JP2007055831A - 吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法 - Google Patents

吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ量が少なく、初期強度発現性が優れる吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法を提供すること。
【解決手段】セメントコンクリートに、液体急結剤100部中、アルカリ金属(RO換算)を1〜10部含有する酸性の液体急結剤と、粉末硫酸アルミニウムと、硫酸塩、アルミン酸塩および水酸化物からなる無機化合物の群から選ばれる何れか一種または二種以上とを添加することを特徴とする吹付け材料である。また、該液体急結剤がアルミニウムとイオウを含有することが好ましく、該液体急結剤100部中、アルミニウム(Al換算)を6〜15部含有することが好ましい。また、該液体急結剤のpHが6以下であることが好ましい。さらに、該吹付け材料を用いて吹き付けることを特徴とする吹付け工法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、法面や、道路、鉄道および導水路等のトンネルにおいて、露出した地山面に吹き付けるセメントコンクリートの吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法に関する。
トンネルの掘削作業等において露出した地山の崩落を防止するために、粉体の急結剤をセメントコンクリートに混合した急結性セメントコンクリートを吹き付ける工法が用いられている(特許文献1、特許文献2参照)。
これらの吹付け工法で使用する急結剤としては、急結性能が優れることからカルシウムアルミネートに、アルカリ金属アルミン酸塩またはアルカリ金属炭酸塩等を混合したものが使用されていた。
しかしながら、カルシウムアルミネートにアルカリ金属アルミン酸塩やアルカリ金属炭酸塩等を混合した急結剤よりも低pH値のもので、弱アルカリ性、好ましくは、中性または弱酸性の急結剤が求められていた。
この問題を解決するため液体急結剤として、塩基性アルミニウム塩や有機カルボン酸を主成分とするもの(特許文献3参照)、硫酸アルミニウムやアルカノールアミンを主成分とするもの(特許文献4参照)、ならびにアルミニウムの塩基性水溶液、ケイ酸リチウム、およびアルミン酸リチウムを主成分とするもの(特許文献5)等が用いられている。
一方、この液体急結剤は、初期強度発現が得られ難く、従来の粉体系急結剤と比較して、トンネル坑内で厚吹きした場合には剥落する危険性があった。
近年では、人体への影響が従来の塩基性の急結剤と比較して少なく、初期強度発現性が優れる液体急結剤の開発が待たれていた。
さらに急結性を高めた急結剤が近年開発されているが、低温時には従来の粉体急結剤と比較して急結性や強度発現性が劣り、トンネル坑内で厚吹きした場合には剥落することがあった(特許文献6、特許文献7参照)
特公昭60−004149号公報 特開平09−019910号公報 特表2001−509124号公報 特開平10−087358号公報 特開2001−130935号公報 特開2002−047048号公報 特開2003−246659号公報
本発明は、アルカリ量が少なく、初期強度発現性が優れるセメントコンクリートの吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法を提供するものである。
即ち、本発明は、セメントコンクリートに、液体急結剤100部中、アルカリ金属(RO換算)を1〜10部含有する酸性の液体急結剤と、粉末硫酸アルミニウムと、硫酸塩、アルミン酸塩および水酸化物からなる無機化合物の群から選ばれる何れか一種または二種以上とを添加することを特徴とする吹付け材料である。
また、該液体急結剤がアルミニウムとイオウを含有することを特徴とする吹付け材料であり、該液体急結剤100部中、アルミニウム(Al換算)を6〜15部含有することを特徴とする吹付け材料であり、該液体急結剤のpHが6以下であることを特徴とする吹付け材料であり、該液体急結剤が、セメントコンクリート中のセメント100部に対して、5〜15部であることを特徴とする吹付け材料である。
さらには、粉末硫酸アルミニウムが、セメントコンクリート中のセメント100部に対して、1〜10部であることを特徴とする吹付け材料であり、粉末硫酸アルミニウムが、Al(SO・nHO(但し、nは5〜20)であることを特徴とする吹付け材料であり、該吹付け材料を用いて吹き付けることを特徴とする吹付け工法である。
本発明の吹付け材料およびそれを用いた吹付け工法を採用することにより、液体急結剤を使用した場合でも急結性に優れ、吹き付け後に剥落を生じない効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうセメントコンクリートとは、セメントペースト、モルタルおよびコンクリートの総称である。
また、本発明における部や%は、特に規定しない限り質量基準である。
本発明で使用する液体急結剤は、アルカリ金属を含有するものである。また、この液体急結剤は、アルミニウムとイオウを含有することが好ましい。
液体急結剤に使用するアルカリ金属の供給原料は、特に限定されるものではないが、アルカリ金属、即ち、リチウム、ナトリウムおよびカリウム等を含む水溶性の化合物であればよく、アルカリ金属の酸化物、過酸化物、塩化物、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、過硫酸塩、硫化塩、炭酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、フッ化塩、ケイ酸塩、ケイフッ化塩、明礬および金属アルコキシド等が使用可能であり、これらのうちの一種または二種以上が使用可能である。これらのなかでも、硫酸塩、重炭酸塩、シュウ酸塩、フッ化塩、ケイフッ化塩および明礬等が好ましい。
アルカリ金属の使用量は、液体急結剤100部中、RO換算で1〜10部が好ましく、2〜5部がより好ましい。アルカリ金属の使用量が少ないと、優れた急結性が発揮されず、アルカリ金属の使用量が多いと、液体急結剤の貯蔵安定性が損なわれる場合がある。
液体急結剤に使用するアルミニウムの供給原料は、特に限定されるものではなく、アルミニウムを含有する、非晶質もしくは結晶質の水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸塩およびその他の無機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、ならびにアルミニウム錯体等の化合物が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上が使用可能である。これらのなかでも、イオウの供給原料ともなる硫酸アルミニウムの使用が好ましい。
液体急結剤のアルミニウムの使用量は、液体急結剤100部中、Al換算で6〜15部含有することが好ましい。6〜15部含有させることにより優れた急結性を発揮させることができる。アルミニウムの使用量が少ないと、優れた急結性が得られない場合がある。
本発明の液体急結剤に使用するイオウの供給原料は、特に限定されるものではなく、硫黄や硫黄華のような元素状態の硫黄の他に、硫化物、硫酸または硫酸塩、亜硫酸または亜硫酸塩、チオ硫酸またはチオ硫酸塩、ならびに有機硫黄化合物等が挙げられ、これらのうちの一種または二種以上が使用可能である。これらのなかでも、水への溶解性が高く、製造コストが安く、かつ、急結性状が優れる面から硫酸または硫酸塩が好ましく、さらに、硫酸塩のうちアルミニウムとアルカリ金属を含有する化合物がより好ましい。
本発明の液体急結剤は、酸性の液体急結剤であり、pHで6以下が好ましい。pHが高いと、液体急結剤の安定性が損なわれる場合がある。
本発明の液体急結剤の使用量は、セメント100部に対して、5〜15部が好ましく、7〜10部がより好ましい。液体急結剤の使用量が少ないと、優れた急結性が発揮されない場合があり、液体急結剤の使用量が多いと、長期強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明の液体急結剤は、20〜90℃の範囲の温度で加熱してセメントコンクリートに混和させることにより急結性を向上させることが可能である。
本発明の液体急結剤中の固形分の濃度は、20〜60%であることが好ましく、25〜50%であることがより好ましい。固形分の濃度が低いと、優れた急結性状が得られない場合があり、固形分の濃度が高いと、液の粘性が高く、ポンプでの圧送性が悪くなる場合がある。
本発明の液体急結剤の形態は液状であり、懸濁液も含むものであり、懸濁液中の懸濁粒子のサイズは特に限定されるものではないが、懸濁粒子の分散性から、5μm以下であることが好ましい。懸濁粒子のサイズが大きいと、優れた分散性が得られず、液体ポンプ内で閉塞する場合がある。
また、本発明の液体急結剤と併用して既知の水溶性の水和促進剤を使用することが可能である。
水和促進剤としては、例えば、ギ酸またはその塩、酢酸またはその塩、および乳酸またはその塩等の有機系の水和促進剤や、水ガラス、硝酸塩、亜硝酸塩、チオ硫酸塩およびチオシアン酸塩等の無機系の水和促進剤を使用することが可能である。
本発明で使用する粉末硫酸アルミニウムは、Al(SO・nHOの化学式を持ち、Al(SO・14〜18HOやAl(SO・8HO、無水硫酸アルミニウム等が使用可能であるが、初期の付着性が良好なことからnは5〜20であることが好ましい。
本発明の粉末硫酸アルミニウムの使用量は、セメント100部に対して、1〜10部が好ましく、1.5〜5部がより好ましい。粉末硫酸アルミニウムの使用量が少ないと、優れた急結性が発揮されない場合があり、粉末硫酸アルミニウムの使用量が多いと、長期強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明では、粉末硫酸アルミニウムの他に、さらに硫酸塩、アルミン酸塩および水酸化物からなる無機化合物の群から選ばれる何れか一種または二種以上を併用することが好ましい(以下、これらを総称して粉体混和材という)。
本発明で使用する硫酸塩は、強度発現性の向上を目的として使用するものであり、硫酸カルシウム、アルカリ金属硫酸塩および明礬類等が使用される。
硫酸カルシウムの結晶の形態は、特に限定されるものではなく、α型半水石膏、β型半水石膏、I型無水石膏、II型無水石膏およびIII型無水石膏等が使用可能である。また、これら硫酸カルシウムには、天然で産出するものや、産業副産物として得られる排脱石膏や弗酸副生無水石膏等が含まれる。
アルカリ金属硫酸塩としては、硫酸ナトリウムや硫酸カリウム等が挙げられ、明礬類としてはナトリウム明礬やカリウム明礬等が挙げられる。
本発明では、これらの一種または二種以上が使用可能である。
硫酸塩の使用量は、特に限定されないが、粉末硫酸アルミニウム100部に対して、10〜150部が好ましく、20〜100部がより好ましい。硫酸塩の使用量が少ないと、高い強度発現性が得られない場合があり、硫酸塩の使用量が多いと、急結性が低下する場合がある。
本発明で使用するアルミン酸塩は、急結性を向上させるために使用するものであり、アルカリ金属アルミン酸塩やアルミン酸カルシウム等が挙げられる。アルカリ金属アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウムやアルミン酸カリウム等が挙げられ、Rをアルカリ金属とするとRO/Alモル比で0.8〜1.2が好ましい。アルミン酸カルシウムはCaO原料やAl原料等を混合したものをキルンでの焼成、電気炉での溶融等の熱処理をし、粉砕して得られるものである。CaOをC、AlをA、SiOをSと略記すると、例えばCA、C12、C11・CaF、C11・CaCl、CA・S、CAおよびCA等が挙げられ、これらの一種または二種以上を併用することが可能である。さらに、これらにアルカリ金属が固溶したものやミネライザーとしてMgやSiを含有させることも可能である。また、非晶質、結晶質のものが使用可能であり、これらが混在したものを使用して良い。
アルミン酸塩の使用量は特に限定されないが、粉末硫酸アルミニウム100部に対して10〜200部が好ましく、20〜150部がより好ましい。アルミン酸塩の使用量が少ないと、高い急結性が得られない場合があり、アルミン酸塩の使用量が多いと、長期強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明で使用する水酸化物は、初期の急結性を向上させるために使用するものであり、二価および三価の金属を含有するものが好ましく、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))および水酸化マグネシウム(Mg(OH))等が挙げられ、マグネシア(MgO)とシリカ(SiO)を含有する滑石(別名:タルク)も使用可能である。水酸化カルシウムは、生石灰(CaO)やカルシウムカーバイド(CaC)が水和した際に生じる消石灰を含むものであり、セメントコンクリートが水を使用する性質上、結果として水酸化カルシウムを多量に生成させる生石灰等の使用、もしくはこれを水酸化カルシウムと併用することは可能である。水酸化カルシウムの結晶の形態は特に限定されるものではない。水酸化アルミニウムは、Al(OH)やAlO(OH)・nHO等の物質である。水酸化アルミニウムには、結晶質や非晶質のものがあり、何れも使用可能であるが、非晶質の水酸化アルミニウムを使用することが好ましい。
水酸化物の使用量は特に限定されないが、粉末硫酸アルミニウム100部に対して5〜100部が好ましく、10〜70部がより好ましい。水酸化物の使用量が少ないと、高い急結性が得られない場合があり、水酸化物の使用量が多いと、強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明では、これらの他に炭酸塩やシリカ質微粉末を併用することができる。炭酸塩は、強度発現性と粉のエア圧送性を向上させるために使用するものであり、アルカリ金属炭酸塩、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムの他、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムの中間体であるドロマイトも使用可能である。
炭酸塩の使用量は特に限定されないが、粉末硫酸アルミニウム100部に対して5〜100部が好ましく、10〜70部がより好ましい。炭酸塩の使用量が少ないと、高い強度発現性が得られない場合があり、炭酸塩の使用量が多いと、コストが嵩み好ましくない。
シリカ質微粉末は、強度発現性を向上させるために使用するものであり、シリカフュームおよびフライアッシュ等の産業副産物や、フュームドシリカ、コロイダルシリカおよび沈降性シリカ等のゲルタイプシリカ等が挙げられる。
シリカ質微粉末の使用量は特に限定されないが、粉末硫酸アルミニウム100部に対して5〜100部が好ましく、10〜70部がより好ましい。シリカ質微粉末の使用量が少ないと、高い強度発現性が得られない場合があり、シリカ質微粉末の使用量が多いと、コストが嵩み好ましくない。
炭酸塩やシリカ質微粉末の粒度は特に限定されず、例えばブレーン比表面積で数百cm/g以上あれば良い。
本発明で使用するセメントは特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、中庸熱、および低熱等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに高炉スラグ、フライアッシュおよび石灰石微粉末を混合した各種混合セメント、高炉徐冷スラグや石灰石微粉末を混合したフィラーセメント、ならびに都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)等が挙げられ、これらを微粉末化して使用することも可能である。混合セメントにおける混合物とセメントの割合は特に限定されるものではなく、これら混和材をJISで規定する以上に混合したものも使用可能である。
本発明では、前記各材料や、砂や砂利等の骨材の他に、減水剤、AE剤、増粘剤および繊維等の混和材または混和剤を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
減水剤は、セメントコンクリートの流動性を改善するために使用するものをいい、液状や粉状の何れも使用可能である。減水剤としては、例えばリグニンスルホン酸系、ナフタレンスルホン酸系およびポリカルボン酸系等の公知の減水剤が使用可能である。
AE剤は、セメントコンクリートの凍害を防止するものである。凍害の予防方法としては、AE剤と呼ばれる一種の界面活性剤を用いて、無数の微細気泡をセメントコンクリート中に混入する方法が採られる。AE剤として使用される界面活性剤として、例えば、ポリエーテル類(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)、芳香族スルホン酸塩類(ナフタレンスルホン酸塩等)、硫黄含有化合物(高級アルコール硫酸エステル等)、天然樹脂(アビエチン酸塩等)等が使用可能である。
増粘剤とは、セメントコンクリートに粘性を与え、吹き付け直後のダレを防止し、リバウンド率を小さくし、粉塵発生を抑制するものをいう。増粘剤としては、骨材、セメントペーストおよびその他添加剤の材料分離抵抗性を向上させるものであり、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル等のセルロース系、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等のポリマーや、アクリル酸、メタクリル酸およびエステルのコポリマーが主成分であるアクリル系ポリマー等が使用可能である。
繊維は、セメントコンクリートの耐衝撃性や弾性の向上の面から使用するもので、無機質や有機質の何れも使用可能である。無機質の繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、石綿、セラミック繊維および金属繊維等が挙げられる。
また、有機質の繊維としては、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ、麻、木毛および木片等が挙げられ、これらのうち、経済性の面で、金属繊維やビニロン繊維が好ましい。繊維の長さは圧送性や混合性等の点で、50mm以下が好ましく、5〜30mmがより好ましい。繊維のアスペクト比は特に限定されるものではない。
本発明の吹付け材料は、液体急結剤に粉末硫酸アルミニウム等の粉体混和材を併用するものである。これらの粉体混和材は、予めベースとなる吹付け用セメントコンクリートに含有させることも可能であるが、粉体混和材は、吹付け用セメントコンクリートが吹き付けされる直前に水、もしくは液体急結剤と混合してスラリー化したものを、セメントコンクリートの吐出直前に混合させることも可能であり、粉塵低減の観点から後者の方法が好ましい。
本発明の法面やトンネルへの吹付け工法としては、一般的に行われている乾式、湿式の何れの吹付け工法も可能である。そのうち、粉塵の発生量が少ない面で湿式吹付け工法が好ましい。
本発明の吹付け用セメントコンクリートのスランプ値やフロー値は特に限定されず、公知の施工システムの組み合わせの範疇で問題なく施工可能ならば何れの値のものでも使用可能である。
以下、実験例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
セメント/砂(C/S)比が1/3、水/セメント(W/C)比が50%の配合を用い、減水剤を使用してスランプ(SL)を15cm程度に調整したモルタルを使用した。
調製したモルタル中のセメント100部に対して、粉末硫酸アルミニウム(ア)3部を配合し、粉末硫酸アルミニウム100部に対して、表1に示す量の硫酸塩、アルミン酸塩、および水酸化物を配合した。さらに、セメント100部に対して、表1に示す液体急結剤10部を混合して型枠内に詰め込み、試験環境温度20℃で、プロクター貫入抵抗値を測定した。結果を表1に併記する。
なお、比較のため、粉末硫酸アルミニウム等の粉体混和材を使用しない系でも同様に試験した。
<使用材料>
液体急結剤:各原料を表1に示す組成になるよう計算して混合し、80℃で30分間溶解させたものを使用。
原料イ:硫酸アルミニウム14〜18水塩、キシダ化学社製、試薬1級品
原料ロ:アルカリ金属原料、無水硫酸ナトリウム、キシダ化学社製、試薬1級品
原料ハ:アルカリ金属原料、炭酸ナトリウム、キシダ化学社製、試薬1級品
原料二:非晶質水酸化アルミニウム、工業品
粉末硫酸アルミニウム(ア):硫酸アルミニウム14〜18水塩、キシダ化学社製、試薬1級品
硫酸塩:硫酸カルシウム(天然無水石膏)、ブレーン比表面積4000cm/g
アルミン酸塩:アルミン酸カルシウム(12CaO・7Al組成)、非晶質、ブレーン比表面積8000cm/g
水酸化物:タルク、ブレーン比表面積5000cm/g
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、密度3.15g/cm
砂:新潟県姫川産川砂、密度2.62g/cm
減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤、市販品
水:水道水
<測定方法>
プロクター貫入抵抗値:JSCE D−102−1999に準じて測定、材齢15分
Figure 2007055831
表1より、アルカリ金属を液体急結剤100部中、RO換算で1〜10部含有する液体急結剤と粉末硫酸アルミニウム等の粉体混和材を併用した実験No.
1−2、1−3、1−5、1−6、1−7、1−9、1−10、1−12、1−13、1−14、1−16、1−17、1−19、1−20、1−21、1−22、1−23の実施例の材料は、材齢15分のプロクター貫入抵抗値が大きく、急結性に優れていることが分かる。
また、液体急結剤のAlの含有量が多くなるにしたがって、急結性の向上が見られることから、Alの含有量を液体急結剤100部中、6〜15部が好ましいことが分かる。
これに対して、液体急結剤にアルカリ金属を含有しない実験No.1−1、1−8、1−15の比較例の材料、粉末硫酸アルミニウム等の粉体混和材を併用しない実験No.1−4、1−11、1−18の比較例の材料は、材齢15分のプロクター貫入抵抗値が小さく、優れた急結性が発揮されなかった。
また、1−25、1−26の実施例の材料は、材齢15分のプロクター貫入抵抗値が1−24よりも小さくなることから、液体急結剤のAl含有量は15部以下が好ましいことが分かる。
セメント100部に対して、粉末硫酸アルミニウム(ア)3部を配合し、粉末硫酸アルミニウム100部に対して表2に示す量の硫酸塩、アルミン酸塩および水酸化物を使用して、さらにセメント100部に対して、表1の実験No.1−14の液体急結剤10部を混合して型枠内に詰め込み、プロクター貫入抵抗値と圧縮強度を測定した以外は、実施例1と同様に試験した。結果を表2に併記する。
<測定方法>
プロクター貫入抵抗値:JSCE D−102−1999に準じて測定、材齢15分
圧縮強度:材齢1日で脱型枠し、20℃水中養生とし、材齢28日で圧縮強度を測定した。供試体サイズは4×4×16cm。
Figure 2007055831
表2より、粉末硫酸アルミニウムのみを使用した実験No.2−1と比較して、硫酸塩、アルミン酸塩および水酸化物を併用した実験No.2−2〜2−5は、高いプロクター貫入抵抗値と28日圧縮強度が得られることが分かる。
さらに、実験No.2−6〜2−17より、これらを複合して使用することでより高い効果を得ることが可能となることが分かる。
また、粉末硫酸アルミニウム100部に対する各物質の使用量は、硫酸塩の場合、実験No.2−6〜2−9から10〜150部、より好ましくは20〜100部となる。アルミン酸塩の場合、実験No.2−10〜2−13から10〜200部、より好ましくは20〜150部となる。水酸化物の場合、実験No.2−14〜2−17から5〜100部、より好ましくは10〜70部となることが分かる。
表1の実験No.1−14の液体急結剤を、セメント100部に対して、表3に示す量使用し、粉末硫酸アルミニウム等の粉体混和材をセメント100部に対して表1の実験No.1−14と同量使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
Figure 2007055831
表3より、液体急結剤の使用量が多くなるにしたがって、材齢15分のプロクター貫入抵抗値が大きくなり、急結性の向上が認められるから、液体急結剤の使用量は、セメント100部に対して、5部以上が好ましいことが分かる。しかし、15部を超えて使用しても、実験No.3−5のように急結性状は飽和し、また、長期強度発現性が悪くなる場合があるから、5〜15部とすることが好ましいことが分かる。
セメント100部に対して表4に示す種類と量の粉末硫酸アルミニウムを使用し、硫酸塩30部、アルミン酸塩50部、水酸化物20部からなる粉体混和材を粉末硫酸アルミニウムと同量使用して、さらに表1の実験No.1−14の液体急結剤を、セメント100部に対して10部使用したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
<使用材料>
粉末硫酸アルミニウム(ア):硫酸アルミニウム14〜18水塩、キシダ化学社製、試薬1級品
粉末硫酸アルミニウム(イ):硫酸アルミニウム8水塩、キシダ化学社製、試薬1級品
粉末硫酸アルミニウム(ウ):無水硫酸アルミニウム、キシダ化学社製、試薬1級品
Figure 2007055831
表4より、粉末硫酸アルミニウムの使用量は、セメント100部に対して、1部以上で、材齢15分のプロクター貫入抵抗値が大きくなり、急結性が向上することが分かる。しかし、10部を超えて使用しても、実験No.4−6のように急結性状は飽和し、また、長期強度発現性が悪くなる場合があるので、1〜10部が好ましいことが分かる。
また、実験No.1−14、No.4−2、No.4−4を比較すると、無水の粉末硫酸アルミニウム(ウ)より、結晶水を持った粉末硫酸アルミニウム(ア)、(イ)を使用した方が、急結性状に優れることが分かる。

Claims (8)

  1. セメントコンクリートに、液体急結剤100部中、アルカリ金属(RO換算)を1〜10部含有する酸性の液体急結剤と、粉末硫酸アルミニウムと、硫酸塩、アルミン酸塩および水酸化物からなる無機化合物の群から選ばれる何れか一種または二種以上とを添加することを特徴とする吹付け材料。
  2. 前記液体急結剤がアルミニウムとイオウを含有することを特徴とする請求項1に記載の吹付け材料。
  3. 前記液体急結剤100部中、アルミニウム(Al換算)を6〜15部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の吹付け材料。
  4. 前記液体急結剤のpHが6以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の吹付け材料。
  5. 前記液体急結剤が、セメントコンクリート中のセメント100部に対して、5〜15部であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の吹付け材料。
  6. 前記粉末硫酸アルミニウムが、セメントコンクリート中のセメント100部に対して、1〜10部であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の吹付け材料。
  7. 前記粉末硫酸アルミニウムが、Al(SO・nHO(但し、nは5〜20)であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の吹付け材料。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の吹付け材料を用いて吹き付けることを特徴とする吹付け工法。
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