JP2014125392A - 吹付け材料、およびそれを用いた吹付け工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エコセメントと、フライアッシュと、骨材と、カルシウムアルミネートおよび硫酸カルシウムからなる添加材とから構成されるモルタルまたはコンクリートに、(A)硫酸チタン、(B)硫酸アルミニウム、フッ素、しゅう酸、(C)硫酸アルミニウム、マグネシウム、シリカ、を含むアルカリフリー液体急結剤のいずれかを配合してなる吹付け材料であり、材齢28日の強度に対して材齢91日の強度が低下しない吹付け材料であり、前記吹付け材料が、アルカリフリー液体急結剤以外の成分は事前にモルタルまたはコンクリートとして練り混ぜられ、吹付け直前にアルカリフリー液体急結剤を添加し、吹付けする吹付け工法、である。
【選択図】なし
Description
この乾式工法および湿式工法のいずれにおいても、使用する急結剤として、アルカリ成分を多量に含有するアルカリ系急結剤と、アルカリを実質的に含まない急結剤(アルカリフリー急結剤)とが知られている。一般にアルカリフリー急結剤のアルカリ含有量は概ね2wt%未満である。
その提案によれば、エコセメントと硫酸アルミニウム、シリカ成分を主成分とするアルカリフリー液体急結剤との組み合わせにより、極初期からの強度発現性が高いことが記述されており、さまざまな添加材(例えば、フライアッシュ、アルミネート鉱物を添加した速硬性セメントなど)の配合が明記されている。しかし、本発明のように具体的な物質、配合割合を記載しておらず、例えば、施工箇所が湧水のような地山が悪化した区間においても、通常の吹付け材料と変わらない材料の提案が待たれていた。
エコセメントを用いたモルタルやコンクリートは、水セメント比が高い場合、長期的な強度発現性が普通セメントに比べて小さく、特に材齢28日に比べて材齢91、180日は強度低下する事例もあり、耐久性の点より、フライアッシュや高炉スラグ粉末等をエコセメントに配合し、強度改善することが知られている(非特許文献1参照)。エコセメントを用いたものの強度は、フライアッシュや高炉スラグをエコセメントに対して内割りで30%以上配合することで、改善するものであるが、フライアッシュ配合量が多く、かつ、粒度を細かくしなければ効果が得られにくく、粒度が細かいものは、コストが高く、汎用的な使用が難しい。また、極初期強度が低下する傾向にある。このため、エコセメントは水セメント比が高く、極初期からの強度発現性が求められ、かつ耐久性が求められる施工へは、あまり用いられていない。しかし、廃棄物の有効利用の観点から、用途の拡大による有効利用が期待されている。
エコセメントは、貝殼や下水汚泥に生石灰を混合した下水汚泥乾粉、その他の一般廃棄物や産業廃棄物などの都市ゴミ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料とし、さらに必要に応じて普通のセメント原料である石灰石、粘土、珪石、アルミ灰、ボーキサイ卜、鉄等を混合して成分調整した原料を用い、これらの原料を1200〜1500℃で焼成して得たクリンカーに石膏を混合して粉砕するか、もしくはクリンカーのみを粉砕し、それに必要に応じて石膏を混合して製造したものである。
また、このアルミニウム源は主に焼却灰から由来する。従って、アルミニウム化合物の含有量が10質量%未満では焼却灰の使用量が少なくなり、廃棄物の有効利用および再資源化を促進する観点から好ましくない。アルミニウム化合物の含有量が40質量%を上回ると水和の進行が著しくなり、モルタルやコンクリートが過大に膨張する場合があり、長期強度の発現が阻害されるので好ましくない。
本発明はその使用条件に応じて何れも用いることができる。
本発明で使用するカルシウムアルミネートの粒度は、急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では、急結剤とモルタルやコンクリートを混合した吹付け材料の急結性や初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明で使用するカルシウムアルミネートのCaO/Al2O3モル比は、1.0〜3.0の範囲であり、1.5〜2.5が好ましい。該モル比の範囲内であれば、結晶質、非晶質などの形態に関係なく使用可能である。
添加材のモルタルまたはコンクリートの単位量は、5〜100kg/m3の範囲内で調整することが好ましい。
骨材のモルタルまたはコンクリート中の単位量は、1000〜2000kg/m3の範囲内で調整することが好ましい。
本発明のアルカリフリー液体急結剤としては、アルカリを実質含まない硫酸チタンや硫酸アルミニウムを主成分とし、硫酸チタン含むアルカリフリー液体急結剤(A)、硫酸アルミニウムにフッ素を配合したものや硫酸アルミニウムの固形分濃度を高めるため錯体形成剤のしゅう酸を加えて硫酸アルミニウムの固形分濃度を高めたアルカリフリー液体急結剤(B)、硫酸アルミニウムに硫酸マグネシウム、シリカを含む液体急結剤(C)、が挙げられる。この中で、硫酸チタン含むアルカリフリー液体急結剤(A)がエコセメントとの組み合わせに非常に優れた物性を示した。
本発明では、吹付け材料が、アルカリフリー液体急結剤以外の成分は事前にモルタルまたはコンクリートとして練り混ぜられ、吹付け直前にアルカリフリー液体急結剤を添加し、吹付けする吹付け工法が好ましい。
表1に示すセメントを800g(511kg/m3)、カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムからなる添加材αをセメント100質量部に対して10質量部(52kg/m3)、フライアッシュ100g(60kg/m3)、細骨材2000g(1277kg/m3)、水480g(307kg/m3)からなるウエットモルタルに表1に示すアルカリフリー液体急結剤をセメントとアルカリフリー液体急結剤の合計100質量部中、8質量部加えて、モルタルを調製し、アルカリフリー液体急結剤を加えてからの凝結時間、圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
セメント(1):普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン比表面積3000cm2/g、密度3.15g/cm3
セメント(2):普通エコセメント、市販品、ブレーン比表面積3100cm2/g、密度3.18g/cm3
セメント(3):速硬エコセメント、市販品、ブレーン比表面積3800cm2/g、密度3.15g/cm3
添加材α:カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの混合比率が質量比1:3であるもの、密度2.78g/cm3
フライアッシュ:JIS A6201のII種品、密度2.40g/cm3、ブレーン4500cm2/g
カルシウムアルミネート:CaO/Al2O3モル比2.3、ブレーン8000cm2/g、非晶質
硫酸カルシウム:無水石膏、ブレーン5000cm2/g、密度2.90g/cm3
細骨材:新潟県姫川水系川砂、5mm下品、密度2.62g/cm3
水:飲料水
アルカリフリー液体急結剤(1):硫酸チタンを主成分とする液体、液状、pH1.7
アルカリフリー液体急結剤(2):硫酸アルミニウムを主成分とする液体、pH2.5
アルカリフリー液体急結剤(3):硫酸アルミニウム、フッ素、しゅう酸を主成分とする液体、pH2.8
アルカリフリー液体急結剤(4):硫酸アルミニウム、マグネシウム、シリカを主成分とする液体、pH2.9
凝結時間:土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規格(JSCE D−102)」に準じて測定
圧縮強度:JIS R 5201に準じて測定
表2に示すセメント(2)またはセメント(3)を800g(511kg/m3)、表2に示す種類の添加材がセメント100質量部に対して10質量部(51kg/m3)、フライアッシュ100g(60kg/m3)、細骨材2000g(1277kg/m3)、水400g(307kg/m3)からなるウエットモルタルに表2に示すアルカリフリー液体急結剤をセメントとアルカリフリー液体急結剤の合計100質量部中、8質量部加えて、急結モルタルを調製し、アルカリフリー液体急結剤を加えてからの凝結時間、圧縮強度を測定した。結果を表2に併記する。
添加材β:カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの混合比率が質量比1:5であるもの、密度2.85g/cm3
添加材γ:カルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの混合比率が質量比1:1であるもの、密度2.70g/cm3
凝結時間:土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規格(JSCE D−102)」に準じて測定
圧縮強度:JIS R5201に準じて測定
エコセメント、水、細骨材、粗骨材、フライアッシュ、添加材α、減水剤からなる表3に示す配合(kg/m3)を用いてコンクリートスランプが18cmになるようにコンクリートを調製し、その後吹付け圧力6MPa、吹付け速度10m3/hの条件下で、コンクリート圧送機「MKW−25SMT」によりポンプ圧送した。一方の管の周囲数カ所に設けた穴から、表4に示す種類のアルカリフリー液体急結剤をセメントとアルカリフリー液体急結剤の合計100質量部中、8質量部になるように圧送し、もう一方から圧送されたコンクリートに混合し、吹付け材料とした。この吹付け材料について圧縮強度を測定した。結果を表4に併記する。
粗骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、密度2.67g/cm3、最大寸法15mm
減水剤:ポリカルボン酸系、市販品
コンクリート圧縮強度:材齢3時間、1日の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から吹付け材料で被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢28日以降の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に吹付け材料を吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
実験例3と同様に、セメント、水、細骨材、粗骨材、フライアッシュ、添加材α、減水剤からなる表5に示す配合(kg/m3)を用いてコンクリートスランプが18cmになるようにコンクリートを調製し、その後吹付け圧力6MPa、吹付け速度10m3/hの条件下で、コンクリート圧送機「MKW−25SMT」によりポンプ圧送した。一方の管の周囲数カ所に設けた穴から、表6に示す種類のアルカリフリー液体急結剤をセメントとアルカリフリー液体急結剤の合計100質量部中、8質量部になるように圧送し、もう一方から圧送されたコンクリートに混合し、吹付け材料とした。この吹付け材料について圧縮強度を測定した。結果を表6に併記する。
コンクリート圧縮強度:材齢3時間、1日の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から吹付け材料で被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢28日以降の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に吹付け材料を吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
Claims (5)
- エコセメントと、フライアッシュと、骨材と、カルシウムアルミネートおよび硫酸カルシウムからなる添加材とから構成されるモルタルまたはコンクリートに、(A)硫酸チタン、(B)硫酸アルミニウム、フッ素、しゅう酸、(C)硫酸アルミニウム、マグネシウム、シリカ、を含むアルカリフリー液体急結剤のいずれかを配合してなる吹付け材料。
- 添加材のカルシウムアルミネートと硫酸カルシウムの混合比率が、1:1〜1:5である請求項1記載の吹付け材料。
- 硫酸カルシウムが無水石膏である請求項1または2記載の吹付け材料。
- モルタルまたはコンクリートの水セメント比が50%以上であり、材齢28日の強度に対して材齢91日の強度が低下しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吹付け材料。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の吹付け材料が、アルカリフリー液体急結剤以外の成分は事前にモルタルまたはコンクリートとして練り混ぜられ、吹付け直前にアルカリフリー液体急結剤を添加し、吹付けすることを特徴とする吹付け工法。
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