JP2012029663A - さのう入り飲料の製造方法、さのう、及びさのう入り飲料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高甘味度甘味料を使用した飲料の製造方法であって、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨みを有する飲料を製造可能な飲料の製造方法を提供すること。
【解決手段】さのうに香料を接触させて前記さのうに前記香料を吸着させる工程と、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程と、前記香料を吸着させたさのうと前記飲料原液とを混合する工程と、を含むさのう入り飲料の製造方法によれば、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有するにもかかわらず、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨みを有するさのう入り飲料を製造することができる。
【選択図】なし
【解決手段】さのうに香料を接触させて前記さのうに前記香料を吸着させる工程と、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程と、前記香料を吸着させたさのうと前記飲料原液とを混合する工程と、を含むさのう入り飲料の製造方法によれば、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有するにもかかわらず、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨みを有するさのう入り飲料を製造することができる。
【選択図】なし
Description
本発明はさのう入り飲料の製造方法、これに用いられるさのう、及びさのう入り飲料に関する。
従来、特に清涼飲料水の分野において、かんきつ類のさのうを含有した商品が知られていた。このようなさのうを含有した清涼飲料水は、さのうの独特の食感やさのうを含有させることにより向上する果汁感のため、消費者にも広く親しまれている。
さのうを使用した飲料としては、例えば、特許文献1には、長径が1mmから3mmの範囲に細断されたさのうの割合が35%以上であり、それより大きい長径のさのうの割合が10%以下であることを特徴とする細断さのう、及びこれを用いたさのう含有飲料が開示されている。また、特許文献2には、含まれているさのうが、さのう柄を備えた略々原形に近い張りのある形状のものから実質的になることを特徴とするさのう入りジュース缶詰が開示されている。
これらのさのう入り飲料は、従来の糖を含む清涼飲料水に新たな食感や向上した果汁感を付与する目的でさのうを添加するものであり、低カロリー飲料や低糖飲料にさのうを添加したものではなかった。
さのうを使用した飲料としては、例えば、特許文献1には、長径が1mmから3mmの範囲に細断されたさのうの割合が35%以上であり、それより大きい長径のさのうの割合が10%以下であることを特徴とする細断さのう、及びこれを用いたさのう含有飲料が開示されている。また、特許文献2には、含まれているさのうが、さのう柄を備えた略々原形に近い張りのある形状のものから実質的になることを特徴とするさのう入りジュース缶詰が開示されている。
これらのさのう入り飲料は、従来の糖を含む清涼飲料水に新たな食感や向上した果汁感を付与する目的でさのうを添加するものであり、低カロリー飲料や低糖飲料にさのうを添加したものではなかった。
ところで、近年、健康志向やダイエット志向の高まりを受けて、清涼飲料水及びアルコール飲料においても、低カロリー商品や低糖商品が好まれる傾向が強まっている。アルコール飲料の一つであるチューハイにおいても、従来の糖の多い商品は、糖の存在のために満腹感が出やすいため食事に合いにくく、虫歯の心配もあるという欠点が指摘されていた。また、一定以上の糖類を摂取することにより、血糖値が上昇してインシュリンが分泌され、アルコールの摂取が抑制されることが知られている。このため、アルコール飲料を好む消費者は、「辛党」と呼ばれ、甘い食品・飲料を避ける傾向にあることが知られている。
一方、インシュリンを分泌させない高甘味度甘味料を使用した、低糖又は無糖の商品は、血糖値を上昇させて満腹感を感じさせることは無いが、甘味の後味や香り立ちが悪く、ボディー感や旨みに欠けるという欠点が指摘されている。このため、このような欠点を改善した、高甘味度甘味料を使用したアルコール飲料が望まれていた。
一方、インシュリンを分泌させない高甘味度甘味料を使用した、低糖又は無糖の商品は、血糖値を上昇させて満腹感を感じさせることは無いが、甘味の後味や香り立ちが悪く、ボディー感や旨みに欠けるという欠点が指摘されている。このため、このような欠点を改善した、高甘味度甘味料を使用したアルコール飲料が望まれていた。
本発明は、高甘味度甘味料を使用したさのう入り飲料の製造方法であって、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨みを有する飲料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、あらかじめ香料を吸着させたさのうを、高甘味度甘味料を含有する飲料原液に混合する飲料の製造方法により、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨みを有する飲料を製造可能であることを見出した。本発明は、上記知見に基づいて行われたものである。
即ち、本発明は、さのうに香料を接触させ上記さのうに上記香料を吸着させる工程と、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程と、上記香料を吸着させたさのうと上記飲料原液とを混合する工程と、を含むさのう入り飲料の製造方法を提供する。
また、本発明は、さのうに香料を接触させて上記香料を吸着させたさのうを提供する。
更に、本発明は、0.5質量%以上5質量%以下のさのうと、5ppm以上10000ppm以下の香料と、0.03g/L以上1.0g/L以下の高甘味度甘味料と、を含有するさのう入り飲料を提供する。
即ち、本発明は、さのうに香料を接触させ上記さのうに上記香料を吸着させる工程と、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程と、上記香料を吸着させたさのうと上記飲料原液とを混合する工程と、を含むさのう入り飲料の製造方法を提供する。
また、本発明は、さのうに香料を接触させて上記香料を吸着させたさのうを提供する。
更に、本発明は、0.5質量%以上5質量%以下のさのうと、5ppm以上10000ppm以下の香料と、0.03g/L以上1.0g/L以下の高甘味度甘味料と、を含有するさのう入り飲料を提供する。
本発明のさのう入り飲料の製造方法によれば、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有するにもかかわらず、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨みを有するさのう入り飲料を製造することができる。
<さのう入り飲料の製造方法>
本発明のさのう入り飲料の製造方法は、さのうに香料を接触させて上記さのうに上記香料を吸着させる工程(以下、「香料吸着さのう調製工程」)と、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程(以下、「飲料原液調製工程」)と、上記香料を吸着させたさのうと上記飲料原液とを混合する工程(以下、「混合工程」)と、を含む。
本発明のさのう入り飲料の製造方法は、さのうに香料を接触させて上記さのうに上記香料を吸着させる工程(以下、「香料吸着さのう調製工程」)と、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程(以下、「飲料原液調製工程」)と、上記香料を吸着させたさのうと上記飲料原液とを混合する工程(以下、「混合工程」)と、を含む。
[香料吸着さのう調製工程]
本発明のさのう入り飲料の製造方法においては、まずさのうに香料を接触させて上記さのうに上記香料を吸着させる。さのうに香料を吸着するにあたっては、さのうに香料を接触させればよいが、特にさのうが破壊されない強度でよく撹拌することが好ましい。
さのう入り飲料の製造方法において用いられるさのうとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のかんきつ類のさのうを使用することができる。具体的には、オレンジ、温州みかん、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジェリン、タンジェロ、及びカラマンシー等のさのうを挙げることができる。これらのかんきつ類に由来するさのうは、単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
さのうに吸着させる香料としては、特に限定されるものではなく、上記に列挙したかんきつ類果実の風味を有する香料(代表的には、リモネン、ミルセン、ピネン等のテルペン系炭化水素)の他、さのうを有さない果実の風味を有する香料を挙げることができる。さのうを有さない果実としては、特に限定されるものではないが、具体的には、リンゴ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、メロン、及びカシス等を挙げることができる。これらかんきつ類以外の果実の風味を有する香料を用いることにより、香料が有する果実の風味により、さのう入り飲料を、当該果実の果汁感及び果肉感に富んだものとすることができる。
さのうに吸着させた香料の吸着量は、さのう100gあたり、10ppm以上200000ppm以下であることが好ましく、100ppm以上10000ppm以下であることが更に好ましい。香料の吸着量が10ppm以上であることにより、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有する場合においても、さのう入り飲料を、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨み、後キレを有するものとすることができる。香料の吸着量が200000ppm以下であることにより、香料がさのうに十分に吸着しないことによる香料の不溶化が起こることがなく、香料に由来する苦味が生じることがない。
本発明においては、香料吸着さのう調製工程においてさのうに香料を吸着させることにより、有利な効果を得ることができるものである。さのうに香料を吸着させた場合には、飲料溶液中に溶解している香料が減少して飲料溶液の香りが少なくなって、よりすっきりした風味となる一方、さのうがより果汁感に富むものとなり、香りと呈味が向上される。そして、さのう入り飲料に高甘味度甘味料を添加した場合においても、高甘味度甘味料の後引く甘味をさのうに吸着した香料の香りと苦味で消し去ることができる。また、香りと一体化したさのうがボディ感を出し、高甘味度甘味料の薄っぺらな味感を改善することができる。
本発明のさのう入り飲料の製造方法においては、まずさのうに香料を接触させて上記さのうに上記香料を吸着させる。さのうに香料を吸着するにあたっては、さのうに香料を接触させればよいが、特にさのうが破壊されない強度でよく撹拌することが好ましい。
さのう入り飲料の製造方法において用いられるさのうとしては、特に限定されるものではなく、従来公知のかんきつ類のさのうを使用することができる。具体的には、オレンジ、温州みかん、レモン、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、ユズ、タンジェリン、タンジェロ、及びカラマンシー等のさのうを挙げることができる。これらのかんきつ類に由来するさのうは、単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
さのうに吸着させる香料としては、特に限定されるものではなく、上記に列挙したかんきつ類果実の風味を有する香料(代表的には、リモネン、ミルセン、ピネン等のテルペン系炭化水素)の他、さのうを有さない果実の風味を有する香料を挙げることができる。さのうを有さない果実としては、特に限定されるものではないが、具体的には、リンゴ、ブドウ、イチゴ、キイチゴ、マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル、メロン、及びカシス等を挙げることができる。これらかんきつ類以外の果実の風味を有する香料を用いることにより、香料が有する果実の風味により、さのう入り飲料を、当該果実の果汁感及び果肉感に富んだものとすることができる。
さのうに吸着させた香料の吸着量は、さのう100gあたり、10ppm以上200000ppm以下であることが好ましく、100ppm以上10000ppm以下であることが更に好ましい。香料の吸着量が10ppm以上であることにより、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有する場合においても、さのう入り飲料を、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨み、後キレを有するものとすることができる。香料の吸着量が200000ppm以下であることにより、香料がさのうに十分に吸着しないことによる香料の不溶化が起こることがなく、香料に由来する苦味が生じることがない。
本発明においては、香料吸着さのう調製工程においてさのうに香料を吸着させることにより、有利な効果を得ることができるものである。さのうに香料を吸着させた場合には、飲料溶液中に溶解している香料が減少して飲料溶液の香りが少なくなって、よりすっきりした風味となる一方、さのうがより果汁感に富むものとなり、香りと呈味が向上される。そして、さのう入り飲料に高甘味度甘味料を添加した場合においても、高甘味度甘味料の後引く甘味をさのうに吸着した香料の香りと苦味で消し去ることができる。また、香りと一体化したさのうがボディ感を出し、高甘味度甘味料の薄っぺらな味感を改善することができる。
[飲料原液調製工程]
本発明のさのう入り飲料の製造方法においては、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する。
ここで、「高甘味度甘味料」とは、砂糖に比べて数十倍から数千倍の、非常に高い甘味を有する甘味料を指す。高甘味度甘味料は、非常に高い甘味を有するので、所定の甘味を有する飲料を提供するために使用する高甘味度甘味料の添加量は、砂糖よりも少ない量となる。
高甘味度甘味料としては、特に限定されるものではなく、従来公知の高甘味度甘味料を用いることができる。具体的には、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファームK、甘草エキス、サッカリン、モネリン、及びソーマチン等を挙げることができる。これらの高甘味度甘味料は、単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
飲料原液調製工程において調製される飲料原液は、甘味料として高甘味度甘味料のみを含有することが好ましい。これにより、さのう入り飲料のエネルギー含量を低く抑えることができる。
本発明のさのう入り飲料の製造方法においては、製造されるさのう入り飲料がアルコール飲料であってもよい。この場合、飲料原液調製工程において飲料原液を調製するにあたって用いられるアルコール原料としては、特定のものに限定されるものではなく、醸造用アルコール、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ類、リキュール類、焼酎、清酒、ワイン、及びビール等を挙げることができる。これらのアルコール原料は、単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。これらのアルコール原料の中でも、醸造用アルコール、焼酎、及びウォッカを用いることが好ましい。
さのう入り飲料がアルコールを含有する場合、さのう入り飲料のアルコール濃度は、好ましくは30容量%以下であり、より好ましくは10容量%以下であり、さらにより好ましくは2容量%以上9容量%以下である。
なお、飲料原液調製工程においては、ミネラル(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウム等)、果汁から回収される水溶性香料、及びパルプ質からなる群から選ばれる少なくとも1種をさのう入り飲料に含有させてもよい。従来のさのう入り飲料においては、高甘味度甘味料のほかにも糖が1質量%以上含有される場合があり、この糖の添加により、さのう入り飲料のボディー感や果実感を向上させていた。これに対して、上記ミネラル、果汁から回収される水溶性香料、及びパルプ質からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することにより、糖を添加しない場合であっても、さのう入り飲料を、十分なボディー感と果実感を有するものとすることができる。
また、本発明のさのう入り飲料を容器入り炭酸飲料として提供する場合、飲料原液に炭酸ガスを溶解させることが好ましい。炭酸ガスの溶解は、従来慣用の方法により行うことができ、例えば炭酸ガス以外の成分を飲料原液に溶解した後、炭酸ガスを飲料原液に溶解させ、後述する混合工程で容器に充填すればよい。炭酸の濃度は、2容量%以上2.8容量%とすることが好ましい。
本発明のさのう入り飲料の製造方法においては、高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する。
ここで、「高甘味度甘味料」とは、砂糖に比べて数十倍から数千倍の、非常に高い甘味を有する甘味料を指す。高甘味度甘味料は、非常に高い甘味を有するので、所定の甘味を有する飲料を提供するために使用する高甘味度甘味料の添加量は、砂糖よりも少ない量となる。
高甘味度甘味料としては、特に限定されるものではなく、従来公知の高甘味度甘味料を用いることができる。具体的には、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファームK、甘草エキス、サッカリン、モネリン、及びソーマチン等を挙げることができる。これらの高甘味度甘味料は、単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
飲料原液調製工程において調製される飲料原液は、甘味料として高甘味度甘味料のみを含有することが好ましい。これにより、さのう入り飲料のエネルギー含量を低く抑えることができる。
本発明のさのう入り飲料の製造方法においては、製造されるさのう入り飲料がアルコール飲料であってもよい。この場合、飲料原液調製工程において飲料原液を調製するにあたって用いられるアルコール原料としては、特定のものに限定されるものではなく、醸造用アルコール、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ類、リキュール類、焼酎、清酒、ワイン、及びビール等を挙げることができる。これらのアルコール原料は、単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。これらのアルコール原料の中でも、醸造用アルコール、焼酎、及びウォッカを用いることが好ましい。
さのう入り飲料がアルコールを含有する場合、さのう入り飲料のアルコール濃度は、好ましくは30容量%以下であり、より好ましくは10容量%以下であり、さらにより好ましくは2容量%以上9容量%以下である。
なお、飲料原液調製工程においては、ミネラル(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウム等)、果汁から回収される水溶性香料、及びパルプ質からなる群から選ばれる少なくとも1種をさのう入り飲料に含有させてもよい。従来のさのう入り飲料においては、高甘味度甘味料のほかにも糖が1質量%以上含有される場合があり、この糖の添加により、さのう入り飲料のボディー感や果実感を向上させていた。これに対して、上記ミネラル、果汁から回収される水溶性香料、及びパルプ質からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加することにより、糖を添加しない場合であっても、さのう入り飲料を、十分なボディー感と果実感を有するものとすることができる。
また、本発明のさのう入り飲料を容器入り炭酸飲料として提供する場合、飲料原液に炭酸ガスを溶解させることが好ましい。炭酸ガスの溶解は、従来慣用の方法により行うことができ、例えば炭酸ガス以外の成分を飲料原液に溶解した後、炭酸ガスを飲料原液に溶解させ、後述する混合工程で容器に充填すればよい。炭酸の濃度は、2容量%以上2.8容量%とすることが好ましい。
[混合工程]
混合工程においては、香料を吸着させたさのうと、飲料原液とを混合する。混合は従来公知の方法により行うことができ、特に限定されるものではないが、さのう入り飲料を容器入り飲料として提供する場合には、例えば、飲料缶やPET容器に、香料を吸着させたさのうと、飲料原液とを、それぞれ所定量、別々に充填することにより実施することができる。
さのう入り飲料を混合した後は、さのう溶液を65℃で15分殺菌することが好ましい。
混合工程においては、香料を吸着させたさのうと、飲料原液とを混合する。混合は従来公知の方法により行うことができ、特に限定されるものではないが、さのう入り飲料を容器入り飲料として提供する場合には、例えば、飲料缶やPET容器に、香料を吸着させたさのうと、飲料原液とを、それぞれ所定量、別々に充填することにより実施することができる。
さのう入り飲料を混合した後は、さのう溶液を65℃で15分殺菌することが好ましい。
<さのう>
本発明は香料を接触させて上記香料を吸着させたさのうにも関する。かんきつ類果実のさのうは、それ自身が特に香りを強く有しているものではなく、さのうが飲用される際に破砕されることにより、さのう中に含まれるかんきつ類果実の味と香りを有する果汁が放出され、初めて果汁感が感じられるようになる。従って、一般に、さのう入り飲料で十分な果汁感を得るためには、大量のさのう(20%から50%程度)を使用する必要がある。ここで、さのうにあらかじめ香料を吸着させた場合、きわめて果汁感の強いさのうを得ることができ、少量のさのう(1%程度)をさのう入り飲料に添加したのみであっても、十分に果汁感を有するさのう入り飲料を提供することができる。
本発明の香料を吸着させたさのうの香料の吸着量は、さのう100gあたり、10ppm以上200000ppm以下であることが好ましく、100ppm以上10000ppm以下であることが更に好ましい。香料の吸着量が10ppm以上であることにより、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有する場合においても、さのう入り飲料を、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨み、後キレを有するものとすることができる。香料の吸着量が200000ppm以下であることにより、香料がさのうに十分に吸着しないことによる香料の不溶化が起こることがなく、香料に由来する苦味が生じることがない。
本発明は香料を接触させて上記香料を吸着させたさのうにも関する。かんきつ類果実のさのうは、それ自身が特に香りを強く有しているものではなく、さのうが飲用される際に破砕されることにより、さのう中に含まれるかんきつ類果実の味と香りを有する果汁が放出され、初めて果汁感が感じられるようになる。従って、一般に、さのう入り飲料で十分な果汁感を得るためには、大量のさのう(20%から50%程度)を使用する必要がある。ここで、さのうにあらかじめ香料を吸着させた場合、きわめて果汁感の強いさのうを得ることができ、少量のさのう(1%程度)をさのう入り飲料に添加したのみであっても、十分に果汁感を有するさのう入り飲料を提供することができる。
本発明の香料を吸着させたさのうの香料の吸着量は、さのう100gあたり、10ppm以上200000ppm以下であることが好ましく、100ppm以上10000ppm以下であることが更に好ましい。香料の吸着量が10ppm以上であることにより、さのう入り飲料が高甘味度甘味料を含有する場合においても、さのう入り飲料を、甘味の後味や香り立ちが良好で、良好なボディー感や旨み、後キレを有するものとすることができる。香料の吸着量が200000ppm以下であることにより、香料がさのうに十分に吸着しないことによる香料の不溶化が起こることがなく、香料に由来する苦味が生じることがない。
<さのう入り飲料>
本発明はさのう入り飲料にも関する。上記さのう入り飲料は、0.5質量%以上5質量%以下のさのうと、5ppm以上10000ppm以下の香料と、0.03g/L以上1.0g/L以下の高甘味度甘味料と、を含有するものである。さのうの含有量は、0.5質量%以上2質量%以下、香料の含有量は、100ppm以上1000ppm以下、高甘味度甘味料の含有量は、0.05g/L以上1g/L以下であることがそれぞれ好ましい。
本発明のさのう入り飲料の製造方法により得られるさのう入り飲料も含め、本発明のさのう入り飲料はエネルギー含量が20kcal/100ml以下であることが好ましく、18kcal/100ml以下であることがより好ましい。
本発明はさのう入り飲料にも関する。上記さのう入り飲料は、0.5質量%以上5質量%以下のさのうと、5ppm以上10000ppm以下の香料と、0.03g/L以上1.0g/L以下の高甘味度甘味料と、を含有するものである。さのうの含有量は、0.5質量%以上2質量%以下、香料の含有量は、100ppm以上1000ppm以下、高甘味度甘味料の含有量は、0.05g/L以上1g/L以下であることがそれぞれ好ましい。
本発明のさのう入り飲料の製造方法により得られるさのう入り飲料も含め、本発明のさのう入り飲料はエネルギー含量が20kcal/100ml以下であることが好ましく、18kcal/100ml以下であることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[香料吸着さのう調製工程]
レモンさのう液(さのう含量50質量%)100mLに、70%含水アルコールレモンエッセンス香料(リモネン含量40000ppm)をリモネンが50000ppmとなるように添加し、さのうが破砕されないように注意しながらよく撹拌して、レモンさのうにレモン香料を十分に吸着させた。これを350mL缶に7g(7mL)添加した。
[飲料原液調製工程]
95%アルコール22mL、クエン酸3g、クエン酸ナトリウム0.6g、アセスルファームK0.2gに水を加えて980mLとし、これに55%含水アルコールレモンエッセンス香料(リモネン含量2000ppm)を1mL添加した。香料の添加後によく撹拌したところ、オイル分が浮いて分離することなく透明に溶解した。これに炭酸ガスを溶解させた。
[混合工程]
さのうを添加した350mL缶に飲料原液調製工程で得られた飲料原液を350mL充填し、65℃で15分間殺菌してさのう入り飲料を調製した。
[香料吸着さのう調製工程]
レモンさのう液(さのう含量50質量%)100mLに、70%含水アルコールレモンエッセンス香料(リモネン含量40000ppm)をリモネンが50000ppmとなるように添加し、さのうが破砕されないように注意しながらよく撹拌して、レモンさのうにレモン香料を十分に吸着させた。これを350mL缶に7g(7mL)添加した。
[飲料原液調製工程]
95%アルコール22mL、クエン酸3g、クエン酸ナトリウム0.6g、アセスルファームK0.2gに水を加えて980mLとし、これに55%含水アルコールレモンエッセンス香料(リモネン含量2000ppm)を1mL添加した。香料の添加後によく撹拌したところ、オイル分が浮いて分離することなく透明に溶解した。これに炭酸ガスを溶解させた。
[混合工程]
さのうを添加した350mL缶に飲料原液調製工程で得られた飲料原液を350mL充填し、65℃で15分間殺菌してさのう入り飲料を調製した。
<比較例1>
実施例1において、70%含水アルコールレモンエッセンス香料(リモネン含量40000ppm)を、飲料原液の調製の際に飲料原液に直接添加した以外は、実施例1と同様の方法により飲料を調製した。
実施例1において、70%含水アルコールレモンエッセンス香料(リモネン含量40000ppm)を、飲料原液の調製の際に飲料原液に直接添加した以外は、実施例1と同様の方法により飲料を調製した。
<評価>
実施例1の方法では、さのうに香料が十分に吸着し、さのうの果実感が増すとともに、高甘味度甘味料のボディ感のなさと後味の悪さを大幅に改善し、香り立ちも良好なものとすることができた。一方、さのうを使用しなかった比較例1の方法では、香料による香気が強すぎ、香料の一部も分離しており、更に高甘味度甘味料の甘味の後引きも強く、飲みづらいものとなった。
実施例1の方法では、さのうに香料が十分に吸着し、さのうの果実感が増すとともに、高甘味度甘味料のボディ感のなさと後味の悪さを大幅に改善し、香り立ちも良好なものとすることができた。一方、さのうを使用しなかった比較例1の方法では、香料による香気が強すぎ、香料の一部も分離しており、更に高甘味度甘味料の甘味の後引きも強く、飲みづらいものとなった。
<実施例2;高甘味度甘味料を含有するチューハイにおいて、リモネン含量とさのう含量が甘味改善に及ぼす影響>
実施例1において、アセスルファームKの含量を0.05g/Lから1.0g/Lの範囲内で変動させるか、アセスルファームKに代えてスクラロースを0.03g/Lから0.5g/L、ステビアを0.05g/Lから1.0g/Lの範囲で使用して、それぞれ甘味の違うチューハイを試作した。この試作したチューハイにおいて、レモン香料を55%含水アルコールレモンエッセンス香料に限定せずに、飲料中のリモネン含量が0ppmから1000ppmとなるように濃度を変えると共に、さのう含量も0質量%から5質量%の間で変動させて、高甘味度甘味料を使用したチューハイにおいて、さのうとリモネンの添加により、甘味が改善されるか否かを調べた。官能評価は専門パネル3人で行い、高甘味度甘味料の甘味の味質が明らかに改善された場合は○、僅かに改善された場合は△、改善されなかった場合は×とした。高甘味度甘味料として、スクラロースを0.1g/L使用した場合の結果を表1に示す。なお、アセスルファームKを0.25g/L使用した場合も、ステビアを0.2g/L使用した場合も同様の評価となった。
実施例1において、アセスルファームKの含量を0.05g/Lから1.0g/Lの範囲内で変動させるか、アセスルファームKに代えてスクラロースを0.03g/Lから0.5g/L、ステビアを0.05g/Lから1.0g/Lの範囲で使用して、それぞれ甘味の違うチューハイを試作した。この試作したチューハイにおいて、レモン香料を55%含水アルコールレモンエッセンス香料に限定せずに、飲料中のリモネン含量が0ppmから1000ppmとなるように濃度を変えると共に、さのう含量も0質量%から5質量%の間で変動させて、高甘味度甘味料を使用したチューハイにおいて、さのうとリモネンの添加により、甘味が改善されるか否かを調べた。官能評価は専門パネル3人で行い、高甘味度甘味料の甘味の味質が明らかに改善された場合は○、僅かに改善された場合は△、改善されなかった場合は×とした。高甘味度甘味料として、スクラロースを0.1g/L使用した場合の結果を表1に示す。なお、アセスルファームKを0.25g/L使用した場合も、ステビアを0.2g/L使用した場合も同様の評価となった。
<評価>
表1に示すように、高甘味度甘味料が0.03g/Lから1.0g/Lの場合においては、さのうの含量が0.5%以上5%、リモネンの含量が5ppm以上1000ppm以下のとき、高甘味度甘味料の甘味の後引きが著しく改善すると共に、ボディー感が向上し、香り立ちも良好となって、味質が顕著に改善することが分かった。なお、同様の実験をリモネン以外にも、レモン香料、オレンジ香料、グレープフルーツ香料、アップル香料で行った場合においても、同様の結果が得られた。
表1に示すように、高甘味度甘味料が0.03g/Lから1.0g/Lの場合においては、さのうの含量が0.5%以上5%、リモネンの含量が5ppm以上1000ppm以下のとき、高甘味度甘味料の甘味の後引きが著しく改善すると共に、ボディー感が向上し、香り立ちも良好となって、味質が顕著に改善することが分かった。なお、同様の実験をリモネン以外にも、レモン香料、オレンジ香料、グレープフルーツ香料、アップル香料で行った場合においても、同様の結果が得られた。
<実施例3>
[香料吸着さのう調製工程]
レモンさのう液(さのう含量50質量%)100mLに、70%含水アルコールカシスエッセンス香料を50000ppm添加し、さのうが破砕されないように注意しながらよく撹拌して、レモンさのうにカシス香料を十分に吸着させ、カシスの果肉感の強いレモンさのうを用意した。これを350mL缶に7g(7mL)添加した。
[飲料原液調製工程]
95%アルコール22mL、クエン酸3g、クエン酸ナトリウム0.6g、アセスルファームK0.2g、塩化カリウム0.1g、オレンジパルプ10gに水を加えて980mLとし、よく撹拌して、オレンジ果汁から回収したアロマ香料0.2mL、オレンジ果汁から回収したエッセンスオイルとオレンジの皮から回収したピールオイルからなる55%含水アルコールエッセンス香料(リモネン含量2000ppm)を1mL添加した。香料の添加後によく撹拌したところ、オイル分が浮いて分離することなく透明に溶解した。これに炭酸ガスを溶解させた。
[混合工程]
さのうを添加した350mL缶に飲料原液調製工程で得られた飲料原液を350mL充填し、65℃で15分間殺菌してさのう入り飲料を調製した。
[香料吸着さのう調製工程]
レモンさのう液(さのう含量50質量%)100mLに、70%含水アルコールカシスエッセンス香料を50000ppm添加し、さのうが破砕されないように注意しながらよく撹拌して、レモンさのうにカシス香料を十分に吸着させ、カシスの果肉感の強いレモンさのうを用意した。これを350mL缶に7g(7mL)添加した。
[飲料原液調製工程]
95%アルコール22mL、クエン酸3g、クエン酸ナトリウム0.6g、アセスルファームK0.2g、塩化カリウム0.1g、オレンジパルプ10gに水を加えて980mLとし、よく撹拌して、オレンジ果汁から回収したアロマ香料0.2mL、オレンジ果汁から回収したエッセンスオイルとオレンジの皮から回収したピールオイルからなる55%含水アルコールエッセンス香料(リモネン含量2000ppm)を1mL添加した。香料の添加後によく撹拌したところ、オイル分が浮いて分離することなく透明に溶解した。これに炭酸ガスを溶解させた。
[混合工程]
さのうを添加した350mL缶に飲料原液調製工程で得られた飲料原液を350mL充填し、65℃で15分間殺菌してさのう入り飲料を調製した。
<比較例2>
実施例3において、70%含水アルコールカシスエッセンス香料を、飲料原液の調製の際に飲料原液に直接添加した以外は、実施例3と同様の方法により飲料を調製した。
実施例3において、70%含水アルコールカシスエッセンス香料を、飲料原液の調製の際に飲料原液に直接添加した以外は、実施例3と同様の方法により飲料を調製した。
<評価>
レモンさのうにカシス香料を吸着させた実施例3のさのう入り飲料は、比較例2の飲料と比較して、カシスの果汁感が強く、高甘味度甘味料の甘味の後引きもなく、ボディー感も香り立ちも良好なものとなった。
レモンさのうにカシス香料を吸着させた実施例3のさのう入り飲料は、比較例2の飲料と比較して、カシスの果汁感が強く、高甘味度甘味料の甘味の後引きもなく、ボディー感も香り立ちも良好なものとなった。
Claims (10)
- さのうに香料を接触させて前記さのうに前記香料を吸着させる工程と、
高甘味度甘味料を含有する飲料原液を調製する工程と、
前記香料を吸着させたさのうと前記飲料原液とを混合する工程と、を含むさのう入り飲料の製造方法。 - 前記さのう入り飲料において、前記さのうの含有量が0.5質量%以上5質量%以下であり、前記さのうに吸着させた前記香料の吸着量がさのう100gあたり10ppm以上200000ppm以下であり、前記高甘味度甘味料の含有量が0.03g/L以上1.0g/L以下である請求項1に記載のさのう入り飲料の製造方法。
- 前記さのう入り飲料のエネルギー含量が、20kcal/100ml以下である請求項1又は2に記載のさのう入り飲料の製造方法。
- 前記さのう入り飲料が、甘味料として高甘味度甘味料のみを含有する請求項1から3のいずれかに記載のさのう入り飲料の製造方法。
- 前記さのう入り飲料が、更に、ミネラル、果汁から回収される水溶性香料、及びパルプ質からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1から4のいずれかに記載のさのう入り飲料の製造方法。
- 前記さのうに吸着させる前記香料が、さのうを有さない果実の風味を有する香料である請求項1から5のいずれかに記載のさのう入り飲料の製造方法。
- 前記さのう入り飲料が、アルコール飲料である請求項1から6のいずれかに記載のさのう入り飲料の製造方法。
- さのうに香料を接触させて前記香料を吸着させたさのう。
- 前記香料の吸着量がさのう100gあたり10ppm以上200000ppm以下である請求項8記載のさのう。
- 0.5質量%以上5質量%以下のさのうと、5ppm以上10000ppm以下の香料と、0.03g/L以上1.0g/L以下の高甘味度甘味料と、を含有するさのう入り飲料。
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- 2010-08-03 JP JP2010174158A patent/JP2012029663A/ja active Pending
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