準備した。
次いで、上記セカンドシート試料の作製で用いた液膜開裂剤の塗工液と同じものを、前記原料吸収体の肌当接面側にスプレーで塗布し、自然乾燥させて実施例3の吸収体試料(吸収体A)を作製した。これにより、実施例2の吸収体試料では、少なくとも肌当接面側の表面に液膜開裂剤が含有されていた。この液膜開裂剤としてのポリプロピレングリコール(PPG)の、吸収体試料の質量に対する含有割合(OPU)は1.0質量%とした。
(実施例4)
(1)表面シート試料及び吸収体試料の作製
実施例1と同様にして、実施例4の表面シート試料及び吸収体試料を作製した。
(2)セカンドシート試料の調製
液膜開裂剤として下記のエポキシ変性ジメチルシリコーンを溶質エタノールに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分3.0質量%とした塗布液を作製し、該液膜開裂剤としてのエポキシ変性ジメチルシリコーンの、セカンドシート試料の質量に対する含有割合(OPU)を1.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして実施例4のセカンドシート試料を作製した。
<液膜開裂剤>
エポキシ変性ジメチルシリコーン(信越化学工業株式会社製、KF−101)で、構造X−YにおけるXが−Si(CHO−からなるジメチルシリコーン鎖、Yが−(RCO)−から成るエポキシ基からなるものであり、変性率が32%、質量平均分子量が35800の液膜開裂剤。
前記液膜開裂剤は下記の性質を有していた。
表面張力:21.0mN/m
水溶解度:0.0001g未満
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数:26.0mN/m
表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力:3.0mN/m
(実施例5)
(1)表面シート試料及び吸収体試料の作製
実施例1と同様にして、実施例5の表面シート試料及び吸収体試料を作製した。
(2)セカンドシート試料の調製
実施例3において原料吸収体に塗布したものと同様の液膜開裂剤の塗布液を作製し、該液膜開裂剤の、セカンドシート試料の質量に対する含有割合(OPU)を1.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして実施例4のセカンドシート試料を作製した。
(実施例6)
(1)表面シート試料及び吸収体試料の作製
実施例1と同様にして、実施例6の表面シート試料及び吸収体試料を作製した。
(2)セカンドシート試料の調製
液膜開裂剤として下記の流動イソパラフィンを溶質ヘキサンに溶解させ、液膜開裂剤の有効成分3.0質量%とした塗布液を作製し、該液膜開裂剤としての流動イソパラフィンの、セカンドシート試料の質量に対する含有割合(OPU)を1.0質量%とした以外は、実施例1と同様にして実施例4のセカンドシート試料を作製した。
<液膜開裂剤>
流動イソパラフィン(ルビトールLite、BASFジャパン株式会社製)、質量平均分子量が450の液膜開裂剤。
前記液膜開裂剤は下記の性質を有していた。
表面張力:27.0mN/m
水溶解度:0.0001g未満
表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数:14.5mN/m
表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力:8.5mN/m
(比較例1)
実施例1と同様にして、比較例1の表面シート試料及び吸収体試料を作製した。
実施例1で用いた、液膜開裂剤を塗工する前の原料セカンドシートをそのまま比較例1のセカンドシート試料として作製した。
(参考例1)
実施例1で用いた、液膜開裂剤を塗工する前の原料セカンドシートをそのまま比較例2のセカンドシート試料として作製した。
また、実施例1と同様にして、参考例1の吸収体試料(吸収体A)を作製した。
実施例1で用いた表面シート試料と同様のものを原料表面シートとして準備した。次いで、原料表面シートの肌当接面側に対して、実施例1において原料セカンドシートに塗布したものと同様の液膜開裂剤の塗布液をスプレーにより塗布し、自然乾燥させて参考例1の表面シート試料を作製した。この液膜開裂剤としてのポリオキシエチレン(POE)変性ジメチルシリコーンの、表面シート試料の質量に対する含有割合(OPU)は0.4質量%とした。
(参考例2)
実施例2と同様にして参考例2の表面シート試料及び吸収体試料を作製した。
実施例2で用いた、液膜開裂剤を塗工する前の原料セカンドシートをそのまま参考例2のセカンドシート試料として作製した。
(参考例3)
実施例3と同様にして参考例3の表面シート試料及び吸収体試料を作製した。
実施例3で用いた、液膜開裂剤を塗工する前の原料セカンドシートをそのまま参考例3のセカンドシート試料として作製した。
(評価試験)
下記の評価は、次のようにして生理用ナプキン試料を作製して行った。
すなわち、実施例1及び比較例1用として、市販の生理用ナプキン(花王株式会社製:ロリエ Super Slimguard、2012年製)の構成部材である、表面シート、セカンドシート、吸収体及び裏面シートのうち、表面シート、セカンドシート及び吸収体を取り除いたものを準備した。次いで、準備した各生理用ナプキンに対し、実施例1〜、比較例1、及び参考例1〜3それぞれの吸収体試料、セカンドシート試料及び表面シート試料を所定位置に載置して、周囲を固定した。これらをそれぞれ実施例1〜、比較例1、及び参考例1〜3の生理用ナプキン試料とした。
(表面シート試料及びセカンドシート試料の液残り量)
液残り量の試験においては、生理用ナプキン試料の表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねた後に、液注入量を6gとし、該アクリル板の透過孔から経血に相当する脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)6.0g一括で流し込んだ。液吸収開始から1分経過後、アクリル板を取り除いた。次いで、実施例1〜、比較例1、及び参考例1〜3の生理用ナプキン試料それぞれから端部のみにコールドスプレーを吹きかけ、端部から表面シート試料及びセカンドシート試料を慎重に取り出し、各表面シート試料及びセカンドシート試料それぞれの質量(W1)を測定した。その後表面シート試料及びセカンドシート試料を水で洗浄し、電気乾燥機100℃の環境下にて十分乾燥した後に、各表面シート試料及びセカンドシート試料それぞれの質量(W2)を測定した。これら測定値から、各表面シート試料及びセカンドシート試料それぞれについて、吸収後の質量(W1)と、乾燥後の重量(W2)との差(W1−W2)を算出した。以上の操作を3回行い、3回の平均値を、各表面シート試料及びセカンドシート試料それぞれの液残り量(mg)とした。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ないほど程、良い結果である。
(表面シート試料の液流れ長さ)
試験装置は、試験サンプルの載置面が水平面に対して45°傾斜している載置部を有するものを用いた。
別途、実施例1〜、比較例1、及び参考例1〜3の生理用ナプキン試料を準備し、各生理用ナプキン試料を、表面シートが上方を向くようにして、前記載置部に載置した。各生理用ナプキン試料の表面上に、脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)を0.1g/秒の速度で0.5g滴下させた。初めに表面シートに着液した地点から、試験液が表面シート試料内部に引き込まれて流れなくなった地点までの距離を測定した。なお、用いた馬血は、前記(表面シート試料及びセカンドシート試料の液残り量)の測定で用いたものと同様のものとした。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液流れ長さ(mm)とした。液流れ距離は、液が試験サンプルに吸収されずに表面上を流れ、装着時にどの程度漏れやすくなるかの指標となるものであり、液流れ長さが短いほど高評価となる。
(6.0g一括注入後1分経過後のL値)
上記の(表面シート試料及びセカンドシート試料の液残り量)で取り出した、実施例1〜、比較例1、及び参考例1〜3の各表面シート試料について、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333を用いて、脱繊維馬血を投入した位置におけるL値を測定した。
L値(明度)はその値が大きいほど、色が白に近づき、表面シート(不織布試料)に赤みが見えにくいことを示す。すなわち、繊維間における液残りが少ないことを示す。
(液吸収速度)
各評価用の生理用ナプキン試料の表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、さらに重りを重ねて5g/cm一定荷重を掛けた。その際、前記透過孔が各生理用ナプキンン試料の表面シート上の縦横中央付近に位置するようにした。前記透過孔には、高さ6cmの筒状の注入口を設けた。
斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から経血に相当する脱繊維馬血(株式会社日本バイオテスト研究所製の馬脱繊維血液を8.0cPに調整したもの)4.0gを流し込んだ。なお、前記馬脱繊維血液の粘度は、東機産業株式会社のTVB10形粘度計にて、30rpmの条件下で調整した。馬血は、放置すると、粘度の高い部分(赤血球など)は沈殿し、粘度の低い部分(血漿)は、上澄みとして残る。その部分の混合比率を、8.0cPになるように調整した。
4.0gの脱繊維馬血を流し込んでから液柱が無くなるまでの速度を液吸収速度とした。
上記評価試験の結果は下記表1のとおりである。
Figure 0006329991
表1に示すとおり、液膜開裂剤を含まない比較例1は、表面シート及びセカンドシートの液残り量の合計が179mgであり、L値が47.6であった。
これに対し、セカンドシートに液膜開裂剤を含む実施例1〜は、表面シート及びセカンドシートの液残り量の合計が、いずれも、比較例1より30mg以上も少なく、L値も大きく、液膜の効果的な開裂が確認された。すなわち、セカンドシートに液膜開裂剤を含有させた実施例1〜は、液膜開裂剤を含まない比較例1よりも、液残り低減効果が高いものであった。また、L値の値が示す通り、実施例1〜は、液残り量低減の結果、比較例1よりも表面シートの赤みが見えにくく、汚れが目立ち難いものであった。
加えて、セカンドシートには液膜開裂剤を含有させず、表面シートに液膜開裂剤を含有させた参考例1は、液流れ長さが比較例1よりも長かった。すなわち、参考例1は、液膜開裂による液残り低減があった一方で、表面シートでの液流れ防止性には改善の余地があった。
これに対し、実施例1〜は、液流れ長さが参考例1の半分以下であり、液流れ防止性が向上していた。
以上のとおり、実施例1〜は、比較例1及び参考例1がなし得なかった、液残り低減の向上と液流れ防止性の向上を両立させていた。また、実施例1〜のなかでは、液膜開裂剤の拡張係数が20mN/m以上の実施例1〜4、これを満たさないが液膜開裂剤の表面張力が32mN/m以下の実施例6が、液残り低減の向上と液流れ防止性の向上との両立の観点から、優れていた。
さらに、表1に示すとおり、同種の液膜開裂剤をセカンドシートに含ませた実施例1〜3において、セカンドシートに加えて吸収体が液膜開裂剤を含有する実施例2及び3は、液流れ長さが23mm、表面シートの液残り量がそれぞれ21mg及び16mgであったのに対し、セカンドシートのみに液膜開裂剤を含有する実施例1は、液流れ長さが18mmと短く抑えられ、表面シートの液残り量は8mgと低減できていた。すなわち、セカンドシートのみに液膜開裂剤を含有することで、より高い液残り低減効果及び液流れ防止効果が得られることが分かった。
また、実施例2は、液膜開裂剤をセカンドシートと吸収体の両方に含ませたことにより、セカンドシートに液膜開裂剤を含まない参考例2と比較して、液吸収速度が2割以上早く、吸収性能が高められていた。同様に、実施例3は、参考例3と比較して、液吸収速度が早く、吸収性能が高められていた。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
4 セカンドシート
5 防漏溝
10生理用ナプキン
81 繊維
82 液膜
83 液膜開裂剤

Claims (10)

  1. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記化合物C1及び下記化合物C2から選ばれる1又は複数の化合物を含有するセカンドシートが配されており、
    前記化合物の、前記セカンドシートの質量に対する含有割合が3.5質量%以下である吸収性物品。
    化合物C1:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物。
    化合物C2:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物。
  2. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記化合物C1−1及び下記化合物C1−2から選ばれる1又は複数の化合物を含有するセカンドシートが配されている吸収性物品。
    化合物C1−1:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が20mN/m以上である化合物。
    化合物C1−2:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上、表面張力が30mN/m以下である化合物。
  3. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記化合物C2−1を含有するセカンドシートが配されている吸収性物品。
    化合物C2−1:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が8.5mN/m以上10mN/m以下である化合物。
  4. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記化合物C1及び下記化合物C2から選ばれる1又は複数の化合物とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤とを含有するセカンドシートが配されている吸収性物品。
    化合物C1:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物。
    化合物C2:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物。
  5. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記液膜開裂剤を含有するセカンドシートが配されており、
    前記液膜開裂剤の、前記セカンドシートの質量に対する含有割合が3.5質量%以下である吸収性物品。
    液膜開裂剤:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物、及び、水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物、から選ばれる1又は複数の化合物を有する剤。
  6. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記液膜開裂剤を含有するセカンドシートが配されている吸収性物品。
    液膜開裂剤:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が20mN/m以上である化合物、及び、水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上、表面張力が30mN/m以下である化合物、から選ばれる1又は複数の化合物を有する剤。
  7. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記液膜開裂剤を含有するセカンドシートが配されている吸収性物品。
    液膜開裂剤:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が8.5mN/m以上10mN/m以下である化合物。
  8. 表面シート、裏面シート、及び該表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えた吸収性物品であって、
    前記表面シートと吸収体との間には、下記液膜開裂剤とリン酸エステル型のアニオン界面活性剤とを含有するセカンドシートが配されている吸収性物品。
    液膜開裂剤:水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が15mN/m以上である化合物、及び、水溶解度が0g以上0.025g以下、表面張力が50mN/mの液体に対する拡張係数が0mN/mよりも大きく、表面張力が50mN/mの液体に対する界面張力が20mN/m以下である化合物、から選ばれる1又は複数の化合物を有する剤。
  9. 前記吸収体は、高吸水性ポリマー材の集合体と、該高吸水性ポリマー材の集合体の肌当接面側及び非肌当接面側を被覆する基材シートとからなり、
    前記液膜開裂剤、前記化合物C1、前記化合物C2、前記化合物C1−1、前記化合物C1−2又は前記化合物C2−1が、前記肌当接面側の基材シートに含有されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  10. 前記液膜開裂剤、前記化合物C1、前記化合物C2、前記化合物C1−1、前記化合物C1−2又は前記化合物C2−1が、前記セカンドシートのみに含有されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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