JP2017071536A - セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材 - Google Patents

セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材 Download PDF

Info

Publication number
JP2017071536A
JP2017071536A JP2015200497A JP2015200497A JP2017071536A JP 2017071536 A JP2017071536 A JP 2017071536A JP 2015200497 A JP2015200497 A JP 2015200497A JP 2015200497 A JP2015200497 A JP 2015200497A JP 2017071536 A JP2017071536 A JP 2017071536A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cement
cao
mass
parts
spray material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015200497A
Other languages
English (en)
Inventor
誉久 羽根井
Yoshihisa Hanei
誉久 羽根井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiheiyo Materials Corp
Original Assignee
Taiheiyo Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiheiyo Materials Corp filed Critical Taiheiyo Materials Corp
Priority to JP2015200497A priority Critical patent/JP2017071536A/ja
Publication of JP2017071536A publication Critical patent/JP2017071536A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

【課題】 高い強度発現を伴う硬化が格段に早く進む吹付材用の混和材を得るためのセメント用急結剤とこれを用いた超速硬粉体混和材を提供する。
【解決手段】 化学成分としてのCaOとAl23の含有モル比(CaO/Al23)が2.0〜2.6であって、前記CaOとAl23を合計で86〜94質量%含み、残部に化学成分としてのSiO2とFe23を含有質量比(SiO2/Fe23)8〜15で含み、残部中の前記SiO2とFe23の含有割合が50質量%以上であるCaO−Al23−SiO2−Fe23系非晶質物質を有効成分とするセメント用急結剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、モルタル、コンクリート等のセメント組成物をきわだって早く硬化させる超速硬粉体混和材およびこれを用いた吹付材に関する。
山岳や地下トンネルの掘削、地中構造物や法面等の建設工事に対し、地山や構築物補強のために、壁面、天井面又は傾斜面にセメントスラリー、スラリー状のセメントモルタル又はコンクリート(以下、特記無い限り、総称してコンクリートと云う。)を吹付けることが行われている。
吹付工法として汎用されている湿式吹付施工では、セメントに骨材と水、必要により混和剤(材)を配合したベースコンクリートに、吹付直前に急結剤(材)を添加して吹付コンクリート等の吹付材とし、短時間にセメントの凝結を完了させることで付着性を得ている。吹付材は良好な付着性を具備することが不可欠である。
また、トンネル、地下空間、法面等の建設工事では、しばしば壁面、天井面又は斜面等から漏水や湧水を伴うことがあり、吹付施工による吹付コンクリート等の吹付材で、漏水や湧水箇所周辺を止水補強することも行われている。通常の吹付施工では、吹付けられたコンクリートが自重による垂れや剥落を起こさない程度の強度を具備することが要求されるが、止水目的に用いる吹付材では、これに加えて、吹付直後から漏水・湧水等による水圧に耐えて付着がなされなければならない。そのため、止水用の吹付材には、施工作業に大きな支障を及ぼさない範囲で一刻も早く凝結が終結するように特に高い急結性が必要とされ、このような要求性能が得易い粉末状の急結剤が提案されている。具体的には、アルカリ金属酸化物を1重量%以上含むカルシウムアルミネート、アルミン酸ナトリウムおよびアルカリ金属炭酸塩等の無機塩を含有する急結剤を使用するもの(例えば、特許文献1,2)、CaO/Al23モル比2.7〜3.5のカルシウムアルミネートシリケート、CaO/Al23モル比2.5〜3.5のカルシウムアルミネートボレート、CaO/Al23モル比2.5〜3.5のカルシウムアルミネートフォスフェートの何れか2種以上からなる急結剤を使用するもの(例えば、特許文献3)、12CaO・7Al23系カルシウムアルミネート、アルミン酸ナトリウム、石膏、アルカリ金属炭酸塩、オキシカルボン酸、保水性物質およびアルミ粉等の発砲物質を含む急結剤を使用するもの(例えば、特許文献4)等が知られている。これらの急結剤は、主に初期の急結性を高めることに特徴があり、凝結の始発時間を早め、凝結の始発から終結までの時間を短縮する作用を具備したものとなっている。しかるに、始発時間と終結時間を早くしただけの高い急結性を具備するだけでは、吹付材を漏水や湧水発生箇所へ流冒させずに付着できても、付着後間もない時間では強度が十分高くないため、吹付材の付着した箇所の水圧が高まことにより、或いは水圧がかかり続けることによって、一旦付着した付着物が短時間で剥がれたり、亀裂が入ったり、破損する虞があった。
特開平8−26797号公報 特開平8−119698号公報 特開平8−104556号公報 特開2010−241624号公報
前記問題に関しては、単に急結性を高めるだけの手法ではなく、高い強度発現性を伴う硬化を格段に早く進めることができる吹付材用の混和材が必要であり、また当該混和材を得るにはその基材となる新たなセメント用急結剤の入手が不可欠である。よって、本発明はこのようなセメント用急結剤と吹付材用混和材を創出すること、即ち、1.施工作業性に著しい支障をきたさない程度に凝結始発時間を早くでき、2.凝結始発から終結までの時間をできるだけ短くでき、3.凝結終結時から特に高い強度発現性を示すことができ、4.中長期に亘り高い強度を安定して維持でき、5.通常の湿式吹付施工方法が適用でき、このような1〜5の作用を総じて具備する吹付材用超速硬粉体混和材の提供とこれを得るために必要な新たなセメント用急結剤を提供することを課題とし、さらに、強力な付着性を呈し、漏水や湧水箇所の止水用に最適な吹付材の提供を課題とする。
本発明者は、主たる急結性発現成分に従前の12CaO・7Al23を主成分とするカルシウムアルミネートの使用では急結・硬化性向上に限界があるとの知見から、前記課題の解決に繋がる新たな急結成分の創出を行うべく検討した結果、特定の含有モル比でCaOとAl23を主成分として含有し、残部に特定の含有質量比でSiO2とFe23を含有するCaO−Al23−SiO2−Fe23系非晶質物質が、高い急結性と共に非常に早い強度発現性を得るに適したものであることがわかり、これと特定の凝結助剤等を組み合わせることによって、湿式吹付施工に適した吹付材を得るための超速硬粉体混和材が得られ、しかも該混和材を使用した吹付材が止水材としての機能を十分具備したものであったことから前記課題を総じて解決でき、よって、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、次の(1)で表すセメント用急結剤、(2)で表す吹付材用超速硬紛体混和材および(3)〜(4)で表す吹付材である。(1)化学成分としてのCaOとAl23の含有モル比(CaO/Al23)が2.0〜2.6であって、前記CaOとAl23を合計で86 〜94質量%含み、残部に化学成分としてのSiO2とFe23を含有質量比(SiO2/Fe23)8〜15で含み、残部中の前記SiO2とFe23の含有割合が50質量%以上であるCaO−Al23−SiO2−Fe23系非晶質物質を有効成分とするセメント用急結剤。(2)前記(1)のセメント用急結剤100質量部、アルミン酸ナトリウム2.5〜5.5質量部、アルカリ金属炭酸塩5.0〜7.5質量部および石膏11〜17.5質量部を含有する吹付材用超速硬粉体混和材。(3)ポルトランドセメント100質量部と前記(2)の吹付材用超速硬粉体混和材4.5〜11.0質量部を含有する吹付材。(4)止水材として用いる前記(3)の吹付材。
本発明によれば、地山や地下構築物の補強に優れ、湿式吹付工法に適した吹付材が得られるだけでなく、漏水・湧水などの止水性にも際だって優れた吹付材を得ることができる。
本発明のセメント用急結剤の有効成分であるCaO−Al23−SiO2−Fe23系非晶質物質(以下、CASF系非晶質物質という。)は、化学成分としてのCaOとAl23を、含有モル比(CaO/Al23)で2.0〜2.6、好ましくは2.2〜2.5、前記CaOとAl23の合計含有量で86〜94質量%含み、残部が化学成分としてのSiO2とFe23を含有質量比(SiO2/Fe23)で8〜15となるよう含むものからなる。化学成分としてのCaOとAl23を前記のように含むことで、接水後数秒程度で終結するような高い急結性を付与できる。化学成分としてのCaOとAl23の合計含有量が、86質量%未満では、水に対する反応活性が低過ぎて、速硬性が得難くなるため好ましくなく、また94質量%を超えると瞬結性が強まり過ぎて、吹付材に使用すると対象面に到達前に凝結が終結して付着できない虞があるので好ましくない。また、化学成分としてのCaOとAl23は含有モル比(CaO/Al23)が2.0未満だと急結性が低下するため好ましくなく、前記含有モル比(CaO/Al23)が2.6を超えると瞬結性が強まり過ぎるため好ましくない。また残部に化学成分としてのSiO2とFe23を含有質量比(SiO2/Fe23)8〜15で含むことで、凝結始発直後の凝結はやや抑制気味に進行するがその期間は極短時間であり、抑制期間経過後は急速に凝結が進行して直ぐに終結に至り、しかも、終結時の初期強度の立ち上がりを高めることに寄与する。前記含有質量比(SiO2/Fe23)が8未満又は15を超えると前記作用が十分発現されないので好ましくない。化学成分としてのSiO2とFe23の含有量は、前記の質量比であることに加え、好ましくは、高い初期強度発現性をより得易くなることから合計量で残部の50質量%以上とし、より好ましくは60質量%以上とする。また、残部にSiO2とFe23以外の成分を含むことは本発明の効果を阻害しない限り制限されない。
また、前記CASF系非晶質物質は、例えば水和反応の如く常温で水と反応を起こすものであることを要す。また、前記CASF系非晶質物質は、完全に非晶質である必要はなく、概ねガラス化率75%以上、好ましくはガラス化率90%以上であれば良い。ガラス化が進んだ構造であることによって高い反応活性が得られ、急結性の向上に寄与する。ここで、ガラス化率は、粉末エックス線回折装置を用い、質量がM1のCaO−Al23−SiO2−Fe23系非晶質水和活性物質に含まれる各鉱物の質量を内部標準法等で定量し、定量できた含有鉱物相の総和質量;M2を算出し、残部が純ガラス相と見なし、次式でガラス化率を算出した。
ガラス化率(%)=(1−M2/M1)×100
本発明のセメント用急結剤は前記CASF系非晶質物質を有効成分とするものであり、実質的には前記CASF系非晶質物質からなるものが好ましいが、例えば製造過程で混入する不可避不純物等の異物については、本発明による効果を阻害しない限り許容される。また、本発明のセメント用急結剤は粉体で使用するのが望ましいが、その粉末度は特に制限されない。好ましくは、所定の反応活性を確保する上で、ブレーン比表面積が4000〜10000cm2/gに調整したものが良い。
また、前記CASF系非晶質物質を得る方法は、特に限定されるものではない。好適な一例を示すと、CaO源、Al23源、SiO2源、Fe23源となる天然鉱物や市販工業用薬品等の各原料(複数の化学成分を含む原料でも良い。)を所定の配合で混合し、これを電気炉などの加熱装置で概ね1200〜1400℃で溶融するまで加熱し、加熱温度から溶融物を水中急冷以外の手段で急冷することで得ることができる。
また、本発明の吹付材用超速硬粉体混和材は、前記セメント用急結剤、アルミン酸ナトリウム及びアルカリ金属炭酸塩を特定の配合割合で含むものである。使用するアルミン酸ナトリウム(二酸化ナトリウムアルミニウム)は粉体状のものであれば制限されない。例えば市販の工業用薬品や理化学用試薬等の何れも使用できる。但し、潮解性があるため、できるだけ変質の進んでいないものを使用することが望ましい。アルミン酸ナトリウムを含むことで凝結始発時間をより確実に早めることができる。本発明の吹付材用超速硬粉体混和材中に含まれるアルミン酸ナトリウムの量は、含有効果が過不足無く発現させる上で、前記セメント用急結剤の含有量100質量部に対し、2.5〜5.5質量部量部とする。また、使用するアルミン酸ナトリウムの粉末度は特に制限されるものではないが、適度な反応活性を確保し、且つ経済性も考慮すると、ブレーン比表面積で概ね4000〜90000cm2/gのものが好ましい。
また、本発明の吹付材用超速硬粉体混和材に使用するアルカリ金属炭酸塩は、具体的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムを挙げることができ、このうち任意の2種以上を使用しても良い。好ましくは、コスト上の利点から比較的安価な炭酸ナトリウムの使用が推奨される。アルカリ金属炭酸塩を含むことで凝結反応が促進され、その結果凝結の終結時間がより早まる。本発明の吹付材用超速硬粉体混和材中のアルカリ金属炭酸塩の含有量は、前記セメント用急結剤の含有量100質量部に対し、 5.0〜7.5質量部、好ましくは、5.5〜6.5質量部とする。アルカリ金属炭酸塩の含有量が5.0質量部未満では凝結反応が促進されず、終結時間を早めることが困難になるので好ましくない。また、7.5質量部を超える含有量では凝結始発時間を早めることが困難になるので好ましくない。
また、本発明の吹付材用超速硬粉体混和材に使用する石膏は、無水石膏、半水石膏、二水石膏又は硫酸カルシウムの何れでも良く、このうち二種以上を併用しても良い。好ましくは無水石膏を使用する。石膏を含有すると、セメント水和後におけるエトリンガイトの生成が促進され、良好な強度発現性が得られる。また、中長期に亘り安定した強度値が維持される。超速硬粉体混和材中の石膏の含有量は、前記含有作用を十分発現させる上で、前記セメント用急結剤の含有量100質量部に対し、11.0〜17.5質量部、好ましくは12.5〜16質量部とする。石膏の含有量が12.5質量部未満では、強固に硬化できなかったり、中長期の強度発現性が低下する虞があるので好ましくない。また、16質量部を超える含有量では凝結が遅延したり硬化後に亀裂が生じることがあるので好ましくない。また、使用する石膏の粉末度は特に制限されないが、適度な反応活性を確保し、且つ経済性も考慮すると、ブレーン比表面積で概ね6000〜10000cm2/gのものが好ましい。
また、本発明の吹付材用超速硬粉体混和材は、前記以外の成分も本発明の効果を阻害しない範囲で含有することができる。含有可能な成分は、例えばモルタルやコンクリート用の凝結遅延剤、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の重炭酸塩、亜硝酸塩又は硝酸塩等を挙げることができるが、記載例に限定されるものではない。
また、本発明の吹付材は、ポルトランドセメント、前記吹付材用超速硬粉体混和材及び骨材を特定量含有するものである。本発明の吹付材中の前記吹付材用超速硬粉体混和材の含有量はポルトランドセメントの含有量100質量部に対し、4.5〜11.0質量部、好ましくは5〜10質量部とする。前記吹付材用超速硬粉体混和材の含有量が4.5質量部未満では、急結性が不足し、付着力の低下、吹付物のリバウンドや剥落、止水機能の欠損等が生じるので好ましくない。また、10質量部を超える含有量では、瞬結化が起こり易くなり、作業性の悪化、吹付装置の噴射ノズル閉塞等によって湿式吹付施工に支障を生じるので好ましくない。
本発明の吹付材に含有使用するポルトランドセメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等のポルトランドセメントを挙げることができ、このうち2種以上を併用しても良い。また、これら何れかのポルトランドセメントを含む混合セメントでも良い。使用するポルトランドセメントの粉末度は特に制限されないが、適度な反応活性を確保し、且つ経済性も考慮すると、ブレーン比表面積で概ね2500〜6000cm2/gのものが好ましい。尚、ポルトランドセメントには少量の石膏類が含まれるが、本発明では成分含有量の設定に関して、ポルトランドセメント中の含まれる石膏量は考慮せず、ポルトランドセメントは全量ポルトランドセメントとみなす。また、後述する吹付材中の石膏含有量にはポルトランドセメント中の石膏量は含まない。
本発明の吹付材に使用する骨材は、施工対象の状況等により、モルタル質の吹付材とするときは細骨材を、コンクリート質の吹付材とするときは細骨材と粗骨材を使用する。細骨材や粗骨材は、モルタルやコンクリートに用いられるものであれば何れのものでも使用でき、特に限定されない。具体的には、細骨材として例えば山砂、川砂、海砂、岩石砕砂、各種人工骨材等を挙げることができ、粗骨材としては、砂利、砕石、各種人工骨材、再生骨材等を挙げることができる。好ましくは、所望の強度発現性を得る観点から概ね緻密質の普通骨材の使用が推奨される。本発明の吹付材中の骨材の含有量は、特に限定されず、施工状況や使用骨材に応じて適宜定めればよい。目安を例示すると、スラリー状の吹付材1m3あたりの骨材使用量として、概ね322〜560リットルを挙げることができる。細骨材と粗骨材を併用する場合では、総骨材量の凡そ27〜47容積%を粗骨材にすることが目安となるが、これに限定されるものではない。
また、本発明の吹付材には前記含有物以外の成分も本発明による効果を阻害しない範囲で含有できる。このような成分は、例えば、モルタルやコンクリートに用いられる減水剤(分散剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤または流動化剤と称されるものも含む。)、増粘剤、無機繊維、ポゾラン反応性物質等を挙げることができるが、記載例に限定されるものではない。
また、本発明の吹付材は、湿式吹付施工に適した吹付材である。施工方法を具体的に例示すると、ポルトランドセメントと骨材及び必要に応じて前記吹付材用超速硬粉体混和材以外の他の成分を加えたものに混練水を加えたスラリー状のベースコンクリートを予め作製する。このスラリー状のベースコンクリートを例えば市販の吹付装置に圧送し、噴射時に前記吹付材用超速硬粉体混和材を添加混合し、これを吹付ける。ベースコンクリート作製に使用する混練水の配合量は限定されない、施工状況や組成等に応じて適宜定めれば良い。目安としては、例えば常温供用の吹付材では、含有セメント量100質量部に対して混練水量45〜70質量部が好ましく、混練水量55〜65質量部がより好ましい。
本発明の吹付材は、地山や地下構造物等の補強用としては勿論、漏水や湧水等の止水性能に富むため、例えば漏水箇所や染出水箇所、その他湧水箇所が存在する掘削面、法面、堤防壁等へ吹付けることで、止水材としても十分適用できる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は記載した実施例に限定されるものではない。また、施工試験や各種特性測定は常温(20±1℃)環境下で行った。
[セメント用急結剤の作製]
何れも市販薬品の炭酸カルシウム、酸化珪素、酸化アルミニウム及び三二酸化鉄を用い、所望の化学組成のセメント用急結剤が得られるよう秤量し、ヘンシェル型ミキサで乾式混合した。乾式混合した混合物を電気炉にて温度約1500℃(±50℃)で60分間加熱し、加熱時間経過後は直ちに被加熱物を炉外に取出した。取出した被加熱物表面に冷却用の窒素ガスを流速約30ml/秒で吹付けて急冷し、主な含有化学成分の含有割合(質量%)が表1に表すセメント用急結剤を得た。また、表1には得られたセメント用急結剤のガラス化率も記した。尚、一部の被加熱物については炉外への取出しまでは前記に準じるものの、その後の冷却用の窒素ガスは流速や吹付け時間を減らして吹付け、ガラス化率を調製した。得られたセメント用急結剤は粉砕・分級操作により整粒し、ブレーン比表面積約5000cm2/gの粉末にした。
Figure 2017071536
[超速硬粉体混和材の作製]
前記作製のセメント用急結剤の粉末、何れも市販薬品のアルミン酸ナトリウム、II型無水石膏および炭酸ナトリウムから選定される材料を、前記非晶質粉末100質量部あたりの配合量で表した表2の配合となるようヘンシェルミキサに一括投入した。このミキサで約2分間混合することで、超速硬粉体混和材を作製した。
Figure 2017071536
[ベースコンクリートの作製]
次の2種類のベースコンクリートを作製した。尚、混合機は何れも市販の卓上モルタルミキサを使用した。
B1(モルタル配合質);普通ポルトランドセメント(市販品、比重3.16)10Kg、混練水5.98Kg、及び細骨材(掛川産陸砂(F.M.=2.7、表乾密度;2.58))28.8Kgを混合機に一括投入し、約1分間混練したもの。
B2(コンクリート配合質);普通ポルトランドセメント(市販品、比重3.16)10Kg、混練水6.0Kg、細骨材(掛川産陸砂(F.M.=2.7、嵩密度;2.58))29.7Kg及び粗骨材(桜川産砕石、嵩密度;2.58、粒径5mm〜15mm))20.4Kgを混合機に一括投入し、約1分間混練したもの。
[急結性の評価]
前記ベースコンクリートB1を、底付の円筒容器に入れ、ハンドミキサで1分間混合した後、屋内に30分静置した。この静置後、ハンドミキサで1分間再混合し、前記超速硬粉体混和材をベースコンクリート中のポルトランドセメント含有量100質量部あたり表3に記載した量で加え、さらに5秒間攪拌して急結性評価用に吹付材を作製した。前記超速硬粉体混和材添加15秒経過時点、30秒経過時点、60秒経過時点、120秒経過時点及び180秒経過時点の前記吹付材に対し、プロクター貫入抵抗値を測定することで急結性の評価を行った。プロクター貫入抵抗値の測定方法は、土木学会コンクリート標準指方書「吹付コンクリート用急結剤品質規格」付属書「貫入抵抗によるモルタルの瞬結時間測定方法」に準拠し、断面積0.125cm2のプロクター針を使用した。この貫入抵抗値の測定結果を表4に表す。
Figure 2017071536
Figure 2017071536
[吹付試験用吹付材の作製]
また、前記の如く作製したベースコンクリートB1又はB2を湿式吹付装置(市販品)に圧送し、湿式吹付装置内で送流中のベースコンクリートに前記超速硬粉体混和材を連続的に添加した。前記添加により実質的な混合がなされ、各ベースコンクリートと各超速硬粉体混和材からなる吹付材を得た。ベースコンクリートへの超速硬粉体混和材の添加量は、前記の急結性評価用に吹付材作製の場合と同じで表3に表した添加量とした。尚、急結性評価用としては作製しなかったベースコンクリートB2を使用したNo.1〜27吹付試験用としては作製した。
[吹付特性等の評価]
前記のように作製した吹付材を、前記湿式吹付装置の噴射用ノズルから約100cm離れた地点に垂直に設置された3m四方のコンクリート製平滑壁面に向かって、前記噴射用ノズルから160ml/分の流量で吹付けた。吹付性の評価は、何れも目視観察で、前記壁面からの吹付材の跳ね返り(リバウンド)を調べ、跳ね返りが見られなかったものをリバウンド「無」と判断し、跳ね返りが見られたものをリバウンド「有」と判断した。また、壁面に吹付けた吹付物に垂れが見られたり剥落が起こったりすることなく、付着し続けたものを付着性が「良好」と判断し、それ以外の状態になったものは全て付着性が「不良」と判断した。また、このような吹付けを3分間連続して行った直後に、湿式吹付装置のノズル孔に固結物による閉塞が完全閉塞はもとより、少なくとも孔道の一部を塞ぐような状況となったものを閉塞発生「有」と判断し、このような閉塞が全く見られなかったもののみを閉塞発生「無」と判断した。尚、流動性の著しい低下により、圧送管中又は湿式吹付装置内で滞留し、殆ど噴射できなかったものも閉塞発生「有」と判断した。この結果を表5に表す。尚、吹付材No.28については、湿式吹付装置の噴射用ノズルを含有骨材の最大粒径より概ね1割程度大きい孔径のものに取替え対外は、他の吹付条件は吹付材No.1〜27と同一とした。
[強度発現性の評価]
また、前記表3に表した吹付材(No.1〜27)の混練物を、作製後直ちに、内寸40×40×160mmの成形用型枠に充填し、これを屋内の空気中に所定時間静置し、静置後に脱型して材齢3時間、1日及び7日の供試体を得た。この供試体の圧縮強度をJIS R 5201に準じた方法でアムスラー式強度試験機で測定した。但し、吹付材No.28については、その混練物を、作製後直ちに、内寸30×40×20cmの木製型枠に充填し、これを約120分静置した後脱型して得た硬化物から直径50mm、高さ100mmの円柱状供試体を採取した。採取後は気中養生した材齢3時間、1日及び7日の円柱状供試体に対し、JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて圧縮強度を測定した。以上の強度測定結果も表5に表す。
[止水性の評価]
また、地面に垂直に設置したモルタル塗りの左官下地に用いられる木製平板(横910mm、縦1820mm、厚さ7.5mm、接地面は910×7.5mmの面)に、該平板の中央線上の上端部から約150mmの位置に直径3.0mmの穴を1つ開けた。この穴の一方の平板面に前記穴と同じ内径の塩化ビニル製パイプを、平板の前記穴と塩化ビニル製パイプの内径部が接して連通するように、取付けた。該パイプに流量15リットル/分に調製した水を流し、平板面の前記穴から湧水状態を模擬的に出現させた。この湧水中の穴に向かって、前記表3に表す吹付材を、約100cm離れた地点から前記湿式吹付装置を使い、160ml/分の流量で5秒間吹付けた。吹付から5分経過後に前記平板における湧水発生の有無を目視で観察した。湧水・漏水等が全く見られなかったものを止水性が「有」と判断し、それ以外の状況となったものを止水性が「無」と判断した。この結果も表5に表す。
Figure 2017071536
表4の結果から、本発明のセメント用急結剤を用いた吹付材は、接水から15秒経過した時点で既に貫入抵抗値の急上昇が見られ120秒以内に概ね終結しており、しかも高い抵抗値を示し、強固な凝結体が形成されていることがわかる。また、表5の結果から、本発明の吹付材は、優れた付着性と凝結直後から非常に高い初期強度発現性を呈し、前述の高い急結性も鑑みると、かなり早く硬化することがわかる。このようにいち早く強固な硬化体を良好な付着性で形成できるため、吹付用の止水材としても十分活用できることがわかる。

Claims (4)

  1. 化学成分としてのCaOとAl23の含有モル比(CaO/Al23)が2.0〜2.6であって、前記CaOとAl23を合計で86〜94質量%含み、残部に化学成分としてのSiO2とFe23を含有質量比(SiO2/Fe23)8〜15で含み、残部中の前記SiO2とFe23の含有割合が50質量%以上であるCaO−Al23−SiO2−Fe23系非晶質物質を有効成分とするセメント用急結剤。
  2. 請求項1記載のセメント用急結剤100質量部、アルミン酸ナトリウム2.5〜5.5質量部、アルカリ金属炭酸塩5.0〜7.5質量部および石膏11.0〜17.5質量部を含有する吹付材用超速硬粉体混和材。
  3. ポルトランドセメント100質量部と請求項2記載の吹付材用超速硬粉体混和材4.5〜11.0質量部を含有する吹付材。
  4. 止水材として用いる請求項3記載の吹付材。
JP2015200497A 2015-10-08 2015-10-08 セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材 Pending JP2017071536A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015200497A JP2017071536A (ja) 2015-10-08 2015-10-08 セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015200497A JP2017071536A (ja) 2015-10-08 2015-10-08 セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017071536A true JP2017071536A (ja) 2017-04-13

Family

ID=58539089

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015200497A Pending JP2017071536A (ja) 2015-10-08 2015-10-08 セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017071536A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023189665A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 デンカ株式会社 セメント混和材及びセメント組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004196566A (ja) * 2002-12-17 2004-07-15 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント混和材及びセメント組成物
JP2012121763A (ja) * 2010-12-08 2012-06-28 Denki Kagaku Kogyo Kk 吹付け用急結剤及びそれを用いた吹付けコンクリート並びに吹付け工法
JP2013095624A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Taiheiyo Materials Corp 速硬剤および速硬性セメント組成物
JP2014088296A (ja) * 2012-10-31 2014-05-15 Taiheiyo Material Kk 急結剤
JP2014181165A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Denki Kagaku Kogyo Kk 急結剤
JP2014205592A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 太平洋マテリアル株式会社 急結剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004196566A (ja) * 2002-12-17 2004-07-15 Denki Kagaku Kogyo Kk セメント混和材及びセメント組成物
JP2012121763A (ja) * 2010-12-08 2012-06-28 Denki Kagaku Kogyo Kk 吹付け用急結剤及びそれを用いた吹付けコンクリート並びに吹付け工法
JP2013095624A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Taiheiyo Materials Corp 速硬剤および速硬性セメント組成物
JP2014088296A (ja) * 2012-10-31 2014-05-15 Taiheiyo Material Kk 急結剤
JP2014181165A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Denki Kagaku Kogyo Kk 急結剤
JP2014205592A (ja) * 2013-04-12 2014-10-30 太平洋マテリアル株式会社 急結剤

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023189665A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 デンカ株式会社 セメント混和材及びセメント組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4677824B2 (ja) 耐酸性グラウト組成物
JP5611795B2 (ja) 吹付け用急結剤及びそれを用いた吹付けコンクリート並びに吹付け工法
JP6258697B2 (ja) 速硬性グラウト組成物
JP6586417B2 (ja) 急結用混和材
JP7077146B2 (ja) 急結混和材
JP6386902B2 (ja) 吹付コンクリート及びその製造方法
JP6616676B2 (ja) コンクリート吹付材
JP7351660B2 (ja) 吹付用高強度コンクリート
JP4837172B2 (ja) 吹付工法
JP6177658B2 (ja) 急結性混和剤
JP6465432B2 (ja) 高強度吹付コンクリート
JP6300368B2 (ja) 吹付材用急結材
JP2017071536A (ja) セメント用急結剤、吹付材用超速硬粉体混和材および吹付材
JP6732521B2 (ja) 吹付用モルタル
JP6662668B2 (ja) 吹付用モルタル
JP6393183B2 (ja) 吹付コンクリート用急結性混和剤
JP2014088296A (ja) 急結剤
JP2018131364A (ja) 吹付モルタル
JP6660229B2 (ja) 急結性物質およびセメント組成物用急結材
JP6204060B2 (ja) 吹付け材料及び吹付け工法
JP7403918B2 (ja) 急結混和材及び吹付コンクリート
JP2017030998A (ja) 低温施工用吹付コンクリート
JP2003292355A (ja) 吹付けコンクリート用急結剤及びその製造方法、並びに吹付けコンクリートの施工方法
JP2018162196A (ja) 湿式吹付工法用吹付材
JP2021091593A (ja) 急結混和材及び吹付コンクリート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190605

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190613

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191210