JP4840384B2 - 水硬性組成物及び水硬性モルタル並びにコンクリート床構造体 - Google Patents

水硬性組成物及び水硬性モルタル並びにコンクリート床構造体 Download PDF

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Description

本発明は、一般建築物の主に床下地調整に使用され、水硬性組成物の硬化が進行する過程で、硬化体表面の整形や補修が可能な水硬性モルタルが得られる水硬性組成物、及びこの水硬性組成物を用いて得られるコンクリート床構造体に関する。
各種セメントを構成材料とする水硬性組成物を用いて水硬性モルタル系塗り材を調製し、コンクリート構造物の壁や床の表面にモルタル施工する場合、水硬性モルタル表面の水が引いて水硬性モルタル材料に締まりが生じた時点で、水硬性モルタル表面を左官コテなどを用いて押えたり削りとるなどの整形・補修の手直しを行っている。これらの整形・補修作業は、水硬性モルタル系塗り材を用いる場合の一般的な施工工程のひとつとなっている。したがって、水硬性モルタル系塗り材に用いる水硬性組成物の材料設計においては、水引き時間、凝結・硬化時間、保水性に関する特性を適切にコントロールする検討が行われている。特に、水硬性モルタル系塗り材を床面に使用する場合には、水硬性モルタル表面の整形・補修の手直し作業を、硬化が進行過程にある水硬性モルタル系塗り材の上に載って作業することが必要になるため、これらの特性の制御がより重要となる。
速硬性を有する水硬性組成物として、特許文献1には、アルミナセメント、ポルトランドセメント、石膏及び高炉スラグよりなる水硬性成分と、リチウム塩とホウ酸化合物よりなる凝結調整剤と、減水剤と、増粘剤とからなる自己流動性水硬性組成物が開示されている。
また、速硬性を有する水硬性組成物であり、硬化時に表面の補修が可能な水硬性モルタルを製造可能な水硬性組成物として、特許文献2には、水硬性成分と、凝結調整剤とを含む水硬性組成物であり、水硬性成分は、水硬性成分100質量部中にアルミナセメントを10質量部以上含み、凝結調整剤は酒石酸塩及び重炭酸塩を含むことを特徴とする水硬性組成物が開示されている。
また、特許文献3には、速硬材/(ポルトランドセメント及びアルミナセメント混合物)の重量比が0.1〜25である混合材料77〜99重量部、無水石膏0.9〜18重量部及び消石灰0.1〜5重量部を含み、前記速硬材と(ポルトランドセメント及びアルミナセメント混合物)との混合材料、無水石膏及び消石灰の合計100重量部に対して、凝結調整剤0.01〜3重量部を含有することを特徴とする、超速硬性セメント組成物が開示されている。また、その超速硬性セメント組成物において、前記速硬材は、カルシウムフロロアルミネート系クリンカーを主成分とすることを特徴とする、超速硬性セメント組成物が開示されている。
特開2000−211961号公報 特開2006−298663号公報 特開2005−324982号公報
一般的に優れた速硬性を有する水硬性モルタルは、施工後に硬化を開始すると速やかに軽歩行が可能な状態となるのと同時並行して、硬化体の表面硬度が急激に高くなり、また硬化体表面の乾燥も速やかに進行する。このため、左官コテ等を用いて硬化体表面の研削や押さえなどの整形・補修作業を行う必要が生じたとしても、それらの作業を行うのに必要な補修作業時間はほとんどなく、実質的に補修作業を行うことは極めて困難である。
本発明は、水硬性モルタル施工後に軽歩行が可能となった後のモルタル硬化体表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるようにするための、優れた速硬性を有しつつ、硬化開始後に緩やかに硬化が進行し、その間にモルタル硬化体表面が適度な保水性を維持することのできる水硬性組成物及び水硬性モルタル並びにそれらを用いたコンクリート床構造体の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題に対し、速硬性を有するアルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を基本成分とし、特定の成分の微粒子を適正量添加することによって、優れた速硬性を有しつつ、硬化が開始した後、モルタル硬化体表面が適度な保水性を維持しながら緩やかに硬化が進行する特性を有し、軽歩行が可能となった後のモルタル硬化体表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できる水硬性組成物が得られることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分と、水酸化カルシウム微粉末と、フライアッシュ微粉末とを含む水硬性組成物である。
本発明の水硬性組成物の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)水硬性成分100質量部に対して、水酸化カルシウム微粉末が0.01〜1質量部であり、フライアッシュ微粉末が0.5〜5質量部である。
(2)水硬性成分100質量%中、アルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%である。
(3)細骨材と、流動化剤とをさらに含み、無機成分、凝結遅延剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分の少なくとも1種以上をさらに含み、水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルが、自己流動性を有する。
(4)凝結遅延剤が、有機酸及び/又は無機酸のナトリウム塩である。
(5)水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルの硬化体表面のショア硬度が、水硬性モルタルを施工して2時間後に10以上である。
(6)水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルの硬化体が、水硬性モルタルを施工後、65分〜120分の間に整形・補修作業が可能である。
また、本発明の第二は、上記水硬性組成物と、水とを混練して得られる水硬性モルタルである。
また、本発明の第三は、上記水硬性組成物を用いた水硬性モルタルの硬化体層を表層に有するコンクリート床構造体である。
本発明によって、優れた速硬性を有しつつ、硬化開始後に緩やかに硬化が進行し、その間にモルタル硬化体表面が適度な保水性を維持しているため、軽歩行が可能となった後のモルタル硬化体表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できる水硬性組成物及び水硬性モルタル並びにそれらを用いたコンクリート床構造体を得ることができる。
本発明の水硬性組成物は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分に加えて、水酸化カルシウム微粉末及びフライアッシュ微粉末の2成分を含むことにより、水硬性モルタルの硬化開始を速めつつ、一方で、初期の硬化過程の表面硬度の発現速度を小さくすることができる。そのため、本発明の水硬性組成物を用いた水硬性モルタルを施工した後、早期に軽歩行が可能となる速硬性を有しつつ、硬化が進行する過程での水硬性モルタル表面硬度の上昇が緩やかであり、軽歩行が可能になった後、整形・補修が可能な時間を長時間確保できる。したがって、水硬性モルタルの硬化初期段階では、水硬性モルタル表面は適度な水分を保水した状態を維持しているため、コテなどを用いて整形・補修作業を容易にかつ確実に行うことができる。
さらに、本発明の水硬性組成物を用いた水硬性モルタルは、硬化開始以降に整形や補修作業を行うに充分な時間が経過したのちは、硬化速度が上昇して早期に高い硬化体強度を発現することから、次工程へ速やかに移行でき、建設工事全体の効率化、工期短縮効果も有している。
以下、本発明の水硬性組成物について詳しく説明する。
<水硬性成分>
本発明の水硬性組成物は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分と、水酸化カルシウム微粉末と、フライアッシュ微粉末とを含む。
本発明の水硬性組成物では、水硬性成分として、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分を用いることが、優れた速硬性及び整形・補修の容易性を有する水硬性組成物が得られることから特に好ましい。したがって、本発明の水硬性組成物に対して、カルシウムフロロアルミネート系クリンカーなどのその他の水硬性成分を添加することは好ましくない。水硬性成分の組成は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏の合計質量を100質量%とした場合に、好ましくはアルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%である。また、水硬性成分の組成は、さらに好ましくはアルミナセメント25〜70質量%、ポルトランドセメント15〜60質量%及び石膏10〜40質量%である。また、水硬性成分の組成は、より好ましくはアルミナセメント30〜60質量%、ポルトランドセメント20〜50質量%及び石膏15〜35質量%である。また、水硬性成分の組成は、特に好ましくはアルミナセメント35〜45質量%、ポルトランドセメント30〜40質量%及び石膏20〜30質量%である。このような組成の水硬性組成物を用いることにより、自己流動性に優れる水硬性モルタルを得ることができ、さらに速硬性を有し、低収縮性又は低膨張性で硬化中の体積変化が少ない硬化体を得られやすいために好ましい。
本発明の水硬性組成物の水硬性成分の一つであるポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントなどのポルトランドセメントを用いることができる。また、本発明の水硬性組成物の水硬性成分として、ポルトランドセメントと他の成分を混合した混合セメント、例えば、高炉セメント、シリカセメント及びシリカヒュームセメントなどの混合セメントなどを用いることができる。
アルミナセメントとしては、鉱物組成の異なるものが数種知られ市販されているが、何れも主成分はモノカルシウムアルミネート(CA)であり、市販品はその種類によらず使用することができる。
石膏は、無水石膏、半水石膏及び2水石膏などの各種石膏が、その種を問わず、これら各種石膏のうちの1種又は2種以上の混合物として使用できる。石膏は、水硬性組成物と、水とを混練して得られる水硬性モルタルが硬化した後の寸法安定性を保持するという機能を有する成分である。
本発明で用いることができる無水石膏は、その製法について特に限定されるものではなく、天然無水石膏、フッ酸製造工程で副産されるフッ酸石膏(無水石膏)及び排煙脱硫過程で生成する排脱石膏(無水石膏)などを用いることができ、特に入手容易性、経済性及び環境対応の観点から、フッ酸石膏(無水石膏)を好適に用いることができる。
<水酸化カルシウム微粉末>
本発明の水硬性組成物に含まれる水酸化カルシウム微粉末は、初期の軽歩行可能となる水硬性モルタル表面硬度の発現時間を調整するという機能を有する成分である。水酸化カルシウム微粉末を水硬性成分に対して適正量を配合することによって、凝結促進剤として有効に機能し、水硬性モルタルを施工後、早期に施工表面を補修することができる水硬性組成物や水硬性モルタルを得ることができる。水酸化カルシウム微粉末の製造方法は、特に限定されるものではなく、市販のものを使用することができる。
本発明の水硬性組成物は、水硬性成分100質量部に対し、水酸化カルシウム微粉末を、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.8質量部、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部、特に好ましくは0.2〜0.3質量部含む。本発明の水硬性組成物中の水酸化カルシウム微粉末がこのような範囲であると、水硬性成分の水和初期段階において、適度な速硬性を付与することができ、水硬性モルタルの硬化開始から早期に軽歩行が可能となることから好ましい。水酸化カルシウム微粉末の添加量が、前記範囲より少ないと早期のモルタル硬化体表面硬度が得られず、また前記範囲を超えて添加すると硬化促進効果が過剰となり、モルタル硬化体表面を整形・補修するために充分な時間を確保しづらくなるという問題が生じる可能性があるため、水酸化カルシウム微粉末の添加量は上記の範囲が好ましい。
水酸化カルシウム微粉末としては、ブレーン比表面積5000〜30000cm/gの粉末、好ましくはブレーン比表面積10000〜25000cm/gの粉末、さらに好ましくはブレーン比表面積12000〜20000cm/gの粉末、特に好ましくはブレーン比表面積14000〜18000cm/gの粉末を主成分としていることが好ましい。なお、水酸化カルシウム微粉末のブレーン比表面積は、JIS・R−5201に規定される方法にて測定する。
本発明の水硬性組成物に含まれる水酸化カルシウム微粉末の粒子径範囲は、水酸化カルシウム微粉末100質量%中に、粒子径が1μmを超えて、48μm以下の粒子を80質量%以上含み、粒子径が1μmを超えて、4μm以下の粒子が20〜40質量%の範囲であり、粒子径4μmを超えて、12μm以下の粒子が25〜45質量%の範囲であり、粒子径12μmを超えて、48μm以下の粒子が20〜40質量%の範囲であることが好ましい。特に、本発明の水硬性組成物に含まれる水酸化カルシウム微粉末の粒子径範囲は、水酸化カルシウム微粉末100質量%中に、粒子径が1μmを超えて、48μm以下の粒子を90質量%以上含み、粒子径が1μmを超えて、4μm以下の粒子が28〜33質量%の範囲であり、粒子径4μmを超えて、12μm以下の粒子が33〜38質量%の範囲であり、粒子径12μmを超えて、48μm以下の粒子が25〜30質量%の範囲であることがさらに好ましい。本発明では、このような粒子径範囲の水酸化カルシウム微粉末を、水硬性組成物中に適正量含有させることによって、水硬性成分の水和初期段階において、緩やかな速硬性を付与することができ、モルタル硬化体表面の整形・補修作業に適した半硬化状態を確保することができる。なお、粒子径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行うことができる。
<フライアッシュ微粉末>
本発明の水硬性組成物に含まれるフライアッシュ微粉末は、硬化初期のモルタル硬化体表層の保水性を適正に長時間維持し、整形や補修が容易な施工表面を形成させる効果を付与できることから、保水性付与材として、水硬性成分に対して適正量のフライアッシュ微粉末を配合する。
本発明の水硬性組成物中のフライアッシュ微粉末の適正量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜4質量部、さらに好ましくは1.5〜3.5質量部、特に好ましくは2〜3質量部である。水硬性組成物中のフライアッシュ微粉末がこのような範囲であると、硬化開始初期のモルタル硬化体表面に適度な保水性を安定して維持できることから好ましい。
フライアッシュ微粉末としては、ブレーン比表面積2500〜7000cm/gの粉末、好ましくはブレーン比表面積2800〜6500cm/gの粉末、さらに好ましくはブレーン比表面積3000〜6000cm/gの粉末、特に好ましくはブレーン比表面積3300〜5500cm/gの粉末を主成分としていることが好ましい。なお、フライアッシュ微粉末のブレーン比表面積は、JIS・R−5201に規定される方法にて測定する。
本発明の水硬性組成物に含まれるフライアッシュ微粉末の粒子径範囲は、フライアッシュ微粉末100質量%中に、粒子径が2μmを超えて、48μm以下の粒子を80質量%以上含み、粒子径が2μmを超えて、12μm以下の粒子が30〜50質量%の範囲であり、粒子径が12μmを超えて、24μm以下の粒子が20〜40質量%の範囲であり、粒子径が24μmを超えて、48μm以下の粒子が15〜35質量%の範囲であることが好ましい。特に、本発明の水硬性組成物に含まれるフライアッシュ微粉末の粒子径範囲は、フライアッシュ微粉末100質量%中に、粒子径が2μmを超えて、48μm未満の粒子を90質量%以上含み、粒子径が2μmを超えて、12μm以下の粒子が38〜42質量%の範囲であり、粒子径が12μmを超えて、24μm以下の粒子が28〜32質量%の範囲であり、粒子径が24μmを超えて、48μm以下の粒子が22〜26質量%の範囲であることがさらに好ましい。本発明では、このような粒子径範囲のフライアッシュ微粉末を水硬性組成物中に適正量含有させることによって、硬化開始初期のモルタル硬化体表面に適度な保水性を安定して維持でき、良好な整形性・補修性を得ることができる。なお、粒子径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行うことができる。
本発明では、水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とを併せて用いることにより、早期に軽歩行が可能となる速硬性を有しつつ、軽歩行が可能となってから数十分の間、モルタル硬化体表面を適度に保水した状態を長く維持することができ、モルタル硬化体表面の整形・補修作業が容易に行うことができる。
<その他の任意成分>
本発明の水硬性組成物は、水硬性成分と、水酸化カルシウム微粉末と、フライアッシュ微粉末とに加え、細骨材と、流動化剤とを含むことが好ましい。また、さらに無機成分、凝結遅延剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分を少なくとも1種以上含み、本発明の水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルが、自己流動性を有することが好ましい。なお、本明細書で「自己流動性を有する」水硬性モルタルとは、後述するフロー値が、190mm以上の値である水硬性モルタルのことをいう。
<細骨材>
本発明の水硬性組成物は、細骨材を、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは50〜500質量部、より好ましくは100〜400質量部、さらに好ましくは150〜300質量部、特に好ましくは150〜250質量部含む。
細骨材としては、粒径2mm以下の骨材、好ましくは粒径0.075〜1.5mmの骨材、さらに好ましくは粒径0.1〜1.0mmの骨材、特に好ましくは0.15〜0.6mmの骨材を主成分としている。細骨材の粒径は、JIS・Z−8801で規定される、呼び寸法の異なる数個のふるいを用いる方法によって測定することができる。
細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂及び砕砂などの砂類、アルミナセメントクリンカー、シリカ粉、粘土鉱物、廃FCC触媒及び石灰石などの無機質材、ウレタン砕、EVAフォーム及び発砲樹脂などの樹脂粉砕物などを用いることができる。特に細骨材としては、砂類、石英粉末、石灰石砂及びアルミナセメントクリンカーなどが好ましく用いることができる。
<流動化剤>
本発明の水硬性組成物に対して流動化剤を添加することにより、本発明の水硬性組成物に自己流動性を付与することができる。そのため、本発明の水硬性組成物に対する流動化剤の添加は、施工の際の作業性を向上することができるため好ましい。
流動化剤としては、減水効果を合わせ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリエーテル系など、ポリエーテルポリカルボン酸系、リグニンスルホン酸系などが、その種類を問わず使用でき、これらの市販のものを使用できる。また、本発明では、これらの成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができ、特にポリカルボン酸系流動化剤と、リグニンスルホン酸系流動化剤とを併用して用いることが好適な流動特性を安定して得られることから好ましい。
流動化剤は、本発明の水硬性組成物に用いる水硬性成分に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。具体的には、本発明の水硬性組成物に対して、流動化剤を、水硬性成分100質量部に対し、0.01〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜3質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、特に好ましくは0.2〜1質量部添加する。添加量が、これらの範囲の下限値以上であれば、自己流動性向上について十分な効果が発現でき、また、これらの範囲の上限値以下であると添加量に見合った効果は期待することができるので経済であり、所要の流動性を得るための混練水量が増大することなく、同時に粘稠性も大きくならず、充填性が悪化することもないと考えられる。
<無機成分>
本発明の水硬性組成物は、無機成分として、高炉スラグ微粉末、石灰石粉、シリカヒュームから選ばれる少なくとも1種以上の無機成分を含み、特に高炉スラグ微粉末を含む。これらの無機成分を含むことにより、乾燥収縮による硬化体の耐クラック性を高めることができ、かつコストが低減でき、経済的である。
本発明の水硬性組成物に対して、無機成分の添加量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは70〜130質量部とすることが好ましい。
水硬性組成物において、無機成分が高炉スラグ微粉末である場合には、高炉スラグ微粉末の添加量は、水硬性成分100質量部に対し、好ましくは10〜350質量部、より好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは70〜130質量部とすることが好ましい。高炉スラグ微粉末の添加量が、これらの範囲の下限値以上であれば、硬化体の乾燥収縮が大きくなく適当な値となり、これらの範囲の上限値以下であると初期強度の低下を招くことがない。
高炉スラグ微粉末は、JIS A 6206に規定されるブレーン比表面積3000cm/g以上のものを用いることができる。
<凝結遅延剤>
本発明の水硬性組成物に添加する凝結遅延剤は、水硬性組成物に使用する水硬性成分及び水硬性成分以外の成分などに応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。また、凝結遅延剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択することによって、本発明の水硬性組成物の可使時間と速硬性とを調整することができる。水硬性組成物に対する凝結遅延剤の添加によって、セルフレベリング材(自己流動性モルタル)としての使用が非常に容易になるため好ましい。
凝結遅延剤としては、公知の凝結遅延剤を用いることができる。凝結遅延剤の一例として、酒石酸ナトリウム類(酒石酸一ナトリウム、酒石酸二ナトリウム)、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム類、グルコン酸ナトリウムなどのオキシカルボン酸類を代表とする有機酸やそのナトリウム塩、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムなどの無機ナトリウム塩類などを、それぞれの成分を単独で又は2種以上の成分を併用して用いることができる。特に、凝結遅延効果、入手容易性、価格の面から、凝結遅延剤が、有機酸及び/又は無機酸のナトリウム塩であることが好ましく、有機酸と無機酸のナトリウム塩を併用することがさらに好ましい。
オキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。オキシカルボン酸としては、例えばクエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸及びリンゴ酸などの脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸などの芳香族オキシ酸などを挙げることができる。
オキシカルボン酸の塩としては、例えばオキシカルボン酸のアルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩など)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩など)などを挙げることができる。
本発明の水硬性組成物に添加する凝結遅延剤は、水硬性組成物中の水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜1.5質量部の範囲、より好ましくは0.1〜1.2質量部の範囲、さらに好ましくは0.2〜1.0質量部の範囲、特に好ましくは0.3〜0.8質量部の範囲で用いることができる。凝結遅延剤の添加がこれらの範囲であると、好適な流動性が得られるとともに、硬化開始時間を大きく遅らせることなく硬化時の表面硬度の発現を緩やかにすることができ、軽歩行が可能なモルタル硬化体表面硬度が得られて以降の補修時間を充分に確保できることから好ましい。
<樹脂粉末>
本発明の水硬性組成物には、樹脂粉末を添加することが好ましい。樹脂粉末の添加により、本発明の水硬性組成物を用いた水硬性モルタルにおいて、乾燥によって発生する収縮応力がひび割れ発生に繋がる過程で、ひび割れの発生に対する抵抗性を向上することができる。
樹脂粉末としては、樹脂の粉末化方法などの製法については特に限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いることができる。特に、樹脂粉末としては、ブロッキング防止剤を、主に樹脂粉末の表面に付着しているものを好ましく用いることができる。具体的には、樹脂粉末は、水性ポリマーディスパーションを、噴霧やフリーズドライなどの方法によって溶媒を除去し、乾燥した再乳化型の樹脂粉末を用いることが好ましい。
樹脂粉末としては、酢酸ビニルエステル重合体樹脂系、エチレン/酢酸ビニルエステル共重合体樹脂系、アクリル酸エステル/酢酸ビニルエステル/バーサチック酸ビニルエステル共重合体樹脂系、アクリル酸エステル共重合体樹脂系、スチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂系、アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体樹脂系の再乳化形樹脂粉末を用いることができ、特に酢酸ビニルエステル/バーサチック酸ビニルエステル共重合体樹脂系またはアクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体樹脂系の再乳化形樹脂粉末を好適に用いることができる。
本発明の水硬性組成物に添加する樹脂粉末の粒子径は、315μmふるい上残分が3%以下、好ましくは300μmふるい上残分が3%以下、さらに好ましくは300μmふるい上残分が2%以下のものを好適に用いることができる。
本発明の水硬性組成物中の樹脂粉末の配合量は、水硬性組成物中の水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは0.6〜4.5質量部、さらに好ましくは0.7〜4質量部、特に好ましくは0.8〜3.5質量部とすることができる。
<増粘剤>
本発明の水硬性組成物に添加する増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを除く他のセルロース系、スターチエーテルなどの加工澱粉系、蛋白質系、ラテックス系及び水溶性ポリマー系などの増粘剤を併用して用いることができる。
本発明の水硬性組成物に対する増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.001〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1.5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、特に0.05〜0.8質量部含むことが好ましい。水硬性組成物に対する増粘剤の添加量が多くなると、水硬性モルタル粘度が増加して流動性の低下を招く恐れがあるために、上記の好ましい範囲で用いることが好ましい。
本発明の水硬性組成物において、増粘剤及び消泡剤を併用して用いることは、水硬性成分や細骨材などの骨材分離の抑制、気泡発生の抑制、硬化体表面の改善に好ましい効果を与え、水硬性組成物の硬化物の特性を向上させる上で好ましい。
<消泡剤>
本発明の水硬性組成物に添加する消泡剤は、シリコン系、アルコール系及びポリエーテル系などの合成物質、鉱物油系又は植物由来の天然物質など、公知のものを用いることができる。
本発明の水硬性組成物に対する消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜4質量部、さらに好ましくは0.05〜2.5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部、特に0.2〜1.5質量部含むことが好ましい。消泡剤の添加量が上記範囲内であると、好適な消泡効果が認められるために好ましい。
<その他の任意成分>
本発明の水硬性組成物では、乾燥クラックの防止・抑制効果をより高める場合などには、収縮低減剤及びシリコーンオイルなどを適宜選択して用いることができる。
<好適な成分構成>
本発明の水硬性組成物を構成する場合に、特に好適な成分構成は、アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分、水酸化カルシウム微粉末、フライアッシュ微粉末、硅砂などの細骨材、流動化剤、無機成分、凝結遅延剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤を含むものである。
さらに本発明の水硬性組成物中の水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末との配合割合を所定の値に調節し、本発明の水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルを施工して2時間後に、水硬性モルタル硬化体表面のショア硬度が10以上という値を得ることができるようにすることが好ましい。
施工後の水硬性モルタルが、優れた速硬性を有しつつ、硬化開始後に緩やかに硬化が進行し、その間にモルタル硬化体表面が適度な保水性を維持しているため、軽歩行が可能となった後のモルタル硬化体表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるようにするために、本発明の水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルの硬化体は、水硬性モルタルを施工後、65分〜120分の間に整形・補修作業が可能であることが好ましい。
また、施工後、軽歩行が可能となった後のモルタル硬化体表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるようにするために、施工に用いる水硬性モルタルは、上記の本発明の水硬性組成物と、水とを混練して得られるものであることが好ましい。
また、モルタル硬化体表面の整形・補修を容易にかつ確実に実施できるという優れた施工性を有するため、コンクリート床構造体は、上記の本発明の水硬性組成物を用いた水硬性モルタルの硬化体層を表層に有するものであることが好ましい。
<製造方法>
所定量の水硬性成分、水酸化カルシウム微粉末、フライアッシュ微粉末、無機成分、細骨材、流動化剤、無機成分、凝結遅延剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤などを混合機で混合することによって、本発明の水硬性組成物のプレミックス粉体を得ることができる。
本発明の水硬性組成物のプレミックス粉体は、所定量の水と混合・攪拌して、水硬性モルタルを製造することができ、その水硬性モルタルを施工・硬化させることによって水硬性組成物の硬化体を得ることができる。また、特に、その水硬性モルタルをコンクリート上に施工・硬化させることで、本発明の水硬性組成物を用いた水硬性モルタルの硬化体層を表層に有する水平レベル性に優れるコンクリート床構造体を得ることができる。
本発明の水硬性組成物は、水と混合・攪拌して水硬性モルタルを製造することができ、水の添加量を調整することにより、水硬性モルタルの流動性、可使時間、材料分離性、硬化体の強度などを調整することができる。本発明の水硬性組成物に対する水の添加量は、水硬性組成物100質量部に対し、好ましくは10〜36質量部、さらに好ましくは12〜32質量部、より好ましくは16〜28質量部、特に好ましくは20〜26質量部の範囲で添加して用いることが好ましい。
本発明の水硬性組成物は、水酸化カルシウム微粉末との配合割合を調節することにより、水と混合・攪拌して水硬性モルタルとした場合の、初期の軽歩行可能となる表面硬度発現時間を調整することができる。そのため、本発明の水硬性組成物を用いると、施工後早期に施工表面を補修することができる水硬性モルタルを得ることができる。
また、本発明の水硬性組成物は、さらに水硬性組成物中のフライアッシュ微粉末の配合割合を調節することにより、表層の保水性が維持され、補修が容易な施工表面を形成することができ、この状態を長く維持することができる水硬性モルタルを得ることができる。
本発明の水硬性組成物は、水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とを適正量配合することによって、施工後早期に施工表面を補修するのに充分な作業時間と、良好な整形性・補修性とを確保することができ、さらに整形・補修作業を行う時間が経過したのちは良好な速硬性を示し、水硬性モルタルを打設して2時間後には、好ましくはモルタル表面のショア硬度が10以上、特に好ましくは12以上のモルタル硬化体を得ることができる。
<用途>
本発明の水硬性組成物は、トンネルやシールドの裏込め、ダムの継ぎ目、橋梁のシュウ、構造物の補修や補強、鉄筋継手、機械基礎の固定及び下水道の補修などの土木・建築分野に用いることができる。
本発明の水硬性組成物は、学校、マンション、コンビニエンスストア、病院、ベランダ、工場、倉庫、駐車場、ガソリンスタンド、厨房及び屋上などの床下地材及び壁下地材などに用いることができる。
本発明の水硬性組成物は、流動化剤、凝結遅延剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤などを適正に配合することにより、優れた自己流動性(セルフレベリング性)を付与することができ、セルフレベリング材として用いる場合は、学校、マンション、コンビニエンスストア、病院、ベランダ、工場、倉庫、駐車場、ガソリンスタンド、厨房及び屋上などの床下地を形成するセルフレベリング材として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
(1)水硬性モルタルの評価:
評価に用いる水硬性モルタルは、水硬性組成物と、水とを混練して調製した混練直後の水硬性モルタルを用いる。
・セルフレベリング性(自己流動性):フロー値及びSL値
フロー値は、JASS・15M−103に準拠して測定した。すなわち、厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100ml)を置き、練り混ぜた水硬性モルタルを充填した後、パイプを引き上げた。水硬性モルタルの広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とした。
SL値の測定には、図1に示すSL測定器を使用した。SL測定器は、幅30mm×高さ30mm×長さ750mmのレール及びレールの先端より長さ150mmのところに堰板を設けた構造である。混練直後の水硬性モルタルを、レールの先端と堰板との間に所定量満たすことにより、水硬性モルタルを成形した。水硬性モルタル成形直後に堰板を引き上げて、水硬性モルタルの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)から水硬性モルタルの流れの先端の最も標点に近い部分(最短部)までの距離を測定し、その値(SL値)をL0とした。同様に成形後5分後に堰板を引き上げて、水硬性モルタルの流れの停止後に、標点(堰板の設置部)から水硬性モルタルの流れの最短部までの距離を測定し、その値(SL値)をL5とした。
(2)水引き時間
調製した水硬性モルタルを、13cm×19cmの樹脂製の型枠へ厚さ10mmで流し込んだ後、凝結開始に伴い水硬性モルタル表面水が消失(光の反射が失われ曇った状態)した時間を水引き時間とした。水硬性モルタル硬化体表面の状態は、目視により評価した。
(3)整形性・補修性評価
上記の水引き時間を測定したサンプルを用いて、コテを使用した整形性・補修性を評価した。水硬性モルタル表面の水引き後、コテを試料表面に押し当てた時に硬化した水硬性モルタルがコテに付着しなくなる時間を補修開始時間とし、その後の作業性を評価した。コテ押さえの繰り返しにより水浮きが多く発生する場合は補修作業が容易となり、高得点となる。評価は5段階で、5点が最も高い評価とした。なお、補修終了時間は、モルタル硬化体表面のショア硬度=15とし、補修開始から補修終了の時間を補修可能時間とした。なお、コテ押さえの繰返しによる水浮きとは、モルタル硬化体層の表層を、繰返しコテ押さえを行った時に、モルタルが遊離水を含んだ状態になることをいう。
(4)モルタル硬化体表面のショア硬度
水硬性モルタル打設後からの所定の経過時間において、硬化した表面の硬度をスプリング式硬度計タイプD型((株)上島製作所製)を用いて、任意の3〜5カ所の表面硬度を測定し、そのスプリング式硬度計の読み取り値の平均値をその時間のモルタル表面のショア硬度とした。
(5)硬化体表面の仕上り状態
上記サンプルにおいて、硬化後材齢24時間で、補修を加えていない部分の表面仕上りを目視などで観察することで評価した。評価は5段階評価とし、5点が最も高い評価とした。
実施例及び比較例の原料は、以下のものを使用した。
1)水硬性成分
・アルミナセメント(フォンジュ、ケルネオス社製、ブレーン比表面積3100cm/g)。
・ポルトランドセメント(早強セメント、宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積4500cm/g)。
・石膏:II型無水石膏(旭硝子社製、ブレーン比表面積3600cm/g)。
2)水酸化カルシウム微粉末(宇部マテリアルズ社製、ブレーン比表面積16020cm/g、平均粒子径=7.0μm、粒子径分布を表3に示す。なお、粒子径の測定は、下記のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行った。)。
一般名 : レーザー回折・散乱式粒度分布測定器
メーカー: 株式会社 セイシン企業
製品名 : レーザー・マイクロン・サイザー
型式 : LMS−30
3)フライアッシュ(常磐フライアッシュ、常磐火力産業製、ブレーン比表面積3660cm/g、平均粒子径=14.6μm、粒子径分布を表3に示す。なお、粒子径の測定は、水酸化カルシウム微粉末の場合と同様に、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行った。)。
4)細骨材
・珪砂:6号珪砂。
5)流動化剤
・流動化剤A:ポリカルボン酸系流動化剤(花王社製)。
・流動化剤B:リグニンスルホン酸カルシウム系流動化剤(BASFポゾリス社製)。
6)無機成分
・高炉スラグ微粉末(リバーメント、千葉リバーメント社製、ブレーン比表面積4400cm/g)。
7)凝結遅延剤
・グルコン酸ナトリウム(富田製薬社製)。
・ポリリン酸ナトリウム(オルガノ社製)。
・トリポリリン酸ナトリウム(太洋化学工業社製)。
8)増粘剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース系増粘剤(マーポローズ65MP−400、松本油脂社製)。
9)消泡剤:ポリエーテル系消泡剤(ADEKA社製)。
10)粉末樹脂:酢酸ビニルエステル/バーサチック酸ビニルエステルの共重合体(ニチゴー・モビニール社製)。
<実施例1、比較例1及び2>
表1に示す水硬性成分、細骨材、流動化剤、無機成分、凝結調整剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤(総量:1.5kg)を、ケミスタラーを用いて混練して水硬性組成物を調製し、さらに水360gを加えて3分間混練して、水硬性モルタルを得た。水硬性組成物及び水硬性モルタルの調製及び養生は、全て、温度20℃、湿度65%の雰囲気下で行った。
上記の調製、混練及び養生によって得られた水硬性モルタルを用いて、セルフレベリング性、水引き時間、整形・補修性、ショア硬度及び硬化体表面仕上り状態の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0004840384
Figure 0004840384
Figure 0004840384
比較例1に示すように、水硬性組成物に対して水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とが共に無添加の場合には、水硬性モルタルの凝結開始に伴う水引きが遅く、水引き後の水硬性モルタルの表層も脆弱なため、硬化材料が剥離付着することで軽歩行が難しく、補修作業も困難であった。
また、比較例2に示すように、水硬性組成物に対して水酸化カルシウム微粉末のみ添加し、フライアッシュ微粉末が無添加である場合には、水硬性モルタルの凝結が速く水引きまでの時間は早く、早期の軽歩行が可能となり補修作業も早期に可能となるが、整形や補修が可能な時間が30分間と短く、実用上充分な作業時間を確保できなかった。
これらに対して実施例1に示すように、水酸化カルシウム微粉末とフライアッシュ微粉末とが共に適切な添加量であった場合には、早期に軽歩行が可能となる凝結促進効果と、実現場での補修作業に充分な時間(55分間)との両方が確保されるとともに、良好な整形・補修作業性を得ることができた。
本発明の水硬性組成物を用いた水硬性モルタルは、速硬性を有しつつ硬化開始後に緩やかに硬化が進行し、その間にモルタル硬化体表面が適度な保水性を維持するため、軽歩行が可能となる。そのため、水硬性モルタルの硬化開始初期において、モルタル硬化体表面の表面整形・補修を容易にかつ確実に実施することができる。
SL測定器を用いた、水硬性モルタルのセルフレベリング性評価の概略を示す模式図である。

Claims (3)

  1. アルミナセメント、ポルトランドセメント及び石膏からなる水硬性成分と、水酸化カルシウム微粉末と、フライアッシュ微粉末とを含み、
    ポルトランドセメントが、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントからなる群より選ばれる少なくとも1種のポルトランドセメントであり、
    水硬性成分100質量部に対して、水酸化カルシウム微粉末が0.01〜1質量部であり、フライアッシュ微粉末が0.5〜5質量部であり、
    水硬性成分100質量%中、アルミナセメント20〜80質量%、ポルトランドセメント5〜70質量%及び石膏5〜45質量%であり、
    細骨材と、流動化剤とをさらに含み、
    無機成分、有機酸及び/又は無機酸のナトリウム塩である凝結遅延剤、樹脂粉末、増粘剤及び消泡剤から選ばれる成分の少なくとも1種以上をさらに含み、
    水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルが、自己流動性を有し
    水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルの硬化体表面のショア硬度が、水硬性モルタルを施工して2時間後に10以上であり、
    水硬性組成物と、水とを混練して調製した水硬性モルタルの硬化体表面が、水硬性モルタルを施工後、65分〜120分の間に整形・補修作業が可能である水硬性組成物。
  2. 請求項記載の水硬性組成物と、水とを混練して得られる水硬性モルタル。
  3. 請求項記載の水硬性モルタルの硬化体層を表層に有するコンクリート床構造体。
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