JPH11200629A - 建設工事用仮設エレベータのポスト解体および組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 切り離された仮設エレベータのポスト部材を
地上に降下させている最中に、建物の壁面にその部材が
接触して壁面を傷つけるおそれがなく、介錯が不要で、
安全かつ効率的にポスト解体作業を行うことができる建
設工事用仮設エレベータのポスト解体および組立方法を
提供する。 【解決手段】 複数のポスト部材１ａが縦方向に連結さ
れてなる建設工事用仮設エレベータのポスト１に沿って
昇降自在に配置された案内台車８をポスト１の切り離し
位置付近まで上昇させ、第１の係止手段により案内台車
８をポスト１に係止するとともに、前記切り離し位置で
切り離されたポスト部材１ａを揚重手段により吊り下げ
て第２の係止手段により案内台車８に係止し、前記第１
の係止手段による係止を外すとともに案内台車８をポス
ト１に沿って降下させ、前記第２の係止手段による係止
を外して部材１ａを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、建設工事用仮設
エレベータのポスト解体および組立方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】一般に、高層ビル等の建設工事では、作
業員の移動や必要な資材等の搬送手段として本設エレベ
ータを設置するための空間を利用する等して仮設エレベ
ータを設置し、この仮設エレベータを工事用の搬送手段
としている。

【０００３】図３（ａ），（ｂ），（ｃ）は、建設工事
用仮設エレベータのポスト１（ポスト１は複数のポスト
部材１ａ，１ａ，１ａ，・・・が縦方向に連接されてな
る）の従来の解体および組立方法を示す正面図、平面
図、側面図である。

【０００４】同図では、２６階部分の天井に逸らせ車３
が吊設され、この逸らせ車３に巻き掛けられたウインチ
ワイヤー４の一端には、ポスト部材１ａを吊り下げるた
めの玉掛けワイヤー６を引掛けるフック５が設けられ、
他端は１階に設けられたシーブ７を介してウインチ（図
示せず）に巻回されている。

【０００５】ポスト１の解体作業において、まず、最上
部に位置している２段分のポスト部材１ａを建物に支持
・固定している壁継ぎ材２を建物の側壁から取り外すと
ともに、ポスト１の接続部の取り付けボルトを外す。

【０００６】そして、この切り離されたポスト部材１ａ
にワイヤー６を玉掛けし、ウインチを駆動するととも
に、玉掛けワイヤー６をウインチワイヤー４のフック５
にて吊り下げ、ポスト部材１ａを地上に降下させる。

【０００７】このように、ポスト１の上段より適宜な長
さ分（通常、ポスト２〜４段分程度）を順に切り離し
（壁継ぎ材があるときは、壁継ぎ材とともに）、この切
り離されたポスト部材１ａをウインチ等の揚重手段（ク
レーンを用いることもできる）を用いて吊り下げ、地上
に降下させるといった作業工程を繰り返すことによっ
て、仮設エレベータのポスト解体作業を進めていた。

【０００８】また、仮設エレベータのポストは、上記解
体作業と逆の手順を践むことにより組み立てられてい
た。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の解体方法にあっては仮設エレベータのポストから切
り離された部材を地上に降下させる途中で、組立方法に
あっては新たに組み立てるポスト部材を上昇する途中
で、昇降されるポスト部材がポスト周囲の建物の壁面に
接触して壁面を傷つけるおそれがあった。通常、ポスト
解体時にはポスト周囲の壁は仕上がっており、壁面を傷
つけると補修工事等の必要が生じ、コストが増大すると
ともに工期も長期化する。

【００１０】そこで、ポスト部材を昇降する際に側壁等
に当たらないよう、その都度、作業員による介錯が必要
であった。この作業は高所であるがゆえに効率の悪いも
のとなり、短時間でポスト全体の解体撤去作業または組
立作業を行うことは困難であった。特に、ポストと建物
との間の隙間が小さいときには、慎重な昇降作業が要請
される結果、作業は一層長期化する。

【００１１】そこで、この発明は、このような従来の課
題に着目してなされたもので、仮設エレベータのポスト
部材を昇降させる際に、建物の壁面に接触して壁面を傷
つけるおそれがなく、介錯が不要で、短時間で効率的に
ポストの解体作業ないしは組立作業を行うことができる
建設工事用仮設エレベータのポスト解体および組立方法
を提供することを目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】（１）上記目的を達成す
るために、第一の発明は、複数のポスト部材が縦方向に
連結されてなる建設工事用仮設エレベータのポストを上
方から順に解体する方法において、前記ポストに沿って
昇降自在に配置された案内台車を前記ポストの切り離し
位置付近まで上昇させ、第１の係止手段により前記案内
台車を前記ポストに係止するとともに、前記ポストの最
上部及び／又は該最上部から複数段下方に位置するポス
ト部材の連結を他のポスト部材から切り離し、前記切り
離し位置で切り離された前記ポスト部材を揚重手段によ
り吊り下げて第２の係止手段により前記案内台車に係止
し、前記第１の係止手段による係止を外すとともに前記
案内台車を前記ポストに沿って降下させ、前記第２の係
止手段による係止を外して前記ポスト部材を除去するこ
とを特徴とするものである。

【００１３】この発明によれば、切り離されたポスト部
材は案内台車に係止され、この案内台車がポストに沿っ
て下降するのに伴って、ポスト部材が地上に降ろされる
ことになるため、壁面を傷つけるおそれがなく、安全か
つ効率的にポストの解体撤去作業を進めることができ
る。

【００１４】（２）上記目的を達成するために、第二の
発明は、複数のポスト部材が縦方向に連結されてなる建
設工事用仮設エレベータのポストを組み立てる方法であ
って、既に組み立てられたポストに沿って案内台車を昇
降自在に配置し、該案内台車を前記ポストに係止する第
１の係止手段の係止を外して、新たに組み立てるポスト
部材の受け入れ位置付近まで前記案内台車を降下すると
ともに、前記受け入れ位置から受け入れたポスト部材を
第２の係止手段により前記案内台車に係止し、前記案内
台車を前記ポストに沿って上昇し、該ポストの最上部又
は該最上部から複数段下方にて第１の係止手段により前
記案内台車を前記ポストに係止し、前記第２の係止手段
による係止を外して当該上昇したポスト部材を揚重手段
により吊り上げて前記ポストの最上部上に連結すること
を特徴とする。

【００１５】この発明によれば、新たに組み立てられる
ポスト部材は案内台車に軽視され、この案内台車がポス
トに沿って上昇するのに伴って、ポスト部材が上昇され
ることになるため、壁面を傷つけるおそれがなく、安全
かつ効率的にポストの組立作業を進めることができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施の形態に
ついて、以下、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図１は、この発明の一実施例による建設工事用仮設エレ
ベータのポスト解体方法を示したもので、解体したポス
ト部材１ａを案内台車８に係止させ、この案内台車８が
ガイドレール（ポスト柱と兼用する）１ｂに沿って降下
するように、地上にある解体用ウインチを用いてポスト
部材１ａを降下させている状態を中心に表現している。
なお、ウインチ、逸らせ車、ウインチワイヤー等、ポス
ト１の解体現場の状況は図３に示した従来方法の場合と
同様である。

【００１７】まず、断面矩形状に組まれたポスト１を構
成する円柱状のガイドレール１ｂに沿って走行可能な案
内台車８を用意しておく。この案内台車８は、図２に示
したように、ポスト１の一側面を覆うＣ形鋼からなる横
フレーム８Ａ，８Ａと、横フレームの両端を連結するＬ
形鋼からなる縦フレーム８Ｂ，８Ｂと、縦フレーム間を
斜めに連結するブレース材８Ｃと、Ｌ形鋼からなり縦フ
レーム８Ｂの上端・下端面から奥行き方向に延びる奥行
きフレーム８Ｄ，８Ｄ，８Ｄ，８Ｄと、奥行きフレーム
８Ｄの奥行き方向の末端を連結する縦フレーム８Ｂ，８
Ｂとを備えてなる。

【００１８】次に、仮設エレベータの搬器を撤去した
後、それまで搬器が走行していたポスト１のガイドレー
ル１ｂに案内台車８を走行可能に取付ける。すなわち、
図２（ｃ）図に示したように、ガイドレール１ｂの側面
を手前方向と奥行き方向の両側から挟み込んで当接する
ように、それぞれの奥行きフレーム８Ｄの内側にガイド
ローラ対８ａ，８ａを回転自在に設ける。このガイドロ
ーラ８ａがポスト１に垂設されたガイドレール１ｂの側
面を転動することによって、案内台車８がポスト１に沿
って昇降可能となっている。

【００１９】そして、クレーン、ウインチなどを用いて
案内台車８をポスト１の切り離し位置より若干低い高さ
まで上昇させ、ワイヤーなどの係止手段でこの案内台車
８が降下しないようにポスト１に係止しておく。なお、
案内台車８の落下を防止するため、案内台車８の走行路
で上記係止位置よりやや下方のガイドレール１ｂ上にス
トッパー９を設けておく。

【００２０】続いて、切り離す対象となるポスト部材１
ａの上端４隅に玉掛けワイヤー６を掛け、この玉掛けワ
イヤー６の２本をウインチワイヤー４に連結するフック
５に引掛ける。そして、建物の壁から取り外された壁継
ぎ材２をポスト１に接合したまま、ポスト１の上段から
２段分を切り離す（１．５段、２．５段というように途
中位置で切断することもある）とともに、切り離された
ポスト部材１ａを解体用ウインチで吊り下げる。

【００２１】さらに、吊り下げられた部材１ａの端面
が、ポスト１に係止されている案内台車８の端面に近接
するように部材１ａを上記ウインチで降下させ、ワイヤ
ーで部材１ａを案内台車８に係止する。

【００２２】最後に、案内台車８をポスト１に係止して
いるワイヤーとストッパー９を外し、案内台車８がガイ
ドレール１ｂに沿って降下するように、上記ウインチを
用いて部材１ａを地上まで降下させる。このとき案内台
車８の動きはガイドレール１ｂの配設方向に拘束され、
しかも部材１ａはワイヤーで案内台車８に係止されたま
ま降下することになるから、部材１ａは横方向（とりわ
け、ポストとの離間方向）に振れることなく、ウインチ
の巻き下げ速度に合わせて垂直に降下することになる。
したがって、部材１ａの降下時にポスト１の周囲の壁に
接触することがない。

【００２３】このような作業をポスト１の最上段から数
段（前述したように、１．５段、２．５段というように
半端な場合もある）分ずつ順番に行うことによって、ポ
スト１の解体撤去作業はスムーズに進行する。

【００２４】なお、上記実施例においては案内台車８を
ポスト１の側面に１台だけ設ける構成としたが、その反
対側の側面にも案内台車８を設けて２台構成とすること
ができる。このようにすることで、一方の案内台車の降
下中または地上でのポスト部材の除去中に、他方の案内
台車をポスト１に係止させ、切り離されたポスト部材１
ａを解体用ウインチで吊り下げてこの案内台車に係止す
ることができるので、ポスト１の解体撤去作業をよりス
ムーズに行うことができる。

【００２５】そして、案内台車８はポスト１の断面を包
囲するような構成としてもよい（ポスト１が円柱状であ
るときは好適である）。このようにすることで、一度に
多くのポスト部材を地上に降下させることができる。ま
た、上記解体用ウインチの替わりにクレーンを用いても
よい。

【００２６】さらに、案内台車８は自走可能でもよい。
ポスト解体時はもとよりポスト組立時においても、解体
時とは逆のプロセスで案内台車８を用いて効率良くポス
ト組立作業を進めることができる。

【００２７】加えて、ガイドローラ８ａの替わりにテフ
ロン樹脂を案内台車８の走行面に設けて台車を昇降させ
ることができる。

【００２８】また、上記実施形態では、建設工事用仮設
エレベータのポスト解体方法について説明したが、この
ポスト解体方法の逆の手順を践むことにより、ポストを
組み立てることができる。

【００２９】すなわち、既に組み立てられたポスト１に
沿って案内台車８を昇降自在に配置し、案内台車８をポ
スト１に係止する第１の係止手段の係止を外して、新た
に組み立てるポスト部材の受け入れ位置である地上付近
まで案内台車８を降下するとともに、受け入れ位置から
受け入れたポスト部材を第２の係止手段により案内台車
８に係止し、案内台車８をポスト１に沿って上昇し、ポ
スト１の最上部又は該最上部から複数段下方にて第１の
係止手段により案内台車８をポスト１に係止し、前記第
２の係止手段による係止を外して当該上昇したポスト部
材を揚重手段によりポスト１の最上部上に連結すること
により、上昇されるポスト部材が壁面に衝突するおそれ
を回避することができるのである。

【００３０】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の
建設工事用仮設エレベータのポスト解体および組立方法
によれば、昇降する仮設エレベータのポスト部材が建物
の壁面に当たって壁面を傷つけるおそれがない。

【００３１】従って、従来のように介錯することなく、
切り離されたポスト部材を地上に降ろすことができ、ま
たは新たに組み立てられるポスト部材をポストの最上位
置に上昇することができ、安全かつ効率的にポスト解体
作業ないしは組立作業を進めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例による仮設エレベータの解
体方法を示したものである。

【図２】（ａ）は、この発明の一実施例による案内台車
の正面図である。（ｂ）は、同上案内台車の側面図であ
る。（ｃ）は、同上案内台車の平面図である。

【図３】（ａ）は、仮設エレベータのポストの従来の解
体方法を示した正面図である。（ｂ）は、同上ポストの
平面図である。（ｃ）は、同上ポストの側面図である。

【符号の説明】

１（建設工事用仮設エレベータの）ポスト １ａ ポスト部材 １ｂ ガイドレール ２ 壁継ぎ材 ３ 逸らせ車 ４ ウインチワイヤー ５ フック ６ 玉掛けワイヤー ７ シーブ ８ 案内台車 ９ ストッパー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のポスト部材が縦方向に連結されて
   なる建設工事用仮設エレベータのポストを上方から順に
   解体する方法であって、 前記ポストに沿って昇降自在に配置された案内台車を前
   記ポストの切り離し位置付近まで上昇させ、第１の係止
   手段により前記案内台車を前記ポストに係止するととも
   に、前記ポストの最上部及び／又は該最上部から複数段
   下方に位置するポスト部材の連結を他のポスト部材から
   切り離し、 前記切り離し位置で切り離された前記ポスト部材を揚重
   手段により吊り下げて第２の係止手段により前記案内台
   車に係止し、 前記第１の係止手段による係止を外すとともに前記案内
   台車を前記ポストに沿って降下させ、 前記第２の係止手段による係止を外して前記ポスト部材
   を除去することを特徴とする建設工事用仮設エレベータ
   のポスト解体方法。
2. 【請求項２】 複数のポスト部材が縦方向に連結されて
   なる建設工事用仮設エレベータのポストを組み立てる方
   法であって、 既に組み立てられたポストに沿って案内台車を昇降自在
   に配置し、 該案内台車を前記ポストに係止する第１の係止手段の係
   止を外して、新たに組み立てるポスト部材の受け入れ位
   置付近まで前記案内台車を降下するとともに、前記受け
   入れ位置から受け入れたポスト部材を第２の係止手段に
   より前記案内台車に係止し、 前記案内台車を前記ポストに沿って上昇し、該ポストの
   最上部又は該最上部から複数段下方にて第１の係止手段
   により前記案内台車を前記ポストに係止し、 前記第２の係止手段による係止を外して当該上昇したポ
   スト部材を揚重手段により吊り上げて前記ポストの最上
   部上に連結することを特徴とする建設工事用仮設エレベ
   ータのポスト組立方法。