JP2017150058A - ニッケル微粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施の形態に係るニッケル微粉末は、径が200nm以下であり、その一次粒子が平均粒径±30%以内の範囲に95%以上の割合で存在しており、凝集体をほとんど含まないものである。また、このニッケル微粉末は、その表面に厚さ1nm以上の酸化ニッケルを含む酸化膜を有している。
上述したように、本実施の形態に係るニッケル微粉末は、粒径が200nm以下であって、その一次粒子が平均粒径±30%以内の範囲に95%以上の割合で存在しており、凝集体をほとんど含まないものである。また、このニッケル微粉末は、その表面に厚さ1nm以上の酸化ニッケルを含む酸化膜を有している。
次に、上述した特徴を有するニッケル微粉末の製造方法について説明する。
先ず、出発原料となる、粒径200nm以下のニッケルナノ粒子(ニッケル微粒子)を作製する。本実施の形態においては、液相法によりニッケル微粒子を作製し、作製したニッケル微粒子を純水に添加してニッケル微粒子の水スラリーとする。
次に、得られたニッケル微粒子の水スラリー(ニッケル水スラリー)に対して有機溶剤を添加して置換処理を施し、ニッケル微粒子が有機溶剤中に分散した「ニッケル有機溶剤スラリー」を生成させる。
次に、得られたニッケル有機溶剤スラリー、すなわち、有機溶剤中に分散したニッケル微粒子に対して、酸化剤による酸化処理を施す。この酸化処理により、ニッケル微粒子の表面に酸化ニッケルを含む酸化膜を生成させる。
上述したように、過酸化水素等の酸化剤により酸化処理を施すことで、表面に酸化ニッケルを含む酸化膜を有するニッケル微粒子(ニッケル微粉末)のスラリーが得られる。ここで、その酸化膜を表面に有するニッケル微粉末のスラリーを、「ニッケル有機スラリー」という。
また、上述のようにして得られたニッケル有機スラリーについては、さらに乾燥処理を施すことによって乾燥粉とすることができる。
≪ニッケル有機スラリー、ニッケル微粉末(乾燥粉)の製造≫
(ニッケルナノ粉の準備)
先ず、住友金属鉱山株式会社製のニッケル粉水スラリー(水分量80%)1000g(規格名:NR707、湿式還元法によるニッケル超微粉、平均粒径70nm)を出発原料として準備した。
次に、有機溶剤としてジヒドロターピネオール(日本香料株式会社製)を用意し、その有機溶剤1000gをニッケル粉水スラリーに入れ、軽く撹拌してデカンテーションを行った。このデカンテーションを3回繰り返し、ニッケル水スラリーを有機溶剤のスラリーに置換して、ニッケル有機溶剤スラリーを生成させた。
次に、有機溶剤置換して得られたニッケル有機溶剤スラリー(溶剤量80%)1000gに対して、過酸化水素200ml(スラリー中のニッケル微粒子1gに対して1ml/g)を少しずつ投入していき、撹拌しながら酸化処理を行った。これにより、スラリー中のニッケル微粒子の表面に酸化膜を形成させた、ニッケル有機スラリーを得た。
続いて、得られたニッケル有機スラリーから乾燥粉を得るために、そのスラリーを真空乾燥機内に投入し、温度70℃、3時間の条件で真空乾燥を実施した。この真空乾燥処理により、ニッケル微粉末の乾燥粉を得た。
(ニッケル有機スラリー中のニッケル微粉末の凝集評価)
得られたニッケル有機スラリーについて、ニッケル微粉末の凝集の評価を行った。具体的には、ニッケル有機スラリーを、エクセルオートホモジナイザー(日本精機株式会社製)を用いて周速10m/sの回転速度で2分間混合撹拌した。その後、0.1μmの濾紙で減圧濾過処理を行い、濾紙上に残存したニッケル微粉末を確認した。なお、出発原料として、平均粒径70nmのニッケル微粒子を用いた場合には0.1μmの濾紙を用いて減圧濾過し、平均粒径200nmのニッケル微粒子を用いた場合には0.3μmの濾紙を用いて減圧濾過した。
得られた乾燥粉(ニッケル微粉末)を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、SEM観察像の所定範囲内に存在する100個の一次粒子の粒径を測定し、その平均値を平均粒径とした。また、その平均粒径に基づいて、100個の一次粒子のうちの平均粒径±30%の範囲内に存在する割合を求めた。
得られた乾燥粉(ニッケル微粉末)のSEM観察により、水酸化ニッケルの発生の有無を確認した。水酸化ニッケルの発生が確認された場合を『有り』、確認されなかった場合を『無し』として評価した。
また、得られた乾燥粉(ニッケル微粉末)のSEM観察により、そのニッケル微粉末の凝集の発生を確認した。凝集の発生が確認された場合を『有り』、確認されなかった場合を『無し』として評価した。なお、凝集が若干確認されたものの、ほとんど発生無しと判断されたものを『ほぼ無し』として評価した。
また、得られた乾燥粉(ニッケル微粉末)における酸化ニッケルからなる酸化膜の膜厚を、エネルギー分散型X線分析(EDS分析)で測定した。具体的には、EDS分析によりニッケル量と酸素量とを測定し、得られた数値から酸化換算して酸化膜厚を求めた。
置換する有機溶剤としてアセトンを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
置換する有機溶剤としてエタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
置換する有機溶剤としてエチレングリコールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
酸化処理に用いる過酸化水素の添加量を20ml(スラリー中のニッケル微粒子1gに対して0.1ml/g)にしたこと以外は、実施例4と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
酸化処理に用いる過酸化水素の添加量を2000ml(スラリー中のニッケル微粒子1gに対して10ml/g)にしたこと以外は、実施例4と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
液相法により作製された200nm以下の超微粒ニッケル粉としては、住友金属鉱山株式会社製のニッケル粉水スラリー規格名:NR720(湿式還元法によるニッケル超微粉、平均粒径200nm)を用いて出発原料としたこと以外は、実施例4と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
酸化処理に用いる過酸化水素の量を20ml(スラリー中のニッケル微粒子1gに対して0.1ml/g)にしたこと以外は、実施例7と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
比較例1では、有機溶剤による置換を行わず、ニッケル水スラリーのままの状態で酸化処理を施したこと以外は、実施例1と同様にしてニッケル微粉末を製造した。そして、得られたニッケル有機スラリー、乾燥粉について、実施例1と同様にして評価した。
比較例2では、酸化処理に用いる過酸化水素の量を2ml(スラリー中のニッケル微粒子1gに対して0.01ml/g)にしたこと以外は、実施例4と同様にしてニッケル微粉末を製造した。
Claims (7)
- 粒径が200nm以下であり、
一次粒子が平均粒径±30%以内に95%以上の割合で存在しており、
表面に厚さ1nm以上の酸化ニッケルを含む酸化膜を有する
ニッケル微粉末。 - 平均粒径が100nm以下である
請求項1に記載のニッケル微粉末。 - 有機溶剤中に、
粒径が200nm以下であり、一次粒子が平均粒径±30%以内に95%以上の割合で存在し、表面に厚さ1nm以上の酸化ニッケルを含む酸化膜を有する、ニッケル微粉末が分散してなる
ニッケル粉有機スラリー。 - 液相法により作製した粒径200nm以下のニッケル微粒子の水スラリーに有機溶剤を添加して、該有機溶剤のスラリーに置換し、
置換して得られたニッケル有機溶剤スラリーに対して酸化剤を添加して、ニッケル微粒子の表面を酸化する
ニッケル微粉末の製造方法。 - 前記酸化剤は、過酸化水素である
請求項4に記載のニッケル微粉末の製造方法。 - 前記酸化剤の添加量は、前記ニッケル微粒子の質量に対して0.1ml/g以上とする
請求項4又は5に記載のニッケル微粉末の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のニッケル微粉末を含有してなる
積層セラミックコンデンサ内部電極用のニッケルペースト。
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