JP2017171895A - 生分解性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生分解性樹脂及び添加剤を含む生分解性フィルムであり、前記添加剤は、脂肪酸モノアミドを含み、且つ生分解性樹脂100重量部に対し0.3〜1.2重量部含有され、該フィルムに対する水の接触角が100°以上である生分解性フィルム。好ましくは、脂肪酸モノアミドが飾和脂肪酸アミドであり、生分解性樹脂脂が脂肪族ポリエステル及び脂肪族芳香族ポリエステルを含む生分解性フィルム。
【選択図】なし
Description
また、突発的な大雨などが生じた場合、生分解性樹脂の特徴である分解機構、特に加水分解が極端に進行してしまい、必要とされる期間より早くフィルムが分解され、土壌の保護等の機能が失われるといった問題もあった。
尚、前記「水蒸気バリヤ性付与剤」としては、特許文献1では脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド、パラフィンワックス、カルナバワックス蝋、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、石油樹脂が開示され、特許文献2では炭素数20以上の飽和又は不飽和脂肪酸アミドが開示され、その例としてエルカ酸アミドやベヘン酸アミドが挙げられている。
しかし、これら「水蒸気バリヤ性付与剤」を添加又は表面塗布した特許文献1及び特許文献2の生分解性フィルムは水蒸気透過性を多少改善することはできても、撥水性が充分でないため、突発的な大雨といった異常気象にさらされた際等は急激な加水分解の進行を抑制できるものではなかった。
また、第2に、前記脂肪酸モノアミドは、飽和脂肪酸アミドであることが好ましい。
更に、第3に、前記生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル及び/又は脂肪族芳香族ポリエステルを含むことが好ましい。
次いで第4に、生分解性フィルムは、JIS Z 0208に準拠し、温度25℃、相対湿度90%(条件A)の恒温恒湿装置に72時間置いた際の吸湿剤の吸湿量から求めた透湿度が180g/m2・24h以下であることが好ましい。
本発明の生分解性フィルムは、少なくとも生分解性樹脂と添加剤とを有しており、該生分解性樹脂としては一般に知られているものが使用できる。
例えば、生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)等の脂肪族ポリエチレンや、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)といった脂肪族芳香族ポリエステル、その他デンプンやセルロース等の天然高分子も挙げられる。また、これらの生分解性樹脂は単独でも2種類以上を併用することもできる。
前記PBATを併用することで成形性が向上し、且つフィルムの柔軟性を向上させることができ、また、急激な加水分解の進行を抑制できる。
これらの配合比率としては、生分解性樹脂の全量を100重量%とした際に、PBATが30〜70重量%、PBSが0〜20重量%、PBSAが30〜60重量%とすることが好ましい。前記配合比率とすることで、添加剤と混合した際に、所定の接触角や透湿度を得られやすく、且つフィルムの成形性及び生分解性が良好であることに加えて、フィルムの柔軟性が良く、特に農業用のマルチフィルムとして用いた際等は、畑の畝の形状に追従し易いものとなる。
本発明の生分解性フィルムは、JIS R 3257に準拠し、接触角計DM−SA(協和界面化学株式会社製)を用いて測定した静的接触角が100°以上である。
前記接触角を100°以上とすることで、表面を撥水状態に近づけ、フィルム表面が水を弾き、雨等の天候による急激な加水分解の促進を防ぐことができる。
また、経時における透湿度の上昇が抑えられ、生分解によるフィルムの崩壊開始時まで性能を保持させることができる。そして農業用フィルムとして用いた際等は、経時における土壌の過度な乾燥を防ぐことができる。
本発明における添加剤は少なくとも脂肪酸モノアミドを含む。
前記脂肪酸モノアミドとしては、例えばラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミドや、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド等が挙げられる。
尚、脂肪酸アミドとしては、上記の他にもビス脂肪酸アミド等も知られているが、これは接触角や透湿度に対する効果が低く、且つ経時による物性低下も大きいため、本発明の効果を達成するには多量の添加が必要になり、グリーンプラといった環境配慮の点などにおいて好ましくない。
前記脂肪酸モノアミドの添加量を0.3重量部以上とすると、フィルムに対する水の接触角を100°以上に調整することができ、安定した透湿度を付与することができる。一方、上限を1.2重量部とすることで、環境負荷を低くでき、グリーンプラとして好適であり、同時にブリードや巻きズレといった問題が生じ難いため好ましい。
本発明の生分解性フィルムとしては、一般に行われている樹脂フィルムの製造方法を採用することができる。例えば、T−ダイ成形、インフレーション成形、カレンダー成形などが挙げられる。また、無延伸でも、一軸もしくは二軸延伸を施すこともできる。
ただし、本発明の生分解性フィルムはこれらに限定されるものではない。
PBAT:ポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF製エコフレックス)
PBS:ポリブチレンサクシネート(昭和電工製ビオノーレ1903MD)
PBSA:ポリブチレンサクシネートアジペート(昭和電工製ビオノーレ3001MD)
<添加剤>
ステアリン酸アミド(日本化成製アマイドAP−1)
ベヘン酸アミド(日本化成製ダイヤミッドBH)
エルカ酸アミド(日本化成製ダイヤミッドL−200)
パルチミン酸アミド(日本化成製ダイヤミッドKP)
メチレンビスステアリン酸アミド(日本化成製ビスアマイドLA)
エチレンビスステアリン酸アミド(日本化成製スリパックスE)
<接触角>
JIS R 3257に準拠し、接触角計DM−SA(協和界面化学株式会社製)を使用して静的接触角を測定した。
<透湿度>
JIS Z 0208に準拠し、温度25℃、相対湿度90%(条件A)の恒温恒湿装置に72時間置いた際の吸湿剤の吸湿量から透湿度を求めた。
<ブリード性>
室温にて一週間放置後のフィルム表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:変化なし
△:表面にわずかに粉がふきでている
×:粉が表面にふきでている
<巻きズレ>
以下の基準で評価した。
○:成形時にロールの巻きズレがない。
△:ロングラン成形の場合、巻きズレが生じやすい
<引張弾性率>
ASTM D 822に準拠して測定し、以下の基準で評価した。
○:250MPa以下
△:250MPaより高く500MPa以下
×:500MPaより高い
表1〜4に記載の配合比率にて生分解性樹脂及び添加剤を配合し、インフレーション成形にて厚さ20μmのフィルムを成形した。前記インフレーション成形における各種条件は以下の通りである。
なお、表中、添加剤の添加量は、生分解性樹脂100重量部あたりの添加量である。
シリンダー温度:160℃
ダイス温度:160℃
ダイス直径:100mmφ
引き取り速度:5〜15m/min
ブロー比:2〜3
次いで、実施例3,7〜9及び比較例3,4の結果から、フィルムの接触角を向上させるために用いる添加剤としては、脂肪酸ビスアミドより脂肪酸モノアミドが効果を発現させられることが判明した。また、前記脂肪酸モノアミドの中でも、ブリード性の観点から実施例3,7,9に使用したような飽和脂肪酸モノアミドがより好適であることが判明した。
Claims (5)
- 生分解性樹脂及び添加剤を含む生分解性フィルムであり、
前記添加剤は、脂肪酸モノアミドを含み、
該フィルムに対する水の接触角が100°以上であることを特徴とする生分解性フィルム。 - 前記脂肪酸モノアミドは、飽和脂肪酸アミドであることを特徴とする請求項1に記載の生分解性フィルム。
- 前記生分解性樹脂が脂肪族ポリエステル及び脂肪族芳香族ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性フィルム。
- JIS Z 0208に準拠し、温度25℃、相対湿度90%(条件A)の恒温恒湿装置に72時間置いた際の吸湿剤の吸湿量から求めた透湿度が180g/m2・24h以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生分解性フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の生分解性フィルムからなる農業用マルチフィルム。
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