JP6289093B2 - 吹付コンクリート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
液体急結剤使用時の課題の解決策として、液体急結剤と粉体急結剤を併用する方法が提案されている(特許文献5,6参照)。具体的には、液体急結剤の他に、粉末硫酸アルミニウム及びアルミン酸カルシウム等の無機化合物を添加する方法である。粉体急結剤(無機化合物)の添加方法としては、ベースとなる吹付用コンクリートに含有させることも可能であるが、吹付用セメントコンクリートが吹付される直前に水、もしくは液体急結剤と混合してスラリー化したものを、セメントコンクリートの吐出直前に混合させる方法が、粉塵低減の観点から好ましいとされている。
従って、本発明の課題は、液体急結剤を用いても、急結性や初期強度発現性が優れ、かつコンクリートのコンシステンシーの良好な吹付コンクリート及びその製造方法を提供することにある。
〔1〕硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤と、
遊離生石灰及びカルシウムシリケートを含有する生石灰系クリンカ組成物、アルミン酸ナトリウム、セッコウ並びにセメント用減水剤を含有するベースコンクリートとからなる吹付コンクリートであって、
該生石灰系クリンカ組成物の含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.5〜3.0質量部であり、
該アルミン酸ナトリウムの含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.2質量部〜2.0質量部であり、
該セッコウの含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることを特徴とする吹付コンリート。
〔2〕セメント用減水剤が、ポリカルボン酸系減水剤である〔1〕に記載の吹付コンクリート。
〔3〕液体急結剤の使用量が、ベースコンクリート中のセメント100質量部に対して3〜15質量部である〔1〕又は〔2〕に記載の吹付コンクリート。
〔4〕硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤と、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のベースコンクリートを吹付ノズルの先端で混合させることを特徴とする吹付コンクリートの製造方法。
該アルミン酸ナトリウムの含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.2質量部〜1.0質量部であり、
該セッコウの含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることを特徴とする吹付コンリートである。
液体急結剤中の硫酸アルミニウム含有量は、15質量%以上が好ましく、20〜35質量%がより好ましく、22〜30質量%がさらに好ましい。
液体急結剤の使用量は、急結性能と長期強度発現性のバランスの点から、ベースコンクリート中のセメント100質量部に対して、3〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。
アルミン酸ナトリウムの使用量は、セメント100質量部に対して、0.2〜2.0質量部である。使用量が0.2質量部より少ないと急結性の向上が不十分であり、2.0質量部より多くなるとベースコンクリートのコンシステンシーが悪くなり、ポンプ圧送性などに支障をきたす。さらに、長期強度の発現性を阻害することになる。好ましい使用量はセメント100質量部に対して0.5〜1.0質量部である。
セメント用減水剤の使用量は、ベースコンクリートのコンシステンシーの確保及び吹付コンクリートの急結性向上効果の点から、セメント100質量部に対して、1.0〜5.0質量部が好ましく、1.2〜3.0質量部がより好ましい。
生石灰系クリンカ組成物の使用量は、初期急結性の発現性及びベースコンクリートの流動性保持の点から、セメント100質量部に対して、0.5〜3.0質量部が好ましく、1.5〜3.0質量部がより好ましい。
ベースコンクリートに用いられる骨材としては、特に制限されるものではなく、通常のコンクリート又はモルタルの製造に使用される骨材を何れも使用することができる。
その場合の各成分の配合比率としては、アルミン酸ナトリウムが20〜40質量部、セッコウが60〜80質量部、粉末状ポリカルボン酸系高性能減水剤が0.1〜5.0質量部である。さらに、生石灰クリンカ組成物あるいはフライアッシュが30〜70質量部である。
ベースコンリートの製造時に、この粉体混和材をセメントに対し1.0〜5.0質量%添加し、適宜、高性能減水剤を追加添加して、調整を行うことによって、比較的簡便に液体急結剤吹付用のベースコンクリートを製造することができる。
(1)セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、密度;3.16g/cm3)
(2)アルミン酸ナトリウム:市販品、粉末(Na2OとAl2O3のモル比=1.35)
(3)セッコウ:無水石膏;市販品(旭硝子社製)
(4)セメント用減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤「NT−1000H」(BASF社製)
(5)生石灰系クリンカ組成物:遊離石灰65%、ブレーン比表面積3,200cm2/g
(6)フライアッシュ:JIS灰(ブレーン比表面積4,000cm2/g)
(7)カルシウムアルミネート(C−A):CaO/Al2O3モル比=2.03、ガラス化率:85%、ブレーン比表面積7,600cm2/g
(8)細骨材:JIS砂
(9)水:水道水
(10)液体急結剤:硫酸アルミニウム系液体急結剤(硫酸アルミニウム含有量;27質量%)
(1)急結性評価
急結性評価はモルタルによるプロクター貫入抵抗試験で行った。
砂セメント比(S/C)を2.5、水セメント比(W/C)を45%ないし50%としたモルタル配合に、急結助剤(粉体混和材)として所定量のアルミン酸ナトリウム(SSA)、セッコウ、ポリカルボン酸系高性能減水剤(SP)を添加し、モルタルミキサーで1分間混練した。このモルタルに、セメントに対して7質量%ないし9質量%の液体急結剤を添加し、ハンドミキサーを用いて5秒間撹拌した後、プロクター貫入抵抗値を測定した。測定は、液体急結剤添加直後を0秒とし、30秒、60秒、90秒、120秒後の各材齢で試験を行った。結果を表1〜表2に示す。
急結性評価試験と同様に液体急結剤を添加、混練したモルタルを素早く型枠に詰め、圧縮強度試験用の供試体とした。圧縮強度試験は、材齢3時間、1日及び28日で行った。
急結性評価試験と同様に急結助剤を添加、混練したモルタルについて、流動性(フロー)、締り具合などから目視で評価した。
なお、以下の表1、表2及び表4に記載されている実施例は、参考例であって、本発明の範囲に含まれるものではない。
Claims (4)
- 硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤と、
遊離生石灰及びカルシウムシリケートを含有する生石灰系クリンカ組成物、アルミン酸ナトリウム、セッコウ並びにセメント用減水剤を含有するベースコンクリートとからなる吹付コンクリートであって、
該生石灰系クリンカ組成物の含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.5〜3.0質量部であり、
該アルミン酸ナトリウムの含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.2質量部〜2.0質量部であり、
該セッコウの含有量がベースコンクリート中のセメント100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることを特徴とする吹付コンリート。 - セメント用減水剤が、ポリカルボン酸系減水剤である請求項1に記載の吹付コンクリート。
- 液体急結剤の使用量が、ベースコンクリート中のセメント100質量部に対して3〜15質量部である請求項1又は2に記載の吹付コンクリート。
- 硫酸アルミニウムを有効成分とする液体急結剤と、請求項1〜3のいずれかに記載のベースコンクリートを吹付ノズルの先端で混合させることを特徴とする吹付コンクリートの製造方法。
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