JP2017124478A - アシスト器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】アシスト器具において、ハンド部により荷物を保持した状態及びハンド部により荷物を保持していない状態で、ハンド部を適切に下降させる。【解決手段】作業者に取り付けられる本体部1、本体部1から前側に延出されたアーム部2、アーム部2から下側に延出されたワイヤ18,19、ワイヤ18,19に連結されたハンド部20を備える。ワイヤ18,19を巻き取ることによりハンド部20を上昇させ且つワイヤ18,19を繰り出すことによりハンド部20を下降させる回転体、回転体を巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動する電動モータ、回転体の回転速度を検出する回転速度センサーを備える。電動モータが繰り出し側に作動する状態において、回転速度センサーの検出値が所定値を高速側に超えると、電動モータに巻き取り側の小さな駆動力を発生させて、回転体の繰り出し側への回転に抵抗を与える。【選択図】図1

Description

本発明は、作業者が装着して使用するもので、作業者の作業(動作)を補助するアシスト器具に関する。
荷物を持ち上げて運んだり、要介護者を抱いたりする作業者を補助するアシスト器具として、特許文献1に開示されているものがある。特許文献1では、胴外骨格(特許文献1の図1の160)、胴外骨格から前方に延出された荷吊り上げ機構(特許文献1の図1の221)、荷吊り上げ機構を駆動する駆動装置を備えている。
特許文献1では荷吊り上げ機構において、胴外骨格から前側に延出されたアーム部と、アーム部から下側に延出されたワイヤ(特許文献1の図1の222)と、作業者が手で持つことにより荷物を保持するものでワイヤに連結されたハンド部(特許文献1の図1の223)とが備えられている。
特許文献1では、作業者が胴外骨格を取り付けることにより、アシスト器具を装着するのであり、ハンド部を作業者が手で持つような状態となる。
これにより、アシスト器具を装着した状態において、作業者はハンド部により荷物を保持するのであり、この状態で荷物はハンド部に支持される。作業者はハンド部を手で持つことにより、荷物の位置を安定させる(荷物が振ら付かないようにする)。
本体部に備えられた駆動装置によりワイヤを巻き取ることによって、ハンド部(荷物)を上昇させることができるのであり、駆動装置によりワイヤを繰り出すことによって、ハンド部(荷物)を下降させることができる。
特表2013−531593号公報
前述のように、ワイヤを巻き取り及び繰り出す場合、ワイヤを巻き取り及び繰り出す回転体と、回転体を巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動する電動モータとが、駆動装置に備えられている。
本発明は、ハンド部により荷物を保持した状態及びハンド部により荷物を保持していない状態において、ハンド部を適切に下降させることができるように構成することを目的としている。
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は、アシスト器具において次のように構成することにある。
作業者に取り付けられる本体部と、前記本体部から前側に延出されたアーム部と、
前記アーム部から下側に延出されたワイヤと、作業者が手で持つことにより荷物を保持するもので前記ワイヤに連結されたハンド部とを備え、
前記ワイヤを巻き取ることにより前記ハンド部を上昇させ且つ前記ワイヤを繰り出すことにより前記ハンド部を下降させる回転体と、前記回転体を巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動する電動モータと、前記回転体の回転速度を検出する回転速度センサーと、
人為的に操作される手動操作部と、前記手動操作部の操作信号に基づいて前記電動モータを巻き取り側及び繰り出し側に作動させる制御装置とを備えて、
前記電動モータが繰り出し側に作動する状態において、前記回転速度センサーの検出値が所定値を高速側に超えると、前記制御装置は、前記電動モータに巻き取り側の小さな駆動力を発生させて、前記回転体の繰り出し側への回転に抵抗を与える。
(作用及び発明の効果)
[I]−1
ハンド部に荷物を保持していない状態や、ハンド部に軽い荷物を保持している状態であると、ハンド部に掛かる重量は小さなものである。
本発明の第1特徴によると、作業者が手動操作部を操作して、電動モータにより回転体が繰り出し側に回転駆動され始めた場合、ハンド部に荷物を保持していない状態や、ハンド部に軽い荷物を保持している状態であると、ハンド部に掛かる重量が小さなものであることにより、ハンド部の下降速度(回転体の繰り出し側の回転速度)は高速にはならないので、電動モータによる回転体の繰り出し側の回転駆動が続行される。
[I]−2
前項[I]−1に記載の状態に対して、ハンド部に重い荷物を保持している状態であると、ハンド部に掛かる重量は大きなものとなる。
これにより、作業者が手動操作部を操作して、電動モータにより回転体が繰り出し側に回転駆動され始めた場合、ハンド部に重い荷物を保持している状態であると、ハンド部に掛かる大きな重量により、ハンド部が高速で下降しようとする。
[I]−3
本発明の第1特徴によると、前項[I]−2に記載の状態において、回転体の回転速度が所定値を高速側に超えると、電動モータに繰り出し側とは逆の巻き取り側の小さな駆動力が発生するのであり、回転体の繰り出し側への回転に対して電動モータから抵抗が掛かる。
これにより、ハンド部に重い荷物を保持している状態であっても、ハンド部(荷物)が適切な速度で下降するので、荷物を保持したハンド部を下降させて荷物を目的の位置に置くような作業が、正確に且つ楽に行えるようになる。
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴のアシスト器具において次のように構成することにある。
前記電動モータが繰り出し側に作動する状態において、前記回転速度センサーの検出値が所定値を高速側に超えると、
前記制御装置は、
前記回転体が予め設定された設定回転速度で繰り出し側に回転するように、前記電動モータに巻き取り側の小さな駆動力を発生させて、前記回転体の繰り出し側への回転に抵抗を与える。
(作用及び発明の効果)
前項[I]−3に記載の状態において、本発明の第2特徴によると、電動モータの巻き取り側の小さな駆動力が制御されて、回転体が予め設定された設定回転速度で繰り出し側に回転する。これにより、ハンド部が一定の速度で下降する状態となるので、荷物を保持したハンド部を下降させて荷物を目的の位置に置くような作業が、正確に且つ楽に行えるようになる。
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は、本発明の第1又は第2特徴のアシスト器具において次のように構成することにある。
前記電動モータに掛かる負荷を検出する負荷検出部を備えて、
制御装置は、前記負荷検出部の検出値が急減すると、前記電動モータを停止させる。
(作用及び発明の効果)
荷物を保持したハンド部を下降させて荷物を目的の位置に置く場合、本発明の第3特徴によると、荷物を目的の位置に置くと、荷物の重量が電動モータに掛からなくなり、電動モータに掛かる負荷が急減するので、これに伴って電動モータが停止する。
これにより、荷物を置いた(離した)ハンド部が停止しているのに、回転体がワイヤを繰り出して、ワイヤが弛んで絡まるとういう状態を避けることができる。
作業者がアシスト器具を装着した状態を示す側面図である。 作業者がアシスト器具を装着した状態を示す背面図である。 作業者がアシスト器具を装着した状態を示す正面図である。 駆動装置の分解斜視図である。 駆動装置の縦断背面図である。 回転体の繰り出し側の回転速度の状態を示す図である。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者から視て前側が「前」であり、後側が「後」であり、右側が「右」であり、左側が「左」である。
[1]
先ず、アシスト器具の全体構成及び本体部1について説明する。
図1,2,3に示すように、作業者の背中部に取り付けられる本体部1、本体部1の上部から上側に延出された右及び左のアーム部2、本体部1の下部に備えられた右及び左の脚作用部3が備えられており、作業者への装着用の取付ベルト4、右及び左の肩ベルト5が備えられて、アシスト器具が構成されている。
図1,2,3に示すように、本体部1は、右及び左の縦フレーム6、右及び左の縦フレーム6の上部及び中間部に亘って連結された支持板7,8、右及び左の縦フレーム6の下部に亘って連結された横フレーム9等を備えて、枠状に構成されている。右及び左の脚作用部3に取付ベルト4が取り付けられており、右及び左の縦フレーム6に右及び左の肩ベルト5が取り付けられている。支持板8の後面に制御装置14が連結されており、制御装置14の後側を覆うように支持板8に連結された支持板15に、バッテリー16が取り付けられている。
これにより、図1,2,3に示すように、右及び左の肩ベルト5に作業者の右及び左の腕部(右及び左の肩部)を入れ、取付ベルト4を作業者の腰部に巻き付けて固定することにより、作業者の背中部に本体部1が取り付けられる。
図1,2,3に示すように、アシスト器具及び荷物の重量が取付ベルト4を介して主に作業者の腰部に掛かることになるのであり、アシスト器具及び荷物の重量が作業者の腰部により安定して支持される。右及び左の肩ベルト5は、主に本体部1が作業者の背中部から後方に離れようとする状態を止める機能を発揮する。
[2]
次に、右及び左の脚作用部3について説明する。
図1,2,3に示すように、右及び左の脚作用部3は、基部10、伝動ケース11、操作アーム12及び脚ベルト13等を備えている。横フレーム9に左右方向にスライド自在に基部10が支持されており、基部10の外端部に伝動ケース11が前向きに連結されている。
図1,2,3に示すように、伝動ケース11の前部の左右方向の横軸芯P1周りに、操作アーム12が揺動自在に支持されており、幅広のベルト状の脚ベルト13が操作アーム12に連結されている。複数の平ギヤにより構成された伝動機構(図示せず)が伝動ケース11の内部に備えられ、電動モータ(図示せず)が基部10に左右方向に内装されており、電動モータ(図示せず)により伝動機構(図示せず)を介して操作アーム12が横軸芯P1周りに揺動駆動される。
前項[1]に記載のように、作業者の背中部に本体部1を取り付ける場合において、作業者が取付ベルト4を腰部に巻き付けて固定する際、取付ベルト4と一緒に、右及び左の脚作用部3(基部10)が横フレーム9に沿って左右方向に移動可能である。
これにより、取付ベルト4の腰部への巻き付け具合により、作業者の体格に合わせるように右及び左の脚作用部3の間隔が決まるのであり、取付ベルト4により右及び左の脚作用部3の位置が決められた状態となる。
この後、図1,2,3に示すように、作業者は脚ベルト13を太腿部に巻き付けて、面ファスナ(図示せず)(商品面:マジックテープ(登録商標))により、脚ベルト13を右及び左太腿部に取り付ける。
[3]
次に、右及び左のアーム部2について説明する。
図1,2,3に示すように、右及び左の縦フレーム6の上部が、作業者の右及び左の肩部を越えて斜め前側の斜め上側に延出されて、右及び左のアーム部2が構成されており、右及び左のアーム部2の上端部に、案内プーリー33が回転自在に支持されている。
図1,2,3に示すように、支持板7の後面に駆動装置17が連結されており、駆動装置17から、右の2本のワイヤ18,19及び左の2本のワイヤ18,19が延出されている。支持板7の上部に受け部材21が連結され、右及び左のアーム部2の上部に受け部材22が備えられており、ワイヤ18,19のアウター18b,19bが受け部材21,22に連結されて、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが駆動装置17に接続されている。
図1,2,3に示すように、右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが案内プーリー33に掛けられて下側に延出されており、右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aに右のハンド部20が連結されている。左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが案内プーリー33に掛けられて下側に延出されており、左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aに左のハンド部20が連結されている。
図1,2,3に示すように、右及び左のハンド部20は、金属製の板材を断面コ字状(フック状)に折り曲げて構成されており、左右対称の形状となっている。右のハンド部20に、押しボタン型式の上昇操作スイッチ23(手動操作部に相当)が備えられており、左のハンド部20に、押しボタン型式の下降操作スイッチ24(手動操作部に相当)が備えられている。上昇及び下降操作スイッチ23,24は、ハーネス(図示せず)を介して制御装置14に接続されている。
前項[1][2]に記載のように、作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者が右手で右のハンド部20を握るようにして持ち、左手で左のハンド部20を握るようにして持つ。
前述の状態において、作業者は右手及び左手の親指により上昇及び下降操作スイッチ23,24を押し操作する。この場合、上昇及び下降操作スイッチ23,24は復帰型に構成されており、作業者が上昇及び下降操作スイッチ23,24を押し操作していると、上昇及び下降操作スイッチ23,24から操作信号が出力されるのであり、作業者が上昇及び下降操作スイッチ23,24の押し操作を止めると、上昇及び下降操作スイッチ23,24の操作信号は停止する。
[4]
次に、駆動装置17について説明する。
図4及び図5に示すように、駆動装置17は、左右方向の回転軸芯P2周りに回転自在に左右方向に配置された4個の回転体25,26,27,28と、4個の回転体25〜28の下側に左右方向に配置された電動モータ29と、電動モータ29の出力軸29a側の端部と回転体25〜28の左の端部(電動モータ29の出力軸29a側の端部)とに亘って上下方向に配置された伝動機構30とを備えている。
図4及び図5に示すように、伝動機構30は、伝動ケース31と蓋部32とを備えて構成され、伝動ケース31に備えられた脚部31aが支持板7にボルト連結されている。電動モータ29の出力軸29a側の端部が伝動ケース31の下部に連結されており、電動モータ29の脚部29cが支持板7にボルト連結されている。
図5に示すように、伝動ケース31と蓋部32の中間部に、大径の第1ギヤ41及び小径の第2ギヤ42が一体で回転するように支持されており、電動モータ29の出力軸29aに連結された出力ギヤ29bが第1ギヤ41と咬合している。
伝動ケース31と蓋部32の上部に、伝動軸34が回転自在に支持されており、伝動軸34が伝動ケース31と蓋部32から右及び左側に突出している。伝動軸34に第3ギヤ43が固定されており、第3ギヤ43が第2ギヤ42と咬合している。
図4及び図5に示すように、蓋部32にブラケット50が連結されて、ブラケット50に角度センサー35(ロータリエンコーダ)(回転速度センサーに相当)が連結されており、角度センサー35が伝動軸34の左の端部に接続されている。
図4及び図5に示すように、半円筒状の支持部材36が備えられている。支持部材36の左の端部(電動モータ29の出力軸29a側の端部)に、半円状のフランジ部36aが備えられて、フランジ部36aが伝動ケース31の上部に連結されている。支持部材36の右の端部(電動モータ29の出力軸29a側の反対側の端部)に、脚部36bが備えられており、脚部36bが支持板7にボルト連結されている。
図4及び図5に示すように、支持部材36のフランジ部36aに、ベアリング37が支持され、支持部材36の脚部36bにベアリング38が支持されている。断面四角状の駆動軸39がベアリング37,38により回転軸芯P2周りに回転自在に支持されており、駆動軸39と伝動軸34とが円筒状の連結部材40により連結されている。回転体25〜28は合成樹脂により円柱状に構成されて、中央部に断面四角状の取付孔が開口されており、取付孔に駆動軸39が挿入されることにより、回転体25〜28が駆動軸39に取り付けられている。
図4及び図5に示すように、透明の合成樹脂製で半円筒状のカバー部材45が備えられており、カバー部材45が、支持部材36のフランジ部36a及び脚部35bにボルト連結されている。カバー部材45によりベアリング37,38が固定されているのであり、支持部材36及びカバー部材45により回転体25〜28の外周面が覆われている。
以上の構造により、電動モータ29の動力が伝動機構30(第1,2,3ギヤ41,42,43)を介して、駆動軸39に伝達されて、回転体25〜28(駆動軸39)が巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動される。
電動モータ29に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられている。電動モータ29の作動時に電磁ブレーキは解除状態となり、電動モータ29の停止時及び非通電時に電磁ブレーキは制動状態となる。
[5]
次に、駆動装置17とワイヤ18,19との接続について説明する。
図4及び図5に示すように、回転体25〜28は合成樹脂により円柱状に構成されており、回転体25〜28の外周面を複数周に亘って螺旋状(雄ネジ状)に回りながら、回転体25〜28の外周面の全幅に亘って連続した1本の溝部が、回転体25〜28の外周面に備えられている。
図4及び図5に示すように、回転体25〜28の右の横側面に、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが連結されており、ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部が、受け部材21に連結されている。
以上の構造により、図4及び図5に示すように、回転体25〜28が巻き取り側に回転駆動されると、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部に順に入っていき、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部に沿って回転体25〜28の外周面に螺旋状に巻き付けられる状態となって、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28に巻き取られる(右及び左のハンド部20が上昇する)。
図4及び図5に示すように、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部の全ての部分に入った状態となるまで、回転体25〜28が巻き取り側に回転駆動されると、これ以上に回転体25〜28を巻き取り側に回転駆動することはできない。これにより、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部の全ての部分に入った状態となるまで、回転体25〜28が巻き取り側に回転駆動されたことが、角度センサー35により検出されると、電動モータ29が自動的に停止する。
図4及び図5に示すように、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動されると、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部から順に出ていき、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28から繰り出される(右及び左のハンド部20が下降する)。
図4及び図5に示すように、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部の全ての部分から出る状態となるまで、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動されると、これ以上に回転体25〜28を繰り出し側に回転駆動することはできない。これにより、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体25〜28の溝部の全ての部分から出る状態となるまで、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動されたことが、角度センサー35により検出されると、電動モータ29が自動的に停止する。
[6]
例えば、床に置かれた荷物を高い棚やトラックの荷台に置くような場合、作業者がしゃがんで床の荷物を手で持ち、次に手を下に延ばした状態で荷物を持ちながら立ち上がり、次に手で荷物を持ち上げて、荷物を高い棚やトラックの荷台に置くような状態が想定される。
前述の状態において、上昇及び下降操作スイッチ23,24の押し操作に基づいて、制御装置14により右及び左の脚作用部3、駆動装置17(電動モータ29)が作動する状態について説明する。
図1,2,3に示すように、作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者が上昇及び下降操作スイッチ23,24の両方を押し操作していないと、駆動装置17は停止し、右及び左の脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
これにより、作業者が歩行する場合や、作業者が膝部を曲げて腰部を落とす場合(しゃがむ場合)、作業者の太腿に追従するように操作アーム12が揺動するのであり、作業者の動作が妨げられることはない。
次に作業者がしゃがんで床の荷物を手で持つ場合、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、電動モータ29により回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動されて(ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて)、右及び左のハンド部20が下降する。下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、電動モータ29が停止して、右及び左のハンド部20が停止する。
電動モータ29に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられている。電動モータ29の作動時に電磁ブレーキは解除状態となり、電動モータ29の停止時及び非通電時に電磁ブレーキは制動状態となる。
これにより、電動モータ29が停止した状態において、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されることはなく、後述するように右及び左のハンド部20に荷物の重量が掛かっても、右及び左のハンド部20が下降することはない。
次に作業者は右手(左手)で右(左)のハンド部20を持ち、右及び左のハンド部20を荷物に掛けて、作業者が立ち上がることにより荷物を床から持ち上げる。この状態において作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作すると、右及び左の脚作用部3(操作アーム12)が下側に駆動され、作業者の太腿部が下側に操作されて、作業者の立ち上がりが補助される。
前述のように作業者が立ち上がる際において、前述の電動モータ29のブレーキ機能により、右及び左のハンド部20(荷物)が下降することはない。
前述のように、作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作した状態で立ち上がった後、右及び左の脚作用部3(操作アーム12)が略真下に向く位置に達したことが検出されると、作業者が完全に立ち上がったと判断されて、右及び左の脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
次に電動モータ29により回転体25〜28が巻き取り側に回転駆動されて(ワイヤ18,19のインナー18a,19aが巻き取られて)、右及び左のハンド部20(荷物)が上昇する。所望の位置まで右及び左のハンド部20(荷物)が上昇すると、上昇操作スイッチ23の押し操作を止めることにより、電動モータ29が停止して右及び左のハンド部20(荷物)が停止する。
次に作業者は荷物を置くべき高い棚やトラックの荷台等へ歩いて移動する。作業者が高い棚やトラックの荷台等に到着して、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、電動モータ29により回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動されて(ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて)、右及び左のハンド部20(荷物)が下降する。これにより、荷物を高い棚やトラックの荷台等に置いて、右及び左のハンド部20を荷物から外す。
以上のようにして、荷物を高い棚やトラックの荷台等に置くと、最初の状態に戻り、次の荷物に対して同様な操作を行う。
[7]
前項[6]に記載の状態において、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作した状態(角度センサー35及び負荷検出部44の検出に基づいて、制御装置14が電動モータ29を制御する状態)について説明する。
作業者が下降操作スイッチ24を押し操作して、電動モータ29により回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動された場合(ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出された場合)、制御装置14により、角度センサー35の検出値に基づいて、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度が検出される。
右及び左のハンド部20に荷物を掛けていない状態又は右及び左のハンド部20に軽い荷物を掛けている状態では、右及び左のハンド部20に掛かる重量は小さなものである。
図6に示すように、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作して、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動された場合(時点T1参照)、右及び左のハンド部20に荷物を掛けていない状態又は右及び左のハンド部20に軽い荷物を掛けている状態であれば、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)は高速にはならない。
これにより、図6に示すように、電動モータ29によって、回転体25〜28の繰り出し側の回転駆動が続行される(電動モータ29の繰り出し側の回転速度に対応する低速の回転速度V1で、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動される)。
次に作業者が下降操作スイッチ24を押し操作を止めると(時点T2参照)、電動モータ29が停止する。
右及び左のハンド部20に重い荷物を掛けている状態では、右及び左のハンド部20に掛かる重量は大きなものである。
図6に示すように、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作して、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動された場合(時点T3参照)、右及び左のハンド部20に重い荷物を掛けている状態であれば、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)は高速側に加速される。
この場合、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が、所定値V2を高速側に越えると(時点T4参照)、電動モータ29が繰り出し側に作動する状態から巻き取り側に作動する状態に切り換えられ、電動モータ29に巻き取り側の小さな駆動力が発生する状態となる。
これにより、回転体25〜28の繰り出し側への回転(右及び左のハンド部20の下降)に対して、電動モータ29から抵抗(制動)が掛かり、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が減速される。
次に図6に示すように、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が、予め設定された設定回転速度V3に達すると(時点T5参照)、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が、設定回転速度V3に維持されるように、電動モータ29の巻き取り側の小さな駆動力が制御される。
制御装置14に、負荷検出部44がソフトウェアとして備えられている。電動モータ29を巻き取り側及び繰り出し側に作動させる際において、負荷検出部44により、電動モータ29の電流値及び電圧値等に基づいて電動モータ29に掛かる負荷が検出される。
これにより、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作して、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動されている状態(右及び左のハンド部20が下降している状態)において、右及び左のハンド部20に掛けている荷物を棚等に置くと、荷物の重量が電動モータ29に掛からなくなり、電動モータ29に掛かる負荷が急減する。このように電動モータ29に掛かる負荷の急減が負荷検出部44により検出されると、制御装置14により電動モータが停止される(時点T6参照)。
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、図6に示すように、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が設定回転速度V3に維持されるように、電動モータ29の巻き取り側の小さな駆動力を制御するのではなく、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が所定値V2を高速側に越えると(時点T4参照)、電動モータ29に巻き取り側の一定の小さな駆動力(一定の抵抗)(一定の制動)が発生する状態となるように構成してもよい。
この構成によると、電動モータ29に巻き取り側の一定の小さな駆動力(一定の抵抗)(一定の制動)が発生する状態において、右及び左のハンド部20に掛けられた荷物に重量に応じて、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が少し変化する。
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、図6に示す所定値V2と設定回転速度V3とを同じ値に設定してもよい。
この構成によると、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作して、回転体25〜28が繰り出し側に回転駆動され、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)は高速側に加速される状態において、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が設定回転速度V3(所定値)に達すると、回転体25〜28の繰り出し側の回転速度(右及び左のハンド部20の下降速度)が、直ちに設定回転速度V3に維持されるように、電動モータ29の巻き取り側の小さな駆動力が制御される。
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための形態]において、人為的に操作可能な操作スイッチ等により、所定値V2及び設定回転速度V3を高速側及び低速側に、人為的に調節することができるように構成してもよい。
前述の[発明の実施の第1別形態]において、人為的に操作可能な操作スイッチ等により、所定値V2を高速側及び低速側に、人為的に調節することができるように構成してもよい。
前述の[発明の実施の第2別形態]において、人為的に操作可能な操作スイッチ等により、設定回転速度V3(所定値)を高速側及び低速側に、人為的に調節することができるように構成してもよい。
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、図1,2,3に示す右及び左のハンド部20に荷物が掛けられているか否かを検出する存否センサー(図示せず)を、右及び左のハンド部20に備えて、右及び左のハンド部20に荷物が掛けられていないと、電動モータ29の電磁ブレーキが解除状態(又は軽い制動状態)に操作されるように構成してもよい。
これによって、例えば右及び左のハンド部20に荷物が掛けられていない状態で、右及び左のハンド部20が右及び左のアーム部2の案内プーリー33の付近に位置していた場合、作業者は下降操作スイッチ24を押し操作せずに、右(左)のハンド部20を右手(左点)で持ちながら下側に移動させることができる(ワイヤ18,19のインナー18a,19aを駆動装置17から引き出すことができる)。
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、図1,2,3に示す右のハンド部20に対して、1本のワイヤ18及び1個の回転体25を備え、左のハンド部20に対して、1本のワイヤ18及び1個の回転体28を備えるように構成してもよい。
[発明の実施の第6別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第5別形態]において、右及び左のアーム部2を廃止して、1本のアーム部2を備えてもよい。
前述のように構成した場合、1本のアーム部2から2本のワイヤ18を延出して、2本のワイヤ18の一方に右のハンド部20を備え、2本のワイヤ18の他方に左のハンド部20を備える。
又は、1本のアーム部2から1本のワイヤ18を延出し、1本のワイヤ18の端部を二股状に分岐させて、分岐部分の一方に右のハンド部20を備え、分岐部分の他方に左のハンド部20を備える。
[発明の実施の第7別形態]
前述の[発明を実施するための形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第6別形態]において、右及び左の脚作用部3を備えないように構成してもよい。バッテリー16を、支持板15ではなく横フレーム9の後面に取り付けるように構成してもよい。
本発明は、作業者が装着して使用するもので、作業者の作業(動作)を補助するアシスト器具に適用できる。
1 本体部
2 アーム部
14 制御装置
18,19 ワイヤ
20 ハンド部
23,24 手動操作部
25〜28 回転体
29 電動モータ
35 回転速度センサー
44 負荷検出部
V2 所定値
V3 設定回転速度

Claims (3)

  1. 作業者に取り付けられる本体部と、前記本体部から前側に延出されたアーム部と、
    前記アーム部から下側に延出されたワイヤと、作業者が手で持つことにより荷物を保持するもので前記ワイヤに連結されたハンド部とを備え、
    前記ワイヤを巻き取ることにより前記ハンド部を上昇させ且つ前記ワイヤを繰り出すことにより前記ハンド部を下降させる回転体と、前記回転体を巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動する電動モータと、前記回転体の回転速度を検出する回転速度センサーと、
    人為的に操作される手動操作部と、前記手動操作部の操作信号に基づいて前記電動モータを巻き取り側及び繰り出し側に作動させる制御装置とを備えて、
    前記電動モータが繰り出し側に作動する状態において、前記回転速度センサーの検出値が所定値を高速側に超えると、前記制御装置は、前記電動モータに巻き取り側の小さな駆動力を発生させて、前記回転体の繰り出し側への回転に抵抗を与えるアシスト器具。
  2. 前記電動モータが繰り出し側に作動する状態において、前記回転速度センサーの検出値が所定値を高速側に超えると、
    前記制御装置は、
    前記回転体が予め設定された設定回転速度で繰り出し側に回転するように、前記電動モータに巻き取り側の小さな駆動力を発生させて、前記回転体の繰り出し側への回転に抵抗を与える請求項1に記載のアシスト器具。
  3. 前記電動モータに掛かる負荷を検出する負荷検出部を備えて、
    制御装置は、前記負荷検出部の検出値が急減すると、前記電動モータを停止させる請求項1又は2に記載のアシスト器具。
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