JP4677824B2 - 耐酸性グラウト組成物 - Google Patents
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Description
特許文献2には、セメント、ブレーン値6000cm2/g〜15000cm2/gの石こう類、石灰類、アルミナセメント、膨張性混和材、凝結調整剤、高性能減水剤、金属粉末からなる組成物であることを特徴とする低収縮性超速硬性セメント組成物が開示されている。
特許文献4には、ポルトランドセメント30〜80重量部、アルミナセメント5〜50重量部、石膏5〜20重量部、水酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウム1〜20重量部からなる無機質結合材100重量部に対し、オキシカルボン酸及び/又はその塩類0.01〜2.0重量部、亜鉛化合物0.001〜0.5重量部、膨脹材0.005〜0.02重量部、減水剤0.01〜2.0重量部及び流動化剤0.001〜2.0重量部を配合してなる超速硬無収縮グラウト材が開示されている。
特許文献5には、径10μm以下の粒子含有率が何れも80重量%以上のアルミナセメントとポルトランドセメントと石膏を、アルミナセメント100重量部、ポルトランドセメント67〜150重量部、石膏11〜150重量部の割合で含み、かつ粉粒状のセメント分散剤を含むセメント系補修材が開示されている。
水硬性無機結合材が、アルミナセメント100重量部、ポルトランドセメント10〜75重量部、石膏5〜80重量部及び石灰類0.05〜7重量部を含むことを特徴とする耐酸性グラウト組成物を提供することである。
1)凝結調整剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、凝結促進剤0.05〜5質量部及び凝結遅延剤0.001〜2質量部であること。
2)流動化剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、0.001〜5質量部であること。
3)増粘剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、0.001〜2質量部であること。
4)消泡剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、0.001〜2質量部であること。
5)膨張剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、0.0001〜0.02質量部であること。
6)耐酸性グラウト組成物は、さらにアルミナセメントクリンカー及び細骨材から選ばれる骨材を少なくとも1成分を含むこと。
7)耐酸性グラウト組成物は、さらに骨材を、水硬性無機結合材100質量部に対して、200質量部以下で含むこと。
8)アルミナセメント100質量部に対して、ハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイルを0.01〜0.2質量部含むこと。
9)石灰類は、消石灰であること。
10)耐酸性グラウト組成物は、酸化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸水素亜鉛、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、リン酸亜鉛などの亜鉛化合物を含まないこと。
11)耐酸性グラウト組成物は、二液混合型でない一粉型の耐酸性グラウト組成物であること。
12)水硬性無機結合材が、アルミナセメント100重量部、ポルトランドセメント10重量部から60重量部未満、石膏5〜80重量部及び石灰類0.05〜7重量部を含む水硬性無機結合材であること。
13)凝結調整剤の凝結促進剤が、リチウム塩であり、凝結遅延剤がナトリウム塩であること。
本発明の耐酸性グラウト組成物は、トンネルやシールドの裏込め、ダムの継ぎ目、橋梁のシュウ、構造物の補修や補強、鉄筋継手、機械基礎の固定、下水道の補修等、土木・建築分野においてその利用価値は大きい。
本発明の耐酸性グラウト組成物は、二液混合型でない一粉型の耐酸性グラウト組成物である。
ポルトランドセメントが10〜75重量部、好ましくは10重量部から60質量部未満、さらに好ましくは12〜58重量部、より好ましくは15〜55重量部、特に好ましくは20〜42重量部、
石膏が5〜80重量部、好ましくは10〜65重量部、さらに好ましくは20〜55重量部、より好ましくは25〜45重量部、特に好ましくは30〜40重量部、
及び石灰類が0.05〜7重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.15〜3重量部、より好ましくは0.2〜1重量部、特に好ましくは0.25〜0.6重量部を含むが好ましい。
骨材は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性無機結合材100質量部に対して、好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは30〜180質量部、より好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは60〜120質量部が、流動性や硬化体強度発現性などのために好ましい。
骨材としては、2mm以下の径のものを用いることが、流動性や硬化体強度発現性などのために好ましい。
細骨材ついては、粒子径の小さいな珪砂、川砂、海砂、石英粉末、廃FCC触媒などの細骨材を用いることが好ましい。
特に、細骨材としては、珪砂、川砂、海砂などが好ましく用いることが出来る。
アルミナセメントクリンカー骨材は、粒径75μm〜1500μmのものの使用が好ましく、材料分離を防止するためには、粒径1000μm以下のものを使用するのが更に好ましい。
アルミナセメントクリンカー骨材は、粒度が75μm〜1500μmであり、目開き75μm〜1500μm二種の篩を用いて捕捉される粒分である。
耐酸性グラウト組成物は、アルミナセメント100質量部に対してハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイルを好ましくは0.01〜0.2質量部、さらに好ましくは0.01〜0.18質量部、より好ましくは0.01〜0.15質量部、特に好ましくは0.05〜0.15質量部含むことにより、粉体貯蔵時の安定性に優れる。
ハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイルは、Si−H結合を有する公知のシリコーンオイルを用いることが出来、アルミナセメントなどの粉体に対し分散して配合できるもの、アルミナセメント粒子の表面を被覆することができるものなどを用いることが出来る。
ハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイルは、メチルハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF−99)などのアルキルハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイルが好ましい。
凝結調整剤は、凝結促進剤と凝結遅延剤を併用して用いることにより、作業可能な可使時間の保持、超速硬性、流動保持性、優れた硬化体性状を両立させることが可能となる。
凝結促進剤としては、特性を妨げない粒径を用いることが好ましく、粒径は50μm以下にするのが好ましい。
特にリチウム塩を用いる場合、リチウム塩の粒径は50μm以下、さらに30μm以下、特に10μm以下が好ましく、粒径が上記範囲より大きくなるとリチウム塩の溶解度が小さくなるために好ましくなく、特に顔料添加系では微細な多数の斑点として目立ち、美観を損なう場合がある。
凝結調整剤は、水硬性無機結合材100質量部に対して、凝結促進剤が好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.2〜2質量部、特に好ましくは0.3〜1質量部と、
凝結遅延剤が好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部、特に好ましくは0.1〜0.8質量部である。
特に、耐酸性グラウト組成物の水硬性無機結合材の主な成分であるアルミナセメントの発現強度は、水/セメント比の影響を大きく受けることから、減水効果を有する流動化剤を使用して水/水硬性成分比を小さくすることが不可欠である。
流動化剤としては、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリエーテル系等、市販のものが、その種類を問わず使用できる。
流動化剤は、用いる水硬性無機結合材に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、水硬性無機結合材100重量部に対し、0.001〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜4質量部、より好ましくは0.1〜3.5質量部、特に好ましくは0.5〜3質量部であり、添加量が余り少ないと十分な効果が発現せず、また多すぎても添加量に見合った効果は期待できず単に不経済であるだけでなく、所要の流動性を得るための混練水量が増大し、同時に粘稠性も大きくなり、充填性が悪化する。
増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性無機結合材100質量部に対して、
好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1.5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、特に0.02〜0.5質量部含むことが好ましい。増粘剤の添加量が多くなると、流動性の低下を招く恐れがあり好ましくない。
増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、水硬性無機結合材や細骨材などの骨材分離の抑制、気泡発生の抑制、硬化体表面の改善に好ましい効果を与え、グラウト材としての特性を向上させるために好ましい。
消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性無機結合材100質量部に対して、
好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1.5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、特に0.02〜0.5質量部含むことが好ましい。消泡剤の添加量は、上記範囲内が、消泡効果が認められるために好ましい。
膨張材としては、金属粉、カルシウムサルフォアルミネート系(CSA系)、石灰系などを用いることができ、これらを2種以上併用して用いることができる。
膨張材の添加量は、水硬性成分100質量部に対して、金属粉では、好ましくは0.0001〜0.02質量部、さらに好ましくは0.0003〜0.01質量部、より好ましくは0.0005〜0.008質量部、特に0.0008〜0.005質量部で用いることが好ましく、
石灰系では、好ましくは0.05〜15質量部、さらに好ましくは0.08〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、特に0.2〜1質量部で用いることが好ましい。
石灰系としては、生石灰、生石灰−石膏混合系、仮焼ドロマイト等が挙げられ、一種又は二種以上の混合物として使用できる。特に石灰系としては、生石灰、生石灰−石膏混合系が好ましい。
水の添加量は、水硬性無機結合材又は耐酸性グラウト組成物100質量部に対し、好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは12〜40質量部、より好ましくは13〜35質量部、特に好ましくは15〜25質量部加えて用いることが好ましい。
1)Jロートが、好ましくは4〜15秒、さらに好ましくは4〜12秒、特に好ましくは 5〜10秒であり、
2)20℃可使時間が、好ましくは5分以上、さらに好ましくは7分以上、特に好ましくは10分以上の特性が得られる。
1)圧縮強度(3時間)が、好ましくは10N/mm2以上、さらに好ましくは12N/mm2以上、特に好ましくは15N/mm2以上であり、
2)圧縮強度(28日)が、好ましくは40N/mm2以上、さらに好ましくは43N/mm2以上、特に好ましくは45N/mm2以上であり、
3)重量変化率(7日)が、好ましくは−1.2%以内、さらに好ましくは−1.0%以内、特に好ましくは−0.8%以内であり、
4)重量変化率(28日)が、好ましくは−15%以内、さらに好ましくは−10%以内、特に好ましくは−8%以内であり、
5)中性化深さ(7日)が、好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1mm以下であり、
6)中性化深さ(28日)が、好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下、特に好ましくは2mm以下であり、
7)膨張率(%)が、好ましくは0.00%、さらに好ましくは+0.01%、より好ましくは+0.02%、特に好ましくは+0.03から上限値として+0.06%の範囲である硬化体を得られることが好ましい。
特に本発明の耐酸性グラウト組成物は、重量変化率(%)の小さな耐酸性に優れた硬化体を得ることができる。
グラウト組成物のプレミックス粉体は、所定量の水と混合、攪拌して、スラリー状で用いることができ、その後グラウト組成物の硬化物を得ることができる。
また、本発明の耐酸性グラウト組成物は、一粉型の耐酸性グラウト組成物であり、施工現場では耐酸性グラウト組成物のプレミックス粉体を水と混練するだけで、高流動性の耐酸性グラウト組成物が得られる。
1)Jロート(秒):土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993) J14ロートによる流下値を示す。
2)20℃可使時間(分):J14ロート流下時間が、10秒より大となるまでに要する混練後の時間で表す。
3)膨張率(%):土木学会充てんモルタル試験方法(案)(JSCE・F542−1993) 試験体φ5×10cm(但し、膨張率は、膨張を+、収縮を−で示す。)(測定条件・温度:20℃、湿度:65%)
4)圧縮強度(N/mm2):試験体4×4×16cm、JIS・R−5201による。試験体は、型枠に生成スラリーを型詰めして、温度20℃、湿度65%の条件で3時間気中養生した後、脱型し、さらに成型体をポリエチレン袋に密閉し、温度20℃、湿度65%の条件の気中にて所定期間養生して試験体を得る。
5)耐酸性評価
(i)重量変化率(%):試験体φ5×10cmを5wt%硫酸溶液(液度:20℃)に浸漬したさいの重量変化率。
(ii)中性化深さ(mm):試験体φ5×10cmを5wt%硫酸溶液(液度:20℃)に浸漬したさいの中性化深さ。
1)水硬性無機結合材:
・アルミナセメント(ラファージュアルミネート社製、ブレーン比表面積3100cm2/g)。
・ポルトランドセメント(宇部早強セメント、ブレーン比表面積4500cm2/g)。
・石膏:II型無水石膏(セントラル硝子社製、ブレーン比表面積4000cm2/g)。
・消石灰:(宇部マテリアル社製)。
2)細骨材:
・珪砂:6号珪砂。
・アルミナセメントクリンカー:(ラファージュアルミネート社製、粒度:1mm)。
3)凝結調整剤:
・凝結促進剤:炭酸リチウム(市販品)。
・凝結遅延剤:重炭酸ナトリウム(市販品)とクエン酸ナトリウム(市販品)。
4)混和剤:
・流動化剤:メラミン系流動化剤(日本シーカ社製)。
・増粘剤:メチルセルロース系増粘剤(松本油脂社製)。
・消泡剤:ポリエーテル系消泡剤(サンノプコ社製)。
・膨張剤:アルミニウム粉(粒度44μm以下60重量%以上含有、大和金属粉工業社製、製品名:ALCファイン及びK−250の混合品)。
5)シリコーンオイル:
・SIオイル:メチルハイドロジェンポリシロキサンシリコーンオイル(信越化学工業社製、製品名:KF−99)。
表2に示す組成を、アイリッヒミキサを使用して混合し、グラウト組成物を得た。
温度20℃、相対湿度65%の条件下で、グラウト組成物100質量部に対し、水21質量部を加え、2分間混練して、混練物を調整した。水硬性無機結合材成分は、表1に示す組成割合の成分を用いた。
得られた混練物のJロート及び20℃可使時間と、混練物の硬化体の膨張率、圧縮強度及び耐酸性と、グラウト硬化体の表面状態を評価し、結果を表3に示す。
Claims (6)
- アルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏及び石灰類を含む水硬性無機結合材と、凝結促進剤及び凝結遅延剤よりなる凝結調整剤、流動化剤、増粘剤、消泡剤、膨張剤及び骨材とを含む耐酸性グラウト組成物であり、
水硬性無機結合材が、アルミナセメント100重量部、ポルトランドセメント10〜75重量部、石膏5〜80重量部及び石灰類0.2〜1重量部を含み、
前記膨張剤は、水硬性無機結合材100質量部に対して、アルミニウム粉0.0001〜0.02質量部含み、
前記骨材は、アルミナセメントクリンカー骨材を含むことを特徴とする耐酸性グラウト組成物。 - 前記石灰類は、消石灰であることを特徴とする請求項1に記載の耐酸性グラウト組成物。
- 前記アルミナセメントクリンカー骨材は、粒径75μm〜1500μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐酸性グラウト組成物。
- 耐酸性グラウト組成物は、前記骨材を、水硬性無機結合材100質量部に対して、200質量部以下で含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐酸性グラウト組成物。
- 凝結調整剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、凝結促進剤0.05〜5質量部及び凝結遅延剤0.001〜2質量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐酸性グラウト組成物。
- 流動化剤、増粘剤及び消泡剤が、水硬性無機結合材100質量部に対して、流動化剤0.001〜5質量部、増粘剤0.001〜2質量部及び消泡剤0.001〜2質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐酸性グラウト組成物。
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