JP2006342027A - 急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法 - Google Patents

急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法 Download PDF

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Abstract

【課題】吹付け時に発生する粉塵量が少ない、急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料を提供する。
【解決手段】カルシウムアルミネート類、石膏、アルカリ金属アルミン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、又はさらにオキシカルボン酸類を含有してなる急結剤であり、該急結剤と水とを含有してなる急結剤スラリーであり、セメントを含有してなるセメントコンクリートと該急結剤とを含有してなる吹付け材料であり、セメントと該急結剤とを混合してなる吹付け材料であり、該急結剤とセメントコンクリートを合流混合して吹付ける吹付け工法であり、セメントを含有してなるセメントコンクリートと該急結剤スラリーとを含有してなる吹付け材料。セメントを含有してなるセメントコンクリートと該急結剤スラリーとを含有してなる吹付け工法。急結剤に加水することにより、連続的に急結剤スラリーを調整し、セメントコンクリートと合流混合して吹付けることを特徴とする吹付け工法。
【選択図】なし

Description

本発明は、急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法に関する。
トンネル掘削等、露出した地山の崩落を防止するために急結剤をコンクリートに配合した急結コンクリートの吹付工法が行われている(特許文献1参照)。この工法は、通常、掘削工事現場に設置した、セメント、骨材、及び水の計量混合プラントで吹付コンクリートを調製し、アジテータ車で運搬し、コンクリートポンプで圧送し、途中に設けた合流管で、他方から圧送した急結剤と混合し、急結性吹付コンクリートとして地山面に所定の厚みになるまで吹付ける工法である。
使用される急結剤としては、カルシウムアルミネートとアルカリ金属アルミン酸塩とアルカリ炭酸塩等との混合物、並びに、カルシウムアルミネートとアルカリ金属アルミン酸塩、及びアルカリ炭酸塩等の混合物や、カルシウムアルミネートと3CaO・SiOとの混合物等が知られている(特許文献2〜特許文献5参照)。
これらの急結剤は、セメントの凝結を促進させる働きがあり、いずれもセメントコンクリートと混合して地山面に吹付けられる。急結剤の添加方法は、通常、空気輸送による粉体混合のために、粉塵発生量が多くなる方法であった。
そのため、作業環境が悪化する場合があり、吹付け時には保護眼鏡や防塵マスク等を着用して作業する必要があり、粉塵発生量がより少なくなる工法が求められていた。
粉塵発生量が少ない工法として、急結剤をスラリー化してセメントコンクリートに添加混合した後、さらに、アルカリ金属アルミン酸塩の溶液を別途圧送して混合し、吹付け施工する方法が提案されている(特許文献6参照)。しかしながら、この方法は、高アルカリの液体を使用するため、取り扱いにくく、吹付け時には保護眼鏡や手袋等が必要となり、作業性が低下するという課題があった。
これに対して、急結剤をスラリー化し、かつ、セメントコンクリートにミョウバン類を配合することにより、作業環境を改善する急結施工方法が提案されている(特許文献7参照)。
特公昭60−004149号公報 特開昭64−051351号公報 特公昭56−027457号公報 特開昭61−026538号公報 特開昭63−210050号公報 特開平05−139804号公報 特開平05−097491号公報
本発明は、吹付け時に発生する粉塵量が少ない、急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料を提供するものである。
即ち、本発明の第1は、カルシウムアルミネート類、石膏、アルカリ金属アルミン酸塩、及びアルカリ金属炭酸塩、又はさらにオキシカルボン酸類を含有してなる急結剤であり、該急結剤と水とを含有してなる急結剤スラリーであり、粘度が7000mPa・s以下である該急結剤スラリーである。
また、セメントを含有してなるセメントコンクリートと該急結剤とを含有してなる吹付け材料であり、セメントと該急結剤とを混合してなる吹付け材料であり、該急結剤とセメントコンクリートを合流混合して吹付けることを特徴とする吹付け工法であり、さらには、セメントを含有してなるセメントコンクリートと該急結剤スラリーとを含有してなる吹付け材料であり、セメントを含有してなるセメントコンクリートと該急結剤スラリーとを含有してなる吹付け工法である。
本発明の第2は、急結剤に加水することにより、連続的に急結剤スラリーを調整し、セメントコンクリートと合流混合して吹付けることを特徴とする吹付け工法である。
本発明の急結剤を用いることにより、粉塵の発生量を少なくできる。さらに、吹付け初期に高い強度が得られるために安全性も向上する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準である。
本発明のカルシウムアルミネート類とは、カルシア原料とアルミナ原料を混合して、キルンでの焼成或いは電気炉での溶融等の熱処理をして得られるCaOとAlとを主成分とする水和活性を有する物質の総称である。CaOをC、AlをAと略記すると、CA、C12、C11・CaF、C11・CaCl、CA・SiO、CA、及びCA等が挙げられ、さらにCaOやAlの一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属硫酸塩、及びアルカリ土類金属硫酸塩等と置換した化合物、あるいは、CaOとAlとを主成分とするものに、これらが少量固溶した化合物も含まれる。
カルシウムアルミネート類の形態としては、結晶質、非晶質いずれであっても使用可能である。これらの中では、反応活性の面で、非晶質のカルシウムアルミネート類が好ましく、C12組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のカルシウムアルミネートがより好ましい。
カルシウムアルミネート類の粒度は、急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)3,000cm/g以上が好ましく、5,000cm/g以上がより好ましい。ブレーン値が小さいと、急結剤と吹付けセメントコンクリートを混合した急結性吹付けセメントコンクリートの急結性や初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明の石膏は、急結性吹付けセメントコンクリートの凝結性や強度発現性を向上し、例えば、急結剤と水(以下、スラリー水という)を混合した急結剤スラリーの硬化時間を遅延するために混合するものである。石膏としては、例えば、無水石膏、半水石膏、及び二水石膏が使用可能である。これらの中では、凝結性や強度発現性の面で無水石膏の使用が好ましい。
石膏の粒度は、通常、セメント等に使用される程度でよいが、急結性吹付けセメントコンクリートの急結性や初期強度発現性の面で、ブレーン3,000cm/g以上が好ましい。ブレーン値が小さいと、急結剤と吹付けセメントコンクリートを混合した急結性吹付けセメントコンクリートの凝結性や強度発現性が低下する場合がある。
石膏の使用量は、カルシウムアルミネート類100部に対して、20〜50部が好ましく、25〜45部がより好ましい。石膏の使用量が少ないと、急結剤スラリーの粘度が上昇するため、急結性吹付けセメントコンクリートの施工性や凝結性が低下して、長期強度発現性を促進しにくい場合があり、石膏の使用量が多いと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明のアルカリ金属アルミン酸塩(以下、アルミン酸塩という)とは、セメントの初期凝結を促進するものであり、水酸化アルミニウムとアルカリ金属水酸化物を混合溶解し、乾燥し、粉末状として得られるものである。
アルミン酸塩としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸リチウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することが可能である。これらの中では、急結性吹付けセメントコンクリートの凝結性や初期強度発現性の面で、アルミン酸ナトリウムの使用が好ましい。
アルミン酸塩の使用量は、カルシウムアルミネート類100部に対して、10〜50部が好ましく、15〜45部がより好ましい。アルミン酸塩の使用量が少ないと、初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合があり、アルミン酸塩の使用量が多いと、急結剤スラリーの粘度が上がり、急結性吹付けセメントコンクリートの施工性や長期強度発現性が低下する場合がある。
本発明のアルカリ金属炭酸塩(以下、炭酸アルカリという)とは、セメントの初期凝結を促進するものであり、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらの中では、初期凝結促進の面で、炭酸ナトリウムが好ましい。
炭酸アルカリの使用量は、カルシウムアルミネート類100部に対して、15〜45部が好ましく、20〜40部がより好ましい。炭酸アルカリの使用量が少ないと、急結性吹付けセメントコンクリートの初期凝結が遅れ、初期強度発現性が低下する場合があり、炭酸アルカリの使用量が多いと、急結剤スラリーの粘度が上がり、施工性や長期強度発現性が低下する場合がある。
本発明のオキシカルボン酸類(以下、オキシ酸類という)としては、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、サリチル酸、及び乳酸又はこれらの塩等が挙げられる。塩としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中では、初期強度発現性の面で、グルコン酸ナトリウムが好ましい。
オキシ酸類の使用量は、カルシウムアルミネート類100部に対して、0.3〜3部が好ましく、0.5〜2部がより好ましい。オキシ酸類の使用量が少ないと、急結性吹付けセメントコンクリートの凝結性や初期強度発現性を阻害し、オキシ酸類の使用量が多いと、凝結性や強度発現性を阻害する場合がある。
本発明の急結剤スラリー中のスラリー水の使用量は、カルシウムアルミネート類、石膏、アルミン酸塩、炭酸アルカリ、及びオキシ酸類を含有する急結剤100部に対して、60〜120部が好ましく、70〜90部がより好ましい。スラリー水の使用量が少ないと、急結剤スラリーの粘度が上がり、急結性吹付けセメントコンクリートの凝結性が悪くなり、リバウンド率が大きくなり、粉塵発生量が多くなる場合があり、スラリー水の使用量が多いと、凝結性や強度発現性が低下する場合がある。
本発明の急結剤スラリーの粘度は、7000mPa・s以下が好ましく、6000mPa・s以下がより好ましい。急結剤スラリーの粘度が大きいと、急結剤スラリーの圧送性や吹付けセメントコンクリートとの混合性が低下する場合があり、セメントコンクリートの凝結性が悪くなり、リバウンド率が大きくなり、粉塵発生量も多くなる場合がある。
本発明の急結剤スラリーでは、必要に応じて、さらに、減水剤や増粘剤等を使用することも可能である。
本発明で使用する減水剤とは、セメントコンクリートの流動性や急結剤スラリーの分散安定性を改善するために使用するものをいい、液状や粉状のいずれも使用可能である。
本発明で使用する増粘剤とは、セメントコンクリートに粘性を与え、吹付け直後のダレを防止し、リバウンド率を小さくし、粉塵発生を抑制するものをいう。
急結剤スラリーの使用量は、セメント100部に対して、固形分換算で4〜12部が好ましく、5〜10部がより好ましく、6〜8部が最も好ましい。急結剤の使用量が少ないと、急結性吹付けセメントコンクリートの初期凝結を促進しにくい場合があり、急結剤の使用量が多いと、長期強度発現性を阻害する場合がある。
本発明のセメントとは、通常市販されている普通、早強、中庸熱、及び超早強等の各種ポルトランドセメントや、これら各種ポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等を混合した各種混合セメント、高炉徐冷スラグや石灰石微粉末を混合したフィラーセメント、並びに都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)等のポルトランドセメント等が挙げられ、これらを微粉末化して使用することも可能である。
本発明のセメントコンクリートは、セメントと砂や砂利等の骨材とを含有するものである。骨材としては、吸水率が低くて、骨材強度が高いものが好ましい。骨材の最大寸法は吹付けできれば特に限定されるものではない。細骨材としては、川砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が使用可能であり、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が使用可能である。
セメントコンクリートに使用する水の量は、強度発現性の面から35%以上が好ましく、40〜55%がより好ましい。水の量が少ないと、セメントコンクリートを充分混合できない場合がある。
本発明の急結剤スラリーを用いた吹付け工法においては、従来使用の吹付け設備等が使用可能である。
吹付け設備は吹付けが十分に行われれば、特に限定されるものではなく、例えば、吹付けセメントコンクリートの圧送にはシンテック社商品名「MKW−25SMT」等が、本急結剤の圧送には急結剤圧送装置「ナトムクリート」等が、それぞれ使用可能である。
本発明の急結剤スラリーを用いた吹付け工法としては、要求される物性、経済性、及び施工性等に応じた種々の吹付け工法が可能である。本発明の急結剤スラリーを用いた吹付け工法としては、乾式吹付け工法も施工できるが、粉塵発生量が多くなる場合があるので、急結剤を使用する前にあらかじめ水をセメントコンクリート側に加えて混練した湿式吹付け工法を使用することが好ましい。
湿式吹付け工法としては、例えば、セメント、細骨材、粗骨材、及び水を加えて混練し、ポンプ圧送し、途中にY字管を設け、その一方から急結剤供給装置により圧送した急結剤を合流混合して急結性湿式吹付けコンクリートとしたものを吹付ける方法が挙げられる。
本発明の急結剤スラリーを用いた吹付け工法においては、通常、吹付け圧力は0.2〜0.5MPaが好ましく、吹付け速度は4〜20m/hが好ましい。
急結剤を圧送する圧送空気の圧力は、セメントコンクリートが急結剤スラリーの圧送管内に混入した時に圧送管内が閉塞しないように、セメントコンクリートの圧送圧力より0.01〜0.3MPa程度大きいことが好ましい。
本発明の急結剤スラリーを用いた吹付け工法においては、粉塵発生量やリバウンドを低減するために、粉体急結剤に水を加えて連続的に急結剤をスラリー化し、この急結剤スラリーを、吐出口先端で吹付けセメントコンクリートと混合して吹付けることが好ましい。急結剤を連続的にスラリー化する方法としては、例えば、粉体急結剤を空気圧送する圧送管の周囲に穴を開け、その穴から高圧水を圧送管内へ加水してスラリー化し、空気圧送する方法等が使用できる。
以下、実験例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。実験と測定は20℃、湿度60%で行った。
カルシウムアルミネート類と、カルシウムアルミネート類100部に対して表1に示す量の石膏ア、アルミン酸塩A、炭酸アルカリa、及びオキシ酸類α1部からなる急結剤100部と、スラリー水80部とを混合撹拌して急結剤スラリーを調製し、その粘度を測定した。
また、細骨材/セメント比=3、水/セメント比=53%のモルタルを調製し、そのセメント100部に対して、急結剤スラリーを固形分換算で7部添加し、急結性モルタルとし、その凝結時間を、さらに、圧縮強度を測定した。なお、急結剤スラリーを添加しないモルタルの水/セメント比は60%とした。結果を表1に示す。
<使用材料>
カルシウムアルミネート類:C12組成に対応するもの、非晶質、ブレーン値6,500cm/g
石膏ア:市販無水石膏粉砕品、ブレーン値5,900cm/g
アルミン酸塩A:アルミン酸ナトリウム、市販品、強熱減量2.1%、90%粒子径0.2mm
炭酸アルカリa:炭酸ナトリウム、市販品
オキシ酸類α:グルコン酸ナトリウム、市販品
スラリー水:上水道水
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン値3,200cm/g、比重3.16
細骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂、表乾状態、比重2.62
<測定方法>
粘度:急結剤スラリーをB型粘度計で測定
凝結時間:急結性モルタルを土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規(JSCED−102)」に準じて測定
圧縮強度:急結性モルタルをJIS R 5201に準じて測定
Figure 2006342027
表1より、石膏の配合量を20〜50部にすることで粘度、凝結時間、長期強度に良好な結果が得られ、アルミン酸塩を10〜50部にすることで粘度、凝結時間、初期強度に良好な結果が得られ、炭酸アルカリを15〜45部にすることで凝結時間に良好な結果が得られることがわかった。
カルシウムアルミネート類と、カルシウムアルミネート類100部に対して石膏ア35部、アルミン酸塩A30部、炭酸アルカリa30部、及び表2に示す量のオキシ酸類αからなる急結剤100部と、スラリー水80部とを混合撹拌して急結剤スラリーを調製したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 2006342027
表2より、オキシ酸類を0.3〜3部にすることで粘度、凝結時間、圧縮強度に良好な結果が得られることがわかった。
カルシウムアルミネート類と、カルシウムアルミネート類100部に対して、表3に示す石膏35部、アルミン酸塩30部、炭酸アルカリ30部、及びオキシ酸類1.0部からなる急結剤100部と、表3に示す量のスラリー水とを混合、撹拌して急結剤スラリーを調製したこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 2006342027
<使用材料>
石膏イ:市販二水石膏粉砕品、ブレーン値6,300cm/g
アルミン酸塩B:アルミン酸カリウム、市販品、強熱減量2.3%
炭酸アルカリb:炭酸カリウム、市販品
オキシ酸類β:クエン酸ナトリウム、市販品
表3より、石膏は二水より無水が凝結、圧縮強度で良好な結果が得られ、好ましく、アルミン酸塩はカリウムよりナトリウム、炭酸アルカリはカリウムよりナトリウム、オキシ酸類はクエン酸ナトリウムよりグルコン酸ナトリウムがスラリー粘度で良好な結果が得られ、急結スラリーの圧送性において、良好な状態になることがわかった。
カルシウムアルミネート類と、カルシウムアルミネート類100部、石膏ア35部、アルミン酸塩A30部、炭酸アルカリa30部、及びオキシ酸類α1.0部からなる急結剤100部と、スラリー水とを混合撹拌して急結剤スラリーを調製した。細骨材/セメント比=3、水/セメント比=53%のモルタルを調製し、そのセメント100部に対して、急結剤スラリーを固形分換算で、表4に示す量の急結剤スラリーをモルタルに合流混合して急結性モルタルを製造し、凝結時間と圧縮強度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2006342027
表4より、急結スラリーの量を4〜12部で合流混合することにより、良好な凝結時間が得られることが判った。
各材料の単位量、セメント400kg/m、細骨材1,058kg/m、粗骨材710kg/m、水200kg/m、及び高性能減水剤4kg/mとして吹付けコンクリートを調製し、この吹付けコンクリートを吹付け圧力0.4MPa、吹付け速度10m/hの条件下で、コンクリート圧送機「MKW−25SMT」によりポンプ圧送した。一方、カルシウムアルミネート類100部、石膏ア35部、アルミン酸塩A30部、炭酸アルカリa30部、オキシ酸類α1.0部からなる急結剤を、セメント100部に対して、7部になるように、圧送圧力0.5MPaの条件下で、急結剤添加装置「ナトムクリート」を用いて空気圧送し、途中に設けたY字管の一方の管の周囲数カ所に設けた穴から、急結剤100部に対して、スラリー水20〜200部を加水して急結剤スラリーとした。この急結剤スラリーを、また、スラリー水を加水してない急結剤を圧送して、Y字管のもう一方から圧送された吹付けコンクリートに混合し、急結性吹付けコンクリートとした。この急結性吹付けコンクリートについてコンクリート圧縮強度、リバウンド率、及び粉塵発生量を測定した。また、急結剤スラリーについて粘度を測定した。結果を表5に示す。
<使用材料>
粗骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂利、表乾状態、比重2.64、最大寸法10mm
<測定方法>
コンクリート圧縮強度:材齢1時間の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から急結性吹付けコンクリートで被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢1日以降の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に急結性吹付けコンクリートを吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
リバウンド率:急結性吹付けコンクリートを10m/hの圧送速度で10分間、鉄板でアーチ状に作成した高さ3.5m、幅2.5mの模擬トンネルに吹付けた。その後、(リバウンド率)=(模擬トンネルに付着せずに落下した急結性吹付けコンクリートの量)/(模擬トンネルに吹付けた急結性吹付けコンクリートの量)×100(%)で算出した。
粉塵発生量:急結性吹付けコンクリートを10m/hの圧送速度で10分間、模擬トンネルに吹付けた。その後、吹付け場所より5mの定位置で粉塵発生量を測定した。
粘度:急結剤添加装置を用いて空気圧送し、途中に設けたY字管の一方の管の周囲数カ所に設けた穴から、急結剤100部に対して、スラリー水40〜200部を加水した急結剤スラリーをB型粘度計で測定した。
Figure 2006342027
表5より、急結剤100部に対するスラリー水を60〜120部で調整することで、適度な粘性が得られ、圧送性が良好になり、リバウンドや粉塵量が低下し、圧縮強度において良好な結果が得られた。

Claims (10)

  1. カルシウムアルミネート類100部、石膏20〜50部、アルカリ金属アルミン酸塩10〜50部、及びアルカリ金属炭酸塩15〜45部を含有してなる急結剤。
  2. カルシウムアルミネート類100部に対してオキシカルボン酸類0.3〜3部を含有してなる請求項1記載の急結剤。
  3. 請求項1又は2記載の急結剤と水とを含有してなる急結剤スラリー。
  4. 請求項3記載の急結剤スラリーの粘度が7000mPa・s以下である急結剤スラリー。
  5. セメントを含有してなるセメントコンクリートと請求項1又は2記載の急結剤とを含有してなる吹付け材料。
  6. セメント、カルシウムアルミネート類100部、石膏20〜50部、アルカリ金属アルミン酸塩10〜50部、及びアルカリ金属炭酸塩15〜45部を含有してなる急結剤とを混合してなる吹付け材料。
  7. 請求項1又は2記載の急結剤とセメントコンクリートを合流混合して吹付けることを特徴とする吹付け工法。
  8. セメントを含有してなるセメントコンクリートと請求項3又は請求項4記載の急結剤スラリーとを含有してなる吹付け材料。
  9. セメントを含有してなるセメントコンクリートと請求項3又は請求項4記載の急結剤スラリーとを含有してなる吹付け工法。
  10. 請求項1又は2記載の急結剤に加水することにより、連続的に急結剤スラリーを調整し、セメントコンクリートと合流混合して吹付けることを特徴とする吹付け工法。
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