JP2004147613A - 生分解性農業用マルチ - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性を有し、柔軟性や耐衝撃性に優れ、可塑剤のブリードアウトを抑制し、製膜性に優れ、かつ長期間の使用に耐えるとともに生分解期間を短縮可能かつその期間をコントロール可能な農業用マルチを提供する。
【解決手段】ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とするフィルムからなる。前記ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合は、80/20〜30/70(質量%)である。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とするフィルムからなる。前記ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合は、80/20〜30/70(質量%)である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性農業用マルチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農業用分野において、土壌の保温や雑草の繁殖抑制により作物の収穫量を向上させることを目的としてマルチが用いられている。マルチには、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンが主として使用されている。ポリオレフィンは、一般的に安価で耐候性にも優れているが、生分解性がないため、使用後は回収する必要がある。
【0003】
しかし、使用後の汚れたマルチは再使用が難しく、廃棄するしか方法がない。廃棄にあたっては、廃棄物としてのコストがかかるうえに、たとえば焼却により廃棄する場合は焼却炉の損傷の問題が発生するという問題点がある。
【0004】
この問題の解決のために、農業用マルチとして使用する期間は従来のポリオレフィン製のマルチと同様に使用でき、しかも使用後は土壌中の微生物によって完全分解する、生分解樹脂からなる農業用マルチが検討されている。
【0005】
かかる生分解性樹脂としては、特定の構造を有する脂肪族ポリエステルが挙げられる。代表的なものとして、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸が挙げられる。また脂肪族ポリエステル以外としては、ポリビニルアルコール樹脂とデンプンとのブレンド物が挙げられる。
【0006】
これらの生分解性樹脂からなるフィルムのうち、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール樹脂とデンプンとのブレンド物は、マルチとして要求される初期機械的物性や柔軟性は有しているものの、マルチを展張後1〜2ヶ月という比較的短期間で生分解が進行し、マルチと土の接触部(いわゆる地際)から破れが生じ、作物の栽培に必要な期間にわたって使用することができないという問題点が指摘されている。
【0007】
農業用マルチの使用期間としては、主に露地野菜用途のもののようにその機能を保持することが要求される期間が長くとも4ヶ月程度でよいものと、露地またはハウス内で栽培される野菜や植物に用いられるもののように6ヶ月以上、場合によっては1年近くその機能を保持することが要求されるものとに大別される。このため、上記のような従来のポリ乳酸以外の生分解性樹脂にて形成されたマルチは、一部の作物にしか有効に使用することができないことになる。
【0008】
さらに、これらの生分解性樹脂にて形成されたマルチは、保管中においても、湿気により分解が進行することやカビが発生しやすいことが指摘されており、したがって冷暗所に保管する必要があるなどの制約がある。
【0009】
一方、ポリ乳酸からなるフィルムは土中での分解期間が比較的長く、また抗カビ性には優れているものの、柔軟性や耐衝撃性に劣るため、従来は農業用マルチとして好適に用いることはできていない。
【0010】
ポリ乳酸をベースとするフィルムのかかる不具合の改善方法として、特許文献1には、ポリ乳酸あるいは乳酸と他のヒドロキシカルボン酸に可塑剤を配合し、これにより樹脂組成物の可塑化を促してフィルムを作成する方法が提案されている。しかし、樹脂組成物に実用に即した柔軟性を付与するには、ポリ乳酸に対し相当量の可塑剤を配合しなければならず、さらに、元来、ポリ乳酸との相溶性が良好な可塑剤は非常に少ないため、前記のように相当量の可塑剤を配合してフィルム化するとほとんどの可塑剤はブリードアウトしてしまい、フィルムの製膜時にブロッキングが発生するという問題がある。
【0011】
また、特許文献2には、ポリ乳酸系フィルムに延伸処理を施すことなく柔軟性を向上させるものとして、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルからなる組成物に多官能イソシアネート化合物を反応させた樹脂組成物が提案されている。しかし、ポリ乳酸は剛性の高いポリマーであるため、ポリ乳酸成分の比率が高い場合にはその柔軟化には限界がある。
【0012】
さらに、特許文献3には、ポリ乳酸と、融点が80〜250℃の生分解性を有する脂肪族ポリエステルと、可塑剤とからなる樹脂組成物にて形成されたフィルムやシートが開示されている。また、特許文献4には、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステルと、可塑剤とからインフレーションフィルムを製膜する方法が開示されている。これらの方法では、ポリ乳酸にポリ乳酸よりも柔軟な脂肪族ポリエステルを配合し、さらに可塑剤を配合することでポリ乳酸系フィルムに柔軟性や耐衝撃性を付与している。しかし、ポリ乳酸の可塑化を目的として配合された可塑剤は、結晶性の高い脂肪族ポリエステルにも分配されるため、フィルムの形成過程において脂肪族ポリエステルに分配された可塑剤がブリードアウトしてしまうという問題が発生する。
【0013】
このようなフィルムを農業用マルチとした場合は、使用中に可塑剤がブリードアウトすると、フィルムが硬くなり、引裂けやすくなってしまう。
【0014】
【特許文献1】
特許第3105020号公報
【0015】
【特許文献2】
特開平10−17756号公報
【0016】
【特許文献3】
特開平11−116788号公報
【0017】
【特許文献4】
特開2000−273207号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、生分解性を有し、柔軟性や耐衝撃性に優れ、可塑剤のブリードアウトを抑制し、製膜性に優れ、かつ農作物の栽培期間中の使用に耐えるとともに生分解期間を短縮可能かつその期間をコントロール可能な農業用マルチを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明の生分解性農業用マルチは、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とするフィルムからなり、前記ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合が80/20〜30/70(質量%)であることを特徴とする。
【0020】
また本発明の生分解性農業用マルチは、フィルムの構成成分の全体に対するデンプンの配合割合が2〜30質量%であることを特徴とする。
また本発明の生分解性農業用マルチは、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合わせて100質量部に対して、オキシ酸エステル系可塑剤が1〜30質量部、無機質充填材が0.5〜40質量部の範囲で配合されていることを特徴とする。
【0021】
また本発明の生分解性農業用マルチは、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの結晶融解熱量が25J/g以下であることを特徴とする。
また本発明の生分解性農業用マルチは、可塑剤がアセチルクエン酸トリブチルであることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の生分解性農業用マルチは、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とする樹脂組成物にて形成されたフィルムからなる。
【0023】
ポリ乳酸を使用することで、フィルムに生分解性を付与できる。
また、ポリ乳酸に、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとオキシ酸エステル系可塑剤とを配合することで、室温で硬くて脆いという性質を有するポリ乳酸に柔軟性と耐衝撃性とを付与できる。また、一般にポリ乳酸に可塑剤を配合するだけでは、可塑剤がブリードアウトしやすくなるが、本発明では、結晶性の低い生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを配合することでオキシ酸エステル系可塑剤のブリードアウトが抑制されるため、良好な製膜性が得られる。また、可塑剤と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルにより樹脂組成物の結晶性が低下し軟化するが、本発明では無機質充填材が配合されているため、この無機質充填材が結晶核剤となり良好な製膜性が得られ、また、製膜時のフィルムのブロッキングの抑制と滑り性の付与が実現できる。
【0024】
本発明におけるポリ乳酸としては、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、またはこれらの混合体が挙げられ、数平均分子量が8万〜15万であるものが好ましい。
【0025】
また、オキシ酸エステル系可塑剤のブリードアウトの抑制と、ポリ乳酸の結晶化による製膜安定性の確保とを考慮すると、ポリ乳酸として結晶性ポリ乳酸と非晶性ポリ乳酸とを併用することが好ましい。ここでいう結晶性ポリ乳酸とは、140〜175℃の範囲の融点を有するポリ乳酸樹脂を指し、非晶性ポリ乳酸とは、実質的に融点を保有しないポリ乳酸樹脂を指す。結晶性ポリ乳酸と非晶性ポリ乳酸との配合割合は、(結晶性ポリ乳酸)/(非晶性ポリ乳酸)=40/60〜90/10(質量%)の範囲にあることが好ましい。結晶性ポリ乳酸の配合割合が40質量%未満であると、ポリ乳酸の結晶化に劣るため安定した製膜が行えない。一方、結晶性ポリ乳酸の配合割合が90質量%を超えると、オキシ酸エステル系可塑剤を保持できなくなり、製膜時あるいは製膜後に可塑剤のブリードアウトが生じてしまう。
【0026】
本発明における生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、ポリエステルの構成成分に芳香族ジカルボン酸を使用したものであり、そのガラス転移温度は、フィルムの柔軟性を考慮すると0℃以下である必要がある。ガラス転移温度が0℃よりも高いと、フィルムに十分な柔軟性を付与できなくなる。
【0027】
従来の生分解性脂肪族ポリエステルでは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分は脂肪族のジカルボン酸であるため、得られる樹脂の融点は一般的な加工方法における臨界加工温度と考えられる100℃程度まで下降する。また、柔軟性の付与を目的として例えばアジピン酸などの成分を多量に共重合すると、さらに融点降下が生じて樹脂の加工性が悪化するため、柔軟性の付与を目的とした成分をあまり共重合できない。そのため、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の融点は降下するが結晶性はさほど低下せずに結晶性の高い樹脂となり、可塑剤を添加した場合にその可塑剤を十分保持できずにブリードアウトが生じる。しかし、本発明において使用される生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、上述のようにポリエステルの構成成分に芳香族ジカルボン酸も使用しているため、融点降下を誘発する脂肪族ジカルボン酸を脂肪族ポリエステルの場合よりも多量に共重合しても樹脂の融点は100℃程度を保ち、樹脂の加工性に悪影響を及ぼすことがなく、しかも、結晶性を著しく低下させ、かつ非常に柔軟性にたけた樹脂設計が可能となる。このように、本発明における生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、従来から使用されている脂肪族ポリエステルよりも柔軟性に優れ、可塑剤の保持も格段に向上し、耐ブリードアウト性を改善できるものである。
【0028】
本発明における生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしては、脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られるものが使用できる。なかでも該共重合ポリエステルの結晶性は低い方が好ましく、また結晶融解熱量が25J/g以下であるものが好ましい。生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの結晶融解熱量が25J/gを超えると、樹脂の結晶性向上による非晶領域の低下にともない可塑剤を保持できなくなり、可塑剤のブリードアウトが著しくなる。
【0029】
このような生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを構成する脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどがあり、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸などが挙げられる。そして、これらからそれぞれ1種類以上選んで重縮合することにより目的とする生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが得られ、必要に応じて多官能のイソシアネート化合物により架橋することもできる。
【0030】
ポリ乳酸とガラス転移温度0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合は、(ポリ乳酸)/(生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル)=80/20〜30/70(質量%)の範囲である。ポリ乳酸含有成分が80質量%を超えると、得られるフィルムは、柔軟性に劣るとともに、加水分解による分子量低下が生じて、フィルム物性の著しい低下が急速に現れるため、長期間用のマルチとして適さない。反対にポリ乳酸の含有成分が30質量%未満であると、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル成分が主体となり、分解が遅くなる。従って、ポリ乳酸とガラス転移温度0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合は、質量比で(ポリ乳酸)/(生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル)=70/30〜40/60(質量%)であることがより好ましい。
【0031】
本発明の生分解性農業用マルチは、デンプンを用いることで、用いない場合に比べて生分解期間を短縮することができ、かつ用いる量を調整することで、その短縮された範囲内での生分解期間の長短をコントロールすることができる。すなわち、生分解性農業用マルチは、作物の栽培期間中は所定の強度を維持している必要があるが、栽培が終了した後は、土壌中の微生物によって生分解を受けることを目的として土中へすき込むことができる程度にまで強度が低下していることが望ましい。また、土中にすき込んだ後は、微生物によってできるだけ短期間の間に分解されることが望ましい。本発明では、用いるデンプンの量の多少によって、栽培中に所定の強度を維持している期間と、その後の生分解速度とを、それぞれ所望の通りにコントロールすることができる。なお本発明において、デンプンとは、デンプンエステルやデンプンエーテル等の変性デンプンであるデンプン誘導体を含む。
【0032】
このように用いるデンプンの量の多少によって、栽培中に所定の強度を維持している期間とその後の生分解速度とをコントロールすることができるが、その配合割合の範囲は、フィルムの構成成分の全体に対して2〜30質量%であることが好ましい。
【0033】
2質量%未満であると、デンプンを用いることによる分解速度の向上に実質的に寄与することが困難になる。すると、フィルムの分解速度が遅くなるため、マルチとしての使用の終了後のすき込み作業の際に、強力が高すぎてフィルムの破断や引裂きを容易に行うことができず、すき込みのための機械に絡みついて作業性が劣る事態が発生しやすくなる。また、すき込み後は、生分解性が劣るためにフィルム片が長期にわたって土中に存在することになるという不都合も生じる。
【0034】
反対に30質量%を超えると、マルチのためのフィルムを製造するときの溶融張力が不足気味になって製膜が難しくなるとともに、生分解が速くなりすぎて作物の栽培中に所要の機械的強力を維持困難になる。
【0035】
このようにデンプンを用いることで、本発明の農業用マルチの生分解速度を向上させて生分解期間を短縮させることができる理由は、次の通りであると考えられる。
【0036】
すなわち、フィルムの主成分であるポリ乳酸は、生分解する過程として二つの段階をふむ。まず、水分が存在する状態下で加水分解が行われて低分子量のものとなり、その後、微生物によって二酸化炭素と水とに分解される。つまり、まず水分が存在する状態におかれなければ、分解は進まない。
【0037】
これに対し、デンプンは、初めから微生物を介して分解が進むものであるために、ポリ乳酸に比べてきわめて分解が速い。また、フィルム中のデンプンは吸水能力を持っており、このデンプンによる水分の吸収にもとづきポリ乳酸の周囲に水分が存在する状態が作り上げられ、これによりポリ乳酸の加水分解が促進されることも原因して、生分解速度が向上されると考えられる。
【0038】
デンプンをフィルムに配合する手法は、次の通りである。すなわち、デンプンは本来粉末状であるため、そのままの状態では他のフィルム構成成分と均一に混合させることは困難である。また、混合させたとしても、フィルムの製造工程において高温に曝されるため、熱分解や熱劣化が生じやすい。そこで、これに対処するために、デンプンエステルやデンプンエーテルなどの変性デンプン系樹脂を用いることが好適である。あるいは、熱可塑性樹脂とデンプンからなるデンプン系組成物を好適に使用することができる。このようなデンプン系組成物としては、たとえばノバモント社より「マタービー」という商品名で販売されているものがある。この場合において、熱可塑性樹脂は生分解性の樹脂であることが好ましく、フィルムの主成分であるポリ乳酸あるいは脂肪族−芳香族ポリエステルと相溶性を有するものであることが特に好ましい。
【0039】
本発明において可塑剤として用いるオキシ酸エステル系可塑剤は、上記のポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族ポリエステルとに分配されて働くものである。オキシ酸エステル系可塑剤を用いるのは、ポリ乳酸と、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとに対して相溶し、かつ、不揮発性であり、環境問題などの観点から無毒性で、さらにFDA(Food and Drug Administration)に合格しているためである。オキシ酸エステル系可塑剤の具体例としては、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
【0040】
本発明の生分解性農業用マルチにおいて、オキシ酸エステル系可塑剤を用いることで、長期にわたってブリードアウトしにくく、フィルムの柔軟性、耐衝撃性を保持することが可能である。その理由として、以下のことが考えられる。すなわち、農業用マルチは、散水時や降雨時の流水と触れるが、このとき、水と親和性が高い可塑剤は、ブリードアウトしやすい。その結果、フィルムは柔軟性や耐衝撃性を失い、要求される機械的強力を長期間保つことができなくなる。これに対し、本発明では、前述した特定の重合体とオキシ酸エステル系可塑剤とを選択したことにより、重合体と可塑剤との結合力と、水と可塑剤との結合力とを比較した場合に、重合体と可塑剤との結合力の方が勝ることとなり、したがって流水中に可塑剤が流出しにくく、栽培期間中は農業用マルチとしての性能を保持することができるものである。
【0041】
オキシ酸エステル系可塑剤の配合割合は、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合わせて100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましい。可塑剤の含有比率が1質量部未満であると、ポリ乳酸のガラス転移温度の低下がほとんど見られないため、得られたフィルムはセロファン様となって柔軟性に劣り、本発明の目的が達成されにくくなる。また、可塑剤の含有比率が30質量部を超えると、ポリ乳酸のガラス転移温度が低下しすぎて、得られるフィルムの加水分解速度を急速に上昇させるため、製品寿命が短くなりすぎてしまう。さらに、可塑剤のブリードアウトが発現して製膜時のフィルムブロッキングが発生するといった問題が生じる。従って、可塑剤の配合割合は7〜20質量部であることがより好ましい。
【0042】
無機質充填材は、結晶核剤および滑剤として作用するものである。すなわち、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとからなる樹脂成分に可塑剤を配合するだけでは樹脂の可塑化に伴いフィルムの溶融張力が低下して製膜性が低下し、フィルムのブロッキングなどが発生するが、さらに加えて無機質充填材を配合することで、製膜時のブロッキングの抑制と、製品フィルムの滑り性の付与とが行える。
【0043】
このような無機質充填材としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、マイカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、ゼオライト、クレー、ガラスビーズなど一般的な無機質充填材が挙げられる。このうち、特にタルクは、ポリ乳酸の結晶核剤として最も効果を発揮するため好ましい。この無機質充填材には有機滑剤を併用してもよく、有機滑剤の具体例としては、例えば、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィンなどの脂肪族炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ラウリル酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油などの脂肪酸系滑剤、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの炭素数12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系滑剤、ステアリン酸ブチルエステル、モンタンワックスなどの長鎖エステルワックスである脂肪酸エステル系滑剤、またはこれらを複合した複合滑剤などが挙げられる。
【0044】
無機質充填材の配合割合は、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合計100質量部に対し、0.5〜40質量部の範囲にあることが好ましい。無機質充填材の含有比率が0.5質量部未満であると、無機質充填材が有する結晶核剤的効果が現れないため、製膜時におけるフィルムの溶融張力の不足により製膜が困難となるだけでなく、フィルム自体の滑り性や耐ブロッキング性に劣り、後加工などの加工上における問題が生じる可能性がある。一方、無機質充填材の含有比率が40質量部を超えると、得られるフィルムの物性、特に引き裂き強力などが著しく低下し実用上問題となる。従って、無機質充填材の配合割合は10〜30質量部であることが好ましく、10〜20質量部であるとさらに好ましい。
【0045】
なお、本発明の生分解性農業用マルチを構成する樹脂組成物には、製膜時の溶融張力の低下を抑制する目的で、必要に応じて有機過酸化物などの架橋剤および架橋助剤を併用して樹脂組成物に軽度の架橋を施してもよい。
【0046】
架橋剤の具体例としては、n−ブチル−4,4−ビス−t−ブチルパーオキシバリレート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−t−ブチルパーオキシヘキシン−3などの有機過酸化物、無水フタル酸、無水マレイン酸、トリメチルアジピン酸、無水トリメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸、蟻酸リチウム、ナトリウムメトキシド、プロピオン酸カリウム、マグネシウムエトキシドなどの金属錯体、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルなどのエポキシ化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0047】
架橋助剤の具体例としては、グリシジルメタクリレート、ノルマル−ブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0048】
また、フィルムを構成する樹脂組成物には、用途に応じて、紫外線防止剤、光安定剤、防曇剤、防霧剤、帯電防止剤、難燃剤、着色防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料など上記以外の添加剤も添加できる。
【0049】
以下に、本発明の生分解性農業用マルチを構成するフィルムの好ましい製造方法について、一例を挙げて説明する。
まず、ポリ乳酸とガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物とオキシ酸エステル系可塑剤と無機質充填材とを所定量だけ配合して、2軸混練押し出し機にて溶融混練し、コンパウンドペレットを作製する。そして、このコンパウンドペレットを乾燥した後、インフレーション製膜法によりフィルム化する。すなわち、乾燥後のコンパウンドペレットを1軸混練押し出し機に投入し、溶融したポリマーを丸ダイからチューブ状に引き上げ、空冷しながら同時に風船状に膨らまして製膜する方法、あるいは、丸ダイより溶融ポリマーを円筒状に冷却水とともに下方へ押し出した後、一旦折り畳み、それを上方へ引き上げ、次いで加熱しながら風船状に膨らまして製膜・フィルム化する方法を採用することができる。2軸混練押し出し機のポリマー溶融温度は、ポリ乳酸の溶融温度210〜240℃の温度範囲で適時選択され、1軸混練押し出し機におけるコンパウンドペレットのポリマーの溶融温度は、ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の組成比、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの融点や配合量、および可塑剤の配合量を考慮して適時選択されるが、通常は、160℃〜200℃の温度範囲である。
【0050】
なお、ポリ乳酸系フィルムを製造する前段階でのコンパウンドペレットの製造時に、必要に応じて架橋剤、架橋助剤、有機滑剤などを添加することもできる。加えて、フィルムの製造時にも、必要に応じて添加剤をフィルム物性に影響を与えない程度に加えてもよい。
【0051】
得られたフィルムは、適当な大きさに裁断して農業用マルチとする。
【0052】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
以下の実施例、比較例における各種物性値の測定は、次の方法により行った。
【0054】
(1)結晶融解熱量(J/g):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用いて、昇温速度を20℃/分で測定し、得られた融解吸熱曲線のピークより求めた。
【0055】
(2)引張強度(MPa)および引張伸度(%):農業用マルチを構成するフィルムの耐衝撃性の指標となるものであり、JIS K―7127に記載の方法に準じ試験速度を500mm/分として測定した。
【0056】
(3)引張弾性率(GPa):農業用マルチを構成するフィルムの柔軟性の指標となるものであり、JIS K―7127に記載の方法に準じ試験速度を500mm/分として測定した。
【0057】
(4)衝撃強度(J):フィルム衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用い、測定温度23℃、50%RHの雰囲気中で、振子容量を30kg・cmとして、φ12.7mmの衝撃頭を用いて測定した。
【0058】
(5)可塑剤のブリード性およびフィルムのブロッキング性:インフレーション法により作製されたフィルムについて、JIS Z0219に記載の方法に準じて80℃、荷重500gの条件下に保持したときの可塑剤のブリード性を以下のように評価した。
【0059】
○:ブリードアウトは見られなかった
△:ややブリードアウトが見られた
×:ブリードアウトが顕著に見られた
また、フィルムのブロッキング性を以下のように評価した。
○:ブロッキングは見られなかった
△:ややブロッキングが見られた
×:完全にブロッキングした
【0060】
実施例1
ポリ乳酸として、D−乳酸の含有量が1.2モル%で数平均分子量が10万の結晶性ポリ乳酸(カーギル・ダウ社製:ネイチャーワークス)70質量%と、D−乳酸の含有量が10モル%で数平均分子量が10万の非晶性ポリ乳酸(カーギル・ダウ社製:ネイチャーワークス)30質量%とを配合したものを用いた。
【0061】
このポリ乳酸60質量%と、ガラス転移温度が−30℃の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしての、結晶融解熱量が15J/gのポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF社製:エコフレックスF)40質量%とを合わせて100質量部とした。そして、これにデンプン系組成物(ノバモント社製:マタービーNF01U)を、このデンプン系組成物と、上記生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのポリブチレンアジペートテレフタレートとの配合割合が50/50質量部となるように加えた。
【0062】
さらに、可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル(田岡化学社製:ATBC)を、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物との合計100質量部に対して10質量部配合し、無機質充填材として平均粒子径が2.75μmのタルク(林化成社製Mw HS−T)を、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物との合計100質量部に対して20質量部配合した。
【0063】
結局、以上により得られた組成物は、その全量を100質量%に換算すると、各組成の割合は次のようになった。
ポリ乳酸 33.0質量%
生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル 22.0質量%
デンプン系組成物 22.0質量%
オキシ酸エステル系可塑剤 7.7質量%
無機質充填材 15.3質量%
【0064】
そして、このような割合で配合したものを2軸押出混練機(日本製鋼所社製、型番TEX44α)を用いて溶融混練し、押出温度200℃にてポリ乳酸系コンパウンド原料を作製した。
【0065】
次いで、このポリ乳酸系コンパウンド原料を用いて、直径200mmの口径を有するサーキュラーダイを装着したスクリュー径55mmの1軸押出機(トミー機械工業社製)により、設定温度175℃にて溶融押出を行った。そして、ダイより吐出された溶融樹脂組成物を空気圧によって膨張させると同時にエアリングによる空冷を行いながら、チューブ状フィルムに成形した。
【0066】
このようにして、フィルム厚み20μm、フィルム折り幅1350mm(ブロー比4.3)となるように成形し、成形されたフィルムを、ダイ上部に設置された一組のピンチロールによって30m/minの速度で引き取った。そして、約15秒の冷却時間を経た後、ピンチロールによってニップし、巻き取り機によって長さ100mで巻き取り、農業用マルチのための製品フィルムを作成した。
【0067】
このような組成物のフィルム化は、25〜30℃に温調された環境下で実施した。得られた製品フィルムの物性等を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
また、得られたマルチ用フィルムを1350mm×100mに裁断して、農業用マルチとした。そして、このマルチを用いて、茨城県で、スイートコーンの栽培に適用した。まず、4月に展張し、播種した後、7月まで栽培を続けた(展張期間3か月)。展張中は破れなどの不具合は発生しなかった。しかも、比較のために同時に展張・栽培したポリエチレンマルチと比べても、作物の生育・収穫量に差は認められなかった。
【0070】
収穫後、植物残渣とともに実施例1のポリ乳酸系マルチフィルムを土壌中にすき込んだ。そして、7か月後に調査したところ、マルチフィルムはほぼ消失しており、短期間で生分解していることが確認された。
【0071】
比較例1
可塑剤をビスブチルジエチレングリコールアジペート(大八化学社製:BXA)とし、その配合割合を、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物との合計100質量部に対し8質量部とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0072】
得られたフィルムの物性などを表1に示す。
このようにして得られたフィルムも、実施例1のフィルムと同様に裁断して、農業用マルチとした。また実施例1のフィルムと同様にスイートコーンの栽培に適用したところ、展張後2か月でフィルムがセロハン調に硬くなり、土の被せ際より破れが生じ、栽培期間中に必要な強力を保持できなかった。
【0073】
実施例1の農業用マルチのためのフィルムは、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とする樹脂組成物にて形成されていたため、短期間で生分解可能であり、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤とにより機械的特性に優れ、しかも柔軟性と耐衝撃性とを有するフィルムが得られ、また、樹脂の可塑化に伴う製膜性の低下は、結晶核剤として配合された無機質充填材により抑制されて、良好な製膜性が得られ、さらに、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルにより可塑剤のブリードアウトを抑制できた。
【0074】
表1に示すように、比較例1の農業用マルチのためのフィルムも、実施例1のフィルムと同様に、製造当初においては、所望の性能を発揮した。しかし、マルチとして使用した場合に、早期に強度や伸度や引張弾性率が低下した。
【0075】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ポリ乳酸を使用することで、農業用マルチを構成するフィルムに生分解性を付与できる。また、ポリ乳酸に、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとオキシ酸エステル系可塑剤とを配合することで、室温で硬くて脆いという性質を有するポリ乳酸に柔軟性と耐衝撃性とを付与できる。また、ポリ乳酸に結晶性の低い生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを配合することで可塑剤のブリードアウトが抑制され、製膜時のブロッキングを抑えて良好な製膜性が得られる。また、デンプンを配合することで生分解を速くすることができ、しかもその配合割合を調整することで分解速度をコントロールすることができる。したがって、マルチとして使用している間は栽培に必要な強力を保持しているが、収穫後は機械によるすき込みによってフィルム片に破断することが可能である。そして、土中にすき込まれることにより、いっそう分解が促進されることになる。これにより、収穫後にマルチを回収する作業を必要としないため、作業効率が向上する。また、可塑剤と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとにより樹脂組成物の結晶性が低下し軟化するが、本発明では無機質充填材が配合されているため、この無機質充填材が結晶核剤となり良好な製膜性が得られ、また、製膜時のフィルムのブロッキングの抑制と滑り性の付与が実現できる。可塑剤がオキシ酸エステル系可塑剤であるため、長期にわたってブリードアウトしにくく、フィルムの柔軟性、耐衝撃性を保持することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は生分解性農業用マルチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農業用分野において、土壌の保温や雑草の繁殖抑制により作物の収穫量を向上させることを目的としてマルチが用いられている。マルチには、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンが主として使用されている。ポリオレフィンは、一般的に安価で耐候性にも優れているが、生分解性がないため、使用後は回収する必要がある。
【0003】
しかし、使用後の汚れたマルチは再使用が難しく、廃棄するしか方法がない。廃棄にあたっては、廃棄物としてのコストがかかるうえに、たとえば焼却により廃棄する場合は焼却炉の損傷の問題が発生するという問題点がある。
【0004】
この問題の解決のために、農業用マルチとして使用する期間は従来のポリオレフィン製のマルチと同様に使用でき、しかも使用後は土壌中の微生物によって完全分解する、生分解樹脂からなる農業用マルチが検討されている。
【0005】
かかる生分解性樹脂としては、特定の構造を有する脂肪族ポリエステルが挙げられる。代表的なものとして、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸が挙げられる。また脂肪族ポリエステル以外としては、ポリビニルアルコール樹脂とデンプンとのブレンド物が挙げられる。
【0006】
これらの生分解性樹脂からなるフィルムのうち、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール樹脂とデンプンとのブレンド物は、マルチとして要求される初期機械的物性や柔軟性は有しているものの、マルチを展張後1〜2ヶ月という比較的短期間で生分解が進行し、マルチと土の接触部(いわゆる地際)から破れが生じ、作物の栽培に必要な期間にわたって使用することができないという問題点が指摘されている。
【0007】
農業用マルチの使用期間としては、主に露地野菜用途のもののようにその機能を保持することが要求される期間が長くとも4ヶ月程度でよいものと、露地またはハウス内で栽培される野菜や植物に用いられるもののように6ヶ月以上、場合によっては1年近くその機能を保持することが要求されるものとに大別される。このため、上記のような従来のポリ乳酸以外の生分解性樹脂にて形成されたマルチは、一部の作物にしか有効に使用することができないことになる。
【0008】
さらに、これらの生分解性樹脂にて形成されたマルチは、保管中においても、湿気により分解が進行することやカビが発生しやすいことが指摘されており、したがって冷暗所に保管する必要があるなどの制約がある。
【0009】
一方、ポリ乳酸からなるフィルムは土中での分解期間が比較的長く、また抗カビ性には優れているものの、柔軟性や耐衝撃性に劣るため、従来は農業用マルチとして好適に用いることはできていない。
【0010】
ポリ乳酸をベースとするフィルムのかかる不具合の改善方法として、特許文献1には、ポリ乳酸あるいは乳酸と他のヒドロキシカルボン酸に可塑剤を配合し、これにより樹脂組成物の可塑化を促してフィルムを作成する方法が提案されている。しかし、樹脂組成物に実用に即した柔軟性を付与するには、ポリ乳酸に対し相当量の可塑剤を配合しなければならず、さらに、元来、ポリ乳酸との相溶性が良好な可塑剤は非常に少ないため、前記のように相当量の可塑剤を配合してフィルム化するとほとんどの可塑剤はブリードアウトしてしまい、フィルムの製膜時にブロッキングが発生するという問題がある。
【0011】
また、特許文献2には、ポリ乳酸系フィルムに延伸処理を施すことなく柔軟性を向上させるものとして、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルからなる組成物に多官能イソシアネート化合物を反応させた樹脂組成物が提案されている。しかし、ポリ乳酸は剛性の高いポリマーであるため、ポリ乳酸成分の比率が高い場合にはその柔軟化には限界がある。
【0012】
さらに、特許文献3には、ポリ乳酸と、融点が80〜250℃の生分解性を有する脂肪族ポリエステルと、可塑剤とからなる樹脂組成物にて形成されたフィルムやシートが開示されている。また、特許文献4には、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステルと、可塑剤とからインフレーションフィルムを製膜する方法が開示されている。これらの方法では、ポリ乳酸にポリ乳酸よりも柔軟な脂肪族ポリエステルを配合し、さらに可塑剤を配合することでポリ乳酸系フィルムに柔軟性や耐衝撃性を付与している。しかし、ポリ乳酸の可塑化を目的として配合された可塑剤は、結晶性の高い脂肪族ポリエステルにも分配されるため、フィルムの形成過程において脂肪族ポリエステルに分配された可塑剤がブリードアウトしてしまうという問題が発生する。
【0013】
このようなフィルムを農業用マルチとした場合は、使用中に可塑剤がブリードアウトすると、フィルムが硬くなり、引裂けやすくなってしまう。
【0014】
【特許文献1】
特許第3105020号公報
【0015】
【特許文献2】
特開平10−17756号公報
【0016】
【特許文献3】
特開平11−116788号公報
【0017】
【特許文献4】
特開2000−273207号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、生分解性を有し、柔軟性や耐衝撃性に優れ、可塑剤のブリードアウトを抑制し、製膜性に優れ、かつ農作物の栽培期間中の使用に耐えるとともに生分解期間を短縮可能かつその期間をコントロール可能な農業用マルチを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明の生分解性農業用マルチは、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とするフィルムからなり、前記ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合が80/20〜30/70(質量%)であることを特徴とする。
【0020】
また本発明の生分解性農業用マルチは、フィルムの構成成分の全体に対するデンプンの配合割合が2〜30質量%であることを特徴とする。
また本発明の生分解性農業用マルチは、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合わせて100質量部に対して、オキシ酸エステル系可塑剤が1〜30質量部、無機質充填材が0.5〜40質量部の範囲で配合されていることを特徴とする。
【0021】
また本発明の生分解性農業用マルチは、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの結晶融解熱量が25J/g以下であることを特徴とする。
また本発明の生分解性農業用マルチは、可塑剤がアセチルクエン酸トリブチルであることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の生分解性農業用マルチは、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とする樹脂組成物にて形成されたフィルムからなる。
【0023】
ポリ乳酸を使用することで、フィルムに生分解性を付与できる。
また、ポリ乳酸に、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとオキシ酸エステル系可塑剤とを配合することで、室温で硬くて脆いという性質を有するポリ乳酸に柔軟性と耐衝撃性とを付与できる。また、一般にポリ乳酸に可塑剤を配合するだけでは、可塑剤がブリードアウトしやすくなるが、本発明では、結晶性の低い生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを配合することでオキシ酸エステル系可塑剤のブリードアウトが抑制されるため、良好な製膜性が得られる。また、可塑剤と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルにより樹脂組成物の結晶性が低下し軟化するが、本発明では無機質充填材が配合されているため、この無機質充填材が結晶核剤となり良好な製膜性が得られ、また、製膜時のフィルムのブロッキングの抑制と滑り性の付与が実現できる。
【0024】
本発明におけるポリ乳酸としては、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリDL−乳酸、またはこれらの混合体が挙げられ、数平均分子量が8万〜15万であるものが好ましい。
【0025】
また、オキシ酸エステル系可塑剤のブリードアウトの抑制と、ポリ乳酸の結晶化による製膜安定性の確保とを考慮すると、ポリ乳酸として結晶性ポリ乳酸と非晶性ポリ乳酸とを併用することが好ましい。ここでいう結晶性ポリ乳酸とは、140〜175℃の範囲の融点を有するポリ乳酸樹脂を指し、非晶性ポリ乳酸とは、実質的に融点を保有しないポリ乳酸樹脂を指す。結晶性ポリ乳酸と非晶性ポリ乳酸との配合割合は、(結晶性ポリ乳酸)/(非晶性ポリ乳酸)=40/60〜90/10(質量%)の範囲にあることが好ましい。結晶性ポリ乳酸の配合割合が40質量%未満であると、ポリ乳酸の結晶化に劣るため安定した製膜が行えない。一方、結晶性ポリ乳酸の配合割合が90質量%を超えると、オキシ酸エステル系可塑剤を保持できなくなり、製膜時あるいは製膜後に可塑剤のブリードアウトが生じてしまう。
【0026】
本発明における生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、ポリエステルの構成成分に芳香族ジカルボン酸を使用したものであり、そのガラス転移温度は、フィルムの柔軟性を考慮すると0℃以下である必要がある。ガラス転移温度が0℃よりも高いと、フィルムに十分な柔軟性を付与できなくなる。
【0027】
従来の生分解性脂肪族ポリエステルでは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分は脂肪族のジカルボン酸であるため、得られる樹脂の融点は一般的な加工方法における臨界加工温度と考えられる100℃程度まで下降する。また、柔軟性の付与を目的として例えばアジピン酸などの成分を多量に共重合すると、さらに融点降下が生じて樹脂の加工性が悪化するため、柔軟性の付与を目的とした成分をあまり共重合できない。そのため、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の融点は降下するが結晶性はさほど低下せずに結晶性の高い樹脂となり、可塑剤を添加した場合にその可塑剤を十分保持できずにブリードアウトが生じる。しかし、本発明において使用される生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、上述のようにポリエステルの構成成分に芳香族ジカルボン酸も使用しているため、融点降下を誘発する脂肪族ジカルボン酸を脂肪族ポリエステルの場合よりも多量に共重合しても樹脂の融点は100℃程度を保ち、樹脂の加工性に悪影響を及ぼすことがなく、しかも、結晶性を著しく低下させ、かつ非常に柔軟性にたけた樹脂設計が可能となる。このように、本発明における生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、従来から使用されている脂肪族ポリエステルよりも柔軟性に優れ、可塑剤の保持も格段に向上し、耐ブリードアウト性を改善できるものである。
【0028】
本発明における生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしては、脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られるものが使用できる。なかでも該共重合ポリエステルの結晶性は低い方が好ましく、また結晶融解熱量が25J/g以下であるものが好ましい。生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの結晶融解熱量が25J/gを超えると、樹脂の結晶性向上による非晶領域の低下にともない可塑剤を保持できなくなり、可塑剤のブリードアウトが著しくなる。
【0029】
このような生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを構成する脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどがあり、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸などが挙げられる。そして、これらからそれぞれ1種類以上選んで重縮合することにより目的とする生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが得られ、必要に応じて多官能のイソシアネート化合物により架橋することもできる。
【0030】
ポリ乳酸とガラス転移温度0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合は、(ポリ乳酸)/(生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル)=80/20〜30/70(質量%)の範囲である。ポリ乳酸含有成分が80質量%を超えると、得られるフィルムは、柔軟性に劣るとともに、加水分解による分子量低下が生じて、フィルム物性の著しい低下が急速に現れるため、長期間用のマルチとして適さない。反対にポリ乳酸の含有成分が30質量%未満であると、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル成分が主体となり、分解が遅くなる。従って、ポリ乳酸とガラス転移温度0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合は、質量比で(ポリ乳酸)/(生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル)=70/30〜40/60(質量%)であることがより好ましい。
【0031】
本発明の生分解性農業用マルチは、デンプンを用いることで、用いない場合に比べて生分解期間を短縮することができ、かつ用いる量を調整することで、その短縮された範囲内での生分解期間の長短をコントロールすることができる。すなわち、生分解性農業用マルチは、作物の栽培期間中は所定の強度を維持している必要があるが、栽培が終了した後は、土壌中の微生物によって生分解を受けることを目的として土中へすき込むことができる程度にまで強度が低下していることが望ましい。また、土中にすき込んだ後は、微生物によってできるだけ短期間の間に分解されることが望ましい。本発明では、用いるデンプンの量の多少によって、栽培中に所定の強度を維持している期間と、その後の生分解速度とを、それぞれ所望の通りにコントロールすることができる。なお本発明において、デンプンとは、デンプンエステルやデンプンエーテル等の変性デンプンであるデンプン誘導体を含む。
【0032】
このように用いるデンプンの量の多少によって、栽培中に所定の強度を維持している期間とその後の生分解速度とをコントロールすることができるが、その配合割合の範囲は、フィルムの構成成分の全体に対して2〜30質量%であることが好ましい。
【0033】
2質量%未満であると、デンプンを用いることによる分解速度の向上に実質的に寄与することが困難になる。すると、フィルムの分解速度が遅くなるため、マルチとしての使用の終了後のすき込み作業の際に、強力が高すぎてフィルムの破断や引裂きを容易に行うことができず、すき込みのための機械に絡みついて作業性が劣る事態が発生しやすくなる。また、すき込み後は、生分解性が劣るためにフィルム片が長期にわたって土中に存在することになるという不都合も生じる。
【0034】
反対に30質量%を超えると、マルチのためのフィルムを製造するときの溶融張力が不足気味になって製膜が難しくなるとともに、生分解が速くなりすぎて作物の栽培中に所要の機械的強力を維持困難になる。
【0035】
このようにデンプンを用いることで、本発明の農業用マルチの生分解速度を向上させて生分解期間を短縮させることができる理由は、次の通りであると考えられる。
【0036】
すなわち、フィルムの主成分であるポリ乳酸は、生分解する過程として二つの段階をふむ。まず、水分が存在する状態下で加水分解が行われて低分子量のものとなり、その後、微生物によって二酸化炭素と水とに分解される。つまり、まず水分が存在する状態におかれなければ、分解は進まない。
【0037】
これに対し、デンプンは、初めから微生物を介して分解が進むものであるために、ポリ乳酸に比べてきわめて分解が速い。また、フィルム中のデンプンは吸水能力を持っており、このデンプンによる水分の吸収にもとづきポリ乳酸の周囲に水分が存在する状態が作り上げられ、これによりポリ乳酸の加水分解が促進されることも原因して、生分解速度が向上されると考えられる。
【0038】
デンプンをフィルムに配合する手法は、次の通りである。すなわち、デンプンは本来粉末状であるため、そのままの状態では他のフィルム構成成分と均一に混合させることは困難である。また、混合させたとしても、フィルムの製造工程において高温に曝されるため、熱分解や熱劣化が生じやすい。そこで、これに対処するために、デンプンエステルやデンプンエーテルなどの変性デンプン系樹脂を用いることが好適である。あるいは、熱可塑性樹脂とデンプンからなるデンプン系組成物を好適に使用することができる。このようなデンプン系組成物としては、たとえばノバモント社より「マタービー」という商品名で販売されているものがある。この場合において、熱可塑性樹脂は生分解性の樹脂であることが好ましく、フィルムの主成分であるポリ乳酸あるいは脂肪族−芳香族ポリエステルと相溶性を有するものであることが特に好ましい。
【0039】
本発明において可塑剤として用いるオキシ酸エステル系可塑剤は、上記のポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族ポリエステルとに分配されて働くものである。オキシ酸エステル系可塑剤を用いるのは、ポリ乳酸と、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとに対して相溶し、かつ、不揮発性であり、環境問題などの観点から無毒性で、さらにFDA(Food and Drug Administration)に合格しているためである。オキシ酸エステル系可塑剤の具体例としては、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
【0040】
本発明の生分解性農業用マルチにおいて、オキシ酸エステル系可塑剤を用いることで、長期にわたってブリードアウトしにくく、フィルムの柔軟性、耐衝撃性を保持することが可能である。その理由として、以下のことが考えられる。すなわち、農業用マルチは、散水時や降雨時の流水と触れるが、このとき、水と親和性が高い可塑剤は、ブリードアウトしやすい。その結果、フィルムは柔軟性や耐衝撃性を失い、要求される機械的強力を長期間保つことができなくなる。これに対し、本発明では、前述した特定の重合体とオキシ酸エステル系可塑剤とを選択したことにより、重合体と可塑剤との結合力と、水と可塑剤との結合力とを比較した場合に、重合体と可塑剤との結合力の方が勝ることとなり、したがって流水中に可塑剤が流出しにくく、栽培期間中は農業用マルチとしての性能を保持することができるものである。
【0041】
オキシ酸エステル系可塑剤の配合割合は、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合わせて100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましい。可塑剤の含有比率が1質量部未満であると、ポリ乳酸のガラス転移温度の低下がほとんど見られないため、得られたフィルムはセロファン様となって柔軟性に劣り、本発明の目的が達成されにくくなる。また、可塑剤の含有比率が30質量部を超えると、ポリ乳酸のガラス転移温度が低下しすぎて、得られるフィルムの加水分解速度を急速に上昇させるため、製品寿命が短くなりすぎてしまう。さらに、可塑剤のブリードアウトが発現して製膜時のフィルムブロッキングが発生するといった問題が生じる。従って、可塑剤の配合割合は7〜20質量部であることがより好ましい。
【0042】
無機質充填材は、結晶核剤および滑剤として作用するものである。すなわち、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとからなる樹脂成分に可塑剤を配合するだけでは樹脂の可塑化に伴いフィルムの溶融張力が低下して製膜性が低下し、フィルムのブロッキングなどが発生するが、さらに加えて無機質充填材を配合することで、製膜時のブロッキングの抑制と、製品フィルムの滑り性の付与とが行える。
【0043】
このような無機質充填材としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、マイカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、ゼオライト、クレー、ガラスビーズなど一般的な無機質充填材が挙げられる。このうち、特にタルクは、ポリ乳酸の結晶核剤として最も効果を発揮するため好ましい。この無機質充填材には有機滑剤を併用してもよく、有機滑剤の具体例としては、例えば、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィンなどの脂肪族炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ラウリル酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油などの脂肪酸系滑剤、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミドなどの脂肪酸アミド系滑剤、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの炭素数12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系滑剤、ステアリン酸ブチルエステル、モンタンワックスなどの長鎖エステルワックスである脂肪酸エステル系滑剤、またはこれらを複合した複合滑剤などが挙げられる。
【0044】
無機質充填材の配合割合は、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合計100質量部に対し、0.5〜40質量部の範囲にあることが好ましい。無機質充填材の含有比率が0.5質量部未満であると、無機質充填材が有する結晶核剤的効果が現れないため、製膜時におけるフィルムの溶融張力の不足により製膜が困難となるだけでなく、フィルム自体の滑り性や耐ブロッキング性に劣り、後加工などの加工上における問題が生じる可能性がある。一方、無機質充填材の含有比率が40質量部を超えると、得られるフィルムの物性、特に引き裂き強力などが著しく低下し実用上問題となる。従って、無機質充填材の配合割合は10〜30質量部であることが好ましく、10〜20質量部であるとさらに好ましい。
【0045】
なお、本発明の生分解性農業用マルチを構成する樹脂組成物には、製膜時の溶融張力の低下を抑制する目的で、必要に応じて有機過酸化物などの架橋剤および架橋助剤を併用して樹脂組成物に軽度の架橋を施してもよい。
【0046】
架橋剤の具体例としては、n−ブチル−4,4−ビス−t−ブチルパーオキシバリレート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−t−ブチルパーオキシヘキシン−3などの有機過酸化物、無水フタル酸、無水マレイン酸、トリメチルアジピン酸、無水トリメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸、蟻酸リチウム、ナトリウムメトキシド、プロピオン酸カリウム、マグネシウムエトキシドなどの金属錯体、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルなどのエポキシ化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0047】
架橋助剤の具体例としては、グリシジルメタクリレート、ノルマル−ブチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0048】
また、フィルムを構成する樹脂組成物には、用途に応じて、紫外線防止剤、光安定剤、防曇剤、防霧剤、帯電防止剤、難燃剤、着色防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料など上記以外の添加剤も添加できる。
【0049】
以下に、本発明の生分解性農業用マルチを構成するフィルムの好ましい製造方法について、一例を挙げて説明する。
まず、ポリ乳酸とガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物とオキシ酸エステル系可塑剤と無機質充填材とを所定量だけ配合して、2軸混練押し出し機にて溶融混練し、コンパウンドペレットを作製する。そして、このコンパウンドペレットを乾燥した後、インフレーション製膜法によりフィルム化する。すなわち、乾燥後のコンパウンドペレットを1軸混練押し出し機に投入し、溶融したポリマーを丸ダイからチューブ状に引き上げ、空冷しながら同時に風船状に膨らまして製膜する方法、あるいは、丸ダイより溶融ポリマーを円筒状に冷却水とともに下方へ押し出した後、一旦折り畳み、それを上方へ引き上げ、次いで加熱しながら風船状に膨らまして製膜・フィルム化する方法を採用することができる。2軸混練押し出し機のポリマー溶融温度は、ポリ乳酸の溶融温度210〜240℃の温度範囲で適時選択され、1軸混練押し出し機におけるコンパウンドペレットのポリマーの溶融温度は、ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の組成比、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの融点や配合量、および可塑剤の配合量を考慮して適時選択されるが、通常は、160℃〜200℃の温度範囲である。
【0050】
なお、ポリ乳酸系フィルムを製造する前段階でのコンパウンドペレットの製造時に、必要に応じて架橋剤、架橋助剤、有機滑剤などを添加することもできる。加えて、フィルムの製造時にも、必要に応じて添加剤をフィルム物性に影響を与えない程度に加えてもよい。
【0051】
得られたフィルムは、適当な大きさに裁断して農業用マルチとする。
【0052】
【実施例】
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
以下の実施例、比較例における各種物性値の測定は、次の方法により行った。
【0054】
(1)結晶融解熱量(J/g):パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を用いて、昇温速度を20℃/分で測定し、得られた融解吸熱曲線のピークより求めた。
【0055】
(2)引張強度(MPa)および引張伸度(%):農業用マルチを構成するフィルムの耐衝撃性の指標となるものであり、JIS K―7127に記載の方法に準じ試験速度を500mm/分として測定した。
【0056】
(3)引張弾性率(GPa):農業用マルチを構成するフィルムの柔軟性の指標となるものであり、JIS K―7127に記載の方法に準じ試験速度を500mm/分として測定した。
【0057】
(4)衝撃強度(J):フィルム衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用い、測定温度23℃、50%RHの雰囲気中で、振子容量を30kg・cmとして、φ12.7mmの衝撃頭を用いて測定した。
【0058】
(5)可塑剤のブリード性およびフィルムのブロッキング性:インフレーション法により作製されたフィルムについて、JIS Z0219に記載の方法に準じて80℃、荷重500gの条件下に保持したときの可塑剤のブリード性を以下のように評価した。
【0059】
○:ブリードアウトは見られなかった
△:ややブリードアウトが見られた
×:ブリードアウトが顕著に見られた
また、フィルムのブロッキング性を以下のように評価した。
○:ブロッキングは見られなかった
△:ややブロッキングが見られた
×:完全にブロッキングした
【0060】
実施例1
ポリ乳酸として、D−乳酸の含有量が1.2モル%で数平均分子量が10万の結晶性ポリ乳酸(カーギル・ダウ社製:ネイチャーワークス)70質量%と、D−乳酸の含有量が10モル%で数平均分子量が10万の非晶性ポリ乳酸(カーギル・ダウ社製:ネイチャーワークス)30質量%とを配合したものを用いた。
【0061】
このポリ乳酸60質量%と、ガラス転移温度が−30℃の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしての、結晶融解熱量が15J/gのポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF社製:エコフレックスF)40質量%とを合わせて100質量部とした。そして、これにデンプン系組成物(ノバモント社製:マタービーNF01U)を、このデンプン系組成物と、上記生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとしてのポリブチレンアジペートテレフタレートとの配合割合が50/50質量部となるように加えた。
【0062】
さらに、可塑剤としてアセチルクエン酸トリブチル(田岡化学社製:ATBC)を、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物との合計100質量部に対して10質量部配合し、無機質充填材として平均粒子径が2.75μmのタルク(林化成社製Mw HS−T)を、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物との合計100質量部に対して20質量部配合した。
【0063】
結局、以上により得られた組成物は、その全量を100質量%に換算すると、各組成の割合は次のようになった。
ポリ乳酸 33.0質量%
生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル 22.0質量%
デンプン系組成物 22.0質量%
オキシ酸エステル系可塑剤 7.7質量%
無機質充填材 15.3質量%
【0064】
そして、このような割合で配合したものを2軸押出混練機(日本製鋼所社製、型番TEX44α)を用いて溶融混練し、押出温度200℃にてポリ乳酸系コンパウンド原料を作製した。
【0065】
次いで、このポリ乳酸系コンパウンド原料を用いて、直径200mmの口径を有するサーキュラーダイを装着したスクリュー径55mmの1軸押出機(トミー機械工業社製)により、設定温度175℃にて溶融押出を行った。そして、ダイより吐出された溶融樹脂組成物を空気圧によって膨張させると同時にエアリングによる空冷を行いながら、チューブ状フィルムに成形した。
【0066】
このようにして、フィルム厚み20μm、フィルム折り幅1350mm(ブロー比4.3)となるように成形し、成形されたフィルムを、ダイ上部に設置された一組のピンチロールによって30m/minの速度で引き取った。そして、約15秒の冷却時間を経た後、ピンチロールによってニップし、巻き取り機によって長さ100mで巻き取り、農業用マルチのための製品フィルムを作成した。
【0067】
このような組成物のフィルム化は、25〜30℃に温調された環境下で実施した。得られた製品フィルムの物性等を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
また、得られたマルチ用フィルムを1350mm×100mに裁断して、農業用マルチとした。そして、このマルチを用いて、茨城県で、スイートコーンの栽培に適用した。まず、4月に展張し、播種した後、7月まで栽培を続けた(展張期間3か月)。展張中は破れなどの不具合は発生しなかった。しかも、比較のために同時に展張・栽培したポリエチレンマルチと比べても、作物の生育・収穫量に差は認められなかった。
【0070】
収穫後、植物残渣とともに実施例1のポリ乳酸系マルチフィルムを土壌中にすき込んだ。そして、7か月後に調査したところ、マルチフィルムはほぼ消失しており、短期間で生分解していることが確認された。
【0071】
比較例1
可塑剤をビスブチルジエチレングリコールアジペート(大八化学社製:BXA)とし、その配合割合を、ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとデンプン系組成物との合計100質量部に対し8質量部とした。そしてそれ以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。
【0072】
得られたフィルムの物性などを表1に示す。
このようにして得られたフィルムも、実施例1のフィルムと同様に裁断して、農業用マルチとした。また実施例1のフィルムと同様にスイートコーンの栽培に適用したところ、展張後2か月でフィルムがセロハン調に硬くなり、土の被せ際より破れが生じ、栽培期間中に必要な強力を保持できなかった。
【0073】
実施例1の農業用マルチのためのフィルムは、ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とする樹脂組成物にて形成されていたため、短期間で生分解可能であり、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと可塑剤とにより機械的特性に優れ、しかも柔軟性と耐衝撃性とを有するフィルムが得られ、また、樹脂の可塑化に伴う製膜性の低下は、結晶核剤として配合された無機質充填材により抑制されて、良好な製膜性が得られ、さらに、生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルにより可塑剤のブリードアウトを抑制できた。
【0074】
表1に示すように、比較例1の農業用マルチのためのフィルムも、実施例1のフィルムと同様に、製造当初においては、所望の性能を発揮した。しかし、マルチとして使用した場合に、早期に強度や伸度や引張弾性率が低下した。
【0075】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ポリ乳酸を使用することで、農業用マルチを構成するフィルムに生分解性を付与できる。また、ポリ乳酸に、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとオキシ酸エステル系可塑剤とを配合することで、室温で硬くて脆いという性質を有するポリ乳酸に柔軟性と耐衝撃性とを付与できる。また、ポリ乳酸に結晶性の低い生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを配合することで可塑剤のブリードアウトが抑制され、製膜時のブロッキングを抑えて良好な製膜性が得られる。また、デンプンを配合することで生分解を速くすることができ、しかもその配合割合を調整することで分解速度をコントロールすることができる。したがって、マルチとして使用している間は栽培に必要な強力を保持しているが、収穫後は機械によるすき込みによってフィルム片に破断することが可能である。そして、土中にすき込まれることにより、いっそう分解が促進されることになる。これにより、収穫後にマルチを回収する作業を必要としないため、作業効率が向上する。また、可塑剤と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとにより樹脂組成物の結晶性が低下し軟化するが、本発明では無機質充填材が配合されているため、この無機質充填材が結晶核剤となり良好な製膜性が得られ、また、製膜時のフィルムのブロッキングの抑制と滑り性の付与が実現できる。可塑剤がオキシ酸エステル系可塑剤であるため、長期にわたってブリードアウトしにくく、フィルムの柔軟性、耐衝撃性を保持することができる。
Claims (5)
- ポリ乳酸と、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルと、デンプンと、オキシ酸エステル系可塑剤と、無機質充填材とを構成成分とするフィルムからなり、前記ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの配合割合が80/20〜30/70(質量%)であることを特徴とする生分解性農業用マルチ。
- フィルムの構成成分の全体に対するデンプンの配合割合が2〜30質量%であることを特徴とする請求項1記載の生分解性農業用マルチ。
- ポリ乳酸と生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルとの合わせて100質量部に対して、オキシ酸エステル系可塑剤が1〜30質量部、無機質充填材が0.5〜40質量部の範囲で配合されていることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性農業用マルチ。
- 生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの結晶融解熱量が25J/g以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の生分解性農業用マルチ。
- 可塑剤がアセチルクエン酸トリブチルであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の生分解性農業用マルチ。
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