JP5910156B2 - 耐酸水硬性組成物、モルタル組成物及びモルタル硬化体 - Google Patents

耐酸水硬性組成物、モルタル組成物及びモルタル硬化体 Download PDF

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Description

本発明は、下水処理施設、農業集落廃水施設、及び温泉排水施設などの腐食環境下にある土木・建築施設などのコンクリート構造物の建設、改修、及び補修に好適に使用することが可能な耐酸水硬性組成物に関する。
下水処理場、汚泥処理場、下水管渠などの下水処理施設等では、廃水中に含まれる硫酸塩や有機酸が、硫酸塩還元菌によって分解されて硫化水素が発生する。その硫化水素は、下水処理施設等で用いられているコンクリート構造物の内壁表面に生息する硫黄酸化菌によって硫酸に変化する。硫酸がそのまま内壁表面に留まると、コンクリート構造物の内壁表面が硫酸酸性雰囲気に曝され続けることとなり、コンクリートの溶出すなわち腐食が発生する。
コンクリート構造物の腐食が進むと、下水の漏洩に繋がることはもとより、施設そのものの崩壊に繋がりかねないことから、コンクリート構造物の腐食の抑制は、下水道の発達した都市における重要な課題となっている。このような状況下において、種々の腐食抑制方法が提案されている。
例えば、耐酸性セメントを使用したモルタル、抗菌剤混入モルタル、超微粉スラグ混入モルタル等、構成成分によって耐腐食性を高める手法が既に知られており、そのような手法を利用した製品が市場に出ているものの、その耐酸性は十分に高いものではない。
一方、耐酸性材料で防食被覆するライニング工法は、高い効果を有するものの、施工欠陥を生じ易く、且つ耐摩耗性に弱いため、容易に孔が開いてしまう。このため、所望の防食効果を持続させることが通常困難である。また、施工期間及び技術に制約があり、費用も嵩むという欠点がある。
従来から、主成分としてアルミナセメント系材料を含む耐酸性能を有する種々の材料が提案されている。例えば、特許文献1では、アルミナセメント20〜90重量%及びブレーン3000〜15000cm/gのスラグ粉末10〜80重量%からなる混合物に、保水剤、遅延剤等を使用することによって、耐酸性及び硬化体表面での脆弱性を改善した水硬性組成物が提案されている。
特許文献2では、アルミナセメントとアルミナセメントクリンカー骨材とを必須成分とする腐食環境施設用モルタル組成物が提案されている。特許文献3では、アルミナセメント、アルミナセメントクリンカー骨材および製鋼ダストを含有することで、耐酸性、接着性を改善した耐酸性セメント組成物が提案されている。特許文献4では、カルシウムアルミネート系化合物と高炉フュームとを含有することで、カルシウムアルミネート系化合物のコンバージョンの防止に効果を有し、耐酸性が向上するセメント組成物が提案されている。
特許文献5では、カルシウムアルミネート系化合物と高炉水砕スラグ微粉末を含有するモルタル又はコンクリート表面に、有機−無機複合型塗膜養生剤をコーティングすることで、耐酸性とひび割れ抵抗性を併せ持ち、塗膜層の腫れや剥がれを抑制することが可能な防食性複合体が提案されている。
特許文献6には、アルミナセメント100質量部に対してアルミナセメントクリンカ20〜330質量部、及びホルマイト系粘土鉱物0.1〜5.0質量部を含むことで、鏝塗り作業性を改善した耐酸性モルタル組成物が提案されている。
特開2003−192423号公報 特開2003−261372号公報 特開2004−292245号公報 特開2006−151733号公報 特開2007−001803号公報 特開2007−070153号公報
しかしながら、従来のセメント組成物やモルタル組成物は、耐酸性を高めたものであっても、強度発現性及び接着性が必ずしも十分でなかった。また、耐酸性を高めるほど材料コストが高くなることから、極めて高い耐酸性が要求されない施設では、必要以上に施工費が高くなる問題があった。このため、コンクリート構造物の長期耐久性向上の観点、及びコンクリート構造物のライフサイクルコスト低減の観点から、低コストで適度な耐腐食性を有するモルタル硬化体、及びそのようなモルタル硬化体を形成することが可能であるとともに、優れた強度発現性及び接着性を有する水硬性組成物及びモルタル組成物が求められている。
そこで、本発明は、低コストで適度な耐腐食性(特に耐酸性)及び優れた接着性を有するモルタル硬化体を形成可能で、且つ優れた強度発現性を有するモルタル組成物、及びそのようなモルタル組成物を調製することが可能な耐酸水硬性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、低コストで適度な耐腐食性(特に耐酸性)を有するモルタル硬化体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者らは、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、細骨材及びギ酸カルシウムを含み、該細骨材がアルミナセメントクリンカー骨材を含む耐酸水硬性組成物を用いることによって、低コストで耐酸性、強度発現性、及び接着性に優れたモルタル組成物及びモルタル硬化体が得られることを見出し、本発明に完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、細骨材及びギ酸カルシウムを含む耐酸水硬性組成物であって、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、2000〜10000cm/gの範囲であり、細骨材は最大粒子径が1.2mm以下のアルミナセメントクリンカー骨材を含む、耐酸水硬性組成物を提供する。
本発明の耐酸水硬性組成物によれば、優れた強度発現性を有するモルタル組成物を調製することができる。また、低コストで適度な耐腐食性(特に耐酸性)及び優れた接着性を有するモルタル硬化体を形成することができる。つまり、本発明の耐酸水硬性組成物と水とを配合し混練してモルタル組成物を調製し、これをコンクリート構造物の表面に施工し、硬化させて一体化することで、適度な耐腐食性及び優れた接着性を有するコンクリート構造物を得ることができる。このようなコンクリート構造物は、優れた長期耐久性を有する。
本発明の耐酸水硬性組成物の好ましい態様[(1)〜(3)]を以下に示す。本発明
では、これらの態様を適宜組み合わせることがより好ましい。
(1)本発明の耐酸水硬性組成物は、ポルトランドセメント100質量部に対し、高炉スラグ微粉末100〜500質量部含むことが好ましい。これによって、一層優れた耐腐食性及び接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。また、一層優れた強度発現性を有するモルタル組成物を得ることができる。
(2)本発明の耐酸水硬性組成物は、ポルトランドセメント100質量部に対して、前記ギ酸カルシウム0.3〜1.5質量部含むことが好ましい。これによって、一層優れた耐酸性及び接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。また、一層優れた強度発現性を有するモルタル組成物を得ることができる。
(3)本発明の耐酸水硬性組成物は、細骨材100質量%中にアルミナセメントクリンカー骨材10〜30質量%含むことが好ましい。これによって、一層優れた耐腐食性及び接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。また、一層優れた強度発現性を有するモルタル組成物を得ることができる。
本発明では、また上述の耐酸水硬性組成物と水とを含有するモルタル組成物を提供する。本発明のモルタル組成物は、上記特徴を有する耐酸水硬性組成物を含有することから、優れた強度発現性及び優れた接着性を有しており、また、適度な耐腐食性を有するモルタル硬化体を形成することができる。
本発明のモルタル組成物は、合成樹脂エマルジョンを含むことが好ましい。これによって、一層優れた耐酸性及び接着性を有するモルタル硬化体を得ることができる。
本発明では、また上述のモルタル組成物を硬化して得られるモルタル硬化体を提供する。本発明のモルタル硬化体は、上記特徴を有する耐酸水硬性組成物及びモルタル組成物を含有することから、適度な耐腐食性及び優れた接着性を有する。
本発明によれば、低コストで適度な耐腐食性(特に耐酸性)及び優れた接着性を有するモルタル硬化体を形成可能で、且つ優れた強度発現性を有するモルタル組成物、及びそのようなモルタル組成物を調製することが可能な耐酸水硬性組成物を提供することができる。また、上述の耐酸水硬性組成物及びモルタル組成物を用いることによって、適度な耐腐食性(特に耐酸性)及び優れた接着性を有するモルタル硬化体を提供することができる。
本発明のモルタル硬化体は、接着性に優れていることからコンクリート構造物と一体化することで、長期耐久性の向上及びライフサイクルコストの低減などに寄与する。また、本発明のモルタル組成物は、強度発現性に優れていることから、施工期間を短縮することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態の耐酸水硬性組成物は、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、細骨材及びギ酸カルシウムを含み、該細骨材がアルミナセメントクリンカー骨材を含む。なお、耐酸水硬性組成物は、適度な耐酸性を有する水硬性組成物である。以下、各成分について詳細に説明する。
ポルトランドセメントは、水硬性材料として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。これらのなかでも、JIS R 5201:2009「ポルトランドセメント」で規定されるポルトランドセメントを用いることが好ましい。また、強度発現性の観点から、早強ポルトランドセメント又は超早強ポルトランドセメントの使用が好ましい。
本実施形態の耐酸水硬性組成物におけるポルトランドセメントの含有量は、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは9〜16質量%である。
高炉スラグ微粉末は、セメント混和材として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。これらのなかでも、JIS A 6206:1997「コンクリート用高炉スラグ微粉末」で規定される高炉スラグ微粉末を用いることが好ましい。高炉スラグは、潜在水硬性による硬化体強度を向上させる。上述の高炉スラグ微粉末を用いることによって、化学的反応性、特に耐酸性に優れたモルタル硬化体を形成することができる。
本実施形態の耐酸水硬性組成物における高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、2000〜10000cm/gの範囲であり、好ましくは3000〜9000cm/gの範囲であり、より好ましくは4000〜8500cm/gの範囲である。
高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積が上記所定の範囲であることにより、耐酸性や強度発現性を一層向上させることができる。ブレーン比表面積が所定の範囲より大きくなると、耐酸性は向上する傾向にあるものの、鏝塗り作業性が低下する傾向、クラックが発生する傾向にある。一方、ブレーン比表面積が所定の範囲より小さくなると、十分に優れた耐酸性や強度発現性が得られ難くなる傾向にある。したがって、所定のブレーン比表面積を有することによって、一層優れた特性を有するモルタル組成物及びモルタル硬化体を得ることができる。
高炉スラグ微粉末の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、好ましくは100〜500質量部であり、より好ましくは150〜450質量部であり、さらに好ましくは200〜400質量部である。
高炉スラグ微粉末の含有量を、上記範囲に調整することにより、耐酸性及び初期強度発現性を一層向上することができる。
本実施形態の耐酸水硬性組成物における細骨材は、細骨材全体に対し、粒子径1180μm以上の粒子の質量割合が20質量%未満のものが好ましく、且つ粒子径75μm未満の粒子の質量割合が15質量%以下のものが好ましい。細骨材の粒子径は、JIS Z 8801−1:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩いを用いて測定することができる。また、本明細書において、「粒子径1180μm以上の粒子の質量割合」とは、篩目1180μmの篩いを用いたときの篩上残分の粒子の質量割合のことをいう。
細骨材中に1180μm以上の粒子径を有する粗粒分を20質量%以上含む場合、耐酸水硬性組成物の鏝塗り作業性が低下する傾向にある。上記粗粒分の下限値に特に制限はなく、0質量%であってもよい。優れた鏝塗り作業性を得るため、細骨材中の粗粒分は、
好ましくは0〜20質量%であり、
より好ましくは0〜15質量%であり、
さらに好ましくは0.5〜10質量%であり、
特に好ましくは1〜8質量%である。
細骨材中に75μm未満の粒子径を有する微粒分を15質量%超えて含む場合、耐酸水硬性組成物の鏝塗り作業性が低下する傾向にある。上記微粒分の下限値に特に制限はなく、0質量%であってもよい。優れた鏝塗り作業性を得るため、細骨材中の粗粒分は、
好ましくは0〜15質量%であり、
より好ましくは1〜13質量%であり、
さらに好ましくは3〜10質量%であり、
特に好ましくは4〜8質量%である。
細骨材の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、
好ましくは200〜600質量部であり、
より好ましくは250〜550質量部であり、
さらに好ましくは280〜520質量部であり、
特に好ましくは300〜500質量部である。
細骨材の含有量を上記範囲に調整することにより、鏝塗り作業性を良好にしつつ、強度を一層向上することができる。
また、細骨材はアルミナセメントクリンカー骨材を含む。細骨材は、細骨材100質量%中に、アルミナセメントクリンカー骨材を10〜30質量%含むことが好ましく、15〜25質量%含むことがより好ましく、19〜23質量%含むことがさらに好ましい。
細骨材中のアルミナセメントクリンカー骨材の含有量が少なすぎる場合、適度な耐酸性が得られ難くなる場合があり、含有量が多すぎる場合、耐酸性の効果よりも材料コスト上昇の影響が大きくなる傾向、及び鏝塗り作業の作業性が低下する傾向にある。
アルミナセメントクリンカー骨材の最大粒子径は1.2mm以下であり、好ましくは1.0mm以下である。これによって、吹き付け作業性や鏝塗り作業性をより向上することができる。アルミナセメントクリンカー骨材の粒子径は、JIS Z 8801−1:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩を用いて測定することができる。
アルミナセメントクリンカー骨材を除く細骨材として、例えば、珪砂、川砂、陸砂、海砂、砕砂等の砂類から選択したものを好適に用いることができる。
ギ酸カルシウムは、凝結促進剤として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。ギ酸カルシウムの含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、好ましくは0.3〜1.5質量部であり、より好ましくは0.5〜1.3質量部であり、さらに好ましくは0.6〜1.1質量部である。
ギ酸カルシウムの含有量を上記範囲に調整することにより、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、アルミナセメントクリンカー骨材の水和を促進し、強度発現性及び耐酸性を一層向上することができる。
本実施形態に係る耐酸水硬性組成物に、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、アルミナセメントクリンカー骨材を含む細骨材及びギ酸カルシウムを上述の好ましい範囲で併用することによって、モルタル組成物の強度発現性を十分に向上し、耐酸性及び接着性に一層優れたモルタル硬化体を形成することができる。
本実施形態の耐酸水硬性組成物は、上述の必須成分に加えて、必要に応じて膨張材、粘土鉱物、流動化剤、凝結遅延剤、増粘剤、合成樹脂繊維、及び合成樹脂エマルジョン等を含んでもよい。
膨張材は、本実施形態の耐酸水硬性組成物の特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。膨張材を用いることによって、モルタル硬化体形成過程の収縮量を調整することができる。
膨張材としては、生石灰を主成分とし主に水酸化カルシウムを生成する生石灰系、主にエトリンガイトを生成する生石灰−石膏系膨張材、石膏を主成分とする石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材などを用いることができる。このうち、取り扱い易さの点から、生石灰−石膏系膨張材を好ましく用いることができる。
膨張材の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは15〜50質量部であり、より好ましくは17〜40質量部であり、さらに好ましくは19〜35質量部である。
膨張材の添加量を上述の範囲に調整することにより、モルタル硬化体に好ましい膨張効果を付与することができる。
粘土鉱物は、本実施形態の耐酸水硬性組成物の特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。粘土鉱物を用いることによって、鏝塗り作業性や吹き付け作業性を調整することができる。
粘土鉱物は、例えば鏝塗り作業において、モルタル組成物と鏝との摩擦を適度に低減する作用を有する。また、吹き付け作業において、モルタル組成物とホース内壁との摩擦を適度に低減する作用を有する。粘土鉱物としては、ケイ酸塩鉱物に属するカオリナイト、モンモリロナイト、セリサイト、クロライト、タルクなどを用いることができる。このうち、モンモリロナイトに似た繊維状粘土鉱物のアタパルジャイトを好ましく用いることができる。
粘土鉱物の最大粒子径は200μm以下であり、好ましくは150μm以下である。これによって、吹き付け作業性や鏝塗り作業性をより向上することができるので好ましい。粘土鉱物の粒子径は、JIS Z 8801−1:2006に規定される呼び寸法の異なる数個の篩を用いて測定することができる。
粘土鉱物の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは0.5〜9質量部であり、より好ましくは1.5〜7質量部であり、さらに好ましくは2〜6質量部である。
粘土鉱物の添加量を上述の範囲に調整することにより、好ましい摩擦低減付与効果を得ることができる。また、鏝塗り作業性や吹き付け作業性を良好にすることができる。
流動化剤は、本発明の特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。耐酸水硬性組成物における流動化剤の添加量を適宜調整すれば、耐酸水硬性組成物と水とを混練して調製されるモルタル組成物のフロー値を調整することができる。
流動化剤は、減水効果、好適な流動性を併せ持つ、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系及びポリエーテルカルボン酸などの市販の流動化剤から選択することができる。本実施形態の耐酸水硬性組成物に含まれる流動化剤としては、特にポリエーテル系、ポリエーテルカルボン酸などの市販の流動化剤を用いることが好ましい。耐酸性を保ちつつ所定の流動性を付与する観点から、流動化剤はポリカルボン酸エステルを含むことが好ましい。
流動化剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは0.01〜1.00質量部、より好ましくは0.10〜0.50質量部、さらに好ましくは0.15〜0.45質量部、特に好ましくは0.18〜0.42質量部である。
流動化剤の添加量を上述の範囲に調整することにより、好ましい流動性を付与することができ、鏝塗り作業性や吹き付け作業性を良好にすることができる。
凝結遅延剤は、本発明の特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、可使時間(鏝塗り作業又は吹き付け作業可能時間)を調整することができる。
凝結遅延剤としては、公知の凝結を遅延する成分を用いることができる。一例として、オキシカルボン酸類等の有機酸や、グルコース、マルトース、デキストリン等の糖類、重炭酸ナトリウムやリン酸ナトリウム等を用いることができる。
オキシカルボン酸類は、オキシカルボン酸及びこれらの塩を含む。オキシカルボン酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸等の脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロパ酸等の芳香族オキシ酸を挙げることができる。
オキシカルボン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩(具体的にはナトリウム塩及びカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(具体的にはカルシウム塩、バリウム塩及びマグネシウム塩等)を挙げることができ、ナトリウム塩がより好ましい。
凝結遅延剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは0.05〜1.00質量部であり、より好ましくは0.10〜0.50質量部であり、さらに好ましくは0.15〜0.35質量部であり、特に好ましくは0.18〜0.32質量部である。
凝結遅延剤の添加量を上述の範囲に調整することにより、好適な可使時間(鏝塗り作業又は吹き付け作業可能時間)を確保することができる。
増粘剤は、本発明の特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、粘性や保水性を調製することができる。
増粘剤としては、公知のものを用いることができる。なかでも、価格や入手のし易さの点でセルロース系増粘剤を用いることが好ましい。セルロース系増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、グリオキザール付加ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシルエチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体を含む増粘剤を挙げることができ、なかでもヒドロキシエチルメチルセルロース系増粘剤が好ましい。
増粘剤の20℃における2質量%水溶液の粘度は、好ましくは2000〜10000mPa・sであり、より好ましくは3000〜9000mPa・sであり、更に好ましくは4000〜8500mPa・sであり、特に好ましくは5500〜8000mPa・sである。
なお、増粘剤の粘度は、増粘剤の2質量%水溶液を、B型粘度計(東機産業社製デジタル粘度計 DVL−B形)を用い、回転速度12rpm、ロータNo.3、20℃の条件で測定した値である。
増粘剤の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.20質量部であり、より好ましくは0.02〜0.15質量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.12質量部であり、特に好ましくは0.06〜0.11質量部である。
増粘剤の添加量を上述の範囲に調整することにより、好ましい粘性や保水性を得ることができ、鏝塗り作業性や吹き付け作業性を良好にすることができる。
合成樹脂繊維は、本発明の特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。合成樹脂繊維は、鏝塗り作業性向上、及びモルタル硬化体の耐クラック性向上の作用を有する。
合成樹脂繊維としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニロン及びポリ塩化ビニル等の合成樹脂成分からなるものを用いることができる。合成樹脂繊維は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
合成樹脂繊維の繊維長は、耐酸水硬性組成物との混合時のハンドリング性やモルタル組成物中での分散性向上、及びモルタル硬化体の特性向上の点から、好ましくは0.5〜15.0mmであり、より好ましくは1.0〜12.0mmであり、さらに好ましくは2.0〜8.0mmであり、特に好ましくは2.5〜7.0mmである。
合成樹脂繊維の添加量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、好ましくは1.00〜3.00質量部であり、より好ましくは1.20〜2.80質量部であり、さらに好ましくは1.50〜2.60質量部であり、特に好ましくは1.60〜2.55質量部である。
合成樹脂繊維の繊維長及び添加量を上述の範囲に調整することにより、鏝塗り作業性の向上やモルタル硬化体の耐クラック性を向上することができる。
合成樹脂エマルジョンは、本発明の特性を損なわない範囲で適宜添加することができる。合成樹脂エマルジョンは、コンクリートとの接着性や耐酸性を向上する作用を有する。ここで、合成樹脂エマルジョンとは、合成樹脂粒子が水又は含水溶媒に乳化分散されたものをいう。
合成樹脂エマルジョンは、含まれる合成樹脂成分のガラス転移温度(Tg)が好ましくは−20℃以上、より好ましくは−15℃以上、さらに好ましくは−10℃以上である。このような合成樹脂エマルジョンを用いると、コンクリート下地が湿潤状態であっても優れた接着性を有し、また作業性も良好となる。
合成樹脂エマルジョンに含まれる合成樹脂成分のガラス転移温度(Tg)は、ガラス板の上にエマルジョンを適量滴下して、乾燥して乾燥塗膜を得た後、示差走査熱量計を用い下記の条件で測定することにより測定することができる。具体的には、まず、乾燥塗膜を室温から150℃まで10分間で昇温する条件で加熱し、150℃で10分間保持した後に、計算で得られた試料のTgより50℃低い温度まで温度を下げる。温度が下がったら、再度150℃まで10分間で昇温する。その過程で1回目のガラス転移温度(Tg)を測定し、次に1回目で測定したTgより50℃低い温度まで下げる過程で、2回目のTgの測定を行い、この2回目のTgの測定値を合成樹脂エマルジョンのガラス転移温度とする。
合成樹脂エマルジョンとしては、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョンなどの公知の建築材料用エマルジョンを用いることができる。すなわち、合成樹脂エマルジョンの合成樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、エチレン、酢酸ビニルなどのα−オレフィン化合物、スチレンなどのビニル化合物、ブタジエンなどの重合成分の重合体又は共重合体を用いることができる。
合成樹脂エマルジョンとしては、耐酸性の観点から、アクリル系エマルジョンが好ましい。アクリル系エマルジョンとしては、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル;(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸誘導体の重合体;(メタ)アクリル酸誘導体とスチレンとの重合体などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
合成樹脂エマルジョンの添加量は、耐酸水硬性組成物の粉体部100質量部に対し、固形分量に換算して、好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは1.5〜7質量部であり、さらに好ましくは2〜6質量部特に好ましくは2.5〜5質量部である。
なお、合成樹脂エマルジョンの固形分量とは、合成樹脂エマルジョン中の水分を蒸発させて残った合成樹脂エマルジョン中の固形分の質量である。合成樹脂エマルジョンから固形分を差し引いたものを合成樹脂エマルジョン中の水分とする。また、高耐酸水硬性組成物の粉体部とは、高耐酸水硬性組成物が液状の成分を含む場合に、液体成分を除いた粉体部分のことをいう。高耐酸水硬性組成物が液状の成分を含まず粉体成分のみからなる場合には、高耐酸水硬性組成物の粉体部とは、高耐酸水硬性組成物全体を意味することとなる。
合成樹脂エマルジョンの添加量を上述の範囲に調整することにより、コンクリートとの接着性や耐酸性を一層向上することができる。
次に、本発明のモルタル組成物の好適な実施形態を説明する。本実施形態のモルタル組成物は、上述の耐酸水硬性組成物と水とを配合して混練することにより調製することができる。ここで、水の配合量を適宜変更することにより、モルタル組成物のフロー値及び単位容積質量を調整することができる。したがって、用途に適したモルタル組成物を調製することができる。ここで、フロー値とは、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の試験方法に準拠して測定される値であり、単位容積質量とは、JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の試験方法に準拠して測定される値(単位:kg/L)である。
水の配合量は、耐酸水硬性組成物の粉体部100質量部に対し、
好ましくは2〜20質量部であり、
より好ましくは4〜18質量部であり、
さらに好ましくは8〜16質量部であり、
特に好ましくは9〜13質量部である。
モルタル組成物が合成樹脂エマルジョンを含有する場合、水の配合量は、合成樹脂エマルジョン中の水分の量を考慮する必要がある。したがって、配合する水と合成樹脂エマルジョン中の水分の合計量が、上述の好ましい水の配合量となるように調整する。
本実施形態のモルタル組成物のフロー値は、
好ましくは155〜210mmであり、
より好ましくは160〜200mmであり、
さらに好ましくは165〜190mmであり、
特に好ましくは170〜180mmである。
モルタル組成物のフロー値を上述の範囲とすることによって、鏝塗り作業性及び吹き付け作業性を良好にすることができる。
本実施形態のモルタル組成物の単位容積質量は、
好ましくは1.80〜2.40kg/L(リットル)であり、
より好ましくは2.00〜2.20kg/Lであり、
さらに好ましくは2.04〜2.14kg/Lであり、
特に好ましくは2.06〜2.12kg/Lである。
単位容積質量を上述の範囲とすることによって、鏝塗り作業性及び吹き付け作業性を良好にすることができる。
本実施形態のモルタル組成物を硬化することによって形成されるモルタル硬化体は、適度な耐腐食性(特に耐酸性)を有する。次に、本発明のモルタル硬化体の好適な実施形態について説明する。
本実施形態のモルタル硬化体は、上述のモルタル組成物を硬化して形成することができる。このようにして形成されるモルタル硬化体は、コンクリート構造物と一体化するに際し、優れた強度(圧縮強度及び接着強度)を有しており、コンクリート構造物の補修用モルタル硬化体として好適である。
ここで、圧縮強度は、JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の試験方法に準拠して測定される値である。また、接着強度とは、「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル(日本下水道事業団編著、財団法人下水道業務管理センター発行、平成19年7月)」に記載の接着強さ試験に準拠して測定される値である。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢3日の圧縮強度は、
好ましくは36N/mm以上であり、
より好ましくは37N/mm以上であり、
さらに好ましくは38N/mm以上であり、
特に好ましくは39N/mm以上である。
圧縮強度を上述の範囲内とすることによって、モルタル硬化体は、コンクリート構造物と一体化するに際し、優れた強度発現性を有する。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢7日の接着強度は、
好ましくは1.3N/mm以上であり、
より好ましくは1.5N/mm以上であり、
さらに好ましくは1.8N/mm以上であり、
特に好ましくは2.0N/mm以上である。
接着強度を上述の範囲内とすることによって、モルタル硬化体は、コンクリート構造物と一体化するに際し、優れた接着性を有する。
本実施形態のモルタル硬化体は、適度な耐酸性を有しており、コンクリート構造物の腐食を長期間抑制することができる。耐酸性の指標としては、硫酸浸透深さ(mm)が挙げられる。この硫酸浸透深さは、「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル(日本下水道事業団編著、財団法人下水道業務管理センター発行、平成19年7月)」に記載の試験方法(硫酸浸透深さ)に準拠して測定される値であり、耐酸性を評価することができる。
JS法で測定されるモルタル硬化体の硫酸浸透深さは、
好ましくは2.9mm以下であり、
より好ましくは2.8mm以下であり、
さらに好ましくは2.7mm以下であり、
特に好ましくは2.6mm以下である。
硫酸浸透深さを上述の範囲内とすれば、モルタル硬化体は、適度な耐酸性を有するため、コンクリート構造物の腐食を長期間抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、本発明の耐酸水硬性組成物、モルタル組成物及びモルタル硬化体は、その効果が大きく損なわれない程度で、上述の成分以外の成分を含んでいてもよい。
実施例及び比較例を用いて本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
[耐酸水硬性組成物の調製]
以下(1)〜(11)に示す原材料を準備した。
(1)ポルトランドセメント
・早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント社製、ブレーン比表面積:4500cm/g)
(2)高炉スラグ微粉末
・A(JIS A 6206:1997、ブレーン比表面積4660cm/g)
・B(JIS A 6206:1997、ブレーン比表面積8320cm/g)
(3)細骨材
・A:アルミナセメントクリンカー骨材(ケルネオス社製、粒子径:1.0mm以下、アルミナ含有率:40質量%、1180μm以上の粒子径を有する粗粒分:0質量%、75μm未満の粒子径を有する微粒分:13.1質量%)
・B:5号珪砂(1180μm以上の粒子径を有する粗粒分:12.2質量%、75μm未満の粒子径を有する微粒分:0質量%)
・C:6号珪砂(1180μm以上の粒子径を有する粗粒分:0質量%、75μm未満の粒子径を有する微粒分:0.1質量%)
(4)ギ酸カルシウム
(5)膨張材
・生石灰−石膏系膨張材(太平洋マテリアル社製)
(6)粘土鉱物
・アタパルジャイト(ユニオン化成社製、最大粒子径:150μm)
(7)流動化剤
・ポリカルボン酸エステル系流動化剤(BASF社製)
(8)凝結遅延剤
・グルコン酸ナトリウム(富田製薬社製)
(9)増粘剤
・ヒドロキシエチルメチルセルロース系増粘剤(信越化学工業社製、粘度7600mPa・s)
(10)合成樹脂繊維
・ビニロン繊維(繊維長:6mm)
(11)合成樹脂エマルジョン
・アクリル系共重合樹脂エマルジョン(固形分の含有量:50質量%、ガラス転移温度(Tg):−8℃)
上述のポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、細骨材、ギ酸カルシウム、膨張材、粘土鉱物、流動化剤、凝結遅延剤、及び合成樹脂繊維を表1に示す割合で配合し、各実施例及び各比較例の高耐酸水硬性組成物を調製した。
Figure 0005910156
[モルタル組成物の調製]
表1に示す配合割合で配合した耐酸水硬性組成物100質量部に対し、水及び合成樹脂エマルジョンを表2に示す割合で配合して混練し、モルタル組成物を調製した。混練は、温度20℃、相対湿度65%の条件下で、ホバートミキサーを用いて低速で3分間混練した。このようにして得られたモルタル組成物の物性を以下の方法で評価した。
[物性の評価方法]
(1)フロー値の測定方法
JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の試験方法に準拠してフロー値を測定した。測定結果を表2に示す。
(2)単位容積質量の測定方法
JIS A 1171:2000「ポリマーセメントモルタルの試験方法」に記載の試験方法に準拠して単位容積質量を測定した。測定結果を表2に示す。
(3)圧縮強度の測定方法
JIS R 5201:1997「セメントの物理試験方法」に記載の試験方法に準拠して材齢3日、7日、28日の圧縮強度を測定した。測定結果を表2に示す。
(4)接着強度の測定方法
「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル(日本下水道事業団編著、財団法人下水道業務管理センター発行、平成19年7月)」に記載の試験方法(接着強さ試験)に準拠して材齢7日、28日の接着強度を測定した。測定結果を表2に示す。
(5)硫酸浸透深さの測定方法
「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル(日本下水道事業団編著、財団法人下水道業務管理センター発行、平成19年7月)」に記載の試験方法(硫酸浸透深さ)に準拠して測定した。具体的には、まず、測定用試験体を以下の手順で作製した。なお、硫酸浸透深さ測定用試験体は以下の各方法につき3個ずつ作製した。
・JS法
試験体の作製方法は、JIS A 1132:2006に準拠し、直径7.5cm、高さ15cmの円柱型枠にモルタル組成物を成形し、1日後に脱型してモルタル硬化体を得た。材齢28日まで20±2℃の水道水中で水中養生して試験体を作製した。この試験体を5質量%硫酸水溶液(試験液)に28日間浸漬した。この間、試験液は、7日毎に全量を取り替えた。浸漬終了後、試験液から取り出した試験体を、蛇口を完全開放した水道水の水圧で全面を均等に1分間洗浄し、その後、表面の水分を拭き取り、硫酸浸透深さ測定用試験体を得た。なお、試験液の基準量は、1試験体あたり0.0044m(4.4L)とした。
上述の方法で作製した硫酸浸透深さ測定用試験体を、ダイヤモンドカッター等で円柱の高さが半分になるように切断して、切断面にフェノールフタレイン1質量%溶液を噴霧し、試験体の赤く発色した部分の直径方向の長さをノギスで5箇所測定した。この測定値の平均値から試験体の幅の初期値(75mm)を差し引き、その値の1/2を硫酸浸漬深さ(mm)とした。各方法について、3つの測定用試験体の硫酸浸漬深さ(mm)の平均値を求めた。測定結果(平均値)を表2に示す。
Figure 0005910156
表2に示すとおり、実施例1〜4のモルタル組成物のフロー値は170〜180mmの範囲内であった。この結果から、実施例1〜4のモルタル組成物は、良好な鏝塗り作業性及び吹き付け作業性を有することが確認された。
実施例1〜4のモルタル組成物の単位容積質量は2.06〜2.12kg/Lの範囲内であった。この結果から、実施例1〜4の耐酸水硬性組成物が良好な鏝塗り作業性及び吹き付け作業性を有することが確認された。
実施例1〜3のモルタル硬化体の接着強度は、材齢7日で1.5〜2.2N/mmであり、優れた強度発現性を有することが確認された。
アルミナセメントクリンカー骨材、且つギ酸ナトリウムを含有する実施例1〜3のモルタル硬化体は、比較例1〜3のモルタル硬化体と比較して、材齢3日の圧縮強度において優れた強度発現性を示した。そして、実施例1〜4のモルタル硬化体のJS法による硫酸浸透深さは、2.7〜2.8mmであり、適度な耐酸性を有することが確認された。
以上のことから、実施例1〜4のように、ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、細骨材及びギ酸カルシウムを含む耐酸水硬性組成物であって、高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、2000〜10000cm/gの範囲であり、細骨材は最大粒子径が1.2mm以下のアルミナセメントクリンカー骨材を含む耐酸水硬性組成物は、低コストで適度な耐酸性を有することが確認された。
また、実施例1〜4の高耐酸水硬性組成物は、接着性に優れていることからコンクリート構造物と一体化することで、長期耐久性の向上及びライフサイクルコストの低減などに寄与する。また、本発明のモルタル組成物は、強度発現性に優れていることから、施工期間を短縮することが可能である。

Claims (7)

  1. ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、細骨材及びギ酸カルシウムを含む耐酸水硬性組成物であって、
    前記高炉スラグ微粉末のブレーン比表面積は、2000〜10000cm/gの範囲であり、
    前記ポルトランドセメント100質量部に対して、前記高炉スラグ微粉末200〜400質量部含み、
    前記ポルトランドセメントが、早強ポルトランドセメントであり、
    前記細骨材は最大粒子径が1.2mm以下のアルミナセメントクリンカー骨材を含む、耐酸水硬性組成物。
  2. 前記ポルトランドセメント100質量部に対して、前記細骨材200〜600質量部含む、請求項1に記載の耐酸水硬性組成物。
  3. 前記ポルトランドセメント100質量部に対して、前記ギ酸カルシウム0.3〜1.5質量部含む、請求項1又は請求項2に記載の耐酸水硬性組成物。
  4. 前記細骨材100質量%中に前記アルミナセメントクリンカー骨材10〜30質量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐酸水硬性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項の耐酸水硬性組成物と水とを含有するモルタル組成物
  6. 合成樹脂エマルジョンを含む、請求項5に記載のモルタル組成物。
  7. 請求項5又は6に記載の耐酸モルタル組成物を硬化して得られるモルタル硬化体。
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