JP5586490B2 - 農業用積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、農業用積層フィルムに関し、より詳しくは、フィルムの使用時は十分な引裂き強度や衝撃強度を有し、廃棄時には適度なフィルムの光分解性及び微生物分解性が発揮される安価な農業用積層フィルムに関する。
従来、農業用積層フィルム(農業用マルチフィルムともいう)は、畑の保水、保肥、雑草防止を目的として主にポリエチレン樹脂を中心とするプラスチックフィルムが巾広く使用されている。しかしながら、これらプラスチックフィルムは、石油由来の原料から生産されるため、化石資源の枯渇問題や、廃棄したときに焼却時に二酸化炭素が発生し地球温暖化につながる問題が付随してくる。
近年、上記問題を解決することを目的として、植物から製造される樹脂が使用されるようになってきている。植物由来の樹脂原料についての研究が数多くなされており、植物由来樹脂原料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステルが挙げられる。
ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートといった脂肪族系ポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸単位と脂肪族ジオール単位を有するもので、結晶化速度が速く、成形性は良好であるが、フィルムの引裂き強度や、引張破断伸びが不十分であった(特許文献1)。
これらの問題を解決するために、脂肪族ポリエステル系樹脂と石油由来の樹脂とを混合して用いることにより物性を制御する試みが行われている(特許文献2)。しかし単純に溶融ブレンドなどによりこれら樹脂を混合したとしても、石油由来の樹脂を過半数用いないと強度等の機械物性や耐熱性がほとんど改善されないばかりか、逆にこれらの物性が悪くなる例も多く見られた。
また、通常のプラスチックに分解促進剤として光増感作用を有する化合物を添加、配合した組成物も数多く提案されている。これらの方法ではフィルムの引裂き強度や、引張破断伸びは十分確保されるものの、土中での微生物分解性に劣ると言う問題点がある。
また、フィルムの引き裂き強度や、引張破断伸び、微生物分解性の改善を目的に脂肪族ポリエステル系樹脂とポリオレフィンフィルムの二層フィルムが提案されているが(特許文献3)、異なる原料の二層フィルムであることからフィルムにカールを生じ、マルチ展張作業性に支障をきたすという問題や、また強度の改善効果も思ったほどの向上度が期待出来ないという問題がある。
特開平8−239461号公報 特開2007−63297号公報 特開2004−89091号公報
本発明は、以上の問題点に鑑み、フィルムの引裂き強度や、衝撃強度の改善が著しく、且つ十分なフィルムの光分解性及び、微生物分解性を付与した安価な農業用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、脂肪族ポリエステル系樹脂層を中間層とし、特定のポリエチレン樹脂に特定の酸化分解剤を特定量配合した樹脂層を内外層に用い、且つ、積層フィルムの層厚み構成比を特定範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、A層/B層/A層の三層からなる農業用積層フィルムであって、A層が下記(1)及び(2)の性状を有するポリエチレン系樹脂と光及び又は熱により活性を示す酸化分解剤を含有し、B層が脂肪族ポリエステル系樹脂を含む組成物からなり、かつ、A層:B層:A層の層厚み構成比が1:1:1〜1:10:1であることを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
(1)MFR;0.5〜10g/10分
(2)密度 ;0.910〜0.935g/cm
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素原子数3〜12のαオレフィンとの共重合体樹脂であることを特徴とする農業用積層フィルムが提供される
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記酸化分解剤が、脂肪族モノカルボン酸塩、希土類化合物を主成分とすることを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、酸化分解剤の含有量が、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部であることを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂である農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリブチレンサクシネート系樹脂である農業用積層フィルムが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、B層が、樹脂全体に対して、芳香族脂肪族ポリエステル樹脂を1重量%〜40重量%含むことを特徴とする農業用積層フィルムが提供される。
本発明の農業用積層フィルムは、脂肪族ポリエステル系樹脂層を中間層とし、特定のポリエチレン樹脂に特定の酸化分解剤を特定量配合した樹脂層を内外層とするとともに、夫々のフィルム層厚み構成比を特定範囲とするので、高強度でありながら従来にない光、微生物分解性を有している。これにより農業用フィルムとして使用した後は、比較的容易に光分解され更には耕運機等で土中に鋤き込まれ微生物分解される。
以下に、本発明の農業用積層フィルムについて詳細に説明する。
1.ポリエチレン系樹脂
本発明においてポリエチレン系樹脂は、農業用積層フィルムの内層、外層に用いられ、高圧ラジカル法ポリエチレン、イオン重合法によるポリエチレンの何れも使用することが出来る。
イオン重合法によるエチレン系樹脂の中のエチレン・α―オレフィン共重合体のα―オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。これらα―オレフィンの含有量は、特に限定されないが、3〜40モル%の範囲で選択されることが好ましい。
上記イオン重合法によるポリエチレンとは、チーグラー系触媒、バナジウム系触媒、フィリップス系触媒、シングルサイト系触媒(メタロセン触媒を包含する)等のイオン重合法によって製造されるエチレン・α―オレフィン共重合体であって、より好ましくはシングルサイト系触媒を使用して製造されるポリエチレン系樹脂が望ましい。製造法としては、高圧イオン重合法、気相法、溶液法、スラリー法等が挙げられる。特に、メタロセン触媒を使用し、高圧イオン重合法で製造されたエチレン・α―オレフィン共重合体が好ましい。
シングルサイト系触媒としては、特に限定されるわけではないが、好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する基等が配位したジルコニウム化合物などのメタロセン化合物と助触媒とを触媒成分とする触媒が挙げられる。
上記シングルサイト触媒で製造されるエチレン・α―オレフィン共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン社製のハーモレックス(登録商標)シリーズ、カーネル(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂のMFRは、0.5g/10分〜10g/10分であり、好ましくは0.7g/10分〜7g/10分、より好ましくは1g/10分〜5g/10分である。MFRが0.5g/10分未満ではフィルム成膜時に膜切れ等が発生し成形安定性に問題を生じることに加え、溶融押出時の押出負荷が過大となり加工コスト(電気代)も上昇するので好ましくない。MFRが10g/10分を超えると成膜時にバブル揺れを発生し成形安定性に問題を生じたり、またフィルムの機械強度も大きく低下するので好ましくない。
ポリエチレン系樹脂の密度は、0.910g/cm〜0.935g/cmであり、好ましくは0.915g/cm〜0.930g/cm、より好ましくは0.920g/cm〜0.928g/cmである。密度が0.910g/cm未満ではフィルムの開口性に問題を生じたり、またフィルムの剛性が低下し、例えばマルチフィルムをマルチャー敷設機による敷設時にフィルムが伸びてしまうという様な問題を生じる。一方、密度が0.935g/cmを超えるとフィルムの機械強度が低下し問題となる。
2.酸化分解剤
本発明に用いる光及び又は熱により活性を示す酸化分解剤は、内外層のポリエチレン樹脂に配合される。光及び又は熱により活性を示す酸化分解剤とは、光や熱などの非微生物的作用によりポリエチレン系樹脂を酸化し低分子化された状態に分解する作用を有する物質であり、ポリエチレンの酸化分解剤として公知のものを使用することができる。
例えば、1種以上の金属カルボン酸塩と脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸の組合せ、金属カルボン酸塩と充填剤の組合せ、又は遷移金属コンプレックス又はこれらの混合物である。具体的化合物としては、USP6482872号公報、特表2008−534759号公報に記載の成分の酸化分解剤を用いることができる。特に好ましくはフィルムの光分解性を付与する脂肪族モノカルボン酸塩および希土類化合物を主成分とするものである。
脂肪族モノカルボン酸としては、所定の炭素数を有する合成又は天然の脂肪酸を含み、より具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸或いはこれらを主成分とするモノカルボン酸、ヤシ油脂肪族モノカルボン酸、ヤシ油硬化脂肪族モノカルボン酸、牛脂脂肪族モノカルボン酸、牛脂硬化脂肪族モノカルボン酸、パーム油脂肪族モノカルボン酸、パーム油硬化脂肪族モノカルボン酸、等が例示される
また、希土類化合物としては、周期表の第3族のうち第4周期から第6周期までの元素、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウムからルテチウムのいずれかを含む化合物である。
脂肪族モノカルボン酸塩と希土類化合物は、通常、潤滑剤などの炭化水素系溶剤に溶解して使用される。本発明において、主成分とは、全体の50重量%以上を占めることをいい、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めることをいう。
脂肪族モノカルボン酸塩、希土類化合物を主成分とする酸化分解剤としては、たとえばピーライフ・ジャパン・インク社の「P−Life」が挙げられる。
酸化分解剤の配合量は、内層、又は外層を構成するポリエチレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜2重量部である。配合量が0.01重量部未満では光、熱分解性に問題を生じ、また10重量部を超えると酸化分解が著しく速くなりマルチとしての使用期間中に劣化してしまう。
酸化分解剤は、そのままポリエチレン系樹脂に配合して使用できるが、予め同等の樹脂に5〜15重量%をブレンドしマスターバッチとして用いることが好ましい。
3.脂肪族ポリエステル系樹脂
本発明において、脂肪族ポリエステル系樹脂とは、中間層を構成する樹脂であり、分子中に芳香族環を実質的に有さないポリエステル系樹脂をいう。脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
脂肪族ポリエステル系樹脂を具体的に示すと、例えば、下記式(1)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
―O―R―O― (1)
[式(1)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。]
―OC―R―CO― (2)
[式(2)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。]
なお、上記式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」の「および」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂の1分子中に2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下、「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオール成分は、特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール成分が好ましく、炭素数4〜6の脂肪族ジオール成分が特に好ましい。具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。脂肪族ジオール成分は2種類以上を用いることも出来る。
式(2)のジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は、特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸成分が特に好ましい。具体的には、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸等が挙げられ、中でもコハク酸またはアジピン酸が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
さらに、脂肪族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体成分全体を基準(100モル%)として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物」または「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合させたものであると、得られる脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。また、4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸またはその無水物が挙げられる。また、4官能の多価カルボン酸またはその無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸は、2個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基を同一分子中に有するタイプと、カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸は、3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体全体を基準(100モル%)として、下限は通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を用いることが特に好ましい。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族カルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶剤を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。中でも、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
本発明において、目的とする重合度の脂肪族ポリエステル系樹脂を得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が0.8モル以上、好ましくは0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。また、脂肪族ポリエステル樹脂には、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エーテル結合等を導入することができる。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂のMFRは、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、0.3g/10分〜20g/10分であり、好ましくは0.5g/10分〜15g/10分、より好ましくは1g/10分〜10g/10分である。MFRが20g/10分を超えると、フィルム成形時にポリエチレン系樹脂層との間で層間ずれを生じフィルムの外観荒れを招いたり、成形安定性にも問題を生じ好ましくない。また、MFRが0.3g/10分未満では同様にフィルム成形時にポリエチレン系樹脂層との間で層間ずれを生じフィルムの外観荒れを招いたり、押出機での押出負荷が増大し好ましくない。
4.芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂
本発明において脂肪族ポリエステル系樹脂は、単独でも使用できるが、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂を含んでいることが好ましい。芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂とは、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族及び/または脂環式ジオール単位とを含むものであり、芳香族ジカルボン酸単位の含量が、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5モル%以上60モル%以下であるものをいう。具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオール単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、および、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
―O―R―O― (3)
〔式(3)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。〕
―O―R―O― (4)
〔式(4)中、Rは直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。〕
―O―R―O― (5)
〔式(5)中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。〕
式(3)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
式(4)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分および、芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3メチル−酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂は、上記脂肪族ポリエステル系樹脂と同様の製法により製造することができる。
本発明に用いられる芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂のMFRは、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、0.3g/10分〜20g/10分であり、好ましくは0.5g/10分〜15g/10分、より好ましくは1g/10分〜10g/10分である。MFRが20g/10分を超えると、フィルム成形時にポリエチレン系樹脂層との間で層間ずれを生じフィルムの外観荒れを招き成形安定性にも問題を生じ好ましくない。また、MFRが0.3g/10分未満では同様にフィルム成形時にポリエチレン系樹脂層との間で層間ずれを生じフィルムの外観荒れを招き、押出機での押出負荷が増大し好ましくない。
上記した芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量は、中間層を構成する樹脂組成物全体を基準(100重量%)として、好ましくは1重量%以上40重量%以下である。含有量の下限は、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。含有量の上限は、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量が多すぎるとフィルムの透明性が低下し好ましくない。また少なすぎると強度の改良効果が発現できない。
5.各種添加剤
本発明における樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲でさらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、抗ブロッキング剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、着色剤、顔料、保温剤、帯電防止剤、防曇剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキスフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシルジブチルヒドロキシハイドロシアナメイト等のヒンダードフェノール系、ジラウルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジブチルフェニル)ホスファイト、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系等の酸化防止剤が好ましいものとして挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、樹脂成分100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部の割合で含有されていることが望ましい。
保温剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸リチウム、燐酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、アルミノ珪酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ、ゼオライト、ハイドロタルサイト類、リチウム・アルミニウム複合水酸化物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合炭酸塩化合物、アルミニウム・リチウム・マグネシウム複合珪酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合水酸化物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合硫酸塩化合物、マグネシウム・アルミニウム・珪素複合炭酸塩化合物等の無機化合物が挙げられる。
中でも好ましいものは、ハイドロタルサイト類、リチウム・アルミニウム複合水酸化物である。これらは、水澤化学工業(株)からミズカラック、ミズカラックL、ミックレイASi、ミックレイFVA、協和化学工業(株)からDHT4A、DHT4A2、アルカマイザー1、戸田工業(株)からOPTIMA LSAなどの商品名で入手可能である。
保温剤の含有量は、樹脂100重量部当たり0〜20重量部であり、0.01〜10重量部の割合で含有されていることが好ましい。
保温剤の平均粒径は、10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。平均粒径が10μm以下であれば、フィルムの透明性が著しく損なわれることがないので好ましい。
防曇剤は、フィルム表面へ水滴が付着することによる透明性の低下による照射日光の低下及び付着水滴落下による病害虫の発生を防ぐものである。防曇剤に用いられる化合物としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンパルミチン酸エステル(エチレンオキサイド付加物)等が挙げられる。これらは単独で、または複数を組み合わせて用いられる。
防曇剤の配合量は、フィルムの厚さによって異なるが一般的には0〜3.0重量部の範囲である。防曇剤は積層フィルムの少なくとも外層(展張時は内面側)、及び中間層に含有することが好ましい。
6.積層フィルムの構成
本発明の農業用積層フィルムは、A層(ポリエチレン系樹脂と酸化分解剤を含む組成物層)とB層(脂肪族ポリエステル系樹脂組成物層)がA層/B層/A層の三層で構成されており、夫々の層の厚み構成比がA層:B層:A層=1:1:1〜1:10:1となっている。
B層の厚みがA層の1倍未満では、土中での微生物分解性に満足するものが得られず、またB層の厚みがA層の10倍を超えるとフィルムの機械強度が大きく低下するという問題がある。そのため、厚み構成比がA層:B層:A層=1:1.5:1〜1:5:1であることが好ましく、1:2.5:1〜1:3.5:1であることがより好ましい。
また、マルチフィルムとしてのフィルム厚みは、5〜50μmであり、好ましくは8〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。厚みがこの範囲を外れると、強度が不足したり、コストが高くなり好ましくない。
本発明の積層フィルムを製造するには、フィルム用樹脂組成物の材料を、予め所定量用意し、ヘンシェルミキサー、vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機により混練する方法や、酸化分解剤を予め高濃度のMBを作成しておいてフィルム成形前にベースレジンにドライブレンド等をすることにより得られる。
次に、フィルム用樹脂組成物を公知の方法でフィルムにする。その製造方法としては、積層数に応じた押出機と通常のフィードブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプの接合・合流部を有する積層ダイによる空冷インフレーションフィルム成形、Tダイフィルム成形等が挙げられ、これらの何れかの方法により好適なフィルムを得ることができる。
従来より、インフレーション成形法などにより農業用フィルムを作成する場合は、通常、180〜210℃程度の温度で成形することが一般的であるが、本発明の農業用積層フィルムの場合は、成形温度として、樹脂の融点以上、200℃以下となる温度範囲を採用して成形することができる。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例、比較例で用いた物性測定法、原材料は以下の通りである。
1.物性測定法
(1)メルトフローレート(MFR):エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、JIS−K6922−2:1997附属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
(2)密度:エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K−7112に従い測定した。
(3)打ち抜き衝撃強度
得られたフィルムの打ち抜き衝撃強度は、JIS−P8134(1976)に準じた試験機を用い、貫通破壊エネルギーを測定した。試験機としては、先端に貫通部を取り付けることのできる90°弧状の腕をもち、自由に振動することができる振子、上記貫通部は、12.7mmφの球型の金属製を標準とし、表面は鏡面光沢をもち確実に振子の弧状の腕の先端に取り付けできるもの、試験片を水平均一に締め付ける内径50mmφのクランプを備えたものを用いた。打ち抜き衝撃強度は、15J/m以上でなければならず、20J/m以上であることが望ましい。
(4)生分解性
得られたフィルムの生分解性は、20cm×20cm×厚み20μmのフィルム試験片を作成し、予めスガ試験機社製サンシャインカーボンアークW−O−M試験機にて120時間照射し、次いで、そのフィルムを土中地下20cmの所に埋設する土中埋設試験を行った。3ケ月後に分解状況を目視にて確認し、下記の判定を行った。
試験片がそのまま存在変化なし ;×
試験片が細かく砕片化 ;△
試験片が細かく砕片化し量が減少 ;○
試験片が細かく砕片化し量が著しく減少;◎
(5)フィルムのカール性
得られたフィルムのカール性は、フィルム成形で紙管に巻き取ったフィルムを恒温恒湿室(23℃、50%RH)に24時間保管した後、紙管からフィルムを巻きほぐし水平に置いた時のフィルム端面のカール状態を観察し、下記基準で評価を行った。
カールが全くなし ○
フィルム端部が水平面から5mm以上反り返った ×
2.使用原材料
(1)内層及び、外層樹脂(ポリエチレン系樹脂)
エチレン・α―オレフィン共重合体樹脂として、日本ポリエチレン社製カーネル「KF290」(MFR2.0g/10分、密度0.925g/cm)を使用した。
(2)酸化分解剤
酸化分解剤として、ピーライフ・ジャパン・インク社製P−Life「SMC2360」(脂肪族モノカルボン酸塩/希土類化合物/潤滑剤の混合物)を使用した。尚、本酸化分解剤は、予め日本ポリエチレン社製ノバテックLL「F30HG」をベース樹脂としてSMC2360を10wt%の濃度としたマスターバッチを作成し、それをフィルム成膜時にドライブレンドを行い添加した。
(3)中間層樹脂
脂肪族ポリエステル系樹脂として、PBSA系樹脂(三菱化学社製AD92WN)72wt%及び、PBS系樹脂(三菱化学社製AZ91TN)8wt%を用い、これに芳香族脂肪族系樹脂としてBASF社製Ecoflexを20wt%配合した。
(実施例1)
内層及び、外層樹脂としてポリエチレン系樹脂(KF290)に予め作成した酸化分解剤(SMC2360)のマスターバッチ10重量%を添加したものを用い、中間層樹脂として脂肪族ポリエステル系樹脂(AD92WN 72重量%、AZ91TN 8重量%)と、芳香族脂肪族系樹脂(Ecoflex)20重量%とを予めヘンシェルミキサーで混合したものを用いた。
これをトミー工業社製三層インフレーションフィルム成形機(ダイ口径100mmφ)にて、内層及び、外層の押出機温度160℃、中間層の押出機温度180℃でインフレーションフィルム成形を行い、内層4μm、中間層12μm、外層4μmの三層フィルム(A層:B層:A層の層構成比が1:3:1)を得た。得られたフィルムの性能を評価し、結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1に対して、内層及び、外層樹脂としても脂肪族ポリエステル系樹脂を用いて、インフレーションフィルム成形を行った。すなわち、脂肪族ポリエステル系樹脂(AD92WN 72重量%、AZ91TN 8重量%)と、芳香族脂肪族系樹脂(Ecoflex 20重量%)とを予めヘンシェルミキサーで混合したものを三層の全層に用い、全層の押出機温度を160℃とした以外、実施例1と同様に成形し、実質的に20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの性能を評価し、結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1に対して、中間層樹脂としてもポリエチレン系樹脂を用いて、インフレーションフィルム成形を行った。すなわち、ポリエチレン系樹脂(KF290)に予め作成した酸化分解剤(SMC2360)のマスターバッチ10重量%を添加したものを三層の全層に用い、全層の押出機温度を180℃とした以外、実施例1と同様に成形し、実質的に20μmの単層フィルムを得た。得られたフィルムの性能を評価し、結果を表1に示す。
(実施例2)
内層、中間層、外層への供給樹脂の種類を実施例1と同様にしたが、各層の押出比率を変更して、内層2μm、中間層16μm、外層2μmの三層フィルム(A層:B層:A層の層構成比が1:8:1)を得た。得られたフィルムの性能を評価し、結果を表1に示す。
(比較例3)
内層、中間層、外層への供給樹脂の種類を実施例1と同様にしたが、各層の押出比率を変更して、内層7μm、中間層6μm、外層7μmの三層フィルム(A層:B層:A層の層構成比が1:0.85:1)を得た。得られたフィルムの性能を評価し、結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1に対して、中間層及び、外層樹脂の樹脂を入れ替えて、インフレーションフィルム成形を行った。すなわち、内層及び、中間層にポリエチレン系樹脂(KF290)に予め作成した酸化分解剤(SMC2360)のマスターバッチ10重量%を添加したものを用い、外層に脂肪族ポリエステル系樹脂(AD92WN 72重量%、AZ91TN 8重量%)と、芳香族脂肪族系樹脂(Ecoflex 20重量%)とを予めヘンシェルミキサーで混合したものを用い、内層及び、中間層の押出機温度を180℃、外層の押出機温度を160℃とし、各層の押出比率の変更を行い、内層4μm、中間層4μm、外層12μm(A層:A層:B層の層構成比が1:1:3)の実質的に二層フィルムを得た。得られたフィルムの性能を評価し、結果を表1に示す。
Figure 0005586490
「評価」
上記の表1から、実施例1及び2は、脂肪族ポリエステル系樹脂層を中間層とし、特定のポリエチレン樹脂に特定の酸化分解剤を特定量配合した樹脂層を内外層に用い且つ、積層フィルムの層厚み構成比を特定範囲の層比とするために、打ち抜き衝撃強度、生分解性(土中埋設試験)、フィルムのカール性ともに優れている。
これに対して、比較例1,2は実質的に単層であるために、打ち抜き衝撃強度、生分解性(土中埋設試験)のいずれかが不十分であり、また、比較例4は実質的に二層であるためにフィルムのカール性が劣っている。一方、比較例3は積層フィルムの層厚み構成比が本発明の範囲外であるために、生分解性(土中埋設試験)が不十分となったことが分かる。
本発明の農業用積層フィルムは、高強度でありながら従来にない光、微生物分解性を有しているために、使用後は比較的容易に光分解され更には耕運機等で土中に鋤き込まれ微生物分解される。これにより、環境負荷が小さい農業用マルチフィルムとして有用である。

Claims (7)

  1. A層/B層/A層の三層からなる農業用積層フィルムであって、
    A層が下記(1)及び(2)の性状を有するポリエチレン系樹脂と光及び又は熱により活性を示す酸化分解剤を含有し、B層が脂肪族ポリエステル系樹脂を含む組成物からなり、かつ、A層:B層:A層の層厚み構成比が1:1:1〜1:10:1であることを特徴とする農業用積層フィルム。
    (1)MFR;0.5〜10g/10分
    (2)密度 ;0.910〜0.935g/cm
  2. 前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと炭素原子数3〜12のαオレフィンとの共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の農業用積層フィルム。
  3. 前記酸化分解剤が、脂肪族モノカルボン酸塩、及び希土類化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の農業用積層フィルム。
  4. 酸化分解剤の含有量が、ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の農業用積層フィルム。
  5. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の農業用積層フィルム。
  6. 脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリブチレンサクシネート系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の農業用積層フィルム。
  7. B層が、樹脂全体に対して、芳香族脂肪族ポリエステル樹脂を1重量%〜40重量%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の農業用積層フィルム。
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