以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる基板処理装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
(実施形態)
実施形態にかかる基板処理装置について説明する。半導体装置を製造する際には、基板に様々な処理が行われる。例えば、拡散炉が基板に所定の半導体領域を形成し、成膜装置が基板に所定の膜を成膜し、RIE装置が所定のレジストパターンをマスクとして所定の膜に対してエッチング加工を行い、洗浄装置がレジストパターンを除去する。拡散炉、成膜装置、RIE装置、洗浄装置などの基板処理装置は、処理ユニットで基板の処理が繰り返されるに従い、処理ユニットのメンテナンスが行われることがある。
このとき、処理ユニットのメンテナンスは、基板処理装置をオフラインにして基板の処理を中断させるため、半導体装置の製造工程における負荷(製造処理能力の不足)が大きくなりやすい。例えば、基板処理装置が真空系の装置である場合、メンテナンス前に処理ユニットを大気開放する時間やメンテナンス後に処理ユニットを真空引きする時間が大幅にかかる。メンテナンスが半導体装置の製造工程に与える負荷を低減するためには、処理ユニットの真空状態を維持しながらメンテナンスを行うことが望まれる。
また、処理ユニットのメンテナンスは、個人差があり、熟練者が行った場合に比べて、非熟練者が行った場合に、不適切に行われたり非効率に行われたりしやすい。熟練者から非熟練者に適正且つ効率的なメンテナンス方法を伝えようとしても、メンテナンス方法は感覚的な部分が大きいため、伝えるのが難しい。メンテナンスが不適切に行われると半導体装置の製造歩留まりが低下しやすく、メンテナンスが非効率に行われると基板処理装置のオフラインでの停止時間が長時間化しスループットが大幅に低下しやすく、いずれにしても、半導体装置のコストが増大する可能性がある。
さらに、製造すべき半導体装置によっては、安全性についての情報が不十分な状態で新規材料を使うことがある。この場合、新規材料の反応生成物、材料メーカー非開示の添加物などが人体に害を与える可能性があり、人手によるメンテナンス作業の安全性が懸念される。
そこで、本実施形態では、基板処理装置において、処理ユニットの付近にメンテナンス用のマニピュレータを配し、熟練者によるマニピュレータの動作情報に応じてマニピュレータを動作させるなどメンテナンスを自動化することで、メンテナンスの適正化及び効率化を図る。
具体的には、図1に示すように、基板処理装置1は、マルチチャンバー構成であり、複数の処理ユニット10−1,10−2、メンテナンスユニット20、及び搬送ユニット30を有する。図1(a)は、基板処理装置1の構成を示す断面図である。図1(b)は、基板処理装置1の構成を示す平面図である。図1(a)及び図1(b)では、基板が載置されるべき載置面11aに垂直な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。
搬送ユニット30は、基板を搬送する。搬送ユニット30は、各処理ユニット10に基板を搬入したり、各処理ユニット10から基板を搬出したりする。搬送ユニット30は、搬送アーム31、支持ボックス32、及び搬送室33を有する。搬送アーム31は、ハンド31a及びアーム31bを有する。アーム31bは、モータで回転可能に連結された複数のリンク部材を有し、複数のリンク部材を屈曲運動させることでハンド31aをX方向に移動させることができる。支持ボックス32は、Y方向に移動可能であり、複数の処理ユニット10−1,10−2のうち基板を搬入又は搬出すべき処理ユニット10の−X側へ移動できる。
各処理ユニット10は、基板を処理する。基板処理装置1がRIE装置である場合、処理ユニット10は、基板をエッチング加工する。処理ユニット10は、基板ステージ11、エッジリング12、処理室13、側壁14、上壁16、及びシャッタ15を有する。基板ステージ11の上面は、基板が載置されるべき載置面11aを構成している。基板ステージ11には、静電チャック機構などの保持機構(図示せず)が設けられている。エッジリング12は、断面視において載置面11aの側方で基板ステージ11に嵌合するように設けられ、平面視において載置面11aの周縁部に配されている。処理室13は、側壁14、上壁16、及びシャッタ15に囲まれ、排気管51を介して真空装置50で真空引き可能な空間を形成している。側壁14には、その一部(例えば、−X側の部分)に開口14aが設けられている。シャッタ15は、コントローラ40の制御に従い、開口14aを開閉させる。
なお、図1では、コントローラ40が基板処理装置1の外部に設けられる場合が例示されているが、コントローラ40は基板処理装置1内に設けられていてもよい。コントローラ40は、CPU41、データベース42、ディスプレイ43、及び入力インターフェース44を有する。
処理ユニット10では、搬送ユニット30により基板が搬入され載置面11a上に置かれる。処理室13に処理ガスが導入された状態で、処理室13における上壁16と基板ステージ11との間の領域にプラズマが生成され、処理ガスからラジカルとともにイオン(例えば、F+、CF3 +など)が生成される。基板ステージ11等にバイアス電圧が印加されると、プラズマと基板ステージ11との間に電位差(電界)が生じ、プラズマ領域で発生したイオン(例えば、F+、CF3+など)が基板に引き込まれ、基板のエッチング加工(例えば、異方性のエッチング加工)が行われる。
このとき、エッジリング12は、プラズマと基板ステージ11との間の電界が基板の周縁部でZ方向(基板の表面に垂直な方向)に対して偏向しないように電界を調整するために設けられている。エッジリング12は、基板のエッチング加工が行われる際にエッチング加工されることがあり、処理ユニット10における劣化しやすいパーツとなっている。エッジリング12のエッチング加工が許容範囲を超えて進行した場合に、エッジリング12を交換すべきタイミングに到達し得る。
また、エッジリング12を交換すべきタイミングに到達していなくても、基板のエッチング加工に伴い、エッジリング12や基板ステージ11に不要物が付着し得る。エッジリング12や基板ステージ11に不要物が付着したまま放置すると、基板処理時に不要物が基板に再付着してパターン形成不良の原因となったり、不要物を真空装置50が吸い込んで真空装置50の故障を引き起こしたりする可能性がある。
このため、メンテナンスユニット20は、処理ユニット10のメンテナンスを行う。メンテナンスユニット20は、メンテナンス用のマニピュレータ21、駆動機構22、メンテナンス用のロードロック室23、及びシャッタ24を有する。シャッタ24は、ロードロック室23と搬送室33との間を開閉する。ロードロック室23を形成する壁部は、メンテナンス用のマニピュレータ21及び駆動機構22とともに、Y方向に移動可能に構成され得る。
マニピュレータ21は、処理ユニット10の付近に配されており、搬送アーム31及び支持ボックス32に干渉しないようにロードロック室23に収容可能である。ロードロック室23は、搬送室33に隣接して配されている。図1では、ロードロック室23が搬送室33の+Z側に隣接して配された構成が例示されているが、ロードロック室23が搬送室33の−Z側に隣接して配された構成であってもよい。
マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10内のパーツのメンテナンス作業を行う。マニピュレータ21は、メンテナンス作業において複数の処理を行う。メンテナンス作業は、処理ユニット10内のパーツの交換作業、又は処理ユニット10内のパーツの洗浄作業を含む。
例えば、処理ユニット10内のパーツ(例えば、エッジリング12)の交換作業を行う場合、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、第1の処理、第2の処理、及び第3の処理を順次に行う。第1の処理、第2の処理、及び第3の処理は、処理ユニット10から基板が搬出された状態で行われ得る。第1の処理は、マニピュレータ21の少なくとも一部の部分を処理ユニット10内に移動させる処理である。第2の処理は、マニピュレータ21における処理ユニット10内に移動された部分により処理ユニット10内のパーツを保持させる処理である。第3の処理は、パーツを処理ユニット10外へ移動させ、パーツをメンテナンス用のロードロック室23まで搬送させる処理である。なお、ロードロック室23は、排気管71a、三方弁70、及び排気管52を介して真空装置50で真空引き可能な空間を形成している。
あるいは、例えば、処理ユニット10内のパーツ(例えば、エッジリング12又は基板ステージ11)の洗浄作業を行う場合、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、第1の処理及び第4の処理を順次に行う。第1の処理及び第4の処理は、処理ユニット10から基板が搬出された状態で行われ得る。第1の処理は、マニピュレータ21の少なくとも一部の部分を処理ユニット10内に移動させる処理である。第4の処理は、マニピュレータ21における処理ユニット10内に移動された部分により処理ユニット10内のパーツを洗浄する処理である。
より具体的には、マニピュレータ21は、図2に示すように構成される。図2は、マニピュレータ21の構成を示す図である。
マニピュレータ21は、図2(a)、図2(b)に示すように、搬送アーム(第1のアーム)21a、吸着洗浄アーム(第2のアーム)21b、及びレール21cを有する。図2(a)は、搬送アーム21a、吸着洗浄アーム21b、及びレール21cを示す平面図である。図2(b)は、搬送アーム21a、吸着洗浄アーム21b、及びレール21cを示す側面図である。搬送アーム21a及び吸着洗浄アーム21bは、レール21cを介して互いに組み合わされている。レール21cは、ロードロック室23を形成する壁部に固定されている。搬送アーム21a及び吸着洗浄アーム21bは、互いに組み合わされた状態でメンテナンス用のロードロック室23に収容され得る。搬送アーム21a及び吸着洗浄アーム21bは、互いに独立してZ方向及びX方向にそれぞれ移動可能に構成されている。レール21cは、Y方向に略一定の間隔を保ちつつX方向に延びた2つのレールをその両端においてY方向に延びた棒で連結させた構成を有する。
搬送アーム21aは、図2(c)、図2(d)に示すように、ハンド21a1、アーム21a2,21a3、及び駆動素子21a4,21a5を有する。図2(c)は、搬送アーム21a及びレール21cを示す平面図である。図2(d)は、搬送アーム21a及びレール21cを示す側面図である。駆動素子21a4,21a5及びレール21cは例えば直線駆動機構を構成し、レール21cが固定子として機能し、駆動素子21a4,21a5が可動子として機能する。駆動素子21a4,21a5(可動子)とレール21c(固定子)では、一方がスライダー等による可動機構を有し、他方が駆動機構(リニアアクチュエータ)を有する。コントローラ40は、リニアアクチュエータに供給する電流を制御することで、搬送アーム21aをレール21cに沿ってX方向に移動させる。
また、駆動素子21a4,21a5及びアーム21a2,21a3は例えば直線駆動機構を構成し、アーム21a2,21a3が固定子として機能し、駆動素子21a4,21a5が可動子として機能する。駆動素子21a4,21a5(可動子)とアーム21a2,21a3(固定子)とは、一方がスライダー等による可動機構を有し、他方が駆動機構(リニアアクチュエータ)を有する。コントローラ40は、リニアアクチュエータに供給する電流を制御することで、搬送アーム21aをZ方向に移動させる。
吸着洗浄アーム21bは、図2(e)、図2(f)に示すように、ハンド21b1、アーム21b2、及び駆動素子21b3を有する。図2(e)は、吸着洗浄アーム21b及びレール21cを示す平面図である。図2(f)は、吸着洗浄アーム21b及びレール21cを示す側面図である。駆動素子21b3及びレール21cは例えば直線駆動機構を構成し、レール21cが固定子として機能し、駆動素子21b3が可動子として機能する。駆動素子21b3(可動子)とレール21c(固定子)とは、一方がスライダー等による可動機構を有し、他方が駆動機構(リニアアクチュエータ)を有する。コントローラ40は、リニアアクチュエータに供給する電流を制御することで、吸着洗浄アーム21bをレール21cに沿ってX方向に移動させる。
また、駆動素子21b3及びアーム21b2は例えば直線駆動機構を構成し、アーム21b2が固定子として機能し、駆動素子21b3が可動子として機能する。駆動素子21b3(可動子)とアーム21b2(固定子)とは、一方がスライダー等による可動機構を有し、他方が駆動機構(リニアアクチュエータ)を有する。コントローラ40は、リニアアクチュエータに供給する電流を制御することで、吸着洗浄アーム21bをZ方向に移動させる。
コントローラ40は、搬送アーム21aにおける駆動素子21a4,21a5と吸着洗浄アーム21bにおける駆動素子21b3とを、互いに独立して制御可能である。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、搬送アーム21a、吸着洗浄アーム21bを互いに独立してX方向に移動させることができる。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、搬送アーム21a、吸着洗浄アーム21bを互いに独立してZ方向に移動させることができる。
吸着洗浄アーム21bのハンド21b1は、図2(g)に示すように、吸着機構21b11、洗浄機構21b12、撮像素子21b15、フィンガー21b13、及び円盤部21b14を有する。図2(g)は、吸着洗浄アーム21bの構成を示す平面図である。吸着洗浄アーム21bのアーム21b2は、環状部21b21及び棒状部21b22を有する。円盤部21b14は、環状部21b21によりZ方向回りに回転可能に保持されている。円盤部21b14は、複数のフィンガー21b13が連結されており、コントローラ40の制御に従い、回転されることで複数のフィンガー21b13をZ軸回りの回転方向に移動させることができる。複数のフィンガー21b13のそれぞれは、先端部に吸着機構21b11及び洗浄機構21b12が設けられている。
複数のフィンガー21b13のうち1つのフィンガー21b13には、撮像素子21b15が設けられている。撮像素子21b15で撮像された画像は、コントローラ40におけるディスプレイ43に表示され得る。また、撮像素子21b15は、処理ユニット10内のパーツを撮像する際の焦点深度を検出してもよい。画像処理を行った結果または焦点深度を検出した結果により、コントローラ40は、処理ユニット10内のパーツの劣化状態(削れ具合)を判断することができる。あるいは、1つのフィンガー21b13には、撮像素子21b15に加えて測長素子(例えば、レーザ干渉計)が設けられていてもよい。この場合レーザ光の干渉縞の検出結果により、コントローラ40は、処理ユニット10内のパーツの劣化状態(削れ具合)を判断することができる。
吸着機構21b11及び洗浄機構21b12は、図2(h)に示すように構成され得る。図2(h)は、吸着機構21b11及び洗浄機構21b12の構成を示す断面図である。吸着機構21b11は、二重管71dにおける外管の開口端として構成され得る。二重管71dにおける外管は、連結部71cにより、シール性を保ちつつ回転可能に二重管71bにおける外管へ連結されている。すなわち、二重管71dにおける外管は、連結部71c、二重管71bにおける外管、排気管71a、三方弁70、及び排気管72経由でバキュームラインまで排気可能になっている。これにより、吸着機構21b11は、処理ユニット10内のパーツ(例えば、エッジリング12)を吸着することができる。
洗浄機構21b12は、二重管71dにおける内管の開口端として構成され得る。二重管71dにおける内管は、連結部71cにより、シール性を保ちつつ回転可能に二重管71bにおける内管へ連結されている。洗浄機構21b12は、例えばドライアイス供給源からドライアイスの粉末粒子を、供給管71g、二重管71bにおける内管、及び連結部71c経由で、二重管71dにおける内管まで供給可能になっている。これにより、洗浄機構21b12は、処理ユニット10内のパーツ(例えば、エッジリング12又は基板ステージ11)にドライアイスの粉末粒子を吹き付けて洗浄(ドライアイス洗浄)することができる。例えば、エッジリング12又は基板ステージ11に付着した不要物は、その不要物にドライアイスの粉末粒子が付着し昇華する際にエッジリング12又は基板ステージ11から引きはがされ得る。エッジリング12又は基板ステージ11から引きはがされた不要物は、吸着機構21b11によりバキュームラインへと排出され得る。
次に、基板処理装置1の制御方法について図3〜図8を用いて説明する。図3は、基板処理装置1の制御方法を示すフローチャートである。図4(a)〜図4(c)は、基板処理装置1の制御方法を示す平面図である。図5(a)〜図8(c)は、基板処理装置1の制御方法を示す断面図である。
基板処理装置1がオフラインにされて処理ユニット10−1のメンテナンスが開始されると(S1)、搬送アーム31及び支持ボックス32が、搬送室33内において+Y方向に移動され、処理ユニット10−1の−X側の位置から退避される(図4(a)、図5(a)参照)。このとき、マニピュレータ21における搬送アーム21a及び吸着洗浄アーム21bは、メンテナンス用のロードロック室23に収容されている。
シャッタ15は、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10−1の側壁14の開口14aを開く。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、シャッタ24を開状態にしてメンテナンス用のロードロック室23と搬送室33との間を開いた後、吸着洗浄アーム21bを選択的に−Z方向に移動させる(図4(b)、図5(b)参照)。
基板処理装置1は、処理ユニット10−1内のパーツの状態をモニタリングする(S2)。すなわち、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、吸着洗浄アーム21bが開口14aのZ位置に達した後、吸着洗浄アーム21bを+X方向に移動させてその先端部を処理室13内に位置させる(図4(c)、図5(c)参照)。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、吸着洗浄アーム21bの先端部に設けられた撮像素子21b15(図2(g)参照)を介してパーツ(例えば、エッジリング12)の寿命に関する情報を取得する。この情報は、例えば、パーツ(例えば、エッジリング12)の表面を撮像した画像であってもよいし、パーツ(例えば、エッジリング12)の表面を撮像した際の焦点深度の検出結果であってもよいし、レーザー光の干渉縞の検出結果であってもよい。
コントローラ40は、マニピュレータ21(撮像素子21b15)で取得された画像情報を受け、パーツの状態を示す情報としてデータベース42に格納する(S3)。コントローラ40は、画像情報に基づいて、パーツの劣化状態(例えば、エッジリング12の削れ具合)を解析し(S4)、パーツの寿命に達しているか否か、すなわちパーツを交換すべきか否かを判断する(S5)。
例えば、画像情報がパーツの表面の画像である場合、画像処理を行うことなどによりパーツの表面の荒れ具合を数値化し、荒れ具合を示す数値が許容値を超えたことでパーツの寿命に達していると判断できる。あるいは、情報が焦点深度の検出結果である場合、焦点深度の検出結果からパーツの表面の削れ具合(削れ厚さ)を特定でき、削れ厚さが許容値を超えたことでパーツの寿命に達していると判断できる。あるいは、マニピュレータ21にレーザー干渉計が設けられた場合、レーザー光の干渉縞の検出結果からパーツの表面の削れ具合(削れ量)を特定でき、削れ量が許容値を超えたことでパーツの寿命に達していると判断できる。
パーツの寿命に達していない、すなわちパーツを交換すべきでない場合(S5で「OK」)、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、パーツの洗浄を行う(S6)。例えば、三方弁70(図1(a)参照)は、コントローラ40の制御に従い、排気管52及び排気管71aが連通された状態から排気管72及び排気管71aが連通された状態へ切り替える。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、洗浄機構21b12により処理ユニット10側(基板ステージ11等)にドライアイスの粉末粒子を吹き付けて洗浄(ドライアイス洗浄)し、吸着機構21b11により不要物をバキュームラインへと排出させる。洗浄が完了すると、三方弁70(図1(a)参照)は、コントローラ40の制御に従い、排気管72及び排気管71aが連通された状態から排気管52及び排気管71aが連通された状態へ戻す。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、撮像素子21b15(図2(g)参照)を介して処理ユニット10内のパーツの画像を取得する。パーツの画像に応じてパーツの洗浄状態が所望の洗浄状態に達していると判断される場合、メンテナンスが終了される(S7)。
パーツの寿命に達している、すなわちパーツを交換すべき場合(S5で「NG」)、基板処理装置1は、コントローラ40のデータベース42に格納された動作情報421(図1(a)、図1(b)参照)にアクセスし、パーツの種類及び作業内容「パーツの取り外し」に対応する動作情報421を取得する(S9)。基板処理装置1は、取得された動作情報421に応じて、マニピュレータ21を動作させパーツの取り外しを行う(S8)。動作情報421は、搬送アーム21aの位置、吸着洗浄アーム21bの位置、搬送アーム21aの動作速度、吸着洗浄アーム21bの動作速度、吸着洗浄アーム21bの吸着力のそれぞれがパーツの種類及び作業内容「パーツの取り外し」に対応付けられた情報を含む。
例えば、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、吸着洗浄アーム21bの先端部が処理ユニット10−1内のパーツ(例えば、エッジリング12)を吸着するようにする(図6(a)参照)。マニピュレータ21は、パーツを吸着洗浄アーム21bから搬送アーム21aに受け渡し(図6(b)参照)、パーツを搬送アーム21aでメンテナンス用のロードロック室23まで搬送させシャッタ15,24をそれぞれ閉じる(図6(c)参照)。
ディスプレイ43に表示された撮像素子21b15の撮像画像等に応じてパーツの取り外しに失敗した(S10で「NG」)と判断される場合、コントローラ40は、マニピュレータ21の動作をコントローラ40の制御に従った動作からマニュアル操作に従った動作へ切り替える。コントローラ40は、ユーザ(熟練者)からの操作指示を入力インターフェース44経由で受け(S11)、操作指示に応じてマニピュレータ21の動作情報421を補正するための動作補正値を生成する(S12)。コントローラ40は、動作補正値に応じて、作業内容「パーツの取り外し」に対応する動作情報421をデータベース42から取得し、取得された動作情報421を補正し、補正後の動作情報421をデータベース42に格納する。基板処理装置1は、再度、コントローラ40のデータベース42に格納された動作情報421を取得し(S9)、動作情報421に応じて、マニピュレータ21を動作させパーツの取り外しを行う(S8)。
ディスプレイ43に表示された撮像素子21b15の撮像画像等に応じてパーツの取り外しに成功した(S10で「OK」)と判断される場合、シャッタ24を閉じた状態を維持しながらロードロック室23が大気開放され、パーツが取り出される。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10側(基板ステージ11等)の洗浄を行う(S13)。
例えば、シャッタ15は、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10−1の側壁14の開口14aを開く。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、シャッタ24を開き、吸着洗浄アーム21bを−Z方向に移動させる。マニピュレータ21は、吸着洗浄アーム21bが開口14aのZ位置に達した後、吸着洗浄アーム21bを+X方向に移動させてその先端部を処理室13内に位置させる(図7(a)参照)。三方弁70(図1(a)参照)は、コントローラ40の制御に従い、排気管52及び排気管71aが連通された状態から排気管72及び排気管71aが連通された状態へ切り替える。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、洗浄機構21b12により処理ユニット10側(基板ステージ11等)にドライアイスの粉末粒子を吹き付けて洗浄(ドライアイス洗浄)し、吸着機構21b11により不要物をバキュームラインへと排出させる。洗浄が完了すると、三方弁70(図1(a)参照)は、コントローラ40の制御に従い、排気管72及び排気管71aが連通された状態から排気管52及び排気管71aが連通された状態へ戻す。
基板処理装置1は、処理ユニット10側(基板ステージ11等)の状態をモニタリングする(S14)。すなわち、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、撮像素子21b15(図2(g)参照)を介して処理ユニット10側(基板ステージ11等)の画像を取得する。
コントローラ40は、マニピュレータ21(撮像素子21b15)で取得された処理ユニット10側の画像を受け、処理ユニット10側の洗浄状態を示す情報としてデータベース42に格納する(S15)。コントローラ40は、洗浄状態を示す情報に基づいて、処理ユニット10側の状態を解析し(S16)、処理ユニット10側の状態が所望の洗浄状態に達しているか否か判断する(S17)。
処理ユニット10側の状態が所望の洗浄状態に達していない場合(S17で「NG」)、マニピュレータ21は、再度、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10側(基板ステージ11等)の洗浄を行い(S13)、処理ユニット10側(基板ステージ11等)の状態をモニタリングする(S14)。
処理ユニット10側の状態が所望の洗浄状態に達している場合(S17で「OK」)、シャッタ24を閉じた状態を維持しながらロードロック室23が大気開放され、新しいパーツ(例えば、エッジリング12’)がマニピュレータ21(搬送アーム21a)に載置され、ロードロック室23が真空引きされる(図7(b)参照)。
基板処理装置1は、コントローラ40のデータベース42に格納された動作情報421にアクセスし、パーツの種類及び作業内容「パーツの取り付け」に対応する動作情報421を取得する(S19)。基板処理装置1は、取得された動作情報421に応じて、マニピュレータ21を動作させパーツの取り付けを行う(S18)。動作情報421は、搬送アーム21aの位置、吸着洗浄アーム21bの位置、搬送アーム21aの動作速度、吸着洗浄アーム21bの動作速度、吸着洗浄アーム21bの吸着力のそれぞれがパーツの種類及び作業内容「パーツの取り付け」に対応付けられた情報を含む。
例えば、マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、搬送アーム21aでパーツを処理ユニット10−1内まで搬送する。このとき、マニピュレータ21は、搬送アーム21aの先端部と吸着洗浄アーム21bの先端部とをそれぞれ処理室13内に位置させている。マニピュレータ21は、搬送アーム21aに載置されたパーツを吸着洗浄アーム21bで吸着し(図7(c)参照)、パーツを吸着洗浄アーム21bで吸着した状態を維持しながら搬送アーム21aを−X方向に移動させ処理室13から退避させる(図8(a)参照)。マニピュレータ21は、吸着洗浄アーム21bの吸着状態を解除してパーツ(例えば、エッジリング12’)を処理ユニット10−1内に取り付ける(図8(b)参照)。その後、マニピュレータ21は、吸着洗浄アーム21bを−X方向に移動させ処理室13から退避させ、搬送アーム21a及び吸着洗浄アーム21bを+Z方向に移動してメンテナンス用のロードロック室23に収容しシャッタ24を閉じる(図8(c)参照)。
ディスプレイ43に表示された撮像素子21b15の撮像画像等に応じてパーツの取り付けに失敗した(S20で「NG」)と判断される場合、コントローラ40は、マニピュレータ21の動作をコントローラ40の制御に従った動作からマニュアル操作に従った動作へ切り替える。コントローラ40は、ユーザ(熟練者)からの操作指示を入力インターフェース44経由で受け(S21)、操作指示に応じてマニピュレータ21の動作情報421を補正するための動作補正値を生成する(S22)。コントローラ40は、動作補正値に応じて、データベース42に格納された動作情報421を補正し、補正後の動作情報421をデータベース42に格納する。基板処理装置1は、再度、コントローラ40のデータベース42に格納された動作情報421を取得し(S19)、動作情報421に応じて、マニピュレータ21を動作させパーツの取り付けを行う(S18)。
ディスプレイ43に表示された撮像素子21b15の撮像画像等に応じてパーツの取り付けに成功した(S20で「OK」)と判断される場合、基板処理装置1がオンラインにされて処理ユニット10−1のメンテナンスが終了する(S23)。
以上のように、実施形態では、基板処理装置1において、処理ユニット10の付近にメンテナンス用のマニピュレータ21を配する。マニピュレータ21は、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10のメンテナンスを行うことができる。これにより、処理ユニット10のメンテナンスを自動化でき、基板処理装置1が真空系の装置である場合に処理ユニット10の真空状態を維持しながらメンテナンスを行うことができるので、メンテナンスが半導体装置の製造工程に与える負荷を低減できる。すなわち、処理ユニット10のメンテナンスを適正に且つ効率的に行うことができる。
また、実施形態では、基板処理装置1において、マニピュレータ21が、熟練者の操作により補正された動作情報421に応じて、処理ユニット10のメンテナンスを行うことができる。これにより、熟練者が行った場合と同様なレベルにおける処理ユニット10の適正且つ効率的なメンテナンスを容易に実現できるので、半導体装置の製造歩留まりを向上でき、基板処理装置1のオフラインでの停止時間を短縮してスループットを向上できる。
また、実施形態では、基板処理装置1において、マニピュレータ21が、コントローラ40の制御に従い、処理ユニット10のメンテナンスを行うことができる。すなわち、処理ユニット10のメンテナンスを自動化できるので、メンテナンス作業の安全性を容易に確保できる。
なお、図3では、処理ユニット10内のパーツをモニタリングしパーツの劣化状態(寿命に関する情報)を取得することでパーツを交換すべきか否か判断しているが、基板処理装置1による前回のメンテナンス完了後からの基板処理の積算時間に応じてパーツを交換すべきか否か判断してもよい。すなわち、基板処理の積算時間が所定の時間より短ければ、パーツを交換すべきでないと判断され、基板処理の積算時間が所定の時間より長ければ、パーツを交換すべきであると判断される。この場合、マニピュレータ21の吸着洗浄アーム21bは、撮像素子21b15を有しなくてもよい。
また、コントローラ40は、基板処理装置1でユーザ(熟練者)からの操作指示に応じてマニピュレータ21を動作して得られた動作情報421を、他の基板処理装置についてマニピュレータ21を動作させるための情報として用いてもよい。このとき、コントローラ40は、基板処理装置1と他の基板処理装置との機差について、例えば基準位置のずれ等の情報を機差情報422として取得し、取得された機差情報422をデータベース42に格納してもよい(図1(a)、図1(b)参照)。この場合、コントローラ40は、動作情報421を機差情報422で補正し、補正後の動作情報421に応じて他の基板処理装置におけるマニピュレータ21を動作させることができる。これにより、基板処理装置1と他の基板処理装置とのそれぞれについて、処理ユニット10のメンテナンスを適正に且つ効率的に行うことができる。
また、実施形態では処理ユニット10におけるメンテナンスすべきパーツとしてエッジリング12が例示されているが、メンテナンスすべきパーツは、エッジリング12に限定されず、処理ユニット10における劣化し得る他のパーツ(Oリング、側壁14の一部に設けられた図示しない石英製の窓など)であってもよい。
また、実施形態では基板処理装置1がRIE装置である場合を例示しているが、本実施形態の考え方は、基板処理装置1が基板を処理するような他の装置である場合にも適用可能である。例えば、基板処理装置1が拡散炉又は成膜装置である場合、上記の説明を同様に適用できる。基板処理装置1が洗浄装置である場合、上記の説明における「処理室」を「処理槽」に置き換えることで同様に適用できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。