JP6809761B2 - セメント組成物及びその製造方法 - Google Patents
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[1](A)セメント、(B)カルシウムアルミネート類、(C)有機酸又はその塩、(D)アルカリ金属炭酸塩、(E)ギ酸又はその塩を含むベース組成物と、液体急結剤と、を含むセメント組成物。
[2]ベース組成物が(F)石膏類を更に含む、[1]に記載のセメント組成物。
[3](C)有機酸又はその塩が、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも一方の有機酸又はその塩である、[1]又は[2]に記載のセメント組成物。
[4](A)セメント100質量部に対して、(B)カルシウムアルミネート類を2〜45質量部、(C)有機酸又はその塩を0.2〜4.5質量部、(D)アルカリ金属炭酸塩を0.2〜10質量部、(E)ギ酸又はその塩を0.05〜4質量部含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のセメント組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載のベース組成物と、液体急結剤とを、吹付ノズルの先端で混合させる、セメント組成物の製造方法。
(A)セメントは特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、低熱及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュ又はシリカ混合剤等を混合した各種混合セメント、焼却灰、汚泥等の廃棄物を原料としたエコセメント等が挙げられる。また、セメントは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併せて用いてもよい。
カルシウムアルミネート類のCaOとAl2O3とのモル比([CaO]/[Al2O3])は、十分な可使時間を得ること及び十分な速硬性を得ることという観点から、0.9〜2.7が好ましく、1.2〜2.7がより好ましい。
カルシウムアルミネート類のブレーン比表面積は特に限定されるものではないが、良好な強度発現性を得ること及び十分な可使時間を得ることという観点から、3000〜8000cm2/gが好ましい。
液体急結剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、アルミン酸塩、ケイ酸ナトリウム等を有効成分とする液体急結剤が挙げられる。硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤は、通常、粉末状の硫酸アルミニウム(又はその水和物)を水と混ぜ、水溶液として調製されるが、特にこれに限定されるものではない。硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤は、可溶性アルミニウム成分と硫酸等の硫黄源を調整して、硫酸アルミニウムを水溶液として調製したものと同じ効果をもたらすものであってもかまわない。硫酸アルミニウムの濃度は、液体急結剤全量に対して、7質量%以上が好ましく、15〜65質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましい。また、本発明の効果が損なわれない程度において、更に他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、沈降性シリカ、アルカノールアミン、フッ化物、硫酸マグネシウム、シュウ酸等が挙げられる。
このようなセメント組成物は、例えば、トンネルの壁面等に対する吹付用として用いることもできる。
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)社製、密度3.16g/cm3)
エコセメント(太平洋セメント(株)社製、密度3.15g/cm3)
骨材(栃木県産3号珪砂)
カルシウムアルミネート([CaO]/[Al2O3]=2.0、ガラス化率80%、ブレーン比表面積5000cm3/g)
クエン酸試薬(関東化学社製)
酒石酸試薬(関東化学社製)
炭酸ナトリウム試薬(関東化学社製)
ギ酸カルシウム試薬(関東化学社製)
無水石膏(旭硝子社製)
高性能減水剤(ポリカルボン酸系、市販品)
硫酸アルミニウム系液体急結剤((固形分濃度:55%)、市販品)
(可使時間)
ベース組成物における各成分は表1に示す割合で配合した。ベース組成物は、水に対し、セメント、骨材、各種混和材を添加し、ホバートミキサで3分間練り混ぜることで製造した。ベース組成物の可使時間は、ベース組成物が硬化するまでの始発時間で評価した。始発時間は、油圧式のプロクター試験値を用い、貫入抵抗値が3.5N/mm2となる時間とした。始発時間の測定は30℃の環境下で行った。
各ベース組成物に対し、液体急結剤を添加し、ホバートミキサで撹拌した後、プロクター貫入抵抗値を測定した。液体急結剤の添加量は、実施例1、2、4〜7、比較例1〜3では、セメント100質量部に対し、固形分換算で2.75質量部となるように調整し、実施例3では、固形分換算で6.88質量部となるように調整した。測定は油圧式のプロクター試験機を用いて行った。試験は液体急結剤添加直後を0秒とし、急結剤を添加してからホバートミキサで5秒間撹拌し型枠へ充填し、30秒後及び6分後の各材齢で行った。急結性の評価は10℃の環境下で行った。
「急硬性の評価」において、6分後のプロクター貫入抵抗値が20N/mm2以上を示したセメント組成物の硬化体を用いて圧縮強度試験を行った。試験は、ベース組成物に液体急結剤を混合し、4×4×16cmの型枠に成型した試験体の材齢3時間での圧縮強度を測定した。試験は、JIS R 5201:2015に準拠して実施した。試験及び養生はすべて20℃の環境下で行い、湿空箱内で養生した。
試験結果を表2に示す。表2の結果から、実施例のセメント組成物であれば、急結剤添加前においては30℃と高い温度条件下でも30分以上の可使時間を確保することができ、且つ、急結剤添加後においては10℃と低い温度条件下でも良好な急結性を示した。更に、実施例のセメント組成物の硬化体は材齢3時間において高い圧縮強度も示した。一方、有機酸を含まない比較例1では、急結剤添加前のベース組成物を調整する時点で硬化が始まってしまい、その後の測定を行うことができなかった。ギ酸カルシウムを含まない比較例2では、ベース組成物の可使時間がやや短く、その後急結剤を添加しても急結性が得られなかった。炭酸ナトリウムを含まない比較例3では、急結剤添加前においては30分以上の可使時間を確保することができるものの、急結剤添加後の硬化体において圧縮強度が不十分であった。
Claims (5)
- (A)セメント、(B)カルシウムアルミネート類、(C)有機酸又はその塩、(D)アルカリ金属炭酸塩、(E)ギ酸又はその塩を含むベース組成物と、
液体急結剤と、を含むセメント組成物。 - 前記ベース組成物が(F)石膏類を更に含む、請求項1に記載のセメント組成物。
- 前記(C)有機酸又はその塩が、クエン酸及び酒石酸からなる群から選択される少なくとも一方の有機酸又はその塩である、請求項1又は2に記載のセメント組成物。
- (A)セメント100質量部に対して、
(B)カルシウムアルミネート類を2〜45質量部、(C)有機酸又はその塩を0.2〜4.5質量部、(D)アルカリ金属炭酸塩を0.2〜10質量部、(E)ギ酸又はその塩を0.05〜4質量部含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセメント組成物。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のベース組成物と、液体急結剤とを、吹付ノズルの先端で混合させる、セメント組成物の製造方法。
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