以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。以下で説明する形状、数量、材質などは、説明のための例示であって、搬送レールを適用するエレベータの仕様により適宜変更が可能である。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、実施形態のカウンタウェイトの搬送レールを適用するエレベータ10において、搬送レール30を設置し、かつ、揚重装置12をカウンタウェイト13に接続した状態を示す断面図である。
エレベータ10は、昇降路11内で主ロープ16によって乗りかご17に連結されたカウンタウェイト13を備える。主ロープ16は、建物の上部の機械室18に配置される巻き上げ機19によって駆動され、乗りかご17及びカウンタウェイト13が昇降移動する。乗りかご17は、かごガイドレール20によって上下方向に案内される。カウンタウェイト13は、カウンタレール21によって上下方向に案内される。
図2は、カウンタウェイト13を、図1の右側から左側に見た図である。図1、図2では、エレベータ10の乗場22(図1)から昇降路11を見た場合の左右方向をXで示し、奥行き方向をYで示し、X、Yに対し直交する上下方向をZで示す。昇降路11の底部であるピット11aには、左右方向Xに離れて2本のカウンタレール21が立設される。カウンタレール21は、カウンタウェイト13のガイドレールに相当する。
カウンタウェイト13は、2本のカウンタレール21の間に配置され、ガイドシュー23によって各カウンタレール21に昇降可能に支持される。具体的には、カウンタウェイト13は、略矩形状の枠体14と、複数の錘15とを含み、枠体14と複数の錘15とが一体化されている。錘15は、直方体状であり、枠体14の内部に上下に積層される。枠体14は、鉄等の金属により形成される。錘15は、鉄等の金属、またはコンクリートにより形成される。
枠体14の上端面の左右方向X両端部と、下端面の左右方向X両端部とには、ガイドシュー23がボルト(図示せず)によって固定される。ガイドシュー23は、左右方向Xの外側に向く面に上下方向の溝(図示せず)が形成され、その溝内にカウンタレール21の上下方向の板部21aが挿入される。これによって、カウンタウェイト13の昇降移動が案内される。カウンタウェイト13の上端部には複数の主ロープ16(図1)が、ロッドを有するロープソケット(図示せず)を介して接続される。図2では主ロープの図示を省略する。
このようなカウンタウェイト13を有する構成では、既設のカウンタウェイト13を新規のカウンタウェイトに交換する場合に、既設のカウンタウェイト13を昇降路11内から乗場22側に搬出する必要がある。このとき、実施形態では、次に説明する搬送レール30を用いる。
また、カウンタウェイト13の左右方向Xにおける長さは、一般的に、乗場出入り口24の左右方向X長さより大きい。例えば、カウンタウェイト13の左右方向X長さが900mmである場合に、乗場出入り口24の左右方向X長さは800mmである。カウンタウェイト13の左右方向X長さが1200mmである場合に、乗場出入り口24の左右方向X長さは1000mmである。これにより、既設のカウンタウェイト13を乗場出入り口24から搬出するときには、カウンタウェイト13を水平方向である左右方向Xに対し斜めに傾けて乗場出入り口24を通過させる必要がある。搬送レール30は、搬送作業性を高めるために、カウンタウェイト13を乗場出入り口24において斜めに傾けて通過させる。
図1は、カウンタウェイト13の乗場22への搬出時の準備ステップにおける状態を示している。図3Aから図8を用いて搬送レール30を説明する。
図3Aは、搬送レール30がエレベータに設置された状態を模式的に示す斜視図である。図3Bは、乗場22側の壁を取り除いた状態で、搬送レール30を乗場22において斜め上側から斜め下側に見た斜視図である。図4は、搬送レール30の側面図である。図5は、図4のA−A断面図である。
搬送レール30は、枠体14と錘15とが一体化されたカウンタウェイト13(図2)を、昇降路11内と乗場22との間で搬送するために用いられる。搬送レール30は、左右方向Xに離れた2つのレール本体31a、31bと、複数の柱部35とを含む。搬送レール30の上端部が昇降路11内の2本のカウンタレール21に固定され、搬送レール30の下端部が乗場22の床面に配置される。搬送レール30は、梯子が下側に向かって徐々に水平方向に対し斜めに傾くように曲げられた形状を有する。
具体的には、搬送レール30の各レール本体31a、31bは、長尺な曲線形状を有するものであり、曲面状で長尺な底板32と、底板32の左右方向Xの外側端部から上側の略直角方向に連結された曲面状のガイド壁33とを有する。図1ではレール本体31a、31bを模式的に直線状で示している。ガイド壁33は、底板32の長手方向一端部(図3Aの上端部)から長手方向中間部にわたる部分に形成される。搬送レール30の長手方向他端部(図3Aの下端部)には、底板32及びガイド壁33のうち、底板32のみが形成される。レール本体31a、31bは、図3Bに示すように斜め上側から斜め下側に見た状態と、図4に示すように左側から右側に見た状態とのそれぞれで、円弧状に曲がっている。そして、レール本体31a、31bを奥行方向Yに対し直交する平面で切断した場合の断面形状において、2つのレール本体31a、31bの底板32の上面が一直線上に位置する。そして、レール本体31a、31bの長手方向一端部から長手方向他端に向かうにしたがって、その直線の左右方向Xに対する傾きが徐々に大きくなっている。
また、図4に示すように、側面視で2つのレール本体31a、31bにおいて、それぞれの曲り度合いは、右側のレール本体31aで左側のレール本体31bより大きくなっている。複数の柱部35は、2つのレール本体31a、31bの長手方向複数位置を連結する。各柱部35は、例えば平板状である。レール本体31a、31b及び柱部35は、鉄等の金属により形成される。
図6は、カウンタレール21側から乗場22側に向かって搬送レール30が傾く状態を、複数の断面で示す図である。図6(a)は、図4のE−E断面に相当し、図6(b)は、図4のF−F断面に相当し、図6(c)は、図4のA−A断面に相当する。2つのレール本体31a、31bは、図6(a)に示すように、上端部で底板32の上面が水平方向に沿っている。そして、下側に向かうほど右側のレール本体31bが左側のレール本体31aより下側に位置するように傾いて、上側から下側に向かって搬送レール30の傾きが徐々に大きくなっている。また、搬送レール30の傾きに関係なく、2つのレール本体31a、31bのガイド壁33の間隔はほぼ一定である。そして、搬送レール30の上端部での左右方向長さDaよりも乗場出入り口24での搬送レール30の左右方向長さDbが小さくなっている。
また、各レール本体31a、31bの上端部である長手方向一端部は、レール固定部36(図4)によってカウンタレール21の上下方向Z中間部に固定される。図7は、図4のB部拡大図である。図8は、図7のC−C断面図である。
レール固定部36は、ガイド壁33の長手方向一端部において、平板状の部分を長手方向と一致する奥行方向Yに伸ばすように形成された平板状の板部37と、2つのクリップ部材38とを含んでいる。より具体的には、板部37の左右方向X内側面の長手方向に離れた奥行方向Yの両端部に、2つのクリップ部材38がボルト及びナットでネジ結合される。そして、クリップ部材38の先端に形成された鍔部38aと板部37とで、カウンタレール21において、カウンタウェイト13(図2)より下側部分の乗場側端部(図7の右端部)及び反乗場側端部(図7の左端部)である奥行方向Y両端部が挟まれる。これによりレール固定部36が形成される。そして、左右方向X両側のレール本体31a、31bが、レール固定部36によって、2つのカウンタレール21の上下方向Z中間部にそれぞれ固定される。
また、レール本体31a、31bのそれぞれにおいて、長手方向一端部より下側に位置する長手方向他端部が乗場22の床面に配置される。そして、この状態で、2つのレール本体31a、31bのそれぞれが、下側に向かうほど水平方向に対する底板32の傾斜角度が大きくなるように傾斜する。これにより、左右方向Xにおいて、2つのレール本体31a、31bの間隔がカウンタレール21側から乗場22側に向かって徐々に小さくなる。ガイド壁33の最下端は、乗場出入り口24とほぼ同じ位置、または乗場22内に配置される。また、レール本体31a、31bのそれぞれの長手方向他端部と乗場22の床面との間には、ゴム等で形成される緩衝材60a、60b(図3B、図4)が配置される。これにより、レール本体31a、31bの乗場22上での位置ずれと、乗場22の床面の損傷とが防止される。
2つのレール本体31a、31bのうち、左側のレール本体31aは高い側のレール本体31aであるので、以下、上側レール本体31aと記載する。2つのレール本体31a、31bのうち、右側のレール本体31bは低い側のレール本体31bであるので、以下、下側レール本体31bと記載する。ガイド壁33は、底板32の長手方向のほぼ全長にわたって形成されてもよい。また、図4に二点鎖線で示すように、昇降路11のピット11a上に複数の支持柱61を立設するように固定し、各レール本体31a、31bを下側から支持柱61で支えることもできる。
また、図5に示すように、乗場出入り口24の左右方向寸法D1より乗場出入り口24での搬送レール30の左右方向長さD2が小さくなるようにする必要がある。このために、上側レール本体31aが下側レール本体31bより所定の高さH1以上に高くなるように、搬送レール30を乗場出入り口24で傾斜させる。例えば、乗場出入り口24の左右方向寸法D1が800mmであり、搬送レール30のガイド壁33の外側面の間隔L1が900mmである場合には、高さH1を幾何学的に算出される値以上の413mm以上とすることが好ましい。また、搬送レール30に配置されたカウンタウェイト13の形状によっては、乗場出入り口24において、カウンタウェイト13の右側面の上端U1が、下側レール本体31bのガイド壁33の外側面の上端U2より右側に位置する可能性がある。この場合には、その上端U1が上端U2に対して右側へはみ出る量を考慮して、ガイド壁33が乗場出入り口24に干渉しないように、搬送レール30の左右方向Xに対する傾きを大きくする。
図9から図12を用いて、搬送レール30で搬送するときのカウンタウェイト13を説明する。図9は、搬送時のカウンタウェイト13において、案内部材を取り付けた状態を示す図である。図10は、図9の下側から上側に見た図である。図11は、カウンタウェイト13において、搬送時に上側に配置される第1案内部材40の斜視図である。図12は、カウンタウェイト13において、搬送時に下側に配置される第2案内部材45の斜視図である。
搬送時のカウンタウェイト13では、上端部の左右方向両端部に第1案内部材40及び第2案内部材45が取り付けられ、下端部の左右方向両端部にも第1案内部材40及び第2案内部材45が取り付けられる。
図9から図11に示すように、第1案内部材40は、取付部材41及び第1ガイドローラ42を含む。取付部材41は、平板状の枠取付部41aと、枠取付部41aに対し直交する方向に連結された平板状の第1ローラ取付部41bとを有する断面L字形である。
第1ローラ取付部41bの左右方向X外側には、第1軸43によって第1ガイドローラ42が回転可能に支持される。枠取付部41aは、取付用のボルトを挿通するための複数の貫通孔Pを有する。
図2に示したように、カウンタウェイト13の使用時において、カウンタウェイト13の上端及び下端の左端部には、ガイドシュー23がボルト(図示せず)で取り付けられている。このため、カウンタウェイト13の搬送時には、枠体14の左端部からガイドシュー23を取り外した後で、枠体14のガイドシュー取付用の孔を用いて、枠体14に枠取付部41aをボルト及びナット(図示せず)を用いてネジ結合する。搬送時に第1ガイドローラ42は、上側レール本体31aに配置され、上側レール本体31aの底板32上で転がる。
また、図9、図10、図12に示すように、第2案内部材45は、取付部材46、第2ガイドローラ47及び第3ガイドローラ48を含む。取付部材46は、平板状の枠取付部46a及び第2ローラ取付部46bを有する。第2ローラ取付部46bは、枠取付部46aの左右方向X外側端部に、枠取付部46aに対し直交する方向に連結される。このとき、枠取付部46aは、第2ローラ取付部46bの左右方向X内側面(図12の左側面)の長手方向中間部に連結される。
第2ローラ取付部46bの長手方向一端側(図1の紙面の裏側)には、第2軸49によって第2ガイドローラ47が回転可能に支持される。第2ローラ取付部46bの長手方向他端側(図12の紙面の表側)において、高さ方向一端部(図12の下端部)には、平板状の第3ローラ取付部46cが連結される。第3ローラ取付部46cは、左右方向外側(図12の右側)に伸びるように、第2ローラ取付部46bに対し略直交する方向に連結される。第3ローラ取付部46cの下側には、第3軸50によって第3ガイドローラ48が回転可能に支持される。
第2案内部材45の枠取付部46aは、取付用のボルト(図示せず)を挿通するための複数の貫通孔Qを有する。図2に示したように、カウンタウェイト13の使用時において、カウンタウェイト13の上端及び下端の右端部には、ガイドシュー23がボルト(図示せず)で取り付けられる。このため、カウンタウェイト13の搬送時には、枠体14の右端部からガイドシュー23を取り外した後で、枠体14のガイドシュー取付用の孔(図示せず)を用いて、枠体14に枠取付部46aをボルト及びナット(図示せず)を用いてネジ結合する。
搬送時に第2ガイドローラ47及び第3ガイドローラ48は、下側レール本体31bに配置され、下側レール本体31bの底板32上で第2ガイドローラ47が転がり、下側レール本体31bのガイド壁33上で第3ガイドローラ48が転がる。カウンタウェイト13の搬送時には、下側レール本体31bが上側レール本体31aより下側に位置するように搬送レール30が左右方向Xに対し傾斜する。これにより、下側レール本体31bの底板32上で第2ガイドローラ47が転がる場合に、第2ガイドローラ47が底板32上を斜め方向下側のガイド壁33に向かって滑り落ちる可能性がある。上記の構成では、この場合でも、第3ガイドローラ48が下側レール本体31bのガイド壁33上を滑るので、枠体14の右端部が直接にガイド壁33に当たってカウンタウェイト13の搬送時の摩擦抵抗が大きくなることを防止できる。
カウンタウェイト13の搬送時には、図13に示すように、図9から図12に示した構成とは別の案内部材が取り付けられてもよい。図13は、案内部材の別例を示している図10に対応する図である。
図13に示す第1案内部材51の取付部材41は、図9から図12に示した第1案内部材40を形成する取付部材41と同様の構成を有する。第1ガイドローラ42は、取付部材41の第1ローラ取付部41bにおいて、左右方向中央側に、第1軸43によって回転可能に支持される。
図13に示す第2案内部材53の取付部材54は、枠取付部54aに略直交する方向に連結した第2ローラ取付部54bを有する。第2ローラ取付部54bの長手方向一方側部分(図13の紙面の裏側部分)において、左右方向X外側に、平板状の第3ローラ取付部54cが連結される。第2ローラ取付部54bの長手方向他方側部分(図13の紙面の表側部分)において、左右方向X中央側には、第2軸49によって第2ガイドローラ47が回転可能に支持される。そして、カウンタウェイト13の上端部と下端部とのそれぞれにおいて、第1ガイドローラ42と第2ガイドローラ47とが枠体14の長手方向(図13の紙面の表裏方向)においてほぼ同じ位置に配置される。また、第3ローラ取付部54cの下側には、第3軸50によって第3ガイドローラ48が回転可能に支持される。図13において、その他の構成は、図9から図12の構成と同様である。
図1、図14、図15を用いて、カウンタウェイト13を昇降路11内と乗場22との間で搬送する搬送方法を説明する。まず、既設のカウンタウェイト13を昇降路11内から乗場22に搬出する搬出方法を説明する。
この搬出方法は、準備ステップと、誘導ステップとを有する。「準備ステップ」では、図1に示すように、エレベータ10の乗りかご17を最上階の近くの適当な位置で停止させる。そして、作業者が、乗りかご17の下側に取り付けられている非常停止装置(図示せず)を手動で作動状態に設定し、乗りかご17を少しだけ下側に運転することでその非常停止装置を作動させる。非常停止装置は、その作動によって、かごガイドレール20を挟んで乗りかご17の上下方向の移動を阻止する。
そして、エレベータ10の機械室18に配置されている既設のマシンビーム等の基台25上にH鋼等の揚重用鋼材26を設置する。その後、揚重用鋼材26を固定部分として用い、揚重用鋼材26に電動チェーンブロック等の揚重装置12を吊り下げてもよい。また、昇降路11内のカウンタレール21の固定ブラケットに揚重装置12を吊り下げてもよい。そして、カウンタウェイト13の上端部を揚重装置12で固定部分に対し吊り下げることで、カウンタウェイト13を揚重装置12で固定部分に接続する。このとき、昇降路11内において、機械室18の下側で機械室18の近くに作業ステージSを組んで揚重装置12の取付作業を行ってもよい。なお、この作業ステージSは省略してもよい。また、揚重装置12でカウンタウェイト13を吊り下げる場合に、昇降路11内に足場を組んで、足場に乗った作業者がカウンタウェイト13と揚重装置12との接続作業を行ってもよい。この足場は、カウンタウェイト13の錘を運ぶためには用いないので、簡易な足場とすることができる。
そして、主ロープ16が撓むようになるまで、揚重装置12でカウンタウェイト13を少しだけ引き上げて、その状態で主ロープ16をカウンタウェイト13の上端部から取り外す。その後、カウンタウェイト13の左右方向両端部で上端部及び下端部の4個所位置に取り付けられているガイドシュー23(図2)を取り外す。そして、カウンタウェイト13の左端部の上端部及び下端部には第1案内部材40(図9)を取り付け、右端部の上端部及び下端部には第2案内部材45(図9)を取り付ける。
次いで、搬送レール30の上端部をカウンタレール21にレール固定部36で固定し、搬送レール30の下端部を乗場22の床面に配置する。このとき、床面と搬送レール30の下端部とを結合しないので、その結合に要する手間が生じない。なお、搬送レール30の設置作業は、カウンタウェイト13を揚重装置12で吊り下げる前に行ってもよい。
次に、「誘導ステップ」では、図14に示すように、カウンタウェイト13が揚重装置12に接続され、搬送レール30のレール本体31a、31bにカウンタウェイト13の各ガイドローラが乗った状態とする。そして、この状態で、カウンタウェイト13を昇降路11内から乗場22側へ誘導する。
以下、揚重装置12が電動チェーンブロック12である場合での誘導ステップを、具体的に説明する。図14に示すように、作業者(図示せず)が電動チェーンブロック12のチェーンを伸ばすことで徐々にカウンタウェイト13を下ろし、かつ、カウンタウェイト13を搬送レール30のレール本体31a、31bに乗せる。このとき、第1ガイドローラ42及び第2ガイドローラ47(図9)を上側レール本体31a及び下側レール本体31bの底板32に乗せ、第3ガイドローラ48(図9)を下側レール本体31bのガイド壁33に対面させる。そして、図15に示すように電動チェーンブロック12のチェーンをさらに伸ばして、各ガイドローラがレール本体31a、31b上で転がるように、作業者がカウンタウェイト13をレール本体31a、31bに沿って昇降路11内から乗場22側へ誘導する。このとき、乗場出入り口24では、カウンタウェイト13が左右方向Xに対し傾斜した状態で搬出される。
図15に示すように乗場22にカウンタウェイト13が出された状態では、作業者が、足場が安定した状態で、単独で、または複数人で枠体14から錘15を1つずつ取り出す。そして、すべての錘15を枠体14から取り外した後に、枠体14を搬送する。このとき、枠体14を解体してから搬送してもよい。
上記の搬送レール30及びカウンタウェイト搬送方法は、カウンタウェイト13を昇降路11内と乗場22との間で搬送するときに、昇降路11内でカウンタウェイト13の枠体14から錘15を取り外した状態で搬送する必要がない。これにより、昇降路11内で枠体14が吊り下げられた状態で、枠体14から錘15を取り外したり、枠体14に錘15を組み込む必要がない。また、枠体14を乗場出入り口24に通すときに、枠体14は搬送レール30に沿って傾くので、作業者が手作業で枠体14を傾ける必要がない。このため、カウンタウェイト13の搬送作業時の安全性及び作業効率を向上させることができる。
また、搬送レール30の上端部は、カウンタウェイト13からガイドシュー23を取り外した後に、カウンタレール21に特別な加工を施すことなくクリップ部材38を用いてカウンタレール21に固定することができる。このため、作業効率をより向上させることができる。
なお、上記では、カウンタウェイト搬送方法として、搬送レール30を用いて既存のカウンタウェイト13を昇降路11内から乗場22に搬出する搬出方法を説明した。一方、カウンタウェイト搬送方法として、新規のカウンタウェイトを乗場22から昇降路11内に搬入する搬入方法において、搬送レール30を用いることもできる。具体的には、搬入方法は、準備ステップと、誘導ステップとを含む。「準備ステップ」では、乗場22において、枠体14にすべての必要な錘15を一体化したカウンタウェイト13を用意する。そして、カウンタウェイト13の左右方向両端部で、上端部と下端部とに案内部材を取り付ける。また、搬送レール30の上端部をカウンタレール21に固定し、搬送レール30の下端部を乗場22の床面に配置する。また、カウンタウェイト13を揚重装置12で固定部分に接続する。そして、「誘導ステップ」では、カウンタウェイト13が揚重装置12に接続され、搬送レール30のレール本体31a、31b上にカウンタウェイト13の案内部材を構成するガイドローラが乗った状態とする。そしてこの状態で、ガイドレール上でガイドローラが転がるように、カウンタウェイト13をレール本体31a、31bに沿って乗場22から昇降路11内へ誘導する。これにより、カウンタウェイト13が昇降路11内へ搬入される。
カウンタウェイト13の昇降路11内への搬入後、揚重装置12でカウンタウェイト13をカウンタレール21の所定位置まで引き上げて、その状態でカウンタウェイト13から案内部材を取り外す。
そして、カウンタウェイト13の上端部と下端部とにガイドシューを取り付けて2本のカウンタレール21にカウンタウェイト13を昇降可能に支持する。その後、一端に乗りかご17が接続された主ロープ16の他端を、カウンタウェイト13の上部に接続した後に、揚重装置12とカウンタウェイト13との接続を切り離す。これにより、カウンタウェイト13が主ロープ16で乗りかご17に接続される。
上記の搬入方法でも、搬出方法と同様に、カウンタウェイト13を昇降路11内と乗場22との間で搬送するときに、昇降路11内でカウンタウェイト13の枠体14から錘15を取り外した状態で搬送する必要がない。このため、カウンタウェイト13の搬送作業時の安全性及び作業効率を向上させることができる。
また、上記では、搬送レール30において、乗場出入り口24で右側のレール本体31aが左側のレール本体31bよりも下側に位置するように水平方向に対し傾斜した場合を説明した。一方、水平方向に対し搬送レール30が傾斜する方向は、図1から図15に示した構成とは逆にしてもよい。