JP2017126676A - 光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い開放端電圧を有する光電変換素子を提供する。【解決手段】光電変換素子10は、陽極40及び陰極80からなる一対の電極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられている、ペロブスカイト化合物を含む活性層50と、前記陰極及び前記活性層の間に設けられ、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層60とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
近年、ペロブスカイト化合物を活性層の材料として用いた光電変換素子が提案されている。
例えば、透明電極であるパターニングされたITO(インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide)層上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)を含む溶液を塗布することによって正孔注入層を形成し、形成された正孔注入層上にペロブスカイト化合物を含む液を塗布することによって活性層を形成し、形成された活性層上にフラーレン誘導体である[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)を含む液を塗布することによって電子輸送層を形成し、形成された電子輸送層上に、金属電極とペロブスカイト化合物を含む活性層との反応を防止し、空気に対する耐久性を高めることを目的としてZnOの電子輸送層を形成し、最後に陰極を蒸着することにより形成される光電変換素子が報告されている(非特許文献1参照。)。
Organic Electronics: physics, materials, applications、2015 26巻、14号、30ページ
しかしながら、上述の非特許文献1に記載された光電変換素子では開放端電圧が必ずしも十分とはいえない。
本発明の目的は、高い開放端電圧を有する光電変換素子を提供することにある。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[8]を提供する。
[1] 陽極及び陰極からなる一対の電極と、
前記陽極及び前記陰極の間に設けられている、ペロブスカイト化合物を含む活性層と、
前記陰極及び前記活性層の間に設けられ、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層と
を含む、光電変換素子。
[2] 前記酸化物半導体が、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、又はアルミニウムドープ酸化亜鉛である、[1]に記載の光電変換素子。
[3] 前記酸化物半導体が、酸化亜鉛ナノ粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子、又はアルミニウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子である、[2]に記載の光電変換素子。
[4] 前記電子輸送層が、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体を含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
Figure 2017126676
[式(4)中、
A環はフラーレン骨格を表す。
21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、又は下記式(5)で表される基を表す。
nは、1以上の整数を表す。
Figure 2017126676
(式(5)中、
mは1〜6の整数を表す。
qは1〜4の整数を表す。
Xは、水素原子、アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
mが複数ある場合、複数あるmは同一であっても異なっていてもよい。)]
[5] 前記陰極及び前記電子輸送層の間に設けられている電子注入層をさらに含み、該電子注入層がアルカリ土類金属酸化物を含む、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[6] 前記陰極が、活性層、電子輸送層から放出される物質に対する耐性を有する材料を含む、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[7] 前記陽極に接合する支持基板をさらに含む、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の光電変換素子。
[8] [1]〜[7]のいずれか1つに記載の光電変換素子を含む、有機光センサー。
本発明によれば、光電変換素子の開放端電圧をより高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態の光電変換素子の構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、前記陽極及び前記陰極の間に設けられている、ペロブスカイト化合物を含む活性層と、前記陰極及び前記活性層の間に設けられ、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層とを含む。
ここで図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の配置が概略的に示されているに過ぎない。
図1は、本発明の一実施形態の光電変換素子の構成を模式的に示す図である。ここでは任意の構成要素として支持基板、正孔注入層、電子注入層を備える構成例について説明する。
図1に示されるように、本発明の一実施形態によれば、光電変換素子10は、支持基板20上に設けられている。
光電変換素子10は、陽極30と、陽極30に接合するように設けられている正孔注入層40と、正孔注入層40に接合するように設けられているペロブスカイト化合物を含む活性層50と、活性層50に接合するように設けられており、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層60と、電子輸送層60に接合するように設けられている電子注入層70と、電子注入層70に接合するように設けられている陰極80とを含む。
以下、本発明の光電変換素子が備える構成要素について説明する。
(電極)
光電変換素子10は、陽極30及び陰極80からなる一対の電極を含んでいる。ここで陽極30及び陰極80についてそれぞれ説明する。
(1)陽極
陽極30は、単層の形態又は複数の層が積層された形態を取り得る。陽極30には、導電性の金属酸化物膜、金属薄膜、及び有機物を含む導電膜等が用いられる。陽極30としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、フッ素化スズ酸化物(フッ素ドープ酸化スズ)(FLUORINE Tin Oxide:FTO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)、金、白金、銀、銅、アルミニウム、ポリアニリン及びその誘導体、並びにポリチオフェン及びその誘導体等の薄膜が用いられる。これらの中でも陽極30としては、ITO、FTO、IZO、酸化スズの薄膜が好適に用いられる。
光電変換素子10においては、活性層50まで光を透過させる必要があることから、陽極30及び陰極80のうちの少なくとも一方の電極の光透過性を高くすることが好ましい。陽極は、好ましくは光透過性が高い電極(以下、透明電極という場合がある。)であり、より好ましくは上記好ましい例として挙げられた材料のうちで光透過性が高い材料で形成された電極である。
本発明の光電変換素子10において、光透過性が高い電極を陽極30とする場合には、陽極30は、例えば陽極30を構成する薄膜の厚さを、光が透過する程度の厚さにすることによって得ることができる。光透過性が高い陽極30の材料の例としては、導電性の金属酸化物、半透明の金属等が挙げられる。光透過性が高い陽極の材料の例としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO及びIZO等からなる群より選ばれる1種以上の導電性材料、NESA、金、白金、銀又は銅が用いられる。光透過性が高い陽極30は、酸化スズ、ITO、及びIZOからなる群より選ばれる1種以上の導電性材料を含む薄膜とすることが好ましい。光透過性が低い材料であっても、陽極30を構成する薄膜の厚さを、光が透過する程度の厚さにしたり、格子状の構成にしたりすることによっても高い光透過性を得ることができる。
(2)陰極
陰極80は、単層の形態又は複数の層が積層された形態を取り得る。陰極80の材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができる。陰極80の材料の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、スズ等の金属、それらの金属からなる群より選ばれる2種以上の金属を含む合金、炭素系材料(例えばカーボンブラック、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、グラファイト層間化合物等)が挙げられる。陰極80の材料である合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
本発明の光電変換素子10において、陰極80を光透過性が高い電極とする場合には、光透過性が高い陰極80の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。光透過性が高い陰極80の材料の例としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びこれらの複合体であるITO、IZO等の導電性材料、NESA、金、白金、銀、銅が挙げられる。陰極80の材料としては、ITO、IZO、酸化スズ等の導電性材料を用いることが好ましい。不透明な電極材料であっても、陰極80を構成する薄膜の厚さを、光が透過する程度の厚さにしたり、格子状の構成にしたりすることによっても高い光透過性を得ることができる。
本発明の光電変換素子10において、陽極30及び/又は陰極80の材料としては、後述する活性層50、電子輸送層60から放出される物質(例えば、ハロゲン化物イオンなど)に対する耐性を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、活性層50及び/又は電子輸送層60から放出される物質により電気的な特性が劣化したり、腐食したりすることがないか、又は電気的な特性の劣化及び腐食などを抑制することができる材料を用いることが好ましい。
上記の一実施形態においては、陰極80が、活性層50、電子輸送層60から放出される物質に対する耐性を有する材料を含むことが好ましい。活性層50及び/又は電子輸送層60から放出される物質に対する耐性を有する材料の例としては、金、白金、炭素系材料(例えばカーボンブラック、グラファイト)が挙げられる。
(活性層)
本発明の光電変換素子10が備える活性層50は、ペロブスカイト化合物を含む。上記の一実施形態においては、活性層50は正孔注入層40に接合するように設けられている。
本明細書において、ペロブスカイト化合物とは、ペロブスカイト構造を有する化合物をいう。ペロブスカイト化合物は、有機無機ハイブリッド構造のペロブスカイト化合物であることが好ましい。
本発明におけるペロブスカイト化合物は、下記式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
CHNH (1)
式(1)中、Mは2価の金属であり、3個のXはそれぞれ独立にF、Cl、Br又はIである。Mで表される2価の金属としては、例えばCu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Euが挙げられる。
(R10NH 4 (2)
式(2)中、R10は炭素原子数が2以上であるアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、1価の複素環基、又は1価の芳香族複素環基であり、Mは2価の金属(例、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu)であり、及び4個のXは、それぞれ独立に、F、Cl、Br、又はIである。
式(2)中、R10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。
10で表されるアルキル基としては、例えば、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、イコサニル基、ドコサニル基、トリアコンタニル基、テトラコンタニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
10で表されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、オレイル基、アリル基等が挙げられる。
10で表されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
10で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等が挙げられる。
本明細書において、1価の複素環基とは、複素環式化合物から、複素環に結合している水素原子1個を取り除いた原子団を意味し、1価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環式化合物から、芳香族複素環に結合している水素原子1個を取り除いた原子団を意味する。
10で表される1価の複素環基又は1価の芳香族複素環基としては、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジニル基、モルホリル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基、フタラジニル基が挙げられる。
HC(=NH)NH (3)
式(3)中、Mは2価の金属(例、Cu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Eu)であり、及び3個のXはそれぞれ独立に、F、Cl、Br又はIである。
ペロブスカイト化合物は、1種のみを活性層50の材料として用いてもよいし、複数種を用いてもよい。
本発明におけるペロブスカイト化合物は、式(1)で表される化合物であることが好ましい。式(1)で表される化合物のうち、CHNHPbI、CHNHPbCl、CHNHPbBr、CHNHSnI、CHNHSnCl、CHNHSnBr等であることがより好ましい。
活性層50は、ペロブスカイト化合物の他に、他の成分を含んでいてもよい。活性層50が含み得る他の成分の例としては、電子供与性化合物、電子受容性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線に対する安定性を増すための光安定剤、及び機械的特性を高めるためのバインダーが挙げられる。
(電子輸送層)
本発明の光電変換素子10は、陰極80及び活性層50の間に設けられ、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層60を備えている。
本発明の光電変換素子にかかる電子輸送層は、酸化物半導体と、フラーレン及び/又はフラーレン誘導体とが混合されて混在している混合層である。電子輸送層は、酸化物半導体とフラーレン及び/又はフラーレン誘導体とが層中において、可能な限り均一に分布している混合層とすることが好ましい。
酸化物半導体と、フラーレン及び/又はフラーレン誘導体との混合割合は、酸化物半導体の重量に対するフラーレン及び/又はフラーレン誘導体の重量(酸化物半導体:フラーレン及び/又はフラーレン誘導体)が、100:1から1:100であることが好ましく、解放端電圧(VOC)を向上させることができるので10:1から1:10であることがより好ましい。
ここで電子輸送層60を形成するための電子輸送性材料である酸化物半導体、フラーレン及びフラーレン誘導体についてそれぞれ説明する。
(1)酸化物半導体
本明細書において酸化物半導体とは、半導体性を有する金属酸化物を意味する。
酸化物半導体としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、FTO、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)が挙げられ、これらの中でも、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛又はアルミニウムドープ酸化亜鉛が好ましい。
用いられる酸化物半導体は粒子状であってもよく、いわゆるナノ粒子であってもよい。
粒子状の酸化物半導体の球相当の平均粒子径は、1nm〜1000nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。平均粒子径は、例えば、レーザー回折・散乱法、X線回折法によって測定することができる。
本明細書において「ナノ粒子」とは、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、光子相関法、誘導回折格子法のいずれかによる方法により測定された球相当の平均粒子径が、1nm〜100nmである粒子をいう。
(2)フラーレン及びフラーレン誘導体
電子輸送層60の材料として酸化物半導体と混合され得る、フラーレン及びフラーレン誘導体の例としては、C60フラーレン、C70フラーレン、炭素原子数が70よりも大きいフラーレン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
本明細書においてフラーレン誘導体とは、フラーレンに由来する骨格を有する化合物を意味する。
60フラーレンの誘導体の例としては、具体的には下記のフラーレン誘導体が挙げられる。
Figure 2017126676
フラーレン及びフラーレンの誘導体からなる群より選ばれる1種以上の化合物としては、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体が、光電変換素子10の耐久性を向上させることができるため好ましい。
Figure 2017126676
式(4)中、A環はフラーレン骨格を表す。R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよい1価の複素環基又は下記式(5)で表される基を表す。nは、1以上の整数を表す。
本明細書において、「置換基を有していてもよい」とはその化合物又は基を構成するすべての水素原子が無置換の場合、及び1個以上の水素原子のうちの一部又は全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様を含む。また基名に「置換」が付されている場合、かかる基が置換基を有していることを意味している。
Figure 2017126676
式(5)中、mは1〜6の整数を表す。qは1〜4の整数を表す。Xは、水素原子、アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。mが複数個ある場合、複数個あるmは互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(4)中、nは、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(5)中、mは2であることが好ましい。また式(5)中、qは2であることが好ましい。
式(5)中、Xは、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(4)で表されるフラーレン誘導体は、R21が、式(5)で表される基であることが好ましい。
A環で表されるフラーレン骨格としては、例えば、C60フラーレンに由来するフラーレン骨格、C70フラーレンに由来するフラーレン骨格、炭素原子数が70以上であるフラーレンに由来するフラーレン骨格が挙げられる。
A環で表されるフラーレン骨格は、所定の基が付加されたフラーレン骨格であってもよい。A環で表されるフラーレン骨格が、複数の基を有する場合、該複数の基は互いに結合していてもよい。A環で表されるフラーレン骨格が有していてもよい基としては、例えば、インダン−1,3−ジイル基、置換基を有していてもよいメチレン基が挙げられる。
A環で表されるフラーレン骨格が有し得る、置換基を有していてもよいメチレン基における置換基の好ましい例としては、アリール基、ヘテロアリール基、及びヒドロカルビルオキシカルボニルアルキル基が挙げられる。
A環で表されるフラーレン骨格が有し得る、置換基を有していてもよいメチレン基としては、アリール基及びヒドロカルビルオキシカルボニルアルキル基を有するメチレン基が好ましく、フェニル基及びアルコキシカルボニルプロピル基を有するメチレン基がより好ましく、フェニル基及びメトキシカルボニルプロピル基を有するメチレン基がさらに好ましい。
したがって、A環で表されるフラーレン骨格は、フェニルC61酪酸メチルエステル(C60PCBM)に由来するフラーレン骨格、フェニルC71酪酸メチルエステル(C70PCBM)に由来するフラーレン骨格であってもよい。
21、R22、R23及びR24で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
21、R22、R23及びR24で表される、「ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基」におけるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、シクロアルキル基であってもよい。
21、R22、R23及びR24で表される、「ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基」におけるハロゲン原子の例は、R21、R22、R23及びR24で表されるハロゲン原子の例と同様である。
21、R22、R23及びR24で表される「置換基を有していてもよいアリール基」におけるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環に結合している水素原子1個を除いた基を意味する。アリール基の炭素原子数は通常6〜60であり、6〜16であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基が挙げられる。アリール基中の水素原子は置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、シリル基、及び置換シリル基が挙げられる。置換基を有するアリール基としては、例えば、3−メチルフェニル基、トリメチルシリルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2,4,5−トリメトキシフェニル基、4−(ジフェニルアミノ)−フェニル基、2−(ジメチルアミノ)−フェニル基、3−フルオロフェニル基、及び4−(トリフルオロメチル)−フェニル基が挙げられる。
21、R22、R23及びR24で表される「置換基を有していてもよいアリールアルキル基」におけるアリールアルキル基の炭素原子数は、通常7〜61であり、7〜17であることが好ましく、7〜11であることがより好ましい。アリールアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。
21、R22、R23及びR24で表される「置換基を有していてもよい1価の複素環基」における1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、2,2’−ビチオフェン−5−イル基が挙げられる。
24が複数個存在する場合、複数個存在するR24は互いに結合していてもよい。R24が複数個存在する場合、すなわちnが2以上の整数を表す場合、複数個あるR24同士が結合している置換基としては、例えば、下記式(12)で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2017126676
式(12)中、pは1〜5の整数を表す。
pは、2〜4の整数であることが好ましく、3であることがより好ましい。上記式(6)で表される2価の基は、置換基を有していてもよい。
式(12)で表されるフラーレン誘導体の具体的な構造としては、下記の構造が挙げられる。下記の構造中の数値「60」及び「70」が付された環構造は、それぞれC60フラーレン骨格及びC70フラーレン骨格を示す。
Figure 2017126676
本発明の光電変換素子10の電子輸送層60の材料としては、フラーレン及びフラーレンの誘導体からなる群から選ばれる化合物を、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。よって、本発明の光電変換素子10の電子輸送層60の材料として、例えば、式(4)で表されるフラーレン誘導体を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
上記のとおり説明したフラーレン及びフラーレン誘導体は、従来公知の任意好適な方法により製造することができる。
式(4)で表されるフラーレン誘導体は、例えば、グリシン誘導体及びアルデヒドから生成するイミンから脱炭酸して生じるイミニウムカチオンと、フラーレンとの1,3−双極子環化付加反応を用いる方法により製造することができる。かかる方法は、例えば、特開2009−67708号公報、特開2009−84264号公報、特開2011−241205号公報、特開2011−77486号公報等に開示されている。
なお、式(4)で表されるフラーレン誘導体を製造するに際して、反応時間、反応温度などの反応条件、反応原料(例えば、グリシン誘導体、アルデヒド、及びフラーレン)の使用量を適宜調整することにより、式(4)で表されるフラーレン誘導体における「n」、すなわち基の数を調整することができる。
電子輸送層60は、酸化物半導体、フラーレン及びフラーレン誘導体以外の任意好適な他の電子輸送性材料を本発明の要旨を損なわない範囲で含み得る。他の電子輸送性材料は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。有機化合物である電子輸送性材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
前記有機化合物のうち、低分子化合物としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。
前記有機高分子化合物のうち、高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を含むポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
(光電変換素子が含み得る他の構成要素)
光電変換素子10は、既に説明した構成要素以外に特性を向上させるためのさらなる他の構成要素を含んでいてもよい。他の構成要素としては、上述の機能層以外のその他の機能層(例、その他の電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層、電子注入層、封止層)、(支持)基板などが挙げられる。
ここでは光電変換素子10が含んでいてもよい他の構成要素(支持基板20、正孔注入層40、正孔輸送層、その他の電子輸送層、電子注入層70、封止層)について説明する。
(1)支持基板
本発明の光電変換素子10は、通常、支持基板20に設けられる。支持基板20には、光電変換素子10を製造する際に化学的に変化しない基板が好適に用いられる。支持基板20としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、シリコン基板等が挙げられる。支持基板20の光透過性は特に限定されないが、本発明の光電変換素子10において、例えば、支持基板20側から光を取り込む場合、支持基板20としては光透過性の高い基板(透明基板)が好適に用いられる。他方、光透過性の低い支持基板20に光電変換素子10を製造する場合には、支持基板20に近い方の電極側から光を取り込むことができないため、支持基板20から遠い方の電極に、光透過性の高い電極を用いることが好ましい。このような電極を用いることにより、たとえ光透過性の低い支持基板20を用いたとしても、支持基板20側から遠い方の電極から光を取り込むことができる。
支持基板20は、陽極30に接合する支持基板20とすることが、高い光電効率を実現することができるので好ましい。この場合、陽極30を透明電極とし、支持基板20を透明基板とすることが好ましい。
(2)正孔注入層
本発明の光電変換素子10においては、陽極30と活性層50との間に正孔注入層40が設けられることが好ましい。正孔注入層40は、陽極30への正孔の注入を促進する機能を有する。正孔注入層40は陽極30に接合するように設けられることが好ましい。
正孔注入層40の材料の例としては、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物等の高分子化合物、アニリン、チオフェン、ピロール、芳香族アミン化合物等の低分子化合物、CuSCN、CuI等の無機化合物が挙げられる。正孔注入層40の材料としては、ポリチオフェン及びその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物、CuSCN並びにCuIなどが好ましい。また、正孔注入層40の材料である前記の高分子化合物の中では、光電変換素子10の寿命をより長くできるので、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物であることがより好ましい。
芳香族アミン化合物の具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017126676
前記芳香族アミン化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
芳香族アミン化合物の具体例としては、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含む下記式で表される芳香族アミン化合物が挙げられる。
Figure 2017126676
本明細書における「置換基」の例としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基、重合可能な置換基等が挙げられる。
重合可能な置換基とは、重合反応を起こすことにより2分子以上の分子間で結合を形成し、化合物を生成可能な置換基のことを表す。重合可能な置換基としては炭素−炭素多重結合を有する基(例、ビニル基、エチニル基、ブテニル基、アクリロイル基、アクリル酸エステルから水素原子1個が除かれた基、アクリルアミドから水素原子1個が除かれた基、メタクリロイル基、メタクリル酸エステルから水素原子1個が除かれた基、メタクリルアミドから水素原子1個が除かれた基、アレンから水素原子1個が除かれた基、アリル基、ビニルオキシ基、ビニルアミノ基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、シロールから水素原子1個が除かれた基、ベンゾシクロブテン構造を有する基等を挙げることができる)、小員環を有する基(例、シクロプロピル基を有する基、シクロブチル基を有する基、エポキシ基を有する基、オキセタン構造を有する基、ジケテン構造を有する基、エピスルフィド構造を有する基等)、ラクトン構造を有する基、ラクタム構造を有する基、及びシロキサン誘導体を含有する基等が挙げられる。また、上記基の他に、エステル結合、アミド結合を形成可能な基の組み合わせなども利用できる。このような基の組み合わせとしては、例えばヒドロカルビルオキシカルボニル基とアミノ基との組み合わせ、ヒドロカルビルオキシカルボニル基とヒドロキシ基との組み合わせなどが挙げられる。
芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物において、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位とは、芳香族アミン化合物から水素原子を2個取り除いた繰り返し単位を意味する。芳香族アミン残基を有する繰り返し単位の例としては、下記式(6)で表される繰り返し単位が挙げられる。芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は、少なくとも3個の置換基を有するフェニル基を含むことが好ましい。
Figure 2017126676
式(6)中、Ar、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立にアリーレン基(A1)又は2価の複素環基(B1)を表す。E、E及びEは、それぞれ独立に下記アリール基(A2)又は複素環基(B2)を表す。a及びbはそれぞれ独立に0又は1を表し、0≦a+b≦1である。
アリーレン基(A1):芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、ベンゼン環又は縮合環を含む2価の基、及び独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接的に又はビニレン等の基を介して結合した2価の基も含まれる。アリーレン基(A1)は置換基を有していてもよい。アリーレン基(A1)が有していてもよい置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基からなる群より選択される1種以上である。置換基を有しないアリーレン基の炭素原子数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。
2価の複素環基(B1):2価の複素環基(B1)は、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団であり、2価の複素環基(B1)は置換基を有していてもよい。
ここで複素環式化合物とは、環式構造を含む有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を含む化合物をいう。2価の複素環基(B1)が有していてもよい置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミノ基、アミド基、イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基からなる群から選択される1種以上である。置換基を有しない2価の複素環基の炭素原子数は通常3〜60程度である。
アリール基(A2):アリール基(A2)は、置換基を有しないか、又はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1個以上有していることが好ましく、アリール基(A2)は、より好ましくは3個以上の置換基を有するアリール基であり、さらに好ましくは3個の置換基を有するアリール基である。
複素環基(B2):複素環基(B2)は、置換基を有しないか、又はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基及びハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基を1個以上有していることが好ましく、該置換基の数と複素環のヘテロ原子の数の和が3以上であることがより好ましく、置換基の数と複素環のヘテロ原子の数の和が3であることがさらに好ましい。
アリール基(A2)は、置換基を3個以上有するフェニル基、置換基を3個以上有するナフチル基、又は置換基を3個以上有するアントラセニル基であることが好ましく、アリール基(A2)が下記式(7)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2017126676
式(7)中、Re、Rf及びRgは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。
芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物は、さらに、下記式(8)、式(9)、式(10)又は式(11)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
−Ar12− (8)

―Ar12−X11―(Ar13−X12―Ar14− (9)

−Ar12−X12− (10)

−X12− (11)
式(8)、式(9)、式(10)及び式(11)中、Ar12、Ar13及びAr14は、それぞれ独立にアリーレン基、2価の複素環基又は金属錯体構造を有する2価の基を示す。X11は、−CR=CR−で表される基、−C≡C−で表される基又は(SiR−で表される基を示す。X12は−CR=CR−で表される基、−C≡C−で表される基、−N(R)−で表される基、又は(SiR−で表される基を示す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を示す。R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はアリールアルキル基を表す。cは0〜2の整数を表す。dは1〜12の整数を表す。Ar13、R、R、R及びRがそれぞれ複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
前記式(6)で示される繰り返し単位の例としては、Ar、Ar及びArがそれぞれ独立に無置換のフェニレン基であって、a=1、b=0である繰り返し単位が挙げられ、具体的には下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2017126676
Figure 2017126676
前記式(6)で表される繰り返し単位の例としては、Ar、Ar及びArが置換基を有しないフェニレン基であって、a=0、b=1である繰り返し単位が挙げられ、具体的には下記式で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2017126676
Figure 2017126676
上記式中、それぞれMeはメチル基を示し、Prはプロピル基を示し、Buはブチル基を示し、MeOはメトキシ基を示し、BuOはブチルオキシ基を示す。
(3)正孔輸送層
光電変換素子10は、正孔輸送層を備えていてもよい。正孔輸送層は、正孔注入層40及び活性層50の間に設けられ、正孔を輸送し、かつ電子をブロックする機能を有する。正孔輸送層を設けることで、より光電変換効率が高い光電変換素子10とすることができる。正孔輸送層に含まれる材料の例としては、芳香族アミン残基を含む低分子化合物(既に説明した低分子の芳香族アミン化合物)、既に説明した芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物などが挙げられる。正孔注入層40に、芳香族アミン残基を含む低分子化合物、芳香族アミン残基を有する繰り返し単位を含む高分子化合物を用いる場合には、特にこのような正孔輸送層を設けなくてもよい。
(4)その他の電子輸送層
光電変換素子10は、酸化物半導体と、フラーレン又はフラーレン誘導体とを含む電子輸送層60の他に、1層以上のその他の電子輸送層を備えていてもよい。かかるその他の電子輸送層は、「酸化物半導体と、フラーレン又はフラーレン誘導体とを含む電子輸送層」よりも電極に近い側に設けることが好ましい。
別の電子輸送層は、酸化物半導体、フラーレン及びフラーレン誘導体以外の任意好適な他の電子輸送性材料を含み得る。別の電子輸送性材料は、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。有機化合物である電子輸送性材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
前記有機化合物のうち、低分子化合物としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体等が挙げられる。
前記有機化合物のうち、高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン残基を含むポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
(5)電子注入層
本発明の光電変換素子10においては、陰極80と電子輸送層60との間に、電子注入層70が設けられていてもよい。電子注入層70は、陰極80への電子注入を促進する機能を有する。電子注入層70は陰極80に接合するように設けられていることが好ましい。
電子注入層70の材料としては、従来公知の任意好適な材料を用いることができる。電子注入層70の材料としては、例えば、カルシウム、バリウム、LiF、KF、NaF、CsF、CaF、BaF、CsCO、アルカリ土類金属酸化物(例えばBaO、CaO、SrO、)が挙げられる。電子注入層70の材料としては、光電変換効率をより向上させることができるので、好ましくはBaO、SrOである。
(6)封止層
光電変換素子は、支持基板から遠い方の電極側に接合する形態又は接合しない形態の封止層を備えていてもよい。封止層は、水分を遮断する性質(水蒸気バリア性)又は酸素を遮断する性質(酸素バリア性)を有する材料を含む。封止層の材料としては、例えば、三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂などの有機材料、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン等の無機材料などが挙げられる。
<光電変換素子の製造方法>
以下に、本発明の光電変換素子の製造方法について説明する。
本発明の光電変換素子の製造方法は、陽極が形成された支持基板を用意する工程と、前記支持基板の前記陽極側に活性層を形成する工程と、前記活性層が設けられた前記支持基板の前記活性層側に、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層を形成する工程と、前記電子輸送層が設けられた前記支持基板の前記電子輸送層側に、陰極を形成する工程とを含む。
ここで本発明の光電変換素子の製造方法の一実施形態について、図1を参照して説明する。ここでは任意の構成要素として支持基板、正孔注入層、電子注入層を備える構成例の製造方法について説明する。
光電変換素子10の製造方法は、陽極30が形成された支持基板20を用意する工程と、前記支持基板20の前記陽極30側に正孔注入層40を形成する工程と、前記支持基板20の前記正孔注入層40側に活性層50を形成する工程と、前記活性層50が設けられた前記支持基板20の前記活性層50側に、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層60を形成する工程と、前記電子輸送層60が形成された支持基板20の前記電子輸送層60側に電子注入層70を形成する工程と、前記電子注入層70が設けられた前記支持基板20の前記電子注入層70側に、陰極80を形成する工程とを含む。
本発明の光電変換素子10は、光電変換素子10を構成する構成要素を支持基板20に順次に形成することにより作製し得る。かかる構成要素の形成方法には、種々の方法を採用することができ、該方法の中から、例えば、形成すべき構成要素の材料、下地となる構成要素の性質などに応じて、適宜最適な形成方法を選択し得る。
以下に光電変換素子10の製造方法に含まれる工程それぞれについて説明する。
(陽極が形成された支持基板を用意する工程)
光電変換素子10は上述のとおり陽極30又は陰極80が透明電極とされ、透明電極を透過した光を活性層50に取り込む。
陽極30は、支持基板20上において所定のパターン形状に形成される。陽極30が形成された支持基板20は、支持基板20に導電性材料を含む薄膜が形成された構造体を市場にて入手して支持基板20上において導電性材料を含む薄膜をパターン形成することにより用意してもよく、陽極30が予めパターン形成された陽極30付基板を入手することにより用意してもよい。
もちろん、本工程においては支持基板20のみを用意し、支持基板20に陽極30を形成する工程を実施することができる。
この場合、陽極30は、既に説明した導電性材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等によって支持基板20に薄膜を形成し、必要ならば任意好適な方法により薄膜をパターニングすることで形成することができる。
陽極30の材料としてポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物、導電性物質のナノ構造体(例、ナノ粒子、ナノワイヤ、ナノチューブ)を用いる場合には、前記有機物を含む塗布液(例、溶液、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液))、金属インク、金属ペースト又は溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陽極30を形成してもよい。
陽極30を形成するための塗布法の例としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
陽極30を塗布法により形成する際に用いる塗布液の溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒(例、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベゼン、tert−ブチルベンゼン等)、ハロゲン化飽和炭化水素溶媒(例、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等)、ハロゲン化不飽和炭化水素(例、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等)、エーテル溶媒(例、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等)、水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。また陽極30を塗布法により形成する際に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
塗布法による塗布液の塗布後、塗膜に対して加熱処理、風乾処理、減圧処理等を実施することによって溶媒を除く工程をさらに行うことが好ましい(以下、塗布法により実施することができる工程において同様である。)。
陽極30には、オゾンUV処理、コロナ処理、超音波処理等の表面処理を施してもよい。
(活性層を形成する工程)
活性層50の形成方法は特に限定されない。工程をより簡便にすることができるので塗布法によって形成することが好ましい。
上記の一実施形態において塗布法を用いる場合、活性層50は、例えば前記ペロブスカイト化合物と溶媒とを含む塗布液を正孔輸送層が形成された支持基板20の正孔輸送層側に塗布することにより形成することができる。
活性層50の材料として用いられるペロブスカイト化合物は、例えば、前躯体溶液を用いた自己組織化反応により合成することができる。
活性層50を形成するにあたり、塗布法に用いられ得る塗布液は、前記ペロブスカイト化合物を含む溶液であっても、活性層50の形成後にペロブスカイト化合物に自己組織化反応により変換し得る前駆体を含む溶液であってもよい。このような前駆体としては、例えば、CHNHPbI、CHNHPbBr、(CH(CHCH(CH)NHPbI(ここでnは5〜8の整数である。)、(CNHPbBrが挙げられる。
活性層50は、前記の方法以外でも、例えば金属ハロゲン化物を含む溶液を塗布して金属ハロゲン化物の膜を形成した後に、形成された金属ハロゲン化物の膜にハロゲン化アンモニウム若しくはハロゲン化アミンを含む溶液を塗布してこれらを反応させることによって形成するか、又は金属ハロゲン化物の膜をハロゲン化アンモニウム若しくはハロゲン化アミンを含む溶液に浸漬してこれらを反応させることによっても形成することができる。すなわち、上記の一実施形態の活性層50を形成する場合、具体的には、正孔輸送層にヨウ化鉛を含む溶液を塗布してヨウ化鉛の膜を形成し、その後ヨウ化鉛の膜にヨウ化メチルアンモニウムを含む溶液を塗布することによっても形成することができる。
前記ペロブスカイト化合物を含む塗布液、前記金属ハロゲン化物を含む溶液、前記ハロゲン化アンモニウムを含む溶液及び前記ハロゲン化アミンを含む溶液に含まれる溶媒としては、エステル類(例、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート等)、ケトン類(例、γ−ブチロラクトン、Nメチル−2−ピロリドン、アセトン、ジメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、メトキシプロパノール、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等)、グリコールエーテル(セロソルブ)類(例、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)、アミド溶剤(例、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ニトリル溶剤(例、アセトニトリル、イソブチロニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル等)、カーボネート溶剤(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、ハロゲン化炭化水素(例、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム等)、炭化水素(例、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは分岐構造若しくは環状構造を有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類の官能基(即ち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれかを2個以上有していてもよい。エステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類の炭化水素部分における水素原子は、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)で置換されていてもよい。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
活性層50を形成するための塗布液として、上記の説明では溶液を用いる例を説明した。しかしながら、塗布液はこれに限定されず、溶液であっても、溶液でなくともよく、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。
上記の金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム若しくはハロゲン化アミンを含む溶液を形成するにあたり、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、ハロゲン化アミンそれぞれに対し、溶媒はそれぞれ1重量倍以上10000重量倍以下とすることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下とすることがより好ましい。
前記ペロブスカイト化合物を含む塗布液、前記金属ハロゲン化物を含む溶液、前記ハロゲン化アンモニウムを含む溶液及び前記ハロゲン化アミンを含む溶液を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
(電子輸送層を形成する工程)
電子輸送層60は、工程をより簡便にできるので粒子状の酸化物半導体(ナノ粒子)を含む塗布液(ナノインク)を用いる塗布法により形成することが好ましい。上記の一実施形態において塗布法を用いる場合、既に説明した酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む組成物である塗布液、換言すると既に説明した電子輸送層60の材料と溶媒とを含む塗布液を活性層50が形成された支持基板20の活性層50側に塗布することにより電子輸送層60を形成することができる。
塗布法としては、既に説明した活性層50の形成工程において例示された塗布法と同様の方法が挙げられる。
なお、電子輸送層60を形成するための塗布液は、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)等の分散液であってもよい。塗布液としては、塗布液が塗布される活性層50などの層(膜)の機能を損なうことがない塗布液を用いることが好ましく、具体的には塗布液が塗布される層を溶解し難い塗布液を用いることが好ましい。
電子輸送層60を形成するための塗布液に好適に用いられる溶媒としては、アルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記で例示した溶媒を2種類以上含んでいてもよい。前記溶媒は、前記電子輸送性材料に対して1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
溶媒と、前記電子輸送性材料とを含む塗布液としては、溶媒と電子輸送性材料との混合液を孔径0.5μmの例えば含フッ素樹脂(例、テフロン(登録商標))製のフィルター等で濾過して得られた液状の組成物を用いることが好ましい。
(陰極を形成する工程)
陰極80は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等によって、形成することができる。
上記の一実施形態において塗布法を用いる場合、陰極80は、例えば導電性材料(電極材料)を含む塗布液を電子輸送層60が形成された支持基板20の電子輸送層60側に塗布することにより形成することができる。
陰極80を形成するための塗布法に用いることができる電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、導電性物質のナノ粒子、導電性物質のナノワイヤ、又は導電性物質のナノチューブを含む、エマルション(乳濁液)やサスペンション(懸濁液)などが挙げられる。また、導電性物質を含む塗布液、金属インク、金属ペースト、溶融状態の低融点金属等を用いて、塗布法によって陰極80を形成してもよい。塗布液等の塗布法としては、既に説明した活性層50の形成工程で例示した塗布法と同様の方法が挙げられる。
陰極80を塗布法により形成する際に用いる塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベゼン、tert−ブチルベンゼン等の炭化水素溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル溶媒、水、アルコール等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。また本発明に用いられる塗布液は、2種類以上の溶媒を含んでいてもよく、上記の溶媒を2種類以上含んでいてもよい。
(任意の構成要素(正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、封止層)の製造工程)
(1)正孔注入層を形成する工程
正孔注入層40を設ける上記の一実施形態によれば、正孔注入層40を形成する工程が実施される。正孔注入層40の形成方法は特に限定されないが、製造工程を簡便にできるので塗布法によって形成することが好ましい。塗布法を用いて正孔注入層40を陽極30に接合するように形成する場合、正孔注入層40は、例えば上記の正孔注入層40の材料と溶媒(媒体)とを含む組成物である塗布液を陽極30が形成された支持基板20の陽極20側に塗布することにより形成することができる。
既に説明した正孔注入層40の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法の例は、上記の陽極30の形成方法において説明された塗布法の例及び好ましい例と同様である。
正孔注入層40を形成するための塗布液に含まれる溶媒としては、既に説明した陽極30を形成するための塗布液に用いられる溶媒と同様の溶媒が挙げられる。溶媒は、2種類以上を含んでいてもよく、上記のとおり例示された溶媒を2種類以上含んでいてもよい。前記溶媒は、前記正孔注入層40の材料に対し、1重量倍以上10000重量倍以下であることが好ましく、10重量倍以上1000重量倍以下であることがより好ましい。
(2)正孔輸送層を形成する工程
光電変換素子10が正孔輸送層を備える場合には、光電変換素子10の製造方法は、正孔輸送層を形成する工程を含んでいてもよい。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されないが、工程をより簡便にすることができるので塗布法によって形成することが好ましい。
正孔輸送層の形成に塗布法を用いる場合、例えば、正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を正孔注入層40が形成された支持基板20の正孔注入層40側に塗布することにより正孔輸送層を形成することができる。
用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール、ケトン、炭化水素等が挙げられる。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシブタノール等が挙げられる。ケトンの具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、炭化水素の具体例としては、n−ペンタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン等が挙げられる。
上記の正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を塗布する方法の例としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を挙げることができ、これらの中でもスピンコート法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法が好ましい。
塗布法による塗布液の塗布後、形成された塗膜に対して加熱処理、風乾処理、減圧処理等することによって溶媒を除く工程を行うことが好ましい。
(3)電子注入層を形成する工程
光電変換素子10が電子注入層70を備える場合には、光電変換素子10の製造方法は、電子注入層70を形成する工程を含んでいてもよい。電子注入層70が形成される場合、電子輸送層60と陰極80との間に設けられる。電子注入層70は、通常、陰極80に接合するように形成される。
電子注入層70の形成方法としては、従来公知の任意好適な方法を用いることができる。電子注入層70の形成方法は、好ましくは真空蒸着法、スパッタ法、塗布法であり、より好ましくは真空蒸着法である。
(4)封止層を形成する工程
光電変換素子10が封止層を備える場合、光電変換素子10の製造方法は、封止層を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
封止層は、支持基板20から遠い方の電極に接合する形態で形成しても接合しない形態で形成してもよい。封止層は、既に説明した封止層の材料の種類に応じた任意好適な方法で形成することができる。
封止層の形成方法としては、例えば、気相成膜法、スピンコート法、ディップ法、スプレー法が挙げられる。また、予め成形した層構造を封止材(接着材)により貼付してもよい。
<光電変換素子の用途>
本発明の光電変換素子は、太陽光等の光が照射されることにより、電極間に光起電力が発生し、太陽電池として動作させることができる。また太陽電池を複数集積することにより薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
また、本発明の光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明電極側から光を入射させることにより、光電流を流すことができ、光センサーとして動作させることができる。光センサーを複数集積することによりイメージセンサーとして用いることもできる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。しかしながら、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(組成物1の調製)
ヨウ化鉛368mgを1mLのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、70℃で攪拌することで完溶させ、組成物1を調製した。
(組成物2の調製)
ヨウ化メチルアンモニウム55mgを1mLの2−プロパノールに完溶させ、組成物2を調製した。
(組成物3の調製)
フラーレン類の誘導体として2重量部の下記式で表されるフラーレン誘導体(OMTOX)と溶媒としての100重量部のクロロベンゼンとを混合し完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して液状の組成物3を調製した。
Figure 2017126676
(組成物4の調製)
下記式で表される繰り返し単位からなる高分子化合物(シグマアルドリッチ社製Poly[bis(4−phenyl)(2,4,6−trimethylphenyl)amine]、average Mn 7000〜10000)を0.5重量部と、溶媒としての100重量部のクロロベンゼンとを混合し完溶させて、組成物4を調製した。
Figure 2017126676
(組成物5の調製)
酸化亜鉛ナノ粒子(ZnO)をキシレンに分散させたナノインク(CIKナノテック製ZNX15WT%−G0、固形分15重量%、平均粒子径約34nm)をキシレンでさらに希釈して固形分2重量%の酸化亜鉛ナノ粒子分散液を得た。フラーレン誘導体として2重量部の下記式で表されるフラーレン誘導体(OMTOX)と、100重量部の前記酸化亜鉛ナノ粒子分散液とを混合し完溶させた(酸化亜鉛ナノ粒子:OMTOX=1:1(重量比))。次に、得られた溶液を孔径0.5μmの例えば含フッ素樹脂(例、テフロン(登録商標))のフィルターで濾過して液状の組成物5を調製した。
Figure 2017126676
(組成物6の調製)
フラーレン誘導体として2重量部の[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)(フロンティアカーボン社製E100)と、溶媒として100重量部のクロロベンゼンとを混合し完溶させた。次に、得られた溶液を孔径0.5μmの含フッ素樹脂(テフロン(登録商標))製のフィルターで濾過して液状の組成物6を調製した。
(組成物7の調製)
酸化亜鉛ナノ粒子をキシレンに分散させたナノインク(CIKナノテック製ZNX15WT%−G0、固形分15重量%、平均粒子径約34nm)をキシレンで希釈して固形分2重量%の酸化亜鉛ナノ粒子分散液を得た。フラーレン誘導体として2重量部の[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステル(C60PCBM)(フロンティアカーボン社製E100)と、組成物6を100重量部と、100重量部の前記酸化亜鉛ナノ粒子分散液とを混合し完溶させた(酸化亜鉛ナノ粒子:PCBM=1:1(重量比))。次に、得られた溶液を、孔径0.5μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過して液状の組成物7を調製した。
(組成物8の調製)
酸化亜鉛ナノ粒子をキシレンに分散させたナノインク(CIKナノテック製ZNX15WT%−G0、固形分15重量%、平均粒子径約34nm)を、ナノインクの2倍重量部のキシレンで希釈して液状の組成物8を調製した。
(組成物9の調製)
酸化亜鉛ナノ粒子の45重量%イソプロパノール分散液(HTD−711Z、テイカ社製、粒子径20〜30nm)を、当該分散液の10倍重量部のイソプロパノールで希釈して組成物9を調製した。
実施例1
(光電変換素子(太陽電池)の作製及びその評価)
光電変換素子の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚さは150nmであった。ITO薄膜が設けられているガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。次に、ITO薄膜が設けられているガラス基板に組成物4をスピンコート法により塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、厚さ約10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層が形成されたガラス基板をホットプレートで70℃に充分に加熱した後、加熱された基板をスピンコーターに載せ、スピンコート法により正孔注入層上に、70℃で加熱しつつ攪拌された組成物1を2000rpmの回転数で塗布し、窒素ガス雰囲気下で風乾させ、ヨウ化鉛の塗布膜を得た。その後、得られたヨウ化鉛の塗布膜に組成物2を滴下し、スピンコート法により6000rpmで塗布し、大気雰囲気中100℃で10分間乾燥させることで、活性層を形成した。得られた活性層の厚さは約350nmであった。
次に、得られた活性層上に組成物5をスピンコート法により塗布し、厚さ約50nmの電子輸送層を形成した。その後、電子輸送層が形成されたガラス基板に真空蒸着機によりBaO(シグマアルドリッチ社製)を厚さ2nmとなるように蒸着し、次いで、金を厚さ60nmとなるように蒸着して光電変換素子を得た。蒸着工程における真空度は、すべて1×10−3〜9×10−3Paとした。その後、窒素ガス雰囲気下において、UV硬化性エポキシ樹脂を用いて封止ガラスを光電変換素子の陰極側の面にUV硬化によって接着して封止した。こうして得られた光電変換素子の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の強度の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。
結果を下記表1に示す。なお、表1中の項目「電子輸送層(第1及び第2の電子輸送層)」には、電子輸送層に含まれる機能性材料、層の厚さが示されている。
光電変換効率は15.6%であり、Jsc(短絡電流密度)は19.8mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.13Vであり、FF(フィルファクター)は0.70であった。
実施例2
(光電変換素子の作製及びその評価)
実施例1における組成物5を組成物7に変えて厚さ約50nmの電子輸送層を得た以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の強度の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。
結果を下記表1に示す。光電変換効率は15.1%であり、Jsc(短絡電流密度)は19.5mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.10Vであり、FF(フィルファクター)は0.71であった。
比較例1
(光電変換素子の作製及びその評価)
実施例1における組成物5を組成物3に変えて膜厚さ約50nmの電子輸送層を得た以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の強度の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。
結果を下記表1に示す。光電変換効率は16.4%であり、Jsc(短絡電流密度)は20.6mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.08Vであり、FF(フィルファクター)は0.74であった。
比較例2
(光電変換素子の作製及びその評価)
実施例1における組成物5を組成物8に変えて厚さ約30nmの電子輸送層を得た以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の強度の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。
結果を下記表1に示す。光電変換効率は0.93%であり、Jsc(短絡電流密度)は4.7mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は0.84Vであり、FF(フィルファクター)は0.24であった。
比較例3
(光電変換素子の作製及びその評価)
実施例1における組成物5を組成物6に変えて厚さ約50nmの電子輸送層を得た以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。
結果を下記表1に示す。光電変換効率は15.3%であり、Jsc(短絡電流密度)は19.7mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.09Vであり、FF(フィルファクター)は0.72であった。
比較例4
(光電変換素子の作製及びその評価)
光電変換素子の陽極として機能するITO薄膜が形成されたガラス基板を用意した。ITO薄膜はスパッタリング法によって形成された。ITO薄膜の厚みは150nmであった。前記ITO薄膜を有するガラス基板をオゾンUV処理し、ITO薄膜の表面処理を行った。組成物4をスピンコート法により塗布し、大気中120℃で10分間加熱することにより、厚さ約10nmの正孔注入層を形成した。正孔注入層が形成されたガラス基板をホットプレートで70℃に充分に加熱後、加熱された基板をスピンコーターに載せ、正孔注入層が形成されたガラス基板に、70℃で加熱しつつ攪拌された組成物1を2000rpmの回転数でスピンコート法により塗布し、窒素ガス雰囲気下で風乾させ、ヨウ化鉛の塗布膜を得た。その後、ヨウ化鉛の塗布膜に組成物2を滴下し、6000rpmでスピンコート法により塗布し、大気雰囲気中100℃で10分間乾燥させることで、活性層を得た。得られた活性層の厚さは約350nmであった。
次に、活性層に組成物3をスピンコート法により塗布し、厚さ約50nmの第1の電子輸送層を形成した。その後、得られた電子輸送層に組成物9をスピンコート法により塗布し、厚さ約55nmの第2の電子輸送層を形成した。その後、得られた第2の電子輸送層に真空蒸着機によりBaO(シグマアルドリッチ社製)を厚さ2nmで蒸着し、次いで、金を厚さ60nmで蒸着した。蒸着工程時の真空度は、すべて1×10−3〜9×10−3Paとした。その後、窒素ガス雰囲気下において、UV硬化性エポキシ樹脂を用いて封止ガラスを光電変換素子の陰極側の面にUV硬化によって接着して封止した。こうして得られた光電変換素子の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた光電変換素子にソーラーシミュレーター(山下電装製、商品名YSS−80A:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm)を用いて一定の強度の光を照射し、発生する電流と電圧とを測定した。
結果を下記表1に示す。光電変換効率は7.10%であり、Jsc(短絡電流密度)は16.3mA/cmであり、Voc(開放端電圧)は1.07Vであり、FF(フィルファクター)は0.41であった。
Figure 2017126676
以上のように、酸化物半導体及びフラーレン誘導体を含む電子輸送層を備えた実施例1及び2の光電変換素子は、かかる態様の電子輸送層を備えていない比較例1〜4の光電変換素子と比較して、高い開放端電圧を有していた。
本発明の酸化物半導体、及びフラーレン又はフラーレン誘導体を含む電子輸送層を備えた光電変換素子によれば、高い開放端電圧を得ることができるため、光電変換素子の光電変換効率のさらなる向上に寄与する。
10 光電変換素子
20 支持基板
30 陽極
40 正孔注入層
50 活性層
60 電子輸送層
70 電子注入層
80 陰極

Claims (8)

  1. 陽極及び陰極からなる一対の電極と、
    前記陽極及び前記陰極の間に設けられている、ペロブスカイト化合物を含む活性層と、
    前記陰極及び前記活性層の間に設けられ、酸化物半導体と、フラーレン及びフラーレン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを含む電子輸送層と
    を含む、光電変換素子。
  2. 前記酸化物半導体が、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、又はアルミニウムドープ酸化亜鉛である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記酸化物半導体が、酸化亜鉛ナノ粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子、又はアルミニウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子である、請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記電子輸送層が、下記式(4)で表されるフラーレン誘導体を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    Figure 2017126676
    [式(4)中、
    A環はフラーレン骨格を表す。
    21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、又は下記式(5)で表される基を表す。
    nは、1以上の整数を表す。
    Figure 2017126676
    (式(5)中、
    mは1〜6の整数を表す。
    qは1〜4の整数を表す。
    Xは、水素原子、アルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
    mが複数ある場合、複数あるmは同一であっても異なっていてもよい。)]
  5. 前記陰極及び前記電子輸送層の間に設けられている電子注入層をさらに含み、該電子注入層がアルカリ土類金属酸化物含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記陰極が、活性層、電子輸送層から放出される物質に対する耐性を有する材料を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記陽極に接合する支持基板をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子を含む、有機光センサー。
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