JP2019006611A - 吹付コンクリート - Google Patents

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誉久 羽根井
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Abstract

【課題】初期強度と中長期強度、吹付時に優れた付着性に必要な急結性、適度の流動性可能な吹付コンクリートを提供する。【解決手段】ポルトランドセメント、フライアッシュ、カルシウムアルミネート(CA)系急結剤、無水石膏、アルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩および骨材を含有する吹付コンクリートであって、急結剤が、(A)又は(B)である吹付コンクリート。(A)CaOとAl2O3のモル比が1.8〜2.4の非晶質CA80〜96質量%と、0.1〜1.5質量%の水を含有し、CaOとAl2O3の含有モル比が1.0〜1.4の結晶質CA4〜20質量%。(B)CaOとAl2O3のモル比が1.8〜2.4の非晶質CA80〜96質量%と、CaOとAl2O3のモル比が1.0〜1.4の結晶質CA3〜15質量%と、0.1〜1.5質量%の水を含有し、CaOとAl2O3のモル比が1.0〜1.4の結晶質CA1〜4質量%。【選択図】なし

Description

本発明は、吹付用のセメント系コンクリートに関する。
トンネル、採掘抗、地下空間等において、掘削露出面の崩壊防止、採掘時や掘削後の地山補強の観点から吹付コンクリートが施工されている。セメント系コンクリートの一般的な施工法である湿式吹付工法では、掘削現場近くに設置したプラントで、セメントと水と骨材(粗骨材と細骨材)を秤量・混合してベースコンクリートを作製し、これを貯蔵タンク等から輸送管を介して吹付装置までポンプ圧送し、吹付直前に別送されてきた急結剤を添加・混合し、吹付コンクリートにして吹付ける。急結剤としては、カルシウムアルミネートやアルミン酸ナトリウム等の粉体急結剤が、強力な急結性と高い早期強度を付与できるので、付着性に優れた吹付コンクリートが得られる点で好ましい。しかし、中長期にかけての強度発現性には課題があり、粉体急結剤と石膏を併用することが知られている(例えば、特許文献1参照)。石膏配合量を増加させると、強度全般の向上には有利であるが、一方で凝結時間が遅くなるため、急結性の阻害要因になる。
カルシウムアルミネート粉体急結剤の中でも、ガラス化が進んだ構造や、化学成分として含有するCaOの量の多い、より高い急結性のものを使用すれば、強度発現上必要量の石膏と併用しても、急結性への阻害的影響は殆ど見られない。一方で、このようなより高い急結性のカルシウムアルミネートの使用は、ベースコンクリートへの添加時に、瞬結を起し、添加装置内で固結して閉塞する虞がある。また、添加直後からコンクリートの流動性が低下するため、急結剤添加位置から吹付装置噴射ノズル孔までの距離を長くすることが困難になり、その結果、混合性を高められず、また流れの悪さから吹付量の調整が難しく、スムーズな吹付を行い難く、施工性に支障を生じ易かった。
カルシウムアルミネートによる高い早期強度発現性は他に類を見ないため、この強度発現性を維持したまま、施工性への影響が大きい急結性をコントロールすることが検討されている。反応活性が比較的低い結晶質カルシウムアルミネートは凝結終結までの時間が長くなるため瞬結するほどの強い急結性を有しない。何れもCaOとAlを特定の割合で含有する結晶質カルシウムアルミネートと高ガラス化率の非晶質カルシウムアルミネートを併用すると、注水直後の極初期から高い強度を発現できることに加え、注水から数時間経過後の初期の強度も、例えば非晶質カルシウムアルミネートのみを使用した場合より高くなることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−123535号公報 特開2009−114019号公報
しかしながら、この方法では急結性の微妙な緩和調整が難しく、使用する結晶質カルシウムアルミネートの配合割合が少しでも不足すると、急結性が強く現れ、吹付コンクリートの流動性が急激に低下し、吹付装置の圧送障害になり、混合性低下による品質不良の虞がある。一方、結晶質カルシウムアルミネートの配合割合が多くなると、吹付時の対象物への付着性が劣る他、極初期の強度発現性が低下し易い。
従って、本発明は、高い初期強度発現性と中長期強度発現性を具備し、また吹付時に優れた付着性を得るために必要な急結性を具備するも、吹付施工性に支障を及ぼさないような適度の流動性も具備可能な吹付コンクリートの提供を課題とする。
そこで本発明者は、前記課題解決のため検討した結果、非晶質カルシウムアルミネートと一定量の水分を含有する結晶質アルミネートとを組み合わせてなる特定のカルシウムアルミネート系急結剤を使用し、かつ、フライアッシュを使用し、水量増加に因ることなくコンクリートの流動性が高まるような成分配合を選定すれば、高い強度発現性と優れた付着性を維持したまま、急結剤配合時の急激な流動性喪失を緩和できるという知見に基づいて吹付コンクリートを創出し、このような吹付コンクリートが、前記課題を総じて解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕ポルトランドセメント100質量部、フライアッシュ15〜35質量部、カルシウムアルミネート系急結剤5〜9質量部、無水石膏0.5〜2.7質量部、アルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩を合計で0.5〜1.5質量部および骨材420〜530質量部を含有する吹付コンクリートであって、前記カルシウムアルミネート系急結剤が、次の(A)又は(B)であることを特徴とする吹付コンクリート。
(A)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、0.1〜1.5質量%の水を含有し、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート4〜20質量%とからなるカルシウムアルミネート系急結剤。
(B)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート3〜15質量%と、0.1〜1.5質量%の水を含有し、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート1〜4質量%とからなるカルシウムアルミネート系急結剤。
〔2〕骨材が、嵩比重2.3〜2.9の細骨材及び粗骨材を含む骨材である〔1〕の吹付コンクリート。
〔3〕さらに、減水剤類を含有する〔1〕又は〔2〕の吹付コンクリート。
〔4〕さらに、短繊維を含有する〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の吹付コンクリート。
本発明により、次の(1)〜(5)の効果が奏される。(1)その多くが廃棄処分されていたフライアッシュを有効活用できる。(2)極初期を含む高い早期強度発現性と中長期にわたり高い強度発現性を具備する吹付コンクリートが得られる。(3)調整が難しかった急結性を比較的容易に調整できるため、吹付時の良好な付着性を具備しつつ、施工性悪化に繋がりかねない瞬結性等の激しい急結性を緩和可能となった。(4)スムーズな圧送や混合に適した流動性の吹付コンクリートが得られるため施工性が向上する。(5)粉体急結剤使用による吹付時の粉塵発生を、増粘剤を用いなくても抑制できる。
本発明の吹付コンクリートは、少なくとも、特定のカルシウムアルミネート系急結剤、ポルトランドセメント、フライアッシュ、無水石膏、アルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩および骨材を特定量含有する吹付コンクリートである。詳しくは、急結成分を含まないベースコンクリートと、このベースコンクリートに添加される急結成分及び急結助剤成分等から構成される吹付コンクリートである。具体的には、ポルトランドセメントと骨材とフライアッシュをベースコンクリート構成材料とし、無水石膏とアルカリ金属のアルミン酸塩及び炭酸塩を急結助剤として前記カルシウムアルミネート系急結剤と一纏めにして急結剤混合物として扱われるものとする。また混練水は、ベースコンクリートに予め注水し、混練しておくのが望ましい。さらに、本発明で任意使用成分として挙げる減水剤や短繊維を始め、その他の凝結性に直接作用しない混和材類は、基本的にはベースコンクリート構成材料とする。
本発明の吹付コンクリートに使用されるポルトランドセメントは、何れのポルトランドセメントでも良く、具体的には普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩の各種ポルトランドセメントが挙げられる。また、ポルトランドセメントを混合させて得られる高炉セメント等も使用できる。この中でも経済性や汎用性の点から普通ポルトランドセメントが好ましい。ポルトランドセメントの粒度はJIS規格(JIS R 5210)の2500cm/g以上を満たしていれば、特に限定されない。好ましくは、一般市販品並の粒度(例えば、概ね、2900〜3400cm/g)であれば良い。
前記吹付コンクリートに使用される骨材は、詳しくは、細骨材と粗骨材からなる。細骨材は、モルタルやコンクリートに使用できる細骨材なら特に限定されない。また、粗骨材はコンクリートに使用できる粗骨材なら特に限定されない。細骨材および粗骨材とも、所定の骨材強度が確保し易く、他の含有成分との比重差が少ないため材料分離が起き難いことから、嵩密度が2.3〜2.9の骨材を使用するのが好ましく、嵩比重2.4〜2.9の骨材を使用するのがより好ましい。このような骨材として、例えば、細骨材なら珪砂や石灰石砂等の天然骨材、安山岩、砂岩、玄武岩等の砕砂などを挙げることができる。また、粗骨材としては、珪石、石灰石、安山岩、砂岩、玄武岩等の砕石や砂利を挙げることができる。前記吹付コンクリート中の骨材の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、420〜530質量部であり、430〜520質量部が好ましい。420質量部未満ではコンクリートの収縮が大きくなるため好ましくなく、530質量部を超えるとコンクリートの結合相の割合が相対的に低くなり、強度が低下するので好ましくない。骨材中の細骨材と粗骨材の含有割合は特に制限されない。好ましい細骨材と粗骨材の量は、前記吹付コンクリート中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、細骨材250〜340質量部及び粗骨材140〜260質量部である。
前記吹付コンクリートに使用されるフライアッシュは特に限定されない。フライアッシュを使用することで、強度低下に繋がる水量を増やさずに、ボールベアリング効果によってコンクリート中の配合物の滑り性が高くなり、凝集化を防ぎ、圧送時の流れが良くなって、施工性の向上に繋がる。さらに、急結剤添加時の吹付コンクリートの粘性が上昇するため、粉塵発生が抑制される。好ましくは、このような作用効果を発現し易いことから、JIS A6201「コンクリート用フライアッシュ」に規定するII種相当品を使用する。より好ましくは、このような作用効果をより確実に発現するため、使用するポルトランドセメントと同等かそれ以上の粒度のフライアッシュを使用する。吹付コンクリート中のフライアッシュの含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、15〜35質量部であり、15〜30質量部が好ましい。フライアッシュ含有量が15質量部未満だと施工性向上に繋がるほどの明確な効果が得られないため好ましくなく、35質量部を超えると相対的にポルトランドセメントの含有割合が減少し、強度低下に繋がるので好ましくない。
前記吹付コンクリートに使用される無水石膏は、結晶形態を問わず、無水硫酸カルシウム(CaSO)を含め何れのものでも使用できる。好ましくは、ポルトランドセメントとの混合性や反応活性及び製造コスト等が適切な範囲に収まり易いことから、含有するポルトランドセメントのブレーン比表面積の1.5〜2倍のブレーン比表面積の無水石膏を使用する。無水石膏の使用により強度発現性を高めることができ、とりわけ中長期の強度の伸びが大きくなる。また結合相組織の収縮抑制にも効果があるため、亀裂発生防止に貢献する。無水石膏の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、0.5〜2.7質量部とする。0.5質量部未満では、硬化の遅れや強度発現が低迷するので好ましくない。また、2.7質量部を超えると凝結が遅延し、急結性が阻害されるため好ましくない。好ましい無水石膏の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対し、0.6〜2.4質量部であり、より好ましくは0.7〜2.2質量部である。尚、ポルトランドセメント中には少量の石膏が含まれるが、こちらはポルトランドセメントの構成成分であるため、ポルトランドセメントそのものに入れ、本発明の吹付コンクリートに含有使用される無水石膏には含めない。
本発明の吹付コンクリートに使用されるカルシウムアルミネート系急結剤のカルシウムアルミネートとは、CaOとAlを主要化学成分とする無機水和活性物質であり、CaO源となる原料とAl源となる原料を、CaOとAlが所定の含有モル比(CaO/Al)の加熱物(クリンカ)が得られるように配合した原料混合物を、好適には溶融するまで加熱することで得られる。従って、例えば天然鉱物原料を用いたときのように、主に使用原料に由来のCaOとAl以外の不純物も、その存在形態に拘わらず、本発明の効果を阻害させない範囲で含むことは許容される。また、加熱後の冷却過程の差違により、冷却後のカルシウムアルミネートの構造状態に様々な違いが生じ、具体的には、冷却速度に応じて非晶質化の度合であるガラス化率を調整できる。本発明の吹付コンクリートは、次の何れかのカルシウムアルミネート系急結剤を含有し、そのようなカルシウムアルミネート系急結剤の含有によって、瞬結化を防ぎ、吹付コンクリートに良好な施工性を確保しつつ、優れた初期強度発現性を付与することができる。
本発明の吹付コンクリートに使用するカルシウムアルミネート系急結剤の第1の態様(A)としては、(A1)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、(A2)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネート4〜20質量%とからなるカルシウムアルミネート系急結剤である。
前記非晶質カルシウムアルミネート(A1)は、完全にガラス状態である必要はなく、ガラス化が進んだ構造のものであれば良い。具体的にはガラス化率50%以上が好ましく、より好ましくは、ガラス化率90%以上のものとする。但し、2以上の異なるガラス化率で製造されたカルシウムアルミネートを混合したものは、その平均ガラス化率の値と同じガラス化率の値の単一クリンカから得られるカルシウムアルミネートよりも反応活性が弱い傾向があるので、本発明での非晶質カルシウムアルミネートからは除外するのが好ましい。一般に、高いガラス化率のものほど反応活性が高く、高ガラス化率のカルシウムアルミネートを得るには、溶融状態に達した高温からの冷却速度を速くするほど得易くなり、例えば、最高加熱温度付近から常温近くまで急冷するで、ガラス化率90%以上の非晶質カルシウムアルミネートが容易に得られる。また、前記非晶質カルシウムアルミネート(A1)のCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)は、高い急結性に加え、極初期からの高い早期強度発現性が得られることから、1.8〜2.4とし、好ましい含有モル比(CaO/Al)は、1.9〜2.3である。前記モル比がCaO/Al)が、1.8未満では、急結性が低くなることに加え、高い初期強度が得難くなるので好ましくなく、前記モル比(CaO/Al)が2.4を超えると、瞬結性が強くなって、施工性が悪化するので好ましくない。尚、前記非晶質カルシウムアルミネート(A1)は、実質的に含水や加水されていないものとする。
また、本発明の第1の態様の吹付コンクリートで使用するカルシウムアルミネート系急結剤を構成する前記含水率0.1〜1.5質量%の結晶質カルシウムアルミネート(A2)は、その構造状態が実質的に結晶質からなるものであれば良く、例えば吹付コンクリートの急結性状や強度発現性に影響しない微量の不純物が固溶したものなどは、結晶質からなるものとみなす。結晶質カルシウムアルミネートを得るには、例えば被加熱物が溶融するような加熱温度から、急冷せずに徐冷するとその過程で結晶化が進み、結晶質カルシウムアルミネートが得られる。また、前記含水率0.1〜1.5質量%の結晶質カルシウムアルミネートに含まれる化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)は、良好な初期強度発現性を維持可能で、瞬結に至らないが、急結性は発現できることから、1.0〜1.4である。前記含有モル比(CaO/Al)が1.0未満では急結性が弱くなり過ぎるため好ましくなく、また1.4を超えると、瞬結化傾向が現れるので好ましくない。また、このような含有モル比の結晶質カルシウムアルミネートの含水率を0.1〜1.5質量%にするのは、瞬結性の出現をより確実に回避できることに加え、凝結始発からの粘性急上昇が抑えられ、急結剤との混合性が向上できるためである。結晶質カルシウムアルミネートの含水率が0.1質量%未満では、前記作用が得られ難く、また1.5質量%を超えると、反応活性が減退し過ぎるので好ましくない。結晶質カルシウムアルミネートの好ましい含水率は、0.1〜1.0質量%である。
本発明の吹付コンクリートで、使用するカルシウムアルミネート系急結剤(A)を、(A1)前記含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、(A2)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネート4〜20質量%とから構成されたものとすることによって、極初期からの早期強度を高く保ったまま、前記非晶質カルシウムアルミネートに基づく高い急結性を適度に緩和できるため、急結剤添加時からの吹付コンクリートの施工作業性を向上することができる。カルシウムアルミネート系急結剤中の前記非晶質カルシウムアルミネートの含有率が80質量%未満では、急結性が低下し過ぎて付着性に支障をきたすことがあるので好ましくなく、前記非晶質カルシウムアルミネートの含有率が96質量%を超えると、急結性が強くなり過ぎて、急結剤添加後のコンクリートの流動性が急激に失われ、施工作業性が悪化するので好ましくない。好ましい(A1)の含有量は82〜94質量%であり、好ましい(A2)の含有量は6〜18質量%である。
本発明の吹付コンクリートに使用するカルシウムアルミネート系急結剤の第2の態様(B)としては、(B1)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、(B2)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネート1〜5質量%と、(B3)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の無含水結晶質カルシウムアルミネート3〜15質量%とからなるカルシウムアルミネート系急結剤である。
このうち、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート(B1)と、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネート(B2)については、前記第1の態様のカルシウムアルミネート系急結剤(A)を構成する化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート(A1)と、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネート(A2)とそれぞれ同様のものが使用される。
また、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の無含水結晶質カルシウムアルミネート(B3)は、その構造状態が実質的に結晶質からなるものであれば良く、例えば吹付コンクリートの急結性状や強度発現性に影響しない微量の不純物が固溶したものなどは、結晶質からなるものとみなす。また、この結晶質カルシウムアルミネートに含まれる化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)は、良好な初期強度発現性を維持可能で、瞬結に至らないが、急結性は発現できることから、1.0〜1.4とする。前記含有モル比(CaO/Al)が1.0未満では急結性が弱くなり過ぎるため好ましくなく、また1.4を超えると、瞬結化傾向が現れるので好ましくない。さらに、この結晶質カルシウムアルミネートは、非晶質カルシウムアルミネートよりは低くなるものの、ある程度の急結性を具備したものとして混合使用するため、実質的に含水や加水されていないものとする。
本発明の吹付コンクリートで、使用するカルシウムアルミネート系急結剤を、(B1)前記含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、(B2)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネート1〜5質量%と、(B3)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の無含水結晶質カルシウムアルミネート3〜15質量%とからなるものとすることによって、極初期からの早期強度をより高く保ったまま、前記非晶質カルシウムアルミネートに基づく高い急結性を、吹付時の付着性に殆ど影響を及ぼさずに、緩和することができ、急結剤添加時からの吹付コンクリートの施工作業性を向上することができる。カルシウムアルミネート系急結剤中の前記非晶質カルシウムアルミネート(B1)の含有率が80質量%未満では、急結性が低下し過ぎて付着性に支障をきたすことがあるので好ましくなく、前記非晶質カルシウムアルミネートの含有率が96質量%を超えると、急結性が強くなり過ぎたり、急結剤添加後の流動性が急激に失われ、施工作業性が悪化するので好ましくない。また、前記の0.1〜1.5質量%の含水率で化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート(B2)の、前記カルシウムアルミネート系急結剤中の含有率が1質量%未満では、前記非晶質カルシウムアルミネートによる強い急結性を緩和することが十分行えず、施工作業性に支障をきたすので好ましくなく、カルシウムアルミネート系急結剤中の含有率が5質量%を超えると、吹付時により高い付着性を得ようとする場合、難くなることがあるので好ましくない。(B2)の結晶質カルシウムアルミネートの好ましい含水率は0.1〜1.0質量%である。
(B1)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネートと、(B2)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4であって、0.1〜1.5質量%の水を含有する結晶質カルシウムアルミネートと、(B3)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の無含水結晶質カルシウムアルミネートのカルシウムアルミネート系急結剤中の含有率を、前記範囲((B1)=80〜96質量%、(B2)=1〜5質量%、(B3)=3〜15質量%)にすることによって、急結性が強く、高い初期強度発現性を具備する非晶質カルシウムアルミネートに基づく急結性状を、付着性を低下させずに、適度な流動性が具備される程度に、緩和改質できる。このため、混合性も良好で均質化が進み易く、また施工性も飛躍的に向上する。カルシウムアルミネート系急結剤中の前記各カルシウムアルミネートの含有率が、前記範囲の値から外れると、このような作用効果が得られ難くなるので好ましくない。好ましい(B1)の含有量は82〜94質量%であり、好ましい(B2)の含有量は2〜4質量%であり、好ましい(B3)の含有量は4〜14質量%である。
本発明の吹付コンクリートに使用されるアルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩のうち、アルカリ金属のアルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸リチウムが挙げられ、好ましくは無水物を使用する。2種以上を併用してもよい。また、アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。アルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩はカルシウムアルミネートに対する急結助剤として、前者は主に凝結促進、後者は主に硬化促進の作用がある。本発明の吹付コンクリートでは両者を併用し、その含有量は、吹付コンクリート中のポルトランドセメント含有量100質量部に対し、合計で0.5〜1.5質量部であり、0.5〜1.3質量部が好ましい。前記含有量が0.5質量部未満では含有効果が殆ど得られないため好ましくなく、また、1.5質量部を超えると極初期の強度は高まるものの、その後の強度が伸び難くなるので好ましくない。併用するアルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩の配合比は特に制限されないが、好ましくは質量比で、アルミン酸塩:炭酸塩=2:8〜8:2であり、より好ましくは質量比で、アルミン酸塩:炭酸塩=4:6〜6:4である。
本発明の吹付コンクリートは、減水剤類を含有するのが好ましい。減水剤類とは、モルタルやコンクリートに使用できる、減水剤、分散剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤、流動化剤などと称されるものが該当する。その有効成分は特に限定されず、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸、ポリカルボン酸等を挙げることができる。減水剤類の配合により、強度低下に繋がる混練水量を増やさずともベースコンクリートの流動性を向上させることができる。ポルトランドセメント含有量100質量部あたりの減水剤類の含有量は、固形分換算量で0.3〜1.6質量部が好ましく、0.4〜1.5質量部がより好ましい。
本発明の吹付コンクリートは、さらに短繊維を含有するのが好ましい。短繊維は、モルタルやコンクリートに使用できる有機高分子、炭素、鋼、ガラス、セラミックス等の材質からなる繊維であれば特に限定されない。好ましくは、耐折性や耐食性を具備し、比較的安価であることから有機高分子を使用する。短繊維の長さは特に制限されるものではないが、好ましくは5〜20mm、より好ましくは10〜12mmとする。繊維径も特に制限されないが、繊維配合効果を十分得る上では、1mm以下が好ましい。短繊維を含有することで、モルタル施工物のひび割れ抵抗性が向上する。また、施工物の靱性も向上する。このような作用効果を発現させるために、短繊維を含む場合の含有量は、混練水を含む吹付コンクリート容積の概ね0.5〜1.5体積%とするのが好ましい。
本発明の吹付コンクリートは、前記以外の成分も本発明の効果を阻害しないものであれば含有できる。
本発明の吹付コンクリートは、予めベースコンクリート作製時に混練水を配合(注水)しておくのが望ましい。ベースコンクリートの作製は、市販のコンクリートミキサ等を使用し、少なくともポルトランドセメント、骨材及びフライアッシュを所定量前記ミキサに一括投入し、次いで注水し、混練する。水の量は特に限定されるものではなく、セメントや無水石膏などの水和反応活性を具備する成分と概ね過不足無く反応できる量であれば良い。混練水量の目安を例示すると、ポルトランドセメント100質量部に対し、およそ53〜67質量部である。注水時の混練性を高め、モルタル強度発現性を高める上で、好ましい混練水量配合量は、55〜65質量部である。
一方、ベースコンクリートに吹付け直前に混合される急結剤は、前記カルシウムアルミネート系急結剤、無水石膏、アルカリ金属のアルミン酸塩及び炭酸塩の混合物である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は記載した実施例に限定されるものではない。尚、実施例は、特記無い限り、20±1℃の環境下で行った。
[カルシウムアルミネートの作製]
市販の工業用薬品のCaCOとAlを用い、CaO及びAlの含有モル比(CaO/Al)の値が以下に示すカルシウムアルミネートが得られるように評量配合し、ヘンシェル型混合機で原料調合物を作製した。この原料調合物を電気炉を使用し、約1600℃±50℃で60分間加熱焼成した。一部の焼成物を除き、前記焼成時間経過後は焼成物を直ちに炉外に取出した。取出した焼成塊(クリンカ)の表面に冷却用の窒素ガスを最大流速約30mL/秒で吹付けて急冷し、冷却物を得た。尚、ガラス化率調整については、窒素ガスの流速を前記最大値よりも落として吹付けた。また、一部の焼成物は、前記焼成時間経過後も加熱は停止するも、そのまま電気炉内に放置し、自然放冷することで、クリンカを得た。各クリンカは、全鋼製のボールミルで粉砕し、分級装置にかけてブレーン比表面積約5000cm/gに整粒した。整粒粉末として、以下のCA1〜CA7で示すカルシウムアルミネート粉末を得た。CA1〜CA7で示すカルシウムアルミネート粉末は何れも乾粉(無含水粉末)である。得られた乾粉は配合使用時まで密封容器で保管した。尚、カルシウムアルミネートのガラス化率は、粉末エックス線回折装置を用い、質量がM1のカルシウムアルミネートクリンカに含まれる各鉱物の質量を内部標準法等で定量し、定量できた含有鉱物相の総和質量;M2を算出し、残部が純ガラス相と見なし、次式でガラス化率を算出した。
(数1)
ガラス化率(%)=(1−M2/M1)×100
[作製したカルシウムアルミネート]
CA1;含有モル比(CaO/Al)1.8、ガラス化率90%
CA2;含有モル比(CaO/Al)2.4、ガラス化率90%
CA3;含有モル比(CaO/Al)2.2、ガラス化率90%
CA4;含有モル比(CaO/Al)2.3、ガラス化率50%
CA5;含有モル比(CaO/Al)1.4、ガラス化率0%
CA6;含有モル比(CaO/Al)1.2、ガラス化率0%
CA7;含有モル比(CaO/Al)1.0、ガラス化率0%
[カルシウムアルミネート含水粉末の作製]
前記作製したカルシウムアルミネートCA6(乾粉)を使用し、その乾粉に0.1〜2.0質量%に相当する水を添加し、ヘンシェルミキサで2分間混合し、以下の含水率のカルシウムアルミネートCA16、CA26、CA36及びCA46を作製した。作製後は密封容器に保管した。
CA16;含有モル比(CaO/Al)1.2、ガラス化率0%、水含有率0.1質量%
CA26;含有モル比(CaO/Al)1.2、ガラス化率0%、水含有率0.5質量%
CA36;含有モル比(CaO/Al)1.2、ガラス化率0%、水含有率1.0質量%
CA46;含有モル比(CaO/Al)1.2、ガラス化率0%、水含有率1.5質量%
CA56;含有モル比(CaO/Al)1.2、ガラス化率0%、水含有率3.0質量%
[カルシウムアルミネート系急結剤の作製]
前記作製のカルシウムアルミネートを使用し、表1に示す配合比率にせしめたカルシウムアルミネート系急結剤を作製した。
Figure 2019006611
[ベースコンクリートの作製]
普通ポルトランドセメント(市販品。ブレーン比表面積3200cm/g、密度3.15)、以下のSG1、SG2、SG3、SG4で示した細骨材とGで示す粗骨材、以下のFA1〜FA2で示すフライアッシュ、ADで示すポリカルボン酸系高性能減水剤(濃度23%液状、市販品)、SFで示す長さ10mmのポリビニル製短繊維(比重約0.913、市販品)から選択した材料と混練水を、表2に示す配合量となるようコンクリートミキサに一括投入した。このミキサを約2分間湿式混合し、ベースコンクリート(BC1〜BC12)各1.5mを作製した。
[配合使用する細骨材]
中心粒径の単位はmm。規定粒径範囲内の存在率とは、全細骨材中の粒径が0.05mm〜3.5mmである細骨材の含有質量割合を示す。
SG1;石灰石細骨材、嵩比重;2.7、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG2;安山岩砕砂、嵩比重;2.4、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG3;玄武岩砕砂、嵩比重;2.9、中心粒径;0.6、規定粒径範囲内の存在率;>99%
SG4;珪砂細骨材、嵩比重;2.6、中心粒径;0.4、規定粒径範囲内の存在率;>99%
[配合使用する粗骨材]
G;茨城県桜川富谷産砕石、嵩比重;2.7、粒径5〜15mm
[配合使用するフライアッシュ]
FA1;JIS II種、ブレーン比表面積4470cm/g、嵩比重2.24
FA2;JIS II種、ブレーン比表面積3910cm/g、嵩比重2.29
Figure 2019006611
[吹付コンクリートの作製]
前記カルシウムアルミネート系急結剤(RA1〜RA13)、ANで示す無水アルミン酸ナトリウム(市販試薬)、NCで示す炭酸ナトリウム(市販試薬)、LCで示す炭酸リチウム(市販試薬)及びCSで示す市販工業用無水石膏の分級処理品(ブレーン比表面積6400cm/g)から選定される材料を、ベースコンクリート中のポルトランドセメント100質量部あたりの含有量が表3で示す量となるようヘンシェルミキサで混合し、得られた急結剤の混合物を、前記作製のベースコンクリートに加え、吹付コンクリートを作製した。尚、比較のため、前記カルシウムアルミネート系急結剤の代わりに、前記非晶質カルシウムアルミネート(CA2)のみを急結剤として使用し、他の助剤類を前記と同様に混合した混合物をベースコンクリートに加えた吹付コンクリート(SC31)も作製した。
Figure 2019006611
吹付コンクリートの作製は、詳しくは、ベースコンクリートを混練後直ちに供給用タンクに入れ、そこから長さ約10m、内径6cmの樹脂製ホースを介して吹付装置へポンプ圧送する。吹付装置は、入口(後述するY字管との接続口)から噴射用ノズル孔端までの距離が概ね10mの市販品である。吹付装置の入口側と前記圧送用ホースとの間には鋼製Y字管が接続され、Y字管の残りの接続口には、別送される前記カルシウムアルミネート系急結剤の混合物の供給管を接続した。この供給管から前記カルシウムアルミネート系急結剤の混合物を所定量空気圧送し、Y字管内でベースコンクリートに加えることによって、吹付コンクリートを得た。
[急結性の評価]
表2のベースコンクリートの配合において、それぞれ含有する粗骨材と細骨材の合計含有量に相当する量を全て細骨材の含有量にし、粗骨材を含まず、また他の成分とその含有量は変更せずに表2の通りとした表4で示すモルタル配合に従って、混練水を含むベースモルタルを作製した。このベースモルタルに、ベースモルタル中のポルトランドセメント含有量100質量部に対する添加量が、表3に示すベースコンクリート中のポルトランドセメント100質量部あたりの配合量と同一量となるような急結剤の混合物を加え、高速ミキサで5秒間混合した。急結剤の混合物添加から、30秒経過後、60秒経過後、180秒経過後及び300秒経過後の急結剤含有モルタルのプロクター貫入抵抗値を測定し、急結性を評価した。プロクター貫入抵抗の測定方法は、土木学会コンクリート標準指方書「吹付コンクリート用急結剤品質規格」付属書「貫入抵抗によるモルタルの瞬結時間測定方法」に準拠し、断面積0.125cmのプロクター針を使用した。この貫入抵抗値の測定結果も表4に示す。ここで、表中に記載した「−」は、モルタルの硬化が進み貫入抵抗の測定ができなかったもの。また、「>16(N/mm)」なる記載はプロクター針の打ち込みはできるが、使用機材の測定限界(最大16N/mm)を超えたものである。
Figure 2019006611
[吹付コンクリートの施工性の評価]
前記の如く作製した吹付コンクリートは、作製後直ちに、市販の吹付装置を用いて、吹付施工に供した。吹付施工は次のような対象物に向かって吹付けた。即ち、前記吹付装置のノズル孔端から約100cm離れた地点に垂直に設置した厚さ9mmで3m四方のコンクリート製平板面に向かって、10m/時間の流量で、前記吹付コンクリートを吹付けた。吹付けたコンクリートの付着性の評価を、目視観察により次のように行った。即ち、前記平板面に吹付けたコンクリートに垂れや剥落が起こることなく、付着し続けたものを付着性が「良好」と判断し、それ以外の状態になったものは全て付着性が「不良」と判断した。結果を表5に示す。
また、このような吹付けを5分間行った後に、ベースコンクリートの圧送供給を30分間停止して吹付けを中断した後、ベースコンクリートの圧送供給を再開し、再度吹付を行ったとき、Y字管や吹付装置の圧送経路中に狭窄や閉塞等の圧送障害が生じたり、吹付コンクリートの吹付量の低下などの吹付障害があったものを圧送性「不良」と判断した。これらの現象が見られず、スムーズに圧送でき、吹付量の変動も見られなかったものを圧送性「良好」と判断した。この結果も表5に示す。また、吹付装置に圧送されるベースコンクリートについては、貯蔵タンク中の圧送直前のベースコンクリートの一部と、前記圧送ホースと前記Y字管の接続箇所から圧送中のベースコンクリートの一部を抜き取り、それぞれのスランプフローを、JIS A 1101「コンクリートのスランプ試験方法」に準拠した方法で測定した。圧送直前のベースコンクリートのスランプフロー(Fα)に対する、圧送されたY字管流入直前のベースコンクリートのスランプフロー(Fβ)の減少率(%)を算出し、その結果も表5に示す。尚、前記スランプフローの減少率は、100×(1−(Fβ/Fα))で算出される。
Figure 2019006611
さらに、前記吹付を行ったときの発生した粉塵量を市販の粉塵濃度計によって測定した。発生粉塵量は、従来の吹付コンクリートを吹付けた場合の粉塵量(100とする)に対する相対割合(%)で表5に示す。ここで、従来のコンクリートとは、普通ポルトランドセメント100質量部、無水石膏2.3質量部、細骨材(前記SG1と同等品)290部、粗骨材(前記と同等品)197質量部、メチルセルロース系増粘剤(市販品、20℃での粘度10000mPa・s)0.1質量部及び水60質量部を加えて混練したベースコンクリートを前記の吹付装置に圧送し、吹付装置入口側に接続されたY字管で、別送されてきたカルシウムアルミネート系急結剤(前記のRC3)3.9質量部と急結助剤としてのアルミン酸ナトリウム0.45質量部と炭酸ナトリウム0.45質量部(何れもベースコンクリート中のポルトランドセメント100質量部に対する含有量)からなる混合粉末を添加し、添加部からおよそ300cm先に設けられた噴射用のノズル孔を介して吹付けられるコンクリートである。また、粉塵量の計測方法・条件は次の通りである。幅4.5m、奥行4.5m、高さ8mの閉鎖空間の4.5m×8mの壁面の1つを吹付対象壁面とし、吹付対象壁面と反対側の面のみ外気と通じた開放面にして、吹付対象壁面から1m離れた地点の高さ1mの位置に、吹付装置の噴射孔(ノズル)先端が配されるように吹付装置を設置した。併せて、前記吹付対象壁面から8m離れ、前記噴射孔先端から7m後方にあたる位置に、市販の粉塵濃度計を設置した。吹付装置のノズルから吹付コンクリートを噴射量10m/hrで5分間、対象壁面に垂直に吹付けたときの、粉塵濃度を測定した。
[吹付コンクリートの強度発現性の評価]
前記の如く作製した吹付コンクリートを、作製後直ちに、内寸30×40×20cmの成形用型枠内に吹付け、型枠内を満たすようにした。これを20℃(±1℃)恒温庫に入れ所定時間経過後、型枠内の硬化コンクリートからコアドリルによって直径5cm、高さ10cmの円柱状供試体を採取した。供試体の材齢は、5時間、1日及び28日のものが得られるよう調整した。各供試体の一軸圧縮強度をアムスラー式圧縮強度試験機で測定した。この結果も表5に示す。尚、所定材齢で、供試体採取可能な硬化状態に達していなかったものは、強度の「測定不能」と表記した。
表4〜5の結果から、本発明品の吹付コンクリートは、吹付施工時の付着性を十分確保するための急結性を具備し、初期から高い強度発現性が得られ、強度の伸びも良好なことがわかる。一方で、急結剤の添加前後ともスムーズな圧送に適したコンクリートの流動性が確保できるため、施工障害や混合不足も起こり難い。また、表5の結果から本発明品の吹付コンクリートは、吹付時の付着性に優れ、しかも粉塵発生量も低減されることがわかる。

Claims (4)

  1. ポルトランドセメント100質量部、フライアッシュ15〜35質量部、カルシウムアルミネート系急結剤5〜9質量部、無水石膏0.5〜1.5質量部、アルカリ金属のアルミン酸塩と炭酸塩を合計で0.5〜1.5質量部および骨材420〜530質量部を含有する吹付コンクリートであって、前記カルシウムアルミネート系急結剤が、次の(A)又は(B)であることを特徴とする吹付コンクリート。
    (A)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、0.1〜1.5質量%の水を含有し、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート4〜20質量%とからなるカルシウムアルミネート系急結剤。
    (B)化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.8〜2.4の非晶質カルシウムアルミネート80〜96質量%と、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート3〜15質量%と、0.1〜1.5質量%の水を含有し、化学成分としてのCaOとAlの含有モル比(CaO/Al)が1.0〜1.4の結晶質カルシウムアルミネート1〜4質量%とからなるカルシウムアルミネート系急結剤。
  2. 骨材が、嵩比重2.3〜2.9の細骨材及び粗骨材を含む骨材である請求項1記載の吹付コンクリート。
  3. さらに、減水剤類を含有する請求項1又は2記載の吹付コンクリート。
  4. さらに、短繊維を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の吹付コンクリート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023171770A1 (ja) * 2022-03-10 2023-09-14 デンカ株式会社 セメント組成物

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