JP2004210552A - 吹付けコンクリート用急結剤 - Google Patents
吹付けコンクリート用急結剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004210552A JP2004210552A JP2002378554A JP2002378554A JP2004210552A JP 2004210552 A JP2004210552 A JP 2004210552A JP 2002378554 A JP2002378554 A JP 2002378554A JP 2002378554 A JP2002378554 A JP 2002378554A JP 2004210552 A JP2004210552 A JP 2004210552A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- quick
- setting agent
- setting
- gypsum
- surface area
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】短時間で大量に搬送供給するのに適し、作業性に何等支障を及ぼすことなく従来の急結剤供給装置を使用でき、かつ、少なくとも従来の吹付けコンクリートと同程度の添加量で高強度吹付けコンクリートに使用しても吹付け後の剥落防止及び瞬結化が十分成し遂げられるような急結性を有するコンクリート吹付け用急結剤の提供する。
【解決手段】ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏及び/又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏40重量%以上、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる吹付けコンクリート用急結剤。
【選択図】 なし
【解決手段】ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏及び/又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏40重量%以上、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる吹付けコンクリート用急結剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルや地下空間等の掘削露出面にコンクリートを吹付け施工する際に、コンクリートを急結される目的で使用する吹付けコンクリート用急結剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルや地下空間などを建設する工事では、掘削露出面にコンクリートを吹付けてライニングし、掘削露出面の崩落を防止するコンクリートの吹付け施工が行なわれている。コンクリート吹付け工法は乾式と湿式の工法があるが、粉塵発生が少なく、またコンクリートの品質維持が比較的容易で、吹付け後の強度変動も少ないことから、湿式工法が主流となっている。湿式工法は、セメントに水を配合したベースコンクリートを輸送パイプで圧送し、ノズル等から噴射し、掘削露出面にコンクリートを吹付ける。また、吹付け後の剥落防止のため、カルシウムアルミネートやアルカリアルミン酸塩等の急結成分を、圧送前にベースコンクリートが硬化するのを避けるため、別の供給装置によってベースコンクリート圧送途中乃至噴射時に添加混合されるのが一般である。ベースコンクリートは、主に単位セメント量360Kg/m3、水/セメント重量比60%程度の比較的低強度のコンクリートが従来用いられてきたが、近年、大断面トンネル用の高強度吹付けコンクリートの需要が高まり、単位セメント量450Kg/m3、水/セメント重量比45%程度の高強度用ベースコンクリートも用いられるようになった。単位セメント量の増加に伴い、急結成分の添加割合も高くする必要があり、従来の吹付けコンクリートでは25Kg/m3程度(セメント重量の約7%)の急結剤使用量であったものが、高強度吹付けコンクリートでは45Kg/m3程度(セメント重量の約10%)と多くすることが必要になっている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方で、急結成分の添加割合を高めると、硬化後の長期強度が低下し、また通常使用されている従来の急結剤供給装置では送付能力が不足するため、そのままでは使用できず、装置の一部を交換したり、全く別の急結剤供給装置を用いることを余儀なくされ、手間とコストが増大する等の問題が生じていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−265247号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点に鑑みて成されたものであって、短時間で大量に搬送供給するのに適し、作業性に何等支障を及ぼすさずに従来の急結剤供給装置を使用でき、かつ、少なくとも従来の吹付けコンクリートと同程度の添加量で高強度吹付けコンクリートに使用しても吹付け後の剥落防止及び瞬結化が十分達成できる急結性を有するコンクリート吹付け用急結剤の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の石膏を40重量%以上配合した急結剤を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏及び/又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏40重量%以上、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる吹付けコンクリート用急結剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の急結剤に含有される石膏は、ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏の何れかか、この両者の混合物とする。急結剤に占める該石膏含有量は40重量%以上とする。ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏やブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏は、溶解速度が速いため急結性が向上する。また、石膏のブレーン比表面積が大きいほど、短期強度(3〜24時間強度)を高くすることができるので、好ましくはブレーン比表面積9000cm2/g以上の無水石膏やブレーン比表面積2000cm2/g以上の半水石膏を使用する。短期強度発現性を特に強化するには無水石膏の使用が推奨される。半水石膏にはα型とβ型の2種類の結晶変態が存在するが、溶解速度の速いβ型半水石膏を使用するのがより好ましい。β型半水石膏を用いると、急結性が一層向上するので、急結剤使用量を更に低減できる。尚、ブレーン比表面積7800cm2/g未満の無水石膏やブレーン比表面積1500cm2/g未満の半水石膏では、溶解速度が低いため、急結性が低下し易く、セメント配合割合の高い高強度吹付け用途では急結剤使用量をかなり増加させないと所望の急結性能が発揮できないので好ましくない。
【0009】
また、ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏やブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏を急結剤に使用すると、圧密時の急結剤のかさ比重が大きくなり、急結剤供給量を増大できる。これは、吹付けコンクリート施工時には、圧送式の急結剤供給装置内は圧縮空気で高圧となっており、本発明の急結剤は、この圧密条件下でのかさ比重が大きいために、単位時間当りの急結剤供給量が大きくなるものと推察される。急結剤供給量及びかさ比重は、急結剤中の石膏の配合量に最も大きく影響され、急結剤に占める石膏含有量が40重量%未満では、かさ比重が小さくなり、十分な急結剤供給量が得られないことがあるので好ましくない。尚、急結剤に占める石膏含有量の上限は特に制限されないが、併用されるカルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩の好適含有量を確保する観点から概ね55重量%とするのが望ましい。
【0010】
本発明の急結剤に含有されるカルシウムアルミネート類は、急結成分の主体をなすもので、CaOとAl2O3を主要化学成分とする化合物、固溶体、ガラス(非晶質体)或いはそれらの何れか2種以上が共存する物質を含む総称である。例を挙げると、CaOをC、Al2O3をAとすると、組成がC3A、C12A7、CA又はCA2等で表される結晶、当該組成比率を有する化合物又は混合物を高温溶融した後急冷してなるガラス、C12A7を構成するCの一部をCaX(Xは、ハロゲン原子)で置き換えたC11A7・CaX2(カルシウムハロアルミネート)や、C3Aを構成するCの一部をNa2Oで置換したC8A3・Na2O等(カルシウムナトリウムアルミネート)等がある。このようなカルシウムアルミネート類は非晶質カルシウムアルミネートなどのできるだけガラス化率の高いものが好ましく、この場合、CとAの化学成分組成比は、C/Aのモル比で2.00以上2.50未満が好ましい。2.00未満の場合は急結性が低下する傾向にあるので好ましくなく、2.50を超えると、急冷しても非晶質となり難く、活性が低くなるので好ましくない。該カルシウムアルミネート類は、ブレーン比表面積が4000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上が特に好ましい。ブレーン比表面積が4000cm2/g未満の場合、急結性が低下することがあるので好ましくない。またカルシウムアルミネート類の急結剤中の配合量は、40重量%以上が好ましく、それ未満では急結性が大きく低下することがあるので好ましくない。
【0011】
本発明の急結剤に含有されるアルカリ金属アルミン酸塩は、その組成は特に限定するものではく、例えばアルミン酸カリウムやアルミン酸ナトリウムを挙げることができる。好ましくは、急結剤中にアルカリ金属量が多いと長期強度が低下することから、長期強度発現性を維持する上で、アルカリ金属の成分含有量が酸化物換算で40重量%未満となる成分組成のアルカリ金属アルミン酸塩が良い。またブレーン比表面積は特に限定されない。アルカリ金属アルミン酸塩の本急結剤中の含有量は、長期強度発現性を維持し易いことから、20重量%未満が好ましい。
【0012】
本発明の急結剤の製造方法は特に限定されるものではなく、一例を簡単に記すと、前記特定の石膏、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩をそれぞれ公知装置を用いて粉砕・分級し、前記含有量範囲に入るように配合し、ミキサー等で混合すれば得ることができる。
【0013】
また、本発明の急結剤を使用するベースコンクリートの配合は特に限定されず、従来型の単位セメント量(水硬性粉体量)360Kg/m3、水/セメント重量比60%程度、細骨材率60〜65容量%の一般吹付け用コンクリートでも、単位セメント量450Kg/m3、水/セメント重量比45%程度、細骨材率60〜70容量%の高強度用ベースコンクリートであっても良い。望ましくは、後者の高強度用ベースコンクリートへの使用が推奨される。またベースコンクリートの材料も、特に限定するものではなく、通常用いられている材料を使用することができ、水硬性粉体としては、普通、早強などのポルトランドセメントの他、各種混合セメントが使用できる。また、本発明の急結剤を使用するに際し、モルタル・コンクリートで使用可能な他の混和材(混和剤を含む総称で記す。以下同様)との併用も、本急結剤が本来有する性状に支障を及ぼさない範囲で適宜行なうことができる。通常、使用可能性がある混和材としては、例えば減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、強化用繊維、膨張材、収縮低減剤、ポゾラン反応性微粉、スラグ微粉末、石灰石微粉末等を挙げることができる。
【0014】
本発明の急結剤を添加した吹付けコンクリートの施工方法については、通常行われている湿式工法を適用することができる。吹付け装置も、ベースコンクリートの種類によらずに、従来より用いられている、例えば単位セメント量(水硬性粉体量)360Kg/m3、水/セメント重量比60%程度の一般吹付け用コンクリートの吹付け装置をそのまま使用することが可能である。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[使用材料並びにその調整方法]
(1)カルシウムアルミネート;焼バン土頁岩と石灰石を電気炉で約1600℃で溶融し、これを炉外急冷冷却してカルシウムアルミネートクリンカを作製した。次いで該クリンカをボールミルと分級機を使用し、ブレーン比表面積約5000cm2/gの粉砕物にした。このカルシウムアルミネート粉末をX線回折で調べた結果、ガラス状態と判断される無定形物を主体とし、C12A7のピークも若干認められた。
(2)石膏;何れも市販品のII型無水石膏、α型半水石膏及びβ型半水石膏をボールミルと分級機を使用し、II型無水石膏についてはブレーン比表面積約4000cm2/g(以下、石膏Aと略記する。)、約7000cm2/g(以下、石膏Bと略記する。)、約8000cm2/g(以下、石膏Cと略記する。)、約9000cm2/g(以下、石膏Dと略記する。)及び約10000cm2/g(以下、石膏Eと略記する。)の5種を調整し、またα型半水石膏(以下、石膏Fと略記する。)とβ型半水石膏(以下、石膏Gと略記する。)は何れもブレーン比表面積約2000cm2/gに調整した。
(3)アルミン酸ナトリウム;昭和電工株式会社製。
(4)普通ポルトランドセメント;太平洋セメント株式会社製。
(5)高性能減水剤;品名「NT−1000」,株式会社エヌエムビー製。
(6)細骨材;北九州市小倉南区産砕砂(比重:2.69)と長崎県壱岐郡郷ノ浦沖合海砂(比重:2.59)を3:7(重量比)にした混合品。
(7)粗骨材;北九州市門司区鹿喰産砕石(比重:2.80)。
(8)水;水道水
【0016】
[ベースコンクリートの作製]
前記使用材料(4)〜(8)を、普通ポルトランドセメント450Kg/m3、高性能減水剤2Kg/m3、細骨材951Kg/m3、粗骨材678Kg/m3及び水200Kg/m3の配合で2軸強制練りミキサに一括投入し、約20℃で90秒間混練してベースコンクリートを作製した。
【0017】
[急結剤の作製]
前記使用材料(1)〜(3)を表1に示す配合となるようHelical Flight型混合機に一括投入し、約300秒間混合して急結剤を作製した。
【0018】
【表1】
【0019】
[コンクリート吹付け試験]
ベースコンクリートに種々の添加率で急結剤を添加し、幅9.0×高さ7.5mの半円形で奥行き9.0mの模擬トンネル内壁にコンクリートを1回の吹付け量を3.0m3として吹付けた。尚、吹付け装置として、スギウエエンジニアリング株式会社製のスイングエース(商品名)を、急結剤の供給装置として日本プライブリコ株式会社製のQガン(商品名)を用い、急結剤添加率は急結剤供給装置内の急結剤量を測定し、吹付け開始前と終了後の急結剤量の差から算出した。吹付け後は、吹付け物の急結性を調べた。急結性は、吹付け約1分後のコンクリートの状態を指掌により、握り潰せない場合を○、多少とも握り潰せた場合を×とした。その結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
石膏Aを用いた場合、急結剤添加装置のダイヤル値を最大としても、急結性を得ることができなかったのに対し、同一急結剤配合であっても、石膏C〜Gを使用した場合は十分な急結性を得ることができた。また、石膏Bは石膏C〜Gで十分な急結性を得ることができた場合と同じ配合量にした急結剤では十分な急結性が得られなかった。更に、石膏CよりはD、DよりはE、EよりはF、FよりはGのほうが、それぞれ低い急結剤添加率で急結性を得ることができた。ただし、石膏Cを使用した場合も、石膏の配合量が40重量%未満である場合は急結剤供給能力が低下し、急結剤添加装置のダイヤル値を最大としても、所望の急結性を得ることが困難であった。
【0022】
【発明の効果】
本発明による急結剤を使用することで、従来より使用されてきた急結剤供給装置を改良することなく、また作業工程を増やすことなく、短時間で大量に急結剤を供給可能であり、かつ、使用量が少なくともコンクリート吹付け直後に瞬結性が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルや地下空間等の掘削露出面にコンクリートを吹付け施工する際に、コンクリートを急結される目的で使用する吹付けコンクリート用急結剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルや地下空間などを建設する工事では、掘削露出面にコンクリートを吹付けてライニングし、掘削露出面の崩落を防止するコンクリートの吹付け施工が行なわれている。コンクリート吹付け工法は乾式と湿式の工法があるが、粉塵発生が少なく、またコンクリートの品質維持が比較的容易で、吹付け後の強度変動も少ないことから、湿式工法が主流となっている。湿式工法は、セメントに水を配合したベースコンクリートを輸送パイプで圧送し、ノズル等から噴射し、掘削露出面にコンクリートを吹付ける。また、吹付け後の剥落防止のため、カルシウムアルミネートやアルカリアルミン酸塩等の急結成分を、圧送前にベースコンクリートが硬化するのを避けるため、別の供給装置によってベースコンクリート圧送途中乃至噴射時に添加混合されるのが一般である。ベースコンクリートは、主に単位セメント量360Kg/m3、水/セメント重量比60%程度の比較的低強度のコンクリートが従来用いられてきたが、近年、大断面トンネル用の高強度吹付けコンクリートの需要が高まり、単位セメント量450Kg/m3、水/セメント重量比45%程度の高強度用ベースコンクリートも用いられるようになった。単位セメント量の増加に伴い、急結成分の添加割合も高くする必要があり、従来の吹付けコンクリートでは25Kg/m3程度(セメント重量の約7%)の急結剤使用量であったものが、高強度吹付けコンクリートでは45Kg/m3程度(セメント重量の約10%)と多くすることが必要になっている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方で、急結成分の添加割合を高めると、硬化後の長期強度が低下し、また通常使用されている従来の急結剤供給装置では送付能力が不足するため、そのままでは使用できず、装置の一部を交換したり、全く別の急結剤供給装置を用いることを余儀なくされ、手間とコストが増大する等の問題が生じていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−265247号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記問題点に鑑みて成されたものであって、短時間で大量に搬送供給するのに適し、作業性に何等支障を及ぼすさずに従来の急結剤供給装置を使用でき、かつ、少なくとも従来の吹付けコンクリートと同程度の添加量で高強度吹付けコンクリートに使用しても吹付け後の剥落防止及び瞬結化が十分達成できる急結性を有するコンクリート吹付け用急結剤の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の石膏を40重量%以上配合した急結剤を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏及び/又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏40重量%以上、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる吹付けコンクリート用急結剤である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の急結剤に含有される石膏は、ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏の何れかか、この両者の混合物とする。急結剤に占める該石膏含有量は40重量%以上とする。ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏やブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏は、溶解速度が速いため急結性が向上する。また、石膏のブレーン比表面積が大きいほど、短期強度(3〜24時間強度)を高くすることができるので、好ましくはブレーン比表面積9000cm2/g以上の無水石膏やブレーン比表面積2000cm2/g以上の半水石膏を使用する。短期強度発現性を特に強化するには無水石膏の使用が推奨される。半水石膏にはα型とβ型の2種類の結晶変態が存在するが、溶解速度の速いβ型半水石膏を使用するのがより好ましい。β型半水石膏を用いると、急結性が一層向上するので、急結剤使用量を更に低減できる。尚、ブレーン比表面積7800cm2/g未満の無水石膏やブレーン比表面積1500cm2/g未満の半水石膏では、溶解速度が低いため、急結性が低下し易く、セメント配合割合の高い高強度吹付け用途では急結剤使用量をかなり増加させないと所望の急結性能が発揮できないので好ましくない。
【0009】
また、ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏やブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏を急結剤に使用すると、圧密時の急結剤のかさ比重が大きくなり、急結剤供給量を増大できる。これは、吹付けコンクリート施工時には、圧送式の急結剤供給装置内は圧縮空気で高圧となっており、本発明の急結剤は、この圧密条件下でのかさ比重が大きいために、単位時間当りの急結剤供給量が大きくなるものと推察される。急結剤供給量及びかさ比重は、急結剤中の石膏の配合量に最も大きく影響され、急結剤に占める石膏含有量が40重量%未満では、かさ比重が小さくなり、十分な急結剤供給量が得られないことがあるので好ましくない。尚、急結剤に占める石膏含有量の上限は特に制限されないが、併用されるカルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩の好適含有量を確保する観点から概ね55重量%とするのが望ましい。
【0010】
本発明の急結剤に含有されるカルシウムアルミネート類は、急結成分の主体をなすもので、CaOとAl2O3を主要化学成分とする化合物、固溶体、ガラス(非晶質体)或いはそれらの何れか2種以上が共存する物質を含む総称である。例を挙げると、CaOをC、Al2O3をAとすると、組成がC3A、C12A7、CA又はCA2等で表される結晶、当該組成比率を有する化合物又は混合物を高温溶融した後急冷してなるガラス、C12A7を構成するCの一部をCaX(Xは、ハロゲン原子)で置き換えたC11A7・CaX2(カルシウムハロアルミネート)や、C3Aを構成するCの一部をNa2Oで置換したC8A3・Na2O等(カルシウムナトリウムアルミネート)等がある。このようなカルシウムアルミネート類は非晶質カルシウムアルミネートなどのできるだけガラス化率の高いものが好ましく、この場合、CとAの化学成分組成比は、C/Aのモル比で2.00以上2.50未満が好ましい。2.00未満の場合は急結性が低下する傾向にあるので好ましくなく、2.50を超えると、急冷しても非晶質となり難く、活性が低くなるので好ましくない。該カルシウムアルミネート類は、ブレーン比表面積が4000cm2/g以上が好ましく、5000cm2/g以上が特に好ましい。ブレーン比表面積が4000cm2/g未満の場合、急結性が低下することがあるので好ましくない。またカルシウムアルミネート類の急結剤中の配合量は、40重量%以上が好ましく、それ未満では急結性が大きく低下することがあるので好ましくない。
【0011】
本発明の急結剤に含有されるアルカリ金属アルミン酸塩は、その組成は特に限定するものではく、例えばアルミン酸カリウムやアルミン酸ナトリウムを挙げることができる。好ましくは、急結剤中にアルカリ金属量が多いと長期強度が低下することから、長期強度発現性を維持する上で、アルカリ金属の成分含有量が酸化物換算で40重量%未満となる成分組成のアルカリ金属アルミン酸塩が良い。またブレーン比表面積は特に限定されない。アルカリ金属アルミン酸塩の本急結剤中の含有量は、長期強度発現性を維持し易いことから、20重量%未満が好ましい。
【0012】
本発明の急結剤の製造方法は特に限定されるものではなく、一例を簡単に記すと、前記特定の石膏、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩をそれぞれ公知装置を用いて粉砕・分級し、前記含有量範囲に入るように配合し、ミキサー等で混合すれば得ることができる。
【0013】
また、本発明の急結剤を使用するベースコンクリートの配合は特に限定されず、従来型の単位セメント量(水硬性粉体量)360Kg/m3、水/セメント重量比60%程度、細骨材率60〜65容量%の一般吹付け用コンクリートでも、単位セメント量450Kg/m3、水/セメント重量比45%程度、細骨材率60〜70容量%の高強度用ベースコンクリートであっても良い。望ましくは、後者の高強度用ベースコンクリートへの使用が推奨される。またベースコンクリートの材料も、特に限定するものではなく、通常用いられている材料を使用することができ、水硬性粉体としては、普通、早強などのポルトランドセメントの他、各種混合セメントが使用できる。また、本発明の急結剤を使用するに際し、モルタル・コンクリートで使用可能な他の混和材(混和剤を含む総称で記す。以下同様)との併用も、本急結剤が本来有する性状に支障を及ぼさない範囲で適宜行なうことができる。通常、使用可能性がある混和材としては、例えば減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、増粘剤、強化用繊維、膨張材、収縮低減剤、ポゾラン反応性微粉、スラグ微粉末、石灰石微粉末等を挙げることができる。
【0014】
本発明の急結剤を添加した吹付けコンクリートの施工方法については、通常行われている湿式工法を適用することができる。吹付け装置も、ベースコンクリートの種類によらずに、従来より用いられている、例えば単位セメント量(水硬性粉体量)360Kg/m3、水/セメント重量比60%程度の一般吹付け用コンクリートの吹付け装置をそのまま使用することが可能である。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[使用材料並びにその調整方法]
(1)カルシウムアルミネート;焼バン土頁岩と石灰石を電気炉で約1600℃で溶融し、これを炉外急冷冷却してカルシウムアルミネートクリンカを作製した。次いで該クリンカをボールミルと分級機を使用し、ブレーン比表面積約5000cm2/gの粉砕物にした。このカルシウムアルミネート粉末をX線回折で調べた結果、ガラス状態と判断される無定形物を主体とし、C12A7のピークも若干認められた。
(2)石膏;何れも市販品のII型無水石膏、α型半水石膏及びβ型半水石膏をボールミルと分級機を使用し、II型無水石膏についてはブレーン比表面積約4000cm2/g(以下、石膏Aと略記する。)、約7000cm2/g(以下、石膏Bと略記する。)、約8000cm2/g(以下、石膏Cと略記する。)、約9000cm2/g(以下、石膏Dと略記する。)及び約10000cm2/g(以下、石膏Eと略記する。)の5種を調整し、またα型半水石膏(以下、石膏Fと略記する。)とβ型半水石膏(以下、石膏Gと略記する。)は何れもブレーン比表面積約2000cm2/gに調整した。
(3)アルミン酸ナトリウム;昭和電工株式会社製。
(4)普通ポルトランドセメント;太平洋セメント株式会社製。
(5)高性能減水剤;品名「NT−1000」,株式会社エヌエムビー製。
(6)細骨材;北九州市小倉南区産砕砂(比重:2.69)と長崎県壱岐郡郷ノ浦沖合海砂(比重:2.59)を3:7(重量比)にした混合品。
(7)粗骨材;北九州市門司区鹿喰産砕石(比重:2.80)。
(8)水;水道水
【0016】
[ベースコンクリートの作製]
前記使用材料(4)〜(8)を、普通ポルトランドセメント450Kg/m3、高性能減水剤2Kg/m3、細骨材951Kg/m3、粗骨材678Kg/m3及び水200Kg/m3の配合で2軸強制練りミキサに一括投入し、約20℃で90秒間混練してベースコンクリートを作製した。
【0017】
[急結剤の作製]
前記使用材料(1)〜(3)を表1に示す配合となるようHelical Flight型混合機に一括投入し、約300秒間混合して急結剤を作製した。
【0018】
【表1】
【0019】
[コンクリート吹付け試験]
ベースコンクリートに種々の添加率で急結剤を添加し、幅9.0×高さ7.5mの半円形で奥行き9.0mの模擬トンネル内壁にコンクリートを1回の吹付け量を3.0m3として吹付けた。尚、吹付け装置として、スギウエエンジニアリング株式会社製のスイングエース(商品名)を、急結剤の供給装置として日本プライブリコ株式会社製のQガン(商品名)を用い、急結剤添加率は急結剤供給装置内の急結剤量を測定し、吹付け開始前と終了後の急結剤量の差から算出した。吹付け後は、吹付け物の急結性を調べた。急結性は、吹付け約1分後のコンクリートの状態を指掌により、握り潰せない場合を○、多少とも握り潰せた場合を×とした。その結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
石膏Aを用いた場合、急結剤添加装置のダイヤル値を最大としても、急結性を得ることができなかったのに対し、同一急結剤配合であっても、石膏C〜Gを使用した場合は十分な急結性を得ることができた。また、石膏Bは石膏C〜Gで十分な急結性を得ることができた場合と同じ配合量にした急結剤では十分な急結性が得られなかった。更に、石膏CよりはD、DよりはE、EよりはF、FよりはGのほうが、それぞれ低い急結剤添加率で急結性を得ることができた。ただし、石膏Cを使用した場合も、石膏の配合量が40重量%未満である場合は急結剤供給能力が低下し、急結剤添加装置のダイヤル値を最大としても、所望の急結性を得ることが困難であった。
【0022】
【発明の効果】
本発明による急結剤を使用することで、従来より使用されてきた急結剤供給装置を改良することなく、また作業工程を増やすことなく、短時間で大量に急結剤を供給可能であり、かつ、使用量が少なくともコンクリート吹付け直後に瞬結性が得られる。
Claims (1)
- ブレーン比表面積7800cm2/g以上の無水石膏及び/又はブレーン比表面積1500cm2/g以上の半水石膏40重量%以上、カルシウムアルミネート類及びアルカリ金属アルミン酸塩を含有してなる吹付けコンクリート用急結剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002378554A JP2004210552A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 吹付けコンクリート用急結剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002378554A JP2004210552A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 吹付けコンクリート用急結剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004210552A true JP2004210552A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32815354
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002378554A Pending JP2004210552A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 吹付けコンクリート用急結剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004210552A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009114018A (ja) * | 2007-11-06 | 2009-05-28 | Taiheiyo Material Kk | 急硬性セメント組成物用混和材、並びにこれを含有する急硬性セメント組成物、急硬性セメント混練物及び吹付材料 |
JP2009161377A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Taiheiyo Materials Corp | 高強度セメント組成物用混和材及びこれを用いた高強度セメント組成物 |
JP2013095624A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Taiheiyo Materials Corp | 速硬剤および速硬性セメント組成物 |
JP2013227210A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-11-07 | Mitsubishi Materials Corp | 塩害補修用断面修復材 |
CN113087440A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-07-09 | 浙江衢州鼎盛建材有限公司 | 一种无碱速凝剂的生产工艺及其生产装置 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002378554A patent/JP2004210552A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009114018A (ja) * | 2007-11-06 | 2009-05-28 | Taiheiyo Material Kk | 急硬性セメント組成物用混和材、並びにこれを含有する急硬性セメント組成物、急硬性セメント混練物及び吹付材料 |
JP2009161377A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Taiheiyo Materials Corp | 高強度セメント組成物用混和材及びこれを用いた高強度セメント組成物 |
JP2013095624A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Taiheiyo Materials Corp | 速硬剤および速硬性セメント組成物 |
JP2013227210A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-11-07 | Mitsubishi Materials Corp | 塩害補修用断面修復材 |
CN113087440A (zh) * | 2021-04-20 | 2021-07-09 | 浙江衢州鼎盛建材有限公司 | 一种无碱速凝剂的生产工艺及其生产装置 |
CN113087440B (zh) * | 2021-04-20 | 2022-02-11 | 浙江衢州鼎盛建材有限公司 | 一种无碱速凝剂的生产工艺及其生产装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5611795B2 (ja) | 吹付け用急結剤及びそれを用いた吹付けコンクリート並びに吹付け工法 | |
JP2011037688A (ja) | 急結性吹付けセメントコンクリートの吹付け工法 | |
JP6891041B2 (ja) | 早強性超高強度グラウト組成物 | |
JP5026928B2 (ja) | 急結剤および吹付材料 | |
JP6030438B2 (ja) | 吹付け材料、およびそれを用いた吹付け工法 | |
JPH1059760A (ja) | 吹付材料及びそれを用いた吹付工法 | |
JP2013177279A (ja) | 吹付材料およびそれを用いた吹付け工法 | |
JP2006342027A (ja) | 急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法 | |
JP4484302B2 (ja) | 場所打ちライニング工法 | |
JP2004210552A (ja) | 吹付けコンクリート用急結剤 | |
JP4244080B2 (ja) | 急結性吹付セメントコンクリート及びそれを用いた吹付工法 | |
JP4253375B2 (ja) | 被覆細骨材、セメント組成物、セメント組成物の製造方法 | |
JP2003081664A (ja) | 急結剤、急結剤スラリー、吹付け材料、及びそれを用いた吹付け工法 | |
JP4157546B2 (ja) | 急硬性セメントコンクリート及び急結性セメントコンクリート | |
JP2002321957A (ja) | 急硬性セメントコンクリート及びトンネル覆工工法 | |
JP4841714B2 (ja) | 吹付材料及びそれを用いた吹付工法 | |
JP5646818B2 (ja) | 吹付け材料及びそれを用いた吹付け工法 | |
JP2000302506A (ja) | 急結剤スラリー、吹付材料及びそれを用いた吹付工法 | |
JP4683702B2 (ja) | 吹き付けセメントコンクリート、急結性吹き付けセメントコンクリート及びそれを用いた吹き付け工法 | |
JP3729317B2 (ja) | 急硬性セメントコンクリート及び急結性セメントコンクリート | |
JP3529052B2 (ja) | 凝結遅延剤及びそれを用いた速硬性コンクリートの施工方法 | |
JP2004323355A (ja) | 吹付材料及びそれを用いた吹付工法 | |
JP4484301B2 (ja) | 場所打ちライニング工法 | |
JP2000044307A (ja) | 高流動吹付けコンクリ−ト用急結剤 | |
JP2001019526A (ja) | 吹付材料及び吹付工法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080704 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090120 |