JP2017184691A - 容器詰めアルコール飲料 - Google Patents
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すなわち、本発明の課題は、複雑味、コク、及び後味の余韻に優れた容器詰めアルコール飲料を提供することにある。
〔1〕(A)L−プロリン、及び(B)リモネンを含有する容器詰めアルコール飲料であって、L−プロリンの濃度が10〜700mg/Lであり、リモネンの濃度が5〜150mg/Lである、容器詰めアルコール飲料。
〔2〕L−プロリンとリモネンの質量比「(A)L-プロリン/(B)リモネン」が0.5〜50である、前記〔1〕に記載の容器詰めアルコール飲料。
〔3〕糖類含有量が5重量%以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のアルコール飲料。
〔4〕果汁含量が5%未満である、前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔5〕醸造酒を含有する、前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔6〕前記醸造酒が、ぶどう又はりんごの果実及び/又は果汁を発酵させた果実酒である、前記〔5〕に記載のアルコール飲料。
〔7〕蒸留酒を含有する、前記〔1〕から〔6〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
〔8〕前記蒸留酒が、糖蜜由来である、前記〔7〕に記載のアルコール飲料。
〔9〕前記蒸留酒が、原料用アルコールである、前記〔8〕に記載のアルコール飲料。
〔10〕炭酸飲料である、前記〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のアルコール飲料。
本発明の容器詰めアルコール飲料は、L−プロリン、及びリモネンを含有する。飲料中のL−プロリンの濃度は、10〜700mg/Lである。飲料中のリモネンの濃度は、5〜150mg/Lである。
リモネンは、柑橘類の果皮などに含まれ、柑橘香の一部を構成する成分である。
一方、L-プロリンは、麦芽等に含まれるアミノ酸の一種である(例えば、特開2015-181361号公報、及び特開2015-122970号公報)。
本発明によれば、上記のように、10〜700mg/LのL-プロリンと5〜150mg/Lのリモネンとを組み合わせることにより、複雑味を有し、コクがあり、後味の余韻に優れた飲料を得ることができる。
リモネンの含有量は、上述の通り、5〜150mg/Lであるが、好ましくは10〜100mg/L、より好ましくは20〜80mg/Lである。リモネンの含有量が5mg/L未満の場合、香味が重々しくて飲料としての総合的なおいしさが損なわれる傾向があり、一方、リモネンの含有量が150mg/Lを超える場合、柑橘系の苦味が強調され過ぎ、総合的なおいしさが損なわれやすくなる。
L−プロリンとリモネンの質量比「L-プロリン/リモネン」は、好ましくは、0.5〜50であり、より好ましくは0.5〜30、更に好ましくは1〜20である。当該質量比が0.5未満である場合には、味が単調になり過ぎて香味のバランスが悪くなり易い。一方、質量比が50を超える場合、甘味、苦味及び渋みが強すぎて香味のバランスが悪くなる。
また、ベース酒が醸造酒であることもまた好ましい。醸造酒としては、ぶどう又はりんごの果実及び/又は果汁を発酵させた果実酒が好ましく用いられる。アルコール源の一部に果実酒等を用いることにより、飲料の刺激感を低減し、かつ、複雑な香味を付与することができる。ベース酒として、蒸留酒と醸造酒との双方を用いることも好ましい。
また、上述のように、リモネンは、柑橘系果汁由来とすることもできるが、飲料は、無果汁であるか、又は果汁含有量が5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは無果汁である。果汁を使用する場合、例えば、レモン果汁、グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁等が好ましく用いられ、これらの中でもレモン果汁がより好ましい。果汁含有量が5質量%以下であることにより、お酒らしい複雑味のある味わいやコク味をより感じやすくなるという効果が得られる。
また、飲料は、高甘味度甘味料を含有しないことが好ましい。高甘味度甘味料を用いた場合、お酒らしい自然なコク味を感じ難くなる。尚、本発明において、高甘味度甘味料とは、ショ糖に比べて10倍以上の甘味度を有する甘味料を言う。甘味度としては、精糖工業会発行「甘味料の総覧」(1990年5月発行)及び株式会社光琳発行「高甘味度甘味料スクラロースのすべて」(2003年5月発行)に記載されている値が用いられる。高甘味度甘味料に該当する甘味料としては、スクラロース(甘味度600)、アセスルファムカリウム(甘味度200)、アスパルテーム(甘味度200)、ステビア抽出物(甘味度250)、酵素処理ステビア(甘味度175)、ソーマチン(甘味度2750)、及びカンゾウ抽出物(甘味度200)等が挙げられる。
また、甘味料として糖類を用いた場合、高甘味度甘味料を使用した場合に比べて、お酒らしい自然なコク味をより感じ易くなるという利点が得られる。
但し、飲料中の糖類の含有量は、5質量%以下であることが好ましい。糖類の含有量が5重量%を超えると、甘味が強くなって香味のバランスが崩れ、総合的な嗜好性おいしさが低下しやすくなる。
また、飲料の総酸度は、例えば、0.1〜10.0(g/L)、好ましくは、0.5〜5.5(g/L)である。尚、総酸度は、クエン酸換算した酸度を示し、国税庁所定分析法にて定められた酸度の測定方法に基づいて算出される。
下記表1に示される処方に従い、原料用アルコール(エタノール95%)に、L-プロリン、クエン酸、果糖ブドウ糖液糖、レモン香料、及び炭酸水を加え、例1〜8に係る飲料を得た。尚、表1に示されるリモネンの含有量は、レモン香料に含まれるリモネンと、レモン香料とは別に添加したリモネンの合計量である。得られた飲料について、6名の専門パネルによる官能検査を行い、複雑味、後味の余韻、熟成感のある香味(味の強さ、コク)、アルコール苦味の少なさ、及び総合評価のそれぞれを評価した。
官能検査においては、各項目において、比較例である例6の飲料の値を3として、1〜5の5段階で評価を行い、複数の専門パネルの平均値を結果とした。複雑味については、値が大きいほど、味が複雑であることを示す。また、後味の余韻については、値が大きいほど、余韻が大きいことを示す。熟成感のある香味については、値が大きいほど、味の強さ(コク)が強いことを示す。アルコール苦味の少なさについては、値が大きいほど、アルコールによる苦味が少ないことを示す。また、総合評価は、上記各項目に甘味、苦味、及び渋みのバランスを加味して、飲料としての総合的なおいしさを表したものであり、値が大きいほど、総合的なおいしさに優れていることを示す。
官能評価の結果を、表1に示す。尚、専門パネルにより得られたコメントも併せて表1に示されている。
尚、L-プロリンの含有量が700mg/Lを超える例5においても、例6と比べて、複雑味が増し、後味の余韻が大きく、熟成感のある香味が増強され、アルコール苦味が低減されていたが、甘さ及び苦渋味が必要以上に強調されており、総合評価は例6を下回った。すなわち、L−プロリンの含有量が700mg/Lを超える場合、甘味、苦味及び渋みが強くなり、飲料としての総合的なおいしさが損なわれやすくなることが判る。
また、リモネンの含有量が150mg/Lを超える例8の飲料においては、複雑味などについては良好な結果が得られたものの、総合評価が例6を下回った。例8の飲料においては、「酸味が残る」、「柑橘の苦味強い」、「オイリーで不快」というコメントが見られ、リモネンの含有量が150mg/Lを超える場合には、柑橘系の苦味などが強調され過ぎて総合的なおいしさが損なわれやすいことが判る。
下記表2に示される処方に従い、原料用アルコール(エタノール95%)に、ぶどう果実酒、リモネン、クエン酸、果糖ブドウ糖液糖、レモン香料、及び炭酸水を加え、例10〜14に係る飲料を得た。但し、例14に係る飲料については、原料用アルコールを使用せず、ぶどう果実酒のみをベース酒として用いた。
ぶどう果実酒としては、アルコール度数が9.5%であり、クエン酸濃度2.2g/Lであり、及びL−プロリン含有量が267mg/Lであるものを用いた。すなわち、飲料中に含まれるL−プロリンは、全てぶどう果実酒由来のものである。
また、表2に記載されているクエン酸の含有量は、ぶどう果実酒由来のクエン酸の含有量に、ぶどう果実酒とは別に添加したクエン酸の含有量を加えた値である。
また、表2に記載のリモネンの含有量は、レモン香料由来のものと、レモン香料とは別に添加したリモネンとの合計量である。
得られた飲料について、実験例1と同様に、複数の専門パネルによる官能検査を行い、複雑味、後味の余韻、熟成感のある香味(味の強さ、コク)、アルコール苦味の少なさ、及び総合評価のそれぞれを評価した。
官能検査においては、L−プロリンを含有しない例9(例6と同じ飲料である)の飲料を基準として測定した。すなわち、例9の飲料の値を3として、1〜5の5段階で評価を行い、複数の専門パネルの平均値を結果とした。
官能評価の結果を、表2に示す。尚、専門パネルにより得られたコメントも併せて表2に示されている。
Claims (11)
- (A)L−プロリン、及び(B)リモネンを含有する容器詰めアルコール飲料であって、L−プロリンの濃度が10〜700mg/Lであり、リモネンの濃度が5〜150mg/Lである、容器詰めアルコール飲料。
- L−プロリンとリモネンの質量比「(A)L-プロリン/(B)リモネン」が0.5〜50である、請求項1に記載のアルコール飲料。
- 糖類含有量が5質量%以下である、請求項1又は2に記載のアルコール飲料。
- 高甘味度甘味料を含有しない、請求項1から3のいずれかに記載のアルコール飲料。
- 果汁含量が5質量%未満である、請求項1から4のいずれかに記載のアルコール飲料。
- 醸造酒を含有する、請求項1から5のいずれかに記載のアルコール飲料。
- 前記醸造酒が、ぶどう又はりんごの果実及び/又は果汁を発酵させた果実酒である、請求項6に記載のアルコール飲料。
- 蒸留酒を含有する、請求項1から7のいずれかに記載のアルコール飲料。
- 前記蒸留酒が、糖蜜由来である、請求項8に記載のアルコール飲料。
- 前記蒸留酒が、原料用アルコールである、請求項9に記載のアルコール飲料。
- 炭酸飲料である、請求項1から10のいずれかに記載のアルコール飲料。
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