JP3949091B2 - 吹付け工法 - Google Patents
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Description
しかしながら、カルシウムアルミネートにアルカリ金属アルミン酸塩やアルカリ金属炭酸塩等を混合した急結剤よりも低pH値のもので、弱アルカリ性、好ましくは、中性又は弱酸性の急結剤が求められていた。
しかしながら、この液体急結剤は、初期強度発現が得にくく、従来の粉体系急結剤と比較して、岩盤の脆いトンネル坑内で厚吹きした場合には剥落する危険性があった。
そして、剥落を回避するために、薄吹きにて施工した場合や、また、厚吹きした場合にでも、充分な安全強度に達するまでの時間を確保し、次工程に進めない場合には工期の長期化によるコストアップが問題となった。
近年では、人体への影響が従来の塩基性の急結剤と比較して少なく、初期強度発現性が優れる液体急結剤の開発が待たれていた。
廃棄物を原料としたセメントでは、原料として下水で発生する汚泥や廃棄物の焼却灰等の都市型廃棄物を利用している(特許文献4参照)。
そして現在は、こういった産業副産物や都市型廃棄物を積極的に利用し、かつ、より優れた性状を得ることが必要とされている。
また、本発明でいうセメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタル、及びコンクリートを総称するものである。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
リサイクルセメントには、大別して、普通リサイクル型セメントと速硬リサイクル型セメントがある。
普通リサイクル型セメントは塩素含有量が極めて少なく、カルシウムアルミネートの主体は3CaO・Al2O3であり、速硬リサイクル型セメントは塩素含有量が高く、カルシウムアルミネートの主体は11CaO・7Al2O3・CaClである点で相違している。
これらカルシウムアルミネートの含有量は、リサイクルセメント100部中、10部以上が好ましい。10部未満では普通ポルトランドセメントと比較して優れた急結性が得られない場合がある。
リサイクルセメントの粉末度は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で、3,000cm2/g以上が好ましく、4,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では優れた急結性や強度発現性が得られない場合がある。
本発明において、リサイクルセメントの使用量は、180〜600kg/m3が好ましく、200〜500kg/m3がより好ましい。180kg/m3が未満では優れた急結性や強度発現性が得られない場合があり、600kg/m3を超えると単位セメント量が多く、経済的に優れず、環境負荷の高いセメントコンクリートとなる場合がある。
高炉スラグの粉末度は特に限定されるものではないが、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましい。3,000cm2/g未満では初期の強度発現性が優れない場合がある。
高炉スラグの置換率はリサイクルセメント中、内割で5〜70%が好ましく、10〜50%がより好ましい。5%未満では添加効果が得られない場合があり、また、使用量が少なく環境負荷低減への効果が少なく、70%を超えると急結性や初期強度発現性が優れない場合がある。
また、液体急結剤において、イオウ、アルミニウム、及びフッ素の3元素を二種類以上含有する化合物を使用することも可能である。
上記配合において、アルミニウムやフッ素の含有量が上記の配合量未満では充分な凝結性状が得られない場合があり、アルミニウムやフッ素の含有量が上記の配合量を超えると流動性が低下し、ポンプ圧送性が低下する場合がある。
また、アルカリ金属の供給原料を使用する場合、アルカリ金属は、SO3換算のイオウ100部に対して、2〜50部含有することが好ましい。
ここで、Rは、通常、アルキル基又はアリル基と呼ばれる原子団であり、例えば、メチレン基、エチレン基、及びn-プロピレン基等の直鎖型のアルキル基、イソプロピル基等の枝分かれ構造を有するアルキル基、並びに、フェニル基やベンジル基等の芳香族環を有するアリル基等が挙げられる。
また、Rは窒素原子と2箇所以上で結合していてもよく、Rの一部又は全部が環状構造であってもよい。
さらに、Rは複数の水酸基と結合していてもよく、アルキル基の一部に炭素や水素以外の元素、例えば、イオウ、フッ素、塩素、及び酸素等が含まれていてもよい。
このようなアルカノールアミンの例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、及びこれらの誘導体等が挙げられ、本発明ではこれらのうちの一種又は二種以上を使用することができ、そのうち、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、及びそれらの混合物が好ましく、ジエタノールアミンとN,N-ジメチルエタノールアミンの混合物がより好ましい。
アルカノールアミンを使用する場合、アルカノールアミンの使用量は、SO3換算のイオウ100部に対して、1〜30部が好ましい。
また、液体急結剤は、弱アルカリ性〜酸性であることが好ましい。
アルカリ物質の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、0.05〜3部が好ましい。0.05部未満では優れた急結性状が得られない場合があり、3部を超えるとセメントコンクリートの流動保持性が低下する場合がある。
石膏の結晶の形態は特に限定されるものではなく、α型半水石膏、β型半水石膏、I型無水石膏、II型無水石膏、及びIII型無水石膏等が使用可能である。
また、これら石膏には、天然で産出するものや、産業副産物として得られる排脱石膏や弗酸副生無水石膏等が含まれる。
石膏の粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が強度発現性の面から好ましい。
石膏の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、1〜7部が好ましく、1.5〜5部がより好ましい。1部未満では優れた強度発現性が得られない場合があり、7部を超えると異常膨張を起こす場合がある。
本発明で使用する水酸化アルミニウムは、Al(OH)3、AlO(OH)・nH2Oなどの物質である。
水酸化アルミニウムには、結晶質や非晶質のものがあり、いずれも使用可能であるが、非晶質の水酸化アルミニウムを使用することが好ましい。
水酸化カルシウムや水酸化アルミニウムの粉末度は特に限定されるものではないが、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で4,000cm2/g以上が好ましく、8,000cm2/g以上がより好ましい。4,000cm2/g未満では吹付け時の地山への優れた付着性が得られない場合がある。
水酸化カルシウム及び/又は水酸化アルミニウムの使用量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、0.5〜5部が好ましく、0.8〜3部がより好ましい。0.5部未満では吹付け時の地山への優れた付着性が得られない場合があり、5部を超えると長期強度発現性が損なわれる場合がある。
なお、本発明で使用するセメントコンクリートのスランプフローなどは特に限定されるものではない。
ここで、鉄筋類とは、金網や鉄筋等からなるもので、これらを組合わせて壁面に固定してフレーム骨格を形成し、該フレームに本吹付け材料を吹付け、鉄筋類含有セメントコンクリートフレームとする。
調製したモルタル中のセメント100部に対して、表1に示した組成の液体急結剤10部を混合して型枠内に詰め込み、試験環境温度20℃で、プロクター貫入抵抗値を測定して凝結性状を確認した。結果を表1に併記する。
原料イ :アルミニウム供給原料、水酸化アルミニウム、和光純薬工業社製、試薬1級品
原料ロ :アルミニウム供給原料、硫酸アルミニウム8水塩、和光純薬工業社製、試薬1級品
原料ハ :イオウ供給原料、硫酸、和光純薬工業社製、試薬1級品
原料ニ :フッ素供給原料、ケイフッ化マグネシウム、和光純薬工業社製、試薬1級品
原料ホ :アルカリ金属供給原料、水酸化カリウム、和光純薬工業社製、試薬1級品
原料ヘ :アルカノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、和光純薬工業社製、試薬1級品
液体急結剤:各原料を表1に示す元素組成になるよう計算して混合し、得られた混合物50部と水50部をボールミルで混合し、80℃で3時間攪拌
セメントα:普通型リサイクルセメント、市販品、3CaO・SiO2含有量49.3%、2CaO・SiO2含有量14.0%、3CaO・Al2O3含有量11.2%、及び4CaO・Al2O3・Fe2O3含有量12.9%、密度3.17g/cm3
セメントβ:普通ポルトランドセメント、市販の3種混合品、3CaO・SiO2含有量53.9%、2CaO・SiO2含有量20.2%、3CaO・Al2O3含有量7.8%、及び4CaO・Al2O3・Fe2O3含有量8.8%、密度3.16g/cm3
砂 :新潟県姫川産川砂、密度2.62g/cm3
減水剤 :ポリカルボン酸系高性能減水剤、市販品
水 :水道水
プロクター貫入抵抗値:JSCE D-102-1999に準じて測定、材齢10分
高炉スラグ :新日本製鐵社製高炉スラグ、ブレーン4,000cm2/g
Claims (4)
- (1)廃棄物利用型セメント100部中、3CaO・Al2O3を10部以上含有する廃棄物利用型セメントを配合したセメントコンクリートと、(2)イオウ、アルミニウム、及びフッ素を含有してなる液体急結剤(SO3換算のイオウ100部に対して、Al2O3換算で25〜110部のアルミニウムと、元素換算で2.5〜50部のフッ素とを含有)をセメント100部に対して7〜15部とを吹付け直前に混合して吹き付けることを特徴とする吹付け工法。
- 液体急結剤が、アルカリ金属及び/又はアルカノールアミンを含有してなる請求項1に記載の吹付け工法。
- 廃棄物利用型セメントが、高炉スラグを、内割で5〜70%含有してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吹付け工法。
- 廃棄物利用型セメントが、普通リサイクル型セメントであることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項に記載の吹付け工法。
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