JP2017151133A - キャリア芯材並びにそれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤 - Google Patents

キャリア芯材並びにそれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の磁気特性を維持しながら優れた帯電性を有するキャリア芯材を提供する。【解決手段】Sr元素とFe元素とを含む層状ペロブスカイト型結晶構造の複合酸化物相とスピネル型結晶構造相とを有することを特徴とする。ここで、前記の層状ペロブスカイト型結晶構造がRuddlesden−Popper型結晶構造であるのが好ましい。また、前記複合酸化物相におけるSr元素とFe元素の総量に対するSr元素の割合が52mol%以上であるのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、キャリア芯材並びにそれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤に関するものである。
電子写真方式を用いたファクシミリやプリンター、複写機などの画像形成装置では、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視像化し、この可視像を用紙等に転写した後、加熱・加圧して定着させている。高画質化やカラー化の観点から、現像剤としては、キャリアとトナーとを含むいわゆる二成分現像剤が広く使用されている。
二成分現像剤を用いた現像方式では、キャリアとトナーとを現像装置内で撹拌混合し、摩擦によってトナーを所定量まで帯電させる。そして、回転する現像ローラに現像剤を供給し、現像ローラ上で磁気ブラシを形成させて、磁気ブラシを介して感光体へトナーを電気的に移動させて感光体上の静電潜像を可視像化する。トナー移動後のキャリアは現像ローラ上に残留し、現像装置内で再びトナーと混合される。このため、キャリアの特性として、磁気ブラシを形成する磁気特性と、所望の電荷をトナーに付与する帯電特性などが要求される。
このようなキャリアとして、マグネタイトや各種フェライト等の磁性粒子の表面を樹脂で被覆したものが一般に用いられている。キャリア芯材としての磁性粒子には、良好な磁気的特性と共に、トナーに対する良好な摩擦帯電特性が要求される。このような特性を満たすキャリア芯材として種々のものが提案されている。
例えば特許文献1では、Srを含有し、特定の形状と磁気特性とを有する電子写真現像用フェライトキャリア芯材が提案されている。
特開2012−159642号公報
しかしながら、上記提案のキャリア芯材では昨今における複写機等の画像形成装置に対応できない場合がある。例えば、1分間に60〜70枚の画像を形成することができるいわゆる高速機の画像形成装置等において、長期にわたる使用によってキャリア芯材表面を被覆している樹脂が剥がれ落ちると、キャリア芯材の抵抗が低下してトナーの帯電不良を招きトナー飛散の原因となるおそれがある。そこで、キャリア芯材の帯電特性を高めるためにSr成分の含有量を多くすることも考えられるが、Sr成分含有量が多いと磁力低下を招きキャリア飛散の原因となるおそれがある。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、磁気特性の低下を抑えながら帯電性を高めたキャリア芯材を提供することにある。
また本発明の他の目的は、長期間の使用においてもキャリア飛散やトナー飛散といった不具合を招くことなく、安定して良好な画質の画像を形成することができる電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤を提供することにある。
前記目的を達成する本発明に係るキャリア芯材は、Sr元素とFe元素とを含む層状ペロブスカイト型結晶構造の複合酸化物相とスピネル型結晶構造相とを有することを特徴とする。
ここで、前記の層状ペロブスカイト型結晶構造はRuddlesden−Popper型結晶構造であるのが好ましい。
また、前記複合酸化物相におけるSr元素とFe元素の総量に対するSr元素の割合は52mol%以上であるのが好ましい。
前記複合酸化物相の組成としては、SrFe及びSrFeOの少なくとも一方であるのが好ましい。
また前記構成において、Sr元素の含有量は0.5質量%〜4.1質量%の範囲であるのが好ましい。なお、本明細書において示す「〜」は、特に断りのない限り、その前後に記載の数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
また本発明によれば、前記のいずれかに記載のフェライト粒子の表面が樹脂で被覆されていることを特徴とする電子写真現像用キャリアが提供される。
そしてまた本発明によれば、前記の電子写真現像用キャリアとトナーとを含む電子写真用現像剤が提供される。
本発明のキャリア芯材は、所望の磁気特性を維持しながら優れた帯電性を有しており、キャリア飛散及びトナー飛散といった不具合が抑制される。
また本発明の電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤によれば、長期間の使用においてもキャリア飛散やトナー飛散といった不具合を招くことなく、安定して良好な画質の画像を形成することができる
実施例1,2及び比較例2,4のキャリア芯材の粉末X線回折(XRD)パターンを示す図である。 本発明に係る電子写真用現像剤を用いた現像装置の一例を示す概説図である。
本発明者等は、スピネル型結晶構造相を有するフェライト粒子からなるキャリア芯材が所望の磁力を有し且つ高い帯電性を有することができないか鋭意検討を重ねた結果、Sr成分を含有させることによって帯電性が高められること、そしてSr元素を特定の結晶構造を有する複合酸化物相として存在させることによって、Sr成分を含有させることによるキャリア芯材の磁力低下を抑制できることを見出し本発明をなすに至った。
スピネル型結晶構造相を有するフェライト粒子に前記の複合酸化物相を存在させるには、Sr元素とFe元素とを含む層状ペロブスカイト型結晶構造を有する複合酸化物を予め作製し、この複合酸化物をフェライト粒子の製造原料に添加する方法(内添加方法)あるいは前記複合酸化物をフェライト粒子の粒子本体(母材粒子)に外部添加し表面に付着させる方法(外添加方法)がある。これらフェライト粒子の具体的製造方法は後段で詳述する。
本発明におけるスピネル型結晶構造相の組成に特に限定はなく、例えば、一般式MFe3−X(但し、MはMg,Mn,Ti,Cu,Zn,Niなどの金属,0<X<1)で表される組成が挙げられる。これらの中でもMnフェライト及びMnMgフェライトが好適に使用される。
本発明における層状ペロブスカイト型結晶構造は、一般式A(b=a+1、c=3b+1)で表されるRuddlesden−Popper型結晶構造、またはA(b=a、c=3b+1)で表されるDion−Jacobson型結晶構造である。これらの中でもRuddlesden−Popper型結晶構造が好ましい。ここで前述の一般式において、AにはLi、Na、K、Mg,Ca、Sr、Baが含まれ、BにはFe、Mn,Ti,Zr、Nb、Ta、Alが含まれ、Oは酸素元素のことである。AはSrが好ましく、BはFeが好ましい。
すなわち、本発明に係る層状ペロブスカイト型結晶は、一般式A(b=a+1、c=3b+1)またはA(b=a、c=3b+1)で表される層状ペロブスカイト型結晶構造であり、前記Aの元素と、A、B、Oからなる単純ペロブスカイト結晶構造との層状からなるものである。例えば、AがSrであり、BがFeである場合における層状ペロブスカイト型結晶構造とは、単純ペロブスカイト(SrFeO)を基礎としたシート状の結晶格子の上下にSr元素が入り込み、交互に積層している結晶構造をいう。
Ruddlesden−Popper型結晶構造を有するSr元素とFe元素とを含む複合酸化物相の組成は、SrFeO、SrFe、SrFe10などが挙げられる。これらの中でもSrFeOとSrFeとが好ましい。
本発明における層状ペロブスカイト型結晶構造は積層した層構造を持つため、SrFeなどの層状でないペロブスカイトや、SrFe1219などのペロブスカイト格子を持たない複合酸化物に比べ、電子供受性が高まり、トナー帯電特性が向上する。Sr元素とFe元素の総量に対するSr元素の割合が52mol%以上含まれることによって、当該層構造における積層数を増やすことができ、帯電特性をより向上できる。
また、本発明のキャリア芯材におけるSr元素の含有量としては0.5質量%以上4.1質量%以下であるのが好ましい。層状ペロブスカイト量は0.8質量%以上6.9質量%以下であるのが好ましい。Sr元素の含有量及び層状ペロブスカイト量をこの範囲とすることによって、磁力低下の抑制と帯電性の向上を一層図ることができる。
本発明のキャリア芯材の形状は真球状とは限らず、楕円球状、針状形状でも良く、表面も平滑でなくても良く、表面に凹凸、穴などがあっても良い。酸化処理など表面処理を施した粒子にも適用可能である。
本発明におけるキャリア芯材の粒径に特に限定はないが、体積平均粒子径で20μm〜50μmの範囲が好ましく、粒度分布はシャープであるのが好ましい。
また、前記複合酸化物をフェライト粒子の粒子本体に外部添加し表面に存在させた場合の、前記複合酸化物相の相厚としては特に限定はなく、粒子本体の粒径等を考慮し適宜決定すればよいが、通常、0.1μm以上が好ましい。前記複合酸化物相は、粒子本体の表面上に形成するため、その形状は粒子本体の外形に沿った相形状となる。すなわち、フェライト粒子の粒子本体の表面の凹凸と、前記複合酸化物相の表面とは、ほぼ同一の凹凸形状となる。
(複合酸化物の製造方法)
本発明で使用する前記複合酸化物は例えば次のようにして製造される。Fe成分原料、Sr成分原料を秤量し、原料混合粉を作製する。なお、Fe成分原料としては、Fe等が好適に使用される。Sr成分原料としてはSrCO、Sr(NO等が使用できる。そして、原料を分散媒中に投入しスラリーを作製する。分散媒には、必要によりバインダー、分散剤等を配合してもよい。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが好適に使用できる。バインダーの配合量としてはスラリー中の濃度が0.5質量%〜2質量%程度とするのが好ましい。また、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム等が好適に使用できる。分散剤の配合量としてはスラリー中の濃度が0.5質量%〜2質量%程度とするのが好ましい。その他、潤滑剤や焼結促進剤等を配合してもよい。スラリーの固形分濃度は50質量%〜90質量%の範囲が望ましい。より好ましくは60質量%〜80質量%である。
次に、以上のようにして作製されたスラリーを湿式粉砕する。例えば、ボールミルや振動ミルを用いて所定時間湿式粉砕する。粉砕後の原材料の平均粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下である。振動ミルやボールミルには、所定粒径のメディアを内在させるのがよい。メディアの材質としては、鉄系のクロム鋼や酸化物系のジルコニア、チタニア、アルミナなどが挙げられる。粉砕工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。粉砕物の粒径は、粉砕時間や回転速度、使用するメディアの材質・粒径などによって調整される。
そして、粉砕されたスラリーを噴霧乾燥させて造粒する。具体的には、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機にスラリーを導入し、雰囲気中へ噴霧することによって球状に造粒する。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100℃〜300℃の範囲が好ましい。これにより、粒径10μm〜75μmの球状の造粒物が得られる。なお、得られた造粒物は、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去し粒度分布をシャープなものとするのが望ましい。
次に、造粒物を所定温度に加熱した炉に投入して、Sr元素とFe元素の複合酸化物(フェライト)を合成するための一般的な手法で焼成する。焼成温度としては900℃〜1500℃の範囲が好ましい。焼成温度が900℃以下であると、相変態が起こりにくくなるとともに焼結も進みにくくなる。また、焼成温度が1500℃を超えると、過剰焼結による過大結晶の発生がするおそれがある。前記焼成温度に至るまでの昇温速度としては250℃/h〜500℃/hの範囲が好ましい。このようにして得られたSr元素とFe元素の複合酸化物を必要により解粒する。
次に、本発明のキャリア芯材を構成するフェライト粒子の製造方法について説明する。フェライト粒子の製造方法に特に限定はないが、以下に説明する製造方法が好適である。
(第1の製造方法:外部添加方法)
スピネル型結晶構造を有するフェライト粒子本体と、Sr元素とFe元素の複合酸化物粉末とを混合してフェライト粒子本体の表面に複合酸化物粉末を付着させる。複合酸化物粉末の平均粒径はフェライト粒子本体の平均粒径よりの1/10以下であるのが望ましい。フェライト粒子本体と複合酸化物粉末との混合は、V型混合機など従来公知の混合機を用いることができる。混合時間は、フェライト粒子本体の表面に複合酸化物粉末が付着する限りにおいて特に限定はないが、通常、数時間程度である。
次いで、得られた混合物を200℃以上600℃以下の範囲に加熱した炉に投入して加熱処理し、複合酸化物粉末をフェライト粒子本体の表面に固着させる。加熱温度が200℃未満であると、複合酸化物粉末のフェライト粒子本体の表面への固着が不十分となるおそれがある一方、600℃を超えるとフェライト粒子本体が酸化され磁力が低下するおそれがある。炉内の酸素濃度については特に限定はなく、通常、100ppm〜21%の範囲が好ましい。
次に、フェライト粒子本体の表面に固着されていない複合酸化物粉末を取り除く。未固定化の複合酸化物粉末の除去方法に特に限定はないが、風力分級や湿式サイクロンなどの遠心力を利用する分級処理が好適に用いられる。風力分級処理では、差圧(mmHO)を高くすることによって複合酸化物粉末を除去する力を強くできる。また、分級処理を複数回繰り返し行うことによっても未固定の複合酸化物粉末を確実に除去又は被覆量を制御することができる。
(第2の製造方法:内部添加方法)
Fe成分原料、M成分原料、前記のSr原料とFe原料の複合酸化物粉末を秤量し、原料混合粉を作製する。なお、MはMg、Mn、Ca、、Cu、Zn、Ni等の2価の金属元素から選ばれる少なくとも1種の金属元素である。また、必要によりTi成分原料などを添加する。Fe成分原料としては、Fe等が好適に使用される。M成分原料としては、MnであればMnCO、Mn等が使用でき、MgであればMgO、Mg(OH)、MgCOが好適に使用できる。また、Ca成分原料としては、CaO、Ca(OH)、CaCO等から選択される少なくとも1種の化合物が好適に使用される。また、Ti成分原料としてはTiOが好適に使用される
次いで、作製した原料混合粉を仮焼成する。仮焼成の温度としては750℃〜900℃の範囲が好ましい。750℃以上であれば、仮焼による一部フェライト化が進み、焼成時のガス発生量が少なく、固体間反応が十分に進むため、好ましい。一方、900℃以下であれば、仮焼による焼結が弱く、後のスラリー粉砕工程で原料を十分に粉砕できるので好ましい。また、仮焼成時の雰囲気としては大気雰囲気が好ましい。
そして、仮焼成した原料を解粒して分散媒中に投入しスラリーを作製する。本発明で使用する分散媒としては水が好適である。分散媒には、前記仮焼成原料の他、必要によりバインダー、分散剤等を配合してもよい。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが好適に使用できる。バインダーの配合量としてはスラリー中の濃度が0.5質量%〜2質量%程度とするのが好ましい。また、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム等が好適に使用できる。分散剤の配合量としてはスラリー中の濃度が0.5質量%〜2質量%程度とするのが好ましい。その他、潤滑剤や焼結促進剤等を配合してもよい。スラリーの固形分濃度は50質量%〜90質量%の範囲が望ましい。より好ましくは60質量%〜80質量%である。
次に、以上のようにして作製されたスラリーを湿式粉砕する。例えば、ボールミルや振動ミルを用いて所定時間湿式粉砕する。粉砕後の原材料の平均粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下である。振動ミルやボールミルには、所定粒径のメディアを内在させるのがよい。メディアの材質としては、鉄系のクロム鋼や酸化物系のジルコニア、チタニア、アルミナなどが挙げられる。粉砕工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。粉砕物の粒径は、粉砕時間や回転速度、使用するメディアの材質・粒径などによって調整される。
そして、粉砕されたスラリーを噴霧乾燥させて造粒する。具体的には、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機にスラリーを導入し、雰囲気中へ噴霧することによって球状に造粒する。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100℃〜300℃の範囲が好ましい。これにより、粒径10μm〜200μmの球状の造粒物が得られる。なお、得られた造粒物は、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去し粒度分布をシャープなものとするのが望ましい。
次に、造粒物を所定温度に加熱した炉に投入して、フェライトを合成するための一般的な手法で焼成する。焼成温度としては900℃〜1500℃の範囲が好ましい。焼成温度が900℃以下であると、相変態が起こりにくくなるとともに焼結も進みにくくなる。また、焼成温度が1500℃を超えると、過剰焼結による過大結晶の発生がするおそれがある。前記焼成温度に至るまでの昇温速度としては250℃/h〜500℃/hの範囲が好ましい。
このようにして得られたフェライト粒子を必要により解粒してキャリア芯材とする。具体的には、例えば、ハンマーミル等によって焼成物を解粒する。解粒工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。そして、必要により、粒径を所定範囲に揃えるため分級を行ってもよい。分級方法としては、風力分級や篩分級など従来公知の方法を用いることができる。また、風力分級機で1次分級した後、振動篩や超音波篩で粒径を所定範囲に揃えるようにしてもよい。さらに、分級工程後に、磁場選鉱機によって非磁性粒子を除去するようにしてもよい。キャリア芯材の粒径としては20μm〜60μmの範囲が好ましい。
その後、必要に応じて、分級後のキャリア芯材を酸化性雰囲気中で加熱して、キャリア芯材の粒子表面に酸化被膜を形成して粒子の高抵抗化を図ってもよい(高抵抗化処理)。酸化性雰囲気としては大気雰囲気又は酸素と窒素の混合雰囲気のいずれでもよい。また、加熱温度は、200〜800℃の範囲が好ましく、250〜600℃の範囲がさらに好ましい。加熱時間は0.5時間〜5時間の範囲が好ましい。
以上のようにして作製したフェライト粒子から構成される本発明のキャリア芯材の表面を樹脂で被覆して電子写真現像用キャリアとする。
キャリア芯材の表面を被覆する樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリ塩化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリスチレン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、並びにポリ塩化ビニル系やポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エストラマー、フッ素シリコーン系樹脂などが挙げられる。
キャリア芯材の表面を樹脂で被覆するには、樹脂の溶液又は分散液をキャリア芯材に施せばよい。塗布溶液用の溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などの1種又は2種以上を用いることができる。塗布溶液中の樹脂成分濃度は、一般に0.001〜30質量%、特に0.001〜2質量%の範囲内にあるのがよい。
キャリア芯材への樹脂の被覆方法としては、例えばスプレードライ法や流動床法あるいは流動床を用いたスプレードライ法、浸漬法等を用いることができる。これらの中でも、少ない樹脂量で効率的に塗布できる点で流動床法が特に好ましい。樹脂被覆量は、例えば流動床法の場合には吹き付ける樹脂溶液量や吹き付け時間によって調整することができる。
キャリアの粒子径は、一般に体積平均粒子径で25〜50μmのものが好ましい。またキャリアの見掛け密度は、磁性材料を主体とする場合は磁性体の組成や表面構造等によっても相違するが、一般に1.5〜3.0g/cmの範囲が好ましい。
本発明に係る電子写真用現像剤は、以上のようにして作製したキャリアとトナーとを混合してなる。キャリアとトナーとの混合比に特に限定はなく、使用する現像装置の現像条件などから適宜決定すればよい。一般に現像剤中のトナー濃度は1〜20質量%の範囲が好ましい。トナー濃度が1質量%未満の場合、画像濃度が薄くなりすぎ、他方トナー濃度が20質量%を超える場合、現像装置内でトナー飛散が発生し機内汚れや転写紙などの背景部分にトナーが付着する不具合が生じるおそれがあるからである。より好ましいトナー濃度は3〜15質量%の範囲である。
本発明で使用するトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを有してなる。結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系重合体、塩素化ポリスチレン、ホリプロピレン、アイオノマー等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステルなどを挙げることができる。
本発明で使用する結着樹脂はガラス転移温度が45〜90℃の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度が45℃未満の場合、トナーカートリッジや現像機内で固まるおそれがあり、他方90℃を超える場合、転写材へのトナーの定着が不十分となることがある。
前記結着樹脂中に含有させる着色剤としては、例えば、黒色顔料として、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;黄色顔料として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ;橙色顔料として、赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK;赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B;紫色顔料として、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG;白色顔料として、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛;白色顔料として、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を使用できる。上記着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部当り2〜20重量部の範囲が好ましく、より好ましくは5〜15重量部の範囲である。
上記結着樹脂中に含有される離型剤としては、各種ワックス類や低分子量オレフィン系樹脂等が挙げられる。オレフィン系樹脂は数平均分量(Mn)が1000〜10000、特に2000〜6000の範囲にあるものがよい。オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体が使用されるが、ポリプロピレンが特に好適である。
電荷制御剤としては、一般に使用されている電荷制御剤が使用される。正帯電性の電荷制御剤としては、例えばニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、有機金属化合物等を使用でき、負帯電性の電荷制御剤としては、例えば金属錯塩染料やサリチル酸誘導体などを使用できる。
本発明で使用するトナーは、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、重合法等のそれ自体公知の方法で製造し得るが、粉砕分級法が一般的である。粉砕分級法について説明すると、上記結着樹脂と、着色剤、電荷制御剤、離型剤などのトナー成分とを、ヘンシェルミキサー等の混合機で前混合したのち、二軸押出機等の混練装置を用いて混練し、この混練組成物を冷却した後、粉砕し、必要により分級してトナーとする。
トナーの粒径は、一般にコールターカウンターによる体積平均粒子径が5μm〜15μm、特に7μm〜12μmの範囲内にあるのがよい。
トナー粒子の表面には、必要により改質剤を添加することができる。改質剤としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
キャリアとトナーとの混合は、従来公知の混合装置を用いることができる。例えばヘンシェルミキサー、V型混合機、タンブラーミキサー、ハイブリタイザー等を用いることができる。
本発明の現像剤を用いた現像方法に特に限定はないが、磁気ブラシ現像法が好適である。図2に、磁気ブラシ現像を行う現像装置の一例を示す概説図を示す。図2に示す現像装置は、複数の磁極を内蔵した回転自在の現像ローラ3と、現像部へ搬送される現像ローラ3上の現像剤量を規制する規制ブレード6と、水平方向に平行に配置され、互いに逆向きに現像剤を撹拌搬送する2本のスクリュー1,2と、2本のスクリュー1,2の間に形成され、両スクリューの両端部において、一方のスクリューから他方のスクリューに現像剤の移動を可能とし、両端部以外での現像剤の移動を防ぐ仕切板4とを備える。
2本のスクリュー1,2は、螺旋状の羽根13,23が同じ傾斜角で軸部11,21に形成されたものであって、不図示の駆動機構によって同方向に回転し、現像剤を互いに逆方向に搬送する。そして、スクリュー1,2の両端部において一方のスクリューから他方のスクリューに現像剤が移動する。これによりトナーとキャリアからなる現像剤は装置内を常に循環し撹拌されることになる。
一方、現像ローラ3は、表面に数μmの凹凸を付けた金属製の筒状体の内部に、磁極発生手段として、現像磁極N、搬送磁極S、剥離磁極N、汲み上げ磁極N、ブレード磁極Sの5つの磁極を順に配置した固定磁石を有してなる。現像ローラ3が矢印方向に回転すると、汲み上げ磁極Nの磁力によって、スクリュー1から現像ローラ3へ現像剤が汲み上げられる。現像ローラ3の表面に担持された現像剤は、規制ブレード6により層規制された後、現像領域へ搬送される。
現像領域では、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアス電圧が転写電圧電源8から現像ローラ3に印加される。バイアス電圧の直流電圧成分は、感光体ドラム5表面の背景部電位と画像部電位との間の電位とされる。また、背景部電位と画像部電位とは、バイアス電圧の最大値と最小値との間の電位とされる。バイアス電圧のピーク間電圧は0.5〜5kVの範囲が好ましく、周波数は1〜10kHzの範囲が好ましい。またバイアス電圧の波形は矩形波、サイン波、三角波などいずれであってもよい。これによって、現像領域においてトナー及びキャリアが振動し、トナーが感光体ドラム5上の静電潜像に付着して現像がなされる。
その後現像ローラ3上の現像剤は、搬送磁極Sによって装置内部に搬送され、剥離電極Nによって現像ローラ3から剥離して、スクリュー1,2によって装置内を再び循環搬送され、現像に供していない現像剤と混合撹拌される。そして汲み上げ極Nによって、新たに現像剤がスクリュー1から現像ローラ3へ供給される。
なお、図2に示した実施形態では現像ローラ3に内蔵された磁極は5つであったが、現像剤の現像領域での移動量を一層大きくしたり、汲み上げ性等を一層向上させるために、磁極を8極や10極、12極と増やしてももちろん構わない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(フェライト粒子本体の製造例)
原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)17.13kg、Mn(平均粒径:0.9μm)6.69kgを純水6.2kg中に分散し、還元剤としてカーボンブラックを156g、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を148g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜75μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から粒径25μm以下の微小な粒子は篩を用いて除去した。
この造粒物を電気炉に投入し1200℃まで4.5時間かけて昇温し、1200℃で3時間保持し、その後室温まで8時間かけて冷却した。昇温時、保持時及び冷却時の酸素濃度は5000ppmとした。
得られた焼成物を振動ふるいで分級することにより平均粒径38.0μmのフェライト粒子本体を得た。
(SrFe粉末の製造例)
原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)2.12kg、SrCO(平均粒径:30μm)5.88kgを純水8.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を30g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜75μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物を電気炉に投入し1300℃まで4.5時間かけて昇温し、1300℃で3時間保持し、8時間かけて室温まで冷却した。昇温、保持及び冷却は空気中で行った。
得られた焼成物を振動ボールミルを用いて、150分間粉砕し、SrFe粉末を得た。SrFe粉末の体積平均粒径D50は2.0μmであった。その結晶構造は層状ペロブスカイト構造を有し、Ruddlesden−Popper型であった。
(SrFeO粉末の製造例)
原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)1.70kg、SrCO(平均粒径:30μm)6.30kgを純水8.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を10g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜75μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物を電気炉に投入し1300℃まで4.5時間かけて昇温し、1300℃で3時間保持し、8時間かけて室温まで冷却した。昇温、保持及び冷却は空気中で行った。
得られた焼成物を振動ボールミルを用いて、150分間粉砕し、SrFeO粉末を得た。SrFeO粉末の体積平均粒径D50は2.3μmであった。その結晶構造は層状ペロブスカイト構造を有し、Ruddlesden−Popper型であった。
(SrFe1219粉末の製造例)
原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)6.93kg、SrCO(平均粒径:30μm)1.07kgを純水8.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を30g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜75μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物を電気炉に投入し1200℃まで4.5時間かけて昇温し、1200℃で3時間保持し、8時間かけて室温まで冷却した。昇温、保持及び冷却は空気中で行った。
得られた焼成物を振動ボールミルで150分間粉砕し、SrFe1219粉末を得た。SrFe1219粉末の体積平均粒径D50は2.3μmであった。その結晶構造は、マグネトブランバイト型結晶構造であった。
(SrFe粉末の製造例)
原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)2.81kg、SrCO(平均粒径:30μm)5.19kgを純水8.0kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を30g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜75μmの乾燥造粒物を得た。
この造粒物を電気炉に投入し1200℃まで4.5時間かけて昇温し、1200℃で3時間保持し、8時間かけて室温まで冷却した。昇温、保持及び冷却は空気中で行った。
得られた焼成物を振動ボールミルを用いて、150分間粉砕し、SrFe粉末を得た。SrFe粉末の体積平均粒径D50は3.4μmであった。その結晶構造は、ブラウンミラーライト型のペロブスカイト構造(非層状構造のペロブスカイト結晶構造)であった。
(実施例1)
前記で得られたフェライト粒子本体985gとSrFe粉末15gとをV型混合機を用いて300分間混合処理を行った後、混合物を電気炉に投入し800℃まで4.5時間かけて昇温し、800℃で3時間保持し、その後室温まで8時間かけて冷却した。昇温、保持及び冷却は空気中で行った。
次いで、得られた加熱処理物を風力分級機(NIPPON PNEUMATIC MFG社製「MDS−2」)にて1回処理しキャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の複合酸化物相、Sr含有量、磁気特性、帯電量を後述する方法で測定した。表1に測定結果をまとめて示す。また、図1に、得られたキャリア芯材の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。このXRDパターンからSrFeの存在が確認された。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0.9質量%であった。
また、得られたキャリア芯材の表面を樹脂で被覆してキャリアを作製した。具体的には、シリコーン樹脂450質量部と、(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン9質量部とを、溶媒としてのトルエン450質量部に溶解してコート溶液を作製した。このコート溶液を、流動床型コーティング装置を用いてキャリア芯材50000質量部に塗布し、温度300℃の電気炉で加熱してキャリアを得た。以下の実施例、比較例についても同様にしてキャリアを得た。
得られたキャリアと平均粒径5.0μm程度のトナーとを、ポットミルを用いて所定時間混合し、二成分系の電子写真用現像剤を得た。なお、トナー質量/(トナー質量+キャリア質量)=5/100となるように調整した。以下、全ての実施例及び比較例についても同様にして現像剤を作製した。得られた電子写真用現像剤についてキャリア飛散及びトナー飛散の発生状況の評価を行った。評価結果を表1に合わせて示す。
(実施例2)
Sr原料はSrFeO粉末を用いて、フェライト粒子985gとSrFeO粉末15gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。また図1に、得られたキャリア芯材の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。このXRDパターンからSrFeOの存在が確認された。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0.8質量%であった。
(実施例3)
フェライト粒子980gとSrFe粉末20gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は1.7質量%であった。
(実施例4)
フェライト粒子960gとSrFe粉末40gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は3.3質量%であった。
(実施例5)
フェライト粒子920gとSrFe粉末80gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は6.8質量%であった。
(実施例6)
フェライト粒子960gとSrFeO粉末40gを混合とした以外は実施例2と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は3.4質量%であった。
(実施例7)
フェライト粒子920gとSrFeO粉末80gを混合とした以外は実施例2と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は6.9質量%であった。
(実施例8)
原料を純水に分散する際にSrFeO粒子1.69kgを加えた以外はフェライト粒子の製造例と同様の方法で、キャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は6.9質量%であった。
(比較例1)
Sr原料を添加しなかった以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0質量%であった。
(比較例2)
Sr原料はSrCO粉末を用いて、フェライト粒子990gとSrCO粉末10gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。また図1に、得られたキャリア芯材の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。このXRDパターンからSrFe1219の存在が確認された。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0質量%であった。
(比較例3)
Sr原料はSrFe1219粉末を用いて、フェライト粒子930gとSrFe1219粉末70gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0質量%であった。
(比較例4)
Sr原料はSrFe粉末を用いて、フェライト粒子985gとSrFeO粉末15gを混合とした以外は実施例1と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。また図1に、得られたキャリア芯材の粉末X線回折(XRD)パターンを示す。このXRDパターンからSrFeの存在が確認された。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0質量%であった。
(比較例5)
フェライト粒子500gとSrFe1219粉末500gを混合とした以外は比較例3と同様の方法でキャリア芯材を得た。得られたキャリア芯材の物性測定及び現像剤評価を実施例1と同様にして行った。表1に測定結果をまとめて示す。後述する方法で求められる芯材の層状ペロブスカイト量は0質量%であった。
(粉末X線回折パターンの測定)
粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を用いて測定した。X線源をコバルト、加速電圧を40kV、電流を30mA、発散スリット開口角を1/2°、散乱スリット開口角を1/2°、受光スリット幅を0.15mm、走査モードをFT、ステップ幅を0.01°、計数時間を5秒、積算回数を1回として、X線回折パターンを測定した。
(Sr元素含有量)
フェライト粒子を酸溶液中で溶解しICP発光分析装置(島津製作所社製「ICPS−7510」)による定量分析から算出した。なお、Sr元素の含有量はフェライト粒子に対する質量%のこのとである。
(層状ペロブスカイト量)
芯材の含まれる層状ペロブスカイト量は下記式から求めた。
層状ペロブスカイト量(質量%)=A÷B×100
A:芯材に含まれるSr元素含有量(質量%)、
B:層状ペロブスカイト相のSr元素とFe元素の総量に対するSr元素の割合(%)
(平均粒径D50
キャリア芯材の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装社製「マイクロトラックModel9320−X100」)を用いて測定した。
(磁気特性)
室温専用振動試料型磁力計(VSM)(東英工業社製「VSM−P7」)を用いて、外部磁場を0〜79.58×10A/m(10kエルステッド)の範囲で1サイクル連続的に印加して、79.58×10A/m(1kエルステッド)の磁場における磁化σ1kを測定した。
(帯電量)
キャリア芯材9.5g、市販のフルカラー機のトナー0.5gを100mlの栓付きガラス瓶に入れ、25℃、相対湿度50%の環境下で12時間放置して調湿する。調湿したキャリア芯材とトナーを振とう器で30分間振とうし混合する。ここで、振とう器については、株式会社ヤヨイ製のNEW−YS型を用い、200回/分、角度60°で行った。混合したキャリア芯材とトナーを500mg計量し、帯電量測定装置で帯電量を測定した。帯電量測定装置としては、日本パイオテク社製「STC-1-C1型」を用い、吸引圧力5.0kPa、吸引用メッシュはSUS製の795meshを用いた。同一サンプルについて2回の測定を行い、これらの平均値を帯電量とした。帯電量は下記式から算出される。
帯電量(μC/g)=実測電荷(nC)×10×係数(1.0083×10−3)÷トナー重量
(式中、トナー重量=(吸引前重量(g)−吸引後重量(g)))
(実機評価)
図2に示した構造の現像装置(現像ローラの周速度Vs:406mm/sec,感光体ドラムの周速度Vp:205mm/sec,感光体ドラム−現像ローラ間距離:0.3mm)に、作製した二成分現像剤を投入し、画像形成(印字率5%)を1000枚行った後、キャリア飛散及びトナー飛散を下記の手順及び基準で評価した。
キャリア飛散
白紙を1000枚印刷し、1000枚目の用紙における黒点の数を目視で判断した。評価基準は下記の通りである。
「○」:発見された黒点の数が1〜5個の場合
「×」:発見された黒点の数が11個以上の場合
トナー飛散
上記1,000枚の画像形成終了後、画像形成装置のカバーを開け、画像形成装置内のトナー汚れの程度を目視観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
「○」:大きなトナー汚れの発生なし
「×」:カバー外側でもトナー汚れが確認でき、画像形成装置内でもトナーの飛散が確認できる。
Mnフェライト相(スピネル型結晶構造)からなる粒子本体の表面に、SrFe粉末(層状ペロブスカイト型結晶構造)またはSrFeO粉末(層状ペロブスカイト型結晶構造)で構成される複合酸化物相が形成された実施例1〜7のキャリア芯材では、磁化σ1kは56.0Am/kg以上と高い磁力を維持しながら、帯電量も67.1μC/g以上と高い帯電特性を有していた。これにより、これらのキャリア芯材の表面を樹脂で被覆してキャリアとしたとき、キャリア飛散及びトナー飛散は実使用上まったく問題のない水準に抑えられていた。
また、Mnフェライト相(スピネル型結晶構造)と、SrFeO粉末(層状ペロブスカイト型結晶構造)からなる複合酸化物相とが粒子内に混在した実施例8のキャリア芯材でも、磁化σ1kが55.4Am/kg、帯電量が70.6μC/gと高い磁力及び帯電特性を有していた。そして、キャリアとしたとき、実施例1〜7と同様に、キャリア飛散及びトナー飛散は実使用上まったく問題のない水準に抑えられていた。
これに対して、Sr元素とFe元素との複合酸化物相を有しない比較例1のキャリア芯材では、磁化σ1kは68.3Am/kgと高かったものの、帯電量が15.6μC/gと低く、キャリアとして使用したときにトナー飛散が生じた。
また、Sr原料としてSrCO粉末を用いた比較例2のキャリア芯材では、製造工程における焼成段階でSrFe1219(マグネトプランバイト型結晶構造)が生成された結果、磁化σ1kは高かったものの、帯電量が低く、キャリアとして使用したときにトナー飛散が生じた。
Sr原料としてSrFe1219粉末(マグネトプランバイト型結晶構造)を用い、Sr含有量が3.5質量%と多かった比較例5のキャリア芯材では、磁化σ1k及び帯電量ともに低く、キャリアとして使用したときにキャリア飛散及びトナー飛散が生じた。
本発明のキャリア芯材は、所望の磁気特性を維持しながら優れた帯電性を有し有用である。
3 現像ローラ
5 感光体ドラム

Claims (7)

  1. Sr元素とFe元素とを含む層状ペロブスカイト型結晶構造の複合酸化物相とスピネル型結晶構造相とを有することを特徴とするキャリア芯材。
  2. 前記の層状ペロブスカイト型結晶構造がRuddlesden−Popper型結晶構造である請求項1に記載のキャリア芯材。
  3. 前記複合酸化物相におけるSr元素とFe元素の総量に対するSr元素の割合が52mol%以上である請求項1又は2に記載のキャリア芯材。
  4. 前記複合酸化物相の組成が、SrFe及びSrFeOの少なくとも一方である請求項1〜3のいずれかに記載のキャリア芯材。
  5. Sr元素の含有量が0.5質量%以上4.1質量%以下の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載のキャリア芯材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されていることを特徴とする電子写真現像用キャリア。
  7. 請求項6記載の電子写真現像用キャリアとトナーとを含む電子写真用現像剤。
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