本発明に係る画像形成装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkを並べて配設したタンデム型の画像形成部を備える。各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、画像形成装置本体200に着脱可能に構成されており、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置4と、感光体2の表面を清掃するクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備えている。なお、図1では、イエローのプロセスユニット1Yが備える感光体2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニングブレード5のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット1C,1M,1Bkにおいては符号を省略している。
図1において、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの上方には、感光体2の表面を露光する露光手段としての露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体2の表面へレーザ光を照射する。
各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの下方には、転写装置7が配設されている。転写装置7は、無端状のベルトから構成される転写体としての中間転写ベルト10を有する。中間転写ベルト10は、支持部材としての複数のローラ21〜24に張架されている。ローラ21〜24のうちの1つが駆動ローラとして回転することで、中間転写ベルト10は図の矢印に示す方向に周回走行(回転)する。
4つの感光体2に対向した位置に、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が配設されている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト10の内周面を押圧しており、中間転写ベルト10の押圧された部分と各感光体2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成されている。各一次転写ローラ11は、公知の電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/または交流電圧(AC)が一次転写ローラ11に印加されている。
中間転写ベルト10を張架するローラ24に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が配設されている。二次転写ローラ12は中間転写ベルト10の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10とが接触する箇所に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ12は、一次転写ローラ11と同様に、公知の電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/または交流電圧(AC)が二次転写ローラ12に印加されている。
画像形成装置本体200の下部には、紙やOHP等のシート状の記録媒体としての記録材Pを収容した複数の給紙カセット13が配設されている。本実施の形態においては、ロール状に巻かれ連続する記録媒体であってもよい。各給紙カセット13には、収容されている記録材Pを送り出す給紙ローラ14が設けてある。画像形成装置本体200には、機外に排出された記録材Pをストックする排紙部としての排紙トレイ20が設けてある。
画像形成装置本体200内には、記録材Pを給紙カセット13から二次転写ニップを通って排紙トレイ20へ搬送するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ12の位置よりも記録材搬送方向上流側にはレジストローラ(位置合わせローラ)15が配設されている。また、二次転写ローラ12の位置よりも記録材搬送方向下流側には、加熱装置としての定着装置8、冷却装置9、一対の排出ローラ16が順次配設されている。定着装置8の内部には、例えば、公知のヒータ(熱源)を有する定着部材としての定着ローラ17と、定着ローラ17を加圧する加圧部材としての加圧ローラ18を備える。定着ローラ17と加圧ローラ18とが接触した箇所には、定着ニップが形成されている。なお、定着装置の構成は、ローラに限定されず、ベルト方式であっても構わない。
画像形成装置本体200の上部であって、画像形成装置本体200外には、オペレーションパネル90が設けられている。オペレーションパネル90では、使用する記録材の種類や、片面印刷又は両面印刷などの情報を入力できるようになっている。なお、記録材の種類とは、記録材の厚さや、記録材の大きさ(サイズ)、記録材の材質(例えば、グロス紙であったり普通紙であったりする)等である。
以下、図1を参照して上記画像形成装置の基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの感光体2が図の矢印に示す方向(反時計回り方向)に回転駆動され、帯電ローラ3によって各感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。原稿読取装置100によって読み取られた原稿の画像情報又は公知の外部端末からプリント指示されたプリント情報に基づいて、露光装置6から帯電された各感光体2の表面にレーザ光が照射されて、各感光体2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体2に露光する画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。感光体2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
プリント情報には、使用する記録材の種類、総トナー像の量(総画像量の一例)、片面印刷又は両面印刷などの情報が含まれ、画像情報には、総トナー像の量が含まれるものとする。なお、総トナー像の量は、記録材上に重畳して形成された総トナー像の量であり、各色のトナー画像の面積を足した量であり、プリントやコピーの画素数を各色でカウントすることで得られる。
中間転写ベルト10を張架するローラが回転駆動し、中間転写ベルト10を図の矢印の方向に周回走行させる。各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることで、各一次転写ローラ11と各感光体2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界により、中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト10は、その表面にフルカラーのトナー画像を担持する。中間転写ベルト10に転写しきれなかった各感光体2上のトナーは、クリーニングブレード5によって除去される。
給紙ローラ14が回転することで、給紙カセット13から記録材Pが搬出される。搬出された記録材Pは、レジストローラ15を通過し、二次転写ローラ12と中間転写ベルト10との間の二次転写ニップに送られる。このとき二次転写ローラ12には、中間転写ベルト10上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されているので、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト10上のトナー画像が記録材P上に一括して転写される。その後、記録材Pは、定着装置8に送り込まれ、定着ローラ17と加圧ローラ18によって記録材Pが加圧及び加熱されてトナー画像が記録材P上に定着される。そして、記録材Pは、冷却装置9によって冷却された後、一対の排出ローラ16によって排紙トレイ20に排出される。
両面印刷の場合は、切換爪25a、25bを切り換えて冷却後の記録材Pを反転路26へ導き、その後、切換爪27を切り換えてローラ28を逆回転させ、反転後の記録材Pを反転路29からレジストローラ15へと再給紙して、記録材の表裏を反転させる。このとき、中間転写ベルト10上には裏面画像となるトナー画像を形成して担持させておき、記録材Pの裏面にトナー画像を転写して、定着装置8による定着処理と冷却装置9による冷却処理を経て、排出ローラ16により排紙トレイ20上に排紙する。
定着装置8の記録材搬送方向上流側には、画像形成装置本体200の温度を検知する機内温度センサ91が設けられている。機内温度センサ91が設けられる場所は、この態様に限定されず、画像形成装置本体200の温度の上昇し易い場所に設けられていればよく、例えば、レジストローラ15から切換爪25a、25bまでの搬送路R、反転路26,29の周辺であってもよい。
以上の説明は、記録材にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y,1C,1M,1Bkの何れか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ、3つ又は5つ以上のプロセスユニットを使用して、多色の画像を形成したりすることも可能である。
次に、本発明の実施の形態に係る冷却装置の構成を説明する。図2は、図1に示す冷却装置9の概略構成図である。
冷却装置9は、図2に示すように、ヒートパイプローラ40、ヒートパイプローラ40とで搬送ニップを構成する搬送部50、搬送ニップを通過した記録材Pを案内する排紙ガイド(搬送ガイド)70と、排紙ガイド70を冷却する排紙ガイド冷却ファン(冷却手段の一例)83等を備えている。
ヒートパイプローラ40は、記録材Pを冷却する冷却手段である。
搬送部50は、ヒートパイプローラ40に、図中下方から対向するように設けられ、ヒートパイプローラ40とで記録材Pを挟持搬送する。搬送部50は、ヒートパイプローラ40とで搬送ニップを形成する搬送ベルト51と、搬送ベルト51の記録材搬送方向上流側を架張する駆動ローラ53と、記録材搬送方向下流側を架張するローラ52を有している。
排紙ガイド70は、ヒートパイプローラ40の近傍に配置され、記録材Pを案内する板状のガイド部材であり、記録材Pの搬送路R(図1参照)の上方であって、搬送路Rに沿って形成されている。排紙ガイド70は、記録材Pを記録材搬送方向下流側に案内するガイド部71と、ヒートパイプローラ40の周面に沿って曲げ加工された近接部72とで構成されている。
ヒートパイプローラ40と排紙ガイド70は、アルミや銅等の熱伝導率の高い金属などの部材で形成されており、搬送ベルト51は、ゴム性の部材で形成されている。また、ヒートパイプローラ40と搬送ベルト51は、互いに接触して上記搬送ニップを形成しており、搬送ベルト51が駆動ローラ53の回転駆動によって、図中矢印の方向に回転するとき、ヒートパイプローラ40が従動回転するようになっている。
そして、定着装置8で熱せられて高温になった記録材Pは、ヒートパイプローラ40と搬送ベルト51とが接触する搬送ニップを通過することにより、ヒートパイプローラ40と搬送ベルト51に加圧されながら搬送される。このとき、記録材Pは、ヒートパイプローラ40と接触することでヒートパイプローラ40に熱が奪われて冷却される。
排紙ガイド冷却ファン83は、ガイド部71の上方に設置され、ガイド部71を冷却可能とする。搬送ニップを通過した記録材Pは、ガイド部71に対応する搬送路Rを通過する際に、排紙ガイド70によって冷却される。排紙ガイド冷却ファン83は、後述する制御手段としての制御部95に接続され、制御部95によって、排紙ガイド冷却ファン83のDutyが制御される。Dutyとは、オン信号の時間幅を意味する。なお、排紙ガイド冷却ファン83を、ヒートパイプローラ40と搬送ベルト51の搬送ニップの、記録材搬送方向下流側の搬送路Rの下方に設置され、切換爪25bを冷却することとしてもよい。
次に、ヒートパイプローラ40について、図3,図4を用いて説明する。図3は、図1に示す冷却装置を上方から見た状態を概略的に示す構成図である。図4は、図1に示す冷却装置の断面を概略的に示す断面図である。
ヒートパイプローラ40は、図3に示すように、記録材Pの熱を吸熱する吸熱部であるヒートパイプ42と、ヒートパイプ42の熱を放熱する放熱部である放熱フィン43と、によって構成される冷却部材でもある。
また、冷却装置9は、図3,図4に示すように、気流を発生させる記録材冷却吸気ファン(冷却手段の一例)81及び記録材冷却排気ファン(冷却手段の一例)82と、記録材冷却吸気ファン81、記録材冷却排気ファン82及び放熱フィン43を覆うダクト73を有する。
ダクト73は、2つの開口部を有し、一方の開口部には、記録材冷却吸気ファン81が配置され、他方の開口部には、記録材冷却排気ファン82が配置される。
記録材冷却吸気ファン81が駆動してダクト73内に吸気し、記録材冷却排気ファン82が駆動してダクト73外に排気することで、ダクト73内に気流を発生させ、放熱フィン43からの放熱効率を高め、ヒートパイプローラ40の温度を早急に低下させる。
記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82は、後述する制御部95に接続され、制御部95によって、記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82のDutyが制御される。
なお、本実施の形態では、記録材冷却吸気ファン81が1つ設けられ、記録材冷却排気ファン82が2つ設けられる構成とするが、この態様に限定されず、記録材冷却吸気ファン81が複数設けられてもよく、記録材冷却排気ファン82が1つ又は3つ以上設けられてもよい。
次に、本実施の形態の画像形成装置が備える制御部及びこれに接続される周辺装置について説明する。図5は、図1に示す制御部95の構成を示すブロック図である。
制御部95は、図5に示すように、CPU96と、ROM97と、RAM98等を有している。ROM97には、制御ブログラムや後述するデータテーブルが格納されている。
制御部95の入力ポートには、オペレーションパネル90と、原稿読取装置100、機内温度センサ91と、外部端末が接続されている。オペレーションパネル90からの操作情報、原稿読取装置100からの画像情報、機内温度センサ91からの機内温度情報、外部端末からのプリント指示の情報が制御部95に送信される。
制御部95の出力ポートには、記録材冷却吸気ファン81、記録材冷却排気ファン82及び排紙ガイド冷却ファン83(以下、適宜「冷却ファン」という)が接続されている。制御部95は、オペレーションパネル90からの操作情報、原稿読取装置100からの画像情報、機内温度センサ91からの機内温度情報、外部端末からのプリント指示の情報に基づき、後述するデータテーブルを参照して、冷却ファンの冷却性能を制御する。
制御部95は、装置全体の制御を司るものであり、ROM97やRAM98内に記憶している制御プログラムに基づいて、各機器の駆動を制御する。
[第1実施形態]
制御部95による制御の第1実施形態について説明する。
先ず、ROM97に格納されているデータテーブルについて説明する。図6は、図1に示す制御部の第1実施形態に係る制御に使用するデータテーブルを示す図である。
第1実施形態に係る制御に使用するデータテーブルでは、総トナー像の量に応じて、冷却ファンのDutyを規定する。なお、総トナー像の量とは、記録材上に重畳して形成された総トナー像の量であり、各色のトナー画像の面積を足した量である。総トナー像の量は、プリント情報や画像情報に含まれ、プリントやコピーの画素数を各色でカウントすることで得られる。
総トナー量が「少」に対しては、冷却ファンのDutyが「Low」に対応付けられている。総トナー量が「多」に対しては、冷却ファンのDutyが「High」に対応付けられている。
なお、総トナー量が所定の閾値より多い場合を総トナー量が「多」とし、総トナー量が所定の閾値より少ない場合を総トナー量が「少」とする。Dutyが「High」の場合は、Dutyが「Low」の場合より、オン信号の時間幅が長いこととする。
次に、第1実施形態に係る制御について、フローチャートを参照して説明する。図7は、図1に示す制御部の第1実施形態に係る制御を説明するフローチャートである。
印刷処理を開始し、制御部95がジョブを受信する(ステップS11)と、制御部95は、総トナー量が「少」であるか否かを判定する(ステップS12)。
制御部95は、総トナー量が「少」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Low」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS13)。一方、制御部95は、総トナー量が「多」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS14)。
次いで、制御部95は、印刷ジョブを実行する(ステップS15)。
次いで、制御部95は、冷却ファンのDutyを初期設定値にリセットする(ステップS16)。
次いで、制御部95は、次のジョブがあるか否かを判定する(ステップS17)。
制御部95は、次のジョブがあると判定したときは、ステップS11に戻る。一方、制御部95は、次のジョブがないと判定したときは、冷却ファンを停止して(ステップS18)、印刷処理を終了する。
これにより、記録材に重畳して形成された総トナー像の量を考慮して、冷却ファンを駆動できる。そのため、冷却ファンの駆動により発生する騒音の低減及び省エネルギー化を図りつつ、ブロッキングの防止を行うことができる。また、一の印刷ジョブが終了すると、Dutyを初期設定値にリセットするため、印刷ジョブ毎にDutyを設定でき、ブロッキング対策及び騒音対策をより効率的に行うことができる。
[第2実施形態]
制御部95による制御の第2実施形態について説明する。
先ず、ROM97に格納されているデータテーブルについて説明する。図8は、図1に示す制御部の第2実施形態に係る制御に使用するデータテーブルを示す図である。
第1実施形態に係る制御に使用するデータテーブルでは、総トナー像の量及び記録材の種類に応じて、冷却ファンのDutyを規定する。
図8(a)に示すように、総トナー量が「少」で且つ記録材の厚さ(記録材の種類の一例)が「薄」に対しては、冷却ファンのDutyが「Low」に対応付けられている。総トナー量が「少」で且つ記録材の厚さが「厚」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。総トナー量が「多」で且つ記録材の厚さが「薄」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。総トナー量が「多」で且つ記録材の厚さが「厚」に対しては、冷却ファンのDutyが「High」に対応付けられている。
なお、総トナー量が所定の閾値より多い場合を総トナー量が「多」とし、総トナー量が所定の閾値より少ない場合を総トナー量が「少」とする。Dutyが「High」の場合は、Dutyが「Mid」の場合より、オン信号の時間幅が長く、Dutyが「Mid」の場合は、Dutyが「Low」の場合より、オン信号の時間幅が長い。記録材の厚さが所定の閾値より厚い場合を記録材の厚さが「厚」とし、記録材の厚さが所定の閾値より薄い場合を記録材の厚さが「薄」とする。
なお、記録材の種類は、図8(a)に示す記録材の厚さに限定されない。例えば、記録材の種類は、図8(b)に示すように、記録材の材質(図示の例では、「グロス紙」又は「普通紙」)であってもよい。また、記録材の種類は、図8(c)に示すように、記録材のサイズ(図示の例では、「小サイズ」又は「大サイズ」)であってもよい。
次に、第2実施形態に係る制御について、フローチャートを参照して説明する。図9は、図1に示す制御部の第2実施形態に係る制御を説明するフローチャートである。
印刷処理を開始し、制御部95がジョブを受信する(ステップS21)と、制御部95は、総トナー量が「少」であるか否かを判定する(ステップS22)。
制御部95は、総トナー量が「少」であると判定した場合、記録材の厚さが「薄」である否かを判定する(ステップS23)。制御部95は、記録材の厚さが「薄」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Low」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS24)。一方、制御部95は、記録材の厚さが「厚」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS25)。
ステップS22において、制御部95は、総トナー量が「多」であると判定した場合、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定する(ステップS123)。制御部95は、記録材の厚さが「薄」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS124)。一方、制御部95は、記録材の厚さが「厚」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS125)。
次いで、制御部95は、印刷ジョブを実行する(ステップS26)。
次いで、制御部95は、冷却ファンのDutyを初期設定値にリセットする(ステップS27)。
次いで、制御部95は、次のジョブがあるか否かを判定する(ステップS28)。
制御部95は、次のジョブがあると判定したときは、ステップS21に戻る。一方、制御部95は、次のジョブがないと判定したときは、冷却ファンを停止して(ステップS29)、印刷処理を終了する。
なお、上述のフローチャートでは、ステップS23及びスッテプS123において、制御部95は、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定しているが、この態様に限定されない。例えば、制御部95は、記録材の材質が「普通紙」であるか否かを判定してもよいし、記録材のサイズが「小サイズ」であるか否かを判定してもよい。
これにより、記録材に重畳して形成された総トナー像の量及び記録材の種類を考慮して、冷却ファンを駆動できる。そのため、ブロッキングの防止を行うとともに、冷却ファンの駆動により発生する騒音の低減及び省エネルギー化を一層図ることができる。
[第3実施形態]
制御部95による制御の第3実施形態について説明する。
先ず、ROM97に格納されているデータテーブルについて説明する。図10は、図1に示す制御部の第3実施形態に係る制御に使用するデータテーブルを示す図である。
第3実施形態に係る制御に使用するデータテーブルでは、総トナー像の量及び印字面に応じて、冷却ファンのDutyを規定する。
図10に示すように、総トナー量が「少」で且つ印字面が「片面」に対しては、冷却ファンのDutyが「Low」に対応付けられている。総トナー量が「少」で且つ印字面が「両面」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。総トナー量が「多」で且つ印字面が「片面」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。総トナー量が「多」で且つ印字面が「両面」に対しては、冷却ファンのDutyが「High」に対応付けられている。
なお、総トナー量が所定の閾値より多い場合を総トナー量が「多」とし、総トナー量が所定の閾値より少ない場合を総トナー量が「少」とする。Dutyが「High」の場合は、Dutyが「Mid」の場合より、オン信号の時間幅が長く、Dutyが「Mid」の場合は、Dutyが「Low」の場合より、オン信号の時間幅が長い。記録材の印字面が片面の場合を印字面が「片面」とし、記録材の印字面が両面の場合を印字面が「両面」とする。
次に、第3実施形態に係る制御について、フローチャートを参照して説明する。図11は、図1に示す制御部の第3実施形態に係る制御を説明するフローチャートである。
印刷処理を開始し、制御部95がジョブを受信する(ステップS31)と、制御部95は、総トナー量が「少」であるか否かを判定する(ステップS32)。
制御部95は、総トナー量が「少」であると判定した場合、印字面が「片面」である否かを判定する(ステップS33)。制御部95は、印字面が「片面」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Low」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS34)。一方、制御部95は、印字面が「両面」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS35)。
ステップS32において、制御部95は、総トナー量が「多」であると判定した場合、印字面が「片面」であるか否かを判定する(ステップS133)。制御部95は、印字面が「片面」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS134)。一方、制御部95は、印字面が「両面」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS135)。
次いで、制御部95は、印刷ジョブを実行する(ステップS36)。
次いで、制御部95は、冷却ファンのDutyを初期設定値にリセットする(ステップS37)。
次いで、制御部95は、次のジョブがあるか否かを判定する(ステップS38)。
制御部95は、次のジョブがあると判定したときは、ステップS31に戻る。一方、制御部95は、次のジョブがないと判定したときは、冷却ファンを停止して(ステップS39)、印刷処理を終了する。
これにより、記録材に重畳して形成された総トナー像の量及び印字面を考慮して、冷却ファンを駆動できる。そのため、ブロッキングの防止を行うとともに、冷却ファンの駆動により発生する騒音の低減及び省エネルギー化を一層図ることができる。
[第4実施形態]
制御部95による制御の第4実施形態について説明する。
先ず、ROM97に格納されているデータテーブルについて説明する。図12は、図1に示す制御部の第4実施形態に係る制御に使用するデータテーブルを示す図である。
第4実施形態に係る制御に使用するデータテーブルでは、総トナー像の量、記録材の種類、及び印字面に応じて、冷却ファンのDutyを規定する。
図10(a)に示すように、印字面が「片面」、総トナー量が「少」、且つ記録材の厚さ(記録材の種類の一例)が「薄」に対しては、冷却ファンのDutyが「Low」に対応付けられている。印字面が「片面」、総トナー量が「少」、且つ記録材の厚さが「厚」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。印字面が「片面」、総トナー量が「多」、且つ記録材の厚さが「薄」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。印字面が「片面」、総トナー量が「多」、且つ記録材の厚さが「厚」に対しては、冷却ファンのDutyが「High」に対応付けられている。印字面が「両面」、総トナー量が「少」、且つ記録材の厚さが「薄」に対しては、冷却ファンのDutyが「Low」に対応付けられている。印字面が「両面」、総トナー量が「少」、且つ記録材の厚さが「厚」に対しては、冷却ファンのDutyが「High」に対応付けられている。印字面が「両面」、総トナー量が「多」、且つ記録材の厚さが「薄」に対しては、冷却ファンのDutyが「Mid」に対応付けられている。印字面が「両面」、総トナー量が「多」、且つ記録材の厚さが「厚」に対しては、冷却ファンのDutyが「High」に対応付けられている。
なお、総トナー量が所定の閾値より多い場合を総トナー量が「多」とし、総トナー量が所定の閾値より少ない場合を総トナー量が「少」とする。Dutyが「High」の場合は、Dutyが「Mid」の場合より、オン信号の時間幅が長く、Dutyが「Mid」の場合は、Dutyが「Low」の場合より、オン信号の時間幅が長い。記録材の厚さが所定の閾値より厚い場合を記録材の厚さが「厚」とし、記録材の厚さが所定の閾値より薄い場合を記録材の厚さが「薄」とする。記録材の印字面が片面の場合を印字面が「片面」とし、記録材の印字面が両面の場合を印字面が「両面」とする。
なお、記録材の種類は、図10(a)に示す記録材の厚さに限定されない。例えば、記録材の種類は、図10(b)に示すように、記録材の材質(図示の例では、「グロス紙」又は「普通紙」)であってもよい。また、記録材の種類は、図10(c)に示すように、記録材のサイズ(図示の例では、「小サイズ」又は「大サイズ」)であってもよい。
次に、第4実施形態に係る制御について、フローチャートを参照して説明する。図13は、図1に示す制御部の第4実施形態に係る制御を説明するフローチャートである。
印刷処理を開始し、制御部95がジョブを受信する(ステップS41)と、制御部95は、総トナー量が「少」であるか否かを判定する(ステップS42)。
制御部95は、総トナー量が「少」であると判定した場合、印字面が「片面」であるか否かを判定する(ステップS43)。制御部95は、印字面が「片面」であると判定したときは、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定する(ステップS44)。制御部95は、記録材の厚さが「薄」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Low」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS45)。一方、制御部95は、記録材の厚さが「厚」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS46)。
ステップS43において、制御部95は、印字面が「両面」であると判定したときは、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定する(ステップS144)。制御部95は、記録材の厚さが「薄」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS145)。一方、制御部95は、記録材の厚さが「厚」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS146)。
ステップS42において、制御部95は、総トナー量が「多」であると判定した場合、印字面が「片面」であるか否かを判定する(ステップS243)。制御部95は、印字面が「片面」であると判定したときは、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定する(ステップS244)。制御部95は、記録材の厚さが「薄」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS245)。一方、制御部95は、記録材の厚さが「厚」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS246)。
ステップS243において、制御部95は、印字面が「両面」であると判定したときは、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定する(ステップS344)。制御部95は、記録材の厚さが「薄」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「Mid」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS345)。一方、制御部95は、記録材の厚さが「厚」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動する(ステップS346)。
次いで、制御部95は、印刷ジョブを実行する(ステップS47)。
次いで、制御部95は、冷却ファンのDutyを初期設定値にリセットする(ステップS48)。
次いで、制御部95は、次のジョブがあるか否かを判定する(ステップS49)。
制御部95は、次のジョブがあると判定したときは、ステップS41に戻る。一方、制御部95は、次のジョブがないと判定したときは、冷却ファンを停止して(ステップS50)、印刷処理を終了する。
なお、上述のフローチャートでは、ステップS44、ステップS144、ステップS244及びスッテプS344において、制御部95は、記録材の厚さが「薄」であるか否かを判定しているが、この態様に限定されない。例えば、制御部95は、記録材の材質が「普通紙」であるか否かを判定してもよいし、記録材のサイズが「小サイズ」であるか否かを判定してもよい。
これにより、記録材に重畳して形成された総トナー像の量、記録材の種類及び印字面を考慮して、冷却ファンを駆動できる。そのため、ブロッキングの防止を行うとともに、冷却ファンの駆動により発生する騒音の低減及び省エネルギー化を一層図ることができる。
[第5実施形態]
制御部95による制御の第5実施形態について説明する。
先ず、ROM97に格納されているデータテーブルについて説明する。図14は、図1に示す制御部の第5実施形態に係る制御に使用するデータテーブルを示す図である。
第5実施形態に係る制御に使用するデータテーブルでは、機内温度に応じて、冷却ファンのDutyを規定する。
図14に示すように、機内温度が「低」に対しては、冷却ファンのDutyが上記第1〜第4実施形態の制御に基づくDutyに対応付けられている。機内温度が「高」に対しては、冷却ファンのDutyを「High」に対応付けられている。
なお、機内温度が所定の閾値より高い場合を機内温度が「高」とし、機内温度が所定の閾値より低い場合を機内温度が「低」とする。
次に、第5実施形態に係る制御について、フローチャートを参照して説明する。図15は、図1に示す制御部の第5実施形態に係る制御を説明するフローチャートである。
印刷処理を開始し、制御部95がジョブを受信する(ステップS51)と、制御部95は、機内温度が「低」であるか否かを判定する(ステップS52)。制御部95は、機内温度が「低」であると判定したときは、Aに進む。一方、制御部95は、機内温度が「高」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定して、冷却ファンを駆動し(ステップS53)、Bに進む。
Aに進むと、第1実施形態では、図7に示すように、ステップS12に進み、第2実施形態では、図9に示すように、ステップS22に進み、第3実施形態では、図11に示すように、ステップS32に進み、第4実施形態では、図13に示すように、ステップS42に進む。
Bに進むと、第1実施形態では、図7に示すように、ステップS15に進み、第2実施形態では、図9に示すように、ステップS26に進み、第3実施形態では、図11に示すように、ステップS36に進み、第4実施形態では、図13に示すように、ステップS47に進む。
これにより、記録材に重畳して形成された総トナー像の量、記録材の種類、印字面に加え、機内温度を考慮して、冷却ファンを駆動できる。そのため、ブロッキングの防止を行うとともに、冷却手段の駆動により発生する騒音の低減及び省エネルギー化を一層図ることができる。
[第6実施形態]
制御部95による制御の第6実施形態について説明する。第5実施形態では、印刷ジョブ毎に検知した機内温度に基づいて冷却ファンのDutyを制御しているが、第6実施形態では、印刷ジョブ中に検知した機内温度に基づいて冷却ファンのDutyを制御する
具体的には、フローチャートを参照して説明する。図16は、図1に示す制御部の第6実施形態に係る制御を説明するフローチャートである。制御部の第6実施形態に係る制御は、上述の第1実施形態〜第5実施形態の制御に適用可能である。
印刷処理を開始すると、制御部95は、第1実施形態(第5実施形態を含む)では、図7に示すように、ステップS11からステップS15を経てCに進み、第2実施形態(第5実施形態を含む)では、図9に示すように、ステップS21からステップS26を経てCに進み、第3実施形態(第5実施形態を含む)では、図11に示すように、ステップS31からステップS36を経てCに進み、第4実施形態(第5実施形態を含む)では、図13に示すように、ステップS41からステップS47を経てCに進む。
Cに進むと、図16に示すように、制御部95は、機内温度が「低」であるか否かを判定する(ステップS61)。制御部95は、機内温度が「低」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを維持する(ステップS62)。一方、制御部95は、機内温度が「高」であると判定したときは、冷却ファンのDutyを「High」に設定し、冷却ファンを駆動する(ステップS63)。
次いで、制御部95は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する(ステップS64)。制御部95は、印刷ジョブが終了していないと判定したときは、ステップS61に戻る。一方、制御部95は、印刷ジョブが終了していると判定したときは、Dに進む。
Dに進むと、第1実施形態(第5実施形態を含む)では、図7に示すように、ステップS16に進み、第2実施形態(第5実施形態を含む)では、図9に示すように、ステップS27に進み、第3実施形態(第5実施形態を含む)では、図11に示すように、ステップS37に進み、第4実施形態(第5実施形態を含む)では、図13に示すように、ステップS48に進む。
これにより、印刷ジョブ中に変動する機内温度を考慮して、冷却ファンを駆動できる。そのため、ブロッキングの防止を行うとともに、冷却手段の駆動により発生する騒音の低減及び省エネルギー化を一層図ることができる。
次に、本発明の別の実施の形態に係る冷却装置の構成を説明する。図17は、図1に示す冷却装置の別の実施形態を概略に示す構成図である。図17(a)は装置正面側から見た冷却装置の概略側面図、図17(b)は装置上面側から見た冷却装置の概略平面図である。
冷却装置9は、記録材Pの裏面を冷却する第1受熱面32を有する第1冷却装置としての第1冷却部30と、第1冷却部30より記録材搬送方向下流に配置され記録材の表面を冷却する第2受熱面41を有するとともに、第2受熱面41の形状が第1受熱面32の形状と異なる第2冷却装置としての第2冷却部40と、第1受熱面32に対して内周面が摺接し、且つ第2受熱面41と外周面とで記録材を挟持し搬送するベルト部材としての搬送ベルト51と、搬送ベルト51を駆動するベルト駆動手段としての駆動ローラ53とを有している。
具体的には、第1冷却部30は、記録材搬送方向に幅を有する平板形状の第1受熱面32を有するヒートシンクであり、第2冷却部40よりも記録材搬送方向上流側に配置されている。ヒートシンクは、第1受熱面32に対して記録材搬送路から離れる方向且つ記録材搬送方向と直交する方向に延在する複数の放熱部材としてのフィン31と、フィン31間の流体流路34を通過する気流を発生させる気流を発生させる冷却手段としての記録材冷却ファン(冷却ファン)84と、を有する。第1受熱面32及びフィン31は、金属で構成されており、第1受熱面32で受けた記録材からの熱を、フィン31を介して放熱することができる。フィン31は、図17(b)に示すように、搬送ベルト51の真下(搬送ベルト51の搬送方向と直交する幅内に対向)に配置されている。
記録材冷却ファン84は、ヒートシンクの手前(画像形成装置の正面)と背面(画像形成装置の後方)に設けられている。図17(b)に示すように、手前の記録材冷却ファン84は、フィン31に向けて空気を排出する。背面の記録材冷却ファン84は、フィン31の内部の空気を吸い込み、画像形成装置の外に気流を排気する。なお、手前の記録材冷却ファン84のみがヒートシンクの手前に設けられてもよい。また、気流の方向は、逆であってもよい。フィン31は、図17(b)において、流体(気流)の流れる流体流路34を、紙面垂直方向に形成する。第1冷却部30における流体流路34は、記録材搬送方向と交差する方向に形成される。
図17(a)に示すように、冷却装置9よりも記録材搬送方向上流側に配置された定着装置8を通過した記録材Pは、冷却装置9の搬送ローラ65,66と第1受熱面32の間に形成された搬送路に搬送されることで、第1受熱面32によって記録材の熱が奪われる。そして、第1受熱面32の熱は、フィン31を介して放熱され、記録材冷却ファン84によって機外に排出される。なお、図17(b)では、搬送ローラ65,66の図示を省略している。
第2冷却部40は、回転可能な円筒状のヒートパイプローラである。ヒートパイプローラの第2受熱面41は、第1受熱面32を通過した記録材Pの搬送方向を変更する形状を有する。第2冷却部40は、記録材を巻き付けることが可能なため、記録材を冷却しながら搬送方向を変えることが可能である。ヒートパイプローラとヒートシンクとの組合せにより、高い冷却能力が得られる。記録材のトナー像が形成されている面と第2冷却部40とが対向(接触)するが、第2冷却部40が搬送方向下流にあるので、記録材上の画像へのストレスを抑制しつつ、搬送角度を変更することが可能である。
ヒートパイプローラは、ヒートパイプ内部42に冷媒が封入されたパイプ状のローラである。ヒートパイプローラは、第2受熱面41を形成する回転部材と、該回転部材の内部に冷媒が収容される収容部である流体流路としてのヒートパイプ内部42と、記録材の熱により気化した収容部内の冷媒を熱交換して液化する放熱部である放熱フィン43と、を有する。
また、冷却装置9は、上述の実施の形態と同様に、気流を発生させる記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82と、記録材冷却吸気ファン81、記録材冷却排気ファン82及び放熱フィン43を覆うダクト73を有する。
図17(b)に示すように、ヒートパイプローラの長手方向一端(奥側)には放熱フィン43が設けられており、冷媒の熱を放散するように構成されている。第2放熱部としての放熱フィン43は、図17(b)に示すように、搬送ベルト51に対して外側に配置され、第1放熱部としてのフィン31と位置が異なる。ヒートパイプローラの外周は、搬送される記録材Pの表面(片面印刷時における画像面)と接しながら、時計回りに搬送ベルト51の移動に伴って連れ回る。
ヒートパイプローラの外周は、記録材Pと接する第2受熱面41であり、記録材Pの熱がこの第2受熱面41で奪われる。第2受熱面41の断面形状は、円形であり、第1受熱面32の形状とは異なる。記録材Pからの熱を受けたヒートパイプ内部42の液状の冷媒は、ここで気化し、発生した蒸気は、ヒートパイプ内部42の中央の通路(流体流路)を通って放熱フィン43が設けられた奥側に移動する(図17(b))。冷媒(蒸気)は、記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82からの気流により冷やされた放熱フィン43の部位に触れて、熱交換されて凝縮し、液状となる(図17(b))。そして、冷媒は、ヒートパイプ内部42の通路を通って再び手前側の受熱部に移動し、熱交換されて気化される。このサイクルが繰り返される。ここで、図17(a)においてヒートパイプ内部42は、紙面垂直方向に流体(液状の冷媒、気化した気体)が流れる流体流路を形成する。図17(b)において、流体流路は、記録材搬送方向と交差する方向に延在する。
搬送部50は、ループ状の回動ベルトとして形成された搬送ベルト51と、駆動ローラ53と、従動ローラ52,54,55と、搬送ローラ65,66と、を有する。駆動ローラ53は、駆動モータにより反時計回りに回転することで、搬送ベルト51を移動させる。搬送ベルト51は、図17(b)において右から左に移動し、記録材Pを搬送する。冷却装置9への記録材進入方向と、冷却装置9からの記録材排出方向は異なる方向となっている。搬送ベルト51と第2受熱面41とのニップ出口の位置を、排出ローラ16の方向に設定することで、冷却装置9から排出された記録材Pの方向を排出ローラ16の方向に方向転換するための排紙ガイドが不要となり、排紙ガイドの数を抑制することができる。
搬送ベルト51は、第1受熱面32に対して内周面が摺接し、且つ第2受熱面41と外周面とで記録材を挟持し搬送する。搬送ベルト51は、第1受熱面32と第2受熱面41の両方に接触する共通ベルトとして機能する。なお、第1冷却部30及び第2冷却部40の受熱面の形状は、上記態様に限られない。例えば、第1冷却部30をローラ形状とし、第2冷却部40をローラ形状とは異なる形状(例えば曲面形状)としてもよい。搬送ベルト51は、定着装置8と接触しないように配置される。
これにより、定着装置8から排出される記録材の方向(図17(a)における左右方向)を、冷却装置9から排出される記録材排出方向(図17(a)における上下方向)に変更することができる。上流及び下流のベルト及び駆動ローラ53を共通化できるので、装置の大型化が抑制される。また、第1冷却部30及び第2冷却部40の何れか一方をヒートパイプローラとしたときに、他方をヒートパイプ方式とは異なる冷却方法とすると、両方をヒートパイプ方式とした場合に比べて、第1冷却部30及び第2冷却部40を記録材搬送方向に近づけることができる。すなわち、第2冷却部40の放熱フィン43の外周面は、第2受熱面41の外周面よりも外側に位置し、第1冷却部30の一部(フィン31など)は、放熱フィン43の外周面よりも内側に配置されている。そのため、第1冷却部30と第2冷却部40との間の記録材が冷却されない区間を短くできる。その結果、冷却効率が向上する。また、記録材の表裏を冷却するので、より高い冷却効果を得ることができる。また、ヒートシンクをヒートパイプローラにより近づけることができ、装置を小型化することが可能となる。
第1冷却部30と第2冷却部40は、記録材搬送方向と交差する方向に互いに対向しておらず、記録材搬送方向に互いにずれて配置されている。第1冷却部30と第2冷却部40の受熱面形状が異なるため、これらを対向させた場合は記録材Pとの良好な接触領域を確保することが困難である。したがって、複数の冷却装置を記録材搬送方向にずらして配置することにより、各々の受熱面の形状に応じて接触領域の構成を最適化し、記録材Pとの接触領域を十分に確保することが可能となる。
また、定着装置8に近い側(記録材搬送方向上流側)には、第1冷却部30を配置し、下流側に第2冷却部40を配置している。搬送ローラ65,66と第1受熱面32のニップ部と、第2受熱面41と搬送ベルト51の接触面からなるニップ部の開始点とは、ほぼ同一の高さにあり、記録材Pは、第1冷却部30から第2冷却部40へスムーズに搬送される。第2冷却部40は、その外周に記録材Pを巻き付けるため、記録材Pを冷却しながら巻き付け角度に応じて搬送方向(搬送角度)を変えることが可能である。しかしながら、初めに第2冷却部40で記録材Pを冷却する場合、第2冷却部40は、定着装置8を通過した高温状態の記録材Pに曲率負荷を与え、且つ冷却を行うため、記録材Pに巻き付け方向の巻き癖(カール)を付与することになる。これに対し、第1冷却部30は、記録材搬送方向に幅を有しており、曲率負荷の少ない第1冷却部30により高温状態の記録材Pを冷却することでカールを抑制し、記録材が冷却されて安定した状態で、第2冷却部40に案内することが可能である。
更に、第1冷却部30が、定着装置8でトナー画像が定着された面側と反対側に配置されており、第2冷却部40が、記録材搬送路を挟んで第1冷却部30の反対側に配置されている。この位置関係によれば、第1冷却部30の上側に空間を確保できるため、定着装置8と第2冷却部40の間で記録材Pの詰りが発生した場合に、ユーザーが詰まった記録材の処理を行うときの視認性、除去性が向上される。
なお、第1冷却部30の第1受熱面32及び第2冷却部40の第2受熱面41の温度は、室温と同等に保たれており、平温環境では20〜30℃の範囲にある。ここで第1冷却部30の第1受熱面32は、第2冷却部40の第2受熱面41よりも、記録材Pとの接触幅が長く、記録材Pとの接触領域を確保し易い形状のため、より高い冷却効果を有する。
また、記録材冷却ファン84、記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82には、制御部95が接続され、制御部95は、上述の実施の形態の冷却装置における冷却ファンの制御と同様の制御を、記録材冷却ファン84、記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82に実行できる。
なお、第1冷却部30と第2冷却部40は図17の態様に限られない。例えば図18に示す液冷方式を採用しても構わない。図18は、図17に示す冷却装置の第1冷却部に液冷ジャケットを採用した場合の冷却装置を概略的に示す構成図である。図18(a)は、装置正面側から見た冷却装置の概略側面図、図18(b)は、装置上面側から見た冷却装置の概略平面図である。
冷却装置9は、図18(a)に示すように、記録材Pの裏面(片面印刷時における非画像面)を冷却する第1受熱面32を有する第1冷却装置としての第1冷却部30と、第1冷却部30より記録材搬送方向下流に配置され記録材の表面(片面印刷時における非画像面)を冷却する第2受熱面41を有するとともに、第2受熱面41の形状が第1受熱面32の形状と異なる第2冷却装置としての第2冷却部40と、第1受熱面32に対して内周面が摺接し、且つ第2受熱面41と外周面とで記録材を挟持し搬送するベルト部材としての搬送ベルト51と、搬送ベルト51を駆動するベルト駆動手段としての駆動ローラ53とを有している。また、第1冷却部30及び第2冷却部40は、流体(液体)が流れる流路を有する。第1冷却部30及び第2冷却部40における流路は、記録材搬送方向と交差する方向に形成される。
第1冷却部30の液冷ジャケット67は、内部に液体を循環させる液流路を備える液冷却方式である。冷えた流体(液体)がジャケット内部の流体流路63を流れることで、第1受熱面32が冷え、この受熱面によって定着後の記録材Pが冷却される。一方、第2冷却部40は、図17に示した第2冷却部と同じ構成である。このようにヒートパイプローラと液冷ジャケット方式とを組合せることにより、高い冷却能力が得られる。
図18(b)に示すように、第1受熱面32で受けた記録材Pの熱によって温められた液体は、液体を溜めるタンク61、冷却液を循環させるためのポンプ62を通過し、放熱部として機能するラジエータ60で冷やされる。その後、液体は、ジャケット内部の流体流路63を再び流れる。液体(冷却液)には、例えば、水を主成分とし、凍結温度を下げるためのプロピレングリコール又はエチレングリコールや、金属製の部品の錆を防止するための防錆剤(例えば、リン酸塩系物質:リン酸カリ塩、無機カリ塩等)が添加されたもの等がある。
ラジエータ60の上方には、ラジエータ60に向けて気流を発生させる冷却手段としてのラジエータ冷却ファン(冷却ファン)85が設けられている。
ラジエータ冷却ファン85、記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82には、制御部95が接続され、制御部95は、上述の実施の形態の冷却装置における冷却ファンの制御と同様の制御を、ラジエータ冷却ファン85、記録材冷却吸気ファン81及び記録材冷却排気ファン82に実行できる。
第2冷却部40として、図17(a)のヒートパイプローラに替えて、ローラ内に流体流路63を有する液冷ローラ方式の冷却装置を採用しても構わない。図19は、図17に示す冷却装置の第2冷却部に液冷ローラ方式を採用した場合の冷却装置を概略的に示す構成図である。
冷却装置9は、図19に示すように、記録材Pの裏面(片面印刷時における非画像面)を冷却する第1受熱面32を有する第1冷却装置としての第1冷却部30と、第1冷却部30より記録材搬送方向下流に配置され記録材の表面(片面印刷時における非画像面)を冷却する第2受熱面64を有するとともに、第2受熱面64の形状が第1受熱面の形状と異なる第2冷却装置としての第2冷却部40と、第1受熱面32に対して内周面が摺接し、且つ第2受熱面64と外周面とで記録材を挟持し搬送するベルト部材としての搬送ベルト51と、搬送ベルト51を駆動するベルト駆動手段としての駆動ローラ53とを有している。また、第1冷却部30及び第2冷却部40は、流体が流れる流体流路34,63を有する。第1冷却部30及び第2冷却部40における流体流路は、記録材搬送方向と交差する方向に形成される。
第2冷却部40は、流体流路63の内側と外側にそれぞれ流路があり、内側と外側の流路を液体が流れる。ローラを通過した後の液体は、図18(b)と同様に液体を溜めるタンク、冷却液を循環させるためのポンプを通過し、放熱部として機能するラジエータで冷やされる。記録材Pの搬送時には、第2受熱面64は、記録材Pと直接接触する。一方、第1冷却部30は、図17に示した第1冷却部と同じ構成である。
この液冷ローラ方式を組合せることでも装置を小型化できる。
ラジエータの上方には、図18(b)と同様に、ラジエータに向けて気流を発生させる冷却手段としてのラジエータ冷却ファン(冷却ファン)85が設けられている。
ラジエータ冷却ファン85及び記録材冷却ファン84には、制御部95が接続され、制御部95は、上述の実施の形態の冷却装置における冷却ファンの制御と同様の制御を、ラジエータ冷却ファン85及び記録材冷却ファン84に実行できる。
第1冷却部及び第2冷却部は、異なる冷却方式を用いる態様に限定されない。例えば、図18(a)のヒートパイプローラに替えて、図19に示す液冷ローラ方式の冷却装置を採用してもよい。図20は、図17に示す冷却装置の第1冷却部及び第2冷却部に液冷方式を採用した場合の冷却装置を概略的に示す構成図である。図20(a)は、装置正面側から見た冷却装置の概略側面図、図20(b)は、装置上面側から見た冷却装置の概略平面図である。
冷却装置9は、図20(a)に示すように、記録材Pの裏面(片面印刷時における非画像面)を冷却する第1受熱面32を有する第1冷却装置としての第1冷却部30と、第1冷却部30より記録材搬送方向下流に配置され記録材の表面(片面印刷時における非画像面)を冷却する第2受熱面64を有するとともに、第2受熱面64の形状が第1受熱面32の形状と異なる第2冷却装置としての第2冷却部40と、第1受熱面32に対して内周面が摺接し、且つ第2受熱面64と外周面とで記録材を挟持し搬送するベルト部材としての搬送ベルト51と、搬送ベルト51を駆動するベルト駆動手段としての駆動ローラ53とを有している。また、第1冷却部30及び第2冷却部40は、流体が流れる流路を有する。第1冷却部30及び第2冷却部40における流路は、記録材搬送方向と交差する方向に形成される。
第1冷却部30は、図18に示した液冷ジャケット67で構成される。第2冷却部40は、図19に示したローラ内に流体流路63を有する液冷ローラ方式の冷却装置で構成される。
図20(b)に示すように、ラジエータ60で冷やされた液体は、搬送方向下流の第2冷却部40の流路63の内部流路を経由して、流路63の外部流路を流れて第2冷却部40の外側に排出される。排出された液体は、搬送方向上流の第1冷却部30の流路63に侵入する。このとき流路63のうち搬送方向下流側の入口から液体が進入する。そして搬送方向上流側の出口から液体が排出され、タンク61、ポンプ62を通過し、ラジエータ60で冷やされる。第2冷却部40には、軸受が接続され、軸受により、第2受熱面64が移動状態及び静止状態において、第2冷却部40の流路63に液体が侵入し、第2冷却部40の流路63から液体が排出されるようになっている。
第1冷却部30の受熱面32の形状と第2冷却部40の受熱面64の形状は異なっている。記録材Pの搬送時には、第2受熱面64は、記録材Pと直接接触する。
図20の形態においても、冷却装置9からの記録材排出方向を進入方向から変えることができ、上流の搬送ベルト、下流の搬送ベルト及び駆動ローラを共通化できるので、装置の大型化が抑制され、冷却効率が向上する。
ラジエータ60の上方には、図18(b)と同様に、ラジエータ60に向けて気流を発生させる冷却手段としてのラジエータ冷却ファン(冷却ファン)85が設けられている。
ラジエータ冷却ファン85には、制御部95が接続され、制御部95は、上述の実施の形態の冷却装置における冷却ファンの制御と同様の制御を、ラジエータ冷却ファン85に実行できる。
記録材は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる記録材に限られない。例えば、図21に示すように、インクジェット記録方式の画像形成装置に用いられる記録材(シート状またはロール状)でもよい。図21は、インクジェット記録方式の画像形成装置を概略的に示す構成図である。
記録材Pは、搬送手段110により搬送され、インクジェットヘッド113より液が記録材上に吐出され画像が形成される。記録材Pが案内されるプラテン112の下方には、プラテン112を介して記録材Pを加熱する電熱ヒータ等の加熱手段111が設けられている。加熱手段111は、記録材表面に着弾した溶剤インク滴を強制的に加熱して、そのインク滴に含まれる浸透性の高い有機溶剤を外気中に素早く蒸発させる。その後、記録材Pは、上述の実施の形態の何れかの冷却装置9にて冷却される。
なお、加熱手段は、インクジェットヘッド113に対して搬送方向下流側に設けられるものでもよい。また、記録材は、画像形成装置内で搬送されるものに限られず、加熱後に冷却するプロセスを伴う装置内で搬送される記録材にも適用可能である。
制御部95は、上述の実施の形態の冷却装置における冷却ファンの制御と同様の制御を、インクジェット記録方式の画像形成装置に設けられる冷却ファンに実行できる。