JP2017154961A - 吹付用モルタル - Google Patents

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Abstract

【課題】 注水前のプレミックスモルタルに吹付施工時に液体急結剤と水を添加する吹付用モルタルであって、注水前のプレミックスモルタルを長距離圧送し、吹付現場で急結剤添加及び注水しても、良好な急結性と強度発現性を安定して具備できる施工効率に優れた吹付用モルタルを提供する。【解決手段】 次のプレミックスモルタル(A)と前記プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、アルカリフリー液体急結剤5〜9.5質量部と水を含有する吹付用モルタル。A;ポルトランドセメント100質量部、無水石膏2.5〜8質量部、化学成分としてのCaOとAl2O3の含有モル比(CaOと/Al2O3)が2.2〜2.4である非晶質カルシウムアルミネート3〜8質量部および中心粒径が0.4mm以上且つ粒径0.05〜3.5mmの粒子含有率が99質量%以上である嵩比重2.4〜2.9の細骨材130〜350質量部を含有し、水を含まないプレミックスモルタル。【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば吹付現場まで輸送管によって長距離圧送を必要とするような吹付用のセメント系モルタルに関する。
トンネル、採掘抗、地下空間等において、掘削露出面の崩壊防止、地山面からの漏水防止、さらにはこれらの面を仕上施工するため、セメントスラリーやセメント系モルタルを対象面に吹付けることが行われている。セメント系モルタルの一般的な吹付工法は、掘削現場近傍に設置したプラントで、セメントと水と細骨材を秤量・混合してベースモルタルを作製し、これをアジテータ車で掘削現場まで運送し、そこから吹付機までは輸送管を介してポンプ圧送し、吹付直前に別送の急結剤を添加・混合させて吹付けている。急結剤は、カルシウムアルミネートやアルミン酸ナトリウム等の粉体急結剤と、硫酸アルミニウムや珪酸ソーダ等の液体急結剤とに大別される。粉体急結剤は、強力な急結性と高い初期強度発現性を有するが、添加時にセメントモルタルと容易には混ざり難いため、粉塵が発生し易い。一方、液体急結剤は粉塵発生は抑えられるものの、珪酸ソーダはアルカリ分が高く、セメント系施工物の劣化原因になり、アルカリフリー化志向に適う硫酸アルミニウムは急結性が低く、初期強度発現性も高くはない。液体急結剤に硫酸アルミを使用したときの吹付性状の改善策として、硫酸アルミニウム急結剤添加用のモルタルスラリーに、予め石膏を加えたものを使用すると強度改善効果があることが知られている。(例えば、特許文献1参照。)また、石膏と共にアルミン酸カルシウムを急結補助剤として予め注水前のコンクリートに加え、これに水と液体状の硫酸アルミを添加した吹付コンクリートは、急結性や強度発現性を向上できることが知られている。(例えば、特許文献2参照。)
ところで、いわゆる生コン工場等からのアジテータ車によるセメント組成物スラリーの施工現場への搬送は、概して搬送時間がかかるので、品質や状態の安定性並びに施工効率の点から問題が多い。このため、コンクリートのような粗大な骨材を含まないモルタルの搬送には、搬送距離が余り長くならない限り、現場に隣接する製造プラントや現場に持ち込まれた混合装置などから、注水混練されたモルタルスラリーを、施工場所にホースなどの輸送管でポンプ圧送している。圧送距離が長くなるにつれ、施工場所に到達するまでに注水からの経過時間も長くなり、モルタルスラリーの粘性の増大や圧送管が閉塞するリスクが高まる。一方、水を含まない状態のプレミックスモルタルを空気圧送すると、プレミックスモルタルに急結補助剤が予混合されていても、このようなリスクは排除できる。しかし、前記プレミックスモルタルは、細骨材、セメント、急結補助剤等の混和材を乾式混合するため、水を混合媒体とする湿式混合に比べると、混合性が低下する。特に繊維のような混和材を含む場合は乾式混合による混合性はさらに低下し易い。しかも、混合後の圧送では、水媒体による粘着作用もないため、乾式混合物の成分毎の比重差や大きさによる空気抵抗の差などから、成分分離を起こし易くなり、また分離が拡大する可能性も高まる。成分分離を起こしたプレミックスモルタルに、吹付直前に注水や液体急結剤を添加しても、全体に十分混合された状態とはなり難く、不均質な状態のモルタルが吹付けられることになる。その結果、モルタルの吹付面への定着率にバラツキが見られ、吹付けられた施工物の強度もモルタル施工物内で均一でなくムラが出て、補強能力や耐久性が不足する虞があった。
特開平10−212149号公報 特開平11−130500号公報
このため、バラツキが抑制され、安定して高い急結性と強度発現性を具備でき、比較的長距離の搬送も可能な圧送施工効率に優れた吹付用モルタルの提供を課題とする。
本発明者は、前記課題解決のため検討した結果、ポルトランドセメント、石膏、カルシウムアルミネートおよび細骨材を含有する未注水のプレミックスモルタルを予め作製し、これにアルカリフリーの液体急結剤と水を吹付直前に後添加し、吹付用モルタルとするものであって、前記プレミックスモルタルに用いる骨材を特定のものにすると、プレミックス化の過程で前記細骨材とセメントや他の混和助剤が極めて良好な混合性になり、しかも、このような混合状態のプレミックスモルタルを輸送管で比較的長い距離を圧送しても、モルタル含有成分が分離せずに均質な混合状態を保つことができることを見出し、これに液体急結剤と水を混練させて吹付けても、吹付面への定着性にバラツキが生じることもなく、全般に高い定着性が見られ、また吹付けられたモルタル施工物の強度発現性も高く、そのバラツキもなかったこと等から、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、次の(1)〜(4)で表す吹付用モルタルである。
(1)次のプレミックスモルタル(A)と前記プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、アルカリフリー液体急結剤5〜9.5質量部と水を含有する吹付用モルタル。
A;ポルトランドセメント100質量部、無水石膏2.5〜8質量部、化学成分としてのCaOとAl23の含有モル比(CaOと/Al23)が2.2〜2.4である非晶質カルシウムアルミネート3〜8質量部および中心粒径が0.4mm以上且つ粒径0.05〜3.5mmの粒子含有率が99質量%以上である嵩比重2.4〜2.9の細骨材130〜350質量部を含有し、水を含まないプレミックスモルタル。
(2)プレミックスモルタルが、減水剤類を含有することを特徴とする前記(1)の吹付用モルタル。(3)プレミックスモルタルが、短繊維を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)の吹付用モルタル。
(4)アルカリフリー液体急結剤が固形分濃度30〜53質量%の硫酸アルミニウムである前記(1)〜(3)何れかの吹付用モルタル。
本発明によれば、セメント系モルタルの吹付施工において、例えばモルタルプラントから吹付現場までの距離が長いモルタル圧送が可能となるため、モルタルのアジテータ車への積み替えが無く、アジテータ車そのものも不要になることに加え、また、未注水のプレミックスモルタルが吹付現場の吹付装置まで圧送されるため、輸送管にモルタルが残存しても特に支障をきたさないので、施工中でも必要使用量に達した段階でモルタル供給を自在に停止できることから、施工効率が大幅に向上する。
本発明の吹付用モルタルを構成するプレミックスモルタルは、注水前の乾式混合されたモルタルであり、従って水を含まず、ポルトランドセメントと特定の細骨材と無水石膏と含有化学成分としてのCaOとAl23の含有モル比(CaO/Al23)が特定される非晶質カルシウムアルミネートを含有するモルタルである。
前記プレミックスモルタルに必須含有するポルトランドセメントは、何れのポルトランドセメントでも良く、具体的には普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩の各種ポルトランドセメントを挙げることができる。また、高炉セメント等のポルトランドセメントを含む混合セメントでも良い。この中でも経済性や汎用性の点から普通ポルトランドセメントが好ましい。ポルトランドセメントの粒度はJIS規格(JIS R 5210)の2500cm2/g以上を満たしていれば、特に限定されない。好ましくは一般市販品並の粒度(例えば、概ね、2900〜3400cm2/g)であれば良い。
前記プレミックスモルタルに必須含有される無水石膏は、無水石膏であれば、無水硫酸カルシウム(CaSO4)を含め何れのものでも使用できる。好ましくは、ポルトランドセメントとの混合性や反応活性及び製造コスト等が適切な範囲に収まり易いことから、含有するポルトランドセメントのブレーン比表面積の1.5〜2倍のブレーン比表面積の無水石膏を使用する。無水石膏の含有量は、プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、2.5〜8質量部とする。2.5質量部未満では、硬化が遅れたり強度等の発現が低迷するので好ましくない。また、8質量部を超えると凝結が遅延し、また膨張亀裂の原因となることもあるため好ましくない。尚、ポルトランドセメント中には少量の石膏が含まれるが、こちらはポルトランドセメントの構成成分であるため、ポルトランドセメントそのものに入れ、プレミックスモルタルに含有する無水石膏には含めない。
前記(A)プレミックスモルタルに必須含有される非晶質カルシウムアルミネートは、CaOとAl23を主要化学成分として含有モル比(CaO/Al23)が2.2〜2.4で含む無機水和活性物質であり、CaO源となる原料とAl23源となる原料を前記含有モル比(CaO/Al23)を考慮した原料混合物を、好適には溶融するまで加熱すると得られる。従って、例えば天然鉱物原料を用いたときのように、主に使用原料に由来のCaOとAl23以外の不純物も、その存在形態に拘わらず、本発明の効果を阻害させない範囲で含むことは許容される。また、前記非晶質カルシウムアルミネートは、完全にガラス状態である必要はなく、ガラス化が進んだ構造のものであれば良い。具体的にはガラス化率が50%以上が好ましく、より好ましくはガラス化率90%以上とする。ガラス化が進んだ構造のものほど高い反応活性が得易くなる。ガラス化率の調整は、例えば、溶融状態に達した高温からの冷却処理によって行うことができる。一般に、急冷速度が速いほど高ガラス化率のカルシウムアルミネートが得られる。また、このような非晶質カルシウムアルミネートをプレミックスモルタル中に必須含有させることにより、急結性がさほど強力でない急結剤を使用したときの急結力不足も十分補うことができる。また、含有モル比(CaO/Al23)が2.2未満では付着性や強度発現性を向上し難くなるので好ましくなく、2.4を超えると、凝結が早く進み過ぎて注水後に瞬結する虞があるため好ましくない。非晶質カルシウムアルミネートの含有量は、プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、3〜8質量部とする。3質量部未満では、液体急結剤添加後の吹付用モルタルの急結性や特に初期強度発現性を殆ど高めることができないので好ましくない。また8質量部を超えると注水後の吹付用モルタルが吹付面に到達する前に凝結が終結する虞があるため好ましくない。
前記(A)プレミックスモルタルに必須含有する細骨材は、中心粒径0.4mm以上かつ粒径0.05〜3.5mmの粒子含有率が99質量%以上であって嵩比重が2.4〜2.9の細骨材とする。細骨材の材質は、水に不活性で前記嵩比重を満たすものなら、何れのものでも良い。具体的には、例えば珪砂や石灰石砂等の天然骨材、安山岩、砂岩、玄武岩等の砕砂などを挙げることができる。嵩比重2.4未満では、圧送中に、セメントやカルシウムアルミネートなどの粉体成分との比重差により、材料分離が生じ易くなる他、モルタル中の含有容積が増えるため、吹付後の硬化体の強度や耐久面で低迷することがあるので好ましくない。また、嵩比重2.9を超えると、粒径によっては空気圧送抵抗が増え、他の粉体成分と比べると、圧送速度が遅れたり、沈下し易くなり、プレミックスモルタルとしての混合均一性が確保できない虞があるので好ましくない。また、使用する細骨材は、前記比重であることに加え、中心粒径が0.4mm以上で、且つ粒径0.05〜3.5mmの粒子含有率が99質量%以上のものとする。このような粒径の細骨材を使用すると、予混合によって、細骨材の粒間が多く形成され易く、その粒間に比較的微細なセメント粒や石膏等の粉体類が適度に分散された混合状態をとり易くなり、混合度合いを高められる。また、中心粒径が0.4mm未満ではプレミックスモルタル中の微細粒子が増えるため混合性が低下し、好ましくない。また、中心粒径が0.4mm以上であっても、細骨材の粒径範囲が0.05〜3.5mmよりも広がり過ぎると、空気圧送中に、粒径に応じた細骨材の分離化傾向が現れるため好ましくない。従って、使用する細骨材の粒径は0.05〜3.5mmの範囲に全骨材の99質量%以上(100質量%を含む。)が属している必要がある。前記細骨材の含有量は、プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、130〜350質量部とする。130質量部未満では、微小な粉体成分の割合が増すので、注水後の混練性が低下することがあるので好ましくない。また350質量部を超えるとモルタルの強度低下を起こす虞があるので好ましくない。
本発明の吹付用モルタルを構成するプレミックスモルタルは、前記以外の成分も本発明の効果を阻害しないものであれば含有できる。含有可能な成分として、例えば、何れもモルタルやコンクリートで使用される粉末状の減水剤類、乾式混合助剤、凝結促進剤、短繊維等を挙げることができる。
好ましくは、モルタル中の単位水量低減と注水後の混練効率向上の点で、粉末状の減水剤を含有するのが良い。減水剤類は、減水剤、分散剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤などと称されるものを含み、その有効成分は特に限定されず、例えばポリカルボン酸やその塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ナフタレン縮合物等を挙げることができる。減水剤類を混合させるときの含有量は、プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、0.1〜0.6質量部とするのが好ましい。また、液体状の混和剤を使用する場合は、プレミックスモルタル中には予混合させずに、次に述べる液体急結剤や水の添加時に添加する。
本発明の吹付用モルタルを構成するプレミックスモルタルは、短繊維を含有するものが好ましい。短繊維は、モルタルやコンクリートに使用できる有機高分子、炭素、鋼、ガラス、セラミックス等の材質からなる繊維であれば特に限定されない。好ましくは、耐折性や耐食性を具備し、比較的安価であることから有機高分子を使用する。短繊維の長さは特に制限されるものではないが、好ましくは5〜20mm、より好ましくは10〜12mmとする。繊維径も特に制限されないが、繊維配合効果を十分得る上では、1mm以下が好ましい。短繊維を含有することで、モルタル施工物のひび割れ抵抗性が向上する。また、施工物の靱性も向上する。かような作用効果を発現させるために、短繊維を含む場合の含有量は、プレミックスモルタル全体の0.03〜0.25体積%程度が好ましい。
本発明の吹付用モルタルは、前記プレミックスモルタルにアルカリフリーの液体急結剤と水を添加することで得られる。前記プレミックスモルタルへのアルカリフリーの液体急結剤と水の添加は、できる限り、吹付の直前に行うのが望ましい。アルカリフリーの液体急結剤と水は実質同時添加でも良いが、好ましくは、最初にアルカリフリー急結剤を添加し、アルカリフリー急結剤が混合されたものに注水するのが良い。プレミックスモルタル圧送中の早い時期から注水すると凝結が進み圧送が阻害されたり、圧送停止後の配管内の残留物の除去処理が不可欠になるなど施工効率が著しく低下するので好ましくない。また、添加用の装置は、特に限定されず、圧送管中を圧送されてきた前記プレミックスモルタルが圧送される圧送管に、液体急結剤の供給管と水の供給管を、例えばY字管、ニ重管等等の合流部品を介して接続するか、液体急結剤と水の添加機構を具備したモルタル吹付装置を使用する。
前記プレミックスモルタルに添加するアルカリフリー液体急結剤は、アルカリ金属化合物等のアルカリ金属分を極力含まない液状の急結剤である。このような急結剤を添加することで、モルタルが短時間に凝結を終え、良好な吹付付着性が得られる。本発明で使用するアルカリフリー液体急結剤の具体的な有効成分は、アルカリ金属分を含まないものであれば限定されないが、好ましくは、硫酸アルミニウムとする。より好ましくは、ポルトランドセメントに対する作用上の相性が良いことから、濃度(有効固形分)30〜53質量%の硫酸アルミニウムを使用する。アルカリフリー液体急結剤の前記プレミックスモルタルへの添加量は、前記プレミックスモルタル中のセメント含有量100質量部に対し、液体質量で5〜9.5質量部とする。9.5質量部を超える添加量では瞬結化傾向は高まるものの長期強度発現性が低下するので好ましくなく、5質量部未満の添加量では急結性が不足し、十分付着できずモルタル施工物の定着化に支障をきたすので好ましくない。
また、前記プレミックスモルタルに添加する水の量は特に限定されるものではなく、セメントや無水石膏などの水和反応活性を具備する成分と概ね過不足無く反応できる量であれば良い。水添加量の目安を例示すると、セメント含有量100質量部に対し、水添加量10〜25質量部である。好ましくは、注水時の混練性を高め、モルタル強度発現性を高める上で、水添加量13〜20質量部とする。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は記載した実施例に限定されるものではない。尚、実施例は、特記無い限り、20(±1)℃の環境下で行った。
[カルシウムアルミネートの作製]
市販の工業用薬品のCaCO3とAl23を用い、CaO及びAl23の含有モル比(CaO/Al23)の値が以下に表すカルシウムアルミネートが得られるように評量配合し、ヘンシェル型混合機で原料調合物を作製した。この原料調合物を電気炉を使用し、約1600℃(±50℃)で60分間焼成し、前記焼成時間経過後は直ちに炉外に取出した。取出した焼成塊(クリンカ)の表面に冷却用の窒素ガスを流速約30ml/秒で吹付けて急冷し、冷却物を得た。尚、ガラス化率調整のため、一部のクリンカについては窒素ガスの流速を落として吹付けた。各クリンカは、全鋼製のボールミルで粉砕し、分級装置にかけてブレーン比表面積約5000cm2/gに整粒した。整粒粉末として、以下のCA1〜CA5で表すカルシウムアルミネート粉末を得た。尚、カルシウムアルミネートのガラス化率は、粉末エックス線回折装置を用い、質量がM1のカルシウムアルミネートクリンカに含まれる各鉱物の質量を内部標準法等で定量し、定量できた含有鉱物相の総和質量;M2を算出し、残部が純ガラス相と見なし、次式でガラス化率を算出した。
ガラス化率(%)=(1−M2/M1)×100
[作製したカルシウムアルミネート]
CA1;含有モル比(CaO/Al23)2.3 、ガラス化率90%
CA2;含有モル比(CaO/Al23)2.4 、ガラス化率90%
CA3;含有モル比(CaO/Al23)2.2 、ガラス化率90%
CA4;含有モル比(CaO/Al23)2.3 、ガラス化率50%
CA5;含有モル比(CaO/Al23)1.7 、ガラス化率90%
[プレミックスモルタルの作製]
前記作製のCA1〜CA5で表すカルシウムアルミネート粉末、普通ポルトランドセメント(市販品。ブレーン比表面積3200cm2/g、密度3.15)、以下のCS1〜CS2で表した市販工業用無水石膏の分級処理品、以下のSG1〜SG8で表した細骨材、粉末状ポリカルボン酸系高性能減水剤(市販品)、長さ12mmのポリプロピレン製短繊維(FW1と称す。市販品)及び長さ10mmのポリビニル製短繊維(FW2と称す。市販品)から選択した材料を、表1に表す配合量となるようヘンシェルミキサに一括投入した。このミキサで約2分間乾式混合し、プレミックスモルタルを作製した。
[分級処理した無水石膏]
CS1;ブレーン比表面積4800cm2/g
CS2;ブレーン比表面積6400cm2/g
[配合使用する細骨材]
中心粒径の単位はmm。規定粒径範囲内の存在率とは、全細骨材中の粒径が0.05mm〜3.5mmである細骨材の含有質量割合を表す。
SG1;石灰石細骨材、嵩比重;2.7、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG2;珪砂細骨材、嵩比重;2.6、中心粒径;1.2、規定粒径範囲内の存在率:>99%
SG3;玄武岩砕砂、嵩比重;2.9、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG4;珪砂細骨材、嵩比重;2.6、中心粒径;0.4、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG5;珪砂細骨材、嵩比重;2.6、中心粒径;0.2、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG6;珪砂細骨材、嵩比重;2.6、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;63%
SG7;安山岩砕砂、嵩比重;2.4、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG8;膨脹頁岩の細骨材、比重;1.6、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;99%
Figure 2017154961
[吹付用モルタルの作製]
作製したプレミックスモルタルを、長さ約50m、内径4.0cmの樹脂製ホース管内をポンプによる圧搾空気で圧送した。圧送先のホース管の先端近傍の側面に設けられた水の添加口から、別送する水を添加し、前記圧送されてきたプレミックスモルタルと水と管内で合流できるようにした。 水を合流混合されたウェットプレミックスモルタルは、合流物の吐出側の管口に接続された吹付装置によって、装置内のモルタル通過経路の周囲に設けた多数の添加口を有する環状の急結剤添加部からシャワー状態でアルカリフリー液体急結剤を添加した。この急結剤添加部を通ったモルタルを噴射用のノズルを介して吹き付けた。ここで添加使用したアルカリフリー液体急結剤は、硫酸アルミニウムを有効成分とするもので、有効成分の固形分濃度が48質量%(SA1)、42質量%(SA2)及び51質量%(SA3)の3種類とした。プレミックスモルタル中のポルトランドセメント100質量部に対する液体急結剤と水の添加量は、表2に表す。
Figure 2017154961
[吹付用モルタルの急結性の評価]
前記の如く作製した吹付用モルタルに対し、液体急結剤添加30秒経過後、60秒経過後、180秒経過後及び300秒経過後のプロクター貫入抵抗値を測定し、急結性を評価した。プロクター貫入抵抗の測定方法は、土木学会コンクリート標準指方書「吹付コンクリート用急結剤品質規格」付属書「貫入抵抗によるモルタルの瞬結時間測定方法」に準拠し、断面積0.125cm2のプロクター針を使用した。この貫入抵抗値の測定結果を表3に表す。ここで、表中に記載した「−」は、モルタルの硬化が進み貫入抵抗の測定ができなかったもの。また、「>16(N/mm2)」なる記載はプロクター針の打ち込みはできるが、使用機材の測定限界(最大16N/mm2)を超えたものである。また、凝結が見られず、測定に値しなかった物を「×」と表示した。
Figure 2017154961
[吹付用モルタルの吹付定着性の評価]
前記の如く作製した吹付用モルタルは、作製後直ちに、モルタル吹付ガンを用いて、吹付施工に供した。吹付施工は次のような対象物に向かって吹付けた。即ち、前記モルタル吹付ガンのノズル孔から約100cm離れた地点に垂直に設置した厚さ9mmで3m四方のコンクリート製平板面に向かって、160ml/分の流量で前記吹付用モルタルを吹付けた。吹付物の定着性の評価は、目視観察により、前記平板面からの吹付用モルタルの跳ね返り(リバウンド)を調べ、跳ね返りが実質的に見られなかったものをリバウンド「無」と判断し、跳ね返りがあったものをリバウンド「有」と判断した。また、前記平板面に吹付けたモルタルに垂れや剥落が起こることなく、付着し続けたものを付着性が「良好」と判断し、それ以外の状態になったものは全て付着性が「不良」と判断した。また、このような吹付けを3分間行った後に、プレミックスモルタルの供給を30分間停止して吹付けを中断した後、プレミックスモルタルの供給を再開し、再度吹付を行ったとき、プレミックスモルタルの輸送管圧送に支障が生じたり、吹付用モルタルの吹付量の低下などの吹付障害があったものを圧送性「不良」と判断し、これらの現象が見られず、スムーズに圧送でき、吹付量の変動も見られなかったものを圧送性「良好」と判断した。これらの結果は表4に表す。
Figure 2017154961
[吹付用モルタルの強度発現性の評価]
前記の如く作製した注水後の吹付用モルタルを、作製後直ちに、内寸40×40×160mmの成形用型枠に充填した。これを屋内の空気中に9時間静置した後、脱型した。脱型物は、所定の材齢となるまで20℃(±1℃)恒温庫に入れて、それぞれ材齢3時間、1日及び7日の供試体を得た。各供試体の一軸圧縮強度をアムスラー式圧縮強度試験機で測定した。この結果も表4に表す。尚、所定材齢で未硬化だったものは「脱型不能」と表記し、強度試験を行えなかった。
[吹付用モルタルの剥落抵抗性の評価]
前記の如く作製した注水後の吹付用モルタルの一部について、剥落抵抗性の評価として、打撃試験を行った。打撃試験の方法は、「東日本旅客鉄道株式会社土木工事標準仕様書の附属書8−5合成繊維の添加による剥落防止効果(打撃試験)2005.4」に準じた方法で行った。即ち、前記注水後の吹付用モルタルを用い、型枠成形により15cm×15cm×60cmの角柱状供試体を作製し、15cm×60cmの任意の一面を底面として水平な机上に設置固定した。底面から2〜4cmの位置の垂直面に、770グラムのハンマーを、供試体から約30cmの高さから振り子状に振り下ろし、ハンマーの自重による打撃を加えた。打撃回数を増すとひび割れが入るものの、かぶりコンクリートが概ね1cm2以上剥落するまで打撃を繰り返し、剥落するまでの打撃回数を計測した。各モルタル毎の試験回数としては3回行った。その結果を表5に表す。
Figure 2017154961
表3及び4の結果から、本発明品の吹付用モルタルは、吹付施工時の付着性を十分確保するための急結性を具備することがわかる。また、表4の結果から本発明品の吹付用モルタルは、吹付時の定着率に優れ、しかも良好な混合状態のモルタルが吹き付けられているため定着性にバラツキが見られない。また、表4の結果からアルカリフリーの液体急結剤を用いた乾式吹付施工を行ったにも拘わらず、本発明品の吹付用モルタルでは高い初期強度発現性が見られることがわかる。さらに表5に表す結果から、繊維を混入した本発明の吹付用モルタルでは、圧送過程を経たものでも繊維の分離・偏在による付着性や強度の低下は見られず、打撃による亀裂破壊も抑制されており、繊維混入効果が十分表れていることがわかる。

Claims (4)

  1. 次のプレミックスモルタル(A)と前記プレミックスモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、アルカリフリー液体急結剤5〜9.5質量部と水を含有する吹付用モルタル。
    A;ポルトランドセメント100質量部、無水石膏2.5〜8質量部、化学成分としてのCaOとAl23の含有モル比(CaOと/Al23)が2.2〜2.4である非晶質カルシウムアルミネート3〜8質量部および中心粒径が0.4mm以上且つ粒径0.05〜3.5mmの粒子含有率が99質量%以上である嵩比重2.4〜2.9の細骨材130〜350質量部を含有し、水を含まないプレミックスモルタル。
  2. プレミックスモルタルが、減水剤類を含有することを特徴とする請求項1記載の吹付用モルタル。
  3. プレミックスモルタルが、短繊維を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の吹付用モルタル。
  4. アルカリフリー液体急結剤が固形分濃度30〜53質量%の硫酸アルミニウムである請求項1〜3何れか記載の吹付用モルタル。
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