JP2017171100A - 鉄道車両の天井構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄道車両の天井板に設置されているにぎり棒や吊り輪等と干渉することなく車両前後方向に連続的に設置でき、安全かつ簡単に着脱できる横流ファンの整風板を備えた鉄道車両の天井構造を提供する。
【解決手段】屋根構体1と客室Sとを区画する天井板2と、車両左右方向の中央付近において屋根構体と天井板とを連結する左右一対の仕切板3と、両仕切板間に形成される中央空間4内に収容される横流ファン5と、横流ファンの下方で天井板に形成された開口部21に締結具81によって着脱可能に装着される整風板6とを備えた鉄道車両の天井構造である。整風板には、その上端部61が車両前後方向に設置された他の整風板6Bの下端部62Bより下方へ移動したとき、開口部21に形成された受け部22と当接する落下止め部材7を備え、落下止め部材は、受け部と当接した状態で、整風板を車両前後方向へ移動させることによって受け部との当接状態が解除される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄道車両の天井構造に関し、特に、天井板の開口部に着脱可能に装着される整風板の落下止め構造に関する。
例えば、図9に示すように、従来の鉄道車両100の天井構造は、屋根構体101と客室Sとを区画する天井板102と、車両中央付近において屋根構体101と天井板102とを連結する左右一対の仕切板103と、両仕切板の間に形成される中央空間104内に収容される横流ファン105と、横流ファン105の下方で天井板102に形成された開口部102aに装着される整風板106とを備えている(特許文献1を参照)。
上記整風板106は、例えば、車両前後方向の長さが1500mm程度で、重量が5〜7kg程度であるので、横流ファン105のメンテナンスの際や整風板106の洗浄作業等の際に安全に取り外しできるように、天井板102の開口部102aに一端部が係止されつつ、着脱可能に装着されている。具体的には、整風板106の一端部が、天井板102の開口部102aの左右方向の一端部にヒンジ107によって回動可能に取付けられ、整風板106の他端部が、天井板102の開口部102aの左右方向の他端部に締結具108(例えば、ネジ)で固定されている。
特開2015−61777号公報
しかしながら、上記鉄道車両100の天井構造では、横流ファン105のメンテナンス等のために整風板106を取り外すとき、ヒンジ107を支点に整風板106の他端部(締結具側)が垂直下方に垂れ下がる構造である。そのため、整風板106の下方ににぎり棒や吊り輪等が設置されている場合、整風板106を取り外す際に垂直下方に垂れ下がる整風板106とにぎり棒や吊り輪等とが、干渉する恐れがあった。したがって、上記干渉を避けるべく、整風板106及び横流ファン105は、にぎり棒や吊り輪等を避けた位置にしか設置できないという問題があった。例えば、地下鉄等に使用する通常の鉄道車両では、整風板106及び横流ファン105を車両前後方向に所定の間隔を置いて数台(例えば、3台程度)しか設置できなかった。
一方、横流ファン105は、空調装置が稼働している時期は、天井板102に形成された冷風吹き出し口から出る冷風を客室Sに均一に行き渡らせることで冷房効果を高める機能を果たしている。そのため、整風板106及び横流ファン105を車両前後方向に所定の間隔を置いて数台(例えば、3台程度)しか設置できない場合、所望の冷房効果を得るために、横流ファン105のファン回転数を高め、整風板106から送風される風速を速くする必要があった。ところが、整風板106から送風される風速を速くすると、その真下にいる乗客には不快を感じさせることがあり、客室環境を向上させる上で、整風板106及び横流ファン105を車両前後方向に連続的に設置してほしいという要望が高まってきた。整風板106及び横流ファン105を車両前後方向に連続的に設置することによって、整風板106から送風される風速を速くすることなく、冷風吹き出し口から出る冷風を客室Sに均一に行き渡らせることができるからである。
本発明は、かかる問題及び要望を解決するためになされたものであり、鉄道車両の天井板に設置されているにぎり棒や吊り輪等と干渉することなく車両前後方向に連続的に設置でき、安全かつ簡単に着脱できる横流ファンの整風板を備えた鉄道車両の天井構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る鉄道車両の天井構造は、以下の構成を備えている。
(1)屋根構体と客室とを区画する天井板と、車両左右方向の中央付近において前記屋根構体の下方に前記天井板と連結する左右一対の仕切板と、両仕切板の間に形成される中央空間内に収容される横流ファンと、当該横流ファンの下方で前記天井板に形成された開口部に締結具によって着脱可能に装着される整風板とを備えた鉄道車両の天井構造であって、
前記整風板には、当該整風板の上端部が車両前後方向に設置された他の整風板の下端部より下方へ移動したとき、前記開口部に形成された受け部と当接する落下止め部材を備え、当該落下止め部材は、前記受け部と当接した状態で、当該整風板を車両前後方向へ移動させることによって前記受け部との当接状態が解除されることを特徴とする。
本発明においては、整風板には、当該整風板の上端部が車両前後方向に設置された他の整風板の下端部より下方へ移動したとき、開口部に形成された受け部と当接する落下止め部材を備えるので、締結具を弛めて整風板を開口部から外したときには、整風板の上端部が車両前後方向に設置された他の整風板の下端部より下方へ移動した位置で、落下止め部材と受け部とが当接することによって、整風板の更なる下方への移動(落下)を防止させることができる。そのため、整風板を開口部から安全に外し、外した整風板の上端部が車両前後方向に設置された他の整風板の下端部より下方へ移動した位置で、整風板を保持することができる。
また、当該落下止め部材は、受け部と当接した状態で、当該整風板を車両前後方向へ移動させることによって受け部との当接状態が解除されるので、取り外す整風板の下方に、にぎり棒や吊り輪等が設置されていても、当該にぎり棒や吊り輪等との干渉を回避できる位置まで整風板を車両前後方向に移動させるだけで、落下止め部材と受け部との当接状態を解除して、整風板を更に下方へ移動させることができる。そのため、整風板の下方にも、にぎり棒や吊り輪等が設置でき、整風板を車両前後方向に連続的に設置できる。
よって、本発明によれば、鉄道車両の天井板に設置されているにぎり棒や吊り輪等と干渉することなく車両前後方向に連続的に設置でき、安全かつ簡単に着脱できる横流ファンの整風板を備えた鉄道車両の天井構造を提供することができる。
(2)(1)に記載された鉄道車両の天井構造において、
前記落下止め部材には、前記締結具を弛めた位置で前記受け部と当接する第1の当接部と、前記整風板の上端部が前記他の整風板の下端部より下方へ移動した位置で前記受け部と当接する第2の当接部とを備えていることを特徴とする。
本発明においては、落下止め部材には、締結具を弛めた位置で受け部と当接する第1の当接部と、整風板の上端部が他の整風板の下端部より下方へ移動した位置で受け部と当接する第2の当接部とを備えているので、整風板を天井板の開口部に取り付ける際、第1の当接部と受け部とが当接する位置で整風板を保持させ、その保持状態で締結具を締付けることによって、整風板を天井板の開口部に装着させることができる。そのため、整風板の装着作業において、整風板の重量を作業者が支えながら締結具を締付ける必要がなく、作業者の負担を軽減させることができ、安全性も向上する。また、第1の当接部は、締結具を弛めた位置で受け部と当接するので、締結具を締め忘れているとき、又は締結具が弛んでいるときには、整風板が正規の位置より下がった状態となり、その異常を簡単に発見することができる。また、第1の当接部が受け部に当接している状態では、整風板が前後にずれることが無く、受け部から落下止め部材が外れて整風板が落下する虞はない。また、整風板の上端部が他の整風板の下端部より下方へ移動した位置で受け部と当接する第2の当接部とを備えているので、落下止め構造が2重構造となり、より安全性を高めることもできる。なお、第1の当接部と第2の当接部とは、一体に形成されていても、別体に形成されていてもよい。
(3)(2)に記載された鉄道車両の天井構造において、
前記落下止め部材は、板バネ鋼が上下方向で略Σ字状断面に形成され、前記略Σ字状断面の縦壁におけるV字状屈曲部が前記第1の当接部を構成し、前記略Σ字状断面の上水平部が前記第2の当接部を構成することを特徴とする。
本発明においては、落下止め部材は、板バネ鋼が上下方向で略Σ字状断面に形成され、略Σ字状断面の縦壁におけるV字状屈曲部が第1の当接部を構成し、略Σ字状断面の上水平部が第2の当接部を構成するので、整風板を天井板の開口部から取り外す際、締結具を弛めた上、整風板を下方へ引っ張るだけで、落下止め部材は、第1の当接部が受け部から外れる方向に弾性変形し、第2の当接部と受け部とが当接する方向に復元できる。また、整風板を天井板の開口部に取り付ける際、第2の当接部と受け部とが当接する状態から、整風板を上方へ押し上げるだけで、第1の当接部が受け部を乗り越えて、乗り越えた後に第1の当接部と受け部とが当接する状態にすることができる。そのため、整風板の着脱作業をより一層安全かつ簡単に行うことができる。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された鉄道車両の天井構造において、
前記落下止め部材は、前記整風板の前端近傍及び後端近傍における左右の枠体上部に装着され、前記受け部は、各落下止め部材に対応する位置に形成されていることを特徴とする。
本発明においては、落下止め部材は、整風板の前端近傍及び後端近傍における左右の枠体上部に装着され、受け部は、各落下止め部材に対応する位置に形成されているので、車両前後方向に長い整風板であっても、落下止め部材と受け部とが当接した時、整風板を略水平状に保持することができる。そのため、整風板の着脱作業をより一層安全かつ簡単に行うことができる。
本発明によれば、鉄道車両の天井板に設置されているにぎり棒や吊り輪等と干渉することなく車両前後方向に連続的に設置でき、安全かつ簡単に着脱できる横流ファンの整風板を備えた鉄道車両の天井構造を提供することができる。
本発明の実施形態に係る鉄道車両の天井構造を示す車両上部横断面図である。 図1に示す鉄道車両の天井構造の矢印R方向から見た平面図である。 図1に示す整風板の取り付け状態を示す詳細横断面図である。 図3に示す整風板の取り外し状態(第1の当接部と受け部とが当接した状態)の詳細横断面図である。 図3に示す整風板の取り外し状態(第2の当接部と受け部とが当接した状態)の詳細横断面図である。 図1に示す整風板の取り付け状態を示す詳細縦断面図である。 図1に示す整風板を取り外す手順を表す縦断面図である。(A)は整風板の固着状態を示し、(B)は締結具を弛めた状態を示し、(C)は整風板を下方へ引き下げた状態を示し、(D)は整風板を車両前後方向へ移動させた状態を示し、(E)は整風板を更に下方へ移動させた状態を示す。 図1に示す整風板の落下止め部材の変形例であって、これを取り外す手順を表す縦断面図である。(A)は整風板の固着状態を示し、(B)は締結具を弛めた状態を示し、(C)は整風板を下方へ引き下げた状態を示し、(D)は整風板を車両前後方向へ移動させた状態を示し、(E)は整風板を更に下方へ移動させた状態を示す。 従来の鉄道車両の天井構造を示す横断面図である。
次に、本発明の実施形態に係る鉄道車両の天井構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る鉄道車両の天井構造における全体構成を説明し、その後、鉄道車両の天井構造における整風板の着脱方法について説明する。
<鉄道車両の天井構造における全体構成>
まず、本実施形態に係る鉄道車両の天井構造における全体構成について、図1〜図6を用いて説明する。図1に、本発明の実施形態に係る鉄道車両の天井構造を示す車両上部横断面図を示す。図2に、図1に示す鉄道車両の天井構造の矢印R方向から見た平面図を示す。図3に、図1に示す整風板の取り付け状態を示す詳細横断面を示す。図4に、図3に示す整風板の取り外し状態(第1の当接部と受け部とが当接した状態)の詳細横断面図を示す。図5に、図3に示す整風板の取り外し状態(第2の当接部と受け部とが当接した状態)の詳細横断面図を示す。図6に、図1に示す整風板の取り付け状態を示す詳細縦断面図を示す。なお、図1〜図6には、鉄道車両における上下、左右、前後の方向を示すが、左右方向は、枕木方向を示し、前後方向はレール方向を示す。他の図面も、同様である。
図1〜図6に示すように、本実施形態に係る鉄道車両10の天井構造には、屋根構体1と客室Sとを区画する天井板2と、車両左右方向の中央付近において屋根構体1の下方に前記天井板2と連結する左右一対の仕切板3と、両仕切板の間に形成される中央空間4内に収容される横流ファン5と、当該横流ファン5の下方で天井板2に形成された開口部21に締結具81によって着脱可能に装着される整風板6とを備えている。横流ファン5は、送風口51が軸中心に円周方向(矢印P方向)に所定の角度だけ揺動して、筒状ファン52から送る横風の角度を変化させながら送風する装置である。整風板6は、スピーカ25の取付板26を挟んで、車両前後方向に連続的に配置されている。整風板6は、長方形の枠体63内に車両前後方向に延設された複数個の傾斜フィン64が車両左右方向に隙間をあけて形成された長方形体である。締結具81は、開口部21に固設されたナット82と係合する押しネジであって、整風板6の枠体63における左右端部に複数個係装されている。
また、天井板2には、空調装置(図示しない)に接続され冷風を客室S内に吹き出す冷風吹き出し口23が、整風板6の左右外方に離間して設置されている。冷風吹き出し口23は、車両前後方向に連続的に配置されている。また、天井板2には、冷風吹き出し口23の左右外方に隣接して蛍光灯24が設置されている。蛍光灯24は、車両前後方向に連続的に配置されている。
また、天井板2には、前後の蛍光灯24の隙間から垂下された支持体93に水平状に支持されたにぎり棒91が設置されている。にぎり棒91には、冷風吹き出し口23の下方で車両前後方向に延設されたものと、整風板6の下方で車両左右方向に延設されたものとがある。車両左右方向に延設されたにぎり棒91は、車両前後方向に延設されたにぎり棒91より天井板2に近接した位置にあり、乗降ドアの周辺付近に配置されている。各にぎり棒91には、吊り輪92が垂下されている。また、天井板2には、整風板6の下方で車両左右方向に延設された広告吊り具94が設置されている。
また、整風板6には、当該整風板6の上端部61が車両前後方向に設置された他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動したとき、開口部21に形成された受け部22と当接する落下止め部材7を備えている。受け部22は、車両前後方向の長さが落下止め部材7の車両前後方向の長さと略同程度の矩形状の板状体であって、開口部21の車両左右方向端部から内方へ突設されている。また、落下止め部材7は、受け部22と当接した状態で、整風板6を車両前後方向へ移動させることによって受け部22との当接状態が解除されるように形成されている。
また、落下止め部材7には、締結具81を弛めた位置で受け部22と当接する第1の当接部71と、整風板6の上端部61が他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動した位置で受け部22と当接する第2の当接部72とを備えている。また、落下止め部材7は、板バネ鋼が上下方向で略Σ字状断面に形成され、略Σ字状断面の縦壁74におけるV字状屈曲部が第1の当接部71を構成し、略Σ字状断面の上水平部が第2の当接部72を構成する。落下止め部材7は、略Σ字状断面の下水平部が整風板6への締結部73を構成する。締結部73は、整風板6の左右の枠体63にネジ83で固着されている。また、落下止め部材7(7a、7b)は、整風板6の前端6a近傍及び後端6b近傍における左右の枠体63に装着されている。なお、天井板2の開口部21には、前側の落下止め部材7aに対応する位置に前側の受け部22aが形成され、後側の落下止め部材7bに対応する位置に後側の受け部22bが形成されている。
<整風板の着脱方法>
次に、本鉄道車両の天井構造における整風板の着脱方法について、図7を用いて説明する。図7に、図1に示す整風板を取り外す手順を表す縦断面図を示す。(A)は整風板の固着状態を示し、(B)は締結具を弛めた状態を示し、(C)は整風板を下方へ引き下げた状態を示し、(D)は整風板を車両前後方向へ移動させた状態を示し、(E)は整風板を更に下方へ移動させた状態を示す。なお、図7では、図2に示すスピーカ25の取付板26は省略している。
図7(A)に示すように、整風板6(6B)の固着状態においては、整風板6(6B)は、天井板2の開口部21に締結具81によってそれぞれ締結されている。整風板6(6B)は、車両前後方向に連続的に配置され、各整風板6(6B)の下端部62(62B)は、略同一の高さに保持されている。このとき、落下止め部材7は、受け部22と当接していない(図3を参照)。
次に、図7(B)に示すように、取り外す整風板6の締結具81のみを弛めると、当該整風板6は、下方(矢印F1の方向)に移動し、その下端部62と隣接する他の整風板6Bの下端部62Bとの間に段差d1が発生する。このとき、当該整風板6の落下止め部材7の第1の当接部71が受け部22と当接する(図4を参照)。落下止め部材7の第1の当接部71と受け部22とが当接することによって、当該整風板6は、作業者が保持しなくても、隣接する他の整風板6Bとの間で段差d1が生じた状態で、自動的に保持される。なお、締結具81が自然と弛んだとき、又は、締結具81を閉め忘れたときにも、この状態で保持される。また、第1の当接部71が受け部22に当接している状態では、整風板6が前後にずれることが無く、受け部22から落下止め部材7が外れて整風板6が落下する虞はない。
次に、図7(C)に示すように、落下止め部材7の第1の当接部71が受け部22と当接する状態から、落下止め部材7の第2の当接部72が受け部22と当接する位置まで、当該整風板6を下方(矢印F2の方向)に移動させる(図5を参照)。このとき、弾性部材である落下止め部材7は、第1の当接部71が受け部22から外れる方向に弾性変形し、第2の当接部72と受け部22とが当接する方向に復元する。その結果、当該整風板6の上端部61は、隣接する他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方に移動し、整風板6の上端部61と他の整風板6Bの下端部62Bとの間には、略一定の隙間d2が確保される。
次に、図7(D)に示すように、落下止め部材7の第2の当接部72が受け部22と当接する状態で、当該整風板6を車両前後方向(矢印F3の方向)へ移動させることによって、第2の当接部72と受け部22との当接状態を解除させる。当該整風板6を車両前後方向(矢印F3の方向)へ移動させる移動量は、当該整風板6の下方ににぎり棒91等の干渉物がある場合には、当該整風板6を更に下方へ移動させるとき、その干渉物と干渉しない位置まで移動させる距離が好ましい。
次に、図7(E)に示すように、落下止め部材7の第2の当接部72と受け部22との当接状態を解除させた上で、当該整風板6の下方ににぎり棒91等の干渉物がある場合には、当該整風板6をその干渉物と干渉しない位置まで移動させた上で、当該整風板6を更に下方(矢印F4の方向)へ移動させる。以上の手順によって、整風板6を、安全かつ簡単に取り外すことができる。なお、整風板6を天井板2の開口部21に装着するときには、上述した手順と逆の手順で行えばよい。
<作用効果>
以上、詳細に説明した本実施形態に係る鉄道車両10の天井構造によれば、整風板6には、当該整風板6の上端部61が車両前後方向に設置された他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動したとき、開口部21に形成された受け部22と当接する落下止め部材7を備えるので、締結具81を弛めて整風板6を開口部21から外したときには、整風板6の上端部61が車両前後方向に設置された他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動した位置で、落下止め部材7と受け部22とが当接することによって、整風板6の更なる下方への移動(落下)を防止させることができる。そのため、整風板6を開口部21から安全に外し、外した整風板6の上端部61が車両前後方向に設置された他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動した位置で、整風板6を一時的に保持することができる。
また、当該落下止め部材7は、受け部22と当接した状態で、当該整風板6を車両前後方向へ移動させることによって受け部22との当接状態が解除されるので、取り外す整風板6の下方に、にぎり棒91や吊り輪92等が設置されていても、当該にぎり棒91や吊り輪92等との干渉を回避できる位置まで整風板6を車両前後方向に移動させるだけで、落下止め部材7と受け部22との当接状態を解除して、整風板6を更に下方へ移動させることができる。そのため、整風板6の下方にも、にぎり棒91や吊り輪92等が設置でき、整風板6を車両前後方向に連続的に設置できる。
よって、本実施形態によれば、鉄道車両10の天井板2に設置されているにぎり棒91や吊り輪92等と干渉することなく車両前後方向に連続的に設置でき、安全かつ簡単に着脱できる横流ファン5の整風板6を備えた鉄道車両10の天井構造を提供することができる。
また、本実施形態によれば、落下止め部材7には、締結具81を弛めた位置で受け部22と当接する第1の当接部71と、整風板6の上端部61が他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動した位置で受け部22と当接する第2の当接部72とを備えているので、整風板6を天井板2の開口部21に取り付ける際、第1の当接部71と受け部22とが当接する位置で整風板6を一時的に保持させ、その保持状態で締結具81を締付けることによって、整風板6を天井板2の開口部21に固着させることができる。そのため、整風板6の装着作業において、整風板6の重量を作業者が支えながら締結具81を締付ける必要がなく、作業者の負担を軽減させることができ、安全性も向上する。また、第1の当接部71は、締結具81を弛めた位置で受け部22と当接するので、締結具81を締め忘れているとき、又は締結具81が弛んでいるときには、整風板6が正規の位置より下がった状態となり、その異常を簡単に発見することができる。また、第1の当接部71が受け部22に当接している状態では、整風板6が前後にずれることが無く、受け部22から落下止め部材7が外れて整風板6が落下する虞はない。また、整風板6の上端部61が他の整風板6Bの下端部62Bより僅かに下方へ移動した位置で受け部22と当接する第2の当接部72とを備えているので、整風板6の落下止め構造が2重構造となり、より安全性を高めることもできる。なお、第1の当接部71と第2の当接部72とは、一体に形成されていても、別体に形成されていてもよい。
また、本実施形態によれば、落下止め部材7は、板バネ鋼が上下方向で略Σ字状断面に形成され、略Σ字状断面の縦壁におけるV字状屈曲部が第1の当接部71を構成し、略Σ字状断面の上水平部が第2の当接部72を構成するので、整風板6を天井板2の開口部21から取り外す際、締結具81を弛めた上、整風板6を下方へ引っ張るだけで、落下止め部材7は、第1の当接部71が受け部22から外れる方向に弾性変形し、第2の当接部72と受け部22とが当接する方向に復元できる。また、整風板6を天井板2の開口部21に取り付ける際、第2の当接部72と受け部22とが当接する状態から、整風板6を上方へ押し上げるだけで、第1の当接部71が受け部22を乗り越えて、乗り越えた後に第1の当接部71と受け部22とが当接する状態にすることができる。そのため、整風板6の着脱作業をより一層安全かつ簡単に行うことができる。
また、本実施形態によれば、落下止め部材7(7a、7b)は、整風板6の前端6a近傍及び後端6b近傍における左右の枠体63上部に装着され、受け部22(22a、22b)は、各落下止め部材7(7a、7b)に対応する位置に形成されているので、車両前後方向に長い整風板6であっても、落下止め部材7(7a、7b)と受け部22(22a、22b)とが当接した時、整風板6を略水平状に保持することができる。そのため、整風板6の着脱作業をより一層安全かつ簡単に行うことができる。
<変形例>
以上、本実施形態の鉄道車両10の天井構造を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態では、落下止め部材7は、板バネ鋼が上下方向で略Σ字状断面に形成され、略Σ字状断面の縦壁74におけるV字状屈曲部が第1の当接部71を構成し、略Σ字状断面の上水平部が第2の当接部72を構成するが、必ずしもこれに限る必要はない。例えば、V字状屈曲部が第1の当接部71を構成する第1の落下止め部材と、上水平部が第2の当接部72を構成する第2の落下止め部材とを、別々に形成してもよい。この場合、第1の落下止め部材のみ、板バネ鋼で形成すればよい。
また、本実施形態では、落下止め部材7(7a、7b)は、整風板6の前端6a近傍及び後端6b近傍における左右の枠体63上部に装着され、受け部22(22a、22b)は、各落下止め部材7(7a、7b)に対応する位置に形成されているが、必ずしもこれに限る必要はない。例えば、図8に示すように、例えば、落下止め部材7Bは、整風板6の前端近傍及び後端近傍における前後の枠体上部に装着され、受け部22Bは、各落下止め部材7Bに対応する位置に形成してもよい。この場合においても、図8(A)〜(E)に示す手順(本実施形態の手順と同様)によって、整風板6を安全かつ簡単に着脱させることができる。
1 屋根構体
2 天井板
3 仕切板
4 中央空間
5 横流ファン
6、6B 整風板
6a 前端
6b 後端
7、7a、7b 落下止め部材
10 鉄道車両
21 開口部
22 受け部
22a、22b 受け部
61 上端部
62、62B 下端部
71 第1の当接部
72 第2の当接部
74 縦壁
81 締結具
S 客室

Claims (4)

  1. 屋根構体と客室とを区画する天井板と、車両左右方向の中央付近において前記屋根構体の下方に前記天井板と連結する左右一対の仕切板と、両仕切板の間に形成される中央空間内に収容される横流ファンと、当該横流ファンの下方で前記天井板に形成された開口部に締結具によって着脱可能に装着される整風板とを備えた鉄道車両の天井構造であって、
    前記整風板には、当該整風板の上端部が車両前後方向に設置された他の整風板の下端部より下方へ移動したとき、前記開口部に形成された受け部と当接する落下止め部材を備え、当該落下止め部材は、前記受け部と当接した状態で、当該整風板を車両前後方向へ移動させることによって前記受け部との当接状態が解除されることを特徴とする鉄道車両の天井構造。
  2. 請求項1に記載された鉄道車両の天井構造において、
    前記落下止め部材には、前記締結具を弛めた位置で前記受け部と当接する第1の当接部と、前記整風板の上端部が前記他の整風板の下端部より下方へ移動した位置で前記受け部と当接する第2の当接部とを備えていることを特徴とする鉄道車両の天井構造。
  3. 請求項2に記載された鉄道車両の天井構造において、
    前記落下止め部材は、板バネ鋼が上下方向で略Σ字状断面に形成され、前記略Σ字状断面の縦壁におけるV字状屈曲部が前記第1の当接部を構成し、前記略Σ字状断面の上水平部が前記第2の当接部を構成することを特徴とする鉄道車両の天井構造。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された鉄道車両の天井構造において、
    前記落下止め部材は、前記整風板の前端近傍及び後端近傍における左右の枠体上部に装着され、前記受け部は、各落下止め部材に対応する位置に形成されていることを特徴とする鉄道車両の天井構造。
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