JP2009108264A - 樹脂組成物ならびに該樹脂組成物からなる成形体およびフィルム - Google Patents

樹脂組成物ならびに該樹脂組成物からなる成形体およびフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】力学特性に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂を含有するフィルムを得ること、特に、引裂き強度や柔軟性、収縮率の高く透明性に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂組成物及びよりこの樹脂組成物からなるフィルムを得ること。
【解決手段】JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が400%以上である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、および、密度0.860g/cm以上0.921g/cm以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上50g/10分以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含有し、質量比として(A)/[(A)+(B)]が0.50以上0.99以下である樹脂組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物ならびに該樹脂組成物からなる成形体およびフィルムに関する。詳細には、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物、粉粒物または固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等に広く利用される成形体およびフィルム、ならびにこれらを形成するための樹脂組成物に関する。
従来、各種食品、薬品、雑貨等の液状物、粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等の幅広い用途において、紙、プラスチックフィルム、アルミ箔等が用いられてきた。この中でも特に、プラスチックフィルムは、強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れており、袋や容器として、多くの用途で使用されている。
該プラスチックフィルムを構成するプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等がある。しかしながら、これらプラスチックフィルムは石油由来の原料から生産されるため、化石資源の枯渇問題や、廃棄したときに焼却時に二酸化炭素が発生し地球温暖化につながる問題が付随してくる。
近年、上記問題を解決することを目的として、植物から製造される樹脂が使用されるようになってきている。植物由来の樹脂原料についての研究が数多くなされており、植物由来樹脂原料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステルが挙げられる。
ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートといった脂肪族ジカンルボン酸単位と脂肪族ジオール単位を有する脂肪族系ポリエステルは、結晶化速度が速く、成形性は良好であるが、フィルムの引き裂き強度や、引っ張り破断伸びが不十分であった(特許文献1)。
これらの問題を解決する手法として、脂肪族ポリエステル系樹脂と石油由来の樹脂とを混合して用いることにより物性を制御する試みが行われた(特許文献2)。しかし、単純に溶融ブレンドなどによりこれら樹脂を混合したとしても、石油由来の樹脂を過半数用いないと強度等の機械物性や耐熱性がほとんど改善されないばかりか、逆にこれらの物性が悪くなる例も多く見られた。
特開平8−239461号公報 特開2007−63297号公報
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、成形性に優れた樹脂組成物、および、該樹脂組成物を成形して得られた、引裂強度、収縮性、透明性に優れた成形体およびフィルムを得ることを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、脂肪族ポリエステル系樹脂に、特定の物性を有するポリエチレン系樹脂を特定の割合で混合すること、さらには、特定の相溶化剤、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂を混合することにより、上記課題を解決することができることを見出し、以下の本発明を完成させた。
第1の本発明は、JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が400%以上である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、および、密度0.860g/cm以上0.921g/cm以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上50g/10分以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含有し、質量比として(A)/[(A)+(B)]が0.50以上0.99以下であることを特徴とする樹脂組成物である。ここで、「主成分」とは、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、成分(A)および成分(B)を、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上含むことをいう。
第1の本発明の樹脂組成物は成形性に優れており、該樹脂組成物により形成した成形体、特にフィルムを、引裂強度、熱収縮性、透明性に優れたものとすることができる。このため、該成形体、特にフィルムは、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物、粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等に広く利用することができる。以下、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を「成分(A)」、ポリエチレン系樹脂(B)を「成分(B)」という場合がある。
第1の本発明の樹脂組成物は、さらに、JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が400%未満である脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)を含んでいることが好ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)を含んでいると成形性が向上する場合が多い。以下、脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)を「成分(A’)」という場合がある。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)は、ポリブチレンサクシネート系樹脂であることが結晶化速度が速いことから好ましい。なお、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)の破断伸び率は、同一の条件で測定したものである。
第1の本発明の樹脂組成物は、さらに、相溶化剤(C)を、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、0.01質量%以上30質量%以下含んでいることが好ましい。相溶化剤(C)を添加することにより、成分(A)と成分(B)との相溶性、場合によっては、さらに成分(A’)との相溶性を向上させることができる。相溶性が向上するとフィルムの透明性が良好となり、多くの場合機械的強度が大きくなり好ましい。相溶化剤(C)は、酸無水物基、グリシジル基、エーテル基のいずれかの構造を有するものであることが好ましい。これらの構造を有する相溶化剤を用いることにより、上記相溶性を向上させる効果が大きくなる。官能基を有する相溶化剤を用いると相溶化剤の添加量が少量で十分な効果が得られるため、成形性やコストの点で好ましい場合がある。以下、相溶化剤(C)を「成分(C)」という場合がある。
第1の本発明の樹脂組成物において、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂であることが形成したフィルムの透明性、熱収縮性を良好にする点、ならびに、原料コストを抑える点で好ましい。
第1の本発明の樹脂組成物は、さらに、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を、樹脂組成物全体を100質量%として、1質量%以上40質量%以下含んでいることが好ましい。以下、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を「成分(D)」という場合がある。「成分(D)」を添加すると引裂き強度が改良され好ましい。
第2の本発明は、上記第1の本発明の樹脂組成物からなる成型体である。
第3の本発明は、上記第1の本発明の樹脂組成物からなるフィルムである。
第4の本発明は、厚さ100μmのフィルムとした場合におけるJIS K7128に準拠して測定した樹脂流れ方向(MD)のエルメンドルフ引裂き強度が20N/mm以上、かつ、JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が500%以上である、ポリエステルフィルムである。なお、第4の本発明のフィルムは、第1の本発明の樹脂組成物を用いて厚さ100μmのフィルムを作製した場合に上記の範囲のエルメンドルフ引裂き強度を有しているのであればよいのであり、同一材料を用いて作製した他の厚さのフィルムも含むものである。
第1の本発明の樹脂組成物は、成分(A)および成分(B)を所定の割合で含むことにより、成形性に優れた樹脂組成物とすることができ、該樹脂組成物により形成した成形体、特にフィルムを、引裂強度、熱収縮性、透明性に優れたものとすることができる。このため、該成形体、特にフィルムは、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物、粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等に広く利用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリエチレン系樹脂(B)>
本発明の樹脂組成物に含まれるポリエチレン系樹脂(B)は、密度0.860g/cm以上0.921g/cm以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上50g/10分以下であるポリエチレン系樹脂である。ポリエチレン系樹脂の種類としては、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。中でも、低密度ポリエチレンが好適に用いられ、LLDPEおよび/またはVLDPEがより好適に用いられる。
本発明のポリエチレン系樹脂(B)はエチレンを主成分とし、他種類のオレフィン成分を共重合してもよい。オレフィン成分としては、α−オレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。中でも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが樹脂の物性の点で好ましく、1−ブテン、1−ヘキセンが、原料の入手しやすさ、製造面での効率の点でより好ましく、1−ヘキセンが、機械物性、熱的性質、製造面で最も好ましい。
ポリエチレン系樹脂(B)のMFR(190℃、2.16Kg荷重)は、通常0.1g/10分以上50g/10分以下である。また、MFRの下限は、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは1.0g/10分以上、最も好ましくは2.0g/10分以上である。
本発明のポリエチレン系樹脂(B)の密度の下限は、通常0.860g/cm以上、好ましくは0.870g/cm以上、さらに好ましくは0.875g/cm以上、最も好ましくは0.880g/cm以上である。密度の上限は、通常0.921g/cm以下、好ましくは0.920g/cm以下、さらに好ましくは0.910g/cm以下、最も好ましくは0.905g/cm以下である。密度が小さすぎると、成型が困難なため好ましくなく、密度が大きすぎると引裂き強度等の機械物性が損なわれ好ましくない。
本発明のポリエチレン系樹脂(B)は、チーグラー・ナッタ触媒、クロム系触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて、エチレン(場合によっては、オレフィン成分も)を重合することにより得ることができる。中でも、本発明のポリエチレン系樹脂(B)は、メタロセン触媒で製造したポリエチレンであることが物性の観点から好ましい。重合方法としては、高圧法ラジカル重合、高圧イオン重合法、中圧法、低圧法、気相重合、スラリー重合、バルク重合等が挙げられる。中でも、高圧イオン重合法が好ましい。
<脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)>
本発明において、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)とは、分子中に芳香族環を実質的に有さないポリエステル系樹脂をいう。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)は、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)を具体的に示すと、例えば、下記式(1)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジオ−ル単位、並びに、下記式(2)で表される鎖状脂肪族および/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
−O−R−O− (1)
[式(1)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。]
−OC−R−CO− (2)
[式(2)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のRが含まれていてもよい。]
なお、上記式(1)、式(2)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」の「および」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)の1分子中に2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下、「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
式(1)のジオール単位を与える脂肪族ジオール成分は特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール成分が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール成分が特に好ましい。具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4−ブタンジオールが特に好ましい。脂肪族ジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
式(2)のジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸成分が特に好ましい。具体的には、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、中でもコハク酸またはアジピン酸が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
さらに、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)を構成する単量体成分全体を基準(100モル%)として、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物」または「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合させたものであると、得られる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。また、4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
3官能の脂肪族多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸またはその酸無水物が挙げられる。また、4官能の多価カルボン酸またはその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸またはその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)を構成する単量体全体を基準(100モル%)として、下限は通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)としては、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂を用いることが特に好ましい。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)としては、ポリブチレンサクシネート系樹脂を用いることが特に好ましい。
本発明で使用する脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。中でも、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く1族〜15族金属元素を含む化合物である。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ−ジケトナート錯体等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物、またはそれらの混合物が挙げられる。
これらの中では、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムまたはカルシウムを含む金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましく、その中でも、特に、チタン化合物またはゲルマニウム化合物が好ましい。また、触媒が重合時に溶融または溶解した状態であると重合速度が高くなる理由から、触媒は、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステルに溶解する化合物であること好ましい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒添加量は、生成するポリエステルに対する金属量として、下限値が通常5ppm以上、好ましくは10ppm以上であり、上限値が通常30000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、特に好ましくは130ppm以下である。使用する触媒量が多すぎると、経済的に不利であるばかりでなくポリマーの熱安定性が低くなるのに対し、逆に少なすぎると重合活性が低くなり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発されやすくなる。
ジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応および/またはエステル交換反応の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下である。反応圧力は、通常、常圧〜10kPaであり、常圧が好ましい。反応時間は、通常1時間以上であり、上限は通常10時間以下、好ましくは、4時間以下である。
その後の重縮合反応は、圧力を、下限が通常0.001×10Pa以上、好ましくは0.01×10Pa以上であり、上限が通常1.4×10Pa以下、好ましくは0.4×10Pa以下の真空度として行う。この時の反応温度は、下限が通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常260℃以下、好ましくは250℃以下の範囲である。反応時間は、下限が通常2時間以上であり、上限が通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)を製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。例えば、溶融重合を同一または異なる反応装置を用いて、エステル化および/またはエステル交換の工程と減圧重縮合の工程の2段階で行い、減圧重縮合の反応器としては、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した撹拌槽型反応器を使用する方法が挙げられる。また、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーが回収される方法が好んで用いられる。
本発明において、目的とする重合度の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)を得るためのジオール成分とジカルボン酸成分とのモル比は、その目的や原料の種類により好ましい範囲は異なるが、酸成分1モルに対するジオール成分の量が、下限が通常0.8モル以上、好ましくは、0.9モル以上であり、上限が通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.2モル以下である。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)には、生分解性に影響を与えない範囲で、ウレタン結合、アミド結合、カーボネート結合、エーテル結合等を導入することができる。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)は、十分に結晶化速度が高いものであり、示差走査熱量計測定において10℃/分で冷却した際の結晶化に基づく発熱ピークの半値幅が、通常15℃以下、好ましくは10℃以下、特に好ましくは8℃以下である。示差走査熱量計測定は、例えばパーキンエルマー社製DSC7を用い、10mgのサンプルを、流量50mL/分の窒素気流下で加熱溶融させた後、10℃/分の速度で冷却し、結晶化に伴う発熱ピークを記録することにより実施される。
本発明に用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
ポリエステル系樹脂(A)の、JIS K6781に準拠した引張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率は、400%以上であり、好ましくは500%以上、より好ましくは600%以上、さらに好ましくは700%以上である。破断伸び率が400%以上の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を含むことで、樹脂組成物をフィルムとしたときの機械物性、特に引裂き強度を向上させることができる。また、破断伸び率が400%以上の脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の樹脂組成物中の含有量は、好ましくは30質量%以上90質量%以下である。含有量の下限はより好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。含有量の上限はより好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。含有量が30質量%以下では、引裂き強度が低下し好ましくなく、90質量%以上では成形性が低下し好ましくない。
ポリエステル系樹脂(A’)の、JIS K6781に準拠した引張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率は、400%未満であり、好ましくは300%未満、より好ましくは200%未満、さらに好ましくは100%未満である。破断伸び率が400%未満の脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)を含むことで、フィルムの剛性が良好になる(コシがでる)。また、破断伸び率が400%未満の脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)の樹脂組成物中の含有量は、好ましくは0.1質量%以上90質量%以下である。含有量の下限はより好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。含有量の上限はより好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。含有量が少なすぎると成形性が悪くなる場合があり、また、含有量が多すぎると機械物性が低下して好ましくない。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とポリエチレン系樹脂(B)の合計量に対する脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の割合(質量比)「(A)/[(A)+(B)]」は、0.50以上0.99以下である。(A)/[(A)+(B)]の上限は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.85以下である。下限は、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.70以上である。(A)/[(A)+(B)]が低すぎると、十分な破断伸び率が得られないため好ましくなく、高すぎると引裂き強度が低下し好ましくない。
<相溶化剤(C)>
本発明の樹脂組成物は、相溶化剤(C)を含有していてもよい。相溶化剤とは、非相溶性の異種樹脂を混合する際に、相溶性を改良する添加剤である。相溶化剤(C)を添加することにより、成分(A)と成分(B)との相溶性、場合によっては、さらに成分(A’)との相溶性を向上させることができる。相溶性が向上するとフィルムの透明性が良好となり、多くの場合、機械的強度が大きくなり好ましい。
相溶化剤(C)は、通常樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、0.01質量%以上30質量%以下添加するのが好ましい。添加量の下限は、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。添加量の上限は、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
相溶化剤(C)の例としては、高分子型相溶化剤、低分子の有機化合物、無機化合物、有機無機複合体等が挙げられるが、高分子型相溶化剤、低分子の有機化合物が成型品の物性の点でこのましく、成型プロセスの観点から、高分子型相溶化剤がより好ましい。また、相溶化剤(C)としては、酸無水物基、グリシジル基、エーテル基のいずれかの構造を有するものであることが好ましく、これらいずれかの構造を有する高分子型相溶化剤がより好ましい。これらの構造を有する相溶化剤を用いることにより、上記相溶性を向上させる効果が大きくなる。官能基を有する相溶化剤を用いると相溶化剤の添加量が少量で十分な効果が得られるため、成形性やコストの点で好ましい場合がある。
高分子型相溶化剤としては、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系、アクリル系、スチレン系、ウレタン系、ポリアセタール系、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマーなどの樹脂およびこれらの2種類以上のブロック、グラフトまたは、ランダム共重合体が挙げられる。これらの共重合体にさらに不飽和脂肪酸無水物を付加させるなどして極性基を分子中に導入してもよい。付加させる不飽和脂肪酸無水物として無水マレイン酸が好ましく用いられる。
この中でも、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、オレフィン系エラストマー、不飽和脂肪族系エラストマー、水添不飽和脂肪族系エラストマーおよびこれらの2種以上の共重合体等がより好ましく、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、水添不飽和脂肪族系エラストマーおよびこれらの2種以上の共重合体がさらに好ましい。
ポリエステル系の相溶化剤(C)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、あるいは、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート等の構造を分子構造の一部に含むポリエステルブロックまたはランダムまたはグラフト共重合体(例えば、ポリブチレンサクシネートとポリエチレンのブロック共重合体)等の、成分(A)および成分(A’)以外の脂肪族ポリエステルが挙げられる。
ポリオレフィン系の相溶化剤(C)としては、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン等の構造を含むブロックまたはランダムまたはグラフト共重合体等の、成分(B)以外のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリアミド系の相溶化剤(C)としては、6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロン等が挙げられる。ポリエーテル系の相溶化剤(C)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
スチレン系としては、ポリスチレン、ポリp−メチルスチレン、ポリα−メチルスチレンなどが挙げられる。オレフィン系エラストマーとしては、エチレンプロピレンランダム共重合体、ポリ1−ブテン等が挙げられる。不飽和脂肪族系エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、SBS、SIS等が挙げられる。水添不飽和脂肪族系エラストマーとしては、SEBS、SEPS等が挙げられる。ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエーテル系、アクリル系、スチレン系、水添不飽和脂肪族系エラストマーおよびこれらの2種以上の共重合体の中でも特に好ましい例としては、ポリオレフィン/グリシジルアクリレート共重合体、ポリオレフィン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリオレフィン/ポリエーテル共重合体、ポリエーテルエステルアミド、SEBS、無水マレイン酸変性SEBS等が挙げられる。
<芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)>
本発明の樹脂組成物は、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を含んでいても良い。芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)とは、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位とを含むものであり、芳香族ジカルボン酸単位の含量が、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5モル%以上60モル%以下であるものをいう。具体的には、例えば、下記式(3)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(4)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、および、下記式(5)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
−O−R−O− (3)
[式(3)中、Rは2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R−CO− (4)
[式(4)中、Rは直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
−OC−R−CO− (5)
[式(5)中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(3)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(4)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
式(5)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分および芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)は、上記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)と同様の製法により製造することができる。
本発明に用いられる芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
上記した芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)の含有量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、好ましくは1質量%以上40質量%以下である。含有量の下限は、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。含有量の上限は、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)の含有量が多すぎると、熱収縮性、フィルムとした場合の透明性が低下し好ましくない。また、少なすぎると十分な添加効果が発現できない。
<無機充填剤>
本発明の樹脂組成物には、無機充填剤を配合させても良い。かかる無機充填剤としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、「珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム等の珪酸塩」、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の樹脂組成物に含有される無機充填剤の量は特に限定はないが、樹脂組成物100質量部に対して、無機充填剤が1質量部以上30質量部以下が好ましく、3質量部以上20質量部以下がより好ましく、5質量部以上15質量部以下が特に好ましい。無機充填剤が少なすぎる場合は、機械物性改良効果が少なくなる場合があり、一方、多すぎる場合は、成形性および耐衝撃性が悪化する場合がある。
<有機充填剤>
有機充填剤としては、生澱粉、加工澱粉、パルプ、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、竹粉末、樹皮粉末、ケナフや藁等の粉末等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。樹脂組成物中の有機充填剤の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して、60質量部以下が好ましい。
中でも、有機充填剤としては、生澱粉、加工澱粉等の澱粉が、引き裂き強度改良効果が高い点で好ましい。澱粉は、前記樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下含有されることが好ましく、10質量部以上40質量部以下含有されることがより好ましく、15質量部以上30質量部以下含有されることが特に好ましい。澱粉が少なすぎると、引き裂き強度改良効果が低い場合があり、一方、多すぎると、吸湿性が高く製品寿命が短くなる場合がある。
<各種添加剤>
本発明における樹脂組成物には、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散助剤や各種界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤は配合した方が好ましい。
防曇剤はあらかじめ樹脂に防曇剤を練りこんでもよいし、成形後、成形品表面に塗布してもよい。使用する防曇剤は具体的には、炭素数4以上20以下の飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸と多価アルコールのエステル系界面活性剤が好ましく用いられる。スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられるが、最も好ましくはエルカ酸アマイドが挙げられる。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、飽和脂肪酸ビスアマイド、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼライト、タルク等が挙げられる。
耐光剤としては具体的には、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2−ビス(3−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エタン、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1−オキシエチレン(2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2−(1,1,4−トリメチルブチルイミノ)−4,6−トリアジンジイル−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物及びそのN−メチル化合物、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物等が挙げられる。
これらの中で、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネートが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物に添加してもよい紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤の中で、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールが挙げられる。
本発明の樹脂組成物に添加してもよい酸化防止剤としては、BHT、2,2'−メチレンビス(4−メチルー6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤及びこれらの2種以上の混合物などが例示できる。この中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に用いられる。
好ましいヒンダードフェノール系酸化防止剤としてはイルガノックス3790、イルガノックス1330、イルガノックス1010、イルガノックス1076、イルガノックス3114、イルガノックス1425WL、イルガノックス1098、イルガノックスHP2225FL、イルガノックスHP2341、イルガフォスXP−30(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミライザーBBM−S(住友化学社製)が用いられる。最も好ましい酸化防止剤はイルガノックス3790(1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン)、イルガノックス1330(3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール)が用いられる。
これらの添加剤の添加量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、通常0.001質量%以上10質量%以下である。添加量の下限は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。添加量の上限は好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。また、本発明の樹脂組成物には、機能性添加剤として、鮮度保持剤、抗菌剤等を配合することもできる。
末端封止剤として、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられるが、その中でもカルボジイミド化合物が好適に用いられる。
<カルボジイミド化合物>
本発明において、主に大気中の水分等による加水分解を抑制する目的で、カルボジイミド化合物を好適に用いることができる。用いられるカルボジイミド化合物は、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)であり、このようなカルボジイミド化合物は、例えば触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用いて、イソシアネート化合物を70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応させることにより合成することができる。
上記のカルボジイミド化合物の内、モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができる。これらの中では、工業的に入手が容易であるので、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
またポリカルボジイミド化合物としては、例えば米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem.28巻、p2069−2075(1963)、及びChemical Review 1981、81巻、第4号、p.619〜p.621等に記載された方法により製造したものを用いることができる。
本発明においては、ポリカルボジイミド化合物を用いても良い。その重合度は、下限が2以上、好ましくは4以上であり、上限が通常40以下、好ましくは、20以下である。この重合度が大きすぎると、組成物中における分散性が不十分となり、例えばインフレフィルムにおいて外観不良の原因になる場合がある。
カルボジイミド化合物は、後述する樹脂組成物の調製時に添加してもよいし、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)または相溶化剤(C)のうちの1種類または2種類のポリエステルに練り混み、成形時に他の成分とドライブレンドすることによって樹脂組成物の全成分と混合して成形してもよい。あるいは、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)および/または芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)で高濃度のカルボジイミド化合物のマスターバッチを調整し、成形時にカルボジイミド化合物が所定濃度となるように、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)または(A’)および/または芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)をドライブレンドして希釈してもよい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で生分解性樹脂および天然物、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
<混練・成形方法>
(混練方法):本発明において、従来公知の混合/混練技術は全て適用できる。混合機としては、水平円筒型、V字型、二重円錐型混合機やリボンブレンダー、スーパーミキサーのようなブレンダー、また各種連続式混合機等を使用できる。また、混練機としては、ロールやインターナルミキサーのようなバッチ式混練機、一段型、二段型連続式混練機、二軸スクリュー押し出し機、単軸スクリュー押し出し機等を使用できる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、ブレンドした原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。また、各々の原料チップを直接成形機に供給して樹脂組成物を調整すると同時に、その成形体を得ることも可能である。本発明の各成分を混合して加熱溶融させたところに、各種添加剤、無機充填剤、有機充填剤、上記「その他の成分」、他のポリエステル等を添加して配合する方法等が挙げられる。また、この際、前記の各種添加剤を均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。
(成形方法):本発明における樹脂組成物は、汎用プラスチックに適用される各種成形法により成形に供することができる。その成形法としては例えば、圧縮成形(圧縮成形、積層成形、スタンパブル成形)、射出成形、押し出し成形や共押し出し成形(インフレ法やTダイ法によるフィルム成形、ラミネート成形、パイプ成形、電線/ケーブル成形、異形材の成形)、中空成形(各種ブロー成形)、カレンダー成形、発泡成形(溶融発泡成形、固相発泡成形)、固体成形(一軸延伸成形、二軸延伸成形、ロール圧延成形、延伸配向不織布成形、熱成形(真空成形、圧空成形)、塑性加工、粉末成形(回転成形)、各種不織布成形(乾式法、接着法、絡合法、スパンボンド法等)等が挙げられる。中でも、押し出し成形、射出成形、発泡成形、中空成形が好適に適用される。具体的な形状としては、フィルム、容器および繊維への適用が好ましい。
また、これらの成形品には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、各種合目的的に二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング等)等が挙げられる。
<物性>
本発明の樹脂組成物から成型したフィルム(厚さ100μm)の、JIS K7128に準拠して測定した樹脂流れ方向(MD)のエルメンドルフ引裂き強度は、20N/mm以上であることが好ましく、より好ましくは30N/mm以上、さらに好ましくは40N/mm以上である。エルメンドルフ引裂き強度が小さすぎると、包装材料などの用途によっては実用上内容物の漏洩、破損等の問題があり使用に耐えないため好ましくない。また、本発明の樹脂組成物から成型したフィルムの、JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率は、好ましくは500%以上、より好ましくは550%以上、さらに好ましくは600%以上、特に好ましくは650%以上である。
<用途>
本発明の樹脂組成物は成形性に優れ、該樹脂組成物により形成した成形体の表面特性および力学特性が優れたものである。このため、本発明の樹脂組成物からなる成型体は、各種食品、薬品、雑貨等の液状物や粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレー、ファーストフードの容器、野外レジャー製品等)、押出成形品(フィルム、例えば、釣り糸、漁網、植生ネット、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられる。さらに、その他農業用のフィルム、コーティング資材、肥料用コーティング材、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセル等のDDS、創傷被覆材等が挙げられる。
さらに、トナーバインダー、熱転写用インキバインダー等の情報電子材料、電気製品筐体、インパネ、シート、ピラー等の自動車内装部品、バンパー、フロントグリル、ホイールカバー等の自動車外装構造材料等の自動車部品等に使用できる。中でも、より好ましくは、包装用資材、例えば、包装用フィルム、袋、トレイ、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等、および、農業用資材、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、防草シート、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例により限定されるものではない。
<引き裂き強度の測定方法>
JIS K7128に準拠してエレメンドルフ引き裂き強度を測定した。
<降伏強度、破断強度、引っ張り破断伸びの測定方法>
JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した。
<MFR>
メルトフローレート(g/10分):190℃、2.16kg荷重で測定した。
<熱収縮性>
100℃の熱湯に成型したフィルムを入れ3分間放置した。そのときの変形の度合いを目視で確認した。結果を表1に示す。熱収縮性 ◎:非常に大、○:大、△:中、×:小
<透明性>
成型したフィルムの透明性を目視で観察した結果を表1に示す。◎:非常に透明性良好、○:透明性良、×:透明性に劣る
<実施例1〜25>
表1に示す質量比で、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)及び必要に応じて相溶化剤(C)、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を混合し二軸押出し機で180〜190℃で混練した。脂肪族ポリエステル系樹脂(A)としては、PBSA系樹脂(三菱化学社製AD92WN)を用いた。脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)としては、PBS系樹脂(三菱化学社製AZ91TN)を用いた。ポリエチレン系樹脂(B)としてカーネルKS240T(日本ポリエチレン社製:密度0.880、MFR=2.2)および/またはカーネルKS260(日本ポリエチレン社製:密度0.902、MFR=2.2)を用いた。
相溶化剤(C)としては、旭化成社製タフテックM1911,M1913,M1943、住友化学社製ボンドファーストCG5004,CG5001、三洋化成社製ペレスタットNC6321,300,VH230,201を用いた。また、芳香族脂肪族系樹脂(D)としては、BASF社製Ecoflexを用いた。2軸押出し機で混練して得られた樹脂を70℃10時間熱風乾燥機にて窒素気流下で乾燥した。乾燥後の樹脂を160℃でインフレ成形し、100μmの厚さの強靭な引き裂き強度を示すフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
<比較例1〜8>
表1に示す質量比で、実施例1〜25と同様に二軸押出し機で混練、乾燥、インフレ成型を行い100μmのフィルムを得た(ただし、比較例1、2のみ厚さ20μmのフィルムを成型した。)。評価結果を表1に示す。
なお、表1の比較例1および2に示されているように、脂肪族ポリエステル系樹脂(A)のTD方向の破断伸びは、820%である(比較例2)。また、脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)のTD方向の破断伸びは、40%である(比較例1)。
Figure 2009108264
表1に示されるように本発明の樹脂組成物からなるフィルムはMD(樹脂の流れ方向)方向のエルメンドルフ引裂き強度が著しく改善され、本発明によれば機械物性に優れたフィルムが得られる。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う樹脂組成物、該樹脂組成物からなる成形体およびフィルムもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の樹脂組成物は成形性に優れ、該樹脂組成物により形成した成形体、特にフィルムは、引裂強度、熱収縮性、透明性に優れているため、各種食品、薬品、雑貨等の液状物、粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等として広く利用することができる。

Claims (12)

  1. JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が400%以上である脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、および、
    密度0.860g/cm以上0.921g/cm以下、かつ、MFR(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上50g/10分以下であるポリエチレン系樹脂(B)を主成分として含有し、
    質量比として(A)/[(A)+(B)]が0.50以上0.99以下であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. さらに、JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が400%未満である脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A’)が、ポリブチレンサクシネート系樹脂である、請求項2または3に記載の樹脂組成物。
  5. 相溶化剤(C)を、樹脂組成物全体を100質量%として、0.01質量%以上30質量%以下含む、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記相溶化剤(C)が、酸無水物基、グリシジル基、エーテル基のいずれかの構造を有するものである、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記脂肪族ポリエステル系樹脂(A)が、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂である、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. さらに、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂(D)を、樹脂組成物全体を100質量%として、1質量%以上40質量%以下含む、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成型体。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  12. 厚さ100μmのフィルムとした場合におけるJIS K7128に準拠して測定した樹脂流れ方向(MD)のエルメンドルフ引裂き強度が20N/mm以上、かつ、JIS K6781に準拠した引っ張り試験により測定した樹脂流れに垂直方向(TD)の破断伸び率が500%以上である、ポリエステルフィルム。
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