JP3733730B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関のクランクシャフトに連結されたハウジングと、該ハウジング内に回動可能に配置され、ハウジング内に進角油圧室と遅角油圧室とを区画形成する、カムシャフトに連結されたベーン体とを備えた、いわゆるベーン式バルブタイミング制御装置が知られている。ベーン式バルブタイミング制御装置では、上記進角油圧室と遅角油圧室とに作動油を供給することにより、ハウジングとベーン体とを相対的に回動させてクランクシャフトとカムシャフトとの回転位相を変化させて機関のバルブタイミングを変更する。すなわち、進角油圧室に作動油を供給するとともに遅角油圧室から作動油を排出することにより、ベーン体をハウジングに対してバルブタイミングが進角する側に相対回動させ、遅角油圧室に作動油を供給し進角油圧室から作動油を排出することにより、ベーン体をハウジングに対してバルブタイミングが遅角する方向に相対回動させる。また、バルブタイミングを目標値に維持する場合には進角室と油圧室との内部の作動油圧力を同じ圧力に制御することにより、ハウジングとベーン体との相対位置を一定に保持している。
【0003】
ベーン式バルブタイミング制御装置の例としては、例えば特開平9−60507号公報に記載されたものがある。
同公報のベーン式バルブタイミング制御装置は、機関始動時にベーン体をハウジングに対して機関バルブタイミングが最も遅角する最遅角位置に係止するストッパピストンを備えている。機関始動時等では、油圧室に作動油を供給するオイルポンプの回転が低いため充分な量の作動油を油圧室に供給することができない。このため、クランクシャフトに連結されたハウジングが回転すると、ベーン体は進角油圧室側のハウジング仕切壁に当接した状態で回転するようになる。すなわち、ベーン体には進角油圧室側の仕切壁から直接カムシャフト駆動トルクが伝達され、バルブタイミングは最遅角タイミングとなる。ところが、機関運転中、ベーン体にはカムシャフトを介してバルブの開閉に伴って正負に変動する反力トルクが伝達される。油圧室に充分な圧力の作動油が存在する場合は、この反力トルクによりベーン体が移動することはないが、機関始動時等の油圧がない状態では、ベーン体はバルブ反力トルクにより揺動してしまい仕切壁と衝突、離反を繰り返しながら回転するようになる。このため、ベーン式バルブタイミング制御装置では機関始動時に仕切壁とベーンとの衝突により打音が生じるのみならず、機関始動時のバルブタイミングが一定しない問題が生じる。
【0004】
上記特開平9−60507号公報のバルブタイミング制御装置では、上記問題を解決するために、機関始動時の油圧室に作動油が充分に供給されない状態ではベーン体をバルブタイミング最遅角位置に固定するようにしている。すなわち、上記公報の装置ではハウジングとベーン体との摺動部の、ベーン体が最遅角位置にある時の位置に係合孔が設けられ、ベーン体には上記係合孔に嵌合するように係合孔に向けてバネ付勢された最遅角ロックピンが設けられている。機関始動時の油圧のない状態でベーン体がハウジング仕切壁に当接して最遅角位置になると最遅角ロックピンがバネに付勢されて係合孔に挿入され、ベーン体はハウジングに対して最遅角位置に係止される。これにより、油圧がない状態でもベーン体の位置が固定されるため、機関始動時の打音やバルブタイミング変動等の問題が防止される。
【0005】
また、上記ピンの下面には油圧室内の作動油圧力が作用しているため、機関始動後オイルポンプの回転が上昇し油圧室内の作動油圧力が上昇すると最遅角ロックピンは油圧により係合孔から押し出されベーン体の最遅角位置での固定は解除される。
この状態では、油圧室内に充分な圧力の作動油が供給されているため機関運転状態に応じて適切な位置(バルブタイミング)にベーン体を制御することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報の装置のように機関始動時に作動油圧が充分に上昇した状態になると直ちにベーン体の係止を解除したのでは機関バルブタイミングの制御が安定しない問題がある。
前述したように、ベーン式バルブタイミング制御装置ではベーンを相互に対向する方向に付勢する進角油圧室と遅角油圧室とが設けられているため、本来この両方の油圧室内の作動油圧力を同一にすれば任意の位置(バルブタイミング)にベーン体を保持することが可能なはずである。しかし、実際には各要素間のクリアランスを通って油圧室から作動油が排出されるため、ベーン体を目標位置に精度良く保持するためには実際のベーン体位置(すなわちバルブタイミング)を検出し、この実バルブタイミングと目標バルブタイミングとに基づいて各油圧室に供給する作動油圧力をフィードバック制御する必要がある。
【0007】
しかし、作動油の温度が低く粘度が高い状態では作動油の流動速度が遅くなるため、上記フィードバック制御の応答性が低下してしまいバルブタイミングを精度良く制御できない場合が生じる。
このため、上記公報のように機関始動後作動油圧力が上昇すると直ちにベーン体の係止を解除したのでは、作動油温度が低い間はバルブタイミングが安定せず機関運転状態が不安定になる問題が生じる。
【0008】
例えば上記公報の装置においても、ベーン体の最遅角位置係止を油圧が上昇しても直ちには解除せず、油温が低い間ベーン体の係止を継続するようにすれば、始動後のバルブタイミング不安定が生じることを一応は防止できる。
ところが、機関始動後油圧は短時間で上昇するものの、油温の上昇には油圧の上昇に較べてかなり長時間を要するのが通常である。このため、油温がフィードバック制御実施に充分なほど上昇するまでの間ベーン体を最遅角位置に係止すると、機関始動後かなり長時間機関が最遅角バルブタイミングで運転されることになる。この場合、最遅角バルブタイミングは、通常運転時の最適バルブタイミングから離れている場合が多いため、油温が充分に上昇するまで機関バルブタイミングを最遅角タイミングに固定して運転したのでは、充分な性能が得られない状態で長時間機関が運転されることになる問題が生じる。
【0009】
一方、最遅角タイミングを通常運転時の最適バルブタイミング付近に設定すれば油温上昇までの機関性能低下は少ないものの、これではバルブタイミング調節範囲を狭めることになり実際的ではない。
本発明は、上記問題に鑑み、機関性能の低下を最小に抑制し、しかもバルブタイミング調節範囲を狭めることなく作動油温度が上昇するまでの間のバルブタイミング不安定を防止可能な内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内部に放射状に形成された仕切壁を有するハウジングと、前記仕切壁によりハウジング内に形成される区画を、進角油圧室と遅角油圧室とに区分する放射状ベーンを有し、前記ハウジング内部に回動可能に配置されたベーン体と、前記進角油圧室と遅角油圧室とに供給する作動油圧力を制御する油圧制御装置とを備え、前記ハウジングを内燃機関のカムシャフトとクランクシャフトとのうち一方に連結し、前記ベーン体を前記カムシャフトとクランクシャフトとのうち他方に連結し、前記進角油圧室に作動油を供給することにより前記内燃機関バルブタイミングが進角する方向に、前記遅角油圧室内に作動油を供給することにより前記内燃機関バルブタイミングが遅角する方向に、それぞれ前記ハウジングと前記ベーン体とを相対的に回動させる内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、前記作動油温度が予め定めた温度以下のときに前記ベーン体を前記ハウジングに対して、バルブタイミング最進角位置と最遅角位置との中間位置に係止する中間係止手段を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0011】
すなわち、請求項1の発明では機関始動後、油温が上昇するまでの間ベーン体はハウジングに対してバルブタイミング最進角位置と最遅角位置との中間に係止される。このため、油温が上昇するまでの間、機関は中間のバルブタイミングに固定された状態で運転される。この中間のバルブタイミングは、例えば通常の運転条件において機関性能の低下が少ないタイミング(例えば可変バルブタイミング制御を行なわない従来の機関のバルブタイミングと同等のタイミング)に設定される。これにより、油温が低くバルブタイミングのフィードバック制御が安定しない状態で機関性能の低下を最小に抑制するとともに、バルブタイミング調節範囲を狭めることなくバルブタイミング不安定が生じることが防止される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記ベーン体は内燃機関の吸気カムシャフトに連結されており、前記油圧室内の作動油圧力が予め定めた圧力より低いときに、前記ベーン体を前記ハウジングに対して、吸気バルブタイミングの最遅角位置近傍に係止する最遅角係止手段を備えた、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0013】
請求項2の発明では、ベーン体は吸気カムシャフトに接続されており吸気バルブタイミングが運転条件に応じて制御されるようになっている。そして、機関始動時に油圧室内の作動油圧力が低いときには、最遅角係止手段によりベーン体は吸気バルブタイミングが最遅角状態になる位置に固定される。これにより、機関始動時に油圧が上昇するまでの打音やバルブタイミング変動が生じることが防止される。また、機関始動時に吸気バルブタイミングを最遅角状態に維持することにより、吸気充填効率低下のために気筒実圧縮比が低下する。これにより、機関始動時のクランキングが容易になり機関の始動性が向上する。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記中間係止手段は、前記ハウジングとベーン体とのうちの一方に形成された係合孔と、前記ハウジングとベーン体とのうちの他方に前記係合孔と係合可能に形成された係合部材とを備え、前記係合孔に前記係合部材を係合させることにより前記ベーン体を前記ハウジングに係止する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0015】
すなわち、請求項3の発明では、中間係止手段は係合部材(例えばピン)と係合孔とを係合させることによりハウジングとベーン体とを中間位置に係止する。係合部材と係合孔との係合、脱離動作は、例えば係合部材に油圧を作用させることにより行なわれる。
請求項4に記載の発明によれば、前記係合孔は、前記ハウジングと前記ベーン体とが相対的に回動したときの前記係合部材の移動軌跡に沿った形状の長孔に形成され、該長孔の一方の端部は前記中間位置における前記係合部材位置と対応する位置に、他方の端部はバルブタイミング最遅角位置における前記係合部材位置と対応する位置に、それぞれ配置され、前記油圧制御装置は前記作動油温度が所定温度より低いときに前記進角油圧室に予め定めた圧力の作動油を供給する請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0016】
請求項4の発明では、油温が低い間進角油圧室に予め定めた圧力の作動油を供給する。これにより係合部材が上記長孔の進角側端部に当接するまでベーン体が回動し油温が低い間機関バルブタイミングは中間位置に固定される。なお、進角油圧室への作動油の供給は進角油圧室の圧力を所定値まで上昇させるのみで足りるので、通常のバルブタイミングのフィードバック制御を行なう必要はなく、油温が低いことによる制御遅れは生じない。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記中間係止手段は、機関停止動作中(すなわち、イグニッションスイッチオフから機関の回転が停止するまでの間)若しくは機関停止後に前記ベーン体を前記ハウジングに係止する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
請求項5の発明では、機関停止動作中または機関停止後にベーン体が中間位置に係止されるため、機関始動時には最初からバルブタイミングは中間位置に固定される。このため、機関始動時にバルブタイミングが最遅角位置から中間位置まで変化することがなく、バルブタイミングの変化により機関始動性が悪化することが防止される。なお、上記中間係止手段による係止動作は、例えば機関停止動作中の作動油残圧により行なっても良いし、機関停止後にスプリング等の機械的付勢手段を用いて行なってもよい。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、更に、機関停止時に前記ハウジングとベーン体との相対回動範囲を前記中間位置から前記中間位置よりバルブタイミング進角側の予め定めた位置までの範囲に制限する制限手段を備え、前記中間係止手段は、前記ハウジングとベーン体とのうちの一方に形成された係合孔と、前記ハウジングとベーン体とのうちの他方に前記係合孔と係合可能に形成された係合部材と、前記係合部材を前記係合孔に向けて付勢する手段とを備え、前記油圧制御装置は機関停止動作中にベーン体を前記制限手段により制限された範囲内になるように回動させる請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0019】
請求項6の発明では、機関停止時にベーン体は中間位置より進角側の範囲内に位置するように制御される。一方、機関始動時で油圧室内の油圧が低い状態ではベーン体は必ずハウジングに対してバルブタイミング遅角方向に回動する。このため、機関停止時にベーン体を中間位置より進角側に移動させておくことにより、機関始動時のベーン体の遅角方向回動時必ず上記中間位置を通過することになる。このため、中間係止手段による係止動作が確実に行なわれる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、前記油圧制御装置は機関停止動作中に前記ハウジングとベーン体との相対位置が前記制限手段により制限される範囲内になるように進角油圧室と遅角油圧室とに供給する作動油圧力を制御する、請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
請求項7の発明では、機関停止動作中にベーン体を上記制限範囲内に回動させる制御は進角油圧室と遅角油圧室とに供給する作動油圧力を制御することにより行なわれる。これにより、機関停止時に確実にベーン体が制限範囲内になるように回動する。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、前記油圧制御装置は、作動油温度に基づいて機関停止動作中に前記ベーン体が回動可能な回動量を演算する手段と、前記演算された回動量に基づいて機関停止前のアイドル運転時のバルブタイミングを設定する手段とを備えた請求項7に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0022】
請求項8の発明では、油圧制御装置は機関停止動作中に回動可能なベーン体の回動量を演算する。すなわち、機関停止動作中油圧室に供給される油圧は低下して行くため停止動作中にベーン体を回動させることのできる量には制限がある。また、油温が高い場合には油粘度が低く同一油圧でも各摺動部クリアランスからのリーク量が大きくなり油圧は比較的に急速に降下するため、油温が低い場合に較べてベーン体の回動可能量は小さくなる。本発明では、機関運転中に油温に基づいてベーン体回動可能量を算出し、機関停止前のアイドル運転時に上記回動可能量の範囲内で前述の制限範囲内にベーン体が到達できる位置まで機関バルブタイミングを制御しておく。これにより、油温(残油圧力の低下速度)にかかわらず、機関停止動作時にベーン体が確実に前述の制限範囲内の位置まで回動するようになる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、更に、前記中間係止手段により前記ハウジングとベーン体とが係止されているときの実バルブタイミングを検出するとともに、検出したバルブタイミングの変動が予め定めた値以上のときに、前記中間係止手段に異常が生じたと判定する異常検出手段を備えた、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0024】
請求項9の発明では、ベーン体が中間係止手段により中間位置に係止されているときの実バルブタイミングの変動に基づいて中間係止手段の異常の有無を判定する。中間係止手段により係止されている状態では実バルブタイミングは中間位置に固定されているはずである。従って、中間係止手段が作動中に実バルブタイミングが大きく変動する場合には中間係止手段に異常が生じたために、実際にはベーン体が係止されていないと判断することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、前記油圧制御装置は、前記異常検出手段により中間係止手段に異常が生じたと判定されたときに、前記遅角油圧室に作動油を供給し前記ベーン体を機関バルブタイミングの最遅角位置に保持する請求項9に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
請求項10の発明では、中間係止手段に異常が検出された場合には、ベーン体は油圧により最遅角位置に固定される。このため油温が低くフィードバック制御の応答性が低下した状態でもバルブタイミングが不安定になることがない。
【0026】
請求項11に記載の発明によれば、更に、前記進角油圧室と遅角油圧室との両方の油圧が予め定めた圧力より低いときに、前記ベーン体を前記中間位置に係止し、前記進角油圧室と遅角油圧室とのいずれか一方の内部の油圧が前記予め定めた圧力以上になったときに前記係止を解除する第2の中間係止手段を備え、前記油圧制御装置は、前記第2の中間係止手段による係止が解除された状態で機関バルブタイミングを進角または遅角させる際に、前記ベーン体が前記中間位置を通過するときには前記進角油圧室と前記遅角油圧室との両方に作動油を供給する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置が提供される。
【0027】
請求項11の発明では、機関始動時等の油圧が低い状態でベーン体を中間位置に係止し、油圧上昇後係止を解除する第2の中間係止手段が設けられている。すなわち、請求項11の発明では、第2の中間係止手段は進角室と油圧室とのうち一方でも油圧が所定値以上になっている場合には係止を解除する。ところが、油圧と油温とが共に上昇して通常のフィードバック制御中を行なう際、バルブタイミング変更中にベーン体が中間位置を通過するような場合には、例えば進角動作中であれば遅角油圧室からは作動油が排出され圧力が低下し、同時に進角油圧室には作動油が供給される。このため、ベーン体とハウジングとのクリアランス等を通って進角油圧室から遅角油圧室への作動油のリークが生じるため、充分に進角油圧室内の油圧が上昇しない場合があり得る。また、遅角動作中にも同様な状態が生じ得る。このような場合には、ベーン体が中間位置を通過時に第2の中間係止手段が油圧低下のために誤作動してベーン体を中間位置に係止してしまい、目標バルブタイミングが得られなくなる可能性がある。本発明では、通常のバルブタイミング制御中にベーン体が中間位置を通過する際には、進角油圧室と遅角油圧室との両方に作動油を供給することにより、進角油圧室と遅角油圧室との両方の油圧を高く維持して確実に上記第2の中間係止手段が確実に係止解除状態に保持されるようにする。これにより、油圧上昇後の通常バルブタイミング制御中の第2の中間係止手段の誤作動が防止される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明のバルブタイミング制御装置を自動車用4気筒機関に適用した場合の実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、参照符号1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では機関1は互いに独立した吸気カムシャフトと排気カムシャフトとを有するDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)型4気筒機関とされている。本実施形態では機関1の排気系は、それぞれ互いに排気の干渉を生じない点火順序の2つの気筒がそれぞれ1つの排気通路に接続されたいわゆるデュアルエキゾーストシステムとされている。図1において、41は第1気筒と第3気筒との排気を排気集合管51に合流させる排気枝管、43は第2気筒と第4気筒との排気とを排気集合管52に合流させる排気枝管をそれぞれ示している。また、排気集合管51と52とは、下流側で単一の排気管57に合流している。
【0029】
図1において、61は機関1の各気筒を共通の吸気通路63に接続する吸気マニホルド、17は吸気通路63に配置されたスロットル弁である。また、吸気通路63には機関吸入空気量(重量流量)を検出可能な、例えば熱線式等のエアフローメータ21が配置されている。
また、本実施形態では機関1には可変バルブタイミング機構10が設けられている。
【0030】
以下、図2、図3を参照して図1の可変バルブタイミング機構の構成について簡単に説明する。
図2は、本実施形態の可変バルブタイミング機構10の図1、II−II線に沿った断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図を示す。
図2、図3において、13はクランク軸(図示せず)からチェーンにより回転駆動されるタイミングプーリー、101は後述する仕切壁を構成するスペーサ、102はエンドカバーを示す。プーリー13、スペーサ101、エンドカバー102はボルト105により一体に締結され、プーリー13とともに回転するハウジング100を構成する。また、図2、図3に110で示すのは、ハウジング100内に回動可能に収納されたベーン体である。ベーン体110はボルト104により、機関1の各気筒の吸気弁(図示せず)を開閉する吸気カムシャフト11に連結され、ハウジング100とともに回転する。すなわち、吸気カムシャフト11の駆動力は、クランク軸からチェーンを介してプーリー13及びハウジング100に伝達され、ハウジング100からベーン体110を介して吸気カムシャフトに伝達される。
【0031】
図2に示すように、ベーン体110はその外周部にベーン111を、ハウジング100のスペーサ101は、内部に放射状に形成された仕切壁103をそれぞれ備えている(本実施形態では、ベーン111、仕切壁103の数はそれぞれ4つとされている)。図2から判るように、ハウジング100内の仕切壁103相互により仕切られた区画は、更に各ベーン111により区画されそれぞれの区画内に2つの油圧室121、123が形成されている。また、ハウジング100とベーン体110との間の各摺動部はオイルシール107、113等により油密が保たれている。本実施形態では、油圧室121と123の一方に作動油(本実施形態では機関潤滑油)を供給し、他方から作動油を排出することにより、機関運転中にハウジング100に対してベーン体110を相対的に回動させることにより吸気バルブタイミングを変化させる。例えば、プーリー13の回転方向を図2に矢印Rで示した方向とすると、油圧室121に作動油を供給し、油圧室123から作動油を排出することによりベーン体110はハウジング100に対して矢印Rの方向に変位する。ハウジング100、プーリー13はクランク軸に同期して回転しているため、これによりベーン体110及びベーン体に連結された吸気カムシャフト11はクランク軸に対して回転位相が矢印R方向に進角した状態でハウジング100と一体に回転するようになる。これにより、吸気カムシャフト11は、クランク軸に対して回転位相が進角した位置に油圧室121、123内の油圧で保持され、吸気バルブタイミングは進角する。また、逆に油圧室123に作動油を供給し油圧室121から作動油を排除することにより吸気バルブタイミングは遅角するようになる。このため、本明細書では、油圧室121を進角油圧室、油圧室123を遅角油圧室と呼ぶ。
【0032】
また、本実施形態では,ベーン体110をハウジング100に対して所定位置に固定するロックピンが設けられている。ロックピンは用途に応じて複数個設けることが可能であるが、図2では煩雑化を避けるためロックピン200を1つだけ示している。各種ロックピンの構成及び機能の詳細については後に詳述する。図3において、115、117はそれぞれ進角油圧室121と遅角油圧室123に作動油を供給する油通路を示している。進角油圧室121に供給される作動油は、カムシャフト11の軸受内周に設けられた円周油溝(図示せず)からカムシャフト内に穿設された軸方向油通路115に入り、ベーン体110の切欠115aからベーン体110内に形成された環状油溝115bに流入する。そして、油溝115bから油通路115c(図2)を経て、ベーン体110のベーン111付け根部分から進角油圧室121内に流入する。また、遅角油圧室123に供給される作動油は、カムシャフト11内に設けられた別の円周油溝からカムシャフト11内の軸方向油通路117に入り、プーリー13とカムシャフト11摺動部に形成された円周油溝117aからプーリー13内の油通路117bを経て、ポート117cから遅角油圧室123内に流入する。
【0033】
図3に25で示すのは、進角用油圧室121と遅角用油圧室123とへの作動油供給を制御するオイルコントロールバルブ(以下「OCV」と呼ぶ)25である。
OCV25は、スプール26を有するスプール弁であり、進角用油通路115に配管を介して接続された油圧ポート26aと、遅角用油通路117に配管を介して接続された油圧ポート26b、機関出力軸に駆動される潤滑油ポンプ等の圧力油供給源28に接続されたポート26c及び2つのドレーンポート26d、26eを備えている。OCV25のスプール26はポート26aと26bのうちのいずれかをポート26cに連通し、他方をドレーンポートに接続するように動作する。
【0034】
すなわち、図3においてスプール26が右方向に移動すると、進角用油通路115に連通するポート26aはポート26cを介して油圧供給源28に接続され、ドレーンポート26dは閉鎖される。また、この時同時に遅角用油通路117に接続されたポート26bはドレーンポート26eに連通する。このため、可変バルブタイミング機構10の進角用油圧室121には、機関の潤滑油ポンプ等の油圧供給源28から作動油が流入し、進角油圧室121内の油圧を上昇させてベーン体110を図2の矢印R方向(進角方向)に押動する。また、この時遅角油圧室123内の作動油は油通路117、OCV25のポート26b等を通りドレーンポート26eから排出される。このため、ベーン体110はハウジング100に対して図2のR方向に回動する。
【0035】
また、図3において逆にスプール26が左方向に移動すると、ポート26bはポート26cに接続され、ポート26aはドレーンポート26dに接続される。これにより、遅角油圧室123には油通路117を通って作動油が流入し、進角油圧室121からは油通路115を通ってドレーンポート26dに作動油が排出されるため、ベーン体110はハウジング110に対して図2の矢印Rとは逆の方向に回動する。
【0036】
また、スプール26が図3に示した中立位置にあるときは、ポート26a、26bは両方とも閉鎖される。図3に25bで示すのは、スプール26を駆動するリニアソレノイドアクチュエータである。リニアソレノイドアクチュエータ25bは後述するECU30からの制御パルス信号を入力し、この制御パルス信号に応じてスプール26を移動させることにより、ベーン体110の位置、すなわち吸気弁のバルブタイミングを変更する。例えば、リニアソレノイドアクチュエータ25bはECU30からの制御パルス信号がオンになると、スプール26を図3右方向に移動させ、進角油圧室121に作動油を流入させる。また、リニアソレノイドアクチュエータ25bはECU30からの制御パルス信号がオフになると、スプール26を図3左方向に移動させ、遅角油圧室123に作動油を流入させる。ECU30は、上記制御パルス信号のオン、オフデューティー比(信号がオンになっている時間とオフになっている時間との合計に占める信号オン時間の割合)を変化させることにより油圧室121と123とに供給する油量を制御する。すなわち、制御パルス信号のデューティー比が100(パーセント)の場合には、スプール26は図3右方向に移動した状態に保持され、ポート26a及びドレーンポート26e は全開に保持されるため、作動油は進角油圧室121のみに供給され、進角油圧室121内の油圧が上昇する。また、同様に制御パルス信号のデューティー比が0の場合には作動油は遅角油圧室123のみに供給され、遅角油圧室123内の油圧が上昇する。制御パルス信号のデューティー比が50(パーセント)の状態では、ポート26aと26bとは交互に同じ時間だけ開くため、可変バルブタイミング機構10の進角油圧室121と遅角油圧室123との両方に作動油が供給されることになる。
図3に30で示すのは、OCV25の動作を制御する電子制御回路(ECU)である。本実施形態では、ECU30はリードオンリメモリ(ROM)32、ランダムアクセスメモリ(RAM)33、マイクロプロセッサ(CPU)34、入力ポート35、出力ポート36を相互に双方向性バス31で接続した公知の構成のマイクロコンピュータとして構成される。本実施形態のECU30は、機関運転条件に応じてOCV25の動作を制御して吸気弁のバルブタイミングを調節し、機関運転条件に最適な吸気弁バルブタイミングを設定する。この制御のため、ECU30の入力ポート35には、機関の吸気通路63に設けられたエアフローメータ21から機関吸入空気量(重量流量)Gに対応した電圧信号と、機関1の潤滑油回路に配置した油温センサ23から潤滑油温度Tに対応した電圧信号とが、それぞれAD変換器29を介して入力されているほか、カムシャフトに設けられたカム回転角センサ25からカムシャフト11の回転角を表すパルス信号と、機関クランク軸に設けられたクランク軸回転角センサ27からクランク軸回転角を表すパルス信号とが入力されている。なお、油温センサ23を設ける代わりに、機関1の冷却水温度を検出する冷却水温度センサを設け、検出した冷却水温度から潤滑油温度Tを推定するようにしてもよい。
【0037】
クランク軸回転角センサ27からのパルス信号は、クランク軸回転720度毎に発生するクランク軸の基準位置を示すN1信号と、クランク軸一定回転角毎に発生するNE信号とからなり、カム回転角センサ45からは、カムシャフト回転360度毎にカムシャフトが基準位置に到達したことを示すCN1パルス信号が発生する。ECU30は一定時間毎にNE信号のパルス間隔から機関回転数NEを計算するとともに、この機関回転数NEを用いてN1信号とCN1信号との時間間隔からカムシャフト11の実際の回転位相(吸気弁のバルブタイミング)を演算する。この演算結果はRAM33に格納される。また、吸入空気量Gと潤滑油温度Tとは、一定時間毎にAD変換され同様にRAM33に格納される。
【0038】
一方ECU30の出力ポート36は、駆動回路25aを介してOCV25のアクチュエータ25bに接続され、制御信号をアクチュエータ25bに供給している。また、ECU30の出力ポートは、駆動回路240aを介してオイルスイッチングバルブ(以下OSVと呼ぶ)240のアクチュエータに接続されている。OSV240は、後述するロックピンへの作動油の供給を制御するものである。OSV240については後述する。
【0039】
なお、本実施形態では、ECU30は、上記により算出された吸入空気量Gと機関回転数NEとから機関1回転当たりの吸入空気量G/NEを算出し、このG/NEと機関回転数NEとを機関負荷を代表するパラメータとして用いて吸気バルブタイミングを設定する。すなわち、ECU30は予め設定された最適吸気バルブタイミングをG/NEとNEとを用いた数値マップの形でROM32に格納してあり、この数値マップに基づいて、算出したG/NEとNEとを用いて最適バルブタイミングを設定する。そして、実際のバルブタイミングが設定バルブタイミングになるようにOCV25に供給する制御信号のデューティー比をフィードバック制御する。このバルブタイミング制御操作は、本発明とは直接関係しないため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0040】
次に、本実施形態のロックピン(例えば、図2に200で例示したもの等)の機能について説明する。上述したように、本実施形態の可変バルブタイミング機構10では、吸気弁のバルブタイミングは進角油圧室121と遅角油圧室123とに供給する油圧を調節することにより制御される。このため、例えば機関始動時等で潤滑油ポンプから充分な量の作動油が供給されない状態では、油圧室121、123内には充分な圧力の作動油が存在しないため、ベーン体110を所望の位置に保持することはできない。また、機関停止中に進角油圧室121から作動油が抜けてしまっているような場合には、機関始動時にハウジング100が回転すると、ベーン体111は進角油圧室側の仕切壁103に当接し、進角油圧室121内に充分な圧力の作動油が供給されるまでこの状態で回転することになる。このとき、吸気バルブタイミングは最も遅角した状態になる。この時のハウジング100に対するベーン体110の位置を本明細書では最遅角位置と呼ぶ。
【0041】
このように、最遅角位置でベーン111と仕切壁103とが当接した状態で機関が運転されると、ベーン体110は吸気弁開閉に伴ってカムシャフト11に作用する反力トルクによって、仕切壁103と衝突、離反を繰り返すようになり機関始動時に打音を生じるのみならず、機関始動中に吸気バルブタイミングが変動するため機関始動性が悪化する場合が生じる。
【0042】
そこで、このような場合にハウジング100とベーン体110との相対位置を固定するために、本発明では、ベーン体110とハウジング100とを係止するロックピンを設けている。図1から図3の可変バルブタイミング機構では、ロックピンの配置や動作についていくつかの例が考えられる。以下にロックピンのいくつかの実施形態についてそれぞれ図面を参照して説明する。
(1) 第1の実施形態
図4は、ロックピンの第1の実施形態を説明する図である。図4は、煩雑化を避けるため、図2のハウジング100とベーン体110とを模式化して示している。
【0043】
図4(A) 、(B) に示すように、本実施形態では、ベーン体110のベーン111の1つには、最遅角ロックピン210が、また他のベーンには中間位置ロックピン230が設けられている。すなわち、本実施形態では2つのロックピンが使用される。図4(A) はベーン体110のベーンがハウジング100の進角油圧室側の仕切壁103に当接した最遅角位置にある状態を示している。本実施形態では、プーリー13のハウジング100内側面には、ベーン体が図4(A) の最遅角位置になったときに最遅角ロックピン210と整合する位置に最遅角ロック孔211が設けられている。また、図4(B) はベーン体110が図4(A) の最遅角位置から所定の角度だけ回動した中間位置にある状態を示す。図4(B) の中間位置は、吸気バルブタイミングが最も進角するベーン体位置(最進角位置)と図4(A) の最遅角位置との中間の位置であり、機関1の全運転領域で比較的性能低下が少ない吸気バルブタイミングが得られる位置とされる。図4(B) の中間位置は、例えば可変バルブタイミング機構を持たない通常の固定バルブタイミング機関の吸気バルブタイミング設定に相当する位置とされている。本実施形態では、プーリー13のハウジング100内側面には、ベーン体110が図4(B) の中間位置にあるときに、中間位置ロックピン230と整合する位置に中間位置ロック孔231が設けられている。
【0044】
図5(A) (B) は最遅角ロックピン210の動作状態を説明する図であり、図5(A) はベーン体110が図4(A) に示す最遅角位置にあり、最遅角ロックピン210が最遅角ロック孔211と係合した状態を示す。また、図5(B) は最遅角ロックピン210と最遅角ロック孔211との係合が解除された状態を示している。
【0045】
図5(A) (B) に示すように、最遅角ロックピン210は大径ピストン部210aと、小径ピストン部210bとを有しており、ベーン111内にはロックピン210を収容するガイド孔219が設けられている。また、ガイド孔219は大径ピストン部210aと摺接する大径部219aと小径ピストン部210bと摺接する小径部219bとからなっている。最遅角ロック孔211は小径ピストン部210bを収容するのに充分な径を有している。
【0046】
更に、ベーン111内には油圧通路213と215とが設けられている。油圧通路213は、進角油圧室121とガイド孔小径部219bとを接続し、進角油圧室121内の油圧を小径ピストン部210bとガイド孔小径部219bとの間の間隙を介して小径ピストン部219b下部に導入するものである。また、油圧通路215は、遅角油圧室123とガイド孔大径部219aとを接続し、遅角油圧室123内の油圧をガイド孔大径部219a内のロックピン大径ピストン部210a下部に導入するものである。また、ロックピン210は、大径ピストン部210a上部に配置された圧縮スプリング217により常時下方に付勢されている。
【0047】
前述したように、機関始動時等で油圧室121及び123の両方に油圧がない状態では、ベーン体110はハウジング100の回転により図4(A) の最遅角位置になり、ハウジング100の仕切壁103と当接した状態で回転する。このとき、最遅角ロックピン210と最遅角ロック孔211との位置は整合し、ロックピン210はスプリング217に付勢されて最遅角ロック孔211に係合する。このため、油圧室121及び123の両方に油圧がない状態ではベーン体110は最大遅角位置に係止された状態になり、吸気弁駆動反力トルクがベーン体110に作用してもベーン体位置は固定される。これにより、機関始動時のベーン体と仕切壁の衝突による打音や、始動時のベーン体位置変化によるバルブタイミングの変動が生じることが防止される。
【0048】
一方、機関が始動して潤滑油ポンプの回転が上がると、油圧室121と123とには充分な量の作動油が供給されるようになる。この状態で、油圧室121と123との内いずれか一方の圧力が上昇すると、油圧通路213または215を介してロックピン210の大径ピストン部210a下面または小径ピストン部210b下面に油圧が導入され、この油圧が充分に高くなると最遅角ロックピン210はスプリング217の付勢力に抗して上昇し、小径ピストン部210bと最遅角ロック孔211との係合が解除される。この状態では、進角油圧室121に充分な圧力の作動油が供給されているため、ベーン体110を最遅角位置から進角方向に回動させることが可能となる。
【0049】
すなわち、最遅角ロックピン210は機関始動時等の油圧低下時にベーン体110を最遅角位置に係止して打音等の発生を防止するとともに、始動後の油圧上昇とともに自動的にベーン体の係止を解除してバルブタイミングの進角を可能とするものである。
本実施形態では、前述のように上記最遅角ロックピン210に加えて中間位置ロックピン230が設けられている。図6(A) (B) は中間位置ロックピン230の動作状態を説明する図であり、図6(A) はベーン体110が中間位置以外の位置にあり、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とが整合していない状態を、図6(B) はベーン体110が図4(B) の中間位置にあり、ロックピン220とロック孔231とが係合した状態を示している。
【0050】
本実施形態で、最遅角ロックピン210に加えて中間位置ロックピン230を設けたのは以下の理由による。
上述したように、機関始動時等で油圧が低い場合には最遅角ロックピン210によりベーン体110は最遅角位置に係止される。しかし、始動後油圧が上昇すると、最遅角ロックピン210による係止は解除されてしまいベーン体110は油圧室121と123とに供給される油圧に応じて回動するようになる。
【0051】
この状態では、本来であればベーン体位置(バルブタイミング)のフィードバック制御が可能なはずであるが、実際の運転では機関始動後の油温が低いため、作動油の粘度が高くOCV25の開度(デューティー比)変化に対する油圧室121、123内の油圧変化の応答が低下している。このため、実際には機関始動後油圧が上昇しても油温がある程度上昇するまではバルブタイミングのフィードバック制御が安定しない状態が続き、バルブタイミングが変動する問題がある。
【0052】
そこで、本実施形態では、機関始動後油圧の上昇に伴って最遅角ロックピン210によるベーン体110の係止が解除された後、油温がフィードバック制御が安定する温度まで上昇する間中間位置ロックピン230を用いてベーン体110を図4(B) の中間位置に係止するようにしている。これにより、油温が十分に上昇するまで機関バルブタイミングは性能低下の比較的少ない中間のバルブタイミングに固定されるため上記問題が解決される。
【0053】
次に図6(A) (B) を用いて中間位置ロックピン230の動作について説明する。中間位置ロックピン230は、最遅角ロックピン210と同様大径ピストン部230aと小径ピストン部230bとからなる。また、中間位置ロックピン230を収容するベーン111内のガイド孔239には、大径ピストン部230aと摺接する大径部239aと小径ピストン部230bと摺接する小径部239bとが設けられている。更に、ガイド孔239には中間位置ロックピン230を下方に付勢する圧縮スプリング237が配置されている。また、本実施形態ではガイド孔大径部239aの中間位置ロックピン大径ピストン部230a下側をOSV240と接続する、図3の油通路115と同様な油通路241がカムシャフト11とベーン体111内部に設けられている。
【0054】
OSV240はOCV25と同様な構成のスプール弁であり、ECU30からの制御信号がオンになると油通路241を潤滑油ポンプ28等の油圧源に接続し、制御信号がオフになると油通路241をドレーンに接続する。
OSV240がオフの状態では、中間位置ロックピン230の大径ピストン部230a下面には油圧が作用しないため、ロックピン230はスプリング237により図の下方向に押圧されている(図6(A) )。このため、OSV240がオフの状態でベーン体110が図4(B) の中間位置になると、中間位置ロックピン230はスプリング237に押動されて中間位置ロック孔231と係合し、ベーン体110を中間位置に係止する(図6(B) )。
【0055】
一方、OSV240がオンになるとOSV240から油通路241を介して中間位置ロックピン大径ピストン部230a下面に油圧が供給されるため、ロックピン230はスプリング237の付勢力に抗して図の上方に移動する。この状態では、ロックピン230は中間位置においても中間位置ロック孔231とは係合せず、ベーン体110は係止されない。また、図6(B) のように係止状態にある場合でも、OSV240がオンになるとベーン体の係止は解除され、ベーン体は自由に回動可能となる。
【0056】
本実施形態では、ECU30は油温センサで検出した油温Tが予め定めた温度以下のときにはOSV240をオフ状態に保持し、油温Tが予め定めた温度に到達後はOSV240をオン状態に保持する。これにより、機関始動後油温が所定値に上昇するまでベーン体110は中間位置に係止される。
次に機関始動から油温が上昇するまでの最遅角ロックピン210と中間位置ロックピン230との動作について説明する。
【0057】
▲1▼ 機関始動時(油圧、油温とも低)
この状態では、ECU30はOCV25のデューティー比を100%(進角油圧室121に作動油を供給する位置)に設定するとともに、OSV240をオフにする。機関始動時には潤滑油ポンプの吐出圧力が低いため、OCV25のデューティー比が100%に設定されていても進角油圧室121内の油圧は上昇せず、ベーン体110は図4(A) に示した最遅角位置になる。また、この状態では、最遅角ロックピン210はスプリング217により下方に付勢されているため、最遅角ロックピン210と最遅角ロック孔211との位置が整合すると最遅角ロックピン210は最遅角ロック孔211に係合する。これにより、ベーン体110は最遅角位置に係止される(図5(A) )。
【0058】
また、OSV240がオフのため、中間位置ロックピン230はスプリング237により下方に押圧されているが、中間位置ロック孔231の位置と整合しないため、ロック孔231とは係合しない(図6(A) )。
▲2▼ 機関始動後油圧上昇時(油圧高、油温低)
この状態では、OCV25とOSV240は機関始動時と同じ状態に保持される。このため、機関始動後油圧が上昇すると、OCV25を通じて進角油圧室121に作動油が供給され、進角油圧室121内の油圧が上昇する。これにより、油圧通路213を通じて最遅角ロックピン210の小径ピストン部210b下面に油圧が作用するようになり、最遅角ロックピン210はスプリング217の付勢力に抗して上昇し、最遅角ロックピン210と最遅角ロック孔211との係合が解除される(図5(B) )。このため、ベーン体110は進角油圧室121内の油圧に押され進角方向に回動する。この回動中にベーン体110が図4(B) の中間位置に到達すると、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との位置が整合し、中間位置ロックピン230はスプリング237に押されて中間位置ロック孔231に係合する。これにより、機関始動後油圧が上昇しても、油温が十分に上昇してフィードバック制御が安定するまでは、バルブタイミングは比較的性能低下の少ない位置に固定されることになる。
【0059】
▲3▼ 機関始動後油温上昇時(油圧、油温とも高)
機関始動後油温が予め定めた温度以上になると、ECU30はOSV240をオンにする。これにより、中間位置ロックピン大径ピストン部230a下面に油圧が作用し、中間位置ロックピン230はスプリング237の付勢力に抗して上昇する。これにより、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合が解除される。また、油温が上記所定値に到達するとECU30はOCV25のフィードバック制御を開始する。この状態では油温は十分に上昇しているため、フィードバック制御の応答遅れは生じず、機関バルブタイミングは運転状態に応じて最適なタイミングに制御されるようになる。
(2) 第2の実施形態
図7、図8はロックピンの構成の第2の実施形態を示す図4、図6と同様な図である。図7、図8において図4、図6と同一の参照符号は図4、図6と同様な要素を表している。
【0060】
本実施形態では、第1実施形態と同様、最遅角ロックピン210と中間位置ロックピン230との2つのロックピンが用いられている。また、最遅角ロックピン210、中間位置ロックピン230及び最遅角ロック孔211の構成は第1実施形態のものと同一とされ、中間位置ロック孔231の形状のみが第1実施形態と相違している。
【0061】
すなわち、第1実施形態では中間位置ロック孔231の形状は、中間位置ロックピン230の断面形状に対応した真円形状であったのに対して、本実施形態では、中間位置ロック孔231の形状は、ベーン体110が最遅角位置(図7(A) )から中間位置(図7(B) )まで回動したときに、中間位置ロックピン230が描く軌跡に沿った長孔形状とされる。これにより、本実施形態では中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とが係合した状態でもベーン体110は固定されずに、最遅角位置と中間位置との間を回動可能となっている(図8(A) 、(B) 参照)。
【0062】
次に、本実施形態における最遅角ロックピン210と中間位置ロックピン230との動作について説明する。
▲1▼ 機関始動時(油圧、油温とも低)
この状態では、第1実施形態と同様ECU30はOCV25のデューティー比を100%(進角油圧室121に作動油を供給する位置)に設定するとともに、OSV240をオフにする。このため、第1実施形態と同様に、最遅角ロックピン210は最遅角ロック孔211と係合し、ベーン体110は図7(A) に示した最遅角位置に係止される。しかし、本実施形態では、中間位置ロック孔231は最遅角位置まで延設されているため、最遅角位置においても中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とが係合可能となっている。このため、中間位置ロックピン230はスプリング237により下方に押圧されて中間位置ロック孔231(長孔)と係合する(図8(A) )。
【0063】
▲2▼ 機関始動後油圧上昇時(油圧高、油温低)
機関始動後油圧が上昇すると、第1の実施形態と同様最遅角ロックピン210と最遅角ロック孔211との係合が解除される。この状態では油温が低いため、まだOSV240はオフにされており中間位置ロックピン230は中間位置ロック孔231に係合したままになっている。しかし、本実施形態では中間位置ロック孔231は長孔とされているため、進角油圧室121内の油圧が上昇して最遅角ロックピン210による係止が解除されると、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とが係合した状態のままベーン体110は進角方向に回動する。これにより、中間位置ロックピン230はベーン体の回動につれて中間位置ロック孔231内を移動する。そして、中間位置ロックピン230が中間位置ロック孔231の最進角側の端部に当接するとベーン体110のそれ以上の進角は阻止される(図8(B) )。これにより、ベーン体110は進角油圧室121内の油圧に押圧され中間位置にロックされる。
【0064】
▲3▼ 機関始動後油温上昇時(油圧、油温とも高)
機関始動後油温が予め定めた温度以上になると、第1実施形態と同様、ECU30はOSV240をオンにするとともに、OCV25のデューティー比のフィードバック制御を開始する。これにより、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合が解除されるとともに、機関バルブタイミングが運転状態に応じてフィードバック制御されるようになる。
【0065】
第1の実施形態のように、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合がベーン体110が中間位置になったときにのみ可能な構造とすると、ベーン体の回動中に中間位置ロックピン230がロック孔と係合可能な状態になる時間が短くなってしまい、中間位置で確実にベーン体を係止できない場合が生じる。これに対して本実施形態では、機関始動時から常に中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とを係合させているため、油圧上昇後確実にベーン体110を中間位置に係止することができる利点がある。
(3) 第3の実施形態
図9、図10はロックピンの構成の第3の実施形態を示す図7、図8と同様な図である。本実施形態では、最遅角ロックピン210は設けられておらず、その代わりに中間位置ロックピン230と進角制限ピン250とが設けられている。本実施形態の中間位置ロックピン230は、図4の最遅角ロックピン210と全く同一の構造とされており、ただ中間位置(図9(B) )においてのみ真円の中間位置ロック孔231と係合するようになっている点が図4の最遅角ロックピン210と相違している。すなわち、本実施形態の中間位置ロックピン230は、進角油圧室121、遅角油圧室123のいずれかの圧力が上昇した場合には自動的に中間位置ロック孔231との係合が解除される。
【0066】
一方、進角制限ピン250は、図8の中間位置ロックピンと全く同一の構成とされており、進角制限ピン250と係合する進角制限孔251も図8の中間位置ロック孔231と同様に、最遅角位置から中間位置に対応する位置まで延設された長孔となっている。本実施形態においても、進角制限ピン250と進角制限孔との係合はOSV240のオン・オフにより制御される。
【0067】
本実施形態では、機関停止時に潤滑油回路中の残油圧力を用いて中間位置までベーン体110を移動させ、予めベーン体を中間位置にロックしておく点が第1、第2実施形態と相違している。すなわち、本実施形態では、機関始動時から油温が上昇するまでの間ベーン体110は常に中間位置に係止されることになる。前述の第1、第2実施形態では機関始動時にはベーン体110は最遅角位置に係止され、始動後油圧が上昇すると中間位置に係止されていた。このため、機関始動後の運転が安定しない状態でバルブタイミングが最遅角バルブタイミングから中間バルブタイミングまで変化することになり、機関の始動性が悪化したり、機関運転状態が更に不安定になるなどの問題が生じる場合がある。
【0068】
これに対して、本実施形態では機関始動時から常にバルブタイミングは一定になるため上記始動性の悪化や運転状態の不安定化等の問題が生じることが防止される。
以下、本実施形態の中間位置ロックピン230と進角制限ピン250との動作について説明する。
【0069】
▲1▼ アイドル運転時(機関停止前)
本実施形態では、ECU30は機関がアイドル運転されていることを吸入空気量Gと回転数NEとに基づいて判断する。そして、アイドル運転時にはバルブタイミングを最遅角状態に制御する(図9(A) )とともに、進角制限ピン250のOSV240をオフにする。これにより、進角制限ピン250はスプリング259に押動されて進角制限孔251と係合する。また、この状態では、油圧室121、123には十分な油圧が発生しているため中間位置ロックピン230は中間位置ロック孔231とは係合しない。
【0070】
▲2▼ 機関停止時
アイドル運転から機関が停止されると、ECU30はOSV240をオフにしたまま、OCV25のデューティー比を100%に設定する。これにより進角油圧室121には機関の潤滑油回路の残油圧力により作動油が流入するようになる。このため、機関停止時にはベーン体110は最遅角位置から進角側に回動する。ところが、機関停止時には進角制限ピン250と進角制限孔251とが係合したままになっているため、ベーン体110の進角は進角制限孔251の進角側端部と進角制限ピン250とが当接する位置(すなわち中間位置)で制限され、残油圧力の低下後はベーン体110はこの中間位置に停止する。
【0071】
本実施形態では、油圧室121、123内の圧力が低下すると中間位置ロックピン230は自動的に中間位置ロック孔231と係合するため、機関停止後残油圧の低下により油圧室内圧力が低くなると中間位置ロックピン230が中間位置ロック孔231に係合し、ベーン体110は機関停止後中間位置にロックされる(図9(B) 、図10(B) )。
【0072】
なお、アイドル運転から機関が停止されず再び機関回転数が上昇した場合には、ECU30はOSV240をオンにして進角制限ピン250と進角制限孔251との係合を解除するとともに、OCV25によりバルブタイミングを最適タイミングにフィードバック制御する。
▲3▼ 機関始動時
機関が再始動されると、機関始動時の油圧が低い間はベーン体110は中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合により中間位置に係止される。また、機関始動時にECU30は油温が所定温度に到達するまでOSV240をオフ状態に保持するとともに、OCV25のデューティー比を100%に設定する。機関始動後油圧が上昇すると中間位置ロックピン230による係止は自動的に解除されるが、これにより進角制限ピン250と進角制限孔251との係合は保持されるため、進角制限ピン250は進角油圧室121内に供給される油圧により進角制限孔251の進角側の端面に当接し、押圧、固定される。これにより、始動後油温が上昇するまでの間ベーン体110は中間位置に係止される(図9(B) 図10(B) )。
【0073】
▲4▼ 油温上昇後
機関始動後油温が所定値まで上昇すると、ECU30はOSV240をオンにするとともに、OCV25のデューティー比を機関の実バルブタイミングに基づいてフィードバック制御する。これにより、進角制限ピン250と進角制限孔251との係合が解除され、バルブタイミングが機関運転状態に応じて最適なタイミングにフィードバック制御されるようになる。
(4) 第4の実施形態
次に図11を用いてロックピンの構成の第4の実施形態について説明する。
【0074】
本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成の、OSV240により中間位置ロック孔231と係合、離脱する中間位置ロックピン230が用いられており、中間位置ロック孔231真円断面形状である点も第1実施形態と同様である。しかし、本実施形態では第1実施形態における最遅角ロックピン210や第3実施形態における進角制限ピン250等は設けられておらず、代わりにベーン体110を互いに対向する方向に付勢するスプリング261、263がそれぞれ進角油圧室121と遅角油圧室123とに配置されている。スプリング261、263は、油圧室121と123とに油圧が発生していない状態では、ベーン体110が図11に示した中間位置にある状態でバランスするようにその付勢力が設定されている。
【0075】
本実施形態においても、ベーン体110は機関停止時または停止後に中間位置に係止され、機関始動後油温が所定温度まで上昇したときに係止が解除される。すなわち、機関停止時にはECU30は中間位置ロックピン230のOSV240をオフにする。このため、機関が停止され油圧室121、123内の油圧が低下するとベーン体はスプリング261、263の付勢力がバランスする中間位置に回動する。このとき、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との位置が整合し中間位置ロックピン230が中間位置ロック孔231と係合する。すなわち、機関停止中はベーン体110は中間位置に固定される。
【0076】
機関始動時及び機関始動後油温が所定値まで上昇する間、ECU30はOSV240をオフ状態に保持する。このため、機関始動時及びその後油温が上昇するまでの間、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合が保持され、第3実施形態と同様にベーン体110は中間位置に係止されるようになる。油温が所定値まで上昇すると、ECU30はOSV240をオンにして中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合を解除するとともに、OCV25によるバルブタイミングのフィードバック制御を開始する点も第3実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態によれば、進角制限ピン等を用いることなく確実に機関始動時から油温が上昇するまでの間ベーン体110を中間位置に係止することが可能となっている。
(5) 第5の実施形態
次に図12と図13とを用いてロックピンの構成の第5の実施形態について説明する。
【0078】
本実施形態では、図6(第1実施形態)と同一の構造の中間位置ロックピン230及び断面真円形状の中間位置ロック孔231が設けられている。すなわち、中間位置ロックピン230はOSV240のオン・オフにより中間位置ロック孔231との係合、離脱が制御される。また、本実施形態においても、進角制限ピン250と長孔形状の進角制限孔251とが設けられているが、進角制限孔251はベーン体110の中間位置に対応する位置から中間位置より進角側の適宜な位置まで延設されている点が図9、図10(第3実施形態)と相違している。すなわち、本実施形態では、進角制限ピン250と進角制限孔251とが係合した状態では、ベーン体110の回動範囲は中間位置から中間位置より進角側の適宜な位置までの範囲に制限されることになる。
【0079】
また、本実施形態では進角制限ピン250の係合、離脱を制御するOSV240(図10)が設けられておらず、油圧室121、123内に発生する油圧により進角制限ピン250と進角制限孔251との係合、離脱が制御される点が図9、図10(第3実施形態)と相違している。
図13(A) から(D) に示すように、本実施形態の進角制限ピン250は、大径ピストン部250a、小径ピストン部250bとを備え、ベーン体110のベーン111内には、進角制限ピン250のガイド孔259と進角油圧室121、遅角油圧室123とをそれぞれ連通する油圧通路253、255が設けられている。油圧通路253、255は油圧室121、123内の油圧を進角制限ピンの大径ピストン部250a下側に導入するものである。すなわち、進角油圧室121または遅角油圧室123のいずれかに十分な油圧が発生している状態では、進角制限ピン250は大径ピストン部250a下面に作用する油圧により、スプリング257の付勢力に抗して上方に移動し、進角制限孔251との係合が解除される。また、油圧室121、123のいずれにも油圧が発生していない状態では、進角制限ピン250はスプリング257に付勢されて進角制限孔251に係合する。
【0080】
以下、本実施形態の中間位置ロックピン230と進角制限ピン250との動作について説明する。
▲1▼ アイドル運転時(機関停止前)
本実施形態では、ECU30は機関アイドル運転時にはバルブタイミングを最遅角状態と中間位置との間の位置に制御する(図12(A) )。また、後述するように油温が所定値まで上昇した状態ではECU30はOSV240をオン状態に保持している。この状態では、油圧室121と123との両方に十分な油圧が発生しているため、進角制限ピン250は上方に移動しており進角制限孔251とは係合していない(図13(A) )。また、OSV240がオン状態に保持されているため、中間位置ロックピン230も中間位置ロック孔231とは係合していない。
【0081】
▲2▼ 機関停止時
アイドル運転から機関が停止されると、ECU30はOSV240をオフにするとともに、バルブタイミングを進角させて、進角制限ピン250が進角制限孔251(長孔)内に入る位置まで潤滑油回路内の残圧によりベーン体110を回動させる(図13(B) )。前述のように、本実施形態では、機関停止前のアイドル運転時にはベーン体110は最遅角位置と中間位置との間に保持されているため、進角制限ピン250を進角制限孔251と整合する位置に移動させるためのベーン体110回動量は比較的小さくなる。従って、機関停止時に潤滑油回路残油圧力が急速に低下する場合(例えば油温が高い場合)にも、十分に進角制限ピン250と進角制限孔251との位置を整合させることができる。また、進角制限孔251は長孔に形成されており、ベーン体110の回動は進角制限孔251の範囲に進角制限ピン250を移動させるだけで足りるため、厳密なベーン体110の位置制御は必要とされない。
この状態で油圧が低下すると、進角制限ピン250は進角制限孔251に係合する(図13(C) )。また、OSV240がオフにされるため、中間位置ロックピン230は中間位置ロック孔231と位置が整合した場合には係合状態となるが、位置が整合していない場合には中間位置ロック孔231より進角側位置に保持される。
【0082】
▲3▼ 機関始動時
機関が再始動されると、ECU30はOSV240をオフ状態に保持したままOCV25のデューティー比を0%に設定し、遅角油圧室123に作動油を供給する。しかし、機関始動中には、潤滑油ポンプ油圧が上昇しないため、遅角油圧室123内の油圧は低いままとなる。この状態では、機関停止時に中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とが係合していない場合には(すなわち、中間位置ロックピン230が中間位置ロック孔231より進角側に保持されていた場合には)、ハウジング100の回転によりベーン体110が遅角側に回動する。このため、進角制限ピン250は進角制限孔251と係合したまま遅角側に移動し、制限孔251の遅角側端部(すなわち中間位置)に当接し、ベーン体110が停止する。この状態では、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との位置が整合するため、中間位置ロックピン230が中間位置ロック孔231と係合し、ベーン体110は中間位置に係止される。機関始動後遅角油圧室123内の油圧が上昇すると、進角制限ピン250は油圧室123内の油圧により進角制限孔251との係合を解除されるが、OSV240は油温が上昇するまでオフ状態に保持されるため、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231との係合が保持され、ベーン体110は中間位置に引き続き係止される。
(6) 第6の実施形態
次に図14と図15とを用いてロックピンの構成の第6の実施形態について説明する。
【0083】
本実施形態では、第5実施形態の中間位置ロックピン230(図12、図13)を設けずに、進角制限ピン250に中間位置ロックピン230の機能を持たせた点が第5実施形態と相違している。
第15図に示すように、本実施形態の進角制限ピン250は、第5実施形態とは異なり、図8の進角制限ピン250と同様OSV240により進角制限孔251との係合、離脱が制御される。また、本実施形態の進角制限孔251は、第5実施形態と同様な範囲に設けられた長孔形状とされているが、長孔底面のの最も遅角側の部分に進角制限ピン250と係合しベーン体110を中間位置に係止する中間位置ロック孔231が設けられた二重構造となっている点が第5実施形態と相違している。
【0084】
以下、本実施形態の進角制限ピン250の動作について説明する。
▲1▼ アイドル運転時(機関停止前)
本実施形態では、第5実施形態と同様油温上昇後はOSV240はオン状態に保持されており、進角制限ピン250は進角制限孔251、中間位置ロック孔231とは係合していない(図15(A) )。機関停止前のアイドル運転状態では、本実施形態においても第5実施形態と同様、ベーン体110が最遅角位置と中間位置との間に位置するようにバルブタイミングが制御される(図14(A) )。
【0085】
▲2▼ 機関停止時
機関停止時には、ECU30はOSV240をオフにするとともに、第5実施形態と同様潤滑油回路内の残油圧力でバルブタイミングを進角させて、進角制限ピン250が進角制限孔251の範囲内に入るようにベーン体110を移動させる(図14(B) )。この状態では、進角制限ピン250と中間位置ロック孔231との位置が整合しない場合、進角制限ピン250は進角制限孔251と係合し、長孔251の底面と当接する(図15(B) )。また、進角制限ピン250と中間位置ロック孔231との位置が整合した場合には、進角制限ピン250は更に下方に移動し、中間位置ロック孔231に係合する。
【0086】
▲3▼ 機関始動時
機関始動時には、ECU30はOSV240をオフ状態に維持する。始動中の油圧が低い状態では、ハウジング100の回転によりベーン体110は遅角側に回動するため進角制限ピン250は進角制限孔251内を遅角側に移動し、遅角側の端部に当接して停止する(図14(C) )。このため、進角制限ピン250と中間位置ロック孔231との位置が整合し、進角制限ピン250が更に下方に移動して中間位置ロック孔231と係合する(図15(C) )。これにより、ベーン体110は中間位置に係止される。
【0087】
▲4▼ 油温上昇後
機関始動後油温が所定値まで上昇すると、ECU30はOSV240をオンにするとともに、OCV25のデューティー比を機関の実バルブタイミングに基づいてフィードバック制御する。これにより、進角制限ピン250と中間位置ロック孔231(及び進角制限孔251)との係合が解除され、バルブタイミングが機関運転状態に応じて最適なタイミングにフィードバック制御されるようになる。
【0088】
本実施形態では、第3から第5の実施形態と同様、バルブタイミングが機関始動時から油温が上昇するまでの間、中間位置に固定されるようになる。
(7) 第7の実施形態
次に、前述の第5実施形態のように、機関停止時に潤滑油の残圧を用いてベーン体110を所定の範囲(進角制限ピン250が進角制限孔251の範囲に入る位置)に回動させる場合のOCV25の制御についての例を説明する。
【0089】
機関停止時の潤滑油回路残油圧力を用いてベーン体110を回動させる場合には機関停止時の残油圧力及びその降下速度によりベーン体110の最大回動可能量が定まる。例えば、機関停止前のアイドル回転数が高く、停止時の残油圧力が高い場合にはベーン体の最大回動可能量(バルブタイミングの最大可能進角量)が大きくなる。また、機関停止時の油温が低く潤滑油の粘性が高い場合には残油圧力の降下速度が小さくなり、ベーン体の最大回動可能量は大きくなる。
【0090】
このため、機関停止時のバルブタイミング進角目標を常に一定値に設定していると、例えば機関停止時の油圧が高く(アイドル回転数が高く)、油温が低いような場合にはバルブタイミングが大きく進角(ベーン体回動量が大きく)なり、進角制限ピン250が進角制限孔251の範囲を越えてしまうまでベーン体110が進角側に回動してしまう過進角が生じる可能性がある。一方機関停止時の油圧が低く(アイドル回転数が低く)、しかも油温が高い場合には同一のバルブタイミング進角目標値であっても進角制限ピン250が進角制限孔251範囲に到達するまでベーン体110を進角側に回動できなくなる場合が生じる可能性がある。
【0091】
そこで、本実施形態では予め機関停止時バルブタイミング進角可能量(ベーン体110の回動可能量)と機関停止時の残油圧力と油温との相関を実験等により求めておき、この関係に基づいて機関停止時のバルブタイミング進角目標値を決定しておく。
図16は、本実施形態における機関停止時のバルブタイミング進角目標値の油温とアイドル回転数とによる変化を示すグラフである。図16に示すように、本実施形態では、例えば同一の油温であればアイドル回転数が低いほど、また同一のアイドル回転数であれば油温が高いほど進角目標値は大きく設定される。OCV25のデューティー比は、バルブタイミング進角目標値と実際のバルブタイミングとの偏差に基づいて決定されるため、進角目標値が大きく設定されると、上記偏差が大きくなりデューティー比は大きな値に設定される。このため、アイドル回転数が低く油温が高い場合でも油圧がベーン体110を回動できなくなる値まで低下してしまう前にベーン体110を所定位置範囲まで進角させることが可能となる。また、図16に示すように、逆にアイドル回転数が高く油温が低い場合にはバルブタイミング進角目標値は小さく設定されるため、実バルブタイミングとの偏差が小さくなりOCV25のデューティー比は小さな値に設定される。このため、油圧が低下する時間が長い場合でもベーン体110の過進角が生じない。
【0092】
図17は、上記バルブタイミング進角目標値設定操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
図17において、操作がスタートするとステップ1701では、前回操作実行時から今回操作実行時までの間に機関停止操作が行なわれたか否か(機関イグニッションスイッチのオフ操作が行なわれたか否か)が判定される。機関停止操作が行なわれた場合には、ステップ1703で機関停止操作実行直後の油温Tと機関回転数(アイドル回転数)NEとを読み込み、ステップ1705では図16の関係に基づいてバルブタイミング進角目標値を設定する。図16の関係は、油温Tと機関回転数NEとを用いた数値テーブルの形でECU30のROM32に格納されており、ステップ1705ではこの数値テーブルから進角目標値が読みだされる。
【0093】
なお、ステップ1701でイグニッションスイッチのオフ操作が行なわれていない場合には、進角目標値の設定を行なうことなくそのまま操作を終了する。
この場合、バルブタイミングは、通常時のフィードバック制御により設定される。
ステップ1705でバルブタイミングの進角目標値が設定された場合には、別途行なわれるバルブタイミング制御操作(図示せず)で、イグニッションスイッチオフ後のOCV25開度がバルブタイミング進角目標値に応じて制御される。
【0094】
上記により、本実施形態では機関停止時の潤滑油回路の残油圧力やその降下速度にかかわらず常に、機関始動時にベーン体110を中間位置に係止することが可能となる。
(8) 第8の実施形態
次に、機関停止時に潤滑油の残圧を用いてベーン体を所定の範囲に回動させる場合のOCV25の制御について、上述の第7実施形態とは異なる実施形態について説明する。
【0095】
上記第7実施形態では、機関停止時のアイドル回転数と油温とに基づいてバルブタイミング進角目標値を変更していたが、本実施形ではバルブタイミング進角目標値は変更せず、機関停止時にはOCV25のデューティー比は一定値(例えば100%)に固定される。
このようにOCV25のデューティー比を一定値に固定した場合には前述したように機関停止時のアイドル回転数と油温とに応じて停止時のベーン体110の回動可能量(バルブタイミング進角可能量)が変化する。この場合、機関停止時のアイドル運転中のバルブタイミング(ベーン体110位置)を一定にしたのでは機関停止後に最終的にベーン体110が停止する位置はベーン体の回動可能量に応じて変化してしまう。従って、OCV25のデューティー比を一定値に固定してベーン体の停止位置を常に一定範囲内に制御するためには、アイドル運転中のバルブタイミングをベーン体の回動可能量に応じて変化させる必要がある。
【0096】
そこで、本実施形態ではアイドル運転時のバルブタイミングをアイドル回転数と油温とに応じて変更するようにしている。例えば、アイドル回転数が低く、油温が高い場合には停止時のベーン体110の回動可能量が小さくなる。このため、この場合には機関停止前のアイドル運転時のバルブタイミングを予め進角させておく。また、アイドル回転数が高く油温が低いような場合には、停止時のベーン体110回動可能量は大きくなる。そこで、この場合には機関停止前のアイドル運転時のバルブタイミングを予め遅角させておく。これにより、ベーン体の回動可能量が変化した場合でも、機関停止時にベーン体110が確実に所定の範囲まで移動するようになる。
【0097】
図18は、本実施形態におけるアイドル運転時バルブタイミング設定値の、アイドル回転数と油温とによる変化を示すグラフである。OCV25のデューティー比を一定値に固定した場合機関停止時のベーン体110の回動可能量は、同一の油温であればアイドル回転数が高いほど、また同一のアイドル回転数であれば油温が低いほど大きくなる。そこで、本実施形態では図18に示すようにアイドル時のバルブタイミングが、同一回転数であれば油温が高いほど進角し、油温が低いほど遅角するように、また同一油温であればアイドル回転数が低いほど進角し、アイドル回転数が高いほど遅角するように設定している。
【0098】
図19は、本実施形態におけるバルブタイミング設定操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
図19において操作がスタートすると、ステップ1901では、機関吸入空気量G、回転数NE及び油温Tが読み込まれる。
【0099】
次いで、ステップ1903では現在イグニッションスイッチがオフになっているか否かが判定され、オフになっていない場合には、ステップ1905に進み、現在アイドル運転中か否かが機関回転数NEと吸入空気量Gとに基づいて判定される。ステップ1905で現在アイドル運転中でなかった場合には、次にステップ1907が実行され、機関1回転あたりの吸入空気量G/NEと機関回転数NEとに基づいて通常運転時のバルブタイミング設定値が算出される。また、ステップ1905で現在アイドル運転中であった場合には、ステップ1909に進み、アイドル回転数NEと油温Tとに基づいて前述の図18の関係からアイドル運転時のバルブタイミング設定値が算出される。なお、図18の関係はNEとTとを用いた数値テーブルとしてECU30のROM32に格納されている。
【0100】
そして、ステップ1911では、実際のバルブタイミングがステップ1907または1909にて算出されたバルブタイミング設定値になるようにOCV25のデューティー比が制御される。
一方、ステップ1903で現在イグニッションスイッチがオフになっている場合にはステップ1913でOCV25のデューティー比は一定値(例えば100%)に固定される。機関停止前のアイドル運転中には予め図18のバルブタイミング設定値になるようにバルブタイミングが制御されているため、これによりベーン体110は所定の範囲内に確実に回動するようになる。
(9) 第9の実施形態
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
【0101】
前述の各実施形態では機関始動後油温が所定値まで上昇する間、中間位置ロックピン230によりベーン体110は中間位置に係止されている。しかし、中間位置ロックピン230の作動不良等によりベーン体110の係止が失敗したような場合には、バルブタイミングが変動してしまい機関運転が不安定になる場合が生じる。本実施形態では、以下の方法によりベーン体110の中間位置係止異常が生じたことを検出する。
【0102】
図20は、本実施形態の中間位置係止異常検出操作を説明するフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
図20において、操作が開始されるとステップ2001では、現在の油温Tが読み込まれる。そして、ステップ2003では、上記により読み込んだ油温Tが所定値T0 に到達しているか否かが判定される。ここで、所定温度T0 は、各実施形態においてベーン体110の中間位置係止が解除される温度である。ステップ2003でT≧T0 であった場合には現在中間位置係止は行なわれていないため、ステップ2005以下の中間位置係止異常検出操作は行なわず、ステップ2021で後述する異常フラグXFの値を0にセットして操作を終了する。
【0103】
一方、ステップ2003でT<T0 であった場合には、現在油温が低く中間係止操作が実行されているはずであるため、ステップ2005以下の異常検出操作を行なう。
すなわち、ステップ2007では現在の機関実バルブタイミングVVTを読み込み、ステップ2007、2009ではこのVVTが今までの最大値VVTMAX より大きい場合にはVVTMAX の値を更新する。また同様に、ステップ2011、2013では必要に応じてVVTの最小値VVTMIN の値を更新する。
【0104】
そして、ステップ2015では実バルブタイミングVVTの値のばらつきΔVVTをVVTMAX とVVTMIN の差として算出する。
ステップ2017では、上記により算出したばらつきΔVVTの値が所定値ΔVVT0 より大きいか否かにより係止異常の有無を判定する。すなわち、ベーン体110が中間位置に正常に係止されていれば、ベーン体110の位置の変動は小さく、実バルブタイミングの変動(ばらつき)も小さくなる。一方、中間位置に係止されるべき条件であるにもかかわらず、ベーン体110が正常に係止されていない場合にはベーン体110の位置は変動し実バルブタイミングのばらつきも大きくなる。
【0105】
そこで、ステップ2017でΔVVT≧ΔVVT0 であった場合には係止異常が生じたとして、ステップ2019で異常フラグXFの値が1(異常)にセットされる。また、ΔVVT<ΔVVT0 であった場合にはステップ2021でフラグXFの値は0にセットされる。
これにより、中間位置係止異常の有無をフラグXFの値に基づいて判定することが可能となる。
(10)第10の実施形態
次に、本発明の別の実施形態について説明する。本実施形態では、例えば第9の実施形態等により中間位置係止異常が検出された場合には、OCV25のデューティー比を0%に設定し遅角油圧室123のみに油圧を供給する。これにより、ベーン体110は最大遅角位置に回動し、遅角油圧室123内の油圧によりハウジング100の仕切壁103に押圧されるため、ベーン体110は最大遅角位置に固定されるようになる。このため、中間係止異常時にもバルブタイミングが安定し、機関の運転が不安定になることが防止される。
【0106】
なお、中間係止異常が生じるのは、油温が低くバルブタイミングのフィードバック制御が安定しない状態においてであるが、上記のOCV25のデューティー比を固定することにより確実にベーン体110を最大遅角位置に固定することが可能となる。
図21は、本実施形態の中間係止異常発生時の制御を示すフローチャートである。本操作は、ECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
【0107】
図21においてルーチンがスタートすると、ステップ2101では、図20の異常フラグXFの値が1にセットされているか否かを判定する。そして、XF=1の場合にはステップ2103に進み、OCV25のデューティー比を0%に設定する。これにより、遅角油圧室123には作動油が供給され、ベーン体110が最遅角位置に固定される。また、ステップ2101でXF≠1であった場合には、現在係止異常が生じていないか、又は現在油温が所定値T0 に到達してバルブタイミングのフィードバック制御が可能な状態であるので、ステップ2103を実行することなく操作を終了する。これにより、中間位置係止異常が生じた場合にも、バルブタイミングの変動により機関運転状態が不安定になることが防止される。
(11)第11の実施形態
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
【0108】
例えば、前述の第3の実施形態(図9、図10)のように中間位置ロックピン230が機関始動時の油圧が低いときにのみベーン体110を中間位置に係止し、始動中または始動後に進角油圧室または遅角油圧室の一方の油圧が上昇すると係止を解除するようにされている場合には、油温上昇後通常のバルブタイミング制御が行なわれているときに、中間位置ロックピン230が誤作動してベーン体110を中間位置に係止してしまう場合が生じ得る。
【0109】
第3の実施形態では、油温が上昇すると進角制限ピン250による中間位置ロックが解除され通常のバルブタイミングの制御が行なわれるが、進角制限ピン250はOSV240により確実に係止解除状態に保持されるのに対して、中間位置ロックピン230は油圧室121と123との油圧のみにより解除状態に保持されるため、油圧室121、123内の油圧が変動すると本来作動すべきでないときに誤作動してベーン体110を中間位置に係止してしまう場合が生じる。
【0110】
例えば、通常のバルブタイミング制御中にバルブタイミングを進角または遅角中にはベーン体110は中間位置を通過する場合がある。進角または遅角中には油圧室の一方に作動油が供給され他方からは作動油が排出される。このため、作動油が供給される側の油圧室からベーン体とハウジングとの摺動部のクリアランスを通って他方の油圧室へのリークが生じやすくなる。このリーク量は進角油圧室と遅角油圧室との圧力差に応じて増大するため、進角または遅角操作実行中に一時的に大きくなる場合があり、リーク量の増大が生じると作動油が供給されている側の油圧も低下してしまい、結果的に両方の油圧室の油圧が低下する場合が生じる。ところが、このような両方の油圧室の油圧低下がベーン体110の中間位置通過時に生じると中間位置ロックピン230は係合解除位置を維持できず、中間位置通過時に中間位置ロック孔231と係合してしまう可能性がある。このように進角または遅角中に中間位置ロックピン230の誤作動が生じると、機関のバルブタイミングは目標バルブタイミングに到達することができず機関性能の低下が生じる問題がある。
【0111】
そこで、本実施形態ではECU30はバルブタイミング制御中にベーン体110が中間位置を通過する際にはOCV25のデューティー比を50%付近の値に設定するようにしている。デューティー比が50%付近に設定されると、OCV25からは進角油圧室121と遅角油圧室123との両方に作動油が供給されるようになり、両方の油圧室の油圧が上昇する。このため、ベーン体110の中間位置通過時には中間位置ロックピン230は確実に係合解除位置に保持されるようになり、誤作動が防止される。
【0112】
図22は、本実施形態の中間位置ロックピン230誤作動防止操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行なわれる。
図22の操作において、ステップ2201では、現在の機関実バルブタイミングVVT及び油温Tが読み込まれる。そして、ステップ2203では、現在油温が所定値T0 以上になっているか否かが判定される。所定温度T0 は第3の実施形態おいて、進角制限ピン250による中間位置の係止が解除される温度である。ステップ2203でT<T0 であった場合には現在進角制限ピン250による中間位置係止実行中であり誤作動防止操作の必要はないため、直ちに本操作は終了する。
【0113】
一方、ステップ2203でT≧T0 であった場合には、現在機関バルブタイミングのフィードバック制御が行なわれているため、ステップ2205に進み、現在ベーン体110が中間位置にあるか否かが判定される。ステップ2205において、VVT1 ≦VVT≦VVT2 の範囲は、中間位置ロックピン230と中間位置ロック孔231とが係合可能なベーン体位置に対応するバルブタイミング範囲である。
【0114】
ステップ2205において否定判定がなされた場合には、現在ベーン体110は中間位置にないためステップ2207で通常のバルブタイミングフィードバック制御が行なわれる。このとき、OCV25のデューティー比DRは目標バルブタイミングと実バルブタイミングVVTとの偏差に基づくフィードバック制御により設定される。
【0115】
また、ステップ2205で肯定判定された場合、すなわち現在ベーン体110が中間位置にある場合には、次にステップ2209と2213で目標バルブタイミングと実バルブタイミングとに基づいて現在バルブタイミングの進角操作または遅角操作のいずれかが実行されているかが判定され、進角操作実行中の場合にはステップ2211でOCV25のデューティー比DRが50+α(%)に設定され、遅角操作実行中の場合にはステップ2215でデューティー比DRは50−α(%)に設定される。これにより、ベーン体110の中間位置通過の際、OCV25のデューティー比Rは進角中であれば50%よりやや大きい値に、また、遅角中であれば50%よりやや小さい値に設定される。このため、ベーン体110の中間位置通過時には進角油圧室121と遅角油圧室123との両方の油圧室に作動油が供給され両方の油圧室内の油圧が上昇する。これにより、中間位置ロックピン230は係合解除位置に確実に保持されるようになる。なお、上記αの値は正の値とされるが、αを過度に大きく設定すると油圧室の圧力差が大きくなるため中間位置ロックピンの誤作動が生じやすくなる。また、逆にαを過度に小さく設定すると中間位置通過時のバルブタイミング変化速度が遅くなるため、αの値は実際には実験等により適宜な値に設定することが好ましい。
【0116】
【発明の効果】
上述のように、各請求項に記載の発明によれば、内燃機関のバルブタイミング制御装置において、機関性能の低下を最小に抑制し、しかもバルブタイミング調節範囲を狭めることなく作動油温度が上昇するまでの間のバルブタイミング不安定を防止することが可能となるという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用内燃機関に適用した実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】図1の可変バルブタイミング機構の構成を説明する図である。
【図3】図1の可変バルブタイミング機構の構成を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の構成を説明する略示図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の作動状態を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の作動状態を説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の構成を説明する略示図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の作動状態を説明する図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の構成を説明する略示図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の作動状態を説明する図である。
【図11】本発明の第4の実施形態の構成を説明する略示図である。
【図12】本発明の第5の実施形態の構成を説明する略示図である。
【図13】本発明の第5の実施形態の作動状態を説明する図である。
【図14】本発明の第6の実施形態の構成を説明する略示図である。
【図15】本発明の第6の実施形態の作動状態を説明する図である。
【図16】本発明の第7の実施形態の動作原理を説明する図である。
【図17】本発明の第7の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の第8の実施形態の動作原理を説明する図である。
【図19】本発明の第8の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の第9の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図21】本発明の第10の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図22】本発明の第11の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関
10…可変バルブタイミング機構
11…カムシャフト
25…オイルコントロールバルブ(OCV)
28…潤滑油ポンプ
30…制御回路(ECU)
100…ハウジング
103…仕切壁
110…ベーン体
111…ベーン
121…進角油圧室
123…遅角油圧室
230…中間位置ロックピン
231…中間位置ロック孔
240…オイルスイッチングバルブ(OSV)
Claims (11)
- 内部に放射状に形成された仕切壁を有するハウジングと、
前記仕切壁によりハウジング内に形成される区画を、進角油圧室と遅角油圧室とに区分する放射状ベーンを有し、前記ハウジング内部に回動可能に配置されたベーン体と、
前記進角油圧室と遅角油圧室とに供給する作動油圧力を制御する油圧制御装置とを備え、
前記ハウジングを内燃機関のカムシャフトとクランクシャフトとのうち一方に連結し、前記ベーン体を前記カムシャフトとクランクシャフトとのうち他方に連結し、前記進角油圧室に作動油を供給することにより前記内燃機関バルブタイミングが進角する方向に、前記遅角油圧室内に作動油を供給することにより前記内燃機関バルブタイミングが遅角する方向に、それぞれ前記ハウジングと前記ベーン体とを相対的に回動させる内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記作動油温度が予め定めた温度以下のときに前記ベーン体を前記ハウジングに対して、バルブタイミング最進角位置と最遅角位置との中間位置に係止する中間係止手段を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記ベーン体は内燃機関の吸気カムシャフトに連結されており、前記油圧室内の作動油圧力が予め定めた圧力より低いときに、前記ベーン体を前記ハウジングに対して、吸気バルブタイミングの最遅角位置近傍に係止する最遅角係止手段を備えた、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記中間係止手段は、前記ハウジングとベーン体とのうちの一方に形成された係合孔と、前記ハウジングとベーン体とのうちの他方に前記係合孔と係合可能に形成された係合部材とを備え、前記係合孔に前記係合部材を係合させることにより前記ベーン体を前記ハウジングに係止する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記係合孔は、前記ハウジングと前記ベーン体とが相対的に回動したときの前記係合部材の移動軌跡に沿った形状の長孔に形成され、該長孔の一方の端部は前記中間位置における前記係合部材位置と対応する位置に、他方の端部はバルブタイミング最遅角位置における前記係合部材位置と対応する位置に、それぞれ配置され、前記油圧制御装置は前記作動油温度が所定温度より低いときに前記進角油圧室に予め定めた圧力の作動油を供給する請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記中間係止手段は、機関停止動作中若しくは機関停止後に前記ベーン体を前記ハウジングに係止する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 更に、機関停止時に前記ハウジングとベーン体との相対回動範囲を前記中間位置から前記中間位置よりバルブタイミング進角側の予め定めた位置までの範囲に制限する制限手段を備え、
前記中間係止手段は、前記ハウジングとベーン体とのうちの一方に形成された係合孔と、前記ハウジングとベーン体とのうちの他方に前記係合孔と係合可能に形成された係合部材と、前記係合部材を前記係合孔に向けて付勢する手段とを備え、前記油圧制御装置は機関停止動作中にベーン体を前記制限手段により制限された範囲内になるように回動させる請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記油圧制御装置は機関停止動作中に前記ハウジングとベーン体との相対位置が前記制限手段により制限される範囲内になるように進角油圧室と遅角油圧室とに供給する作動油圧力を制御する、請求項6に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記油圧制御装置は、作動油温度に基づいて機関停止動作中に前記ベーン体が回動可能な回動量を演算する手段と、前記演算された回動量に基づいて機関停止前のアイドル運転時のバルブタイミングを設定する手段とを備えた請求項7に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 更に、前記中間係止手段により前記ハウジングとベーン体とが係止されているときの実バルブタイミングを検出するとともに、検出したバルブタイミングの変動が予め定めた値以上のときに、前記中間係止手段に異常が生じたと判定する異常検出手段を備えた、請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記油圧制御装置は、前記異常検出手段により中間係止手段に異常が生じたと判定されたときに、前記遅角油圧室に作動油を供給し前記ベーン体を機関バルブタイミングの最遅角位置に保持する請求項9に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 更に、前記進角油圧室と遅角油圧室との両方の油圧が予め定めた圧力より低いときに、前記ベーン体を前記中間位置に係止し、前記進角油圧室と遅角油圧室とのいずれか一方の内部の油圧が前記予め定めた圧力以上になったときに前記係止を解除する第2の中間係止手段を備え、
前記油圧制御装置は、前記第2の中間係止手段による係止が解除された状態で機関バルブタイミングを進角または遅角させる際に、前記ベーン体が前記中間位置を通過するときには前記進角油圧室と前記遅角油圧室との両方に作動油を供給する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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