JP5804656B2 - Mnフェライト粒子及びそれを用いた電子写真現像剤用キャリア、電子写真用現像剤 - Google Patents

Mnフェライト粒子及びそれを用いた電子写真現像剤用キャリア、電子写真用現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、Mnフェライト粒子及びそれを用いた電子写真現像剤用キャリア、電子写真用現像剤に関するものである。
電子写真方式を用いたファクシミリやプリンター、複写機などの画像形成装置では、粉体のトナーを感光体上の静電潜像に付着させてトナー像として可視像化し、このトナー像を用紙等に転写した後、加熱及び加圧して用紙等に溶融定着させている。ここで、現像剤としては、トナーのみからなる一成分系現像剤と、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤とに大別される。近年では、二成分系現像剤の方がトナーの帯電制御が容易で、安定して高画質を得られ、高速現像が可能であることから広く用いられている。
二成分系現像剤を用いた現像方式では、トナーとキャリアとを現像装置内で撹拌混合し、摩擦によってトナーを所定量まで帯電させる。そして、回転する現像スリーブに現像剤を供給し、現像スリーブ上で磁気ブラシを形成させて、磁気ブラシを介して感光体へトナーを電気的に移動させて感光体上の静電潜像を可視像化する。トナー移動後のキャリアは現像スリーブ上に残留し、現像装置内で再びトナーと混合される。このため、キャリアの特性として、磁気ブラシを形成する磁気特性と、所望の電荷をトナーに付与する帯電特性などが要求される。
例えば、特許文献1では、MnMgフェライト芯材において、MnO及び/又はMgOの一部をSrOで置換して、高い帯電性を得る技術が提案されている。
特開2011-180296号公報
ところが、Mnフェライト粒子にSrなどの元素を添加するとしても、帯電性は向上するものの、磁気特性が低下する問題があった。
そこで、本発明の目的は、高い帯電性を有すると同時に磁気特性の低下が抑えられたMnフェライト粒子を提供することにある。
また本発明の目的は、安定して高画質を得ることができる電子写真現像剤用キャリア及び電子写真用現像剤を提供することにある。
前記目的を達成する本発明に係るMnフェライト粒子は、スピネル結晶構造を有するMnフェライト粒子であって、X線回折パターンのリートベルト解析による、スピネル結晶構造中の酸素原子の位置を示すパラメーターu(以下、「酸素パラメーターu」と記すことがある)が0.385以上であり、結晶子径が500Å以上であることを特徴とする。
なお、酸素パラメーターuの測定方法は後述の実施例において説明する。
また、帯電性をより向上させる観点からは、Mg,Ca,Ti,Cu,Zn,Sr,Niからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を総量で0.5wt%以下含有させるのが好ましい。
また、本発明によれば、前記のいずれかに記載のMnフェライト粒子の表面を樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリアが提供される。
さらに、本発明によれば、前記記載の電子写真現像用キャリアとトナーとを含むことを特徴とする電子写真用現像剤が提供される。
本発明に係るフェライト粒子によれば、磁気特性の低下が抑制されるとともに、高い帯電性が得られる。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア及び電子写真用現像剤によれば画像形成速度の高速化に対応することができると共に、安定して高画質を得ることができる。
本発明の大きな特徴は、酸素パラメーターuを0.385以上としたことにある。すなわち、Mnフェライト粒子のスピネル結晶構造において、従来よりもAサイトの周囲の酸素原子が<111>方向に広がっていることが特徴である。これにより、Mnフェライト粒子の帯電性が向上する。結晶構造を変化させることによって帯電性が向上する機構は今のところ十分には解明されていないが、発明者等は、スピネル結晶構造中において、Aサイトを中心とする酸素四面体が広がり、結晶に歪みが生じることで誘電分極が起こりやすくなって帯電性が向上するのではないかと推測している。なお、スピネル結晶構造の場合、酸素パラメーターuの理論値は0.375であるが、一般的な磁性フェライトについては0.380程度が報告されている。
酸素パラメーターuは、例えば、Mnフェライト粒子の製造工程における焼成条件によって調整することができる。後述するように、例えば、焼成温度を繰り返し変動させると、原子の移動が活発になるとともに結晶構造が変化しやすくなり、酸素パラメーターuが変化する。
また、本発明に係るMnフェライト粒子の結晶子径は500Å以上である。結晶子径が500Å以上の場合、結晶に欠陥等がなく粒子の帯電性が向上するからである。
本発明に係るMnフェライト粒子において、Mg,Ca,Ti,Cu,Zn,Sr,Niからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有させるのが好ましく、これらの中でもMg、Ca,Srの少なくとも1種の金属元素を含有させるのがより好ましい。これらの金属元素を含有させることによって帯電性が向上する。前記金属元素の含有量としては総量で0.5wt%以下が好ましい。前記金属元素の含有量が総量で0.5wt%を超えると磁気特性が低下するおそれがあるからである。より好ましい前記金属元素の含有量は総量で0.4wt%以下である。
本発明に係るフェライト粒子の体積平均粒子径としては10μm〜100μmの範囲が好ましい。体積平均粒子径が10μm以上あることで、粒子のそれぞれに必要な磁力が確実に付与され、例えば、フェライト粒子を電子写真現像用キャリアとして用いた場合に、感光体へのキャリア付着が抑制されるようになる。一方、体積平均粒子径が100μm以下であることで、画像特性を良好に保つことができるようになる。フェライト粒子の平均粒子径を上記範囲とするには、フェライト粒子の製造工程中または製造工程後に篩等を用いて分級処理を行えばよい。また、粒径分布はシャープであるのが好ましい。
本発明に係るフェライト粒子の見掛け密度としては2.5g/cm以下であるのが好ましい。見掛け密度が2.5g/cm以下であることで、例えば、フェライト粒子をキャリア芯材として用いた場合に、キャリアを含む現像剤の撹拌動力の軽減が図れるようになる。
本発明に係るフェライト粒子の、外部磁場79.58×10A/m(1000エルステッド)における磁化σ1kは60A・m/kg以上であるのが好ましい。フェライト粒子の磁化σ1kをこの範囲とすることで、例えば、フェライト粒子をキャリア芯材として用いた場合に、磁気ブラシの保磁力が十分に確保され、感光体にキャリアが付着する現象が抑制される。
本発明のフェライト粒子は各種用途に用いることができ、例えば、電子写真現像用キャリアや電磁波吸収材、電磁波シールド材用材料粉末、ゴム、プラスチック用充填材・補強材、ペンキ、絵具・接着剤用艶消材、充填材、補強材等として用いることができる。これらの中でも特に電子写真現像用キャリアとして好適に用いられる。
本発明のフェライト粒子の製造方法に特に限定はないが、以下に説明する製造方法が好適である。
まず、Fe原料と、Mn原料と、必要により前述の金属元素原料とを秤量して分散媒中に投入し混合してスラリーを作製する。Fe原料としては、Fe粉、Fe酸化物、Fe水酸化物等が使用でき、Mn原料としてはMnCO、Mn等が使用できる。また、前述の金属元素としてMgを含有させる場合には、例えば、MgCO、MgO、Mg(OH)等が、Caを含有させる場合には、例えば、CaCO、CaO、Ca(OH)等が、Srを含有させる場合には、例えば、SrCOが好適に使用される。なお、原料であるFe原料、Mn原料を分散媒に投入する前に、必要により、粉砕混合処理して仮焼成しておいてもよい。
本発明で使用する分散媒としては水が好適である。分散媒には、前記のFe原料、Mn原料などの他、必要によりバインダー、分散剤、還元剤等を配合してもよい。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが好適に使用できる。バインダーの配合量としてはスラリー中の濃度が0.5〜2wt%程度とするのが好ましい。また、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム等が好適に使用できる。分散剤の配合量としてはスラリー中の濃度が0.5〜2wt%程度とするのが好ましい。その他、潤滑剤や焼結促進剤等を配合してもよい。
次に、以上のようにして作製されたスラリーを必要により湿式粉砕する。例えば、ボールミルや振動ミルを用いて所定時間湿式粉砕する。粉砕後の原材料の平均粒径は50μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下である。振動ミルやボールミルには、所定粒径のメディアを内在させるのがよい。メディアの材質としては、鉄系のクロム鋼や酸化物系のジルコニア、チタニア、アルミナなどが挙げられる。粉砕工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。粉砕物の平均粒径は、粉砕時間や回転速度、使用するメディアの材質・粒径などによって調整される。
そして、粉砕されたスラリーを噴霧乾燥させて造粒する。具体的には、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機にスラリーを導入し、雰囲気中へ噴霧することによって球状に造粒する。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100〜300℃の範囲が好ましい。これにより、平均粒径10〜200μmの球状の造粒物が得られる。なお、得られた造粒物は、振動ふるい等を用いて、粗大粒子や微粉を除去し粒度分布をシャープなものとするのが望ましい。
次に、得られた造粒物を加熱した炉に投入し焼成させてフェライト粒子を生成させる。ここで、酸素パラメーターuが所定値以上の本発明に係るフェライト粒子を得るには、焼成温度を変化させることが推奨される。例えば、1000℃〜1400℃の温度範囲における所定の第1焼成温度まで昇温して数時間保持した後、温度を50℃〜500℃下げて第2焼成温度とし数時間保持する。その後、再び第1焼成温度として数時間保持した後、第2焼成温度として数時間保持する。このような第1焼成温度と第2焼成温度との焼成温度の変化を3〜5回繰り返すのが好ましい。そして、第2焼成温度から常温までフェライト粒子を徐々に冷却する。これにより、酸素パラメーターuが所定値以上に調整される。なお、低温で長時間(例えば数十時間)焼成することによっても、酸素パラメーターuを所定値以上に調整できる。
焼成時における炉内のガス雰囲気としては、目的とするフェライト相が生成するよう酸素濃度を調整することが望ましい。好ましくは、ヘリウム、窒素およびアルゴンガスなどの不活性ガスと酸素ガスや大気など酸化性ガスを混合し、酸素濃度を0.01〜21%程度とすることが好ましい。より好ましい範囲は、酸素濃度が0.01〜5%(100ppm〜50000ppm)である。
次に、フェライト粒子が互いに固着している場合には必要により解粒する。具体的には、例えば、ハンマーミル等によってフェライト粒子を解粒する。解粒工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。そして、必要により、粒径を所定範囲に揃えるため分級を行ってもよい。分級方法としては、風力分級や篩分級など従来公知の方法を用いることができる。また、風力分級機で1次分級した後、振動篩や超音波篩で粒径を所定範囲に揃えるようにしてもよい。さらに、分級工程後に、磁場選鉱機によって非磁性粒子を除去するようにしてもよい。
その後、必要に応じて、分級後のフェライト粒子を酸化性雰囲気中で加熱して、粒子表面に酸化被膜を形成させて高抵抗化を図ってもよい。酸化性雰囲気としては大気雰囲気及び酸素と窒素との混合雰囲気のいずれであってもよく、酸素濃度10%〜100%の雰囲気下がより好ましい。また、加熱温度は200℃〜700℃の範囲が好ましく、250℃〜600℃の範囲がさらに好ましい。加熱時間は0.5時間〜20時間の範囲が好ましい。
以上のようにして作製した本発明のフェライト粒子を、電子写真現像用キャリアとして用いる場合、フェライト粒子をそのまま電子写真現像用キャリアとして用いることもできるが、帯電性等の観点からは、フェライト粒子の表面を樹脂で被覆して用いるのが好ましい。
フェライト粒子の表面を被覆する樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリ塩化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリスチレン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、並びにポリ塩化ビニル系やポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エストラマー、フッ素シリコーン系樹脂などが挙げられる。
フェライト粒子の表面を樹脂で被覆するには、樹脂の溶液又は分散液をフェライト粒子に施せばよい。塗布溶液用の溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などの1種又は2種以上を用いることができる。塗布溶液中の樹脂成分濃度は、一般に0.0010wt%〜30wt%、特に0.0010wt%〜2wt%の範囲内にあるのがよい。
フェライト粒子への樹脂の被覆方法としては、例えばスプレードライ法や流動床法あるいは流動床を用いたスプレードライ法、浸漬法等を用いることができる。これらの中でも、少ない樹脂量で効率的に塗布できる点で流動床法が特に好ましい。樹脂被覆量は、例えば流動床法の場合には吹き付ける樹脂溶液量や吹き付け時間によって調整することができる。
本発明に係る電子写真用現像剤は、以上のようにして作製した電子写真現像用キャリアとトナーとを混合してなる。電子写真現像用キャリアとトナーとの混合比に特に限定はなく、使用する現像装置の現像条件などから適宜決定すればよい。一般に現像剤中のトナー濃度は1wt%〜20wt%の範囲が好ましい。トナー濃度が1wt%未満の場合、画像濃度が薄くなりすぎ、他方トナー濃度が20wt%を超える場合、現像装置内でトナー飛散が発生し機内汚れや転写紙などの背景部分にトナーが付着する不具合が生じるおそれがあるからである。より好ましいトナー濃度は3wt%〜15wt%の範囲である。
電子写真現像用キャリアとトナーとの混合は、従来公知の混合装置を用いることができる。例えばヘンシェルミキサー、V型混合機、タンブラーミキサー、ハイブリタイザー等を用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
実施例1
Mnフェライト粒子を下記方法で作製した。出発原料として、Fe(平均粒径:0.6μm)3.6kgと、Mn(平均粒径:2.0μm)1.4kgとを純水2.1kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を30g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜100μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から、粒径100μmを超える粗粒は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1250℃まで6時間かけて昇温した。その後、1250℃で1時間保持した後1150℃で1時間保持することを3回繰り返すよう炉内の温度を調整し、造粒物の焼成を行った。上記の温度サイクルの終了後、室温まで8時間かけて冷却を行なった。この間、電気炉内の酸素濃度は5000ppmとなるよう、酸素と窒素とを混合したガスを炉内に供給した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動ふるいを用いて分級して、平均粒径30μmのフェライト粒子を得た。得られたフェライト粒子の結晶構造解析を次のようにして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を求めた。また、フェライト粒子の磁気特性についても次のようにして測定した。表2に結果を示す。
(粉末XRD解析)
フェライト粒子の結晶構造をXRD回折の結果により求めた。フェライト粒子をメノウ乳鉢でストレスをかけないよう粉砕した後、RIGAKU製、ULTIMAIVを用いてXRDパターンを得た。XRD発生源はCu管球を使用し、印可電圧40kV、電流値40mAでX線を発生させた。測定条件は測定範囲15°〜100°(2θ)、計測時間は3秒/ステップ、ステップ幅は0.02°とし、積算回数5回で測定を行なった。
(結晶構造解析)
得られたXRDパターンに対してリートベルト解析を行いフェライト粒子の結晶構造を決定した。解析に使用したプログラムは、「RIETAN−2000」である。ここで、AサイトおよびBサイトへはそれぞれの表2中の元素を配置した。この状態で酸素パラメーターuを含む各種パラメータを変化させながら、結晶構造モデルより計算されるXRDパターンと測定されたXRDパターンとのフィッティングを評価した。
いずれの解析結果においても、1.0<S値<1.3を満たし良好なフィッティングが得られており、各実施例・比較例に関するフェライト粒子の結晶構造を精度よく表現していると考えられる。この結果より、酸素(O)の位置(u,u,u)を決定し、酸素パラメーターuとした。
(結晶子径の算出)
得られたXRDパターンに対して指数付けを行い、(311)面に相当するピークの半値幅よりScherrerの下記式(1)を用いて結晶子径Dを算出した。
D=k×λ/(β×cosθ)・・・・・・(1)
(式中、D:結晶子径(Å)、k:定数=0.9、λ:X線の波長(Å)、β:回折ピークの半値幅(rad)、θ:回折角(°))
(磁気特性)
室温専用振動試料型磁力計(VSM)(東英工業株式会社製、VSM−P7)を用いて、外部磁場:−10000〜10000(A/m×10/(4π))の範囲で1サイクル連続的に印加して、飽和磁化σs(A・m/kg)、磁化σ1k(A・m/kg)、残留磁化σr(A・m/kg)、保磁力Hc(A/m×10/(4π))を測定した。
(フェライト粒子の帯電量)
フェライト粒子9.5g、市販のフルカラー機のトナー0.5gを100mlの栓付きガラス瓶に入れ、25℃、相対湿度50%の環境下で12時間放置して調湿する。調湿したフェライト粒子とトナーを振とう器で30分間振とうし混合する。ここで、振とう器については、株式会社ヤヨイ製のNEW−YS型を用い、200回/分、角度60°で行った。混合したフェライト粒子とトナーを500mg計量し、帯電量測定装置で帯電量を測定した。帯電量測定装置としては、吸引分離式帯電量測定器セパソフト STC−1−C1型(商品名、三協パイオテク製)、吸引圧力5.0kPa、吸引用メッシュはSUS製の795meshを用いた。同一サンプルについて2回の測定を行い、これらの平均値を帯電量とした。帯電量は下記式から算出される。
帯電量(μC/g)=実測電荷(μC)÷トナー重量(g)
(式中、トナー重量=(吸引前重量(g)−吸引後重量(g)))
実施例2
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、CaCO(平均粒径:0.8μm)を25gとした以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を行い酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
実施例3
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、SrCO(平均粒径:1.2μm)を38gとした以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を行い酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
実施例4
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、MgCO(平均粒径:1.0μm)を70gとした以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を行い酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
実施例5
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.4kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.6kgとした以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を行い酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
実施例6
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.4kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.6kg、CaCO(平均粒径:0.8μm)を25gとした以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を行い酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
実施例7
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.4kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.6kg、SrCO(平均粒径:1.2μm)を50gとした以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を行い酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
実施例8
Mnフェライト粒子を下記方法で作製した。出発原料としてFe(平均粒径:0.6μm)3.6kgと、Mn(平均粒径:2.0μm)1.4kgと、SrCO(平均粒径:1.2μm)38gとを純水2.1kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を30g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜100μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から、粒径100μmを超える粗粒は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1150℃まで6時間かけて加熱した。その後、1150℃で48時間保持するよう炉内の温度を調整し、造粒物の焼成を行った。その後、室温まで8時間かけて冷却を行なった。この間、電気炉内の酸素濃度は5000ppmとなるよう、酸素と窒素とを混合したガスを炉内に供給した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動ふるいを用いて分級して、平均粒径30μmのフェライト粒子を得た。
そして、得られたフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を求めた。結果を表2に示す。
比較例1
Mnフェライト粒子を下記方法で作製した。出発原料として、Fe(平均粒径:0.6μm)3.6kgと、Mn(平均粒径:2.0μm)1.4kgとを純水2.1kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を30g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約130℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm〜100μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から、粒径100μmを超える粗粒は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1250℃まで6時間かけて加熱した。その後、1250℃で6時間保持するよう炉内の温度を調整し、造粒物の焼成を行った。その後、室温まで8時間かけて冷却を行なった。この間、電気炉内の酸素濃度は5000ppmとなるよう、酸素と窒素とを混合したガスを炉内に供給した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動ふるいを用いて分級して、平均粒径30μmのフェライト粒子を得た。
そして、得られたフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を求めた。結果を表2に示す。
比較例2
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、CaCO(平均粒径:0.8μm)を25gとした以外は比較例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
比較例3
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kgと、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、CaCO(平均粒径:0.8μm)を85gとした以外は比較例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
比較例4
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、赤燐(平均粒径:2.1μm)を50gとした以外は比較例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
比較例5
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.6kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.4kg、SrCO(平均粒径:1.2μm)を125gとした以外は比較例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
比較例6
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.4kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.6kg、CaCO(平均粒径:0.8μm)を25gとした以外は比較例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
比較例7
出発原料としてのFe(平均粒径:0.6μm)を3.4kg、Mn(平均粒径:2.0μm)を1.6kg、SrCO(平均粒径:1.2μm)を50gとした以外は比較例1と同様にしてフェライト粒子を作製した。そして、作製したフェライト粒子の結晶構造解析を実施例1と同様にして行い、酸素パラメーターu及び結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
本発明に係るフェライト粒子は、所望の磁気特性と高い帯電性とを有し、電子写真現像剤用キャリアとして用いると、画像形成速度の高速化に対応することができると共に、安定して高画質を得ることができ有用である。

Claims (4)

  1. スピネル結晶構造を有するMnフェライト粒子であって、
    X線回折パターンのリートベルト解析による、スピネル結晶構造中の酸素原子の位置を示すパラメーターuが0.385以上であり、
    結晶子径が500Å以上であることを特徴とするMnフェライト粒子。
  2. Mg,Ca,Ti,Cu,Zn,Sr,Niからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を総量で0.5wt%以下含有する請求項記載のMnフェライト粒子。
  3. 請求項1又は2に記載のMnフェライト粒子の表面を樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリア。
  4. 請求項記載の電子写真現像用キャリアとトナーとを含む電子写真用現像剤。
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