JP2014018162A - アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤、並びに苦味及び/又はバーニング感の抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ソーマチンを添加することにより、アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感を抑制して、風味を向上する。
【選択図】なし
Description
アルコール飲料には、アルコールの軽やかな風味とともに、アルコールに起因する苦味や、バーニング感と称される口腔内から喉にかけて感じられる、焼け付くような刺激感が存在する。この苦味やバーニング感は、アルコール濃度が高いほど感じられるようになり、アルコール飲料を敬遠される原因ともなっている。
アルコール飲料のこれらの不快感を改善する方法としては、水、炭酸水、果汁などによる希釈、又は各種エキス、香料、甘味料などを添加する方法が採られているが、アルコールの濃度を低下させることなく、苦味やバーニング感を抑制できる方法は十分に確立されていない。
しかしながら、特許文献1には、ソーマチンにスクラロースと同様の、アルコール飲料のアルコールに起因する苦味やバーニング感を抑制する効果があることは、記載も示唆もされていない。
また、特許文献2には、キク科ヨモギ属に属するダバナ(学名 Artemisia pallens Wall.)及びその類縁植物から得られる精油であるダバナオイルを添加することにより、アルコール含有飲料のバーニング感を抑制できることが記載されている。
特許文献3には、ソーマチンを添加することで、高栄養食特有のエグ味、苦味や不快臭をマスキングできることが記載されている。
また、特許文献4には、ソーマチンを配合することで、医薬品であるブロムヘキシンの、口中に残存する苦味をマスキングできることが記載されている。
しかしながら、これらの文献にも、ソーマチンにアルコール飲料のアルコールに起因する苦味やバーニング感を抑制する効果があることは、記載も示唆もされていない。
項1.ソーマチンを含有することを特徴とする、アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤。
項2. ソーマチンの含有割合が、アルコール飲料のアルコール分1度に対して、5×10−8〜1.6×10−4質量部である、項1記載のアルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤。
項3. アルコール飲料にソーマチンを添加することを特徴とする、アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感を抑制する方法。
項4. アルコール飲料のアルコール分1度に対して、ソーマチンを5×10−8〜1.6×10−4質量部添加する、項3記載のアルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感を抑制する方法。
ソーマチンは、ソーマトコッカスダニエリの果実の仮種皮を水抽出し、精製することによって調製することができるが、簡便には、市販の製品を用いることもでき、このような製品としては、ネオサンマルクAG(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を挙げることができる。
アルコール飲料中のアルコール分1度に対して、ソーマチンの添加量が5×10−8質量部より少ないと、アルコール飲料の苦味やバーニング感の抑制効果が十分ではなく、また、1.6×10−4質量部より多いと、ソーマチンによる甘味がつきすぎて、ソーマチン特有の甘味の後引きを感じるので、好ましくない。
本発明において、多種多様のアルコール飲料の甘味付けとして、他の甘味料、即ちしょ糖、ぶどう糖、果糖等の糖類、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、グリチルリチン、ステビア抽出物、ラカンカ抽出物、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム等の高甘味度甘味料等の中から選ばれる1種または2種以上を、ソーマチンと併用してもよい。
さらに、カクテルやチューハイでは、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等の柑橘類やアップル、ピーチ、マンゴー等の果汁やフレーバーを添加してもよい。
その他、アルコール飲料に従来使用されている香料や着色料等を、本発明の効果を妨げない範囲で用いることができる。
以下の記載において、「部」は質量部を示し、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製をそれぞれ示す。
アルコール度数5〜40%のアルコール水溶液を調製し、ソーマチンを添加して、次の基準でブランクと比較した苦味及びバーニング感の抑制効果を評価して、結果を表1に示した。
◎ :アルコールに起因した苦味とバーニング感が、非常に抑えられている。
○ :アルコールに起因した苦味とバーニング感が、抑えられている。
△ :アルコールに起因した苦味とバーニング感が、やや抑えられている。
× :効果なし。又は、ブランクより苦味が強くなっている。
また、アルコール度数20%及び40%では、ソーマチン添加量0.015〜5.0ppmでアルコールの後味に残る苦味や、バーニング感が抑えられて、まろやかになる効果が認められ、添加量0.15〜5.0ppmでは、その効果がさらに顕著に認められた。さらに、添加量8.0ppmでは、その効果と共に、ソーマチン特有の甘味の後引きが少し感じられた。
前記の特許文献1によると、アルコール度数5%の水溶液ではスクラロース添加量が1ppm以上、アルコール度数10%〜40%の場合は5ppm以上で、アルコールの苦味抑制効果が認められている。
一方、ソーマチンは、アルコール度数5%や10%の水溶液では0.0015ppm以上、アルコール度数20%や40%の場合は0.015ppm以上で、アルコールの苦味及びバーニング感の抑制効果が認められており、スクラロースとソーマチンの甘味倍率(ソーマチンはスクラロースの約5倍の甘味倍率)を考慮しても、ソーマチンの方がスクラロースよりもはるかに低い添加量で、アルコールの苦味やバーニング感を抑制できることがわかる。
アルコール度数5〜40%のアルコール水溶液を調製して、それぞれにソーマチンを1ppm添加し、ブランク及びスクラロースを5ppm添加した場合と比較して、次の基準で味質改善効果を確認した。結果を表2に示した。
+++: ブランクと比較して、苦味・バーニング感が非常に抑制されて、更に後味をまろやかに感じる。
++: ブランクと比較して、苦味・バーニング感が非常に抑制されている。
+: ブランクと比較して、苦味・バーニング感が抑制されている。
±: ブランクと比較して、苦味・バーニング感がやや抑制されている。
−: ブランクと比較して、苦味・バーニング感の抑制効果がない。
表3〜5の処方に基づき、アルコール度数2%〜30%のアップル果汁入りアルコール飲料を調製し、次の基準で苦味やバーニング感の有無、ソーマチン添加による味の変化を確認して、結果を表5に示した。
◎ :アルコールに起因した苦味とバーニング感が非常に抑えられて味のバランスが良い。
○ :アルコールに起因した苦味とバーニング感が抑えられている。
△ :アルコールに起因した苦味とバーニング感がやや抑えられている。
× :効果なし。又は、効果はあるが、後味の甘味が持続して異味を感じる。
アルコール度数8%以上では、苦味、アルコール臭さ、及びバーニング感が抑えられた。
表6の1〜7を水に加えて溶解させて、容器に充填し、8にて全量を1000mlにした。次いで70℃で20分の殺菌をして、アルコール度数8%のアップルチューハイを調製した。
Claims (4)
- ソーマチンを含有することを特徴とする、アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤。
- ソーマチンの含有割合が、アルコール飲料のアルコール分1度に対して、5×10−8〜1.6×10−4質量部である、請求項1記載のアルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感の抑制剤。
- アルコール飲料にソーマチンを添加することを特徴とする、アルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感を抑制する方法。
- アルコール飲料のアルコール分1度に対して、ソーマチンを5×10−8〜1.6×10−4質量部添加する、請求項3記載のアルコール飲料の苦味及び/又はバーニング感を抑制する方法。
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