JP2017147955A - チーズ類の製造方法、チーズ類の製造装置、およびチーズ類 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チーズ類の製造方法は、チーズの表面に、水またはエタノールを含む事前処理液を塗布する事前処理工程と、チーズの表面に水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を塗布する液体塗布工程とを有し、液体塗布工程を事前処理工程よりも後の工程として実施する。
【選択図】図5
Description
一方、近年、フードプリンタ技術が発展してきた。この技術は、インクジェットプリンタの技術を食品に応用したもので、クッキーやチョコレートなどの食品の表面に可食インクにて文字や絵柄等を非接触で印刷する技術である。
また、「積層チーズ」とは、連続して形成されるシート状チーズを切断工程にて所定の幅寸法(連続して形成されるシート状チーズの搬送方向に対して直交する水平方向の寸法)を有した複数の帯状の切断チーズとして切断した後、これらの帯状の切断チーズを一連の流れ工程の中で積層したものと、シート状チーズを所定の大きさの切断チーズに切断した後に、複数枚の切断チーズを一連の流れ工程から外れた工程にて積層したものとの両方を含む。
なお、以下の説明においては、「液体」を「インク液」と称する場合がある。また、「シート状チーズの表面」には、「シート状チーズの片面」が含まれる。さらに、「シート状チーズの片面」および「積層チーズの表面」に対する共通な表現として、「チーズ表面」を用いることがある。
本発明の製造方法であれば、チーズ表面のインクとの親和性が確保された状態で液体を塗布できる。
本発明の製造方法であれば、水溶性着色料や香料を含んだ液体等を自然乾燥ではなく、積極的に乾燥でき、生産性を向上させることができる。
本発明の製造方法であれば、5%以上のシュラックを含有させることで、水溶性着色料や香料をチーズ表面から剥がれ難くして定着化でき、安定した品質を維持できる。
本発明の製造方法であれば、インク液を無駄に使用することなく、着色や風味付けを実現できる。また、乾燥の効率化を実現できる。
本発明の製造方法であれば、香料と着色料として機能する燻製液をインク液として含ますことができるため、実際にスモークすることなく、スモークされたような着色および風味付けを同時に実現できる。
本発明の装置構成であれば、従来の装置ではできなかったインク液のべた塗り塗布が可能となるため、表面着色や風味付けを短時間で実施でき、生産性を向上させることができる。
本発明の装置構成であれば、事前処理液を可能な限り少ない噴霧量でチーズ表面に均一に噴霧できる。また、可能な限り少ない噴霧量であるため、その後に乾燥させる際の負担を減らすことができる。
本発明の装置構成であれば、水溶性着色料や香料を含む液体の空気中への飛散をより確実に抑制することができる。
本発明の装置構成であれば、水溶性着色料や香料を含んだ液体等を自然乾燥ではなく、積極的に乾燥でき、生産性を向上させることができる。
本発明の装置構成であれば、液体塗布部でのチーズ表面に対する液体の塗布領域の大きさや位置を変えることにより、見た目に変化のある多種類のチーズ類を容易に製造できる。
本発明は、前述したチーズ類の製造方法によって得られるチーズ類、または前述のチーズ類の製造装置によって製造されるチーズ類であり、製造方法の発明や製造装置の発明と同様、インク液を過剰に塗布することなく、チーズ表面の所定領域に弾くことなく隙間がない状態で(べた塗り状に)塗布でき、本発明の目的を達成できる。
また、前記被膜は、前記水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体の塗布により形成されていることが好ましい。
さらに、前記液体は、燻製液であることが好ましい。
(製造装置の概略全体)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るチーズ類としてのプロセスチーズ類PCの製造装置1を示す模式図である。図2は、製造装置1の要部を示す拡大図であり、(A)は図1のIIA-IIA矢印断面図、(B)は図1の矢印IIB方向からの平面図である。
溶融部11は、所定の大きさに砕いたナチュラルチーズを加熱溶融し、添加された溶融塩によって乳化するように構成されている。この溶融部11では、溶融チーズMCを得ることが可能である。
成形部12は、例えば内向きに回転する一対の回転式冷却装置121と複数段の回転式冷却装置122,123等で構成される。図1において、回転式冷却装置121,122,123を実線で示し、成形途中のチーズを点線で示してある。具体的に成形部12では、所定間隔で対向配置された一対の回転式冷却装置121間に溶融部11からの溶融チーズMCが供給され、当該所定間隔によって決定される厚さを有したシート状に溶融チーズMCを成形し、その成形された溶融チーズMCをより下段の回転式冷却装置122,123によってさらに冷却しながら、最終的に連続的に引き出してシート状チーズSCを成形する。ただし、成形部12としては、両面を冷却可能な冷却ベルト式や、片面を冷却可能な冷却ベルト式であってもよい。シート状チーズSCの厚さとしては、1mmから15mmである。成形部12では、その範囲を含んで厚さを任意に設定可能である。
事前処理部13は、成形部12から搬送装置17の上流端に引き出されたシート状チーズSCへの事前処理として、シート状チーズSCの片面である上面の全領域に対し、水またはエタノールを含む事前処理液をべた塗り状に連続塗布するように構成されている。このために事前処理部13は、搬送装置17によるシート状チーズSCの搬送面の反対側であって、非接触面である前記上面の上方位置に噴霧装置としての第1噴霧装置21を有している。
液体塗布部14は、事前処理部13にて事前処理液が塗布された後のシート状チーズSCの上面の全領域に対し、水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を連続塗布するように構成されている。このために液体塗布部14も、搬送装置17によるシート状チーズSCの搬送面の反対側であって、非接触面である前記上面の上方位置に噴霧装置としての第2噴霧装置22を有している。
なお、図2(B)において、塗布された水溶性着色料や香料により形成されるプロセスチーズ類PC表面の被膜を網掛けとして示してある。後の説明で用いられる図3、図4でも同様である。
乾燥部15は、シート状チーズSCの上面に事前処理として塗布された事前処理液を気化するとともに、水性着色料や香料を含有した液体を気化して当該上面を乾燥させるように構成されている。乾燥部15としては、例えば乾燥した気体や熱源からの輻射熱、温風供給によって上面を加熱可能な各種ヒータ等が用いられる。
切断部16は、シート状チーズSCを搬送方向に沿って複数列連続して切断することで、所定の幅寸法を有した平面視で帯状の複数の切断チーズCC(図3(A)参照)に切断したり、切断チーズCCに切断することなく、シュレッド状のプロセスチーズ類PC(図3(C)参照)に切断したりするように構成されている。この際の切断チーズのCCの切断幅は、任意に設定可能である。切断部16で用いられる具体的な装置としては、スリッターや、ワイヤカッター、円板カッター、魚籠式抜き型などである。
図3(A)には、シート状チーズSCを搬送方向に沿って切断することで得られる複数の帯状の切断チーズCCが示されている。このような切断チーズCCの厚さは、1mmから15mmの間で様々である。
以下には、プロセスチーズ類PCの製造方法を図5も参照して説明する。
プロセスチーズ類PCの製造方法としては、工程順に説明すると、溶融部11による溶融工程、成形部12による成形工程、事前処理部13による事前処理工程、液体塗布部14による液体塗布工程、乾燥部15による乾燥工程、および切断部16による切断工程を有する。このうち液体塗布工程は、事前処理工程よりも後の工程として実施される。乾燥工程は、液体塗布工程よりも後の工程として実施される。
以上に説明した実施形態によれば、シート状チーズSCに成形後、その片面に水溶性着色料や香料を含有する液体を塗布することで着色したり、風味を付与したりできる。この際、当該片面に水やエタノールを含む事前処理液を塗布する事前処理を施すことで、シート状チーズSCのチーズ表面とインク液との親和性を向上させた状態にしておき、この状態の表面に対して液体を塗布するから、液体を過剰に塗布することなく、かつ弾くことなく隙間がない状態で塗布できるという効果がある。
(プロセスチーズ類の製造方法)
図6には、本実施形態でのプロセスチーズ類の製造方法が示されている。図6に示すように、溶融部11による溶融工程、成形部12による成形工程、切断部16による切断工程、事前処理部13による事前処理工程、液体塗布部14による液体塗布工程、および乾燥部15による乾燥工程を有する。すなわち、前述の第1実施形態とでは、切断工程の順番が異なる。
ただし、これらの各工程での具体的な内容は、前述した第1実施形態と同じであるため、ここでの説明を省略する。
(ナチュラルチーズ類の製造方法)
以下には、チーズ類としてのナチュラルチーズ類の製造方法を図7に基づいて説明する。
ナチュラルチーズ類の製造方法としては、工程順に説明すると、チーズカード製造工程、成形工程、事前処理部13による事前処理工程、液体塗布部14による液体塗布工程、および乾燥部15による乾燥工程を有する。このようなナチュラルチーズ類の製造装置としては、図示を省略するが、既存のチーズカード製造装置、事前処理部13、液体塗布部14、乾燥部15、および搬送装置17を備えている。
成形工程では、チーズカードを熟成して得られたナチュラルチーズを切断したり、モールドで成形したりして、所定の形状に成形する。
成形工程以降に実施される事前処理工程、液体塗布工程、乾燥工程は、前述した第1実施形態と同じであるため、ここでの説明を省略する。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形例等は、本発明に含まれる。
例えば前記第1実施形態のように、1流体ノズル22Sによる噴霧パターンPTが一文字状である場合、図8の上段に示すように、隣り合う噴霧パターンPTの端部同士が長さL1に渡って大きく重なることで、周囲とは塗布量が違ってしまい、着色状態に濃淡が生じる。このような場合には、図8の下段に示すように、各1流体ノズル22Sの間隔を大きめに設定するなどし、搬送方向とは直交する水平方向に対し、所定の角度θを持って1流体ノズル22Sを並設してもよい。これにより、各噴霧パターンPTの大きさを変えずに、噴霧パターンPTの重なり部分の長さをL2に短くでき、濃淡を生じ難くできる。
しかし、事前処理された塗布面が乾燥しないうちに液体塗布を行う必要がある関係で、液体塗布工程については事前処理工程の次工程として行うことがよく、第1、第2実施形態のように、これらの工程の前後に切断工程を実施することが望ましい。
また、前記第1、第2実施形態では、シート状チーズSCの片面にのみ事前処理液、および液体を塗布していたが、両面や全ての面に塗布するようにしてもよい。
(実施例)
使用したインク液は、水溶性着色料としてタマリンド色素(OCL−ブラウンTP−P、小川香料(株))、水溶性シェラック(AQシェラック、岐阜シェラック(株)製)、純度95%のエタノール(宝酒造(株)製)、を表1に従って配合した。
一方、事前処理液として、純度95%のエタノールを使用し、2流体ノズルを持つスプレーガン(FOG−101−15GM、アネスト岩田(株)製)を用いて噴霧した。その際、実測で1.5L/hrの噴霧量に調整した。
チーズを搬送する手段としては、ベルトコンベア(トレベア、マルヤス機械(株)製)を用いた。なお、搬送速度は5m/minとした。
実施にあたっては、切れてるチーズ(雪印メグミルク(株)製)をベルトコンベアで搬送しながら、まず事前処理液を噴霧し、その後インク液を噴霧した。
使用したインク液とインク液を噴霧する噴霧装置とは、実施例と同様である。異なる点は、事前処理液を噴霧せずに、ベルトコンベアで切れてるチーズ(雪印メグミルク(株)製)を搬送しながら、インク液のみを噴霧したことである。
実施例および比較例で着色したチーズ表面の写真を図10、図11に示す。明らかに実施例のチーズはべた塗りできているが、比較例のチーズはべた塗りできていなかった。
Claims (18)
- チーズ類の製造方法において、
チーズの表面に水またはエタノールを含む事前処理液を塗布する事前処理工程と、
前記表面に水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を塗布する液体塗布工程とを有し、
前記液体塗布工程を前記事前処理工程よりも後の工程として実施する
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - チーズ類の製造方法において、
溶融チーズを連続的に引き出してシート状チーズを成形する成形工程と、
前記シート状チーズの表面または前記シート状チーズを積層することで得られる積層チーズの表面に、水またはエタノールを含む事前処理液を塗布する事前処理工程と、
前記表面に水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を塗布する液体塗布工程と
を有し、
前記液体塗布工程を前記事前処理工程よりも後の工程として実施する
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載のチーズ類の製造方法において、
前記液体塗布工程を前記事前処理工程の次工程として実施する
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のチーズ類の製造方法において、
前記液体塗布工程よりも後に、前記表面を乾燥させる乾燥工程を有する
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のチーズ類の製造方法において、
前記事前処理液および前記液体の少なくとも一方にシュラックを5%以上含有させる
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のチーズ類の製造方法において、
前記液体塗布工程では、前記水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を50ml/m2以下の塗布量で塗布する
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のチーズ類の製造方法において、
前記液体は、燻製液である
ことを特徴とするチーズ類の製造方法。 - チーズ類の製造装置において、
チーズの表面に水またはエタノールを含む事前処理液を塗布する事前処理部と、
前記表面に水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を塗布する液体塗布部とを有する
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - チーズ類の製造装置において、
溶融チーズを連続的に引き出してシート状チーズを成形する成形部と、
前記シート状チーズの表面または前記シート状チーズを積層することで得られる積層チーズの表面に、水またはエタノールを含む事前処理液を塗布する事前処理部と、
前記表面に水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体を塗布する液体塗布部とを有する
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - 請求項8または請求項9に記載のチーズ類の製造装置において、
前記事前処理部および前記液体塗布部は、前記表面側に設置された噴霧装置をそれぞれ備える
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - 請求項10に記載のチーズ類の製造装置において、
前記事前処理部の噴霧装置は、2流体ノズルを備える
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - 請求項10または請求項11に記載のチーズ類の製造装置において、
前記液体塗布部の噴霧装置は、1流体ノズルを備える
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - 請求項8から請求項12のいずれか一項に記載のチーズ類の製造装置において、
前記表面を乾燥させる乾燥部を備える
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - 請求項8から請求項13のいずれか一項に記載のチーズ類の製造装置において、
前記液体塗布部は、前記表面への液体の塗布領域が可変に設けられている
ことを特徴とするチーズ類の製造装置。 - 水またはエタノールを含む事前処理液にて事前処理された表面に、水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する被膜が形成されている
ことを特徴とするチーズ類。 - 請求項15に記載のチーズ類において、
前記被膜には、シュラックが含有されている
ことを特徴とするチーズ類。 - 請求項15または請求項16に記載のチーズ類において、
前記被膜は、前記水溶性着色料および香料のうちの少なくとも一方を含有する液体の塗布により形成されている
ことを特徴とするチーズ類。 - 請求項17に記載のチーズ類において、
前記液体は、燻製液である
ことを特徴とするチーズ類。
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