JP2001348498A - 改良されたマルチングフィルム用組成物及びマルチングフィルム - Google Patents

改良されたマルチングフィルム用組成物及びマルチングフィルム

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JP2001348498A
JP2001348498A JP2000169498A JP2000169498A JP2001348498A JP 2001348498 A JP2001348498 A JP 2001348498A JP 2000169498 A JP2000169498 A JP 2000169498A JP 2000169498 A JP2000169498 A JP 2000169498A JP 2001348498 A JP2001348498 A JP 2001348498A
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film
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Mitsunori Nakanishi
三徳 中西
Ryoji Nishijima
良司 西島
Shozo Isobe
正三 磯部
Toru Shimizu
徹 清水
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SUNPRAK KOGYO KK
Maruzen Polymer Co Ltd
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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SUNPRAK KOGYO KK
Maruzen Polymer Co Ltd
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地上部、地中部ともに分解性を有し、尚且つ
地上部と地中部の分解速度が調節可能で、地際部の早期
分解が防止出来、更に低コスト化を図ったマルチングフ
ィルム用組成物の提供、及びこのマルチングフィルム用
組成物から成形されるマルチングフィルムの提供によ
り、マルチングフィルムの本来の役目である作物の生育
促進と雑草発生の防止を確実に行いながら、農業生産性
の向上と省力化、及びプラスチック廃棄物による環境破
壊防止を実現する。 【解決手段】 生分解性ポリマー及びポリオレフィンか
らなる混合物100重量部に対し、炭酸カルシウム10
〜400重量部を配合したマルチングフィルム用組成
物、及びマルチングフィルム用組成物を成形して得られ
るマルチングフィルムの提供による。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、農業の収穫効率
向上のために用いられるマルチングフィルム用組成物及
びマルチングフィルムに関する。より特定すれば、微生
物、及び光によって容易に分解する性質を有し、使用後
に取り除くことなく土中に鋤込める、炭酸カルシウムと
ポリオレフィンを特定量含有する、生分解性ポリマー系
のマルチングフィルム用組成物及びマルチングフィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】 農業用のマルチングフィルムは、作物
栽培時に播種、又は定植する部分だけに穴をあけて地面
を覆うために用いられるプラスチックフィルムで、地温
を上昇させ、水分の蒸発を防ぐことによって、作物の生
育を促進し、収穫時期を早め、収穫量を増加させ、且つ
品質も向上させるといった効果をもたらす。この農業用
マルチングフィルムに、更に別の効果を付加した例とし
て、黒色や緑色に着色して雑草発生を抑制したり、特定
の虫が嫌う色に着色して虫による食害を防止する等も行
われている。
【0003】 このように農作業の効率化には欠かせな
い資材となっている農業用マルチングフィルムである
が、現在では農業用資材に限らず全ての製造物の課題で
もある、環境への負荷を考慮し使用後の後始末を如何に
するかが問題となっている。一般に、農業用のマルチン
グフィルムは、農作物の種類にもよるが1〜6ヶ月程度
で上記のような役目を終える。役目を終えた後の農業用
のマルチングフィルムは畑より取り外し廃棄される。こ
の取り外す作業には多くの人手がかかるので、老齢化、
少人数化した農家には大きな負担となる。又、廃棄処分
の方法にも、焼却によるダイオキシンの発生等の環境問
題から野焼きを禁止する自治体が増え、回収等の野焼き
に代わる方法が必要となっている。しかし、引き取り回
収処分には高いコストがかかり、積み上げ放置すれば何
の解決にもならない上に風に飛ばされ周辺住民に迷惑を
かける等の問題がある。
【0004】 元々、マルチングとは、作物の根を温度
変化から護り雨の跳ねによって果実が汚れるのを防ぐた
めに、畑に藁や落ち葉、或いは木片等を敷き詰めること
とされ、人間が、その土地の厳しい気候の中で何とかよ
り安定して多くの農作物を得ようとして編み出したすば
らしい知恵である。そしてマルチング用の材料も、育て
ようとする作物と同じ植物を資源とする物を利用し、使
用後は畑に鋤込み肥料資源として還元して、土地の肥沃
化に活用していた。プラスチックフィルムにおいても、
使用時までは充分な耐久性を有しながら、役目を終えた
後には、即ち、一般には農作物の収穫後には、植物を資
源としたマルチング材料と同様に、畑に鋤込みが可能
で、早期に分解し自然界に還すことが出来、更には、可
能ならば肥料にも成り得るマルチングフィルムとするこ
とが要望されていた。
【0005】 このような要望に応えて、従来より種々
のマルチングフィルムが提案されてきている。特公昭5
2−31256号公報によれば、ポリオレフィンに炭酸
カルシウムを配合した乳白色の光崩壊性マルチングフィ
ルムが提案されている。この光崩壊性マルチングフィル
ムは、破砕が容易で、且つ良好な焼却性を有するプラス
チックフィルムである。この易破砕性は、本来ポリオレ
フィンの持つ光による、特に紫外線による劣化性を利用
し、ポリオレフィンに炭酸カルシウムを加えることで容
易に破砕される性質を付与し実現されている。即ち、ポ
リオレフィンと炭酸カルシウムからなる均質なフィルム
が光や熱により劣化することに基づいている。
【0006】 又、特公平4−146952号公報によ
れば、生分解性脂肪族ポリエステルと、炭酸カルシウム
又は/及び炭酸マグネシウムから成る微生物分解性プラ
スチック成形品が提案され、植林用シートとしての利用
も紹介されている。この微生物分解性プラスチック成形
品は、微生物分解性を有するとともに機械的強度に優
れ、且つ安価に製造し得る。微生物分解性は、ポリヒド
ロキシブチレート、ポリエチレンアジベート等の脂肪族
ポリエステルに由来し、高価な脂肪族ポリエステル材料
に、安い炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウムを含ませ
ることで機械的強度を向上させた上でトータルコストを
下げている。又、澱粉を併用することで、その微生物分
解性を更に向上させることが出来る。
【0007】 更に、特開平8−1806号公報によれ
ば、酸化チタン光触媒を含有した生分解性ポリマーから
成る光・生分解性ポリマー成形品が提案されている。光
分解性と生分解性を兼ね備えたプラスチックフィルム
で、土中に埋設しても、大気中に放置しても分解が進む
ため取扱が容易である。この光・生分解性ポリマー成形
品では、生分解性を持つ、完全分解型のポリ乳酸、脂肪
族ポリエステル等、又は、部分分解型の澱粉及び変性ポ
リビニルアルコールの混合物等に、酸化チタン光触媒を
混合して、光分解性を付与している。
【0008】 しかしながら、本発明者らの知るとこ
ろ、特公昭52−31256号公報のように、ポリオレ
フィン等の単品或いはブレンド物に炭酸カルシウムを配
合したのみでフィルムを薄肉とした光崩壊性マルチング
フィルムの場合は、空気中に出ているフィルムは光崩壊
を受け劣化するため、鋤込み可能なマルチングフィルム
ではあるが、地中部に埋設されたフィルムは光が当たら
ないため分解せず、又微生物による分解性(生分解性)
もないため、鋤込み後にフィルムの断片が残ってしまう
問題がある。
【0009】 又、特公平4−146952号公報のよ
うに、生分解性脂肪族ポリエステルと、炭酸カルシウム
又は/及び炭酸マグネシウムから成る、微生物分解性プ
ラスチック成形品の場合、仮に、マルチングフィルムの
ような薄肉成形品の用途に使用すると、地中に埋まった
部分は微生物による分解が進むものの、地上に出ている
部分は微生物と接していないため生分解は進まない、従
って、一般的には地上部は破砕し易くなっていないた
め、農作物収穫後の鋤込みに支障をきたすものと考えら
れる。又、地上部の分解を促進し鋤込みし易くするため
に、澱粉等を配合し生分解を速くすると、地中部での生
分解が極端に速くなってしまう結果、地上部と地中部の
境目である地際部がより早期に裂け、作物栽培中に、マ
ルチングフィルムの役目である保温や雑草発生の防止を
果たせなくなる問題点がある。
【0010】 更に、特開平8−1806号公報の方法
は、経済性の面で問題がある。光・生分解性ポリマー成
形品を構成している酸化チタン光触媒、及び生分解性ポ
リマーはともに高価で、一般の農家が使用するまでには
至っていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】 従って、農業用マル
チングフィルムにおいては、より低コストで、展張時初
期の強度が充分にあり、使用中は地際部の裂けもなく作
物の生育を促進させ雑草の発生を十分に防止し、使用後
は微生物及び光による分解性を有し、その結果、地中で
も地上でも分解が進み、土に還すことが出来る無公害な
環境適応型マルチングフィルムが求められていた。
【0012】 本発明は、上記した従来の課題に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、従来技
術の問題を解決することにあり、より特定すれば、地上
部、地中部ともに分解性を有し、尚且つ地上部と地中部
の分解速度が調節可能で、地際部の早期分解が防止出
来、更に低コスト化を図ったマルチングフィルム用組成
物の提供、及びこのマルチングフィルム用組成物から成
形されるマルチングフィルムの提供にある。それによ
り、マルチングフィルムの本来の役目である作物の生育
促進と雑草発生の防止を確実に行いながら、農業生産性
の向上と省力化、及びプラスチック廃棄物による環境破
壊防止を実現することにある。
【0013】 本発明者らは、上記の課題を解決するた
めに、マルチングフィルム用組成物の原料等につき種々
検討し、先に生分解性ポリマーに、炭酸カルシウムを添
加することで微生物分解性と光分解性を兼ね備えたマル
チングフィルム用組成物、及びこのマルチングフィルム
用組成物を成形して得られるマルチングフィルムを提案
した。本発明者らは、更に研究を進めた結果、上記成分
に、更にポリオレフィンを添加することで、上記発明の
特徴に加え、マルチングフィルムの耐水性を増すことに
より地際部の早期裂けをより一層防止出来、フィルムの
寿命を調節出来る、等の特徴をもつマルチングフィルム
用組成物、及びこのマルチングフィルム用組成物を成形
して得られるマルチングフィルムが提供され、それによ
り上記目的が達成出来ることを見出した。
【0014】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、生分解性ポリマー及びポリオレフィンからなる混合
物100重量部に対し、炭酸カルシウムを10〜400
重量部を配合したマルチングフィルム用組成物が提供さ
れる。混合物の生分解性ポリマーとポリオレフィンの混
合比は、重量比で20:80乃至99:1であることが
好ましい。又、炭酸カルシウムは、平均粒径0.5〜1
0μmの重質炭酸カルシウムであることが好ましい。
又、本発明によれば、このマルチングフィルム用組成物
を成形して得られる厚さ5〜50μmのマルチングフィ
ルムが提供される。
【0015】 この農業用のマルチングフィルムは、地
中部、地上部ともに分解性を有しており、ともに土中へ
の鋤込みが可能である。地上部の分解性は光に因るもの
で、主に炭酸カルシウムを配合することにより実現さ
れ、地中部の分解性は微生物に因り、地上部と地中部の
分解性の要因が異なることで地中部の分解速度だけが極
端に速くならず、地際部の早期分解を防止することが出
来る。又、ポリオレフィンを添加することによって、マ
ルチングフィルムの耐水性を増大させ、微生物分解性を
抑制することが出来るので、マルチングフィルムの地際
部での早期分解を更に防止することが出来、又、フィル
ムの寿命を調節することが出来る。又、マルチングフィ
ルムの寿命を農作物に合わせ調節することが出来る。更
に、炭酸カルシウムを配合することにより、夜間の保温
性を持ち、且つ昼間の過度の温度上昇を抑制することが
可能となる。尚、生分解性ポリマーは高価であるが、安
価な炭酸カルシウム、及びポリオレフィンの添加でコス
トダウンが実現出来る。
【0016】
【発明の実施の形態】 以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のマルチングフィルム用組成物の構成成分の
一つは、生分解性ポリマーである。生分解性ポリマーと
は微生物によって分解する性質を有するポリマーであ
る。主な生分解性ポリマー類を以下に掲げる。
【0017】 第1の群として、2塩基酸を含む多価カ
ルボン酸とジオールを含む多価アルコールの重縮合体、
ヒドロキシ酸の重縮合体、ラクトンの開環重合体等から
なる脂肪族ポリエステル及びその誘導体が挙げられる。
具体的には、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレン
サクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレン
アジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポ
リプロピオラクトン、ポリカプロラクトン、ポリヒドロ
キシエチレート、ポリヒドロキシブチレートが挙げら
れ、更に、L−乳酸重合体、D−乳酸重合体あるいはラ
セミ体乳酸の重合体、及びこれらの誘導体も挙げられ
る。尚、これらの各種脂肪族ポリエステル類は、通常知
られた方法により製造出来る。
【0018】 第2の群は、脂肪族ポリエステルのオリ
ゴマーとカーボネート化合物を反応させて得られる脂肪
族ポリエステルカーボネート類である。具体的には上記
に例示した各種脂肪族ポリエステルのオリゴマーとジフ
ェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネー
ト化合物とを反応させて得られる重合体が挙げられる。
これらの生分解性ポリマー類は、単独で使用出来るのは
もちろん、2種以上を混合して用いることも出来る。入
手し易い脂肪族ポリエステル系のポリマー製品として、
例えば、昭和高分子株式会社製「ビオノーレ」(ポリブ
チレンサクシネート)やダイセル化学工業株式会社製
「セルグリーン」(ポリカプロラクトン)等が挙げられ
る。
【0019】 本発明のマルチングフィルム用組成物の
別の構成成分は、ポリオレフィンである。ポリオレフィ
ンが含有されることによる効用は、主に微生物分解性の
抑制であり、この微生物分解性の抑制がマルチングフィ
ルムの地中部の分解を遅くし、マルチングフィルムの長
寿命化に寄与する。そして、配合するポリオレフィンの
量により、地中部の微生物による分解速度を調節出来、
地上部の光による分解速度とのバランスを取ることが可
能で、地際部の早期の裂けが防止される。更に、ポリオ
レフィンは生分解性ポリマーに比べて低コストであるこ
とから、本発明のマルチングフィルム用組成物及びマル
チングフィルムとしてのコスト低減に寄与する。
【0020】 本発明のマルチングフィルム組成物に用
いられるポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
エチレンとプロピレン等のα−オレフィンとの共重合
体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチ
ルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−アクリル酸アルキル共重合体、エチレン−メタク
リル酸アルキル共重合体等が挙げられる。中でも低密度
ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと
プロピレン及び/又はα−オレフィンとを共重合して得
られるエラストマーないしプラストマーが好ましい。
【0021】 これらのポリオレフィン類は、単独で使
用出来るのはもちろん、2種以上を混合して用いること
も出来る。ポリオレフィン類は、コストや、各々のポリ
オレフィンの特徴を踏まえて選定すればよい。例えば、
低密度ポリエチレンを使用すれば、成形後により柔らか
めで、より伸びの大きなフィルムとなり、高密度ポリエ
チレンを使用すれば、成形後により硬めで、より強度の
大きなフィルムとなるが、本発明のマルチングフィルム
用組成物及びマルチングフィルムの特徴である、微生物
分解性と光分解性を兼ね備え、地中でも地上でも分解が
進み、地中部の微生物分解速度を抑制し得ることには変
わりがない。
【0022】 ポリオレフィンを含有させることによる
効用は、主に本発明のマルチングフィルムのように屋外
で使用される薄肉の成形品に対する耐水性の付与と微生
物分解性の抑制である。即ち、フィルムの耐水性を増大
させることにより地際部の裂けをより一層防止出来、
又、微生物分解性を抑制する作用を利用しマルチングフ
ィルムの寿命を調節することが出来る。
【0023】 生分解性ポリマーとポリオレフィンの混
合比率は、重量比で20:80乃至99:1で、より好
ましくは30:70〜95:5の範囲である。農作物の
種類によって異なる、マルチングフィルムの必要寿命を
考慮しつつ、混合比率を重量比で20:80乃至99:
1の範囲で任意に設定することが出来る。混合比率がこ
の範囲であれば、マルチングフィルムの使用前の伸び、
強度を向上させ、地際部の早期の裂けを防止しながら、
地中部の微生物分解速度を調節することが可能である。
尚、生分解性ポリマーが20重量%未満では、使用後の
鋤込み性、生分解性が低下し好ましくない。又、生分解
性ポリマーが99重量%より多いと、地際部に早期の裂
けが生じ易く好ましくない。
【0024】 本発明のマルチングフィルム用組成物の
別の構成成分は、炭酸カルシウムである。炭酸カルシウ
ムには、重質炭酸カルシウムと軽質炭酸カルシウムがあ
り、重質炭酸カルシウムは、一般に純度の高いカルサイ
ト型の結晶質の石灰石を機械的に粉砕して、更に分級し
たものの総称をいい、又、軽質炭酸カルシウムは化学反
応により湿式で製造されるものをいう。しかるに、本発
明者らの知見によれば、軽質炭酸カルシウムは平均粒径
が0.3μm以下と小さすぎるため生分解性ポリマー、
及びポリオレフィンへの分散が難しい。即ち、ポリマー
に配合し混練した場合、2次凝集を起こし、例えば10
0μm以上の凝集物が多数発生するため成形品中の組成
にムラが出来、強度等の性能面も悪くなる。この影響
は、フィルムのような薄肉製品の場合、特に顕著であ
る。従って、本発明ではフィルム中の組成を均一に出来
る点で重質炭酸カルシウムが好ましく、しかもその粒径
は後述する特定範囲のものが好ましい。又、これらの炭
酸カルシウムは、樹脂中への分散性を良くするため表面
を脂肪酸で処理したものを用いることが好ましい。
【0025】 炭酸カルシウムが含有されることによる
効用は、主に本発明のマルチングフィルムのように屋外
で使用される薄肉の成形品に対する光分解性の付与であ
る。この光分解性がマルチングフィルムの地上部の分解
を促進し、地中部の微生物による分解速度とのバランス
を取り、地上部と地中部の強度バランスが保たれて地際
部の早期の裂けの防止に更に寄与する。又、炭酸カルシ
ウムを配合することで、マルチングフィルムを敷設した
場合、夜間の保温性が高まる一方、昼間の過度の温度上
昇を抑制することが出来る。更には、炭酸カルシウムは
生分解性ポリマーに比べて低コストであることから、本
発明のマルチングフィルム用組成物及びマルチングフィ
ルムとしてのコストが下がる。尚、炭酸カルシウムを含
んでいても、生分解性は変わることがない。
【0026】 本発明の炭酸カルシウムは、平均粒径
0.5〜10μmで、出来るだけ粒径20μm以上の粗
大粒子を含まないものを用いることが好ましい。平均粒
径0.5μm未満では炭酸カルシウムが他の原料中で分
散し難く、互いに凝集して粗大粒ができ易い。一方、平
均粒径が10μmより大きいときには、組成物から成形
して得られたフィルムの強度が低下し、フィッシュアイ
が生成する可能性が高くなる。フィルム物性を向上させ
る場合には粒径の上限値を規定し、20μm以上を除去
した炭酸カルシウムを使うことが好ましい。
【0027】 この炭酸カルシウムを、生分解性ポリマ
ーとポリオレフィンの混合物100重量部に対して、1
0〜400重量部、好ましくは20〜300重量部配合
することによって、マルチングフィルムの光分解性、機
械的強度等を向上させることが出来る。配合量が10重
量部未満では光分解性が低下し細片化と破砕性が悪化す
るので好ましくない。又、400重量部を超えると、成
形時に破れ易い等の問題が生じやすく、薄肉化したとき
に、使用前、使用中の充分な強度を有するフィルムとな
らず好ましくない。
【0028】 マルチングフィルムの微生物分解速度を
調節するには、マルチングフィルム用組成物中の生分解
性ポリマーの種類や配合量を変えることにより実施出来
る。例えば生分解性ポリマーとして結晶性の低い脂肪族
ポリエステルを用いたり、組成物中の生分解性ポリマー
の比率を高くすることによって生分解性の速度を大きく
することが出来る。
【0029】 又、マルチングフィルムの光分解速度
は、ポリオレフィンの種類や配合量、炭酸カルシウムの
配合量を変えることによって調節出来る。例えばポリオ
レフィンの種類として分岐が多く密度の低いポリオレフ
ィンを用い、組成物中の炭酸カルシウムやポリオレフィ
ンの比率を高くすることによって光分解の速度を大きく
することが出来る。
【0030】 本発明のマルチングフィルム用組成物に
は、生分解性ポリマー、ポリオレフィン、炭酸カルシウ
ムの他に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤等
を配合することが出来る。マルチングフィルムの光分解
速度の調節は、上記のようなポリオレフィンの種類や配
合量、炭酸カルシウムの配合量を変えることの他に、酸
化防止剤と、紫外線吸収剤の添加量を選択することによ
っても、更に又、光増感剤を用いる等の方法を適宜組み
合わせることによっても、可能である。このようにし
て、マルチングフィルムの光分解所要時間を調節するこ
とにより、地中部の生分解速度との調節が可能となり、
地上部と地中部の分解速度のバランスを取ることが出
来、地際部の裂け防止が実現される。
【0031】 このように光分解速度、及び微生物分解
速度の調節が可能であるから、地上部と地中部の分解速
度のバランスを取り易く地際部の早期の裂けが防止可能
であるとともに、マルチングフィルムの寿命の調節や、
目的とする農作物の生育期間に、地上部、地中部、両方
の分解所要時間を合わせることが可能である。
【0032】 本発明のマルチングフィルムは、例え
ば、以下の方法で製造される。先ず、各成分から成る配
合組成物を、押出機により均一に溶融、混練し、ペレッ
トを作製する。そして、このペレットをフィルム状に成
形し、マルチングフィルムを得る。ペレットを作製する
工程では、各成分をコーンブレンダー、リボンブレンダ
ー等のブレンダー、或いはヘンシェルミキサー等の混合
機を用いて混合した後、単軸スクリュー押出機、二軸ス
クリュー押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロー
ル等の混練機を用いて混練し、ペレットにする。次い
で、このペレットを用い、インフレーション法、Tダイ
法等の成形方法によりフィルム状に成形する。
【0033】 このようにして、厚さ5〜50μmのマ
ルチングフィルムを製造する。マルチングフィルムの厚
さが5μm未満では、フィルムの展張作業等の際、フィ
ルムが破損しやすく、又、厚さが50μmを超えると、
マルチングフィルムとしての使用効果上、不必要な厚さ
であるばかりでなく、光分解性、及び微生物分解性によ
る破砕性が低下する結果、一般に鋤込み性が悪化し、
又、早期の分解を要求される用途には適合し得なくな
る。
【0034】 本発明のマルチングフィルムは、原料ポ
リマー成分として生分解性ポリマー、及びポリオレフィ
ンを含有しているため、一般に使用前、使用時、即ち展
張する際のフィルム強度と伸びのバランスに優れてい
る。又、本発明のマルチングフィルムは、原料組成物と
して炭酸カルシウムの含有量が比較的多いため、5〜5
0μmのフィルムに成形した場合に優れた保温性を示
し、且つ作物の昼間における過度の高温化、及び夜間の
低温化を防ぎ、農作物の生育を促進させ、高収量をもた
らすことが出来る。
【0035】 本発明のマルチングフィルムは、使用後
に光及び微生物によって分解する分解性を有しているた
め、ロータリー等でそのまま農耕土にすき込むことがで
き、省力化が計れて経済的である。今後の就農者の高齢
化や就農人口の低減傾向を考えた時には、非常に効果的
なマルチングフィルムである。本発明のマルチングフィ
ルム用組成物を成形して得られるフィルム、シートはマ
ルチングフィルム用途以外の、屋外用の農業用資材とし
ても優れている。
【0036】
【実施例】 以下、本発明を実施例により説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本
発明のマルチングフィルム用組成物を成形して得たマル
チングフィルムに関し、フィルムを、各々長さ20mに
切断したものを圃場にて展張し評価した。得られたフィ
ルムの展張前、及び展張後の引張試験、展張後の地際部
の裂け観察、鋤込み性、分解性、及び保温性を評価し
た。原料組成物の製造、フィルムの成形、評価方法を以
下に示す。
【0037】(1)原料組成物(コンパウンドペレッ
ト)の製造 各成分を、ヘンシェルミキサーを用いて混合した後、二
軸押出機(東芝機械社製TEM−35B)を用い設定温
度200℃、スクリュー回転数200rpm、フィード
量12kg/hで混練し、コンパウンドペレットを製造
した。
【0038】(2)フィルム成形 得られたコンパウンドペレットを、シリンダー径50m
mのインフレーション成形機(プラコー社製)と直径8
0mmのダイス(プラコー社製)を用い、リップ間隔1
mm、押出量30kg/h、引取速度20m/min、
折径500mm、厚さ20μmのチューブ状フィルムに
成形した。
【0039】(3)引張試験 引張試験は、JISZ1702に準拠し、ダンベル型の
試験片を用いて、引張試験機(オリエンテックコーポレ
ーション製UCT−5T)により引張速度500mm/
minで、MD(縦)方向、及びTD(横)方向の、破
断点応力、破断点伸度を測定した。
【0040】(4)地際部の裂け 地際部の裂けは、展張後所定の日数経過した後、目視観
察により地際部の裂けを、次のように6段階で判定し
た。 0:なし、1:殆どなし、2:少ない、3:多い、4:
非常に多い、5:全部
【0041】(5)鋤込み性 鋤込み性は、展張後所定の日数経過した後、トラクター
にロータリーを装着し鋤込みを行ない、ロータリーへの
フィルムの絡みつきの有無により判定した。
【0042】(6)分解性 分解性は、鋤込んだ後に180日経過した時点で、土壌
50kgを網目寸法10mmの篩にかけ、篩残にフィル
ムが残るか否かで判定した。
【0043】(7)保温性 保温性は、マルチングフィルムを展張した後、夜間、及
び昼間で深さ10cmの地温を測定した。
【0044】(実施例1)ポリブチレンサクシネート
(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=1.5
g/10分)を80重量部、分岐状低密度ポリエチレン
(住友化学製スミカセン#G201F、MFR=2g/
10分、密度=0.919g/cm3)を20重量部に
対して、重質炭酸カルシウム(三共精粉製エスカロン#
800、平均粒径1.8μm)100重量部を配合した
コンパウンドペレットを用い、上記の方法にて、厚さ2
0μmのマルチングフィルムを成形した。
【0045】このマルチングフィルムの特性は、引張強
度(MD)380kg/cm2、引張強度(TD)36
0kg/cm2、引張伸度(MD)310%、引張伸度
(TD)350%であった。こうして得られたマルチン
グフィルムを展張し、90日経過した後の特性は、地上
部において、引張伸度(MD)6%、引張伸度(TD)
5%で、地中部では、引張伸度(MD)12%、引張伸
度(TD)8%であった。又、90日経過した後の地際
部の裂けは、目視観察により、0:なし、と判定され
た。90日経過した後の鋤込み性は、トラクターに装着
したロータリーへのフィルムの絡みつきが無く、良好で
あった。鋤込んだ後に180日経過した時の分解性も、
篩残にフィルムが存在せず良好であった。マルチング特
性については、下記の通りであった。 夜間保温性 2.3℃ (外気温度 −0.5℃) 昼間保温性 22.1℃ (外気温度 16.5℃) 尚、これらの結果を表1に示す。
【0046】(実施例2)ポリブチレンサクシネート
(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=1.5
g/10分)を50重量部、分岐状低密度ポリエチレン
(住友化学製スミカセン#G201F、MFR=2g/
10分、密度=0.919g/cm3)を50重量部に
対して、重質炭酸カルシウム(三共精粉製エスカロン#
800、平均粒径1.8μm)100重量部を配合した
コンパウンドペレットを用い、展張後の経過日数を15
0日とした以外は、実施例1と同様の方法でマルチング
フィルムを成形し、同様な評価を行った。結果を表1に
示す。
【0047】(実施例3)生分解性ポリマーとして、ポ
リブチレンサクシネートの代わりにポリカプロラクトン
(ダイセル化学工業製セルグリーンPHB02、MFR
=2.7g/10分)を用いた。その他は、実施例1と
同様にしてマルチングフィルムを成形し、同様の評価を
行った。結果を表1に示す。
【0048】(実施例4)ポリブチレンサクシネート
(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=1.5
g/10分)を95重量部、分岐状低密度ポリエチレン
(住友化学製スミカセン#G201F、MFR=2g/
10分、密度=0.919g/cm3)を5重量部に対
して、重質炭酸カルシウム(三共精粉製エスカロン#8
00、平均粒径1.8μm)100重量部を配合したコ
ンパウンドペレットを用い、展張後の経過日数を75日
とした以外は、実施例1と同様の方法でマルチングフィ
ルムを成形し、同様な評価を行った。結果を表1に示
す。
【0049】(実施例5)ポリブチレンサクシネート
(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=1.5
g/10分)を80重量部、分岐状低密度ポリエチレン
(住友化学製スミカセン#G201F、MFR=2g/
10分、密度=0.919g/cm3)を20重量部に
対して、重質炭酸カルシウム(三共精粉製エスカロン#
800、平均粒径1.8μm)50重量部を配合したコ
ンパウンドペレットを用い、展張後の経過日数を120
日とした以外は、実施例1と同様の方法でマルチングフ
ィルムを成形し、同様な評価を行った。結果を表1に示
す。
【0050】(比較例1)分岐状低密度ポリエチレン、
及び重質炭酸カルシウムを配合せず、ポリブチレンサク
シネート(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR
=1.5g/10分)のみの組成物を用い、展張後の経
過日数を60日とした以外は、実施例1と同様にしてマ
ルチングフィルムを成形し、評価した。結果を表1に示
す。
【0051】(比較例2)ポリブチレンサクシネート
(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=1.5
g/10分)を100重量部に対して、重質炭酸カルシ
ウム(三共精粉製エスカロン#800、平均粒径1.8
μm)100重量部を配合した組成物を用いた以外は、
比較例1と同様にしてマルチングフィルムを成形し、評
価した。結果を表1に示す。
【0052】(比較例3)ポリブチレンサクシネート
(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=1.5
g/10分)を10重量部、分岐状低密度ポリエチレン
(住友化学製スミカセン#G201F、MFR=2g/
10分、密度=0.919g/cm3)を90重量部に
対して、重質炭酸カルシウム(三共精粉製エスカロン#
800、平均粒径1.8μm)100重量部を配合した
組成物を用いた以外は、比較例1と同様にしてマルチン
グフィルムを成形し、評価した。結果を表1に示す。
【0053】(比較例4)市販品の澱粉配合生分解性マ
ルチングフィルムを用いて、展張後の経過日数60日後
の、地際部の裂け、鋤込み性、分解性、保温性を評価し
た。結果を表1に示す。
【0054】(比較例5)マルチングフィルムを用いな
いで、保温性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】(考察)表1の評価結果より、次のことが
確認できた。本発明のマルチングフィルムは、展張前に
充分な引張強度、及び引張伸度があり、展張作業におい
て破れる等の支障をきたすことはない。本発明のマルチ
ングフィルムは、原料組成物中に炭酸カルシウムを含有
していない場合と比較して、明らかに展張後に90〜1
50日経過した地上部の引張伸度が低下しており、地上
部が太陽光で劣化し、分解していることが認められ、炭
酸カルシウムにより光分解性が付与されることが分か
る。本発明のマルチングフィルムは、原料組成物中に生
分解性ポリマーの含有率が低い場合と比較して、展張後
に90〜150日経過した地中部の引張伸度の低下が進
んでいて、微生物に因る分解性が認められる。
【0057】 本発明のマルチングフィルムは、上記の
ように、地上部、地中部ともに分解が進んでいて引張伸
度に大きな差がみられない。このため展張後90〜15
0日経過した時の地際部の裂けが全くみられない。又、
展張後90〜150日経過した時の鋤込み性も良好でト
ラクターに装着したロータリーに絡みつくことがない。
【0058】 原料組成物中に炭酸カルシウム、及び低
密度ポリエチレンを含有していない場合(比較例1)
は、太陽光による地上部の分解が進まず地中部の分解だ
けが進み、地上部と地中部の引張伸度に大きな差がみら
れ、展張後60日経過した時の地際部の裂けは非常に多
く、展張後60日経過した時の鋤込み性も地上部は芳し
くない。
【0059】 原料組成物中に低密度ポリエチレンのみ
含有していない場合(比較例2)は、地上部、地中部と
もに分解が進んでいて、鋤込み性は良好であるが、地中
部の分解が進みすぎていて、展張後60日経過した時の
地際部に裂けが少ないながらもみられ、マルチングフィ
ルムの役目である保温や雑草発生の防止を完全には果た
せない。一方、原料組成物中に低密度ポリエチレンを含
有した本発明のマルチングフィルムは、地際部の裂けが
全くみられず、マルチングフィルムの役目を完全に果た
している。このことは、本発明のマルチングフィルムが
ポリオレフィンを添加することによって地際部の耐水性
が増し、又、地中部の生分解性ポリマーの分解を抑制す
ることによって、地上部と地中部の分解速度のバランス
が取れたことに起因すると考えられる。
【0060】 原料組成物中の生分解性ポリマーと低密
度ポリエチレンとの混合比率を、生分解性ポリマー10
重量%とした場合(比較例3)は、地中部の微生物分解
が進まずに地上部と地中部の引張伸度に差がみられ、展
張後60日経過した時には地際部の裂けが生じ、展張後
60日経過した時の鋤込み性も地中部は芳しくなく、生
分解性ポリマーの不足が認められる。
【0061】 原料組成物中の生分解性ポリマーと低密
度ポリエチレンとの混合比率を、生分解性ポリマー50
重量%のときと、生分解性ポリマー80重量%のときを
比較すると、生分解性ポリマー50重量%のときの方が
展張後の経過日数が長いのにも係わらず地中部の引張伸
度は大きい。即ち、分解が進んでいない。このことから
原料組成物中の生分解性ポリマーと低密度ポリエチレン
との混合比率を変えることによって地中部の微生物分解
速度を調節出来ることが分かる。
【0062】 市販の澱粉配合生分解性マルチングフィ
ルム(比較例4)では展張後60日経過した時の地際部
は、全て裂けていて、地上部の鋤込み性は不良である。
地上部の太陽光による分解が進み難いのに比較して、地
中部は微生物による分解が進みすぎているためと考えら
れる。
【0063】 鋤込み後180日経過した時の分解性
は、本発明のマルチングフィルム、原料組成物中に炭酸
カルシウムを含有していないマルチングフィルム、市販
の澱粉配合生分解性マルチングフィルムは良好で差はみ
られない。即ち、原料組成物中に炭酸カルシウムを配合
しても生分解速度を低下させない。原料組成物中に、微
生物分解に係わる生分解性ポリマーの含有比率が低い場
合は、鋤込み後180日経過しても分解性は良くない。
【0064】 本発明のマルチングフィルムは、保温性
において効果を発揮している。原料組成物中に炭酸カル
シウムを含有していない場合や、市販の澱粉配合生分解
性マルチングフィルムに比べて、夜間の外気温度との差
は1℃程度高くすることが出来、昼間の外気温度との差
は2〜4℃程度低くすることが出来る。マルチング無し
の時と比べると、夜間の外気温度との差は2℃程度高く
することが出来、昼間の外気温度との差は4〜6℃程度
高くなった。夜間の温度をより高く保てることから、作
物生育には本発明のマルチングフィルムがより好まし
い。
【0065】 本発明のマルチングフィルム用組成物に
おいては、生分解性ポリマーは、ポリブチレンサクシネ
ート(昭和高分子製ビオノーレ#1001、MFR=
1.5g/10分)でも、ポリカプロラクトン(ダイセ
ル化学工業製セルグリーンPHB02、MFR=2.7
g/10分)でも、同様の効果を得ることが出来る。
【0066】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれ
ば、微生物分解性と光分解性を兼ね備え、その結果、地
上部、地中部ともに分解が進むので使用後は土中に還す
ことが出来、尚且つ、地上部と地中部の分解速度を調節
することによって地際部の早期劣化を防止し、更に、よ
り安価な炭酸カルシウム、及びポリオレフィンを配合す
ることで低コスト化も図られたマルチングフィルム用組
成物が提供される。これを成形して得るマルチングフィ
ルムは、本来の役目である作物を適温に保つことで生育
を促進し、同時に雑草の発生を防止することによって農
業の生産性向上と省力化を達成し、更にはプラスチック
廃棄物による環境破壊防止に寄与する等の効果を奏す
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/00 C08L 23/00 (72)発明者 西島 良司 千葉県佐倉市春路2−15−6 (72)発明者 磯部 正三 千葉県君津市中野2−7−6 (72)発明者 清水 徹 埼玉県浦和市別所3−18−11 Fターム(参考) 2B024 DB01 4F071 AA14 AA16 AA18 AA44 AB21 AE17 AF52 AH01 BC01 4J002 BB03X BB05X BB06X BB07X BB12X BB16X CF03W CF19W DE236 GA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性ポリマー及びポリオレフィンか
    らなる混合物100重量部に対し、炭酸カルシウム10
    〜400重量部を配合したことを特徴とするマルチング
    フィルム用組成物。
  2. 【請求項2】 前記混合物の生分解性ポリマーとポリオ
    レフィンの混合比が、重量比で20:80乃至99:1
    である請求項1に記載のマルチングフィルム用組成物。
  3. 【請求項3】 前記炭酸カルシウムが、平均粒径0.5
    〜10μmの重質炭酸カルシウムである請求項1に記載
    のマルチングフィルム用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れか1項に記載のマル
    チングフィルム用組成物を成形して得られる厚さ5〜5
    0μmのマルチングフィルム。
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