JP3957672B2 - 吹付け工法 - Google Patents
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Description
これらの吹付け工法で使用するセメントとしては、急結性や初期強度発現性の面から普通ポルトランドセメントが多用されている。
しかしながら、近年、廃棄物を再利用する廃棄物循環型社会構築の気運が高まっており、高炉スラグ微粉末の使用が環境負荷低減の一環として推奨され、高炉スラグ微粉末を混合した混合セメントにおいても、急結性や初期強度発現性の優れる材料の開発が待たれていた。
しかしながら、高炉スラグ微粉末と普通ポルトランドセメントを混合した高炉セメントでは、低温時の初期強度発現性が低下するという課題があった。
しかしながら、廃棄物利用セメントは、普通ポルトランドセメントと比較して塩素含有量が高く、高耐久性の面から、より低い塩素含有量であることが望まれている。
(1−1)速硬リサイクル型セメント100部中、11CaO・7Al 2 O 3 ・CaCl 2 含有量が12部以上である速硬リサイクル型セメント
(1−2)速硬リサイクル型セメントと高炉スラグ微粉末の合計100部中、15〜70部の高炉スラグ微粉末(高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積値は3,000cm 2 /g以上)
(2−1)急結剤100部中、カルシウムアルミネート39〜49.5部(カルシウムアルミネートはブレーン比表面積値が4,000cm 2 /g以上、12CaO・7Al 2 O 3 組成でかつ非晶質のもの)
(2−2)急結剤100部中、ブレーン比表面積値が3,000cm 2 /g以上の無水石膏39〜49.5部
(2−3)急結剤100部中、アルミン酸ナトリウム3〜22部
吹付けセメントコンクリートが、骨材と、水とを配合してなることを特徴とする該吹付け工法である。
また、本発明でいうセメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートの総称である。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
リサイクル型セメントには、大別して、普通リサイクル型セメントと速硬リサイクル型セメントがある。
普通リサイクル型セメントはFe2O3含有量が多く、アルミネート系化合物の主体はカルシウムアルミノフェライトであり、速硬リサイクル型セメントは普通リサイクル型セメントよりも塩素含有量が高く、アルミネート系化合物の主体は11CaO・7Al2O3・CaCl2である点で相違している。
これらカルシウムアルミノフェライトやカルシウムアルミネート化合物の含有量はリサイクル型セメント100部中、12部以上であることが好ましい。12部未満では優れた急結性が得られない場合がある。
スラグ粉は、CaO、SiO2、Al2O3、及びMgOなどを含有し、CaO/SiO2が1.15〜1.25、(CaO+MgO)/(SiO2+Al2O3)が0.90〜1.05、Al2O3が15部未満、及びMgOが5部未満であることが好ましい。この範囲外では強度発現性が阻害される場合がある。
スラグ粉の粒度は、強度発現性の面からブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で3,000cm2/g以上が好ましい。3,000cm2/g未満では優れた強度発現性が得られない場合がある。
スラグ粉の使用量は、リサイクル型セメントとスラグ粉からなる混合セメント100部中、15〜65部が好ましく、20〜50部がより好ましい。15部未満では産業廃棄物であるスラグ粉を大量に処理することができないため、循環型社会の構築への寄与が小さく、硬化体中の塩素含有量が低減しない場合があり、65部を超えると低温時の初期強度発現性が損なわれる場合がある。
本発明におけるカルシウムアルミネートは、CaOをC、Al2O3をA、及びSiO2をSと略記すると、例えば、C3A、C12A7、C11A7・CaF2、C11A7・CaCl2、C2AS、CA、及びCA2などと標記されるものであり、これらの一種又は二種以上を併用することが可能である。
さらに、これらにアルカリ金属が固溶したものやミネライザーとしてMgやSiを含有させることも可能である。
カルシウムアルミネートは非晶質、結晶質のものが使用可能であり、これらが混在することも可能である。
カルシウムアルミネートの粒度やその分布は特に限定されるものではないが、急結性の面からブレーン値で4,000cm2/g以上が好ましく、6,000cm2/g以上がより好ましい。
カルシウムアルミネートの使用量は特に限定されるものではないが、急結剤100部中、30〜70部が好ましい。30部未満では優れた急結性が得られない場合があり、70部を超えると長期強度発現性が損なわれる場合がある。
無水石膏には、弗酸副生無水石膏や天然無水石膏が含まれる。
石膏を水に浸漬させたときのpHは、8以下の弱アルカリから酸性のものが好ましい。pHが高い場合、石膏の溶解度が高くなり、初期の強度発現性を阻害する場合がある。
ここでいうpHとは、石膏/イオン交換水が1g/100gの20℃における希釈スラリーのpHをイオン交換電極等を用いて測定したものである。
石膏の粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上が強度発現性の面から好ましい。
石膏の使用量は特に限定されるものではないが、急結剤100部中、30〜70部が好ましい。30部未満では長期強度発現性が損なわれる場合があり、70部を超えると優れた急結性が得られない場合がある。
アルカリ金属元素をRと略記すると、アルミン酸アルカリ塩のR2OとAl2O3のモル比は特に限定されるものではないが、0.65〜1.2が好ましい。0.65未満では優れた急結性が得られない場合があり、1.2を超えると長期強度発現性が損なわれる場合がある。
アルミン酸アルカリの粒度はカルシウムアルミネートや石膏と同等か、それ以上であることが急結性を向上させる面から好ましい。
アルミン酸アルカリの使用量は、急結剤100部中、5〜20部が好ましい。5部未満ではより優れた急結性が得られない場合があり、20部を超えると急結性状が損なわれる場合がある。
湿式の吹付け工法としては、吹付けセメントコンクリートに、急結剤を混合する方法等が挙げられ、乾式の吹付け工法としては、セメント、砂、及び砂利のコンクリート組成物に水や急結剤を混合する方法や、セメント、砂、砂利、及び急結剤に水を混合する方法が挙げられる。
また、本発明の急結性吹付けセメントコンクリートをトンネルの地山の他、法面の地山に直接、又は、フレーム骨格を配置した個所に吹き付けることも可能である。
ここで、フレーム骨格とは、金網、鉄筋、及び鉄骨等を組み合わせて壁面に固定したものであり、該フレーム骨格に急結性吹付けセメントコンクリートを吹き付け、鉄筋類含有セメントコンクリートフレームとする。
調製したモルタル中の混合セメント100部に対して、表1に示す急結剤を8部使用して急結性吹付けモルタルとし、試験環境温度は20℃で、プロクター貫入抵抗値を測定した。結果を表1に併記する。
スラグ粉 :新日鐵高炉社製、商品名エスメント、ブレーン値4,000cm2/g
リサイクル型セメント:太平洋セメント社製、商品名エコセメント(速硬型)、C3S 44%、C2S 10%、SO3 16%、C4AF 8%、C11A7・CaCl2 17%
カルシウムアルミネート:C12A7組成、非晶質、ブレーン値8,000cm2/g
石膏 :無水石膏、一級試薬、ブレーン値6,000cm2/g
アルミン酸アルカリ:アルミン酸ナトリウム、一級試薬、ブレーン値4,000cm2/g
砂 :新潟県姫川産川砂、比重2.62
水 :水道水
プロクター貫入抵抗値:凝結性状の確認、ASTM C 403「貫入抵抗によるコンクリートの凝結時間試験方法」に準拠。モルタルと急結剤を混合後、1分と3分の凝結性状を評価
また、比較のため、普通セメントを使用した場合についても同様に試験した。結果を表2に併記する。
普通セメント:普通ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、C3S 54%、C2S 21%、SO3 3%、C4AF 9%、C3A 9%
重量変化率:耐酸性試験、硬化体を水中で28日間養生した後、5%の濃度の硫酸水溶液に28日間浸漬させ、浸漬前後の重量変化を測定
Claims (2)
- (1)(1−1)と(1−2)を配合してなる吹付けセメントコンクリートと、(2)速硬リサイクル型セメントと高炉スラグ微粉末の合計100部に対して、(2)(2−1)(2−2)(2−3)を含有してなる急結剤2〜15部とを、吹付け直前に混合して吹き付けることを特徴とする吹付け工法。
(1−1)速硬リサイクル型セメント100部中、11CaO・7Al 2 O 3 ・CaCl 2 含有量が12部以上である速硬リサイクル型セメント
(1−2)速硬リサイクル型セメントと高炉スラグ微粉末の合計100部中、15〜70部の高炉スラグ微粉末(高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積値は3,000cm 2 /g以上)
(2−1)急結剤100部中、カルシウムアルミネート39〜49.5部(カルシウムアルミネートはブレーン比表面積値が4,000cm 2 /g以上、12CaO・7Al 2 O 3 組成でかつ非晶質のもの)
(2−2)急結剤100部中、ブレーン比表面積値が3,000cm 2 /g以上の無水石膏39〜49.5部
(2−3)急結剤100部中、アルミン酸ナトリウム3〜22部 - 吹付けセメントコンクリートが、骨材と、水とを配合してなることを特徴とする請求項1に記載の吹付け工法。
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