一実施形態に係る油圧作動カムシャフト位相整合機構は、2つのロックピンを有し、その一方はエンジンシャットダウンに先立ってエンジン油圧により係合され、ロックピンが周囲に放出を行い、油圧を解放する際に作用するばね力によって解放される。他方のロックピンは、ばね力によって係合され、エンジンが作動すると油圧によって解放される。
代替の実施形態において、アキュムレータがロックピン切り替え回路と流体連通し、端部ロックピンがエンジンシャットダウン後に係合される時間を延ばしてもよい。
開示の実施形態において、端部ロックピンは、エンジンクランキング中にエンジンの冷間始動に対してより最適な位置にフェイザーを再配置できるように、エンジン中のエンジン油圧を生じさせる前に解放される。
いくつかの実施形態において、カムシャフト位相整合機構又はフェイザーの位置及び駆動率を制御する制御バルブは、ロックピン切り替え機能を制御する部分も有する。またこの同一の油圧回路を用いて、カムシャフト位相整合機構に中間ロック位置を発見させる油圧戻り止めバルブを制御することができる。
いくつかの実施形態では、圧力によって係合される端部ロックピンが遅角停止位置にあったが、フェイザー権限範囲内の他の任意の位置でロックする際にも同一の概念を用いることができる。
いくつかの実施形態において、油圧戻り止め切り替え機能を管理する際の油圧回路補助にオフセットパイロットバルブ又は遠隔パイロットバルブを付加し、クランキング中又はエンジンの完全シャットダウンに先立ってエンジンの冷間始動のために中間位置ロックを提供するフェイザーを用いる。フェイザーの中間位置ロックにより、電流信号がアクチュエータ又は可変力ソレノイドから取り除かれると、エンジンの冷間始動に最適な位置にカムを配置する。またフェイザーも、停止−始動モードのエンジンの自動「停止」中、最遅角位置にロックされてもよい。
いくつかの実施形態において、フェイザーは2つのロックピンを有する。双方のロックピンは、ロック位置においてハウジングアセンブリの外側端部プレートに係合するか、ロック位置においてハウジングアセンブリの内側端部プレートに係合するか、又はロック位置にある中間ロックピンがフェイザーのハウジングアセンブリの外側端部プレートに係合してロック位置にある端部ロックピンがハウジングアセンブリの内側端部プレートに係合するように分離されてもよい。一実施形態において、ロックピンのうちの一方は、フェイザーが最遅角位置にある際にロック位置から移動し、ロックピンのうちの他方は、フェイザーが中間位置又は中間位相角度にある際にロック位置から移動する。或いは、ロックピンのうちの一方は、フェイザーが最進角にある際にロック位置から移動し、ロックピンのうちの他方は、フェイザーが中間位置又は中間位相角度にある際にロック位置から移動する。他の代替実施形態において、ロックピンのうちの一方は、フェイザーが最進角にある際にロック位置から移動してもよく、ロックピンのうちの他方は、フェイザーが最遅角位置にある際にロック位置から移動してもよい。
他の実施形態において、フェイザーは、ロック位置にある際、ハウジングアセンブリの外側端部プレートと係合するか、又はロック位置にある際、ハウジングアセンブリの内側端部プレートに係合して、回転子に対するハウジングの回転をロックする。ロックピンは、フェイザーが最遅角位置にある際にロック位置に移動するのが好ましい。ロックピンをロック位置に移動させるためには、ばねの力に抗ってロックピンの本体を移動させ、ロックピンの位置に応じて、ハウジングアセンブリの外側端部プレート又はハウジングアセンブリの内側端部プレートと係合させる圧力が要求される。
パイロットバルブは、2つのロックピンのうちの一方と係合又は解放する同一の油圧回路でオン/オフを制御されてもよい。これにより、可変カムタイミング(VCT)制御バルブから2つの油圧回路、VCT制御回路、及び複合ロックピン/油圧戻り止め制御回路までを短縮する。パイロットバルブの第1位置への移動は、遠隔オン/オフバルブ又はフェイザーの制御バルブによってアクティブ制御される。
遠隔パイロットバルブを用いる利点の1つとして、ソレノイドにより制限されないため、制御バルブに比して長いストロークを得られることが挙げられる。従ってパイロットバルブは、油圧戻り止めモードでより大きな流路を開放することができ、戻り止めモードにおける駆動率を向上することができる。また遠隔パイロットバルブの位置により、油圧戻り止め回路を短縮及び簡略化することで、VCT戻り止めモード又はフェイザーの中間位相角度位置における性能を向上する。
図1〜図5は、スプールバルブ位置に応じた、CTA VCTフェイザーの動作モードを示している。図面に示した位置は、VCTフェイザーの移動方向を規定している。位相制御バルブは無限数の中間位置を有することで、制御バルブがVCTフェイザーの移動方向のみを制御するのでなく、具体的なスプール位置に応じて、VCTフェイザーが位置を変える速度を制御することが理解される。従って、位相制御バルブも無限の中間位置で作動可能であり、図示の位置に限定されないことが理解される。
図1〜図5を参照すると、開閉エンジンバルブの力によって生じるカムシャフトのトルク反転により、ベーン104を移動させる。進角チャンバ102及び遅角チャンバ103は、カムシャフトの正のトルクパルス及び負のトルクパルスに抵抗するよう配置され、カムトルクによって交互に加圧される。制御バルブ109は、所望の移動方向に応じて、進角チャンバ102から遅角チャンバ103へ、又はその逆へ流体の流れを許容することにより、フェイザー内のベーン104を移動させる。
フェイザーのハウジングアセンブリ100は、駆動力を受容する外周101と、内側端部プレート(図示せず)と、外側端部プレート(図示せず)を有する。回転子アセンブリ105は、カムシャフトに接続され、ハウジングアセンブリ100内に同軸に配置される。回転子アセンブリ105は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバを、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103に分離するベーン104を有する。ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105の相対角度位置を移行するよう回転可能である。さらに、油圧戻り止め回路133及びロックピン回路123も設けられる。油圧戻り止め回路133及びロックピン回路123は、基本的には上述の回路の1つであるが、簡潔さのため、個々に検討する。
油圧戻り止め回路133は、パイロットバルブ130と進角チャンバ102をパイロットバルブ130及び共通ライン114に接続する進角戻り止めライン128に搭載されたばね131と、遅角チャンバ103をパイロットバルブ130に接続する遅角戻り止めライン134と、パイロットバルブ130及び共通ライン114に接続されるライン129とを備える。進角戻り止めライン128及び遅角戻り止めライン134は、ベーン104から所定の距離すなわち長さである。パイロットバルブ130は、回転子アセンブリ105内にあり、ライン132を通じてロックピン回路123及びライン119aと流体接続される。ロックピン回路123は、中間ロックピン143、中間ロックピンばね139、ライン132、パイロットバルブ130、供給ライン119a、ライン145、排出ライン121、ライン146、端部ロックピン147、及び端部ロックピンばね144を備える。
中間ロックピン143及び端部ロックピン147は、回転子アセンブリ105、より好ましくはベーン104内の孔部にスライド可能に収容される。中間ロックピン143の端部は、中間ロックピンばね139により、ハウジングアセンブリ100の端部プレートにおける凹部142に向かってばね付勢され、凹部142内に嵌合される。端部ロックピン147の端部は、ハウジングアセンブリ100の端部プレートにおいて、凹部141から離間するようにばね付勢されるか、又は凹部141に向かって油圧付勢されて凹部141内に嵌合される。油圧戻り止め回路133の開閉及びロックピン回路123の加圧はともに、位相制御バルブ109の切り替え/移動によって制御される。
中間ロックピン143及び端部ロックピン147がロックピン回路123全体の一部であるとき、端部ロックピン147から放出を行い、中間ロックピンが加圧又は充填される独立モードが設けられる。例えば、スプールが図1に示す進角位置に完全にある場合、又はこの進角位置に向かって移動している場合、中間ロックピン143は加圧又は充填され、端部ロックピン147から放出を行うか、又は充填されない。負荷サイクルが低いとき、中間ロックピン143は加圧又は充填され、端部ロックピンも図2に示すとおり、加圧又は充填される。負荷サイクルが0%であるとき、中間ロックピン143及び端部ロックピンは双方とも、図4に示すとおり、放出を行うか、又は充填されない。
制御バルブ109、好ましくはスプールバルブは、スリーブ116内にスライド可能に受容される円筒形ランド111a、111b、111c、及び111dを有するスプール111を備える。制御バルブは、カムシャフトでパイロット動作する回転子アセンブリ105の孔部内、又はフェイザーの中心ボルトにおいて、フェイザーから離間して配置されてもよい。スプールの一端はばね115に接触し、スプールの他端はパルス幅変調可変力ソレノイド(VFS)107に接触する。ソレノイド107は、電流又は電圧を変化させることにより、若しくは他の適用可能な方法によって線形に制御されてもよい。さらにスプール111の反対の端部は、可変力ソレノイド107の代わりにモータ又は他のアクチュエータに接触して影響を受けてもよい。
制御バルブ109の位置は、可変力ソレノイド107の負荷サイクルを制御するエンジン制御部(ECU)106によって制御される。ECU106は、好ましくは、エンジン、メモリ、並びに外部装置及びセンサとデータ交換に用いられる入力出力ポートを制御するために種々の演算プロセスを作動させる中央処理装置(CPU)を備える。
スプール111の位置は、ECU106によって制御されるばね115及びソレノイド107の影響を受ける。フェイザーの制御についての詳細は、以下に議論する。スプール111の位置により、フェイザーの動き(例えば、進角位置、保持位置、遅角位置、又は遅角ロック位置への移動)と、ロックピン回路123及び油圧戻り止め回路133が開放(オン)しているか閉鎖(オフ)しているか、中間ロックピン143又は端部ロックピン147がロック位置又はロック解除位置にあるかを制御する。換言すると、スプール111の位置により、パイロットバルブ130をアクティブ制御する。制御バルブ109は、進角モード、遅角モード、遅角ロックモード、ヌルモード(保持位置)、及び戻り止めモードを有する。
進角モードにおいて、スプール111は、流体がスプール111を通じて遅角チャンバ103から進角チャンバ102へ流れてもよい位置に移動し、流体が進角チャンバ102から流出しないように遮断され、戻り止めバルブ回路133がオフされる、すなわち閉鎖される。ロックピン147及び143は双方とも、ロック解除位置にある。
遅角モードにおいて、スプール111は、流体がスプール111を通じて進角チャンバ102から遅角チャンバ103へ流れてもよい位置に移動し、流体が遅角チャンバ103から流出しないように遮断され、戻り止めバルブ回路133がオフされ、ロックピン147及び143は双方とも、ロック解除位置にある。
ヌルモードにおいて、スプール111は、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103から流体が流出しないように遮断する位置へと移動し、戻り止めバルブ回路133がオフされる。
遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、ベーン104は既に、最遅角位置へ移動しており、スプール111を通じて進角チャンバ102から遅角チャンバまでの流れは、遅角チャンバ103を流出する流体を遮断しつつ、継続する。本モードにおいて、戻り止め回路がオフされ、端部ロックピン147が加圧されることにより、端部ロックピンばね144に端部ロックピン147を圧縮させ、端部プレートの凹部141と係合させてロック位置に移動させる。「最遅角位置」は、ベーン104がチャンバ117の進角壁部102aと接触するか、進角壁部102aに略近接する際の位置として規定され、ベーンの「遅角端部停止位置」と称されてもよい。
戻り止めモードにおいて、3つの機能が生じる。戻り止めモードの第1の機能として、スプールランド111bがスプールランド111aと111bとの間のライン112からの流体の流れが他のライン及びライン113のいずれにも流入しないように遮断する位置へとスプール111を移動することにより、制御バルブ109からのフェイザーの制御を効果的に取り除くというものである。戻り止めモードの第2の機能として、戻り止めバルブ回路133を開放すなわちオンするというものである。戻り止めバルブ回路133は、ベーン104が中間位相角度位置に到達するまで、フェイザーを進角又は遅角に移動させるよう完全制御する。戻り止めモードの第3の機能として、ロックピン回路123から放出を行い、中間ロックピン143をハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部142に係合させるというものである。端部ロックピン147からも放出を行い、端部ロックピン147は端部ロックピンばね144によってロック解除位置にばね付勢されることに注意しなければならない。中間位相角度位置又は中間位置は、ベーン104が、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間にチャンバを規定する進角壁部102aと遅角壁部103aとの間のいずれかの箇所にある際の位置である。中間位相角度位置は、進角壁部102aと遅角壁部103aとの間の任意の箇所とすることができ、ベーン104に対して戻り止め通路128及び134がどこにあるかによって判定される。
スプール111は、パルス幅変調可変力ソレノイド107の負荷サイクルに基づき、そのストロークに合わせて対応位置に移動する。可変力ソレノイド107の負荷サイクルが約40%、60%、及び60%超であると、スプール111は、各々、遅角モード/遅角ロックモード、ヌルモード(保持位置)、及び進角モードに対応する位置に移動し、パイロットバルブ130は加圧され、第1位置に移動及び保持され、油圧戻り止め回路133は閉鎖され、中間ロックピン143は加圧されてロック解除位置に解放されるであろう。遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、端部ロックピン147は、加圧され、ハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部141に係合する。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%であると、スプール111は、パイロットバルブ130が放出を行い、第2位置に移動するように戻り止めモードに移行し、油圧戻り止め回路133は開放され、中間ロックピン143は放出を行い、凹部142に係合されるであろう。端部ロックピン147もまたライン146を通じて排出ライン121に放出を行い、端部ロックピンばね144が、端部ロックピン147を凹部141との係合から解放するように付勢することにより、ロック解除位置にくるようにする。動力又は制御が喪失されると、フェイザーがロック位置にデフォルトされるため、油圧戻り止め回路133を開放し、パイロットバルブ130の放出を行い、中間ロックピン143の放出を行って凹部142と係合させるため、スプールストロークに沿った最終位置として0%の負荷サイクルが選択される。以上に列挙した負荷サイクルのパーセンテージは、一例であり、変更されてもよいことに注意しなければならない。さらに、所望に応じて、負荷サイクルが100%のとき、油圧戻り止め回路133が開放され、パイロットバルブ130が放出を行い、中間ロックピン143が放出を行って凹部142に係合されてもよい。
負荷サイクルが60%を超えて設定されると、フェイザーのベーンは、進角位置に向かって、且つ/又は、進角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、進角位置について3.5〜5mmの範囲である。
図1は、進角位置に移動するフェイザーを示している。進角位置に移動させるため、負荷サイクルは60%を超えるよう増加され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール111に掛かるVFS107の力が増し、スプール111が進角モードでVFS107により右側に移動される。図示の進角モードにおいて、スプールランド111aは、ライン112を遮断し、ライン113及び114が開放される。カムシャフトトルクによって遅角チャンバ103を加圧し、流体を遅角チャンバ103から進角チャンバ102内に移動させ、ベーン104を遅角壁部103aに向かって移動させる。流体は、ライン113を通って、遅角チャンバ103からスプールランド111aと111bとの間の制御バルブ109に流出し、中心ライン114及び進角チャンバ102に通じるライン112に再循環する。
補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。制御バルブ109がカムシャフト内にある場合、ライン119は、軸受を通してドリル穴開けされてもよい。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。
ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ109に通じる。流体は、制御バルブ109から、進角チェックバルブ108を通ってライン114に流入し、進角チャンバ102に流れる。
ライン119aは、2つの異なるライン、つまりライン146から端部ロックピン147と、ライン145から中間ロックピン143に通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132へと分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド111cと111dの間のスプール111を通ってライン145内へ移動し、中間ロックピンばね139に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が図1に示すとおり遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。同時に、端部ロックピン147と流体連通したライン146からの流体が排出ライン121に放出されることで、端部ロックピンばね144が、凹部141との係合から解放されるよう端部ロックピン147を付勢することにより、ロック解除位置にくるようにする。排出ライン121は、ライン145が放出を行わないようにするスプールランド111cにより遮断される。スプールランド111bは、ライン113からの流体が排出ライン121を通って放出されないようにする。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが遅角位置に移動し、且つ/又は、遅角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角位置について、2〜3.5mmの範囲である。
図5は、遅角位置に移動するフェイザーを示している。遅角位置に移動させるには、負荷サイクルは、40%超且つ60%未満に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール111に掛かるVFS107の力が低減され、スプール111がばね115によって移動される。遅角モードにおいて、スプールランド111bがライン113を遮断し、ライン112及び114が開放される。カムシャフトトルクが進角チャンバ102を加圧することにより、進角チャンバ102内の流体を遅角チャンバ103内に移動させ、ベーン104を進角チャンバ壁部102aに向かって移動させる。流体は、ライン112を通って、進角チャンバ102からスプールランド111a及び111bの間の制御バルブ109に流出し、中心ライン114及び遅角チャンバ103に通じるライン113に再循環する。
補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ109に通じる。流体は、制御バルブ109から、遅角チェックバルブ110を通ってライン114に流入し、遅角チャンバ103に流れる。
ライン119aは、2つの異なるライン、すなわちライン146から端部ロックピン147と、ライン145から中間ロックピン143に通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132に分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド111cと111dの間のスプール111を通ってライン145内へ移動し、中間ロックピンばね139に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢し、ロックピン回路123に流体を充填する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。ライン146は、スプールランド111c及び111dの間の排出ライン121に部分的に開放される。端部ロックピン147は、図2に示すとおり、端部プレートの凹部141が端部ロックピン147と配列されるまで、解放位置においてばね144に抗うよう部分的に付勢されたままとされるであろう。排出ライン121はスプールランド111cによって遮断されることにより、ライン145及び146から放出されないようにする。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが遅角ロック位置に移動し、且つ/又は、遅角ロック位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角ロック位置について、約2mmである。
図2は、最遅角位置又は遅角端部停止位置において、遅角ロック位置にあるフェイザーを示している。最遅角位置に移動させるには、負荷サイクルは、40%超且つ60%未満に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール111に掛かるVFS107の力が低減され、スプール111がばね115によって図面の端部停止ロックモードにおいて左側に移動される。図示の端部停止ロックモードにおいて、スプールランド111bがライン113を遮断し、ライン112及び114が開放される。カムシャフトトルクが進角チャンバ102を加圧することにより、進角チャンバ102内の流体を遅角チャンバ103内に移動させ、ベーン104を進角チャンバ壁部102aに向かって移動させる。流体は、ライン112を通って、進角チャンバ102からスプールランド111a及び111bの間の制御バルブ109に流出し、中心ライン114及び遅角チャンバ103に通じるライン113に再循環する。フェイザーは、ベーン104が進角壁部102aに接触するか、又は進角壁部102aに略近接する際、最遅角位置又は遅角端部停止位置にくる。
補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ109に通じる。流体は、制御バルブ109から、遅角チェックバルブ110を通ってライン114に流入し、遅角チャンバ103に流れる。
ライン119aは、2つの異なるライン、つまりライン146から端部ロックピン147と、ライン145から中間ロックピン143に通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132へと分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド111cと111dの間のスプール111を通ってライン145内へ移動し、ばね144に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢し、ロックピン回路123に流体を充填する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。ライン146はまた、ライン119aからの流体も受容する。ライン146内の流体は、端部プレート171の凹部141内に端部ロックピン147を付勢し、ロック位置とされ、回転子アセンブリ105に対してハウジングアセンブリ100をロックする。排出ライン121は、ライン145及び146が放出を行わないようにするスプールランド111cによって遮断される。
端部ロックピン147は、熱いエンジンをシャットダウンする直前の圧力を用いて係合又はロックされる。スプールバルブ111は、2mm(端部停止ロックモード)位置に留まり、端部ロックピン147の後方にオイルを捕獲し、オイルがロックピンチャンバに残留する限り、端部ロックピン147を係合状態に保持するであろう。エンジンが「停止−始動」エンジン技術、次いで「キーオフ」で用いられるようなエンジン制御シャットダウンとは対照的に、顧客主導「キーオフ」モードに移行すると、制御バルブ109はゼロ位置に移動することにより、完全停止ロックの放出及び解放を行うであろう。これにより、次のエンジンクランキングサイクル中、フェイザーを最適な冷間始動位置に戻すこととなろう。
フェイザーの保持位置は、ハウジングに対して、ベーンの遅角位置と進角位置との間に生じるのが好ましい。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、3.5mmである。
図3は、ヌル位置のフェイザーを示している。この位置において、可変力ソレノイド107の負荷サイクルは約60%であり、保持モードにおいて、スプール111の一端に掛かるVFS107の力はスプール111の他端に掛かるばね115の力に等しい。ランド111a及び111bは各々、ライン112及び113からの流体の流れを遮断する。補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。
ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ109に通じる。流体は、制御バルブ109から、チェックバルブ108又は110のいずれかを通ってライン114に流入し、進角チャンバ102又は遅角チャンバ103に流れる。ライン119aは、ライン145と中間ロックピン143とに通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132へと分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド111cと111dの間のスプール111を通ってライン145内へ移動し、中間ロックピンばね139に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。排出ライン121は、ライン145が放出を行わないようにするスプールランド111cによって遮断される。ライン146内の流体は、排出ライン121を通ってスプールランド111bと111cとの間で放出される。ライン146による放出で、端部ロックピンばね144に、凹部から離間してロック解除位置へ向かうよう端部ロックピン147を付勢させる。
負荷サイクルが0%であると、フェイザーのベーンは中間位置又は中間位相角度位置にくる。スプールのストローク(スプールのスリーブに対する位置)は0mmである。
図4は、中間位置又は中間位相角度位置にあるファイザーを示しており、可変力ソレノイドの負荷サイクルは0%であり、スプール109は戻り止めモードで、パイロットバルブ130はスプールを通じて、サンプすなわち排出タンクに通じる排出ライン121に放出を行い、油圧戻り止め回路133が開放、すなわちオンされる。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%に変化するのに先立ってベーン104がどこにあるかに応じて、進角戻り止めライン128又は遅角戻り止めライン134のいずれかが、各々進角チャンバ102又は遅角チャンバ103に露出される。またエンジンがクランキング中に異常シャットダウンした場合(例えば、エンスト)、可変力ソレノイド107の負荷サイクルは0%になり、回転子アセンブリ105は戻り止め回路を介して中間位置又は中間位相角度位置に移動し、中間ロックピン143は、エンジンの異常シャットダウンに先立ってベーン104がハウジングアセンブリ100に対してどの位置にあったかに関わらず、中間位置又は中間位相角度位置において係合されるであろう。
電子制御を用いることなく中間位置又は中間位相角度位置にデフォルトするという本発明に係るフェイザーの能力により、フェイザーは、カムフェイザー位置の制御に電子制御が通常用いられないエンジンクランキングの間でさえも、フェイザーを中間位置又は中間位相角度位置に移動させる。またフェイザーが中間位置又は中間位相角度位置にデフォルトされるため、特に制御信号又は動力が喪失されると、VCTフェイザーのアクティブコントロールがなくてもエンジンが始動及び作動可能となることを保証するフェールセーフ位置を提供する。フェイザーは、エンジンクランキングに際して中間位置又は中間位相角度位置を採るため、フェイザーの位相をより長く移動することが可能となり、較正の機会を提供する。従来、エンジンのクランキングや始動に際して中間位置又は中間位相角度位置が存在せず、エンジンは最進角又は最遅角の停止位置のいずれかで始動することが困難であったため、フェイザーの移動を長くしたり、位相角度を長くすることは不可能であった。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%に設定されたばかりでは、スプール111に掛かるVFSの力が低減し、ばね115は、スプールの戻り止めモードへの移動の最左端までスプール111を移動させる。戻り止めモードにおいて、スプールランド111bは、スプールランド111a及び111bの間のライン112からの流体の流れが、他のライン及びライン113のいずれにも流入するのを遮断し、効果的に制御バルブ109からフェイザーに掛かる制御を取り除く。同時に、供給部からの流体は、ライン119を通ってライン119bに流れ、注入チェックバルブ118を通ってスリーブ116内の孔部周囲の共通ライン114に流れてもよい。
流体は、スプールランド111dにより、ライン119aからライン145へ、且つライン132からパイロットバルブ130へと流れないようにされる。流体がライン145及び132に流れることができないため、パイロットバルブ130は排出ライン121に放出を行い、進角戻り止めライン128及び遅角戻り止めライン134の間の通路をパイロットバルブ130を通じてライン129及び共通ライン114に開放する。換言すると、油圧戻り止め回路133を開放、すなわちオンする。中間ロックピンばね139は、流体をライン132及び145から排出することにより、中間ロックピン143を付勢し、ハウジングアセンブリ100の端部プレート内の凹部142に係合させ、回転子アセンブリ105に対してハウジングアセンブリ100をロックする。同時に、流体も、排出ライン121を通じてライン146から排出される。端部ロックピンばね147は、ライン146から放出される流体により、端部ロックピン147を解除位置、すなわちロック解除位置へと付勢する。
ベーン104が進角位置付近又は進角位置においてハウジングアセンブリ100内に配置され、進角戻り止めライン128が進角チャンバ102に露出されると、進角チャンバ102からの流体が進角戻り止めライン128内に流入し、解放パイロットバルブ130を流れ、且つ、共通ライン114に通じるライン129に流れる。流体は、共通ライン114から、チェックバルブ110を通って流れ、遅角チャンバ103内に流入し、ベーン104をハウジングアセンブリ100に対して移動させて進角チャンバ102に対して進角戻り止めライン128を閉鎖すなわち遮断する。回転子アセンブリ105が進角戻り止めライン128を進角チャンバ102から閉鎖するため、ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバ内で中間位置又は中間位相角度位置に移動する。
ベーン104が遅角位置付近又は遅角位置においてハウジングアセンブリ100内に配置され、遅角戻り止めライン134が遅角チャンバ103に露出されると、遅角チャンバ103からの流体は、遅角戻り止めライン134内に流入し、解放されたパイロットバルブ130を通って流れ、且つ共通ライン114に通じるライン129に流れる。流体は、共通ライン114から、チェックバルブ108を通じて流れ、且つ進角チャンバ102内に流入し、ベーン104をハウジングアセンブリ100に対して移動させて、遅角戻り止めライン134を遅角チャンバ103に対して閉鎖する。回転子アセンブリ105が遅角戻り止めライン134を遅角チャンバ103から閉鎖するので、ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバ内で中間位置又は中間位相角度位置に移動される。
端部停止ロックモードを最遅角位置におけるフェイザーのロックとして説明したが、最遅角位置は、最進角におけるフェイザーのロックと代替されてもよいことに注意しなければならない。この位置において、最進角は、ベーン104が遅角壁部103aと接触するか、又は図8に示すとおり、遅角壁部103aに略近接している際の位置であり、ベーンの「進角端部停止位置」と称されてもよい。
最進角で端部停止ロックモードのフェイザーについて、進角モードでは、スプール111は、流体がスプール111を通って遅角チャンバ103から進角チャンバ102へと流れてもよい位置へと移動され、流体が進角チャンバ102からの流出を遮断され、戻り止めバルブ回路133がオフ、すなわち閉鎖される。ロックピン147及び143はともにロック解除位置にある。
遅角モードにおいて、スプール111は、流体がスプール111を通じて進角チャンバ102から遅角チャンバ103に流れてもよい位置に移動され、流体は遅角チャンバ103からの流出を遮断され、戻り止めバルブ回路133はオフされ、ロックピン147及び143はともにロック解除位置にある。
ヌルモードにおいて、スプール111は、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103からの流体の流出を遮断する位置に移動され、戻り止めバルブ回路133はオフされる。
進角ロックモードにおいて、ベーン104は既に最進角に移動しており、スプール111を通じた遅角チャンバ103から進角チャンバ102への流れは継続し、流体は進角チャンバ102からの流出を遮断される。このモードにおいて、戻り止め回路はオフされ、端部ロックピン147は加圧されることにより、ばね144が端部ロックピン147を圧縮し、端部プレートの凹部141に係合させ、ロック位置に移動させる。「最進角」は、ベーン104がチャンバ117の遅角壁部103aと接触するか、又は遅角壁部103aと略近接した際の位置として規定され、ベーンの「進角端部停止位置」と称されてもよい。
戻り止めモードにおいて、3つの機能が生じる。戻り止めモードの第1の機能として、スプールランド111bがスプールランド111aと111bとの間のライン112からの流体の流れが他のライン及びライン113のいずれにも流入しないように遮断する位置へとスプール111を移動することにより、制御バルブ109からのフェイザーの制御を効果的に取り除くというものである。戻り止めモードの第2の機能として、戻り止めバルブ回路133を開放すなわちオンするというものである。戻り止めバルブ回路133は、ベーン104が中間位相角度位置に到達するまで、フェイザーを進角又は遅角に移動させるよう完全制御する。戻り止めモードの第3の機能として、ロックピン回路123から放出を行い、中間ロックピン143をハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部142に係合させるというものである。端部ロックピン147からも放出を行い、端部ロックピン147は端部ロックピンばね144によってロック解除位置に付勢されることに注意しなければならない。中間位相角度位置又は中間位置は、ベーン104が、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間にチャンバを規定する進角壁部102aと遅角壁部103aとの間のいずれかの箇所にある際の位置である。中間位相角度位置は、進角壁部102aと遅角壁部103aとの間の任意の箇所とすることができ、ベーン104に対して戻り止め通路128及び134がどこにあるかによって判定される。
スプール111は、パルス幅変調可変力ソレノイド107の負荷サイクルに基づき、そのストロークに合わせて対応位置に移動する。可変力ソレノイド107の負荷サイクルが約40%、60%、及び60%超であると、スプール111は、各々、進角モード/進角ロックモード、ヌルモード、及び遅角モードに対応する位置に移動し、パイロットバルブ130は加圧され、第1位置に移動及び保持され、油圧戻り止め回路133は閉鎖され、中間ロックピン143は加圧されてロック解除位置に解放されるであろう。遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、端部ロックピン147は、加圧され、ハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部141に係合する。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%であると、スプール111は、パイロットバルブ130が放出を行い、第2位置に移動するように戻り止めモードに移行し、油圧戻り止め回路133は開放され、中間ロックピン143は放出を行い、凹部142に係合されるであろう。端部ロックピン147もまたライン146を通じて排出ライン121に放出を行い、端部ロックピンばね144が、端部ロックピン147を凹部141との係合から解放するように付勢することにより、ロック解除位置にくるようにする。動力又は制御が喪失されると、フェイザーがロック位置にデフォルトされるため、油圧戻り止め回路133を開放し、パイロットバルブ130の放出を行い、中間ロックピン143の放出を行って凹部142と係合させるため、スプールストロークに沿った最終位置として0%の負荷サイクルが選択される。以上に列挙した負荷サイクルのパーセンテージは、一例であり、変更されてもよいことに注意しなければならない。さらに、所望に応じて、負荷サイクルが100%のとき、油圧戻り止め回路133が開放され、パイロットバルブ130が放出を行い、中間ロックピン143が放出を行って凹部142に係合されてもよい。
負荷サイクルが60%を超えて設定されると、フェイザーのベーンは、遅角位置に向かって、且つ/又は、進角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角位置について3.5mm〜5mmの範囲である。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが進角位置に移動し、且つ/又は、進角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、進角位置について、2〜3.5mmの範囲である。
フェイザーの保持位置は、ハウジングに対して、ベーンの遅角位置と進角位置との間に生じるのが好ましい。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、3.5mmである。
負荷サイクルが0%であると、フェイザーのベーンは中間位置又は中間位相角度位置にくる。スプールのストローク(スプールのスリーブに対する位置)は0mmである。
図6は、最遅角位置又は遅角端部停止位置において遅角ロック位置の第2実施形態に係るフェイザーを示している。このフェイザーは、図2に示すフェイザーと同様であり、アキュムレータ200がライン146に付加されている。端部ロックピン147の後方のオイルが所望より早く漏れ出すことがあり、熱いエンジンが再始動する前に端部ロックピン147が係合解除することがあると見込まれるため、アキュムレータ200がロックピン切り替え回路123のライン146と流体連通してもよい。アキュムレータ200は、エンジンシャットダウン後、端部ロックピン147が凹部141に係合される時間を延ばす。アキュムレータ200は、外部ソース201及び202による圧力下に非圧縮油圧流体を保持する圧力貯蔵槽である。本実施形態において、外部ソースは、ばね201で付勢したピストン202である。外部ソースはばね、持ち上げられた重り、又は圧縮ガスとすることもできる。他の位置、例えば、ヌルモード(保持位置)、進角モード、遅角モード、及び戻り止めモードは、図1、図3、図4、及び図5との関連で上述した通りであり、ここに参照として組み込む。
図6において、アキュムレータ200は、ライン119及び119aとも連通することができ、アキュムレータがライン146内に配置された場合と同様の結果を生じ得ることに注意しなければならない。
図7は、最遅角位置又は遅角端部停止位置において遅角ロック位置の第3実施形態に係るフェイザーを示す。このフェイザーは、図6に示すフェイザーと同様であり、アキュムレータ200がライン146に付加されている。このフェイザーと図6に示すフェイザーとの相違は、注入チェックバルブ118の配置である。図7のフェイザーでは、図1〜図5に示す注入チェックバルブ118に先立って、対照的に、流体がソースSから中間ロックピン143及び端部ロックピン147に供給され、注入チェックバルブ118を通じて流れる。
図6において、アキュムレータ200は、ライン119、119a、又は119bとも連通することができ、アキュムレータがライン146内に配置された場合と同様の結果を生じ得ることに注意しなければならない。
図6及び図7に示す端部停止ロックモードは、最遅角位置におけるフェイザーのロックとして上述したが、最遅角位置は、最進角におけるフェイザーのロックと代替されてもよいことに注意しなければならない。この位置において、最進角は、ベーン104が遅角壁部103aと接触するか、又は図8に示すとおり、遅角壁部103aに略近接する際の位置であり、ベーンの「進角端部停止位置」と称されてもよい。
図9〜図15は、スプールバルブ位置に応じた、TA VCTフェイザーの動作モードを示している。図面に示した位置は、VCTフェイザーの移動方向を規定している。フェイザー制御バルブは無限数の中間位置を有することで、制御バルブがVCTフェイザーの移動方向のみを制御するのでなく、具体的なスプール位置に応じて、VCTフェイザーが位置を変える速度を制御することが理解される。従って、フェイザー制御バルブも無限の中間位置で作動可能であり、図示の位置に限定されないことが理解される。
オイル供給部140からの油圧がベーン104を移動させる。制御バルブ209は、所望の移動方向に応じて、供給部140から進角チャンバ102及び遅角チャンバ103から排出ライン122へ、又は供給部140から遅角チャンバ103及び進角チャンバ102から排出ライン121へ、流体の流れを許容することにより、フェイザーのベーン104を移動させる。
フェイザーのハウジングアセンブリ100は、駆動力を受容する外周101と、内側端部プレート(図示せず)と、外側端部プレート(図示せず)を有する。回転子アセンブリ105は、カムシャフトに接続され、ハウジングアセンブリ100内に同軸に配置される。回転子アセンブリ105は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバを、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103に分離するベーン104を有する。ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105の相対角度位置を移行するよう回転可能である。
さらに、油圧戻り止め回路233(図示せず)及びロックピン回路123(図示せず)も設けられる。油圧戻り止め回路233及びロックピン回路123は、基本的には上述の回路の1つであるが、簡潔さのため、個々に検討する。
油圧戻り止め回路233は、パイロットバルブ130と進角チャンバ102をパイロットバルブ130及び共通ライン214に接続する進角戻り止めライン128とに搭載されたばね131と、遅角チャンバ103をパイロットバルブ130に接続する遅角戻り止めライン134と、パイロットバルブ130及び共通ライン214に接続されるライン129とを備える。このフェイザーにおいて、共通ライン214はパイロットバルブ130のみに接続され、制御バルブ209には直接接続されないことに注意しなければならない。共通ライン214はさらに、進角チェックバルブ108及び遅角チェックバルブ110と流体連通する。進角チェックバルブ108及び遅角チェックバルブ110は、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103からの流体がライン129及び油圧戻り止め回路233に流入しないようにする。
進角チェックバルブ108及び遅角チェックバルブ110は常に、パイロットバルブ130の開閉に関わらず、オイルがライン129に流入しないようにする。パイロットバルブ130は、閉鎖時、進角戻り止めライン128及び遅角戻り止めライン134からの前方流を防ぐ。チェックバルブ108及び110は、常に後方流を防ぐ。
進角戻り止めライン128及び遅角戻り止めライン134は、ベーン104から所定の距離すなわち長さである。パイロットバルブ130は、回転子アセンブリ105内にあり、ライン132を通じてロックピン回路123及びライン119aと流体接続される。ロックピン回路123は、中間ロックピン143、中間ロックピンばね139、ライン132、パイロットバルブ130、供給ライン119a、ライン145、排出ライン121、ライン146、端部ロックピン147、及び端部ロックピンばね144を備える。
中間ロックピン143及び端部ロックピン147は、回転子アセンブリ105、より好ましくはベーン104内の孔部にスライド可能に収容される。中間ロックピン143の端部は、中間ロックピンばね139により、ハウジングアセンブリ100の端部プレートにおける凹部142に向かってばね付勢され、凹部142内に嵌合される。端部ロックピン147の端部は、ハウジングアセンブリ100の端部プレートにおいて、凹部141から離間するように付勢され、且つ凹部141に向かって油圧付勢されて凹部141内に嵌合される。油圧戻り止め回路233の開閉及びロックピン回路123の加圧はともに、位相制御バルブ209の切り替え/移動によって制御される。
中間ロックピン143及び端部ロックピン147がロックピン回路123全体の一部であるとき、端部ロックピン147から放出を行い、中間ロックピンが加圧又は充填される独立モードが設けられる。例えば、スプールが図9に示す進角位置に完全にある場合、又はこの進角位置に向かって移動している場合、中間ロックピン143は加圧又は充填され、中間ロックピン143をロック解除位置に移動し、端部ロックピン147から放出を行うか充填されず、端部ロックピンをロック解除位置に移動させる。負荷サイクルが低いとき、中間ロックピン143は加圧又は充填され、中間ロックピン143をロック解除位置に移動させ、端部ロックピン147も加圧又は充填され、図11に示すとおり、端部ロックピン147をロック位置に移動させる。負荷サイクルが0%であるとき、中間ロックピン143及び端部ロックピン147は双方とも、図13に示すとおり、放出を行うか又は充填されないで、中間ロックピン143がロック位置に移動し、端部ロックピン147がロック解除位置に移動される。
制御バルブ209、好ましくはスプールバルブは、スリーブ116内にスライド可能に受容される円筒形ランド211a、211b、211c、211d、及び211eを有するスプール211を備える。制御バルブは、カムシャフトでパイロット動作する回転子アセンブリ105の孔部内、又はフェイザーの中心ボルトにおいて、フェイザーから離間して配置されてもよい。スプールの一端はばね115に接触し、スプールの他端はパルス幅変調可変力ソレノイド(VFS)107に接触する。ソレノイド107は、電流又は電圧を変化させることにより、若しくは他の適用可能な方法によって線形に制御されてもよい。さらにスプール211の反対の端部は、可変力ソレノイド107の代わりにモータ又は他のアクチュエータに接触して影響を受けてもよい。
制御バルブ209の位置は、可変力ソレノイド107の負荷サイクルを制御するエンジン制御部(ECU)106によって制御される。ECU106は、好ましくは、エンジン、メモリ、並びに外部装置及びセンサとデータ交換に用いられる入力出力ポートを制御するために種々の演算プロセスを作動させる中央処理装置(CPU)を備える。
スプール211の位置は、ECU106によって制御されるばね115及びソレノイド107の影響を受ける。フェイザーの制御についての詳細は、以下に議論する。スプール211の位置により、フェイザーの動き(例えば、進角位置、保持位置、遅角位置、又は遅角ロック位置への移動)と、ロックピン回路123及び油圧戻り止め回路233が開放(オン)しているか閉鎖(オフ)しているか、中間ロックピン143又は端部ロックピン147がロック位置又はロック解除位置にあるかを制御する。換言すると、スプール211の位置により、パイロットバルブ130をアクティブ制御する。制御バルブ209は、進角モード、遅角モード、遅角ロックモード、ヌルモード(保持位置)、及び戻り止めモードを有する。
進角モードにおいて、スプール211は、流体がスプール211を通じて供給部140から進角チャンバ102へ流れてもよい位置に移動する。流体は、スプール211により、進角チャンバ102から流出しないように遮断される。遅角チャンバ103内の流体は、スプール211を通じて排出ライン122に放出される。戻り止めバルブ回路133は、オフすなわち閉鎖される。ロックピン147及び143はともに、ロック解除位置にある。
遅角モードにおいて、スプール211は、流体がスプール211を通じて供給部140から遅角チャンバ103に流れてもよい位置に移動される。流体は、スプール211により、遅角チャンバ103からの流出を遮断される。進角チャンバ102内の流体は、スプール211を通って排出ライン121へ放出される。戻り止めバルブ回路233はオフされ、ロックピン147及び143はともにロック解除位置にある。
ヌルモードにおいて、スプール211は、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103から流体が流出しないように遮断する位置へと移動し、戻り止めバルブ回路233がオフされる。
遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、ベーン104は既に、最遅角位置又は遅角端部停止位置へ移動しており、進角チャンバ102からの流体は、スプール211を通じて排出ライン121に流れる。供給部140からは、依然として遅角チャンバに流体が供給される。本モードにおいて、戻り止め回路がオフされ、端部ロックピン147が加圧されることにより、ばね144に端部ロックピン147を圧縮させ、端部プレートの凹部141と係合させてロック位置に移動させる。「最遅角位置」は、ベーン104がチャンバ117の進角壁部102aと接触するか、進角壁部102aに略近接する際の位置として規定され、ベーンの「遅角端部停止位置」と称されてもよい。
戻り止めモードにおいて、3つの機能が生じる。戻り止めモードの第1の機能として、スプールランド211bがライン113及び遅角チャンバ103からの流体を排出ライン122に流出させないよう遮断し、スプールランド211dがライン112及び進角チャンバ102からの流体を排出ライン121に流出させないように遮断する位置にスプール211を移動させることにより、制御バルブ209からのフェイザーの制御を効果的に取り除くというものである。戻り止めモードの第2の機能として、戻り止めバルブ回路233を開放すなわちオンするというものである。戻り止めバルブ回路233は、ベーン104が中間位相角度位置に到達するまで、フェイザーを進角又は遅角に移動させるよう完全制御する。戻り止めモードの第3の機能として、ロックピン回路123から放出を行い、中間ロックピン143をハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部142に係合させるというものである。端部ロックピン147からも放出を行い、端部ロックピン147は端部ロックピンばね144によってロック解除位置にばね付勢されることに注意しなければならない。中間位相角度位置又は中間位置は、ベーン104が、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間にチャンバを規定する進角壁部102aと遅角壁部103aとの間のいずれかの箇所にある際の位置である。中間位相角度位置は、進角壁部102aと遅角壁部103aとの間の任意の箇所とすることができ、ベーン104に対して戻り止め通路128及び134がどこにあるかによって判定される。
スプール211は、パルス幅変調可変力ソレノイド107の負荷サイクルに基づき、そのストロークに合わせて対応位置に移動する。可変力ソレノイド107の負荷サイクルが約40%、60%、及び60%超であると、スプール211は、各々、遅角モード/遅角ロックモード、ヌルモード、及び進角モードに対応する位置に移動し、パイロットバルブ130は加圧され、第1位置に移動及び保持され、油圧戻り止め回路233は閉鎖され、中間ロックピン143は加圧されてロック解除位置に解放されるであろう。遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、端部ロックピン147は、加圧され、ハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部141に係合する。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%であると、スプール211は、パイロットバルブ130が放出を行い、第2位置に移動するように戻り止めモードに移行し、油圧戻り止め回路233は開放され、中間ロックピン143は放出を行い、凹部142に係合されるであろう。端部ロックピン147もまたライン146を通じて排出ライン121に放出を行い、端部ロックピンばね144が、端部ロックピン147を凹部141との係合から解放するように付勢することにより、ロック解除位置にくるようにする。動力又は制御が喪失されると、フェイザーがロック位置にデフォルトされるため、油圧戻り止め回路133を開放し、パイロットバルブ130の放出を行い、中間ロックピン143の放出を行って凹部142と係合させるため、スプールストロークに沿った最終位置として0%の負荷サイクルが選択される。以上に列挙した負荷サイクルのパーセンテージは、一例であり、変更されてもよいことに注意しなければならない。さらに、所望に応じて、負荷サイクルが100%のとき、油圧戻り止め回路233が開放され、パイロットバルブ130が放出を行い、中間ロックピン143が放出を行って凹部142に係合されてもよい。
負荷サイクルが60%を超えて設定されると、フェイザーのベーンは、進角位置に向かって、且つ/又は、進角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、進角位置について3.5〜5mmの範囲である。
図9は、進角位置に移動するフェイザーを示している。進角位置に移動させるには、負荷サイクルは、60%を上回って増加し、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール211に掛かるVFS107の力を増加させ、スプール211を進角モードにおいてVFS107により左側に移動させる。
進角モードにおいて、スプールランド211cは、進角チャンバ102及び供給部からの流体が排出ライン121に排出されないようにする。流体は、ポンプ140により、供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。制御バルブ209がカムシャフト内にある場合、ライン119は、軸受を通してドリル穴開けされてもよい。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ209に通じる。流体は、ライン119bから、スプールランド211b及び211cの間のスプール211を通じて、またライン112を通じて進角チャンバ102へ供給される。同時に、遅角チャンバ103内の流体は、ライン113を通じて、またスプールランド211a及び211bの間のスプール211を通じて排出ライン122に排出される。流体は、スプールランド211bにより、供給部140から遅角チャンバ103への供給がなされないようにする。進角チャンバ102内の流体は、ベーン104を遅角壁部103aに向かって移動させる。
ライン119aは、2つの異なるライン、つまりライン146から端部ロックピン147と、ライン145から中間ロックピン143に通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132へと分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド211d及び211eの間のスプール211を通ってライン145内へ移動し、中間ロックピンばね139に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が図9に示すとおり遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。同時に、ライン146からの流体が端部ロックピン147と流体連通し、スプールランド211d及び211cの間の排出ライン121に放出されることで、端部ロックピンばね144が、凹部141との係合から解放されるよう端部ロックピン147を付勢することにより、ロック解除位置にくるようにする。排出ライン121は、ライン145が放出を行わないようにするスプールランド211dにより遮断される。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが遅角位置に移動し、且つ/又は、遅角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角位置について、2〜3.5mmの範囲である。
図10は、遅角位置に移動するフェイザーを示している。遅角位置に移動させるには、負荷サイクルは、40%超且つ60%未満に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール211に掛かるVFS107の力が低減され、スプール211がばね115によって移動される。
遅角モードにおいて、スプールランド211bは、遅角チャンバ103及び供給部Sからの流体が排出ライン122に排出されないようにする。流体は、ポンプ140により、供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。制御バルブ209がカムシャフト内にある場合、ライン119は、軸受を通してドリル穴開けされてもよい。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ209に通じる。流体は、ライン119bから、スプールランド211b及び211cの間のスプール211を通じて、またライン113を通じて遅角チャンバ103へ供給される。同時に、進角チャンバ102内の流体は、ライン112を通じて、またスプールランド211c及び211dの間のスプール211を通じて排出ライン121に排出される。流体は、スプールランド211cにより、供給部140から進角チャンバ102への供給がなされないようにする。進角チャンバ103内の流体は、ベーン104を進角壁部102aに向かって移動させる。
ライン119aは、2つの異なるライン、つまりライン146から端部ロックピン147と、ライン145から中間ロックピン143に通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132へと分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド211d及び211eの間のスプール211を通ってライン145内へ移動し、中間ロックピンばね139に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢し、ロックピン回路123に流体を充填する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。ライン146は、ライン119aからの流体で加圧され、端部ロックピン147は、図10に示すとおり、端部プレートの凹部141が端部ロックピン147と配列されるまで、解放位置においてばね144に抗うよう部分的に付勢されたままとされるであろう。排出ライン121は、ライン145及び146が放出を行わないようにするスプールランド211dによって遮断される。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが遅角ロック位置に移動し、且つ/又は、遅角ロック位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角ロック位置について、約2mmである。
図11は、最遅角位置又は遅角端部停止位置において、遅角ロック位置にあるフェイザーを示している。最遅角位置に移動させるには、負荷サイクルは、40%超且つ60%未満に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール211に掛かるVFS107の力が低減され、スプール211がばね115によって図面の端部停止ロックモードにおいて右側に移動される。
図示の端部停止ロックモードにおいて、スプールランド211bは、遅角チャンバ103及び供給部Sからの流体が排出ライン122に排出されないようにする。流体は、ポンプ140により、供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。制御バルブ209がカムシャフト内にある場合、ライン119は、軸受を通してドリル穴開けされてもよい。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ209に通じる。流体は、ライン119bから、スプールランド211b及び211cの間のスプール211を通じて、またライン113を通じて遅角チャンバ103へ供給される。同時に、進角チャンバ102内の流体は、ライン112を通じて、またスプールランド211c及び211dの間のスプール211を通じて排出ライン121に排出される。流体は、スプールランド211cにより、供給部140から進角チャンバ102への供給がなされないようにする。遅角チャンバ103内の流体は、ベーン104を進角壁部102aに向かって移動させる。端部停止ロックモードは、ベーン104が遅角壁部103aと適切な接触を行うように移動されており、端部ロックピン147をハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部141と配列して凹部141に係合する以外は、図10に示す遅角モードと同様であることに注意しなければならない。端部ロックピン147をハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部141と係合させることにより、ベーン104が最終移動端部にある位置において回転子アセンブリ105に対してベーン104をロックする。中間ロックピン143は解放位置のままである。排出ライン121は、ライン145及び146に放出を行わせないようにするスプールランド211dによって遮断される。
ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。
端部ロックピン147は、熱いエンジンをシャットダウンする直前の圧力を用いて係合又はロックされる。スプールバルブ211は、2mm(端部停止ロックモード)位置に留まり、端部ロックピン147の後方にオイルを捕獲し、オイルがロックピンチャンバに残留する限り、端部ロックピン147を係合状態に保持するであろう。エンジンが「停止−始動」エンジン技術、次いで「キーオフ」で用いられるようなエンジン制御シャットダウンとは対照的に、顧客主導「キーオフ」モードに移行すると、制御バルブ209はゼロ位置に移動することにより、完全停止ロックの放出及び解放を行うであろう。これにより、次のエンジンクランキングサイクル中、フェイザーを最適な冷間始動位置に戻すこととなろう。
フェイザーの保持位置は、ハウジングに対して、ベーンの遅角位置と進角位置との間に生じるのが好ましい。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、3.5mmである。
図12は、ヌル位置のフェイザーを示している。この位置において、可変力ソレノイド107の負荷サイクルは約60%であり、保持モードにおいて、スプール211の一端に掛かるVFS107の力はスプール211の他端に掛かるばね115の力に等しい。ランド211b及び211cは各々、供給部Sから、ライン119及び注入チェックバルブ118を通ってライン119bへ、スプール211を通ってライン112及び113内へ、且つ進角チャンバ102及び遅角チャンバ103へ各々少量の流体を流す。
ライン119aは、ライン145と中間ロックピン143とに通じる。ライン145はさらに、パイロットバルブ130に通じるライン132へと分岐する。ライン119a内の流体の圧力は、ランド211dと211eの間のスプール211を通ってライン145内へ移動し、中間ロックピンばね139に抗って中間ロックピン143を解放位置に付勢する。ライン145内の流体もまた、ライン132を通って流れ、ばね131に抗ってパイロットバルブ130を加圧し、遅角戻り止めライン134、進角戻り止めライン128、及びライン129が遮断されて戻り止め回路がオフされる位置までパイロットバルブ130を移動する。排出ライン121は、ライン145が放出を行わないようにするスプールランド211dによって遮断される。流体は、ライン119aからライン146までにも提供される。端部ロックピン147が加圧されてロックしても、端部ロックピン147は、端部ロックピン147を受容する凹部141がベーン104の最終移動端部にのみ存在するので、回転子アセンブリ105に対してハウジングアセンブリ100をロックすることができない。従って端部ロックピン147は、ロック解除位置に維持される。
負荷サイクルが0%であると、フェイザーのベーンは中間位置又は中間位相角度位置にくる。スプールのストローク(スプールのスリーブに対する位置)は0mmである。
図13は、中間位置又は中間位相角度位置にあるファイザーを示しており、可変力ソレノイドの負荷サイクルは0%であり、スプール209は戻り止めモードで、パイロットバルブ130はスプールを通じて、サンプすなわち排出タンクに通じる排出ライン121に放出を行い、油圧戻り止め回路233が開放、すなわちオンされる。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%に変化するのに先立ってベーン104がどこにあるかに応じて、進角戻り止めライン128又は遅角戻り止めライン134のいずれかが、各々進角チャンバ102又は遅角チャンバ103に露出される。またエンジンがクランキング中に異常シャットダウンした場合(例えば、エンスト)、可変力ソレノイド107の負荷サイクルは0%になり、回転子アセンブリ105は戻り止め回路233を介して中間位置又は中間位相角度位置に移動し、中間ロックピン143は、エンジンの異常シャットダウンに先立ってベーン104がハウジングアセンブリ100に対してどの位置にあったかに関わらず、中間位置又は中間位相角度位置において係合されるであろう。
電子制御を用いることなく中間位置又は中間位相角度位置にデフォルトするというフェイザーの能力により、フェイザーは、カムフェイザー位置の制御に電子制御が通常用いられないエンジンクランキングの間でさえも、フェイザーを中間位置又は中間位相角度位置に移動させる。またフェイザーが中間位置又は中間位相角度位置にデフォルトされるため、特に制御信号又は動力が喪失されると、VCTフェイザーのアクティブコントロールがなくてもエンジンが始動及び作動可能となることを保証するフェールセーフ位置を提供する。フェイザーは、エンジンクランキングに際して中間位置又は中間位相角度位置を採るため、フェイザーの位相をより長く移動することが可能となり、較正の機会を提供する。従来、エンジンのクランキングや始動に際して中間位置又は中間位相角度位置が存在せず、エンジンは最進角又は最遅角の停止位置のいずれかで始動することが困難であったため、フェイザーの移動を長くしたり、位相角度を長くすることは不可能であった。
可変力ソレノイド107の負荷サイクルが0%に設定されたばかりでは、スプール211に掛かるVFSの力が低減し、ばね115は、スプールの戻り止めモードへの移動の最右端までスプール211を移動させる。流体は、スプールランド211eにより、ライン119aからライン145及びライン132へ、またさらにパイロットバルブ130へと流れないようにされる。流体がライン145及び132に流れることができないため、パイロットバルブ130は排出ライン121に放出を行い、進角戻り止めライン128及び遅角戻り止めライン134の間の通路をパイロットバルブ130を通じてライン129及び共通ライン214に開放する。換言すると、油圧戻り止め回路233を開放、すなわちオンする。中間ロックピンばね139は、流体をライン132及び145から排出することにより、中間ロックピン143を付勢し、ハウジングアセンブリ100の端部プレート内の凹部142に係合させ、回転子アセンブリ105に対してハウジングアセンブリ100をロックする。同時に、流体も、排出ライン121を通じてライン146から排出される。端部ロックピンばね147は、放出される流体により、端部ロックピン147を解除位置、すなわちロック解除位置へと付勢する。
流体は、ライン119bから、供給部Sから進角ライン112及び遅角ライン113の双方へのオイルを制限するものの、少量の流体が進角チャンバ102及び遅角チャンバ103に継続的に流入するのを許容するスプールランド211cを通じても流れる。流体は、スプールランド211dにより、進角チャンバ102及び進角ライン112から排出されないようにされる。流体はまた、スプールランド211bにより、遅角チャンバ103及び遅角ライン113からも排出されないようにされ、効果的に制御バルブ209によるフェイザーの制御を取り除く。
ベーン104が図14に示す進角位置付近又は進角位置においてハウジングアセンブリ100内に配置され、進角戻り止めライン128が進角チャンバ102に露出されると、進角チャンバ102からの流体が進角戻り止めライン128内に流入し、解放パイロットバルブ130を流れ、且つ、共通ライン214に通じるライン129に流れる。流体は、共通ライン214から、遅角チェックバルブ110を通って流れ、遅角チャンバ103内に流入し、ベーン104をハウジングアセンブリ100に対して移動させて進角チャンバ102に対して進角戻り止めライン128を閉鎖すなわち遮断する。回転子アセンブリ105が進角戻り止めライン128を進角チャンバ102から閉鎖するため、ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバ内で中間位置又は中間位相角度位置に移動する。
ベーン104が図15に示す遅角位置付近又は遅角位置においてハウジングアセンブリ100内に配置され、遅角戻り止めライン134が遅角チャンバ103に露出されると、遅角チャンバ103からの流体は、遅角戻り止めライン134内に流入し、解放されたパイロットバルブ130を通って流れ、且つ共通ライン214に通じるライン129に流れる。流体は、共通ライン214から、進角チェックバルブ108を通じて流れ、且つ進角チャンバ102内に流入し、ベーン104をハウジングアセンブリ100に対して移動させて、遅角戻り止めライン134を遅角チャンバ103に対して閉鎖する。回転子アセンブリ105が遅角戻り止めライン134を遅角チャンバ103から閉鎖するので、ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバ内で中間位置又は中間位相角度位置に移動される。
端部停止ロックモードを最遅角位置又は遅角端部停止位置におけるフェイザーのロックとして説明したが、最遅角位置は、最進角又は進角端部停止位置におけるフェイザーのロックと代替されてもよいことに注意しなければならない。この位置において、最進角は、ベーン104が遅角壁部103aと接触するか、又は遅角壁部103aに略近接している際の位置であり、ベーンの「進角端部停止位置」と称されてもよい。
図16〜図19は、他の実施形態に係るカムトルク駆動フェイザーの位置を示している。開閉エンジンバルブの力によって生じるカムシャフトのトルク反転により、ベーン104を移動させる。進角チャンバ102及び遅角チャンバ103は、カムシャフトの正のトルクパルス及び負のトルクパルスに抵抗するよう配置され、カムトルクによって交互に加圧される。制御バルブ309は、所望の移動方向に応じて、進角チャンバ102から遅角チャンバ103へ、又はその逆へ流体の流れを許容することにより、フェイザー内のベーン104を移動させる。
フェイザーのハウジングアセンブリ100は、駆動力を受容する外周101と、内側端部プレート(図示せず)と、外側端部プレート(図示せず)を有する。回転子アセンブリ105は、カムシャフトに接続され、ハウジングアセンブリ100内に同軸に配置される。回転子アセンブリ105は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105との間に形成されたチャンバを、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103に分離するベーン104を有する。ベーン104は、ハウジングアセンブリ100と回転子アセンブリ105の相対角度位置を移行するよう回転可能である。
端部ロックピン347は、回転子アセンブリ105内、好ましくはベーン104内の孔部にスライド可能に収容される。端部ロックピン347の端部は、凹部141から離間してばね付勢され、ハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部141に向かって油圧付勢され、凹部141に嵌合される。端部ロックピン347の加圧は、制御バルブ309の移動によって制御される。
制御バルブ309、好ましくはスプールバルブは、スリーブ116内にスライド可能に受容される円筒形ランド311a、311b、及び311cを有するスプール311を備える。制御バルブ309は、カムシャフトでパイロット動作する回転子アセンブリ105の孔部内、又はフェイザーの中心ボルトにおいて、フェイザーから離間して配置されてもよい。スプールの一端はばね115に接触し、スプールの他端はパルス幅変調可変力ソレノイド(VFS)107に接触する。ソレノイド107は、電流又は電圧を変化させることにより、若しくは他の適用可能な方法によって線形に制御されてもよい。さらにスプール311の反対の端部は、可変力ソレノイド107の代わりにモータ又は他のアクチュエータに接触して影響を受けてもよい。
制御バルブ309の位置は、可変力ソレノイド107の負荷サイクルを制御するエンジン制御部(ECU)106によって制御される。ECU106は、好ましくは、エンジン、メモリ、並びに外部装置及びセンサとデータ交換に用いられる入力出力ポートを制御するために種々の演算プロセスを作動させる中央処理装置(CPU)を備える。
スプール311の位置は、ECU106によって制御されるばね115及びソレノイド107の影響を受ける。フェイザーの制御についての詳細は、以下に議論する。スプール311の位置により、フェイザーの動き(例えば、進角位置、保持位置、遅角位置、又は遅角ロック位置への移動)と、端部ロックピン347がロック位置にあるか又はロック解除位置にあるかを制御する。制御バルブ309は、進角モード、遅角モード、遅角ロックモード、及びヌルモード(保持位置)を有する。
進角モードにおいて、スプール311は、流体がスプール311を通じて遅角チャンバ103から進角チャンバ102へ流れてもよい位置に移動し、流体が進角チャンバ102から流出しないように遮断される。端部ロックピン347は、ロック解除位置にある。
遅角モードにおいて、スプール311は、流体がスプール311を通じて進角チャンバ102から遅角チャンバ103へ流れてもよい位置に移動し、流体が遅角チャンバ103から流出しないように遮断される。端部ロックピン147は、ロック解除位置にある。
ヌルモードにおいて、スプール311は、進角チャンバ102及び遅角チャンバ103からの流体の流出を遮断する位置に移動される。
遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、ベーン104は既に、最遅角位置へ移動しており、スプール311を通じて進角チャンバ102から遅角チャンバ103までの流れは、遅角チャンバ103を流出する流体を遮断しつつ、継続する。本モードにおいて、端部ロックピン347が加圧されることにより、ばね344に端部ロックピン347を圧縮させ、端部プレートの凹部341と係合させてロック位置に移動させる。「最遅角位置」は、ベーン104がチャンバ117の進角壁部102aと接触するか、進角壁部102aに略近接する際の位置として規定され、ベーンの「遅角端部停止位置」と称されてもよい。
スプール311は、パルス幅変調可変力ソレノイド107の負荷サイクルに基づき、そのストロークに合わせて対応位置に移動する。可変力ソレノイド107の負荷サイクルが約40%、60%、及び60%超であると、スプール311は、各々、遅角モード/遅角ロックモード、ヌルモード、及び進角モードに対応する位置に移動する。遅角ロックモード又は端部停止ロックモードにおいて、端部ロックピン347は、加圧され、ハウジングアセンブリ100の端部プレートの凹部341に係合する。以上に列挙した負荷サイクルのパーセンテージは、一例であり、変更されてもよいことに注意しなければならない。
負荷サイクルが60%を超えて設定されると、フェイザーのベーンは、進角位置に向かって、且つ/又は、進角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、進角位置について3.5〜5mmの範囲である。
図16は、進角位置に移動するフェイザーを示している。進角位置に移動させるには、負荷サイクルは、60%超に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール311に掛かるVFS107の力が増加され、スプール311がVFS107によって右側に移動される。進角モードにおいて、スプールランド311aがライン112を遮断し、ライン113及び114が開放される。カムシャフトトルクが遅角チャンバ103を加圧することにより、遅角チャンバ103内の流体を進角チャンバ102内に移動させ、ベーン104を遅角壁部103aに向かって移動させる。流体は、ライン113を通って、遅角チャンバ103からスプールランド311a及び311bの間の制御バルブ309に流出し、中心ライン114及び進角チャンバ102に通じるライン112に再循環する。
補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。制御バルブ309がカムシャフト内にある場合、ライン119は、軸受を通してドリル穴開けされてもよい。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。
ライン119aは、ライン346から端部ロックピン347に通じる。ライン119bは、チェックバルブ118及び制御バルブ309に通じる。流体は、制御バルブ309から進角チェックバルブ108を通じてライン114に流入し、進角チャンバ102に流れる。
ライン119a内の流体の圧力は、スプールランド311bによって遮断され、ライン113からの流体が排出ライン121に放出されないようにする。端部ロックピン347と流体連通するライン346からの流体は、スプールランド311b及び311cの間の排出ライン121に放出されることで、端部ロックピンばね344が、端部ロックピン347を凹部341との係合から解放するよう付勢することによってロック解除位置に来るようにする。スプールランド311aは、いずれの流体も遅角チャンバ103及びライン112から排出されないようにする。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが遅角位置に移動し、且つ/又は、遅角位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角位置について、2〜3.5mmの範囲である。
図18は、遅角位置に移動するフェイザーを示している。遅角位置に移動させるには、負荷サイクルは、40%超且つ60%未満に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール311に掛かるVFS107の力が低減され、スプール311がばね115によって移動される。遅角モードにおいて、スプールランド311bがライン113を遮断し、ライン112及び114が開放される。カムシャフトトルクが進角チャンバ102を加圧することにより、進角チャンバ102内の流体を遅角チャンバ103内に移動させ、ベーン104を進角チャンバ壁部102aに向かって移動させる。流体は、ライン112を通って、進角チャンバ102からスプールランド311a及び311bの間の制御バルブ309に流出し、中心ライン114及び遅角チャンバ103に通じるライン113に再循環する。
補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119aは、ライン346から端部ロックピン347に通じる。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ309に通じる。
流体は、制御バルブ309から、遅角チェックバルブ110を通ってライン114に流入し、遅角チャンバ103に流れる。ライン119a内の流体の圧力は、スプールランド311bによって遮断され、ライン112からの流体が排出ライン121に放出されないようにする。ライン346からの流体は、端部ロックピン347と流体連通し、供給部140からの流体で加圧される。凹部341が端部ロックピン347の端部を受容するよう配列されないため、端部ロックピン347がロック位置にないことに注意しなければならない。スプールランド311bは、いずれの流体も遅角チャンバ103及びライン113から排出されないようにする。
負荷サイクルが40〜60%の範囲に設定されると、フェイザーのベーンが遅角ロック位置に移動し、且つ/又は、遅角ロック位置において移動する。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、遅角位置について、約2mmである。
図17は、最遅角位置又は遅角端部停止位置において遅角ロック位置のフェイザーを示している。遅角位置に移動させるには、負荷サイクルは、40%超且つ60%未満に変更され、ばね115の力がVFS107の力と均衡するまで、スプール311に掛かるVFS107の力が低減され、スプール311がばね115によって図面の端部停止ロックモードにおいて左側に移動される。図示の端部停止ロックモードにおいて、スプールランド311bがライン113を遮断し、ライン112及び114が開放される。カムシャフトトルクが進角チャンバ102を加圧することにより、進角チャンバ102内の流体を遅角チャンバ103内に移動させ、ベーン104を進角チャンバ壁部102aに向かって移動させる。流体は、ライン112を通って、進角チャンバ102からスプールランド311a及び311bの間の制御バルブ309に流出し、中心ライン114及び遅角チャンバ103に通じるライン113に再循環する。フェイザーは、ベーン104が進角壁部102aと接触するか、又は進角壁部102aに略近接する際の最遅角位置にあり、ベーンの「遅角端部停止位置」と称されてもよい。
補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ309に通じる。流体は、制御バルブ309から、遅角チェックバルブ110を通ってライン114に流入し、遅角チャンバ103に流れる。
ライン119aは、ライン346から端部ロックピン347に通じる。ライン346内の流体は、端部ロックピン347を端部プレート171の凹部341内に付勢し、ロック位置にあり、回転子アセンブリ105に対してハウジングアセンブリ100をロックする。排出ライン121は、ライン346が放出を行わないようにするスプールランド311cによって遮断される。
端部ロックピン347は、エンジンシャットダウン及び顧客主導キーオフを含む、エンジンシャットダウン直前の圧力を用いて係合又はロックされる。エンジンのクランキング中、フェイザーは、エンジンシャットダウン又は顧客主導「キーオフ」の直前にロックされた位置とは異なる始動位置に移動されてもよい。これは、車両に燃料供給をする際にエタノールの変化レベルが生じる「フレックス燃料」車両にとって、且つこれらのエタノールレベルに基づき、有利であることが分かり、フェイザーの始動位置が異なれば有利である。
フェイザーの保持位置は、ハウジングに対して、ベーンの遅角位置と進角位置との間に生じるのが好ましい。スプールのストローク、すなわちスプールのスリーブに対する位置は、3.5mmである。
図19は、ヌル位置のフェイザーを示している。この位置において、可変力ソレノイド107の負荷サイクルは約60%であり、保持モードにおいて、スプール311の一端に掛かるVFS107の力はスプール311の他端に掛かるばね115の力に等しい。ランド311a及び311bは各々、ライン112及び113からの流体の流れを遮断する。補給オイルは、漏れの補給を行うポンプ140によって供給部Sからフェイザーに供給され、ライン119に流入する。
ライン119は、2つのライン119a及び119bに分割される。ライン119bは、注入チェックバルブ118及び制御バルブ309に通じる。流体は、制御バルブ309から、チェックバルブ108又は110のいずれかを通ってライン114に流入し、進角チャンバ102又は遅角チャンバ103に流れる。ライン346内の流体は、排出ライン121を通じてスプールランド311bと311cとの間で放出される。ライン346による放出で、端部ロックピンばね344は、端部ロックピン347を凹部341から離間させ、ロック解除位置に付勢する。
図14〜図17は端部停止ロックモードを遅角位置にあるものとして図示及び説明したが、端部停止ロックモードは、ベーン104が遅角壁部103aと接触又は略接触する際、最進角モードにあってもよい。
したがって、本明細書に記載の発明の実施形態は、単に本発明の動作原理の適用例を例示したものであることが理解されなければならない。本明細書において図示の実施形態の詳細を参照したが、これは請求項の範囲を限定することを意図するものでなく、請求項自体が本発明の必須事項と考えられるこれらの特徴を列挙したものである。