JP2008237257A - 衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ乳酸を構成成分としながらも、強度、耐摩耗性、耐湿熱分解性に優れたポリエステル複合繊維集合体であって、衛生材料用表面材などとして使用しうる不織布や布帛に適した衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を提供する。
【解決手段】横断面が芯鞘形状を呈して、鞘部に芳香族ポリエステルが配され、芯部にポリ乳酸が配された複合繊維にて構成されている衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。機械巻縮が付与されていることが、好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】横断面が芯鞘形状を呈して、鞘部に芳香族ポリエステルが配され、芯部にポリ乳酸が配された複合繊維にて構成されている衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。機械巻縮が付与されていることが、好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体に関し、特に、ポリ乳酸を一成分として用いているにもかかわらず強度と耐摩耗性と耐湿熱分解性とに優れたポリエステル複合繊維からなり、衛生材料用表面材として使用しうる不織布や布帛に適した、衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体に関する。
従来の合成繊維は、その大部分が、石油などの限りある貴重な化石資源を原料としている。そして従来の合成繊維では、焼却処理などの廃棄の過程で、化石資源中に封じ込められていた炭素が炭酸ガスとなって空気中に放出され、そのことが地球温暖化の一因となっている。それに対しポリ乳酸を繊維化したポリ乳酸系繊維は、トウモロコシなどの植物資源を原料としており、種々の製品に加工された後、焼却処理のみならず、コンポストまたは土壌中などの自然環境下であっても、最終的に本来の炭酸ガスと水とに分解され、それらは再び光合成によって植物に取り込まれるという、究極のリサイクル素材である。
しかしながらポリ乳酸繊維は、強度、耐摩耗性が従来の合成繊維よりも劣っている。また、湿熱状態では重合度の低下が大きく、これによっても強度の低下が生じるため、長期保管に耐えられないという問題点がある。
このため、従来のポリ乳酸繊維素材では、ディスポーザブルな日用資材や農林園芸資材等に用途が限られており、衣料用、土木建築用、水産資材用、自動車資材用等の幅広い分野での使用はなされていないのが現状である。
そこで、強度が要求される用途にポリ乳酸繊維を使用する場合は、繊度や質量や厚みを増大させて、強度や耐摩耗性をカバーしている。しかしながら紙オムツや生理用ナプキンなどの衛生材料として用いる場合は、風合いの面から低目付けとする必要があり、そうすると製品加工時や使用時に耐えられる強度や耐摩耗性を維持することが困難である。
特許文献1には、ポリ乳酸繊維の耐摩耗性を向上させるために、繊維表面に滑り性を有するポリマーを用いて後加工したものが提案されている。しかしながら、表面加工であるため、使用するうちに表面のポリマーの脱落が生じるおそれがないとはいえず、耐久性について改善の余地がある。
特許文献2には、ポリ乳酸の耐久性を上げるために、カルボジイミドなどの末端封鎖剤によりポリマーの末端を封鎖し、それによって耐加水分解性を向上させることが提案されている。しかしながら、この繊維では、ポリ乳酸において加水分解を促進する末端基の数を減らすことはできるが、ポリ乳酸のみを使用する繊維であるため、耐湿熱分解性についてはさらなる改善の余地がある。
特開2002−38378号公報
特開2001−261797号公報
本発明は、上記従来の問題点を解決し、部分的にポリ乳酸を用いたものであっても、その使用分について炭酸ガスの発生を抑制できるという観点からなされたものであり、ポリ乳酸を構成成分としながらも、強度、耐摩耗性、耐湿熱分解性に優れたポリエステル複合繊維集合体であって、衛生材料用表面材などとして使用しうる不織布や布帛に適した衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を提供しようとするものである。また本発明は、機械捲縮や、スパイラル捲縮や、潜在(スパイラル)捲縮性能を有しており、繊維集合体として嵩高性や伸縮性が要求される用途に好適に使用することができる衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、次の(1)〜(5)を要旨とするものである。
(1)横断面が芯鞘形状を呈して、鞘部に芳香族ポリエステルが配され、芯部にポリ乳酸が配された複合繊維にて構成されていることを特徴とする衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
(2)芯部と鞘部とが同心円状に配置された同心芯鞘型の複合繊維にて構成され、機械捲縮が付与されていることを特徴とする(1)の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
(3)芯部と鞘部とが偏心状に配置された偏心芯鞘型の複合繊維にて構成され、捲縮数5個/25mm以上かつ捲縮率8%以上のスパイラル捲縮を有していることを特徴とする(1)の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
(4)芯部と鞘部とが偏心状に配置された偏心芯鞘型の複合繊維にて構成され、150℃乾熱処理後に50個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能を有していることを特徴とする(1)の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
(5)鞘部の芳香族ポリエステルは、全酸成分の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることを特徴とする(1)から(4)までのいずれかの衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体は、ポリ乳酸成分を構成成分としながらも、芯部のポリ乳酸の周囲を鞘部の芳香族ポリエステルにて覆った断面構造の芯鞘型ポリエステル複合繊維にて構成されているため、強度、耐摩耗性、耐湿熱分解性に優れており、衛生材料の用途に幅広く用いることが可能である。
中でも、ポリエステル複合繊維が機械捲縮を有している本発明の集合体は、不織布等に好適に使用することができる。
ポリエステル複合繊維がスパイラル捲縮を有している本発明の集合体は、嵩高性が要求される用途としての、衛生材料のトップシート用不織布に好適に使用することができる。
ポリエステル複合繊維がスパイラル捲縮を有している本発明の集合体は、嵩高性が要求される用途としての、衛生材料のトップシート用不織布に好適に使用することができる。
ポリエステル複合繊維が潜在(スパイラル)捲縮性能を有している本発明の集合体は、操業性よく伸縮性に優れた不織布や織編物等の布帛を得ることができ、衛生材料のサイド材などの伸縮性部材として好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体は、横断面が芯鞘形状を呈する芯鞘型複合繊維にて構成され、鞘部に芳香族ポリエステルが配されるとともに、芯部にポリ乳酸が配されている。この複合繊維は、単繊維形状を示すものであるので、長繊維や短繊維として使用することができる。
本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体は、横断面が芯鞘形状を呈する芯鞘型複合繊維にて構成され、鞘部に芳香族ポリエステルが配されるとともに、芯部にポリ乳酸が配されている。この複合繊維は、単繊維形状を示すものであるので、長繊維や短繊維として使用することができる。
本発明の集合体を構成するポリエステル複合繊維において、その芯部を構成するポリ乳酸としては、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、ポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)、ポリD−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリD−乳酸又はポリL−乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましい。
ポリ乳酸は、上記のようにL−乳酸とD−乳酸が単独で用いられているもの、もしくは併用されているものであるが、中でも融点が120℃以上、融解熱が10J/g以上であることが、強度や耐久性の観点から好ましい。
ポリ乳酸のホモポリマーであるL−乳酸やD−乳酸の融点は約180℃であるが、D−乳酸とL−乳酸との共重合体の場合、いずれかの成分の割合を10モル%程度とすると、融点はおよそ130℃程度となる。さらに、いずれかの成分の割合を18モル%以上とすると、融点は120℃未満、融解熱は10J/g未満となって、ほぼ完全に非晶性の性質となる。このような非晶性のポリマーであると、製造工程において特に熱延伸し難くなり、このため高強度の繊維が得られ難くなるという問題が生じたり、繊維が得られたとしても、耐熱性、耐摩耗性に劣ったものとなる。
そこで、ポリ乳酸としては、ラクチドを原料として重合する時のL−乳酸やD−乳酸の含有割合で示されるL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比)であるL/D又はD/Lが、82以上/18以下であるのものが好ましく、90以上/10以下であるものがさらに好ましく、95以上/15以下であるものがいっそう好ましい。
ポリ乳酸の中でも、上記したようなポリD−乳酸とポリL−乳酸との混合物(ステレオコンプレックス)は、融点が200〜230℃と高く、低熱収縮の繊維を得ることができ、また高温染色も可能となるため、特に好ましい。
乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合において、ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。中でもヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸を用いることが、コスト面から好ましい。
乳酸と脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとの共重合体である場合において、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールとしては、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
このように乳酸に他の成分を共重合させる場合は、乳酸成分を80モル%以上とすることが好ましい。80モル%未満であると、共重合ポリ乳酸の結晶性が低くなり、上述の融点120℃未満、融解熱10J/g未満のものとなりやすい。
ポリ乳酸の分子量について、分子量の指標として用いられる、ASTM D−1238法に基づき、温度210℃、荷重21.2N(2160g)で測定したメルトフローレートが、1〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは5〜50g/10分である。メルトフローレートをこの範囲とすることにより、強度、湿熱分解性、耐摩耗性が向上する。
ポリ乳酸の耐久性を高める目的で、ポリ乳酸に、脂肪族アルコール、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、オキサジン化合物、エポキシ化合物などの末端封鎖剤を添加してもよい。
本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、ポリ乳酸中に、熱安定剤、結晶核剤、艶消剤、顔料、耐光剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、その他類似の添加剤を添加してもよい。
本発明の集合体を構成するポリエステル複合繊維において、その鞘部を構成する芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートを主体としたポリエステルなどが挙げられる。これらのポリエステルは、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸や、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸や、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等を共重合していてもよい。
中でも、芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分の70モル%以上である芳香族ポリエステルが好ましい。芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分に対して70モル%未満であると、芳香族ポリエステルの耐湿熱分解性、耐候性などが低下しやすくなる。
鞘部の芳香族ポリエステルの融点と、芯部のポリ乳酸との融点差が大きすぎると、複合紡糸に際して紡糸操業性を阻害したり、ポリ乳酸の熱分解を引き起こしたりすることがある。このため、芳香族ポリエステルとしては、融点が200〜255℃程度のものを用いることが好ましく、芯部のポリ乳酸の融点との差は0〜60℃であることが好ましい。
このような融点を有し、芳香族ジカルボン酸成分が全酸成分の70モル%以上である芳香族ポリエステルとしては、イソフタル酸を共重合したPET、ポリトリメチレンテレフタレート(ホモポリエステル)、ポリブチレンレテフタレート(ホモポリエステル)、エチレンテレフタレート/ブチレンテレフタレートコポリマーなどを挙げることができる。
芳香族ポリエステルにも、本発明の目的を損なわない範囲であれば、必要に応じて、熱安定剤、結晶核剤、艶消剤、顔料、耐光剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、難燃剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、その他類似の添加剤を添加することができる。
次に、本発明の集合体を構成するポリエステル複合繊維の形態について説明する。このポリエステル複合繊維は、横断面すなわち繊維の長さ方向に対して垂直に切断した断面の形状が芯鞘形状を呈する芯鞘型複合繊維であって、上記のような芳香族ポリエステルが鞘部に配され、ポリ乳酸が芯部に配されている。芳香族ポリエステルが鞘部に配されるということは、繊維の表面全体を芳香族ポリエステルが覆うことを意味するものであるが、このとき、芯部は1つであっても複数であってもよい。つまり、芯鞘形状としては、芯部が1つである同心芯鞘型や偏心芯鞘型、芯部が複数個である海島型等の複合形態のものが挙げられる。
このような芯鞘型の複合形態とすることで、芳香族ポリエステルによって、ポリ乳酸が劣っている性能である強度、耐湿熱分解性、耐摩耗性等をカバーできるので、繊維全体として強度、耐湿熱分解性、耐摩耗性に優れたものとなる。
本発明の集合体を構成する複合繊維は、芯鞘型の複合形態を呈しているものであれば、丸断面に限定されるものではなく、扁平形、多角形、多葉形、ひょうたん形、アルファベット形(T型、Y型等)、井形等の各種の異形断面のものであってもよい。また、これらの形状において中空部を有するものでもよい。
ポリエステル複合繊維は、以下の(A)〜(C)の捲縮または潜在捲縮能を備えた形態であることが好ましい。
(A)芯部と鞘部が同心円状に配置された同心芯鞘型の複合繊維であって、機械捲縮が付与されているもの。
(B)芯部と鞘部が偏心状に配置された偏心芯鞘型の複合繊維であって、捲縮数が5個/25mm以上かつ捲縮率が8%以上のスパイラル捲縮を有しているもの。
(C)芯部と鞘部が偏心状に配置された偏心芯鞘型の複合繊維であって、150℃乾熱処理後に50個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能を有しているもの。
まず、(A)の同心状の形態を有するポリエステル複合繊維について説明する。図1は、(A)の形態を有するポリエステル複合繊維の一実施態様を示す横断面図である。ここでは、図示のように、芯部1と鞘部2とが同心円状に配置されている。鞘部2の形状と芯部1の形状が異なるものであっても(例えば、鞘部2が丸形状、芯部1が四角形状)であっても、それぞれの中心(重心)点cがほぼ一致するように配置されていればよい。(A)の形態における芯鞘複合比率は、鞘部2が繊維表面全体を覆うためには、質量比率で、(芯/鞘)=20/80〜80/20であることが好ましい。
そして、(A)の形態を有するポリエステル複合繊維は、機械捲縮が付与されたものである。機械捲縮とは、押し込み式クリンパーやスタフィングボックス等の捲縮付与装置により捲縮を付与されたものをいい、通常、これらの捲縮付与装置によると山部と谷部が連続して存在するジグザグ状の捲縮が付与される。捲縮付与装置により付与する捲縮数は5個/25mm〜25個/25mmとすることが好ましく、捲縮率は5〜30%とすることが好ましい。なお、捲縮率は、JIS L 1015に記載の方法により測定される。
このような(A)の形態を有するポリエステル複合繊維は、長繊維として用いても良いし、数千〜数百万本を集合させた繊維束として切断し、繊維長5〜150mm程度の短繊維としてから紡績糸や不織布に用いてもよい。
得られた複合繊維は、単独で用いてもよいが、他の繊維と混用する場合にも適しており、たとえば混紡、交撚、精紡交撚を行ったり、交織、交編して用いたりして、混合不織布としても良い。混用する他の繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミド等の合成繊維や、ビスコース、キュプラ、ポリノジック等のレーヨン系繊維や、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維や、絹、綿、麻、羊毛その他の獣毛繊維等の天然繊維などが挙げられる。
このような用い方に適するためには、複合繊維の繊度(単繊維繊度)は、1〜100dtexであることが好ましい。
(A)の形態を有するポリエステル複合繊維の製造方法について、上記したような数千〜数百万本の繊維を集合させた繊維束とし、短繊維とする場合の製造例を用いて説明する。すなわち、ポリ乳酸と芳香族ポリエステルとを通常の同心芯鞘型の複合紡糸装置を用いて溶融紡糸し、冷却し、油剤を付与した後、延伸することなく一旦巻取る。この未延伸糸を数十万〜二百万dtexのトウに集束して、延伸倍率2〜5倍、延伸温度40〜80℃で延伸を行い、80〜160℃で熱処理を施す。続いて、押し込み式クリンパーにより機械捲縮を施した後、仕上げ油剤を付与し、乾燥機で乾燥を行い、さらにECカッター等のカッターで目的とする長さに切断して、短繊維とする。
なお、長繊維とする際には、未延伸糸(マルチフィラメント状)を巻き取った後、トウとして集束することなく延伸を施すか、もしくは未延伸糸のまま、撚糸や仮撚加工等を行って加工糸を得る方法がある。
次に、(B)の偏心状の形態を有するポリエステル複合繊維について説明する。図2(I)(II)は、(B)の形態を有するポリエステル複合繊維の一実施態様を示す横断面図である。ここでは、図示のように、芯部1と鞘部2とが偏心状に配置されている。つまり、鞘部2の形状と芯部1の形状が同じ場合や、異なる場合(例えば、鞘部が丸形状、芯部が四角形状)において、それぞれの中心(重心)点c1、c2が一致していない状態で配置されていればよい。そして、上記と同様に鞘部2の最も厚い部分の厚みをaとし最も薄い部分の厚みをbとしたときの偏心度=a/bが2.0以上となるようにすることが好ましく、3.0以上であることがより好ましく、4.0以上であることがいっそう好ましい。偏心度が2.0より小さいと、スパイラル捲縮の発現性が悪くなるため好ましくない。ただし、偏心度が大きくなりすぎると、紡糸操業性が悪化したり、強度等の物性が低下したりしやすいため、偏心度は10.0以下であることが好ましい。
本本明細書においては、鞘部2の厚みは、光学顕微鏡にて繊維の横断面を500倍で撮影した顕微鏡写真より測定し、サンプル数n=20の平均値をとったものによって定義するものとする。
このように、鞘部2の芳香族ポリエステルと芯部1のポリ乳酸とを偏心状に複合させることで、両ポリマーの粘度差や熱収縮差によってスパイラル捲縮を発現させることができる。このスパイラル捲縮は、コイル(螺旋)状の微細な捲縮であり、すなわち三次元的な立体捲縮であって、上記(A)の形態のように捲縮付与装置により機械捲縮を付与したものとは形状が異なるものである。
(B)の形態を有するポリエステル複合繊維は、このような立体的なスパイラル捲縮を有することから、嵩高性に優れており、クッション性が要求される不織布用途に適している。このような用途に用いる際には、ポリエステル複合繊維を数千〜数百万本集合させた繊維束とし、繊維長5〜150mm程度の短繊維として用いることが好ましい。
ポリエステル複合繊維のスパイラル捲縮は、捲縮数が5個/25mm以上であることが好ましく、中でも6個/25mm〜30個/25mmであることがより好ましく、7個/25mm〜20個/25mmであることがいっそう好ましい。また、捲縮率は8%以上であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましく、15〜30%であることがいっそう好ましい。
スパイラル捲縮の数が5個/25mmより少なかったり、あるいは捲縮率が8%未満であったりすると、嵩高性が乏しくなって、クッション性が低下したり、紡績の際や不織布の製造の際の梳綿工程でカード通過性が悪くなったりしやすい。
(B)の形態を有するポリエステル複合繊維は、芳香族ポリエステルとポリ乳酸の粘度や共重合量及び複合繊維の偏心度を適宜調整することによって、上記範囲の捲縮数や捲縮率のものとすることができる。つまり、これらの性能差により複合繊維内でポリマーの収縮差が生じ、延伸時や熱処理時にスパイラル捲縮が発現する。なお、芳香族ポリエステル、ポリ乳酸のいずれが高収縮側、低収縮側であってもよい。ただし、ポリ乳酸は芳香族ポリエステルに比較して熱収縮が高い傾向にあるため、ポリ乳酸を高収縮側にする方が、製糸面、性能面で適している。ポリ乳酸を高収縮側とする場合に、低収縮側となる芳香族ポリエステルの好ましい例としては、PETを主体とし、かつ他の共重合成分の共重合量が低い(共重合量が30モル%以下)ものが挙げられる。スパイラル捲縮を発現しやすくするために、芳香族ポリエステルの溶融粘度をポリ乳酸の溶融粘度よりも低くなるようにすることが好ましい。
逆に、ポリ乳酸を低収縮側とする場合は、芳香族ポリエステルを熱収縮性の高いポリマーとする必要がある。このような芳香族ポリエステルとしては、PETにイソフタル酸や5−スルホイソフタル酸などを30〜50モル%共重合したものや、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。ポリ乳酸を収縮性の低いものとするためには、L−乳酸もしくはD−乳酸の割合が98モル%以上であるようにすることが好ましい。スパイラル捲縮を発現しやすくするために、芳香族ポリエステルの溶融粘度をポリ乳酸の溶融粘度よりも高くなるようにすることが好ましい。
(B)の形態を有するポリエステル複合繊維においては、芯鞘複合比率は、捲縮発現性、コスト、操業性の面から、質量比率で、(芯/鞘)=30/70〜70/30とすることが好ましい。
ポリエステル複合繊維の繊度(単繊維繊度)は、クッション性能、生産性、操業安定性等を考慮して、1.0〜80dtex程度が好ましく、5.0〜40dtexがより好ましい。
(B)の形態を有するポリエステル複合繊維においては、上記のような芯鞘形状やポリマー組成とすることにより、スパイラル捲縮を発現、調整できるものであるが、このようなスパイラル捲縮は製造工程において発現させるものであるので、特に延伸温度や延伸倍率の影響を受ける。このため、スパイラル捲縮を十分に発現させるためにはこれらの条件を適切に選定することも重要である。
(B)の形態を有するポリエステル複合繊維の製造方法について、上記したような数千〜数百万本の繊維を集合させた繊維束とし、短繊維とする場合の製造例を用いて説明する。すなわち、ポリ乳酸と芳香族ポリエステルとを通常の複合紡糸装置を用いて溶融紡糸し、冷却し、油剤を付与した後に、延伸することなく一旦巻取る。この未延伸糸を数十万〜二百万dtexのトウに集束して、延伸倍率2〜5倍、延伸温度40〜80℃で延伸を行うことによって、スパイラル捲縮を発現させる。次に、仕上げ油剤を付与した後、70〜180℃で乾燥熱処理を施す。そして、ECカッター等のカッターで目的とする長さに切断して、短繊維とする。
上記のように、(B)の形態を有するポリエステル複合繊維は、製造工程時(延伸を施す場合は延伸直後)にスパイラル捲縮を発現させる、いわゆる顕在捲縮タイプである。そして、ポリエステル複合繊維から得られる本発明の繊維集合体の寸法安定性を良好とするために、集合体とした後に、上記のような捲縮が発現せずに残った潜在捲縮が顕在化することを抑えることが好ましい。集合体とした後の捲縮の発現を抑制する方法としては、製造時にスパイラル捲縮を発現させた後に、乾燥機などで熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度としては70〜180℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。
このような(B)の形態のスパイラル捲縮を有する繊維を不織布とした場合に、この不織布を例えば紙おむつの表面材として用いると、肌触りが柔らかく、また尿が素早く内部の高分子吸収体粒子や綿状パルプなどからなる保水層に移行するものとなる。
次に、(C)の形態を有するポリエステル複合繊維について説明する。(C)の形態を有するポリエステル複合繊維の一実施態様を示す横断面図は、(B)の形態を有するポリエステル複合繊維と同様もので、図2に示す通りである。その偏心度についても、上述の(B)の形態を有するポリエステル複合繊維と同様に規定されるものである。
ここでは、鞘部2の芳香族ポリエステルと芯部1のポリ乳酸とを偏心的に複合し、繊維製造工程ではできるだけ熱履歴を低温とし、繊維集合体とした後に150℃以下程度の乾熱処理後を行うことで、両ポリマーの粘度差や熱収縮差によってスパイラル捲縮を発現するような、潜在捲縮性能を有するものとすることができる。これによって、伸縮性のある繊維集合体とすることができる。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維は、150℃の乾熱処理で特定のスパイラル捲縮を発現するようなものであるが、ここにいう150℃の乾熱処理とは、繊維に2mg/dtexの荷重を負荷した状態で15分間、150℃で熱処理を行うことをいう。
150℃の乾熱処理で発現する捲縮数は、50個/25mm以上であることが好ましく、60個/25mm〜130個/25mmであることがより好ましく、70個/25mm〜110個/25mmであることがいっそう好ましい。発現するスパイラル捲縮の数が50個/25mmより少ないと、得られる繊維重合体としての織編物、不織布等の伸縮性が乏しいものとなりやすい。
このような(C)の形態を有するポリエステル複合繊維は、紡績糸の用途や不織布の用途に適しており、伸縮性に優れた織編物や不織布等の布帛を得ることができるものである。このような用途に用いる際には、ポリエステル複合繊維を数千〜数百万本を集合させた繊維束とし、繊維長5〜150mm程度の短繊維としてから用いることが好ましい。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維を用いた本発明の繊維集合体は、潜在捲縮性能が発現して捲縮が顕在化した後の複合繊維が十分な伸縮性を有するため、紡績糸や不織布中の一部にのみその複合繊維を用い、他の繊維と混用しても、伸縮性に優れた製品とすることができる。混用する他の繊維としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、アラミド等の合成繊維や、ビスコース、キュプラ、ポリノジック等のレーヨン系繊維や、リヨセル等の溶剤紡糸セルロース繊維や、絹、綿、麻、羊毛その他の獣毛繊維等の天然繊維などが挙げられる。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維は、潜在捲縮性能が顕在化して捲縮が発現することによりスパイラル捲縮を有するものとなるが、潜在捲縮性能が発現する前の形態としては、短繊維とする場合には、梳綿工程でネップや未開繊部の発生がないものとすることが好ましい。このため、捲縮付与装置による機械捲縮が付与されていることが好ましい。
ここでいう機械捲縮は、上記の(A)の形態を有する複合繊維に付与されるものと同じものであり、捲縮数が8個/25mm〜18個/25mmであることが好ましい。機械捲縮の捲縮数が8個/25mm未満であると未開繊部が発生しやすく、18個/25mmを超えるとネップが発生しやすい。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維は、芳香族ポリエステルとポリ乳酸の粘度や共重合量や複合繊維の偏心度を適宜調整することによって、熱処理により発現する捲縮数(潜在捲縮数)を上記範囲のものとすることができる。すなわち、(C)の形態を有するポリエステル複合繊維は、ポリマーの収縮差によって、熱処理後にスパイラル捲縮が発現するものであり、芳香族ポリエステル、ポリ乳酸のいずれが高収縮側、低収縮側であってもよい。なお、ポリ乳酸は芳香族ポリエステルに比較して熱収縮が高い傾向にあるため、ポリ乳酸を高収縮側にする方が、製糸面、性能面で適している。ポリ乳酸を高収縮側とする場合に、低収縮側となる芳香族ポリエステルの好ましい例としては、PETを主体としかつ共重合量が低い(共重合量が30モル%以下)ものを挙げることができる。スパイラル捲縮を発現しやすくするために、芳香族ポリエステルの溶融粘度をポリ乳酸の溶融粘度よりも低くなるようにすることが好ましい。
逆に、ポリ乳酸を低収縮側とする場合は、芳香族ポリエステルを熱収縮性の高いポリマーとする必要がある。このような芳香族ポリエステルとしては、PETにイソフタル酸や5−スルホイソフタル酸などを20〜50モル%共重合したものや、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリマーが挙げられる。ポリ乳酸を収縮性の低いものとするためには、L−乳酸もしくはD−乳酸の割合が98モル%以上であるようにすることが好ましい。スパイラル捲縮を発現しやすくするために、芳香族ポリエステルの溶融粘度をポリ乳酸の溶融粘度よりも高くなるようにすることが好ましい。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維において、芯鞘複合比率は、捲縮発現性、コスト、操業性の面から、質量比率で、(芯/鞘)=30/70〜70/30とすることが好ましい。ポリエステル複合繊維の繊度(単繊維繊度)は、得られる集合体の伸縮性、生産性、操業安定性等を考慮して、1.0〜80dtex程度が好ましく、5.0〜40dtexがより好ましい。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維の製造方法について、上記したような数千〜数百万本の繊維を集合させた繊維束とし、短繊維とする場合の製造例を用いて説明する。すなわち、ポリ乳酸と芳香族ポリエステルとを通常の複合紡糸装置を用いて溶融紡糸し、冷却し、油剤を付与した後に、延伸することなく一旦巻取る。この未延伸糸を数十万〜二百万dtexのトウに集束して、延伸倍率2〜5倍、延伸温度40〜60℃で延伸を行い、熱処理は行わないか、行う場合はできるだけ低温で処理する。続いて、押し込み式クリンパーにより機械捲縮を施した後、ECカッター等のカッターで目的とする長さに切断して短繊維とする。
これに対し、長繊維とする際には、未延伸糸(マルチフィラメント状)を巻き取った後、トウとして集束することなく延伸を施すか、もしくは未延伸糸のまま、撚糸や仮撚加工等を行って加工糸を得る方法がある。
なお、繊維集合体としての製品によっては、製造する途中の工程でスパイラル捲縮を発現させると、ネップが発生しやすくなり、得られる製品の均斉度が悪くなったり、工程通過性が悪くなったりするものがある。このようなものにおいては、製品にした最終の段階で熱処理を施すことにより潜在捲縮性能を発現させることが好ましい。
(C)の形態を有するポリエステル複合繊維は、100〜180℃の熱処理により捲縮が発現する。そこで、織編物とする際には染色や精練工程での熱処理において捲縮を発現させ、不織布とする際にはニードルパンチ処理やウオータージェット処理をした後の熱処理により捲縮を発現させることが好ましい。
よりソフトさを出すためには、芳香族ポリエステルとして、PETにおいて全ジオール成分に対しブタンジオールを40〜60モル%共重合したもの、PETにおいて全酸成分に対しイソフタル酸を20〜50モル%共重合したもの、PETやポリブチレンテレフタレートにおいて全酸成分に対しアジピン酸を10〜30モル%共重合したものなどが好ましい。また、ポリアルキレンテレフタレートに、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオールなどを共重合したものも好ましい。
芳香族ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、物性を損なわない範囲で、できるだけ低重合度のものを用いると、紡糸温度を低くでき、ポリ乳酸の熱分解を抑制できる点で好ましい。
本発明の衛生材料用の繊維集合体とは、規則的あるいは不規則的に繊維が集合した構成体を言い、例えば、繊維束や編物、織物、組布等の布帛として得ることができる。しかし、これらに限定されるものではない。上述の如く繊維集合体はその集合体形態により製造法が異なる。しかし、それぞれ従来公知の方法によって製造することができる。
また、乾式、気流式、湿式法又はスパンボンド法等の公知のウエブ形成法によりウエブを形成し、例えば、接着剤、添加剤による処理方法、あるいはニードルパンチ、ウオータージェットパンチ(流体パンチ)等の機械的交絡法といった公知の処理方法、あるいはその後に乾燥し、熱処理する方法により、衛生材料用の繊維集合体としての不織布を得ることができる。さらには、得られたそれらの衛生材料用の繊維集合体に、目的に応じて、コーティング等の加工、あるいは他ポリマーの併用を行っても差し支えない。
本発明の衛生材料用の繊維集合体とは、衛生用あるいは生活介護関連用として使用されるものを言う。その具体例としては、例えば、保護着、下着等の使い捨て衣料や、サニタリーナプキン、パンティーシールド等の生理用品や、成人用オムツ、ベビーオムツ、失禁者パッド等のオムツや、介護用のシーツ、ベッドカバー、マクラカバー等の寝具用品や、使い捨ておしぼりや、各種吸収材などを挙げることができる。しかし、特にこれらに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例・比較例における各物性値の測定法及び評価法は、次のとおりである。
(1)ポリ乳酸のメルトフローレート値(g/10分):前記のように、ASTM D−1238法に基づき、温度210℃、荷重21.2N(2160g)で測定した。
(2)ポリ乳酸、芳香族ポリエステルの相対粘度:フェノールと四塩化エタンの等質量混合物を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用して、試料濃度0.5g/100cc、温度20℃の条件で測定した。
(3)ポリ乳酸、芳香族ポリエステルの融点(℃)、ポリ乳酸の融解熱(J/g):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−2型を使用し、昇温速度20℃/分の条件で測定した。
(4)ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の含有比(モル比):超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液との等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムにはsumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(5)偏心度:前記のように、繊維の横断面を観察し、図1および図2に示される鞘部2の最も厚い部分の厚みをaとし、最も薄い部分の厚みをbとして、a/bを求め、サンプル数n=20について求めた価の平均値をとることによって偏心度を算出した。
(6)単繊維繊度(dtex):JIS L−1015 正量繊度A法に従って測定した。
(7)強度(cN/dtex):JIS L−1015に規定される引張強さの標準時試験法に従って測定した。
(8)捲縮数(個/25mm)、捲縮率(%):JIS L−1015 に規定されるけん縮のけん縮数及びけん縮率に従って測定した。
なお、150℃乾熱処理後の捲縮数は、前記のように、複合繊維を、2mg/dtexの荷重下で、150℃、15分間熱処理した後に測定した。
なお、150℃乾熱処理後の捲縮数は、前記のように、複合繊維を、2mg/dtexの荷重下で、150℃、15分間熱処理した後に測定した。
(9)耐湿熱分解性(%):複合繊維を、50℃、95%相対湿度の条件下で1000時間保持し、処理前の強度に対する処理後の強度の比を次式にて算出した。なお、これらの強度は前記の(7)に従って測定した。
耐湿熱分解性(%)=(処理後強度/処理前強度)×100
耐湿熱分解性(%)=(処理後強度/処理前強度)×100
(10)耐摩耗性(回):得られた複合繊維をリング精紡機にかけて、綿番手10番の単糸(10/1)の紡績糸を得た。次に、この紡績糸を筒編みにしたものを用いて、JIS L−1018 摩耗強さのA法(ユニホーム形法)に従って耐摩耗性を測定した。
(11)嵩高性:複合繊維をカード開繊機にかけてシート状ウエブにした後、20×20cmの大きさに切り、質量が80gになるように積み重ね、初荷重(測定板20×20cm、質量170g)時の比容積を測定したものを初荷重時比容積(cm3/g)とした。同様に、荷重(測定板20×20cm、質量170g+5.23kg)時の比容積を測定したものを荷重時比容積(cm3/g)とした。そして、初荷重時比容積が80cm3/g以上であり、かつ荷重時比容積が20cm3/g以上であるものを、嵩高性があると判断した。
(12)不織布の伸縮性:得られた繊維集合体としての不織布を、長さ15cm、幅5cmに切断し、30g荷重時の長さL0と240g荷重時の長さL1とを測定し、次式より伸長率を算出した。
伸長率(%)=〔(L1−L0)/L0〕×100
伸長率が100%以上であるものを、伸縮性があると判断した。
伸長率(%)=〔(L1−L0)/L0〕×100
伸長率が100%以上であるものを、伸縮性があると判断した。
(13)生分解度:複合繊維を試料として、JIS K 6953に基き、試験開始から45日後までのCO2発生量により計算して生分解度を求めた。
(14)崩壊度:生分解度を求めるときの試料の崩壊度合いについて、目視により下記の3段階の判定を行った。
○:ほぼ元の形状を保持
△:比較的大きな断片状に分解
×:ほとんど粉状に分解
○:ほぼ元の形状を保持
△:比較的大きな断片状に分解
×:ほとんど粉状に分解
実施例1
ポリ乳酸として、融点が170℃、融解熱が38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/D(モル比)が98.5/1.5、メルトフローレート値(以降、「MFR」と略称する)が23g/10分、相対粘度が1.85のものを用いた。
ポリ乳酸として、融点が170℃、融解熱が38J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/D(モル比)が98.5/1.5、メルトフローレート値(以降、「MFR」と略称する)が23g/10分、相対粘度が1.85のものを用いた。
芳香族ポリエステルとして、相対粘度が1.37、融点が217℃の、イソフタル酸を15モル%共重合したPETを用いた。
次に、それぞれの重合体のチップを減圧乾燥した後、同心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行った。このとき、共重合PETが鞘部、ポリ乳酸が芯部となるように配し、複合比(質量比)を50/50とし、紡糸温度を240℃とした。そして、紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸条を得た。さらに、得られた糸条を集束して33万dtexのトウにし、延伸倍率3.2倍、温度60℃で延伸し、温度140℃のヒートドラムで熱処理してから、押し込み式クリンパーを使用して機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断して、複合短繊維を得た。
次に、それぞれの重合体のチップを減圧乾燥した後、同心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行った。このとき、共重合PETが鞘部、ポリ乳酸が芯部となるように配し、複合比(質量比)を50/50とし、紡糸温度を240℃とした。そして、紡出糸条を冷却した後、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸条を得た。さらに、得られた糸条を集束して33万dtexのトウにし、延伸倍率3.2倍、温度60℃で延伸し、温度140℃のヒートドラムで熱処理してから、押し込み式クリンパーを使用して機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断して、複合短繊維を得た。
得られた複合短繊維は、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成するものであったが、繊度(単繊維繊度)が3.3dtexの丸断面形状のものであり、偏心度が1.5、捲縮数が11.2個/25mm、捲縮率が11.1%、強度が4.31cN/dtex、耐湿熱分解性が89%、耐摩耗性が3650回のものであった。
実施例2〜3
芯部と鞘部の複合比率を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維を得て、特性を評価した。
芯部と鞘部の複合比率を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維を得て、特性を評価した。
実施例4
芳香族ポリエステルとして、ポリトリメチレンテレフタレート(相対粘度1.44、融点215℃)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維を得て、特性を評価した。
芳香族ポリエステルとして、ポリトリメチレンテレフタレート(相対粘度1.44、融点215℃)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維を得て、特性を評価した。
実施例5
芳香族ポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレート(相対粘度1.44、融点218℃)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維を得て、特性を評価した。
芳香族ポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレート(相対粘度1.44、融点218℃)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維を得て、特性を評価した。
比較例1
実施例1と同じポリ乳酸を用い、複合繊維ではなく、ポリ乳酸のみの単一型の繊維を、通常の紡糸装置を用いて紡糸温度230℃で溶融紡糸した。それ以外は実施例1と同様にして短繊維を得て、特性を評価した。
実施例1と同じポリ乳酸を用い、複合繊維ではなく、ポリ乳酸のみの単一型の繊維を、通常の紡糸装置を用いて紡糸温度230℃で溶融紡糸した。それ以外は実施例1と同様にして短繊維を得て、特性を評価した。
参考例1
本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維と諸物性を比較するために、複合繊維ではなく、実施例1と同じ芳香族ポリエステルのみを用いた単一型の繊維を、参考例1として、通常の紡糸装置を用いて紡糸温度250℃で溶融紡糸した。それ以外は実施例1と同様にして短繊維を得て、特性を評価した。
本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する短繊維と諸物性を比較するために、複合繊維ではなく、実施例1と同じ芳香族ポリエステルのみを用いた単一型の繊維を、参考例1として、通常の紡糸装置を用いて紡糸温度250℃で溶融紡糸した。それ以外は実施例1と同様にして短繊維を得て、特性を評価した。
実施例1〜5で得られた複合繊維と、比較例1、参考例1で得られた繊維との物性値及び評価結果を、表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5の複合繊維は、強度、耐湿熱分解性、耐摩耗性が高く、様々な衛生材料用途に使用するのに十分な特性を有していた。一方、比較例1の繊維は、ポリ乳酸のみからなる繊維であったため、強度、耐摩耗性が低く、耐湿熱分解性を測定する際に、湿熱処理後の強度が低下しすぎて繊維はボロボロとなり、処理後の強度の測定ができず、耐湿熱分解性を算出することが不可能であった。
実施例6
実施例1と同じポリ乳酸を用いた。また、芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.30、融点253℃のPETを用いた。そして、ポリ乳酸が芯部に配されPETが鞘部に配されるように偏心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して、溶融紡糸を行った。
実施例1と同じポリ乳酸を用いた。また、芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.30、融点253℃のPETを用いた。そして、ポリ乳酸が芯部に配されPETが鞘部に配されるように偏心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して、溶融紡糸を行った。
このとき、複合比(質量比)を50/50とし、孔数225孔の紡糸口金より紡糸温度280℃で溶融紡糸を行った。そして、紡出糸条を冷却した後、引取速度800m/分で引き取って未延伸糸条を得た。得られた糸条を集束して33万dtexのトウにし、延伸倍率3.5倍、温度60℃で延伸することによって、延伸直後にスパイラル捲縮を発現させた。続いて、仕上げ油剤を付与し、100℃で乾燥させた後、繊維長64mmに切断して、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する複合短繊維を得た。
得られた複合短繊維は、繊度(単繊維繊度)が6.6dtexの丸断面形状のものであり、偏心度が4.1であった。またスパイラル捲縮が発現したものであり、その捲縮数は7.2個/25mm、捲縮率は23.2%、強度は3.51cN/dtexであった。しかも、嵩高性評価の初荷重時比容積、荷重時比容積ともに高く嵩高性に優れており、耐湿熱分解性は89%であった。
実施例7〜8
複合溶融紡糸装置のノズルの形状を変更して、偏心度を表2に示す値に変更した。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
複合溶融紡糸装置のノズルの形状を変更して、偏心度を表2に示す値に変更した。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
実施例9〜11
延伸温度、延伸倍率を表2に示す値に変更した。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
延伸温度、延伸倍率を表2に示す値に変更した。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
実施例12
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を20モル%共重合したPET(相対粘度1.38、融点206℃)を用いた。また紡糸温度を240℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を20モル%共重合したPET(相対粘度1.38、融点206℃)を用いた。また紡糸温度を240℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
実施例13
芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール(EG)を45モル%共重合したポリブチレンテレフタレート(PBT)(相対粘度1.40、融点180℃)を用い、紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール(EG)を45モル%共重合したポリブチレンテレフタレート(PBT)(相対粘度1.40、融点180℃)を用い、紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
実施例14
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を20モル%共重合したPBT(相対粘度1.52、融点208℃)を用いた。また紡糸温度を250℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を20モル%共重合したPBT(相対粘度1.52、融点208℃)を用いた。また紡糸温度を250℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
実施例15
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を40モル%共重合したPBT(相対粘度1.72、融点125℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を40モル%共重合したPBT(相対粘度1.72、融点125℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
比較例2
鞘部ポリマーとして、実施例1のもの同様のポリ乳酸で相対粘度1.61のものを用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
鞘部ポリマーとして、実施例1のもの同様のポリ乳酸で相対粘度1.61のものを用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例6と同様にして複合短繊維を得て、性能を評価した。
実施例6〜15、比較例2で得られた複合繊維の物性値及び評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例6〜15の複合繊維は、スパイラル捲縮が発現されており、嵩高性に優れ、耐湿熱分解性にも優れており、衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体として様々な用途に使用するのに十分な特性を有していた。中でも、実施例6〜9、12〜14のものは、十分なスパイラル捲縮と耐湿熱分解性を有しており、特に好ましいものであった。
一方、比較例2の複合短繊維は、ポリ乳酸のみからなる繊維であったため、耐湿熱分解性を測定する際に、湿熱処理後の強度が低下しすぎて繊維はボロボロとなり、処理後の強度の測定ができず、耐湿熱分解性を算出することができなかった。
実施例16
実施例1のものと同じポリ乳酸を用いた。芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.30、融点253℃のPETを用いた。そして、ポリ乳酸が芯部に配されPETが鞘部に配されるように偏心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して、溶融紡糸を行った。
実施例1のものと同じポリ乳酸を用いた。芳香族ポリエステルとして、相対粘度1.30、融点253℃のPETを用いた。そして、ポリ乳酸が芯部に配されPETが鞘部に配されるように偏心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して、溶融紡糸を行った。
このとき、複合比(質量比)を50/50とし、孔数639孔の紡糸口金より紡糸温度280℃で溶融紡糸を行った。そして、紡出糸条を冷却した後、引取速度900m/分で引き取って未延伸糸条を得た。得られた糸条を集束して33万dtexのトウにし、延伸倍率3.5倍、温度60℃で延伸し、110℃で緊張熱処理をしてから、押し込み型クリンパーにて機械捲縮を付与し、仕上げ油剤を付与後に、65℃で乾燥させ、繊維長44mmに切断して、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成する複合短繊維を得た。
得られた複合短繊維は、繊度(単繊維繊度)が3.3dtexの丸断面形状のものであり、偏心度が4.1、機械捲縮の捲縮数が11.4個/25mm、強度が3.7cN/dtexであった。また、150℃乾熱処理を施したところ、スパイラル捲縮が発現し、そのスパイラル捲縮の捲縮数は112個/25mm、耐湿熱分解性は89%であった。
次に、得られた短繊維をカード機で開繊し、目付50g/m2のウエブを作成した。次いで、このウエブを100メッシュスクリーンからなるネットコンベアーに載置し、孔径0.12mm、孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する噴射ノズルを3段階に設けた高圧水流発生装置から、前段4000kPa、中段9000kPa、後段9000kPaの水圧でウエブの表裏に水流交絡処理を施して、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体としての不織布を得た。得られた不織布の伸長率は165%であった。
実施例17〜18
複合溶融紡糸装置のノズルの形状を変更して、偏心度が表3に示す値になるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
複合溶融紡糸装置のノズルの形状を変更して、偏心度が表3に示す値になるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例19
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を20モル%共重合したPET(相対粘度1.38、融点206℃)を用いた。また紡糸温度を240℃とし、偏心度が4.0となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を20モル%共重合したPET(相対粘度1.38、融点206℃)を用いた。また紡糸温度を240℃とし、偏心度が4.0となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例20
芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール(EG)を45モル%共重合したPBT(相対粘度1.40、融点180℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が4.3となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール(EG)を45モル%共重合したPBT(相対粘度1.40、融点180℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が4.3となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例21
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を20モル%共重合したPBT(相対粘度1.52、融点208℃)を用いた。また紡糸温度を250℃とし、偏心度が4.0となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を20モル%共重合したPBT(相対粘度1.52、融点208℃)を用いた。また紡糸温度を250℃とし、偏心度が4.0となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例22
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を40モル%共重合したPBT(相対粘度1.72、融点125℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が4.3となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を40モル%共重合したPBT(相対粘度1.72、融点125℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が4.3となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
比較例3
鞘部ポリマーとして、融点が153℃、融解熱が21J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/D(モル比)が94.2/5.8、MFRが21g/10分、相対粘度が1.81のポリ乳酸を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が4.4となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
鞘部ポリマーとして、融点が153℃、融解熱が21J/g、L−乳酸とD−乳酸の含有比であるL/D(モル比)が94.2/5.8、MFRが21g/10分、相対粘度が1.81のポリ乳酸を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が4.4となるようにした。それ以外は実施例16と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例16〜22、比較例3で得られた複合短繊維及び不織布の物性値及び評価結果を表3に示す。
表3から明らかなように、実施例16〜22の複合短繊維は、熱処理により潜在捲縮能が顕在化してスパイラル捲縮が発現するものであった。この複合短繊維は耐湿熱分解性に優れており、この複合短繊維から得られた不織布は伸縮性に優れるものであった。
中でも、実施例16、18〜21は、十分なスパイラル捲縮が発現し、耐湿熱分解性にも優れており、得られた不織布の伸縮性も優れたものであって、特に好ましいものであった。
一方、比較例3の複合繊維は、ポリ乳酸のみからなる繊維であったため、耐湿熱分解性を測定する際に、湿熱処理後の強度が低下しすぎて繊維はボロボロとなり、処理後の強度の測定ができず、耐湿熱分解性を算出することができなかった。
実施例23
実施例1と同じポリ乳酸を用いた。また、芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール(EG)を45モル%共重合したPBT(相対粘度1.40、融点180℃)を用いた。
実施例1と同じポリ乳酸を用いた。また、芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール(EG)を45モル%共重合したPBT(相対粘度1.40、融点180℃)を用いた。
次に、それぞれの重合体のチップを減圧乾燥した後、同心芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給して溶融紡糸を行った。このとき、共重合PBTが鞘部、ポリ乳酸が芯部となるように配し、芯/鞘複合比(質量比)を75/25とし、紡糸温度を230℃とした。そして、紡出糸条を冷却した後、引取速度1100m/分で引き取って未延伸糸条を得た。さらに、得られた糸条を集束して33万dtexのトウにし、延伸倍率3.5倍、温度60℃で延伸し、温度140℃のヒートドラムで熱処理してから、押し込み式クリンパーを使用して機械捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断して、複合短繊維を得た。
得られた複合繊維は、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体を構成するものであったが、単繊維繊度が33dtexの丸断面形状のものであり、偏心度が1.5、捲縮数が12.3個/25mm、捲縮率が11.2%、強度が3.95cN/dtex、耐湿熱分解性が87%、生分解度が86%であった。
次に、得られた短繊維をカード機で開繊し、目付50g/m2のウエブを作成した。次いで、このウエブを100メッシュスクリーンからなるネットコンベアーに載置し、孔径0.12mm、孔間隔1.0mmの噴射孔を複数個有する噴射ノズルを3段階に設けた高圧水流発生装置から、前段4000kPa、中段9000kPa、後段9000kPaの水圧でウエブの表裏に水流交絡処理を施して、本発明の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体としての不織布を得た。
実施例24〜26
複合溶融紡糸装置のノズルの形状を変更して、偏心度を表4に示す値に変更した。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
複合溶融紡糸装置のノズルの形状を変更して、偏心度を表4に示す値に変更した。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例27
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を40モル%共重合したPET(相対粘度1.38)を用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を40モル%共重合したPET(相対粘度1.38)を用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例28
芳香族ポリエステルとして、ε−カプロラクトン(ε−CL)を20モル%、ブタンジオール(BD)を50モル%共重合したPET(相対粘度1.38、融点160℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が1.6となるようにした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、ε−カプロラクトン(ε−CL)を20モル%、ブタンジオール(BD)を50モル%共重合したPET(相対粘度1.38、融点160℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とし、偏心度が1.6となるようにした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例29
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を15モル%共重合したPET(相対粘度1.37、融点217℃)を用いた。また紡糸温度を240℃とし、偏心度が1.6となるようにした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、イソフタル酸を15モル%共重合したPET(相対粘度1.37、融点217℃)を用いた。また紡糸温度を240℃とし、偏心度が1.6となるようにした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例30
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を40モル%共重合したPBT(相対粘度1.72、融点125℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
芳香族ポリエステルとして、アジピン酸(AD)を40モル%共重合したPBT(相対粘度1.72、融点125℃)を用いた。また紡糸温度を230℃とした。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
比較例4
複合繊維ではなく、実施例1と同じポリ乳酸のみの単一型の繊維とした。そして、通常の紡糸装置を用いて紡糸温度230℃で溶融紡糸した。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
複合繊維ではなく、実施例1と同じポリ乳酸のみの単一型の繊維とした。そして、通常の紡糸装置を用いて紡糸温度230℃で溶融紡糸した。それ以外は実施例23と同様にして複合短繊維及び不織布を得て、性能を評価した。
実施例23〜30で得られた複合繊維及び不織布と、比較例4で得られた繊維及び不織布とについて、その物性値及び評価結果を表4に示す。
表4から明らかなように、実施例23〜30の複合繊維は、強度と耐湿熱分解性に優れ、かつコンポスト分解性にも優れていた。このような複合繊維からなる不織布もまた、実用的な強度を有し、耐湿熱分解性及びコンポスト分解性に優れるといえるものであった。中でも、実施例23〜25、27〜28の複合繊維及び不織布は、耐湿熱分解性とコンポスト分解性との両性能ともに十分に優れており、特に好ましいものであった。
一方、比較例4の繊維は、ポリ乳酸のみからなる繊維であったため、耐湿熱分解性を測定する際に、湿熱処理後の強度が低下しすぎて繊維はボロボロとなり、処理後の強度の測定ができず、耐湿熱分解性を算出することができなかった。
1 芯部
2 鞘部
2 鞘部
Claims (5)
- 横断面が芯鞘形状を呈して、鞘部に芳香族ポリエステルが配され、芯部にポリ乳酸が配された複合繊維にて構成されていることを特徴とする衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
- 芯部と鞘部とが同心円状に配置された同心芯鞘型の複合繊維にて構成され、機械捲縮が付与されていることを特徴とする請求項1記載の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
- 芯部と鞘部とが偏心状に配置された偏心芯鞘型の複合繊維にて構成され、捲縮数5個/25mm以上かつ捲縮率8%以上のスパイラル捲縮を有していることを特徴とする請求項1記載の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
- 芯部と鞘部とが偏心状に配置された偏心芯鞘型の複合繊維にて構成され、150℃乾熱処理後に50個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能を有していることを特徴とする請求項1記載の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
- 鞘部の芳香族ポリエステルは、全酸成分の70モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の衛生材料用ポリエステル複合繊維集合体。
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JP2014121489A (ja) * | 2012-12-21 | 2014-07-03 | Oji Holdings Corp | 吸収補助シートおよびそれを有する吸収体 |
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JP2020158946A (ja) * | 2019-03-20 | 2020-10-01 | 東レ株式会社 | 偏心芯鞘複合短繊維 |
-
2007
- 2007-03-26 JP JP2007078049A patent/JP2008237257A/ja active Pending
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