JP2017137443A - ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムを含有するプラスチック基板材料 - Google Patents

ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムを含有するプラスチック基板材料 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えたポリイミドを提供する。【解決手段】本発明に係るポリイミドは、所定の式で表される繰り返し単位aと、所定の式で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、当該ポリイミド中の繰り返し単位aの含有率が0.1〜99モル%である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムを含有するプラスチック基板材料に関する。
現在、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の各種表示機器においてガラス基板が用いられている。ガラス基板は耐熱性が高く、線熱膨張係数が低く、透明性が高いという点において優れた材料である。一方、これらのディスプレイに対しては、軽量化およびフレキシブル化が求められており、ガラスに代わる材料が強く求められている。これらの要求を満足する材料として種々のポリイミド材料が検討されている。
さて、ポリイミドはその化学構造ゆえに高い耐熱性を有する。しかしながら、ポリイミドをガラスに代わる材料として用いる場合には下記の課題が存在する。
ポリイミドをガラスに代わる材料として使用する場合、とりわけ高精細な表示機器用に使用する場合には低い線熱膨張係数が必要となる。しかしながら一般のポリイミドフィルムは線熱膨張係数が低いとは言えず、使用することができる用途は限られている。
またポリイミドの多くは分子内および/または分子間の電荷移動に起因する着色を有する。それゆえポリイミドフィルムを高い透明性が必要なディスプレイ材料等に使用することは困難であった。
さらにポリイミドの多くは、溶剤に不溶であり、ポリイミド溶液の塗工プロセスを用いての均一なフィルム化が困難である。それゆえ、溶剤に可溶なポリイミド前駆体であるポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへと変換する方法が広く採用されている。
しかし、かかる方法によれば、ポリアミド酸からポリイミドへと変換する工程は、300℃以上での加熱を必要とし、大きな反応収縮を伴う。そのため、かかる方法では、無機材料基板との線熱膨張係数のミスマッチにより反りが生じるばかりでなく、副生する水によりフィルム欠陥が生じるという問題があった。
上記の課題に対し、例えば特許文献1および2には、可溶性であり、かつ透明なポリイミドが開示されている。
国際公開第2013/121917号(2013年8月22日公開) 特開2015−214597号公報(2015年12月3日公開)
しかしながら、上述のような従来技術は、優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度および優れた有機溶媒可溶性に加えて、低い厚み方向複屈折を有するポリイミドを実現するという観点からは、さらなる改良の余地がある。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えたポリイミドを実現することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリイミド分子中に所定の2種類の繰り返し単位を含有させ、上記繰り返し単位の組成比を特定の範囲にすることによって、優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度および優れた有機溶媒可溶性に加えて、低い厚み方向複屈折を有するポリイミドを調製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなるものである。
〔1〕下記式(1)で表される繰り返し単位aと下記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、当該ポリイミド中の繰り返し単位aの含有率が0.1〜99モル%であることを特徴とするポリイミド。
Figure 2017137443
(式(1)中、Xは4価の脂肪族基であり、Yはエステル基またはエーテル基であり、RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基である。)
Figure 2017137443
(式(2)中、Xは4価の脂肪族基であり、Xは2価の芳香族基である。)
〔2〕上記式(1)で表される繰り返し単位aが、下記式(3)で表されることを特徴とする、〔1〕に記載のポリイミド。
Figure 2017137443
(式(3)中、Xは4価の脂肪族基である。)
〔3〕上記式(2)で表される繰り返し単位bが、下記式(4)で表されることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のポリイミド。
Figure 2017137443
(式(4)中、Xは4価の脂肪族基である。)
〔4〕上記式(1)で表される繰り返し単位aが、下記式(5)で表され、上記式(2)で表される繰り返し単位bが下記式(6)で表されることを特徴とする、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載のポリイミド。
Figure 2017137443
Figure 2017137443
〔5〕〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載のポリイミドと有機溶媒とを含有することを特徴とするポリイミド溶液。
〔6〕〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載のポリイミドからなるポリイミドフィルム。
〔7〕上記ポリイミドフィルムの温度を100℃から200℃まで変化させた場合の平均線熱膨張係数が30ppm/K以下であることを特徴とする、〔6〕に記載のポリイミドフィルム。
〔8〕上記ポリイミドフィルムの膜厚が5〜30μmである場合に、波長400nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とする、〔6〕または〔7〕に記載のポリイミドフィルム。
〔9〕ガラス転移温度が300℃以上であることを特徴とする、〔6〕から〔8〕のいずれか1つに記載のポリイミドフィルム。
〔10〕厚み方向複屈折が0.04以下であることを特徴とする、〔6〕から〔9〕のいずれか1つに記載のポリイミドフィルム。
〔11〕〔6〕から〔10〕のいずれか1つに記載のポリイミドフィルムを含有することを特徴とする、プラスチック基板材料。
本発明は、優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えたポリイミドを提供することができるという効果を奏する。
実施例1に係るポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトル(FT−IRスペクトル)を示す図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらは本発明の一態様であり、本発明はこれらの内容に限定されない。本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
〔1.ポリイミド〕
本ポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位aと下記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、当該ポリイミド中の繰り返し単位aの含有率が0.1〜99モル%である。
Figure 2017137443
(式(1)中、Xは4価の脂肪族基であり、Yはエステル基またはエーテル基であり、RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基である。)
Figure 2017137443
(式(2)中、Xは4価の脂肪族基であり、Xは2価の芳香族基である。)
換言すれば、本ポリイミドは、上記式(1)で表される繰り返し単位aと上記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有する共重合体である。
上記構成によれば、上記繰り返し単位bにより、優れた透明性と、低い線熱膨張係数と、高いガラス転移温度とをポリイミド分子に付与することができる。さらに、上記繰り返し単位aにより、ポリイミドの厚み方向複屈折を低下させるとともに、ガラス転移温度と有機溶媒可溶性とを高めることができる。
したがって、上記構成によれば、優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えたポリイミドを提供することができる。
(1−1)テトラカルボン酸二無水物
上記繰り返し単位aおよびbには、下記式(7)で表されるテトラカルボン酸二無水物が導入されている。
Figure 2017137443
(式(7)中、Xは4価の脂肪族基である。)
上述のように、一般的に、ポリイミドの多くは分子内および/または分子間電荷移動に起因する着色を有する。透明なポリイミドを得るためには、これらの電荷移動を抑制する必要がある。ここでいう透明とは、外観上無色であり、波長400nmにおける光透過率が60%以上であることをいう。
上記電荷移動を抑制するための一つの手段は、ポリイミドの合成に用いられるモノマーであるテトラカルボン酸二無水物成分またはジアミン成分のいずれかまたは両方に、脂肪族骨格を導入することである。脂肪族骨格が導入されたテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。ポリイミド前駆体の重合の際に使用可能な脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(シス、シス、シス−1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物)、(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,4−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。これらの脂環式テトラカルボン酸二無水物を用いることにより、上記電荷移動が抑制されるため、上記ポリイミドは透明性が高く、着色が少ないものとなる。
上記脂環式テトラカルボン酸二無水物のうち、ポリイミドの物性および入手性の観点から下記式(8)で表される1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4−二無水物)が好ましい。
Figure 2017137443
繰り返し単位aおよびbが、脂肪族骨格として、上記式(8)に由来する構造を有する場合、本ポリイミドは、剛直かつ直線的な主鎖構造に起因して面内配向が促進され、線熱膨張係数が低下する。さらに、当該脂肪族骨格に起因して、透明性が向上するとともに厚み方向複屈折が低下する。
(1−2)繰り返し単位a
繰り返し単位aには、下記式(9)で表されるジアミンが導入されている。
Figure 2017137443
(式(9)中、Yはエステル基またはエーテル基であり、RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基である。)
上記ジアミンは、キサンテン構造およびフルオレン環を含んだスピロ構造を有する。そのため、繰り返し単位aを含有する本ポリイミドでは、全芳香族ポリイミドに比べて分極率の低い半脂環式構造の主鎖が面内配向する一方、キサンテン構造によって回転が束縛された分極率の高いフルオレン環が膜厚方向に配向する。これにより、本ポリイミドにおいては、高いガラス転移温度と、優れた透明性と、低い線熱膨張係数とを維持したまま、厚み方向複屈折をより低下させることができ、さらに、化学イミド化法が適用できる程の優れた有機溶媒可溶性をも付与することができる。
なお、本明細書において「有機溶媒可溶性」とは、有機溶媒への可溶性(溶解性)を意味する。また、「溶液加工性」とは、有機溶媒への溶解性に基づく加工性を意味する。例えばポリイミドをフィルム化する際、ポリイミドを任意の有機溶媒に溶解して得られた溶液を支持体に塗布し、乾燥するという方法等が取られるため、有機溶媒可溶性および溶液加工性に優れることは非常に重要な特性である。本ポリイミドは、繰り返し単位aを含有しているがゆえに優れた有機溶媒可溶性を示すため、溶液加工性にも優れている。
また、本明細書において「厚み方向複屈折」とは、ポリイミドフィルムの面内屈折と面外屈折との差から求められる値を意味する。その具体的な測定方法については後述する。
本ポリイミドは、上記式(1)で表される繰り返し単位aが、下記式(3)で表されるものであってもよい。すなわち、繰り返し単位aは、下記式(3)で表されるものからなってもよいし、繰り返し単位aが下記式(3)で表されるものと、上記式(1)で表されるが、下記式(3)とは異なる構造を有するものとを含んでいてもよい。
Figure 2017137443
(式(3)中、Xは4価の脂肪族基である。)
繰り返し単位aが上記構成を有する場合、厚み方向複屈折を低下させるとともに、ガラス転移温度と有機溶媒可溶性とを向上させるという観点から、より好ましい。
本ポリイミド中の繰り返し単位aの含有率は、0.1〜99モル%である。本ポリイミド中の繰り返し単位aの含有率は、10〜90モル%であることが好ましく、20〜80モル%であることがより好ましく、30〜70モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが特に好ましい。
ポリイミドが繰り返し単位aのホモポリマーである場合、厚み方向複屈折が低下するが、線熱膨張係数に対する効果が不十分である。また、ポリイミドが後述の繰り返し単位bのホモポリマーである場合、ガラス転移温度の向上、線熱膨張係数の低下および光透過率の向上において、ある程度の効果を奏するが、厚み方向複屈折および有機溶媒可溶性に対する効果が不十分である。本ポリイミドは、繰り返し単位aおよび繰り返し単位bの両方を含有するがゆえに、優れた透明性、低い線熱膨張係数、高いガラス転移温度、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備える。
さらに、本ポリイミドは、上記式(1)で表される繰り返し単位aが、下記式(5)で表されるものであってもよい。すなわち、繰り返し単位aは、下記式(5)で表されるものからなってもよいし、繰り返し単位aが下記式(5)で表されるものと、上記式(1)で表されるが、下記式(5)とは異なる構造を有するものとを含んでいてもよい。
Figure 2017137443
繰り返し単位aが上記構成を有する場合、低い線熱膨張係数と低い厚み方向複屈折とを両立するという観点から、さらに好ましい。
式(9)で表されるジアミンの合成法は、特に限定されず、既知の合成方法を用いた任意の手段を用いることができる。
合成ルートの一例としては、式(10)で示されるように、所望の構造を有するスピロ化合物と酸クロライドとを反応させて前駆体となるジニトロ体を得て、得られたジニトロ体を触媒存在下において水素還元する方法等が挙げられる。
Figure 2017137443
なお、上記式(10)は、式(9)においてYがエステル基であり、RおよびRが各々水素原子であるジアミンの合成ルートを示しているが、RおよびRの少なくとも一方がメチル基であるジアミンも同様の合成ルートにて得ることができる。一方、式(9)においてYがエーテル基であるジアミンは、所望の構造を有するスピロ化合物と4−フルオロニトロベンゼン等のハロゲン化アリール誘導体とを塩基触媒下で反応させて前駆体となるジニトロ体を得て、そのジニトロ体を触媒存在下において水素還元する方法等で合成し得ることができる。また、式(9)においてYがエーテル基であり、RおよびRの少なくとも一方がメチル基であるジアミンも同様の合成ルートにて得ることができる。
(1−3)繰り返し単位b
繰り返し単位bには、下記式(11)で表されるジアミンが導入されている。
Figure 2017137443
(式(11)中、Xは2価の芳香族基である。)
当該ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、6,6'−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、1,4−ジアミノ−2−フルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−フルオロベンジジン、3−フルオロベンジジン、2,3−ジフルオロベンジジン、2,5−ジフルオロベンジジン、2,6−ジフルオロベンジジン、2,3,5−トリフルオロベンジジン、2,3,6−トリフルオロベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、3,3’−ジフルオロベンジジン、2,3’−ジフルオロベンジジン、2,2’,3−トリフルオロベンジジン、2,3,3’−トリフルオロベンジジン、2,2’,5−トリフルオロベンジジン、2,2’,6−トリフルオロベンジジン、2,3’,5−トリフルオロベンジジン、2,3’,6,−トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’−オクタフルオロベンジジン、2−(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2、6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
繰り返し単位bに導入されるジアミンとしては、トリフルオロメチル基を有するジアミンを用いることが好ましい。すなわち、繰り返し単位bにおいて、Xはトリフルオロメチル基を有する2価の芳香族基であることが好ましい。ポリイミドが溶媒に可溶であるためには、分子鎖間に溶媒分子が容易に侵入できる構造が必要である。トリフルオロメチル基は立体的に嵩高いため、トリフルオロメチル基の導入により高分子鎖の凝集および結晶化が妨げられることで、ポリイミドの分子鎖間に溶媒分子が容易に進入することができ、溶媒に可溶なポリイミドを得ることに寄与することができるものと考えられる。
この観点から、例えば、本ポリイミドは、上記式(2)で表される繰り返し単位bが、下記式(4)で表されるものであってもよい。すなわち、繰り返し単位bは、下記式(4)で表されるものからなってもよいし、繰り返し単位bが下記式(4)で表されるものと、上記式(2)で表されるが、下記式(4)とは異なる構造を有するものとを含んでいてもよい。
Figure 2017137443
(式(4)中、Xは4価の脂肪族基である。)
また、本ポリイミドは、上記式(2)で表される繰り返し単位bが下記式(6)で表されるものであってもよい。すなわち、繰り返し単位bは、下記式(6)で表されるものからなってもよいし、繰り返し単位bが下記式(6)で表されるものと、上記式(2)で表されるが、下記式(6)とは異なる構造を有するものとを含んでいてもよい。
Figure 2017137443
さらに、本ポリイミドは、上記式(1)で表される繰り返し単位aが上記式(5)で表され、上記式(2)で表される繰り返し単位bが上記式(6)で表されるものであってもよい。
繰り返し単位aおよびbが上記構成を有する場合、低い線熱膨張係数と低い厚み方向複屈折とを両立するという観点から、さらに好ましい。
(1−4)その他のジアミン
上述の繰り返し単位aおよびbにおいて用いられるジアミンは上述のとおりであるが、本ポリイミドにおいては、その他のジアミンを併用してもよい。その他のジアミンとしては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス[(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、trans−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
繰り返し単位aに導入される式(9)で表されるジアミンと繰り返し単位bに導入される式(11)で表されるジアミンとの合計量は、用いられるジアミンの総量を100モル%としたときに、10モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%の順に、後ろに記載したものほど好ましい。当該範囲であれば、繰り返し単位aに導入される式(9)で表されるジアミンおよび繰り返し単位bに導入される式(11)で表されるジアミンは、ポリイミドの有機溶媒可溶性および光透過率の向上、並びに線熱膨張係数および厚み方向複屈折の低下に寄与することができる。
〔2.ポリイミドの製造〕
本ポリイミドの製造方法は、特に限定されず、任意の方法を用いて得ることができる。例えば式(12)および(13)で示されるように、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとをN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」という場合がある)溶媒中において撹拌することにより、前駆体となるポリアミド酸を得て、さらに塩基性触媒存在下で無水酢酸を脱水試薬として用いる反応により、ポリイミドを得ることができる。
Figure 2017137443
Figure 2017137443
式(12)では式(1)に示す繰り返し単位aが生成され、式(13)では式(2)に示す繰り返し単位bが生成されている。用いられるジアミンの総モル数を100モル%とした場合に、式(9)に示すジアミンが0.1〜99モル%となるようにした上でテトラカルボン酸二無水物と反応させることによって、ポリイミド中の繰り返し単位aの含有量が0.1〜99モル%である本ポリイミドを製造することができる。
重合時に用いる溶媒は、ポリアミド酸およびポリイミドが均一に溶解できるものであればよく、反応を阻害するものでなければ、限定されるものではない。例えば上述のNMP以外にも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびヘキサメチルホスホルアミド等のアミド溶媒、並びにγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンおよびα−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒が好適に用いられる。
上述したように、本ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって得られるポリアミド酸をイミド化することにより製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。
まず、化学イミド化によるポリイミドの製造方法について説明する。上記式(12)および(13)に示す方法も、化学イミド化によるポリイミドの製造方法に該当する。本明細書における「化学イミド化」とは、脱水剤およびイミド化促進剤を用いてイミド化を行う方法である。具体的には、例えば、重合して得られたポリイミド前駆体ワニス、または重合時に用いる溶媒と同一の溶媒で適度に希釈したポリイミド前駆体ワニスに、攪拌下で脱水剤(例:有機酸の酸無水物)と、イミド化促進剤(例:触媒としての3級アミン)とを含有する化学イミド化試薬を滴下し、液温を0〜100℃、好ましくは20〜50℃として、0.5時間〜48時間攪拌する方法を挙げることができる。これによって、容易にイミド化反応を完結することができる。
上記化学イミド化において使用可能な脱水剤としては特に限定されないが、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸および無水フタル酸等が挙げられる。このうち、コストおよび後処理(除去)のしやすさの観点から無水酢酸が好適に用いられる。
またイミド化促進剤としては特に限定されず、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルアニリン等が使用可能であるが、安全性の観点から好ましくはピリジンが用いられる。
投入する化学イミド化試薬中の脱水剤の量は、特に限定されないが、ポリイミド前駆体の理論脱水量の1〜10倍モルの範囲であり、反応の完結、反応速度および後処理の観点から2〜5倍モルの範囲であることが好ましい。またイミド化促進剤の使用量は、特に限定されないが、反応の完結、反応速度および後処理(除去のしやすさ)の観点から脱水剤の量に対して0.1〜1倍モルの範囲であることが好ましい。
本ポリイミドは、熱的手法によるイミド化(熱イミド化)によっても得ることができる。本明細書における「熱的手法によるイミド化」とは、脱水剤およびイミド化促進剤を用いず、加熱することによってイミド化を行う方法である。具体的には、例えば、ポリアミド酸溶液を加熱することによってポリイミド溶液を得る方法を挙げることができる。ポリアミド酸溶液を調製するための溶媒としては、上述した重合時に用いる溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
熱的手法によるイミド化を行う場合の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量および加熱温度によって異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。
また、共沸溶媒を用いた共沸法を用いる場合は、ポリアミド酸溶液にトルエンまたはキシレン等の水と共沸する溶媒を加え、170〜200℃に昇温して、脱水閉環により生成してくる水を積極的に系外へ除去しながら、1〜5時間程度反応させればよい。
化学イミド化法または熱的手法によるイミド化の反応終了後、得られた反応溶液をポリイミド溶液として用いてもよいし、上記反応溶液をアルコール等の貧溶媒と混合してポリイミドを沈殿させ、必要に応じてアルコール等で洗浄を行ったのち、乾燥を行うことによってポリイミドを得ることができる。
すなわち、上記のようにしてイミド化した反応溶液を大量の貧溶媒中に滴下することで、ポリイミドを析出させ、繰り返し洗浄して反応溶媒、化学イミド化剤および触媒等を除去した後、減圧乾燥してポリイミドの粉末を得ることができる。
使用可能な貧溶媒としては、ポリイミドを溶解しないものであればよく、特に限定されないが、反応溶媒および化学イミド化剤との親和性、並びに乾燥による除去のしやすさの観点から水、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノール等、並びにこれらの混合溶媒が好適に用いられる。
ポリイミド、イミド化促進剤および脱水剤を含有するポリイミド溶液を貧溶媒中に投入する際、ポリイミド溶液の固形分濃度は、撹拌が可能な粘度であるならば特に制限されないが、析出したポリイミドの粒径を小さくするという観点から、濃度は希薄である方が好ましい。しかし、当該濃度が希薄すぎる場合、ポリイミドを析出させるために、大量の貧溶媒を使用することとなり、好ましくない。
これらの観点より、ポリイミド溶液の固形分濃度が15%以下、好ましくは10%以下の状態になるように希釈を行った後に、貧溶媒中にポリイミド溶液を投入することが好ましい。使用する貧溶媒量はポリイミド溶液の等量以上の量を使用することが好ましく、2〜3倍量がより好ましい。ここで得られたポリイミドは、少量のイミド化促進剤および脱水剤を含んでいるため、上記貧溶媒で数回洗浄することが好ましい。
こうして化学イミド化法または熱的手法によるイミド化によって得られたポリイミドを乾燥する方法としては、真空乾燥でも、熱風乾燥でもよい。ポリイミドに含まれる溶媒を完全に乾燥させるためには、真空乾燥が望ましく、乾燥温度は、残留溶媒の分解および残留溶媒による樹脂の劣化を防ぐ観点から80〜200℃の範囲が好ましい。
また乾燥時間は、ポリイミドに含まれる溶媒を完全に乾燥できる時間であれば任意であるが、製造プロセスコストの観点から15時間以下であることが好ましく、残留溶媒を十分に乾燥させるという観点から8時間以上であることが好ましい。
〔3.ポリイミド溶液〕
上記ポリイミドは、任意の方法を用いてフィルム化することができる。フィルム化する方法の一例としては、ポリイミドを任意の有機溶媒に溶解して得られたポリイミド溶液を支持体(基板等)に塗布し、乾燥する方法等が挙げられる。
本ポリイミド溶液は、上記ポリイミドと、有機溶媒とを含有する。上記ポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとを含有しているため、優れた透明性、低い線熱膨張係数および高いガラス転移温度に加えて、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えるという利点を有する。
上記構成によれば、溶解度の高いポリイミド溶液を得ることができる。そのため、上記ポリイミド溶液を用いてポリイミドフィルムを調製することができる。それゆえ、ポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへ変換するという、大きな反応収縮を伴う工程を取る必要がない。
したがって、支持体に反りが生じにくく、均一で、優れた透明性、低い線熱膨張係数および高いガラス転移温度に加えて、低い厚み方向複屈折を兼ね備えたポリイミドフィルムを提供することができる。
上記有機溶媒は特に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソランおよび1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトンおよびδ−バレロラクトン等のエステル系溶媒;メチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)およびブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類等を挙げることができる。使用される有機溶媒は上記の例の中から少なくとも1つ選択されることが好ましい。
またさらに、上記ポリイミドは、上記アミド系溶媒、ケトン系溶媒およびエーテル系溶媒の全てに溶解することが、塗工する支持体に合わせた溶媒をその都度選定できるという点で特に好ましい。なお、ポリイミド溶液の調製に用いるポリイミドは、上述した化学イミド化によって調製したポリイミドであってもよいし、熱的手法によるイミド化によって調製したポリイミドであってもよい。
この中で、使用される有機溶媒としては、塗工中、乾燥途上の塗膜が吸湿することにより、白化、不均一化および固化等の不具合を防止するという観点から、アミド系溶媒と、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒との混合溶媒が好ましく、更には、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒単体か、またはそれらの混合溶媒での使用がより好ましい。
その中でも、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン、エーテル系溶媒としてはメチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)およびメチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)等が特に好ましい溶媒として挙げられる。本ポリイミド溶液の濃度は、5〜40重量%が好ましく、塗工されたフィルムの平滑性を確保する観点から5〜20重量%であることがさらに好ましい。
ポリイミド溶液の粘度は塗工する厚みおよび塗工環境に応じて、随時選択されるが、0.1〜50Pa・sであることが好ましく、0.5〜30Pa・sであることがさらに好ましい。ポリイミド溶液の粘度が0.1Pa・s以上であれば、十分な溶液粘度を確保でき、その結果、十分な膜厚精度を確保することができる。また、ポリイミド溶液の粘度が50Pa・s以下であれば、膜厚精度を確保できるとともに、塗工後すぐに乾燥する部分が発生することによるゲル欠陥等の外観欠陥の発生をより確実に防ぐことができる。上記粘度は、23℃における動粘度を、E型粘度計を用いて測定したものである。
〔4.ポリイミドフィルム〕
本ポリイミドフィルムは、上記ポリイミドから得られるものである。すなわち、本ポリイミドフィルムは、上記ポリイミドからなるものである。上記ポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとを含有しているため、優れた透明性、低い線熱膨張係数および高いガラス転移温度に加えて、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えるという利点を有する。
したがって、均一で、優れた透明性、低い線熱膨張係数および高いガラス転移温度に加えて、低い厚み方向複屈折を兼ね備えたポリイミドフィルムを提供することができる。さらに、ポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへ変換するという、大きな反応収縮を伴う工程を取ることなく容易に製造することができる。
上記ポリイミドフィルムは、例えば上記ポリイミド溶液を支持体(基板等)に塗布(塗工ともいう)し、乾燥した後、支持体から剥離する方法によって製造することができる。
ポリイミドフィルムを製造する方法として、以下の一例を挙げることができる。すなわち、上記ポリイミドをDMAcに液温を60℃として溶解して、溶液を調製する。次に当該溶液をガラス基板上に流涎し、60℃で2時間、熱風乾燥機内で乾燥する。その後、上記ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間熱処理してフィルムを調製し、当該フィルムを基板から剥がし、減圧下、300℃で1時間熱処理することによってポリイミドフィルムを製造することができる。
上記ポリイミド溶液を塗工する支持体としては、ガラス基板もしくはSUS等の金属基板、または金属ベルト、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレートもしくはトリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム等が使用されるが、これらに限定されるものではない。現行のバッチタイプのデバイス製造プロセスに適応させるためには、ガラス基板を用いることが好ましい。
ポリイミドフィルム製造時の乾燥温度に関しては、プロセスに合わせた条件を選択することが可能であり、特性に影響を与えない限り、特に制限されない。
〔5.ポリイミドおよびポリイミドフィルムの物性〕
(5−1)重量平均分子量
本ポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、5,000〜500,000の範囲であることが好ましく、10,000〜300,000の範囲であることがより好ましく、30,000〜200,000の範囲であることがさらに好ましい。
重量平均分子量が5,000以上であれば、ポリイミドを塗膜またはフィルムとした場合により十分な強度を得ることができる。一方、重量平均分子量が500,000以下であれば、粘度の上昇が少なく、また、良好な溶解性を保つことができるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜またはフィルムを得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の値のことをいう。
(5−2)平均線熱膨張係数
試料の温度(T)をTからT(T<T)まで変化させることによって試料の長さ(L)がLからLまで変化したとき、長さの変化量(ΔL=L−L)の、室温(T)における試料の長さ(L)に対する比を、温度TとTとの間の熱膨張(εth)という。この熱膨張εthを温度差ΔT=T−Tで除した値を、温度TとTとの間の平均線熱膨張係数という。つまり、平均線熱膨張係数αは以下の式で表される。
α=ΔL/L/ΔT
本ポリイミドフィルムは、当該ポリイミドフィルムの温度を100℃から200℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数(以下、「CTE」という場合がある)が30ppm/K以下であることが好ましい。つまり、上記Tが100℃、上記Tが200℃である場合の平均線熱膨張係数が30ppm/K以下であることが好ましい。なお、CTEは負の値を示す場合もあるため、CTEが30ppm/K以下、とは、CTEの絶対値が30ppm/K以下であることを意味する。
上記CTEは、28ppm/K以下であることがより好ましく、27ppm/K以下であることがより好ましい。CTEの測定法については実施例の項で後述する。
(5−3)光透過率
本ポリイミドフィルムは、膜厚が5〜30μmである場合に、波長400nmにおける光透過率が80%以上であることが好ましい。
本ポリイミドは、上記繰り返し単位aに1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4−二無水物が導入されているため、ポリイミド分子内および/または分子間の電荷移動を効果的に抑制することができる。また、繰り返し単位aおよびbの構成単位であるジアミンも、透明性の高さに寄与しうる構造を有している。
そのため、本ポリイミドフィルムは、膜厚が5〜30μmである場合に、波長400nmにおける光透過率が80%以上であるという優れた透明性を示すことができる。
しかも、本ポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとを含有しているため、上記ポリイミドフィルムは、上述のように非常に低い線熱膨張係数を示すことができる。
したがって、透明性が高く、線熱膨張係数が低いポリイミドフィルムを提供することができる。
後述する実施例に示すように、上記ポリイミドフィルムは波長400nmにおける光透過率が80%以上を示し、全光線透過率も優れた値を示している。このように、本ポリイミドフィルムは、透明性に優れたポリイミドフィルムである。
当該光透過率の上限値は、理論上は100%となるため、特に限定されるものではないが、90%以下であってもよく、85%以下であってもよい。
上記「膜厚」とは、フィルム化したポリイミドの膜厚のことをいう。フィルム化の方法については上記〔4.ポリイミドフィルム〕で述べたとおりである。また、上記膜厚は、例えば接触式膜厚計を用いて測定することができる。光透過率の測定方法については実施例の項で後述する。
(5−4)ガラス転移温度
本ポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがより好ましい。上記ガラス転移温度は、ポリイミドの化学構造に起因して達成される特性であるが、上記ポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとを含有しているため、ガラス転移温度が300℃以上であり非常に耐熱性が高いことはもちろん、有機溶媒可溶性が優れ、透明性が高く、線熱膨張係数が低いポリイミドを提供することができる。
すなわち、本ポリイミドフィルムは、透明性が高く、線熱膨張係数が非常に低いという特性の他、ガラス転移温度が300℃以上であるという優れた耐熱性を示すこともできる。
後述する実施例でも、本ポリイミドフィルムは300℃以上のガラス転移温度を示すことが実証されている。ガラス転移温度の測定法については実施例の項で後述する。ガラス転移温度の上限値は、特に限定されるものではないが、500℃以下であってもよい。
(5−5)厚み方向複屈折
本ポリイミドフィルムは、厚み方向複屈折が0.04以下であることが好ましく、0.038以下であることがより好ましい。
一般的に、上述のような低い線熱膨張係数を実現する全芳香族ポリイミドを用いた場合はポリイミドフィルムの厚み方向複屈折が高くなる傾向にある。これに対し、本ポリイミドフィルムに用いられるポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとを含有している。そのため、本ポリイミドフィルムは、低い線熱膨張係数と、低い厚み方向複屈折とを両立することができる。
後述する実施例でも、本ポリイミドフィルムは0.04以下の厚み方向複屈折を示すことが実証されている。厚み方向複屈折の測定法については実施例の項で後述する。
〔6.ポリイミドの固定化物〕
本ポリイミドの固定化物とは、上記ポリイミドと、支持体とを含有し、上記支持体が表面に上記ポリイミドを備えているものをいう。上記ポリイミド溶液を支持体に塗布し、乾燥することによって、支持体の表面に上記ポリイミドが備えられる。すなわち、支持体の表面に上記ポリイミドが固定されたものである、ポリイミドの固定化物を得ることができる。
なお、上記支持体の「表面」とは、表面、裏面、側面の区別を厳密に行うものではなく、本明細書では、上記支持体の表面、裏面、側面のいずれであっても上記支持体の表面と称する。上記ポリイミド溶液は、上記支持体の全ての表面に備えられていることが好ましく、支持体自体が露出した部分がないことが好ましい。
本ポリイミドの固定化物(すなわち、上記ポリイミドが支持体に固定された、ポリイミドの固定化物)は、例えば、固定したポリイミドに、コーティングまたは無機膜の積層等の必要な加工を行う場合に好適に用いることができる。固定されたポリイミドは、優れた特性を有する上記ポリイミドであるため、例えば、上記固定化物において当該ポリイミドにコーティング等の必要な加工を施した後、ポリイミドを支持体から剥離し、後述する電子デバイス等に好適に使用することができる。
〔7.ポリイミドの成形等〕
上記ポリイミドは、そのまま製品または部材を作製するためのコーティングまたは成形プロセスに供してもよいが、フィルム状に成形された成形物にさらにコーティング等の処理を行い積層物として用いることができる。
コーティングあるいは成形プロセスに供するために、上記ポリイミドを必要に応じて溶剤に溶解または分散させ、さらに、光または熱硬化性成分、上記ポリイミド以外の非重合性バインダー樹脂、並びにその他の成分を配合して、ポリイミド樹脂組成物を調製してもよい。本明細書において「ポリイミド樹脂組成物」とは、上記ポリイミドと、その他の成分とを含有する組成物をいう。
上記ポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂組成物に加工特性および各種機能性を付与するために、その他に様々な有機または無機の低分子または高分子化合物が配合されていてもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子および/または増感剤等を用いることができる。
微粒子には、ポリスチレンおよびポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、並びにコロイダルシリカ、カーボンおよび層状珪酸塩等の無機微粒子等が包含され、それらは多孔質または中空構造であってもよい。また、上記低分子または高分子化合物の機能としては、顔料またはフィラー等が挙げられる。また、その形態は繊維等であってもよい。
上記ポリイミドフィルムは、その表面に金属酸化物または透明電極等の各種無機薄膜を形成していてもよい。これら無機薄膜の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えばCVD法、並びにスパッタリング法、真空蒸着法およびイオンプレーティング法等のPVD法等が挙げられる。
〔8.ポリイミドの利用〕
上記ポリイミドは、耐熱性および絶縁性等のポリイミド本来の特性に加えて、優れた透明性、低い線熱膨張係数および高いガラス転移温度に加えて、優れた有機溶媒可溶性および低い厚み方向複屈折を兼ね備えるという極めて有用な特性を示すことができる。
そのため、上記ポリイミドは、これらの特性が有効とされる分野および製品、例えば、基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイスまたは画像表示装置等に使用されることが好ましく、さらには現在ガラスまたは透明材料が使用されている部分の代替材料とすることがさらに好ましい。
例えば、上記ポリイミドは、上記ポリイミドを含有するプラスチック基板材料として利用することもできる。
これにより、ガラスにはない軽量性およびフレキシブル性を示し、かつ高精細であるという特性を備えた基板、画像表示装置、光学材料および電子デバイスを提供することができる。
上記基板は、TFT基板、フレキシブルディスプレイ基板および透明導電膜基板等である。電子デバイスは、タッチパネルおよび太陽電池等である。画像表示装置は、フレキシブルディスプレイ、液晶表示装置、有機EL、電子ペーパーおよび3−Dディスプレイ等である。光学材料は、光学フィルム等である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性値は、次の方法により測定した。
<赤外線吸収スペクトル:FT−IRスペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4100(日本分光社製)を用い、KBr法にて合成物の赤外線吸収スペクトルを測定した。また、以下のように得られたポリイミドフィルムの赤外線吸収スペクトルを測定した。すなわち、ポリイミド溶液を調製後、これをガラス基板上に流延し、60℃にて2時間、熱風乾燥器で乾燥した後、ガラス基板上に減圧下で200℃にて1時間乾燥させた。得られたフィルムをガラス基板から剥がして減圧下で250℃にて1時間処理し、ポリイミドフィルムを得た。
<プロトンNMRスペクトル>
フーリエ変換核磁気共鳴JNM―ECP400(JEOL製)を用いて、重水素化ジメチルスルホキシド中で合成物または化学イミド化したポリイミド粉末のプロトンNMRスペクトルを測定した。標準物質としてはテトラメチルシランを使用した。
<示差走査熱量分析(融点)>
合成物の融点は、示差走査熱量分析装置DSC3100(NETZSCH製)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。融点が高く融解ピークがシャープであるほど、高純度であることを示す。
<固有粘度>
溶質濃度0.5重量%のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液として調製したポリイミド前駆体またはポリイミドを、オストワルド粘度計(柴田科学製 粘度計番号1)を用いて30℃における還元粘度を測定した。この値をもって固有粘度とみなした。
<ポリイミド粉末の有機溶媒への溶解性試験>
ポリイミド粉末0.1gに対し、有機溶媒9.9g(溶質濃度1重量%)をサンプル管に入れ、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。溶媒として、クロロホルム(CF)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロペンタノン(CPN)、シクロヘキサノン(CHN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、m−クレゾール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(GBL)およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(Tri−GL)を使用した。評価結果は、室温で溶解した場合を++、加熱により溶解し、且つ室温まで放冷後も均一性を保持していた場合を+、膨潤および/または一部溶解した場合を±、不溶の場合を−と表示した。
<線熱膨張係数:CTE>
ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ポリイミドフィルムサイズを幅5mmおよび長さ15mmとし、荷重(静荷重)を膜厚(μm)×0.5g重として、NETZSCH製TMA4000を用いて測定した。上記ポリイミドフィルムの線熱膨張係数は、ポリイミドフィルムの温度を5℃/minで150℃まで一旦昇温(1回目の昇温)させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで昇温(2回目の昇温)させて2回目の昇温時のTMA曲線より計算した。線熱膨張係数は100〜200℃の間の平均値として求めた。
<ガラス転移温度:T
ポリイミドフィルムのガラス転移温度(T)は、ポリイミドフィルムサイズを幅5mmおよび長さ15mmとして、NETZSCH製TMA4000を用いて測定した。ポリイミドフィルムに対して、周波数0.1Hzにて正弦的に荷重(振幅15g重)をかけ、動的粘弾性測定を行い、損失エネルギーが最大となる温度をガラス転移温度(T)とした。
<光透過率:T400
紫外−可視分光光度計V−530(日本分光社製)を用い、波長200〜800nmにおけるポリイミドフィルムの光透過率を測定した。400nmの光透過率を透明性の指標(T400)として求め、透明性の評価を行った。また透過率が0.5%以下になったときの波長をCut−off波長とし、透明性の指標とした。
<黄色度(イエローネスインデックス):YI>
紫外−可視分光光度計V−530(日本分光社製)を用い、波長380〜780nmにおけるポリイミドフィルムの光透過率からVWCT−615型カラー診断プログラム(日本分光社製)によってJISK77373に準拠して黄色度(YI)を算出した。
<全光線透過率:T.T.およびヘイズ:Haze>
Haze Meter NDH4000(日本電色工業製)を用い、ポリイミドフィルムのJISK7361に準拠した全光線透過率(T.T.)とJISK7136に準拠したヘイズ(濁度)とを求めた。
<厚み方向複屈折:Δn>
偏光板付接眼鏡付Abbe屈折計4T(ATAGO社製)を用い、光源としてNaD線(589.3nm)を、中間液としてヨウ化メチレン溶液に硫黄を飽和させた溶液(nD=1.72〜1.80)およびテストピース(nD=1.72)を用いて、ポリイミドフィルムの面内屈折率ninと面外屈折率noutとを測定し、厚み方向複屈折Δn(=nin−nout)を求めた。
<熱分解温度:T
TG−DTA2000(NETZSCH社製)を用い、アルミパンに5mg〜10mg程度のポリイミドフィルムを精秤し、もう一方のアルミパンは空の状態でセットした。重量値をゼロにセットした後に窒素雰囲気中で昇温速度10℃/minで550℃まで昇温させ、5%重量減少時の温度を測定することで、熱分解温度(T )を測定した。
<機械特性>
TENSILON UTM−2(エー・アンド・デイ社製)を用い、ポリイミドフィルムを3mm×35mmに切り出して治具に固定し、チャック間距離が20mmになるように引張試験機にセットし、クロスヘッドスピード8mm/minで引張り試験を行い、最大破断伸度および引張弾性率の測定を行った。
〔合成例1〕
(ジニトロ体の合成)
200mLナスフラスコにスピロ[フルオレン−9,9’−(2’,7’−ジヒドロキシキサンテン)3.5936g(10.03mmol)を入れ、さらに脱水テトラヒドロフラン(THF)36.4mLと酸受容体であるピリジン5.0mLとを加えて室温で溶解させ、セプタムシールをして溶液Aを調製した。別のナスフラスコに4−ニトロベンゾイルクロリド5.6239g(32.78mmol)を脱水THF9.5mL中に溶解し、セプタムシールをして溶液Bを調製した。溶液Aを氷浴中で冷却し、撹拌しながら、溶液Bをシリンジで徐々に滴下して6時間撹拌し、その後12時間室温で撹拌した。反応終了後、白色沈澱物を濾別し、少量のTHF、水およびメタノールで洗浄した。ピリジン塩酸塩の除去は、洗液に硝酸銀水溶液を添加し、白色沈殿が見られなくなったことをもって確認した。洗浄した生成物を回収し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた生成物は白黄色粉末であり、収量は4.9770g(収率75.12%)であった。
得られた生成物については、フーリエ変換赤外分光光度計より、3074cm−1に芳香族C−H伸縮振動吸収、1521cm−1にニトロ基逆対称伸縮振動、1347cm−1にニトロ基対称伸縮振動、1263cm−1にエステル基伸縮振動、1152cm−1にエーテル逆対称伸縮振動を確認した。また、フーリエ変換核磁気共鳴を用いてプロトンNMR測定を行った結果、DMSO−d,δ,ppm;8.42(d,4H,J=8.5Hz),8.35(d,4H,J=9.0Hz),8.04(d,2H,J=7.6Hz),7.48(t,2H,J=7.5Hz),7.43(d,2H,J=2.4Hz),7.32(t,2H,J=7.5Hz),7.21(d,2H,J=8.7Hz),6.90(dd,2H,J=2.4Hz,8.6Hz),6.34(d,2H,J=8.6Hz)にシグナルが観測されたことから、目的物(ジニトロ体)であることを確認した。また示差走査熱量分析装置によって融点を測定したところ、296℃に鋭い融解ピークを示したことから、この生成物は高純度であることが示唆された。
(ジアミン体の合成)
300mL三口フラスコに合成したジニトロ体4.8900g(7.38mmol)を入れ、N,N−ジメチルホルムアミド100mL中に溶解した。そこへ、パラジウム/炭素(Pd10%)(約55%水湿潤品)0.4789gを入れ、水素ガスをバブリングさせながら100℃で8時間撹拌した。反応終了後、直ちに濾過してパラジウム/炭素を除去し、エバポレーターで濃縮した後、多量のイオン交換水に滴下して粗生成物を析出させた。得られた粗生成物を濾過し、析出物をメタノールで洗浄して100℃で12時間真空乾燥した。得られた粗生成物は灰色粉末であり、収量は3.8055g(収率85.6%)であった。この粗生成物をエタノール/トルエン(5/1=v/v)より再結晶し、濾過回収後100℃で12時間真空乾燥した。再結晶後の生成物は灰色粉末であり、収量は3.3015g(再結晶収率86.7%)であった。
得られた生成物については、フーリエ変換赤外分光光度計より、3480cm−1および3373cm−1にアミノ基N−H伸縮振動吸収、3058cm−1に芳香族C−H伸縮振動、1272cm−1にエステル基伸縮振動、1151cm−1にエーテル逆対称伸縮振動を確認し、ニトロ基の吸収が完全に消失したことを確認した。また、フーリエ変換核磁気共鳴を用いてプロトンNMR測定を行った結果、DMSO−d,δ,ppm;8.02(d,2H,J=7.7Hz),7.76(d,4H,J=8.8Hz),7.46(t,2H,J=7.4Hz),7.30(t,2H,J=7.5Hz),7.21(d,2H,J=2.3Hz),7.18(d,2H,J=7.5Hz),6.74(dd,2H,J=2.4Hz,8.6Hz),6.62(d,4H,J=8.7Hz),6.32(d,2H,J=8.6Hz),6.20(s,4H)にシグナルが観測されたことから、目的物(ジアミン体)であることを確認した。また示差走査熱量分析装置によって融点を測定したところ、286℃に鋭い融解ピークを示したことから、この生成物は高純度であることが示唆された。
〔実施例1〕
実施例1として、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4−二無水物(以後CBDAと称す)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以後TFMBと称す)および合成例1にて得られたジアミンを用いてポリイミドを製造した。なお、用いたTFMBおよび合成例1にて得られたジアミンのモル比は50:50であった。すなわち、実施例1では、繰り返し単位aとして上述の式(5)で表される繰り返し単位を有し、かつ、繰り返し単位bとして上述の式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを製造した。具体的な製造方法を以下に説明する。
(ポリアミド酸の重合)
70mL密閉容器に合成例1で合成したジアミン0.9039g(1.5mmol)と、TFMB0.4803g(1.5mmol)とを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)中に溶解した。ここにCBDA0.5883g(3mmol)を加え、30重量%の溶質濃度にて室温で撹拌後、適宜DMAcを加えて3日間撹拌した。最終的な固形分濃度は23.4重量%であった。得られたポリイミド前駆体であるポリアミド酸の固有粘度は1.07dL/gであった。
(化学イミド化)
70mL密閉容器にこのポリアミド酸溶液の半分を分取し、DMAcを用いて溶質濃度が10重量%となるように希釈後、1.55g(15mmol)の無水酢酸と0.6g(7.5mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくり加え、その後3重量%まで希釈して室温下24時間攪拌した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。
得られた白色沈殿をメタノールで十分に洗浄し、100℃で真空乾燥し、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドの固有粘度は1.63dL/gであった。イミド化の完結は、プロトンNMRおよびFT−IRによってポリアミド酸中のアミド結合の消失によって確認した。得られたポリイミドにおける繰り返し単位aの含有率は50モル%であった。得られたポリイミド(PI)粉末の各溶媒に対する溶解性評価を表1に示す。
(ポリイミドフィルムの作製)
得られたポリイミド粉末をDMAc中に室温で溶解して8重量%の溶液を調製した。これをガラス基板(松浪硝子工業製、スライドグラスS1215)上に流延し、60℃にて2時間、熱風乾燥器で乾燥した。その後ガラス基板上に減圧下で200℃にて1時間乾燥させた後、フィルムをガラス基板から剥がし減圧下で250℃にて1時間処理をしてポリイミドフィルムを作製した。得られたポリイミドフィルムの膜物性を表2および3に示す。また得られたポリイミドフィルムのFT−IRスペクトルを図1に示す。
〔比較例1〕
比較例1として、CBDAおよび合成例1にて得られたジアミンを用いてポリイミドを製造した。すなわち、比較例1では、繰り返し単位aとして上述の式(5)で表される繰り返し単位を有する一方、繰り返し単位bを有さないポリイミドを製造した。具体的な製造方法を以下に説明する。
(ポリアミド酸の重合)
70mL密閉容器に合成例1で合成したジアミン1.8079g(3mmol)を入れ、DMAc中に溶解した。ここにCBDA0.5883g(3mmol)を加え、30重量%の溶質濃度にて室温で撹拌後、適宜DMAcを加えて3日間撹拌した。最終的な固形分濃度は23.6重量%であった。得られたポリイミド前駆体であるポリアミド酸の固有粘度は1.53dL/gであった。
(化学イミド化)
70mL密閉容器にこのポリアミド酸溶液の半分を分取し、DMAcで溶質濃度10重量%となるように希釈後、1.55g(15mmol)の無水酢酸と0.6g(7.5mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくり加え、その後8重量%まで希釈して24時間攪拌した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。得られた白色沈殿をメタノールで十分に洗浄し、100℃で真空乾燥し、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドの固有粘度は1.75dL/gであった。イミド化の完結は、プロトンNMRおよびFT−IRによってポリアミド酸中のアミド結合の消失によって確認した。得られたポリイミド粉末の各溶媒に対する溶解性評価を表1に示す。
(ポリイミドフィルムの作製)
得られたポリイミド粉末をシクロペンタノン(以後CPNと称す)中に溶解し、8重量%の溶液を調製した。これをガラス基板(松浪硝子工業製、スライドグラスS1215)上に流延し、60℃にて2時間、熱風乾燥器で乾燥した。その後、ガラス基板上に減圧下で200℃にて1時間乾燥させた後、フィルムをガラス基板から剥がし、減圧下で250℃にて1時間処理をしてポリイミドフィルムを作製した。得られたフィルムの膜物性を表2および3に示す。
〔比較例2〕
比較例2として、CBDAおよびTFMBを用いてポリイミドを製造した。すなわち、比較例2では、繰り返し単位aを有さない一方、繰り返し単位bとして上述の式(6)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを製造した。具体的な製造方法を以下に説明する。
(ポリアミド酸の重合)
70mL密閉容器にTFMB0.9607g(3mmol)を入れ、DMAc中に溶解し、ここにCBDA0.5883g(3mmol)を加え、30重量%の溶質濃度にして室温で撹拌後、適宜DMAcを加えて3日間撹拌した。最終的な固形分濃度は23.6重量%であった。得られたポリアミド酸の固有粘度は1.64dL/gであった。
(化学イミド化)
70mL密閉容器にこのポリアミド酸溶液の半分を分取し、DMAcを用いて溶質濃度10重量%となるように希釈後、1.55g(15mmol)の無水酢酸と0.6g(7.5mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくり加え、撹拌したところ流動性がなくなり、DMAcを加えても解消されずゲル化した。
(ポリアミド酸フィルムの熱イミド化によるポリイミドフィルムの作製)
このポリアミド酸溶液をガラス基板(松浪硝子工業製、スライドグラスS1215)上に流延し、60℃にて2時間、熱風乾燥器で乾燥した。その後、ガラス基板上に減圧下で200℃にて1時間、続いて300℃にて1時間で熱的にイミド化した。そして、そのフィルムをガラス基板から剥がし、減圧下で300℃にて1時間処理をしてポリイミドフィルムを作製した。得られたフィルムの膜物性を表2および3に示す。
Figure 2017137443
Figure 2017137443
Figure 2017137443
なお、表2および3において、括弧内の数値は、各物性を測定した際の膜厚を示す。
<効果の説明>
比較例2のCBDAとTFMBとから合成されるポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が345℃と高く、線熱膨張係数が22.9ppm/Kと低く、400nmにおける光透過率も84.2%と透明性も優れていた。比較例2においては、剛直で直線的なポリイミド主鎖構造に起因して面内配向が促進されたことにより、線熱膨張係数が低下したと考えられる。一般的に低線熱膨張係数を有する全芳香族ポリイミドは厚み方向複屈折が高くなるが、本比較例2のポリイミドは厚み方向複屈折がやや低く、0.0477を示した。これは、CBDAの導入により、脂環式構造を主鎖に有するためと考えられる。しかしながら、0.0477という値は当該分野への適用にはまだ高い。そして比較例2には、化学イミド化法が適用できないことからもわかるように、ポリイミドの有機溶媒に対する溶解度が低過ぎるという問題もあり、更なる構造的改良が必要である。
一方、合成例1で合成したスピロ構造を有するジアミンを比較例2に対して共重合した実施例1のポリイミドは、高いガラス転移温度(364℃)、優れた透明性(T400=82.8%)と、低い線熱膨張係数(26.0ppm/K)を維持したまま、厚み方向複屈折を0.0378と低下させることに成功し、さらに化学イミド化法が適用できる程の優れた有機溶媒可溶性をも示した(表1)。このことは、従来困難とされていた「低い熱膨張係数」と「低い厚み方向複屈折」との両立が可能になったことを示している。この効果の発現メカニズムは、実施例1のポリイミドにおいては、全芳香族ポリイミドに比べて分極率の低い半脂環式構造の主鎖が面内配向する一方、キサンテン構造によって回転が束縛された分極率の高いフルオレン環が膜厚方向に配向した結果と考えられる。本実施例で示されたポリイミドフィルムは当該分野において有望な材料の一つとなり得る。
更なる厚み方向複屈折の低下を狙い、合成例1で合成したジアミンの導入率を100モル%、つまり繰り返し単位aのホモポリマーにした比較例1のポリイミドは、狙い通り厚み方向複屈折を0.0300まで低下させることができた。しかしながら、線熱膨張係数が39.0ppm/Kとやや高くなるため、当該分野へのホモポリマーの適用は、やや問題があると考えられる。
以上のことから、CBDA、TFMBおよび合成例1のジアミンから誘導されるポリイミド繰り返し構造単位の導入は、優れた透明性、低い線熱膨張係数、低い厚み方向複屈折、高いガラス転移温度、そして優れた有機溶媒可溶性の全てを同時に満たす新規なポリイミドフィルムの製造を可能にし、当該分野において有用な材料を提供することができる。
本発明にかかるポリイミドは、例えば、フィルムとして、基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイスまたは画像表示装置等に好適に使用される。よって、これらの産業分野に広く利用することが可能である。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位aと下記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、当該ポリイミド中の繰り返し単位aの含有率が0.1〜99モル%であることを特徴とするポリイミド。
    Figure 2017137443
    (式(1)中、Xは4価の脂肪族基であり、Yはエステル基またはエーテル基であり、RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基である。)
    Figure 2017137443
    (式(2)中、Xは4価の脂肪族基であり、Xは2価の芳香族基である。)
  2. 上記式(1)で表される繰り返し単位aが、下記式(3)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミド。
    Figure 2017137443
    (式(3)中、Xは4価の脂肪族基である。)
  3. 上記式(2)で表される繰り返し単位bが、下記式(4)で表されることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリイミド。
    Figure 2017137443
    (式(4)中、Xは4価の脂肪族基である。)
  4. 上記式(1)で表される繰り返し単位aが、下記式(5)で表され、上記式(2)で表される繰り返し単位bが下記式(6)で表されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミド。
    Figure 2017137443
    Figure 2017137443
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリイミドと有機溶媒とを含有することを特徴とするポリイミド溶液。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリイミドからなるポリイミドフィルム。
  7. 上記ポリイミドフィルムの温度を100℃から200℃まで変化させた場合の平均線熱膨張係数が30ppm/K以下であることを特徴とする、請求項6に記載のポリイミドフィルム。
  8. 上記ポリイミドフィルムの膜厚が5〜30μmである場合に、波長400nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項6または7に記載のポリイミドフィルム。
  9. ガラス転移温度が300℃以上であることを特徴とする、請求項6から8のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  10. 厚み方向複屈折が0.04以下であることを特徴とする、請求項6から9のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  11. 請求項6から10のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムを含有することを特徴とする、プラスチック基板材料。
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