JP2006045025A - 自己流動性水硬性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水硬性成分、細骨材、減水剤及び増粘剤とを含む自己流動性水硬性組成物であり、
水硬性成分100質量部に対して、細骨材を60〜200質量部含み、
細骨材100質量%中に平均粒径1〜100μmの微粉細骨材を1〜20質量%含むことを特徴とする自己流動性水硬性組成物を提供すること。
【選択図】 なし
Description
特許文献2には、アルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏、高炉スラグからなる水硬性成分と、減水剤と、増粘剤とからなる組成物が開示されている。
セルフレベリング材は、高い流動性と、高精度に平滑な面を有することが必須の要件である。硬化時間の目安となるスラリー表面の水分が乾くまでの時間が1〜2時間程度のアルミナセメント系のセルフレベリング材では、特に高温化で使用すると、硬化表面に微小な凹凸が発生し易い傾向にある。
本発明は、硬化時間の目安となるスラリー表面の水分が乾くまでの時間が1〜2時間程度で、高温化で使用しても、高い流動性を有し、硬化表面に微小な凹凸が発生しないアルミナセメント系のセルフレベリング材を提案することを目的とする。
水硬性成分100質量部に対して、細骨材を60〜200質量部含み、
細骨材100質量%中に平均粒径1〜100μmの微粉細骨材を1〜20質量%含むことを特徴とする自己流動性水硬性組成物を提供することである。
1)水硬性成分は、アルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏及び高炉スラグを含み、
アルミナセメント100質量部に対し、ポルトランドセメント120質量部以下、石膏40〜100質量部及び高炉スラグ50〜350質量部の組成であることが好ましい。
2)細骨材は粒径2mm以下の硅砂を主成分とし、
平均粒径1〜100μmの微粉細骨材は、硅石粉、寒水石及びフライアッシュから選ばれる成分を含むことが好ましい。
3)自己流動性水硬性組成物は、さらに凝結調整剤を含むことが好ましい。
4)水硬性成分100質量部に対して、減水剤0.01〜0.2質量部及び増粘剤0.05〜0.5質量部含むことが好ましい。
5)セルフレベリング性のSL値(L30)が、300〜600mmであることが好ましい。
本発明の自己流動性水硬性組成物は、幅広い温度範囲で使用することができ、40℃の高温下でも優れた効果を有する。
本発明の自己流動性水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、減水剤が0.01〜0.20質量部、増粘剤が0.05〜0.5質量部含むことが好ましい。
本発明の自己流動性水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、凝結調整剤0.05〜5質量部を含むことが好ましい。
本発明の自己流動性水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、消泡剤2質量部以下を含むことが好ましい。
本発明の自己流動性水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、細骨材が60〜200質量部、減水剤が0.01〜0.20質量部及び増粘剤0.05〜0.5質量部とを含むことが好ましい。
さらに自己流動性水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、細骨材が60〜200質量部、減水剤が0.01〜0.20質量部、増粘剤0.05〜0.5質量部、凝結調整剤0.05〜5質量部及び消泡剤2質量部以下とを含むことが好ましい。
本発明の自己流動性水硬性組成物において、水硬性成分は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができる。
セルフレベリング材の具備すべき重要な要件の一つは、適度な急硬性を有することであるが、急硬性は第一義的に、含まれる水硬性成分の種類に依存する。ポルトランドセメント系では硬化速度が遅く、乾燥収縮が大きいと言う欠点を有しており、一方、速硬性セメント系では硬化速度面では改善されるものの、流動性が低く、強度が低いと言う欠点を有している。
特に水硬性成分として、アルミナセメント、石膏および高炉スラグを含む水硬性成分、さらにアルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏および高炉スラグを含む水硬性成分を使用することにより、上記の互いの欠点を補うことができるために好ましい。
水硬性成分は、好ましくはアルミナセメント100質量部、石膏40〜100質量部及び高炉スラグ50〜350質量部の組成、さらに好ましくはアルミナセメント100質量部、ポルトランドセメント120質量部以下、石膏40〜100質量部及び高炉スラグ50〜350質量部の組成が、適度な急硬性を有し、高い流動性及び強度、且つ寸法安定性の良さの理由で好ましい。
高炉スラグは、JIS・A−6206に規定されるブレーン比表面積3000cm2/g以上のものを用いることができる。
細骨材は、水硬性成分100質量部に対し、60〜200質量部、好ましくは70〜150質量部、特に好ましくは80〜100質量部の範囲が好ましい。
微粉細骨材を除く細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、アルミナクリンカー、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒、石灰石などの無機質材、ウレタン砕、EVAフォーム、発砲樹脂などの樹脂粉砕物などを用いることができる。
特に、微粉細骨材を除く細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、石英粉末、アルミナクリンカーなどが好ましく用いることが出来る。
細骨材の粒径は、JIS Z−8801で規定される呼び寸法の異なる数個のふるいを用いて測定する。
微粉細骨材としては、上記の平均粒径であればどのような細骨材でも用いることができるが、特に硅石粉、寒水石及びフライアッシュから選ばれる成分少なくとも1成分含むことが、硬化後の硬化体表面の凹凸がなく、表面平滑性に優れるために好ましい。
微粉細骨材の粒径は、JIS Z−8801で規定される呼び寸法の異なる数個のふるいを用いて測定し、ふるい上分布曲線の50%質量に対応する粒径(メディアン径)を平均粒径とする。
増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して0.05〜0.5質量部、さらに0.05〜0.3質量部、特に0.05〜0.2質量部含むことが好ましい。増粘剤の添加量が多くなると、流動性の低下を招く恐れがあり好ましくない。
増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、骨材分離の抑制、気泡発生の抑制、硬化体表面の改善に好ましい効果を与え、セルフレベリング材としての特性を向上させるために好ましい。
消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、2質量部以下、さらに1質量部以下、特に0.2質量部以下が好ましい。消泡剤の添加量は、上記より多く添加する場合、消泡効果の向上がみとめられない場合がある。
凝結促進剤としては、特性を妨げない粒径を用いることが好ましく、粒径は50μm以下にするのが好ましい。
特にリチウム塩を用いる場合、リチウム塩の粒径は50μm以下、さらに30μm以下、特に10μm以下が好ましく、粒径が上記範囲より大きくなるとリチウム塩の溶解度が小さくなるために好ましくなく、特に顔料添加系では微細な多数の斑点として目立ち、美観を損なう場合がある。
凝結調整剤は、自己流動性水硬性組成物をセルフレベリング材として用いる場合、リチウム塩とナトリウム塩の合量が、水硬性成分100質量部に対して0.05〜5質量部、さらに0.1〜2質量部、特に0.30〜0.50質量部の範囲で添加することが好ましい。
凝結調整剤は、自己流動性水硬性組成物をセルフレベリング材として用いる場合、リチウム塩に対するナトリウム塩のモル比が、1〜50の範囲にするのが好ましく、モル比が1より小さいと、凝結が早すぎ、自己流動性が低下するため、可使時間が短くなりすぎて施工に支障を来たす場合があり好ましくなく、また、50より大きいと、速硬性が低下し、早期開放が困難になる場合があり好ましくない。
本発明の自己流動性水硬性組成物を床下地調整などのセルフレベリング材として用いる場合、水は自己流動性水硬性組成物100質量部に対し、14〜30質量部、さらに19〜29質量部、特に24〜28質量部加えて用いることが好ましい。
本発明のSL材は、コンクリートの表面仕上げ材として広く使用することができ、一般の建築用左官材料、例えばPータイル貼、長尺シート、じゅうたん、ウレタン等の合成樹脂塗り床の下地の施工にも使用することができる。
本発明の自己流動性水硬性組成物は、15〜40℃の幅広い温度範囲で優れた特性を有し、セルフレベリング材として使用できる。
(1)使用材料:以下の材料を使用した。
・アルミナセメント:ブレーン比表面積3,600cm2/g、モノカルシウムアルミネート含有量45重量%。
・ポルトランドセメント:早強セメント、ブレーン比表面積4,500cm2/g。
・石膏:II型無水石膏、ブレーン比表面積3,300cm2/g。
・高炉スラグ:ブレーン比表面積4,400cm2/g。
・珪砂:4号珪砂(市販品)。
・リチウム塩:炭酸リチウム(市販品)。
・ナトリウム塩:重炭酸ナトリウムと酒石酸ナトリウム(何れも市販品)。
・減水剤:ポリカルボン酸系減水剤(市販品)。
・増粘剤:メチルセルロース系増粘剤(市販品)。
・消泡剤:ポリエーテル系消泡剤(市販品)。
水硬性成分、細骨材、減水剤、増粘剤、凝結調整剤、消泡剤(総量:1.5kg)及び表1に示す微粉細骨材を、ケミスタラーを用いて混練し、水硬性組成物を調整し、さらに所定量の水を加えて3分間混練して、スラリーを得る。水硬性組成物及びスラリーの調整は、表2に示す温度で行う。水硬性成分は、アルミナセメント100質量部、ポルトランドセメント68質量部、石膏59質量部及び高炉スラグ227質量部の割合のものを用いた。
評価は、表1に示す温度で行う。
・フロー値: JASS・15M−103に準拠して測定する。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を置き練り混ぜたコンクリート組成物を充填した後、パイプを引き上げる。広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とする。
同様に成形後30分後に堰板を引き上げて、スラリーの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)からスラリー流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をL30とする。さらに成形後40分後に堰板を引き上げて、スラリーの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)からスラリー流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をL40とする。
評価は、温度30℃で行う。
骨材分離は、(3)のセルフレベリング性において、スラリーの流れ停止後にスラリーの途中で骨材が停止していないかどうかを触診で観察する。
水浮きは、堰板引き上げ後のブリージング水がスラリー自体よりも早く流れて水分だけが長く流れていないかどうか、また、白華の有無、凹凸、及び気泡痕は、上記(2)で得られるスラリーを、30cm×30cmのコンクリート板へ厚さ10mmで流し込み、硬化終了後、目視で観察した。評価は以下の通りとした。
評価は、温度30℃で行う。
○:無し、×:有り。
上記(2)で得られるスラリーを、30cm×30cmのコンクリート板へ厚さ10mmで流し込み、スラリー表面の水分が無くなる(水引き)時間を目視で観察して、評価した。
Claims (6)
- 水硬性成分、細骨材、減水剤及び増粘剤とを含む自己流動性水硬性組成物であり、
水硬性成分100質量部に対して、細骨材を60〜200質量部含み、
細骨材100質量%中に平均粒径1〜100μmの微粉細骨材を1〜20質量%含むことを特徴とする自己流動性水硬性組成物。 - 水硬性成分が、アルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏及び高炉スラグを含み、
アルミナセメント100質量部、ポルトランドセメント120質量部以下、石膏40〜100質量部及び高炉スラグ50〜350質量部の組成であることを特徴とする請求項1に記載の自己流動性水硬性組成物。 - 細骨材は粒径2mm以下の硅砂を主成分とし、
平均粒径1〜100μmの微粉細骨材は、硅石粉、寒水石及びフライアッシュから選ばれる成分を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自己流動性水硬性組成物。 - 自己流動性水硬性組成物は、さらに凝結調整剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の自己流動性水硬性組成物。
- 水硬性成分100質量部に対して、減水剤0.01〜0.2質量部及び増粘剤0.05〜0.5質量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自己流動性水硬性組成物。
- セルフレベリング性のSL値(L30)が、300〜600mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自己流動性水硬性組成物。
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