JP2017183283A - 鉛蓄電池用正極板及び該正極板を用いた鉛蓄電池及び該鉛蓄電池用正極板の製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池用正極板及び該正極板を用いた鉛蓄電池及び該鉛蓄電池用正極板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、重負荷耐久性に優れる鉛蓄電池用正極板、及び該正極板を使用した鉛蓄電池を提供することを目的とする。【解決手段】化成後の活物質密度が4.5g/cm3以上である鉛蓄電池用正極板において、正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛粉質量に対して2.0質量%以上4.5質量%以下であって、更に鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下であることを特徴とする鉛蓄電池用正極板、及び該正極板を使用した鉛蓄電池。【選択図】図1

Description

本発明は鉛蓄電池用正極板及び該正極板を用いた鉛蓄電池及び該鉛蓄電池用正極板の製造方法に関するものであり、特に前記正極板を用いた鉛蓄電池の長寿命化と利用率向上に関するものである。
近年の環境問題の深刻化に伴い、自動車等の排出ガス規制は世界的に厳しくなる一方である。この様な規制に対応するため、自動車メーカーは様々な環境技術を開発してきた。特にハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)など、駆動力をモーターが補うことで化石燃料の消費を抑制したxEVと呼ばれる自動車が販売台数を増やしている。一方で、化石燃料の燃焼を駆動力に変換する内燃機関を有する従来型の自動車(以下、「内燃自動車」と表記する。)も、長年蓄積された技術による製造コストの安さと信頼性、安全性などから、依然として自動車市場の販売台数の大半を占める。
内燃自動車の環境技術としては、停車時に一時的にエンジンを停止させるアイドリングストップシステム(Idling Stop System、以下、「ISS」と表記する。)が知られている。ISSを搭載した内燃自動車(以下、「ISS車」と表記する。)は、信号待ち等で停車した際のアイドリングによる燃料の消費を抑制できるので、燃費が向上し更に排出ガス量も低減できる。
上記の様なISS車に搭載された鉛蓄電池は、早期寿命に至り易いことが知られている。これは、信号待ち等で停止したエンジンを発進時に再始動するために、スタータ等を駆動する大電流を何度も流す必要があり、鉛蓄電池に大きな負荷がかかるためである。
鉛蓄電池が早期寿命を迎える原因の一つに、正極活物質の結合力の低下に伴う活物質の軟化・脱落がある。この様な正極活物質の軟化・脱落を防止する手法としては、例えば特許文献1に開示されている様に、正極ペーストの充填密度を4.3g/cm以上5.3g/cm以下とした鉛蓄電池が知られている。前記の様に正極ペーストの充填密度を大きくすることで、該正極ペースト中の活物質間の結合面積が大きくなり、所定の熟成・乾燥・化成の工程を経た後の正極板において、活物質間にはたらく結合力が増大して耐久性が向上し軟化・脱落が防止される。係る正極ペーストを作成する際は、粉体状の金属鉛の一部またはすべてが一酸化鉛(PbO)に酸化した鉛粉と、該鉛粉の一部またはすべてが更に四酸化三鉛(Pb)に酸化した鉛丹と、更に必要に応じて補強剤等とを混合し、次いで所望量の水を添加し練り合わせ、その後、所望量の硫酸を添加して再度練り合わせる手法が従来公知である。
前記正極ペーストの充填密度は、原材料を混練する際の総水量によって調整され、総水量が少ないほど該正極ペーストの充填密度は大きくなる。この様に充填密度を大きくすることで、前述の通り化成後の正極板の耐久性が向上する反面、正極ペーストは充填密度に比例して硬くなるため、特許文献1に記載の密度範囲における正極ペーストは、通常は正極格子基板への充填が困難である。
前述した高密度正極ペーストの充填性の問題は、該正極ペーストに添加する総硫酸量を少なくすることで改善できる。通常、正極ペーストに含まれる一酸化鉛等の鉛酸化物は、硫酸中の硫酸イオンと反応して三塩基性硫酸鉛や四塩基性硫酸鉛等の硫酸鉛の結晶を生じる。前記硫酸鉛の生成量は総硫酸量に正比例し、該総硫酸量が大きい場合は、該硫酸鉛の結晶が三次元的な枝状構造を正極ペースト中に形成するため、該正極ペーストが硬くなり充填性が低下する。ただし、係る硫酸鉛結晶の枝状構造は正極活物質を補強する役割も担うため、総硫酸量小さくし過ぎると、該正極活物質の耐久性が低下し軟化・脱落が生じ易くなる。また、係る硫酸鉛結晶の枝状構造が適度に形成されると、活物質の多孔度が増大し利用率が向上する。従って、前記総硫酸量は正極ペーストが充填可能な限度で大きくすることが望ましいとされる。
他方、正極板の化成後の活物質密度が大きい場合、電解液の活物質内部への拡散が阻害されるため、充放電時の正極活物質の利用率が低下する。正極活物質の利用率の向上については、特許文献2に開示される鉛蓄電池の様に、正極板の作製時に鉛丹を添加してβ−PbOを生成する手法が従来公知である。β−PbOは、多孔度が高く比表面積が大きいため放電能力が大きく利用率に優れる反面、結晶の崩壊が早く進むため軟化速度が早くなり脱落が起こり易い。なお、前記鉛丹は一般的に、一酸化鉛を主成分とする鉛粉を更に加熱して得られる。この加熱の後、鉛粉の一部またはすべてが四酸化三鉛に変化するが、ここで生成された四酸化三鉛の加熱前の鉛粉に対する質量比率を本明細書中では鉛丹化率と呼ぶこととする。
これまでに述べた通り、正極板の性能向上において耐久性と利用率はトレードオフの関係に有り、両性能を向上するためには膨大な数の条件の組み合わせを検討する必要がある。
正極板の耐久性と利用率を両立する技術として、先に出願人は特許文献3に記載の如く、鉛粉に対する硫酸の割合を2.0質量%以上7.0質量%未満とし、かつ鉛粉と鉛丹との合計量に対する鉛丹の添加量を5.0質量%以上40.0質量%以下とした鉛蓄電池を開示している。特許文献3に記載の様に、鉛粉に対する硫酸の割合を2.0質量%以上7.0質量%未満とすることで、活物質−正極格子基板間の密着性を向上し、鉛蓄電池において軟化・脱落の防止効果を奏するものである。
他方、鉛蓄電池の耐久性を向上する手法として、特許文献4において正極板にアスペクト比が250以上10000以下であるアクリル繊維が添加された鉛蓄電池が開示されている。ここで言うアスペクト比とは繊維の太さを示す指標であり、次式(1)によって定義される。
鉛蓄電池は電解液中の硫酸イオンも活物質として充放電反応に関与するため、電解液が浸透していない部分は充放電反応に寄与せず、係る部分が多いほど鉛蓄電池の利用率が低下する。特許文献4によれば、正極活物質にアスペクト比が250以上10000以下であるアクリル繊維を添加することで、該アクリル繊維が活物質粒子に絡まって補強剤としてはたらき、正極活物質の軟化・脱落を防止して耐久性を向上するとともに、更に該アクリル繊維は親水性であるため正極活物質の内部へ電解液を浸透させ、充放電反応に必要な十分量の電解液を供給し、正極活物質の充放電反応面積を増大させ利用率を向上するという。
特開2002−198041号公報 特開昭62−281266号公報 特開2009−231014号公報 特許第4556506号公報
しかしながら、特許文献3に示す如く鉛粉に対する硫酸の割合を2.0質量%以上7.0質量%未満とし、かつ鉛粉と鉛丹との合計量に対する鉛丹の添加量を5.0質量%以上40.0質量%以下とした鉛蓄電池は、軽負荷寿命特性において良好な効果を奏するものの、JIS D 5301に規定される重負荷寿命試験における諸特性については、改良の余地があった。
また、特許文献4に記載の鉛蓄電池は、正極活物質の密度が4.5g/cm以上である高密度の鉛蓄電池において、発明者等がアクリル繊維のアスペクト比を種々変更して添加し、寿命維持率を検討したところ、アスペクト比が250以上のアクリル繊維を添加した鉛蓄電池は、アスペクト比が250未満のアクリル繊維を添加した鉛蓄電池よりも、寿命サイクル数が低下する事が判明した。ここで前記寿命サイクル数の判定は、所定の手順で複数サイクルの充放電を行った際の鉛蓄電池の放電容量が、JIS D 5301規格に定められる5時間率容量の初期値に対し、50%を下回った時点を寿命と見なす。そのため、活物質の利用率が小さい鉛蓄電池は初期放電容量が小さくなり、活物質の軟化・脱落が同程度生じた際に寿命に至り易い。
そこで本発明は上記の事情を鑑み、化成後の活物質密度が4.5g/cm以上である鉛蓄電池用正極板及び該正極板を使用した鉛蓄電池の重負荷特性を改善することを目的とし、特に該正極板及び該正極板を使用した鉛蓄電池のJIS D 5301に規定される重負荷寿命試験における耐久性及び利用率の両立を目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る鉛蓄電池用正極板は、化成後の活物質密度が4.5g/cm以上である鉛蓄電池用正極板において、正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛粉質量に対して2.0質量%以上4.5質量%以下であって、更に鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下であることを特徴とする。ここで、化成後の正極活物質密度は、水置換法で測定した値を採用するものとする。水置換法とは正極格子基板の質量、化成後の正極板の乾燥質量、水中質量、引き上げ質量をそれぞれ測定し、次式(2)より正極活物質密度を求める方法である。
第一に、本発明は正極板の化成後の活物質密度を4.5g/cm以上とし高密度化したことで、該正極板を鉛蓄電池に用いた際に、JIS D 5301に規定される重負荷寿命試験におけるサイクル数が向上されている。該活物質密度が4.5g/cm未満である場合は、前記重負荷寿命試験において軟化・脱落を防止する効果が不十分となり短寿命となる。第二に、本発明は正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛粉質量に対して2.0質量%以上4.5質量%以下としたので、三塩基性硫酸鉛が効率的に生成され、該正極板を鉛蓄電池に用いた際に、前記重負荷寿命試験におけるサイクル数がより向上する。該純硫酸量の割合が2.0質量%未満の場合は、正極ペーストが固まらずに正極格子基板への充填が困難になり、4.5質量%より大きい場合は、三塩基性硫酸鉛の生成量が過剰となって活物質の多孔度が高くなり過ぎるため、軟化・脱落の抑制効果が十分でない。第三に、本発明は鉛丹の添加量を、鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下としたので、高密度の正極ペーストが充填可能となるように純硫酸の添加量を減らしつつ、該正極板を鉛蓄電池に用いた際に所望の利用率を実現できる。該鉛丹の割合が5.0質量%未満の場合は所望の利用率が得られず、25.0質量%より大きい場合、急激に重負荷寿命試験の寿命サイクル数が減少してしまう。
更に本発明の請求項2係る発明の様に、請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板において、正極板にアスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維が添加される様にしても良い。この様に正極ペーストにアスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維を添加することにより、混練の際に該アクリル繊維が均一に正極ペースト中に分散し、更に該アクリル繊維が正極板表面から活物質内部へ電解液を浸透させるために十分な長さ、及び重量当たりの比表面積を有するので、高密度の正極板を有する鉛蓄電池において利用率を維持しつつ寿命維持率を向上する効果が得られる。該アクリル繊維のアスペクト比が200より大きい場合は、繊維長さに対し直径が小さいため繊維が絡まってダマになり易く、特に高密度の正極ペースト中では該アクリル繊維の分散が不十分となり、該アクリル繊維の補強効果が局所的な作用に留まるため、活物質のコマ落ちや早期軟化の防止による寿命向上効果を得られない。また、該アクリル繊維のアスペクト比が100より小さい場合は、繊維長さに対して繊維直径が大きくなるため、該アクリル繊維の重量当たりの比表面積が小さくなり、少量では所望の添加効果を得られず、十分な添加効果を得るには多量のアクリル繊維を添加する必要があるため、鉛蓄電池の体積エネルギー密度を低下させたり、内部抵抗を増大させたりするなど、電池性能に悪影響を及ぼしてしまう。
更に本発明の請求項3に係る発明の様に、請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板において、正極板にポリエチレンテレフタレートからなる短繊維が鉛粉質量に対して0.09質量%以上質量0.20%以下添加される様にしても良い。この様に正極板にポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を添加することで、該正極板を鉛蓄電池に用いた際に、充放電サイクル後の放電容量の減少を抑制し、利用率が維持され寿命サイクル数がより向上する。該ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維の割合が0.09質量%未満の場合は放電容量の減少を抑制できず、0.20質量%より大きい場合、正極ペーストが硬くなって正極格子基板への充填が困難となり、著しい品質低下を招く。
また、本発明の請求項4に係る鉛蓄電池は、請求項1乃至3に記載の鉛蓄電池用正極板を使用したことを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る鉛蓄電池用正極板の製造方法は、請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板の製造方法であって、少なくとも一酸化鉛を主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、少なくとも該鉛粉との合計質量に対し5.0質量%以上25.0質量%以下となる質量の鉛丹とを混合した後、水を加えて練り合わせ、更に純硫酸を前記鉛粉質量に対し2.0質量%以上4.5質量%以下添加して再度練り合わせて作製した正極ペーストを、鉛合金からなる集電体に充填して保持させ充填板とし、熟成・乾燥・化成工程を経て活物質密度が4.5g/cm以上になるようにすることを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る鉛蓄電池用正極板の製造方法は、請求項2に記載の鉛蓄電池用正極板の製造方法であって、少なくとも一酸化鉛を主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、少なくとも該鉛粉との合計質量に対し5.0質量%以上25.0質量%以下となる質量の鉛丹と、アスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維とを混合した後、水を加えて練り合わせ、更に純硫酸を前記鉛粉質量に対し2.0質量%以上4.5質量%以下添加して再度練り合わせて作製した正極ペーストを、鉛合金からなる集電体に充填して保持させ充填板とし、熟成・乾燥・化成工程を経て活物質密度が4.5g/cm以上になるようにすることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る鉛蓄電池用正極板の製造方法は、請求項3に記載の鉛蓄電池用正極板の製造方法であって、少なくとも一酸化鉛を主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、少なくとも該鉛粉との合計質量に対し5.0質量%以上25.0質量%以下となる質量の鉛丹と、前記鉛粉質量に対して0.09質量%以上0.20質量%以下のポリエチレンテレフタレートからなる短繊維とを混合した後、水を加えて練り合わせ、更に純硫酸を前記鉛粉質量に対し2.0質量%以上4.5質量%以下添加して再度練り合わせて作製した正極ペーストを、鉛合金からなる集電体に充填して保持させ充填板とし、熟成・乾燥・化成工程を経て活物質密度が4.5g/cm以上になるようにすることを特徴とする。
以上の通り、本発明の鉛蓄電池用正極板及び該正極板を使用した鉛蓄電池は、JIS D 5301に規定される重負荷寿命サイクル試験において、良好な寿命サイクル数と利用率の両立が実現可能である。
重負荷寿命試験結果を示したグラフである。 重負荷寿命試験結果を示した第2のグラフである。 鉛蓄電池に添加したアクリル繊維のアスペクト比と寿命サイクル数の関係を示したグラフである。 ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を正極板に添加した際の容量維持率の推移を示したグラフである。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
(正極板の作製)
本発明の鉛蓄電池用正極板は、化成後の活物質密度が4.5g/cm以上であり、また正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛粉質量に対して2.0質量%以上4.5質量%以下であって、更に鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下であることを特徴とし、以下の手順に従って製造される。まずボールミル法で製造したPbOを主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、鉛丹化率が80%以上の鉛丹、更に必要に応じて所望の量のアスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維、乃至鉛粉質量に対して0.09質量%以上0.20質量%以下のポリエチレンテレフタレートからなる短繊維とを混合し、鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下となる様にする。次いで、所望量の水を添加し練り合わせ、その後、所望量の硫酸を添加して再度練り合わせて、鉛粉質量に対する純硫酸量が2.0質量%以上4.5質量%以下となる様に正極ペーストを作製する。そして、該正極ペーストをPb−Ca系やPb−Ca−Sn系等の鉛合金からなる正極格子基板等の集電体に充填して保持させた充填板を、活物質の結晶の成長、ペーストの強度アップ、正極格子基板表面と活物質との化学的な結合力の増加、水分の除去などを目的とした熟成乾燥工程を経て未化成の正極板を作製する。ここで、該正極板の活物質の充填密度は、化成後に水置換法で測定した活物質密度が4.5g/cm以上となる様に従来公知の方法によって調整する。
本発明において、添加される純硫酸の割合を鉛粉に対し2.0質量%以上4.5質量%以下とすることで、正極ペースト中に三塩基性硫酸鉛が効率的に生成され、前記重負荷寿命試験におけるサイクル数がより向上する。該純硫酸量の割合が2.0質量%未満の場合は、硫酸鉛の結晶の三次元的な枝状構造が成長しないため正極ペーストが固まらず、正極格子基板との密着不良を生じ、活物質の軟化・脱落やコマ落ちを引き起こし短寿命となる。一方、該純硫酸量の割合が4.5質量%より大きい場合は、三塩基性硫酸鉛の生成量が過剰となって活物質の多孔度が高くなり過ぎるため、軟化・脱落の抑制効果が十分でない。他方、本発明において鉛丹の添加量を、鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下とすることで、高密度の正極ペーストが充填可能となるように純硫酸の添加量を減らしつつ、所望の利用率を実現できる。該鉛丹の割合が5.0質量%未満の場合は所望の利用率が得られず、25.0質量%より大きい場合、急激に重負荷寿命試験の寿命サイクル数が減少してしまう。
更に正極ペーストの混練時にアスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維を添加した場合は、該アクリル繊維が均一に正極ペースト中に分散し、更に該アクリル繊維が正極板表面から活物質内部へ電解液を浸透させるために十分な長さ、及び重量当たりの比表面積を有するので、高密度の正極板を有する鉛蓄電池において利用率を維持しつつ寿命維持率を向上する効果が得られる。該アクリル繊維のアスペクト比が200より大きい場合は、繊維長さに対し直径が小さいため繊維が絡まってダマになり易く、特に高密度の正極雄ペースト中では該アクリル繊維の分散が不十分となり、該アクリル繊維の補強効果が局所的な作用に留まるため、活物質のコマ落ちや早期軟化の防止による寿命向上効果を得られない。また、該アクリル繊維のアスペクト比が100より小さい場合は、繊維長さに対して繊維直径が大きくなるため、該アクリル繊維の重量当たりの比表面積が小さくなり、少量では所望の添加効果を得られず、十分な添加効果を得るには多量のアクリル繊維を添加する必要があるため、鉛蓄電池の体積エネルギー密度を低下させたり、内部抵抗を増大させたりするなど、電池性能に悪影響を及ぼしてしまう。
他方、正極ペーストの混練時に鉛粉質量に対して0.09質量%以上0.20質量%以下のポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を添加することで、充放電サイクル後の放電容量の減少を抑制し、利用率が維持され寿命サイクル数がより向上する。該ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維の割合が0.09質量%未満の場合は放電容量の減少を抑制できず、0.20質量%より大きい場合、正極ペーストが硬くなって正極格子基板への充填が困難となり、著しい品質低下を招く。
(鉛蓄電池の作製)
本発明の実施形態の鉛蓄電池において、正極板以外の構成は、従来公知の方法により以下の様にして作製される。まず、鉛合金からなる負極用格子基板に、主として鉛粉、水、純硫酸、添加剤を混練した活物質ペーストを充填し、熟成、乾燥を経て負極板とする。次に前記正極板の上部に設けた耳部と、該負極板の上部において正極板と左右反対の位置に設けた耳部とが、それぞれ同極性同士のみ重なる様に樹脂製のセパレータを介して交互に積層して極板群を成す。その後、該正極板の耳部及び負極板の耳部をそれぞれストラップ溶接して、該正極板同士は正極ストラップで、該負極板同士は負極ストラップでそれぞれ電気的に接続した状態とする。ここで、前記正極ストラップ及び負極ストラップには、セル間接続体または極柱端子を形成しておく。次いで、前記極板群を樹脂製の電槽に挿入し、前記セル間接続体はセル間の隔壁に穿設したセル間連通孔に挿通し、抵抗溶接によって異極のセル間接続体と溶接することで、セル同士を電気的に接続するとともに、極板群を電槽上部に固定する役割を担う。また、前記極柱端子は電槽蓋に穿設した貫通孔に挿通した後、外部機器へ電流を取り出せる様に導電部を露出させた状態で固定される。続いて、前記電槽と電槽蓋とを熱溶着し、該注液孔に注液栓を螺合してこれを封止することで鉛蓄電池が得られる。
後述する本発明の実施例1乃至実施例15、及び比較例1乃至比較例8の鉛蓄電池用正極板、及び該正極板を使用した鉛蓄電池を以下の手順に従って作製したが、正極ペースト以外の作製は従来公知の方法によるものである。これらの鉛蓄電池の各水準については、評価のために正極板4枚、負極板5枚からなる端子間電圧2Vの試験用セル(以下、「2Vセル」と称する)を作製し、次の(試験方法)に述べるJIS D 5301に規定される重負荷寿命サイクル試験に準拠した試験を実施し、実施例乃至比較例の寿命サイクル数、利用率を試験結果として図1乃至図3に示した。また、正極板1枚負極板2枚から構成される試験用電池を作製し、次の(試験方法)に述べる単板試験を実施し、実施例乃至比較例の容量維持率を試験結果として図4に示した。
(試験方法)
本発明の実施例1乃至実施例15、及び比較例1乃至比較例8の鉛蓄電池を用い、次の手順に従ってJIS D 5301に規定される重負荷寿命サイクル試験を実施した。なお、下記試験において鉛蓄電池の容量は、同規格の容量試験方法に準じて5時間率容量Cを予め求めておき、以後の測定における容量Cはこの値を使用した。また、上記容量試験より、各水準の鉛蓄電池の正極活物質の5HR利用率を算出した。なお、全試験期間を通して、鉛蓄電池を41℃に設定した恒温槽中に置いた。
1)5時間率容量試験:5時間率電流5.60Aでセル電圧が1.75Vに到達するまで放電させたときの電気量を5時間率容量Cとして算出した。
2)放電深度40%重負荷サイクル寿命試験:各水準の5時間率容量Cの40%を1時間かけて放電した後、放電量の125%を5時間かけて充電した。これを24サイクル繰り返した後、25サイクル目に11.2Aで1.70Vまで放電させ、放電容量Cを確認した。この放電容量Cが5時間率容量Cの50%を下回るまで、一連のサイクルを繰り返し、前記条件により測定が終了した時点でのサイクル数を寿命サイクル数とした。
3)単板試験:正極板1枚負極板2枚から構成される試験用電池を作製し、電流1.06Aでセル電圧が1.75Vに到達するまで放電した後、放電量の125%となるまで0.53Aで充電するサイクルを繰り返し、第1サイクル目の放電容量を100%として、各サイクルにおける容量維持率を計算した。
(実施例1)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2375g、鉛丹化率が86%である鉛丹125g、水347g、比重1.37の希硫酸109ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いした正極ペーストを作製した。この時、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して3.0質量%となる。続いて、該正極ペーストをPb−Ca−Sn系等の鉛合金からなる正極格子基板上に充填し、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.60g/cmとし、その他の負極板、電槽、電槽蓋、セパレータ、電解液等の鉛蓄電池の構成と、熟成及び乾燥、化成等の製造方法は従来公知の条件により、本発明の実施例1の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例2)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水352g、比重1.37の希硫酸102ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して3.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.67g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例3)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2125g、鉛丹化率が86%である鉛丹375g、水357g、比重1.37の希硫酸95ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して15.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して3.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.59g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例3の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例4)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉1875g、鉛丹化率が86%である鉛丹625g、水366g、比重1.37の希硫酸82ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して25.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して3.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.56g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例4の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例5)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水376g、比重1.37の希硫酸68ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して2.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.72g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例5の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例6)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水327g、比重1.37の希硫酸136ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して4.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.61g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例6の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例7)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水327g、比重1.37の希硫酸136ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して4.5質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.59g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして実施例7の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例8)
鉛粉、鉛丹、水、希硫酸及び補強用の添加剤等を混練する際に、アスペクト比が160であるアクリル繊維を鉛粉質量に対し0.30質量%添加したこと以外は実施例3と同様にして実施例8の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例9)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.6g/cmとしたこと以外は実施例8と同様にして実施例9の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例10)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.7g/cmとしたこと以外は実施例8と同様にして実施例10の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例11)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.5g/cmとし、添加したアクリル繊維のアスペクト比が100であること以外は実施例8と同様にして実施例11の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例12)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.5g/cmとし、添加したアクリル繊維のアスペクト比が200であること以外は実施例8と同様にして実施例12の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例13)
鉛粉、鉛丹、水、希硫酸及び補強用の添加剤等を混練する際に、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を鉛粉質量に対し0.09質量%添加したこと以外は実施例3と同様にして実施例13の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例14)
鉛粉、鉛丹、水、希硫酸及び補強用の添加剤等を混練する際に、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を鉛粉質量に対し0.15質量%添加したこと以外は実施例3と同様にして実施例14の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例15)
鉛粉、鉛丹、水、希硫酸及び補強用の添加剤等を混練する際に、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を鉛粉質量に対し0.20質量%添加したこと以外は実施例3と同様にして実施例15の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例1)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2500g、水342g、比重1.37の希硫酸115ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹は添加せず、純硫酸の添加量は鉛粉に対して3.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.64g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例1の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例2)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉1625g、鉛丹化率が86%である鉛丹875g、水376g、比重1.37の希硫酸68ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して35.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して3.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.64g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例3)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水388g、比重1.37の希硫酸51ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して1.5質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.76g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例3の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例4)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水302g、比重1.37の希硫酸171ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して5.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.56g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例4の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例5)
ボールミル法で製造し金属鉛を30質量%含む鉛粉2250g、鉛丹化率が86%である鉛丹250g、水278g、比重1.37の希硫酸204ml、及び補強用の添加剤等を所定量添加して練り合いし、鉛丹の添加量は鉛粉と鉛丹の合計量に対して、10.0質量%であり、純硫酸の添加量は鉛丹を除いた鉛粉に対して6.0質量%とし、所定の条件に従って熟成と乾燥、化成を行って、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.50g/cmとしたこと以外は実施例1と同様にして比較例5の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例6)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.5g/cmとし、添加したアクリル繊維のアスペクト比が25であること以外は実施例8と同様にして比較例6の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例7)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.5g/cmとし、添加したアクリル繊維のアスペクト比が290であること以外は実施例8と同様にして比較例7の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(比較例8)
正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.4g/cmとし、添加したアクリル繊維のアスペクト比が160であること以外は実施例8と同様にして比較例8の鉛蓄電池用正極板、および該正極板を使用した鉛蓄電池を得た。
(実施例、比較例の結果)
上記の実施例1乃至実施例7、及び比較例1乃至比較例5の鉛蓄電池の試験結果について、鉛丹添加量[質量%]を横軸に、寿命サイクル数[回]を左縦軸に、5HR利用率[%]を右縦軸にとってプロットし図1とした。同図1より、鉛丹量が増加するほど正極活物質の5HR利用率が大きくなる反面、寿命サイクル数が小さくなる傾向が判る。また純硫酸添加量[質量%]を横軸に、寿命サイクル数[回]を左縦軸に、5HR利用率[%]を右縦軸にとってプロットし図2とした。同図2より、純硫酸添加量が増加するほど正極活物質の5HR利用率が大きくなる反面、寿命サイクル数が小さくなる傾向が判る。ここで、該純硫酸添加量が2.0質量%より小さくなると寿命領域は減少に転じているが、これは三塩基性硫酸鉛の結晶の三次元的枝状構造が正極活物質中に十分に形成されないことで、軟化・脱落を防止する効果が減少することに因ると考えられる。図1や2から判る様に、化成後の水置換法で測定した活物質密度が4.5g/cm以上である鉛蓄電池用正極板を使用した鉛蓄電池において、正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛丹を除いた鉛粉質量に対して、4.5質量%を超えると寿命サイクル数が急激に低下する。また、2.0質量%未満では、正極格子基板への充填が困難になると共に、5HR利用率が急激に低下する。一方、鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して25.0質量%を超えると寿命サイクルが急激に低下する。また、5.0質量%未満では5HR利用率が十分ではなくなる。
更に、上記の実施例8乃至実施例12及び比較例6乃至比較例8の鉛蓄電池の試験結果について、添加したアクリル繊維のアスペクト比を横軸にとり、寿命サイクル数を縦軸にとってプロットし図3とした。同図3より、正極活物質の化成後の水置換法で測定した活物質密度を4.5g/cm以上とし、かつアスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維を正極板に添加した実施例8乃至実施例12は、アスペクト比が25であるアクリル繊維を添加した比較例6やアスペクト比が290であるアクリル繊維を添加した比較例7よりも寿命サイクル数が向上することが判った。また、比較例8より、アスペクト比が本発明の数値範囲内であっても、化成後の水置置換法で測定した活物質密度を4.4g/cmとした場合には、目標の寿命サイクル数に到達するための耐久性向上効果が得られないことが判った。
更に、上記の実施例3及び実施例13乃至実施例15の鉛蓄電池の試験結果について、サイクル数を横軸に、容量維持率[%]を左縦軸にとってプロットし図4とした。同図4より、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を添加することで8サイクル目における容量維持率が10%以上向上し、特に該短繊維の添加量が鉛粉質量に対し0.09質量%以上0.15質量%以下である場合に、利用率を維持し、より高い容量維持率が実現されることが分かった。該容量維持率は充放電を繰り返した際の容量劣化を反映した数値であり、係る容量維持率が高いほど寿命サイクル数が向上したことを意味する。なお、該短繊維の添加量が0.20質量%を超えた場合、正極ペーストが硬くなって正極格子基板への充填が著しく困難となる。
以上の結果より、本発明の鉛蓄電池用正極板及び該正極板を使用した鉛蓄電池は、化成後の活物質密度が4.5g/cm以上であり、また正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛粉質量に対して2.0質量%以上4.5質量%以下であって、更に鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下としたので、JIS D 5301に規定される重負荷寿命サイクル試験において、良好な寿命サイクル数と利用率の両立が実現可能である。更に、上記の鉛蓄電池用正極板及び該正極板を使用した鉛蓄電池において、アスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維を正極板に添加した場合は、高密度の正極板を有する鉛蓄電池において更に寿命サイクル数を向上する効果が得られる。更に、上記の鉛蓄電池用正極板及び該正極板を使用した鉛蓄電池において、ポリエチレンテレフタレートからなる短繊維を鉛粉質量に対して0.09質量%以上0.20質量%以下添加することで、利用率を維持しつつ容量維持率を向上でき、より良好な寿命サイクル数が実現可能である。

Claims (7)

  1. 化成後の活物質密度が4.5g/cm以上である鉛蓄電池用正極板において、正極ペーストの混練時に添加される純硫酸量が鉛粉質量に対して2.0質量%以上4.5質量%以下であって、更に鉛丹の添加量が鉛粉と鉛丹の合計量に対して5.0質量%以上25.0質量%以下であることを特徴とする鉛蓄電池用正極板。
  2. 正極板中にアスペクト比が100以上200以下のアクリル繊維が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板。
  3. 正極板中にポリエチレンテレフタレートからなる短繊維が鉛粉質量に対し0.09質量%以上0.20質量%以下添加されていることを特徴とする、請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板。
  4. 請求項1乃至3に記載の正極板を使用したことを特徴とする鉛蓄電池。
  5. 少なくとも一酸化鉛を主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、少なくとも該鉛粉との合計質量に対し5.0質量%以上25.0質量%以下となる質量の鉛丹とを混合した後、水を加えて練り合わせ、更に硫酸を前記鉛粉質量に対し2.0質量%以上4.5質量%以下添加して再度練り合わせて作製した正極ペーストを、鉛合金からなる集電体に充填して保持させ充填板とし、熟成・乾燥・化成工程を経て活物質密度が4.5g/cm以上になるようにすることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池用正極板の製造方法。
  6. 少なくとも一酸化鉛を主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、少なくとも該鉛粉との合計質量に対し5.0質量%以上25.0質量%以下となる質量の鉛丹と、アスペクト比が100以上200以下であるアクリル繊維とを混合した後、水を加えて練り合わせ、更に純硫酸を前記鉛粉質量に対し2.0質量%以上4.5質量%以下添加して再度練り合わせて作製した正極ペーストを、鉛合金からなる集電体に充填して保持させ充填板とし、熟成・乾燥・化成工程を経て活物質密度が4.5g/cm以上になるようにすることを特徴とする請求項2に記載の鉛蓄電池用正極板の製造方法。
  7. 少なくとも一酸化鉛を主成分とし金属鉛を含む鉛粉と、少なくとも該鉛粉との合計質量に対し5.0質量%以上25.0質量%以下となる質量の鉛丹と、前記鉛粉質量に対して0.09質量%以上0.20質量%以下のポリエチレンテレフタレートからなる短繊維とを混合した後、水を加えて練り合わせ、更に純硫酸を前記鉛粉質量に対し2.0質量%以上4.5質量%以下添加して再度練り合わせて作製した正極ペーストを、鉛合金からなる集電体に充填して保持させ充填板とし、熟成・乾燥・化成工程を経て活物質密度が4.5g/cm以上になるようにすることを特徴とする請求項3に記載の鉛蓄電池用正極板の製造方法。
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