JP7075913B2 - キャリア芯材 - Google Patents

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Description

本発明はキャリア芯材などに関するものである。
例えば、電子写真方式を用いたファクシミリやプリンター、複写機などの画像形成装置では、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視像化し、この可視像を用紙等に転写した後、加熱・加圧して定着させている。高画質化やカラー化の観点から、現像剤としては、キャリアとトナーとを含むいわゆる二成分現像剤が広く使用されている。
二成分現像剤を用いた現像方式では、キャリアとトナーとを現像装置内で撹拌混合し、摩擦によってトナーを所定量まで帯電させる。そして、回転する現像ローラに現像剤を供給し、現像ローラ上で磁気ブラシを形成させて、磁気ブラシを介して感光体へトナーを電気的に移動させて感光体上の静電潜像を可視像化する。トナー移動後のキャリアは現像ローラ上に残留し、現像装置内で再びトナーと混合される。このため、キャリアの特性として、磁気ブラシを形成する磁気特性と、所望の電荷をトナーに付与する帯電特性および繰り返し使用における耐久性が要求される。
このようなキャリアとして、マグネタイトや各種フェライト等の磁性粒子の表面を樹脂で被覆したものが一般に用いられている。キャリア芯材としての磁性粒子には、良好な磁気的特性と共に、トナーに対する良好な摩擦帯電特性が要求される。
ところが、トナーに対する摩擦帯電特性を向上させるためにキャリアの電気抵抗を高く設計すると、感光体にトナーが移動した後(現像後)に現像ローラ上に残っているキャリアにカウンターチャージが蓄積して、キャリアの一部が感光体の非画像部(背景部)に付着する不具合(背景部キャリア付着)が生じることがあった。
そこで例えば特許文献1では、キャリア芯材の凹凸化を図って、キャリア芯材の表面を樹脂で被覆した後にキャリア芯材の一部が被覆樹脂の表面から露出するようにしてカウンターチャージの蓄積を抑制する手段が提案されている。
特開2017-156737号公報
近年の高画質化及び画像形成速度の高速化に伴って現像バイアスは高く設定される傾向にある。現像バイアスが従来よりも高く設定された場合、キャリアの絶縁破壊が発生し易くなる。そして絶縁破壊したキャリアに電荷が注入されてトナーと同一極性に帯電し感光体の画像部に付着する。感光体の画像部に付着したキャリアはスペーサー効果を奏してキャリア周辺のトナーが感光体から用紙に移動するのを阻害する。その結果、用紙転写画像中が白く抜ける不具合(画像中白抜け)が生じるおそれある。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、トレードオフの関係にある不具合、すなわち背景部キャリア付着と画像中白抜けとを同時に抑制可能なキャリア芯材の提供をその目的とするものである。
前記目的を達成する本発明に係るキャリア芯材は、静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとが下記式を満足することを特徴とする。
0(V)≦Vs-Vd≦300(V) ・・・・・・(1)
なお、本明細書における静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとは後述の実施例における測定方法及び測定条件で測定した値である。
前記キャリア芯材は、フェライト粒子から構成されるキャリア芯材であって、フェライト粒子の組成が、MnO:35mol%以上55mol%以下、Fe:45mol%以上65mol%以下を含有し、その一部をSrO:0.1mol%以上5.0mol%以下、SnO:0.1mol%以上5.0mol%以下で置換したものであってもよい。
また前記キャリア芯材において、最大山谷深さRzが1.9μm以上2.5μm以下であるのが好ましい。
また前記キャリア芯材において、磁場79.58×10A/m(1000エルステッド)を印加した際の磁化σ1kが63Am/kg以上72Am/kg以下であるのが好ましい。
また前記キャリア芯材において、細孔容積が0.001cm/g以上0.015cm/g以下であるのが好ましい。
また本発明によれば、前記のいずれかに記載のキャリア芯材の表面を樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリアが提供される。
さらに本発明によれば、前記記載の電子写真現像用キャリアとトナーとを含む電子写真用現像剤が提供される。
本発明のキャリア芯材によれば、トナーに対する良好な摩擦帯電特性が得られる共に背景部キャリア付着が抑制され、また高速の画像形成装置に用いた場合であっても画像中白抜けの発生が抑制される。
また本発明の電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤によれば、現像速度や現像バイアスなどが異なる複数種類の画像形成装置に対して広く使用可能である。
動的絶縁破壊電圧Vdの測定装置の概説図である。 現像装置の一例を示す概説図である。
本発明者らは、トナーに対する良好な摩擦帯電特性が得られる共に背景部キャリア付着が抑制され、現像バイアスが高い画像形成装置に用いられた場合であっても前述の画像白抜けの生じないキャリア芯材を得るため鋭意検討を重ねた結果、キャリア芯材の静的絶縁破壊電圧Vsと、動的絶縁破壊電圧Vdとが所定の関係を満足すればよいことを見出した。すなわち、本発明に係るキャリア芯材の大きな特徴の一つは前記式(1)を満足することにある。
本発明者らの知見によれば、従来のキャリア芯材では静的絶縁破壊電圧Vsは動的絶縁破壊電圧Vdよりも小さい値であった。このような従来のキャリア芯材では、背景部キャリア付着と画像中白抜けとを同時に抑制することは困難であった。そこで静的絶縁破壊電圧Vsを動的絶縁破壊電圧Vdよりも高くしたところ背景部キャリア付着と画像中白抜けの抑制が図れ、本発明では静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が0(V)以上300(V)以下と定めた。静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差がマイナスの場合、すなわち動的絶縁破壊電圧Vdが静的絶縁破壊電圧Vsよりも大きい場合には、キャリアにカウンターチャージが蓄積しやすくキャリアが感光体の非画像部(背景部)に付着する背景部キャリア付着が生じやすい。一方、静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が+300(V)よりも大きい場合、帯電が十分に付与されていない弱帯電トナーが発生しやすく、弱帯電トナーに起因するトナー飛散やかぶりが生じやすい。なお、静的絶縁破壊電圧Vsを動的絶縁破壊電圧Vdよりも高くするには例えば後述のキャリア芯材の製造方法で説明するようにSn(スズ)とSr(ストロンチウム)とを所定量含有すればよい。
本発明のキャリア芯材の組成に限定はないが、フェライト粒子からなるのが好ましい。またフェライト粒子の組成は、組成式MFe3-X(但し、Mは、Mg,Mn,Ca,Ti,Sr,Cu,Zn,Sn,Niからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素、0<X<1)で表されるものが使用される。これらの中でも、一般式(MnO)x(Fe)yで表され、x,yがそれぞれ35mol%以上55mol%以下,45mol%以上65mol%以下であり、MnOの一部をSrOで0.1mol%以上5.0mol%以下、SnOで0.1mol%以上5.0mol%以下置換したものが好ましい。
本発明のキャリア芯材における最大山谷深さRzは1.9μm以上2.5μm以下の範囲が好ましい。キャリア芯材表面の最大山谷深さRzが前記範囲であると、キャリア芯材同士の間に形成される空間が大きくなり、より多くのトナーがこの空間に取り込まれて現像領域へのトナー供給量が増え、画像形成速度の高速化等に対応できる。最大山谷深さRzのより好ましい範囲は2.1μm以上2.3μm以下の範囲である。フェライト粒子表面の最大山谷深さRzの制御は、原料における塩素の添加量及び製造工程における焼成条件などによって行うことができる。
また、本発明のキャリア芯材における磁場79.58×10A/m(1000エルステッド)を印加した際の磁化σ1kは63Am/kg以上72Am/kg以下であるのが好ましい。
本発明のキャリア芯材における細孔容積は0.001cm/g以上0.015cm/g以下の範囲が好ましい。細孔容積が0.001cm/g以上の範囲にあることでキャリア一粒子あたりの重量が軽くなり、キャリア摩擦が緩和されトナースペントが軽減される。一方、細孔容積が0.015cm/gを超えると内部空隙が大きくなり過ぎてキャリア一粒子あたりの磁化が小さくなる為に、背景部キャリア付着、画像中白抜けを起こしやすくなる。細孔容積のより好ましい範囲は0.003cm/g以上0.010cm/g以下の範囲である。
本発明のキャリア芯材の体積平均粒径(以下、「平均粒径」と記すことがある。)としては、25μm以上50μm未満の範囲が好ましく、より好ましくは30μm以上40μm以下の範囲である。
本発明のキャリア芯材の製造方法に特に限定はないが、以下に説明する製造方法が好適である。
前記式(1)を具備するキャリア芯材を製造するためには、所定組成のフェライト粒子からなるキャリア芯材にSn(スズ)とSr(ストロンチウム)とを所定量含有させるのが好ましい。SnとSrとを所定量含有させることにより、動的絶縁破壊電圧Vdが静的絶縁破壊電圧Vsよりも小さくなりやすい。この機構は未だ明らかにはなっていないが、本発明者らは次のような機構からではないかと推測している。すなわちSnとSrとを所定量含有させると、Sn,Sr,Fe,Oなどから構成される導電性の高い化合物(例えばSrSnO又はSrSnFe1119等)が生成する。そして、現像ローラ表面でキャリア芯材が搬送・撹拌されるとキャリア芯材の粒子表面に局在する導電性の高い化合物が他のキャリア芯材粒子と接触する頻度が高まって動的絶縁破壊電圧Vdが低下し、その結果従来と異なって動的絶縁破壊電圧Vdが静的絶縁破壊電圧Vsよりも小さくなる。つまりキャリア芯材の本体そのものの静的絶縁破壊電圧Vsは高く維持されながら動的絶縁破壊電圧Vdが低下するのである。
そこでまず、Fe成分原料、M成分原料、Sn成分原料、Sr成分などの添加剤を秤量する。Fe成分原料としては、Fe等が好適に使用される。M成分原料としては、MgであればMgO、Mg(OH)、MgCOが好適に使用でき、MnであればMnCO、Mn等が使用でき、Ca成分原料としては、CaO、Ca(OH)、CaCO等が使用でき、TiであればTiO等が使用でき、ZrであればZrO2等が使用できる。また、Sn成分原料としてはSnO、SnOが使用でき、Sr成分原料としては、SrCO、Sr(NOなどが好適に使用される。
次いで、原料を分散媒中に投入しスラリーを作製する。本発明で使用する分散媒としては水が好適である。分散媒には、前記仮焼成原料の他、必要によりバインダー、分散剤等を配合してもよい。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが好適に使用できる。バインダーの配合量としてはスラリー中の濃度が0.1質量%~2質量%程度とするのが好ましい。また、分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム等が好適に使用できる。分散剤の配合量としてはスラリー中の濃度が0.1質量%~2質量%程度とするのが好ましい。その他、カーボンブラックなどの還元剤、アンモニアなどのpH調整剤、潤滑剤、焼結促進剤等を配合してもよい。スラリーの固形分濃度は50質量%~90質量%の範囲が望ましい。より好ましくは60質量%~80質量%である。60質量%以上であれば、造粒物中に粒子内細孔が少なく、焼成時の焼結不足を防ぐことができる。
なお、秤量した原料を混合し仮焼成し解粒した後、分散媒に投入しスラリーを作製してもよい。仮焼成の温度としては750℃~1000℃の範囲が好ましい。750℃以上であれば、仮焼による一部フェライト化が進み、焼成時のガス発生量が少なく、固体間反応が十分に進むため、好ましい。一方、1000℃以下であれば、仮焼による焼結が弱く、後のスラリー粉砕工程で原料を十分に粉砕できるので好ましい。また、仮焼成時の雰囲気としては大気雰囲気が好ましい。
次に、以上のようにして作製されたスラリーを湿式粉砕する。例えば、ボールミルや振動ミルを用いて所定時間湿式粉砕する。粉砕後の原材料の平均粒径は5μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下である。振動ミルやボールミルには、所定粒径のメディアを内在させるのがよい。メディアの材質としては、鉄系のクロム鋼や酸化物系のジルコニア、チタニア、アルミナなどが挙げられる。粉砕工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。粉砕物の粒径は、粉砕時間や回転速度、使用するメディアの材質・粒径などによって調整される。
そして、粉砕されたスラリーを噴霧乾燥させて造粒する。具体的には、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機にスラリーを導入し、雰囲気中へ噴霧することによって球形に造粒する。噴霧乾燥時の雰囲気温度は100℃~300℃の範囲が好ましい。これにより、粒径10μm~200μmの球形の造粒物が得られる。次いで、必要により、得られた造粒物を振動篩を用いて分級し所定の粒径範囲の造粒物を作製する。
次に、前記の造粒物を所定温度に加熱した炉に投入して、フェライト粒子を合成するための一般的な手法で焼成することにより、フェライト粒子を生成させる。焼成温度としては1100℃~1350℃の範囲が好ましい。焼成温度が1100℃未満であると、相変態が起こりにくくなるとともに焼結も進みにくくなる。また、焼成温度が1350℃を超えると、過剰焼結による過大グレインの発生がするおそれがある。前記焼成温度に至るまでの昇温速度としては250℃/h~500℃/hの範囲が好ましい。焼成温度での保持時間は2時間以上が好ましい。フェライト粒子表面の凹凸は焼成工程における酸素濃度によっても調整可能である。具体的には酸素濃度を0.05%~10%とする。また、冷却時の酸素濃度を焼成時の酸素濃度よりも低くすることによって、フェライト相の酸化状態の調整を図ってもよい。具体的には酸素濃度を0.05%~1.5%の範囲とする。昇温・焼結・冷却における酸素濃度は0.05%~10%の範囲に制御するのが好ましい。
このようにして得られた焼成物を必要により解粒する。具体的には、例えば、ハンマーミル等によって焼成物を解粒する。解粒工程の形態としては連続式及び回分式のいずれであってもよい。また解粒処理後、必要により、粒径を所定範囲に揃えるため分級を行ってもよい。分級方法としては、風力分級や篩分級など従来公知の方法を用いることができる。また、風力分級機で1次分級した後、振動篩や超音波篩で粒径を所定範囲に揃えるようにしてもよい。さらに、分級工程後に、磁場選鉱機によって非磁性粒子を除去するようにしてもよい。フェライト粒子の平均粒径としては25μm以上50μm未満が好ましい。
その後、必要に応じて、分級後のフェライト粒子を酸化性雰囲気中で加熱して、粒子表面に酸化被膜を形成してフェライト粒子の高抵抗化を図ってもよい(高抵抗化処理)。酸化性雰囲気としては大気雰囲気又は酸素と窒素の混合雰囲気のいずれでもよい。また、加熱温度は200℃以上800℃以下の範囲が好ましく、360℃以上550℃以下の範囲がさらに好ましい。加熱時間は0.5時間以上5時間以下の範囲が好ましい。なお、フェライト粒子の表面と内部とを均質化する観点からは加熱温度は低温であるのが望ましい。
以上のようにして作製したフェライト粒子を本発明のキャリア芯材として用いる。そして、所望の帯電性等を得るために、キャリア芯材の外周を樹脂で被覆して電子写真現像用キャリアとする。
キャリア芯材の表面を被覆する樹脂としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリ塩化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、ポリスチレン、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、並びにポリ塩化ビニル系やポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エストラマー、フッ素シリコーン系樹脂などが挙げられる。
キャリア芯材の表面を樹脂で被覆するには、樹脂の溶液又は分散液をキャリア芯材に施せばよい。塗布溶液用の溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒などの1種又は2種以上を用いることができる。塗布溶液中の樹脂成分濃度は、一般に0.001質量%以上30質量%以下、特に0.001質量%以上2質量%以下の範囲内にあるのがよい。
キャリア芯材への樹脂の被覆方法としては、例えばスプレードライ法や流動床法あるいは流動床を用いたスプレードライ法、浸漬法等を用いることができる。これらの中でも、少ない樹脂量で効率的に塗布できる点で流動床法が特に好ましい。樹脂被覆量は、例えば流動床法の場合には吹き付ける樹脂溶液量や吹き付け時間によって調整することができる。
キャリアの粒子径は、一般に、体積平均粒径で25μm以上50μm未満の範囲、特に30μm以上40μm以下の範囲が好ましい。
本発明に係る電子写真用現像剤は、以上のようにして作製したキャリアとトナーとを混合してなる。キャリアとトナーとの混合比に特に限定はなく、使用する現像装置の現像条件などから適宜決定すればよい。一般に現像剤中のトナー濃度は1質量%以上15質量%以下の範囲が好ましい。トナー濃度が1質量%未満の場合、画像濃度が薄くなりすぎ、他方トナー濃度が15質量%を超える場合、現像装置内でトナー飛散が発生し機内汚れや転写紙などの背景部分にトナーが付着する不具合が生じるおそれがあるからである。より好ましいトナー濃度は3質量%以上10質量%以下の範囲である。
トナーとしては、重合法、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法など従来公知の方法で製造したものが使用できる。具体的には、熱可塑性樹脂を主成分とする結着樹脂中に、着色剤、離型剤、帯電制御剤等を含有させたものが好適に使用できる。
トナーの粒径は、一般に、コールターカウンターによる体積平均粒径で5μm以上15μm以下の範囲が好ましく、7μm以上12μm以下の範囲がより好ましい。
トナー表面には、必要により、改質剤を添加してもよい。改質剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアとトナーとの混合は、従来公知の混合装置を用いることができる。例えばヘンシェルミキサー、V型混合機、タンブラーミキサー、ハイブリタイザー等を用いることができる。
本発明の現像剤を用いた現像方法に特に限定はないが、磁気ブラシ現像法が好適である。図2に、磁気ブラシ現像を行う現像装置の一例を示す概説図を示す。図2に示す現像装置は、複数の磁極を内蔵した回転自在の現像ローラ3と、現像部へ搬送される現像ローラ3上の現像剤量を規制する規制ブレード6と、水平方向に平行に配置され、互いに逆向きに現像剤を撹拌搬送する2本のスクリュー1,2と、2本のスクリュー1,2の間に形成され、両スクリューの両端部において、一方のスクリューから他方のスクリューに現像剤の移動を可能とし、両端部以外での現像剤の移動を防ぐ仕切板4とを備える。
2本のスクリュー1,2は、螺旋状の羽根13,23が同じ傾斜角で軸部11,21に形成されたものであって、不図示の駆動機構によって同方向に回転し、現像剤を互いに逆方向に搬送する。そして、スクリュー1,2の両端部において一方のスクリューから他方のスクリューに現像剤が移動する。これによりトナーとキャリアからなる現像剤は装置内を常に循環し撹拌されることになる。
一方、現像ローラ3は、表面に数μmの凹凸を付けた金属製の筒状体の内部に、磁極発生手段として、現像磁極N、搬送磁極S、剥離磁極N、汲み上げ磁極N、ブレード磁極Sの5つの磁極を順に配置した固定磁石を有してなる。現像ローラ3の筒状体が矢印方向に回転すると、汲み上げ磁極Nの磁力によって、スクリュー1から現像ローラ3へ現像剤が汲み上げられる。現像ローラ3の表面に担持された現像剤は、規制ブレード6により層規制された後、現像領域へ搬送される。
現像領域では、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアス電圧が転写電圧電源8から現像ローラ3に印加される。バイアス電圧の直流電圧成分は、感光体ドラム5表面の背景部電位と画像部電位との間の電位とされる。また、背景部電位と画像部電位とは、バイアス電圧の最大値と最小値との間の電位とされる。バイアス電圧のピーク間電圧は0.5kV~5kVの範囲が好ましく、周波数は1kHz~10kHzの範囲が好ましい。またバイアス電圧の波形は矩形波、サイン波、三角波などいずれであってもよい。これによって、現像領域においてトナー及びキャリアが振動し、トナーが感光体ドラム5上の静電潜像に付着して現像がなされる。
その後現像ローラ3上の現像剤は、搬送磁極Sによって装置内部に搬送され、剥離電極Nによって現像ローラ3から剥離して、スクリュー1,2によって装置内を再び循環搬送され、現像に供していない現像剤と混合撹拌される。そして汲み上げ極Nによって、新たに現像剤がスクリュー1から現像ローラ3へ供給される。
なお、図2に示した実施形態では現像ローラ3に内蔵された磁極は5つであったが、現像剤の現像領域での移動量を一層大きくしたり、汲み上げ性等を一層向上させるために、磁極を8極や10極、12極と増やしてももちろん構わない。
(実施例1)
原料として、Fe(平均粒径:0.6μm)20.3kg、Mn(平均粒径:3.4μm)7.6kg、SrCO(平均粒径:0.6μm)0.156kg、SnO(平均粒径:4.4μm)0.128kgを純水9.4kg中に分散し、還元剤としてカーボンブラックを69g、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を203g、アンモニア水(25wt%水溶液)を20g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約140℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm~75μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から粒径25μm以下の微小な粒子は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1235℃まで4.5時間かけて昇温した。その後1235℃で3時間保持することにより焼成を行った。電気炉内の酸素濃度は昇温の段階では10000ppm、冷却の段階では4000ppmとなるよう、炉内の酸素濃度を調整した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動篩を用いて分級し、平均粒径34.8μmの焼成物を得た。
次いで、得られた焼成物を大気雰囲気下390℃で1.5時間保持することにより酸化処理(高抵抗化処理)を行い、キャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
次に、このようにして得られたキャリア芯材の表面を樹脂で被覆してキャリアを作製した。具体的には、シリコーン樹脂450質量部と、(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン9質量部とを、溶媒としてのトルエン450質量部に溶解してコート溶液を作製した。このコート溶液を、流動床型コーティング装置を用いてキャリア芯材50000質量部に塗布し、温度300℃の電気炉で加熱してキャリアを得た。以下の実施例及び比較例についても同様にしてキャリアを得た。
得られたキャリアと平均粒径5.0μm程度のトナーとを、ポットミルを用いて所定時間混合し、二成分系の電子写真現像剤を得た。この場合、キャリアとトナーとをトナーの質量/(トナーおよびキャリアの質量)=5/100となるように調整した。以下、全ての実施例、比較例についても同様にして現像剤を得た。得られた現像剤について後述の実機評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
焼成工程における電気炉温度を1265℃に変更した以外は実施例1と同様にして平均粒径34.7μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
焼成工程における電気炉温度を1300℃に変更した以外は実施例1と同様にして平均粒径34.8μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例4)
酸化処理工程における温度を480℃に変更した以外は実施例1と同様にして平均粒径34.4μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例5)
造粒物から粒径30μm以下の微小な粒子は篩を用いて除去した以外は実施例1と同様にして平均粒径35.0μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例6)
酸化処理工程における電気炉温度を500℃に変更した以外は実施例1と同様にして平均粒径35.6μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例7)
原料として、平均粒径、比表面積の異なるMn(平均粒径:2.0μm、比表面積:2.7m/g)3.8kg、Mn(平均粒径:3.4μm、比表面積:9.9m/g)3.8kgを用いた以外は実施例6と同様にして平均粒径36.1μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
Fe(平均粒径:0.8μm)を50.0mol%、Mn(平均粒径:2.0μm)をMnO換算で50.0mol%となるように秤量し、ローラーコンパクターでペレット化した。得られたペレットを大気雰囲気の条件下、850℃にてロータリー式の焼成炉で仮焼成をおこなった。乾式ビーズミルで6時間粉砕し、仮焼原料(平均粒径:2.2μm)を得た。この仮焼原料20.0kgとSrFe1219(平均粒径:1.2μm)3.0kgを純水7.6kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を139g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約140℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm~75μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から粒径30μm以下の微小な粒子は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1120℃まで5時間かけて昇温した。その後1120℃で3時間保持することにより焼成を行った。電気炉内の酸素濃度は昇温の段階では100000ppm、冷却の段階では2000ppmとなるよう、炉内の酸素濃度を調整した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動篩を用いて分級し、平均粒径36.5μmの焼成物を得た。
次いで、得られた焼成物を大気雰囲気下390℃で1.5時間保持することにより酸化処理(高抵抗化処理)を行い、キャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例2)
Fe(平均粒径:0.8μm)を50.0mol%、平均粒径、比表面積の異なるMn(平均粒径:2.0μm、比表面積:2.7m/g)をMnO換算で25.0mol%、Mn(平均粒径:3.4μm、比表面積:9.9m/g)をMnO換算で25.0mol%となるように秤量し、ローラーコンパクターでペレット化した。得られたペレットを大気雰囲気の条件下、850℃にてロータリー式の焼成炉で仮焼成をおこなった。乾式ビーズミルで6時間粉砕し、仮焼原料(平均粒径:2.2μm)を得た。この仮焼原料20.0kgとSrFe1219(平均粒径:1.2μm)3.0kgを純水7.6kg中に分散し、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を139g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約140℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm~75μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から粒径30μm以下の微小な粒子は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1240℃まで4.5時間かけて昇温した。その後1240℃で3時間保持することにより焼成を行った。電気炉内の酸素濃度は昇温の段階では100000ppm、冷却の段階では2000ppmとなるよう、炉内の酸素濃度を調整した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動篩を用いて分級し、平均粒径36.4μmの焼成物を得た。
次いで、得られた焼成物を大気雰囲気下370℃で1.5時間保持することにより酸化処理(高抵抗化処理)を行い、キャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例3)
酸化処理工程における電気炉温度を400℃に変更した以外は比較例2と同様にして平均粒径36.1μmの焼成物を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(比較例4)
原料として、Fe(平均粒径:0.6μm)20.3kg、Mn(平均粒径:2.0μm)7.6kgを純水9.4kg中に分散し、還元剤としてカーボンブラックを69g、分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム系分散剤を203g、アンモニア水(25wt%水溶液)を20g添加して混合物とした。この混合物を湿式ボールミル(メディア径2mm)により粉砕処理し、混合スラリーを得た。
この混合スラリーをスプレードライヤーにて約140℃の熱風中に噴霧し、粒径10μm~75μmの乾燥造粒物を得た。この造粒物から粒径25μm以下の微小な粒子は篩を用いて除去した。
この造粒物を、電気炉に投入し1200℃まで4.5時間かけて昇温した。その後1200℃で3時間保持することにより焼成を行った。電気炉内の雰囲気は7000ppmとなるよう炉内の酸素濃度を調整した。
得られた焼成物をハンマーミルで解粒した後に振動篩を用いて分級し、平均粒径34.4μmの焼成物を得た。
次いで、得られた焼成物を大気雰囲気下390℃で1.5時間保持することにより酸化処理(高抵抗化処理)を行い、キャリア芯材を得た。
得られたキャリア芯材の粉体特性、形状特性、磁気特性などを後述の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
(見掛け密度AD)
キャリア芯材の見掛け密度はJIS Z 2504に準拠して測定した。
(流動度FR)
キャリア芯材の流動度はJIS Z 2502に準拠して測定した。
(平均粒径D50及び粒径22μm以下の割合)
キャリア芯材の平均粒径D50及び粒径22μm以下の体積割合は、レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装社製「マイクロトラックModel9320-X100」)を用いて測定した。
(細孔容積)
細孔容積の測定については、以下の通り行った。評価装置は、Quantachrome社製のPOREMASTER-60GTを使用した。具体的には、測定条件としては、Cell Stem Volume:0.5ml、Headpressure:20PSIA、水銀の表面張力:485.00erg/cm、水銀の接触角:130.00degrees、高圧測定モード:Fixed Rate、Moter Speed:1、高圧測定レンジ:20.00~10000.00PSIとし、サンプル1.200gを秤量して0.5ml(cm)のセルに充填して測定を行った。また、10000.00PSI時の容積B(ml/g)から100PSI時の容積A(ml/g)を差し引いた値を、細孔容積とした。
(最大山谷深さRzの測定方法)
超深度カラー3D形状測定顕微鏡(「VK-X100」株式会社キーエンス製)を用い、100倍対物レンズで表面を観察して求めた。具体的には、まず、表面の平坦な粘着テープにキャリア芯材を固定し、100倍対物レンズで測定視野を決定した後、オートフォーカス機能を用いて焦点を粘着テープ面に調整した。キャリア芯材を固定した平坦な粘着テープ面に対し、垂直方向(Z方向)からレーザー光線を照射し、面のX方向Y方向に走査した。また、表面からの反射光の強度が最大となった時のレンズの高さ位置をつなぎ合わせることでZ方向のデータを取得した。これらX、YおよびZ方向の位置データをつなぎ合わせキャリア芯材表面の3次元形状を得た。なお、キャリア芯材表面の3次元形状の取り込みにはオート撮影機能を用いた。
各パラメータの測定には、粒子粗さ検査ソフトウェア(三谷商事製)を用いて行った。まず、前処理として、得られたキャリア芯材表面の3次元形状の粒子認識と形状選別を行った。粒子認識は以下の方法で行った。撮影によって得られた3次元形状のうち、Z方向の最大値を100%、最小値を0%として最大値から最小値までの間を100等分する。この100~35%にあたる領域を抽出し、独立した領域の輪郭を粒子輪郭として認識した。次に形状選別で粗大、微小、会合などの粒子を除外した。この形状選別を行うことで以降に行う極率補正時の誤差を小さくすることができる。具体的には面積相当径28μm以下、38μm以上、針状比1.15以上に該当する粒子を除外した。ここで針状比とは粒子の最大長/対角幅の比から算出したパラメータであり、対角幅とは最大長に平行な2本の直線で粒子を挟んだときの2直線の最短距離を表す。
つぎに表面の3次元形状から解析に用いる部分の取り出しを行った。まず上記の方法で認識した粒子輪郭から求められる重心を中心として一辺の長さが15.0μmの正方形を描く。描いた正方形の中に21本の平行線を引き、その線分上にあたる粗さ曲線を21本分取り出した。
キャリア芯材は略球形状であるため、取り出した粗さ曲線は、バックグラウンドとして一定の曲率を持っている。このため、バックグラウンドの補正として、最適な二次曲線をフィッティングし、粗さ曲線から差し引く補正を行った。この場合、ローパスフィルタを1.5μmの強度で適用し、カットオフ値λを80μmとした。
最大山谷深さRzは、粗さ曲線の中で最も高い山の高さと最も深い谷の深さの和として求めた。以上説明した最大高さRzの測定は、JIS B0601(2001年度版)に準拠して行われるものである。最大高さRzの算出には、各パラメータの平均値として、50粒子の平均値を用いることとした。
(磁気特性)
室温専用振動試料型磁力計(VSM)(東英工業社製「VSM-P7」)を用いて、外部磁場を0~79.58×10A/m(10000エルステッド)の範囲で1サイクル連続的に印加して、磁場79.58×10A/m(1,000エルステッド)を印加した際の飽和磁化σ、磁化σ1k、残留磁化σ、保持力Hを測定した。
(電気抵抗)
電極として表面を電解研磨した板厚2mmの真鍮板2枚を電極間距離が2mmとなるように配置し、2枚の電極板の間の空隙にキャリア芯材200mgを装入したのち、それぞれの電極板の背後に断面積240mmの磁石を配置して電極間に被測定粉体のブリッジを形成させた状態で電極間に500V直流電圧を印加し、キャリア芯材を流れる電流値を4端子法により測定した。その電流値と、電極間距離2mmおよび断面積240mmからキャリア芯材の電気抵抗を算出した。
(静的絶縁破壊電圧Vs)
静的絶縁破壊電圧Vsは、電極として表面を電解研磨した板厚2mmの真鍮板2枚を電極間距離が2mmとなるように配置し、2枚の電極板の間の空隙にキャリア芯材200mgを装入したのち、それぞれの電極板の背後に断面積240mmの磁石を配置して電極間に被測定粉体のブリッジを形成させた状態で電極間に、直流電圧を印加し、キャリア芯材を流れる電流値を4端子法により測定した。直流電圧は、100Vを開始電圧とし、100V-100秒を1ステップとし印加電圧を増加した。印加電圧を増加させていく過程において電極間を流れる電流値が100mA以上となる電圧をブリッジ式測定器における静的絶縁破壊電圧Vsとした。
(動的絶縁破壊電圧Vd)
動的絶縁破壊電圧Vdは、図1に示すように、キャリア撹拌部、現像ローラとアルミ電極からなる装置を用いて測定を行った。キャリア120gを図1に示す装置に充填し、現像ローラをアルミ電極に対してギャップd=0.07cmの間隔をあけて対向させ、対向部において、現像ローラを40rpm、アルミ電極を25rpmの回転数で同一方向に回転させた。この状態で、現像ローラとアルミ電極間に直流電圧Vを印加したときの電流Iを計測した。直流電圧は、100Vを開始電圧とし、100V-10秒を1ステップとし印加電圧を増加した。印加電圧を増加させていく過程において電極間を流れる電流値が3mA以上となる電圧を動的抵抗測定器における動的絶縁破壊電圧Vdとした。
なお、本測定においては、現像ローラとして直径30mm、長さ100mmのビーズブラスト処理を施したアルミ円筒体、アルミ電極として直径30mm、長さ100mmのアルミ円筒体を用い、現像ローラと規制板の距離を0.7mmとなるように調整し測定を行った。
(背景部キャリア付着の評価)
図2に示した構造の現像装置(現像ローラの周速度v:406mm/sec,感光体ドラムの周速度v:205mm/sec,感光体ドラム-現像ローラ間距離:0.3mm)に作製した二成分現像剤を投入し、白紙原稿を10枚現像し、その感光体表面に付着しているキャリア個数をルーペ観察により5視野カウントし、その平均の100cm当たりのキャリア付着個数をもってキャリア付着とした。
「◎」:10個未満
「○」:10個以上30個未満
「△」:30個以上50個未満
「×」:50個以上
(画像中白抜けの評価)
図2に示した構造の現像装置(現像ローラの周速度v:406mm/sec,感光体ドラムの周速度v:205mm/sec,感光体ドラム-現像ローラ間距離:0.3mm)に作製した二成分現像剤を投入し、黒ベタ画像を10k枚印刷し、黒ベタ部における白抜けの度合を目視により下記基準で評価した。
「◎」:白抜けが確認できず、画像として良好なもの。
「○」:白抜けが5個未満
「△」:白抜けが5~10個
「×」:明確に白抜けが10個を超えて存在する。
Figure 0007075913000001
静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が100V又は200Vである実施例1~7のキャリア芯材では、背景部キャリア付着は確認できないか30個未満と実使用上問題のないものであり、画像中白抜けは確認できないか5個未満と実使用上問題のないものであった。
これに対して、静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が(-100V)で、細孔容積が大きく、磁化σ1kが小さい比較例1のキャリア芯材では背景部キャリア付着が実使用上問題のあるレベルで発生した。また実使用上問題のない範囲ではあるが5個未満の画像中白抜けが発生した。
静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が(-100V)である比較例2のキャリア芯材では、画像中白抜けは確認されなかったが、背景部キャリア付着が実使用上問題のあるレベルで発生した。
静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が(-600V)で、磁化σ1kが小さい比較例3のキャリア芯材では背景部キャリア付着が激しく発生した。また実使用上問題のない範囲ではあるが5個未満の画像中白抜けが発生した。
静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとの差が(-200V)で、最大山谷深さRzが1.5μmと小さい比較例4のキャリア芯材では、画像中白抜けは確認されなかったが、背景部キャリア付着が実使用上問題のあるレベルで発生した。
本発明のキャリア芯材によれば、トナーに対する良好な摩擦帯電特性が得られる共に背景部キャリア付着が抑制され、また高速の画像形成装置に用いた場合であっても画像中白抜けの発生が抑制され有用である。
3 現像ローラ
5 感光体ドラム

Claims (6)

  1. フェライト粒子から構成されるキャリア芯材であって、フェライト粒子の組成が、MnO:35mol%以上55mol%以下、Fe :45mol%以上65mol%以下を含有し、その一部をSrO:0.1mol%以上5.0mol%以下、SnO:0.1mol%以上5.0mol%以下で置換したものであり、
    静的絶縁破壊電圧Vsと動的絶縁破壊電圧Vdとが下記式を満足することを特徴とするキャリア芯材。
    0(V)≦Vs-Vd≦300(V) ・・・・・・(1)
  2. 最大山谷深さRzが1.9μm以上2.5μm以下である請求項1記載のキャリア芯材。
  3. 磁場79.58×10A/m(1000エルステッド)を印加した際の磁化σ1kが63Am/kg以上72Am/kg以下である請求項1又は2記載のキャリア芯材。
  4. 細孔容積が0.001cm/g以上0.015cm/g以下である請求項1~のいずれかに記載のキャリア芯材。
  5. 請求項1~のいずれかに記載のキャリア芯材の表面を樹脂で被覆したことを特徴とする電子写真現像用キャリア。
  6. 請求項記載の電子写真現像用キャリアとトナーとを含む電子写真用現像剤。
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