以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、画像形成装置として、複数ドラムを有する電子写真方式カラー複写機の例を説明する。しかし、本発明は、これに限らず、各種方式の電子写真複写機、あるいはプリンタ、モノカラー方式、電子写真以外の画像形成装置にも適用できることは言うまでもない。
また、以下の説明においては、封筒状の記録材とは、封筒のような複数枚重なり、折り目がある袋状体の被記録媒体をいい、以下、単に封筒という。また、封筒状以外の記録材とは、トランスペアレンシィー用紙を含む1枚シート状の通常紙をいい、以下、単に普通紙という。また、これらの被記録媒体をまとめて用紙ともいう。
《第1実施例》
(1)画像形成装置例
図2は本実施例におけるカラー複写機の構成略図である。Aはリーダ部、Bはプリンタ部、Cは操作部、DはPC(パソコン)やプリントサーバ等の外部機器である。リーダ部Aで原稿ORの画像情報を光電読取りし、プリンタ部Bでその読取り画像情報に対応した画像を用紙Pに形成して画像形成物として出力する。
リーダ部Aにおいて、原稿台ガラス50上に置かれた原稿ORは、読取光学系ユニット51の光源52によって照射され、光学系53を介してCCDセンサ54に結像される。読取光学系ユニット51は矢印55の方向に移動(副走査移動)して、原稿ORの画像情報を光電読取りしてライン毎の電気信号データ列に変換する。CCDセンサ54により得られた画像信号はリーダ画像処理部56を介してプリンタ部Bのプリンタ制御部(実行部:以下、制御部と記す)57に送られ、制御部57でプリンタ部Bにあわせた画像処理がされる。また、制御部57は画像信号として外部機器Dからの外部入力も受けられる。
操作部Cまたは外部機器Dを入力部として使用する用紙種(記録材種)の情報(サイズ、坪量、種類など)が制御部57に設定可能である。制御部57は、これらの情報(記録材設定情報)から設定された用紙の種類、坪量などの情報をプリンタ部Bの動作制御に反映することができる。
次にプリンタ部Bの説明を行う。リーダ画像処理部56からの画像信号は制御部57によりPWM(パルス幅変調)されたレーザービームに変換される。ポリゴンスキャナ58でレーザービームを走査して、画像形成部Pa〜Pdの感光ドラム61に照射される。Paはイエロー色(Y)画像形成部、Pbはマゼンタ色(M)画像形成部、Pcはシアン色(C)画像形成部、Pdはブラック色(Bk)画像形成部で、それぞれ対応する色の画像を形成する。
画像形成部Pa〜Pdの機構構成は略同一なので、以下では、Y画像形成部Paについて代表して説明して、他の画像形成部Pb〜Pdにおける構成機器に対する符号の加入および説明は省略する。
Y画像形成部Paにおいて、感光ドラム61には、ポリゴンスキャナ58からのレーザービームによってその表面に静電潜像が形成される。62は1次帯電器であり、感光ドラム61の表面を所定の電位に帯電させて静電潜像形成の準備を施す。63は現像器であり、感光ドラム61上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。64は転写ローラ(ロール)であり、中間転写ベルト66の背面から放電を行いトナーと逆極性の一次転写バイアスを印加する。これにより、感光ドラム61上のトナー像を中間転写ベルト66上へ転写する。転写後の感光ドラム61は、クリーナー65でその表面を清掃される。
また、中間転写ベルト66上のトナー像は次の画像形成部Pb〜Pdに順次に搬送され、M、C、Bkの順に、画像形成部Pb、Pc、Pdにて形成された各色のトナー像が転写され、4色重畳の画像が中間転写ベルト表面に形成される。Bk画像形成部Pdを通過したトナー像は、2次転写内ローラ67と2次転写外ローラと68で構成される2次転写部において、中間転写ベルト66上のトナー像がトナーと逆極性の2次転写電界により用紙Pに2次転写される。
用紙Pは予めの選択指定に対応する用紙が収容されている複数の記録材収容部としての給紙カセット69又は同70から一枚分給送されて搬送路71aにより搬送されて所定の制御タイミングにて2次転写部に導入される。
2次転写部を通った用紙Pは搬送路71bにより搬送されて定着装置(定着部、定着器)Fに導入されてトナー像の定着処理を受ける。定着装置Fを出た用紙Pは片面印刷モードである場合には、搬送路71cに導入されて排出トレイ72上に片面画像形成物として排出される。
両面印刷モードである場合には、定着装置Fを出た片面画像形成済みの用紙Pが両面搬送路71dに導入され、スイッチバック搬送されて搬送路71aに再導入される。これにより、当該用紙Pが2次転写部に対して表裏反転された状態で再導入され、以後は、片面印刷モードの場合と同様の搬送経路を搬送されて排出トレイ72上に両面画像形成物として排出される。
(2)定着装置
図3は定着装置Fの斜視図、図4の(a)と(b)は同装置Fの正面図と縦断正面図である。図5の(a)は図4の(a)における(5)−(5)線に沿う拡大右側面図、(b)は(a)の部分的な拡大図、(c)は圧力付与部材(加圧パッド)の横断面図である。図6の(a)と(b)は同装置Fの左側面図と一部切り欠きの左側面図である。図7の(a)と(b)は同装置Fの右側面図と一部切り欠きの右側面図である。
以下の説明において、定着装置Fまたはこれを構成している部材の長手方向とは用紙搬送路面内において用紙搬送方向(記録材搬送方向)aに直交する方向に平行な方向である。また短手方向とは用紙搬送方向aに平行な方向である。定着装置Fに関し、正面とは装置を用紙入口側からみた面、背面とはその反対側の面(用紙出口側)、左右とは装置を正面から見て左または右である。上流側と下流側とは用紙搬送方向aに関して上流側と下流側である。
本実施例の定着装置Fは、誘導加熱によるベルト加熱方式の画像加熱装置であり、大別して、下記のような部材や機構を有している。
a:用紙Pのトナー像担持面と接触する第1の回転体(定着部材)としての可撓性を有するエンドレスベルト(以下、定着ベルトあるいはベルトと記す)6を含む加熱アセンブリ(ベルトユニット)1
b:ベルト6に対向する駆動回転体(加圧部材)としての弾性を有する加圧ローラ2
c:ベルト6を加熱する加熱源としてのコイルユニット(誘導加熱装置、磁束発生手段)3
d:ベルト6と加圧ローラ2とを圧接させて用紙上(記録材上)のトナー像を加熱(画像加熱処理;定着)するニップ部Nを形成する加圧機構4
e:加圧機構4によるニップ部Nの圧力を変更する変更機構
上記のような部材や機構は定着装置Fの装置シャーシ5の左右の側板5L・5R間に配設されている。
(2−1)加熱アセンブリ1
加熱アセンブリ1は、円筒状で可撓性を有する定着ベルト6を有する。ベルト6はコイルユニット3から発生される磁界(磁場、磁束)が存在する領域を通過したときに電磁誘導で発熱する磁性部材(金属層、導電部材)を有する。また、ベルト6の内部に挿入された金属製のステー7を有する。ステー7の下面には長手に沿って圧力付与部材としての加圧パッド(ニップパッド)8が取り付けられている。
パッド8はベルト6と加圧ローラ2との間に所定の押圧力を作用させてニップ部(定着部、定着ニップ部)Nを形成する部材であり、耐熱性樹脂製である。パッド8は横断面においてベルト6の内面に対する対向部が、図5の(b)・(c)のように、上流側突起部8a、主圧部8b、下流側突起部8cから構成されている。
即ち、パッド8は、ニップ部Nの上流部に上流側突起部8aなる凸部、ニップ部Nの下流部に下流側突起部8cなる凸部を有し、その両凸部8a・8bの間に主圧部8bを有する構成になっている。
上流側突起部8aが用紙(記録材、封筒)の搬送方向上流端においてベース部である主圧部8bから加圧ローラ2に向けて突出した第1の突出部である。下流側突起部8aが用紙の搬送方向下流端において主圧部8bから加圧ローラ2に向けて突出した第2の突出部である。主圧部8bは、必ずしも平坦である必要はなく、上流側突起部8a先端と下流側突起部8c先端を平面で結んだ部分よりも、ベルト6内面に対して遠くなっていればよい。
より詳しくは、パッド8はベルト6を挟んで加圧ローラ2に向けて相対的に圧力を付与してニップ部Nを形成するように構成された圧力付与部材である。そして、パッド8は、横断面において、ベルト6の内面に対する対向部にニップ部Nの中心近傍における主圧部8bとその主圧部8bを中にして用紙搬送方向aの上流側と下流側とに主圧部8bからベルト6に向けて突出している凸部3a・3cを有している。また、パッド8は圧をかけた時の撓みを補正するためにクラウンが付けてあり、本実施例で用いたクラウン量はパッド8の長手中央と端部(中央から200mmの位置)で1.6mmである。
ステー7はニップ部Nに圧力を加えるために剛性が必要であるため、本実施例では鉄製である。また、ステー7の上面側(コイルユニット3側)には、ベルト6を効率的に加熱するために誘導磁場をベルト6に集中させるための磁性体コア(内側の磁性コア)9がステー7の長手にわたって配設されている。
ステー7の左右の両端部がそれぞれベルト6の左右の両端部から外方に突出している。その両端部に対してそれぞれ左右対称形状のフランジ部材(定着フランジ)10L・10Rが嵌着されている。フランジ部材10L・10Rはベルト6の長手方向(幅方向:左右方向)への移動および周方向の形状を規制する規制部材である。ベルト6は上記のステー7・パッド8・コア9の組立て物に対してルーズに外嵌されている。ベルト6の長手方向への移動はフランジ部材10L・10Rの内向き面により規制される。
ベルト6は、後述するように、基層6a(図8)が電磁誘導発熱する金属で構成されている。そのため、回転状態のベルト6の長手方向への寄りを規制するための手段としては、ベルト6の端部を単純に受け止めるだけのフランジ部を有するフランジ部材10L・10Rを設ければ十分である。これにより、定着装置Fの構成を簡略化できるという利点がある。
パッド8の長手中央部にはベルト6の温度を検知する温度検知手段(温度検出素子)としてのサーミスタ等の温度センサTHが弾性を有する支持部材11を介して配設されている。センサTHはベルト6の内面に対して部材11により弾性的に当接している。これにより、回転されるベルト6のセンサ当接面が波打つなどの位置変動が生じたとしてもセンサTHがこれに追従してベルト6の内面との良好な接触状態が維持される。
加熱アセンブリ1はフランジ部材10L・10Rをそれぞれ側板5L・5Rに配設されている縦方向のガイドスリット部5aに係合させて配設されている。したがって、加熱アセンブリ1は全体に側板5L・5R間においてスリット部5aに沿って上下方向に移動可能な自由度を有する。
図8はベルト6の層構成を示す模型図である。本実施例では、ベルト6は内径が30mmで電気鋳造法によって製造したニッケル基層(磁性部材、金属層)6aを有している。この基層6aの厚みは40μmである。基層6aの外周には弾性層6bとして耐熱性シリコーンゴム層が設けられている。層6bの厚さは100〜1000μmの範囲内で設定するのが好ましい。
本実施例では、ベルト6の熱容量を小さくしてウォーミングアップタイムを短縮し、かつカラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることを考慮して、層6bの厚みは300μmとされている。シリコーンゴムは、JIS−A20度の硬度を持ち、熱伝導率は0.8W/mKである。更に層6bの外周には、表面離型層6cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられている。
基層6aの内面側には、ベルト内面とセンサTHとの摺動摩擦を低下させるために、フッ素樹脂やポリイミドなどの樹脂層(滑性層)6dを10〜50μmの厚みで設けても良い。本実施例では、層6dとしてポリイミドの層を20μmの厚みで設けた。
ベルト6は全体的に低熱容量で可撓性(弾性)を有し、自由状態においては円筒形状を保持している。金属層6aにはニッケルのほかに鉄合金や銅、銀などの金属を選択可能である。また、樹脂基層にそれら金属を積層させるなどの構成でも良い。金属層6aの厚みは、ユニット3の後述する励磁コイル15に流す高周波電流の周波数と金属層6aの透磁率・導電率に応じて調整して良く、5〜200μm程度の間で設定すると良い。
(2−2)加圧ローラ2
加圧ローラ2は加熱アセンブリ1の下側において、軸線方向をアセンブリ1の長手方向にほぼ平行にして、側板5L・5R間に軸受12を介して回転可能に配設されている。
本実施例において、ローラ2は、長手方向中央部の径が20mmで両端部の径が19mmである鉄合金製の芯金2aに弾性層2bとしてシリコーンゴム層を設けた、外径が30mmのクラウン形状を有している弾性ローラである。表面は離型層2cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられる。ローラ2の長手方向中央部における硬度は、ASK−C70°である。
芯金2aの右側の端部にはギア13が固定して配設されている。このギア13に対して制御部57で制御される駆動モータM1の駆動力が伝達手段(不図示)を介して伝達されて、ローラ2が駆動回転体として図5において矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
(2−3)コイルユニット3
コイルユニット3はベルト6を誘導加熱する加熱器(誘導加熱手段)であり、加熱アセンブリ1の上面側、即ち加熱アセンブリ1のローラ2側とはほぼ180°反対側に配設されている。コイルユニット3はベルト6の長手方向に沿って長いハウジング14の内部に励磁コイル(磁束を生ずるコイル)15、磁性体コア16等を組み付けたものである。
ハウジング14は左右方向を長手とする横長箱型で耐熱樹脂製の成型品(電気絶縁性の樹脂のモールド部材)である。ハウジング14の底板14a側がベルト6に対する対向面である。底板61aは横断面においてベルト6の外周面の略半周範囲に沿うようにハウジング14の内側に湾曲している。
コイルユニット3はハウジング14の両端部が加熱アセンブリ1の左右のフランジ部材10L・10Rにブラケット17を介して受け止められている。これにより、ハウジング14の底板14aがベルト6の上面に対して所定のギャップ(隙間)αを存して対面している。コイルユニット3はハウジング14の左右の側板がそれぞれの側のフランジ部材10L・10Rにワイヤーバネ(不図示)で括りつけられている。つまり、コイルユニット3は加熱アセンブリ1と一体化されている。
従って、加熱アセンブリ1のフランジ部材10L・10Rが後述するように加圧されて沈みこむとコイルユニット3もギャップαを維持したまま一緒に沈みこむ。また、フランジ部材10L・10Rが減圧または圧力解除されて浮くとコイルユニット3もギャップαを維持したまま一緒に浮く。
コイル15は、電線として例えばリッツ線を用い、これを横長・船底状にしてベルト6の周面と側面の一部に対向するように巻回してなる。そして、ハウジング内側に湾曲している底板14aの内面に当てがわれてハウジング内部に収められている。コイル15には、制御部57で制御される電源装置(励磁回路)103から高周波電流が印加される。
コア16は、コイル15によって発生した磁界がベルト6の金属層(導電層)以外に実質漏れないようにコイル15を覆わせた外側の磁性体コア(外側の磁性コア)である。そして、コア16はベルト6の長手方向に沿って配設されており、かつ、用紙搬送方向aに直交する方向に複数に分割されて並んで配置されており、コイル15の巻き中心部と周囲を囲むように構成されている。
複数に分割されているコア16は、装置に使用可能な最大幅サイズの用紙よりも幅狭の用紙が通紙されたときの非通紙部昇温を抑制するために、非通紙部に対応する部分の分割コアが移動機構(不図示)によりコイル6との隙間を広げる方向に移動される。これにより、非通紙部に対応する部分のベルト6を通過する磁束密度を低め、そのベルト部分の発熱量を低下させている。この分割コアの移動制御は本発明の要点外であるから詳細な説明は省略する。
(2−4)加圧機構4と変更機構
加圧機構4は、本実施例においては、加熱アセンブリ1のパッド8を、ベルト6を介してローラ2に所定の押圧力(圧力)で加圧してベルト6とローラ2との間に所定のニップ部Nを形成する加圧手段である。本実施例においてはこの加圧機構4の圧力を変更機構により変更可能に構成してある。
以下、具体的な機構構成を説明する。側板5L・5Rの外側の上部には、それぞれ、左右対称に加圧部材としての左右一対の前後方向(用紙搬送方向)に長い加圧レバー18L・18Rが配設されている。
レバー18Lはフランジ部材10Lの被加圧部10aの上側に位置しており、後端部はフランジ部材10Lよりも後方において側板5Lに対して支持軸18aを中心に上下方向に回動可能に枢着されている。即ち、レバー18Lは支持軸18aを支点としてフランジ部材10Lの被加圧部10aを圧接する方向、もしくは被加圧部10aから離間する方向に動作できるようになっている。レバー18Lの前端部はフランジ部材10Lよりも前側に位置している。レバー18Lは側板5Lとの間に配設された付勢部材としてのばね付きビス19Lのばね19aのばね力で軸18aを中心に下方へ常時回動付勢されている。
レバー18Rはフランジ部材10Rの被加圧部10aの上側に位置しており、後端部はフランジ部材10Rよりも後方において側板5Rに対して支持軸18aを中心に上下方向に回動可能に枢着されている。即ち、レバー18Rは支持軸18aを支点としてフランジ部材10Rの被加圧部10aを圧接する方向、もしくは被加圧部10aから離間する方向に動作できるようになっている。レバー18Rの前端部はフランジ部材10Rよりも前側に位置している。レバー18Rは側板5Rとの間に配設された付勢部材としてのばね付きビス19Rのばね19aのばね力で軸18aを中心に下方へ常時回動付勢されている。
そして、レバー18L・18Rの自由状態時においては、各レバー18L・18Rの下面がそれぞれフランジ部材10RL・10Rの被加圧部10aの上面に対してばね付きビスのばね19aで規定されたばね力で十分に押し当っている。本実施例では、この圧力は例えば550Nに設定されている。これにより、加熱アセンブリ1において、フランジ部材10RL・10Rと共にステー7およびパッド8が押し下げられて、パッド8がベルト6を挟んで弾性層2bの弾性に抗してローラ2に対して圧接する。
この圧接によりベルト6とローラ2との間に用紙搬送方向aに関して所定幅のニップ部Nが形成される。パッド8はニップ部Nの圧プロフィルの形成を補助する。この時の構成を以下、加圧構成と呼ぶ。
側板5L・5R間には軸受20・20を介してカム軸21が回転可能に配設されている。その軸21の左右の両端部にはそれぞれ側板5L・5Rの外側において左右対称で同形状の偏心カム(圧解除部材)22L・22Rが同じ位相で固定して配設されている。カム22Lは加圧レバー18Lの前端部の下側に位置している。カム22Rはレバー18Rの前端部の下側に位置している。
また、軸21の左側の端部にはギア(圧解除ギア)23が固定して配設されている。このギア23に対して制御部57で制御される加圧ローラ脱着モータ(例えばステッピングモータ)M2の駆動力が伝達手段(不図示)を介して伝達されて、軸21すなわちカム22L・22Rの回転が制御なされる。即ち、制御部57は所定の信号に応じてモータM2を回転させてギア23を所定の方向へ所定量回転させる。このギア23の回転に応じて軸21が回転し、これに伴いカム22L・22Rが回転する。
カム22L・22Rの回転制御により、レバー18L・18Rがばね付きビス19Lのばね19aのばね力に抗して持ち上げ回動されることで、パッド8のローラ2に対する圧力が変更される。
上記の軸受20・20、軸21、カム22L・22R、ギア236、モータM2が、加圧機構4によるニップ部Nの圧力を変更する変更機構である。加圧機構4の圧力変更の詳細については後述する。
(2−5)定着動作
画像形成装置のスタンバイ状態においては、定着装置Fは、モータM1がOFFにされていてローラ2の回転は停止している。加圧機構4は加圧解除状態にされていてニップ部Nの加圧は解除されている。コイルユニット3のコイル15に対する給電はOFFにされている。
実行部として機能する制御部57は、プリントジョブ開始信号(画像形成ジョブ開始信号)の入力に基づいて所定の制御タイミングにて加圧機構4を加圧状態にする。これによりニップ部Nが加圧状態になる。またモータM1をONする。これにより、ローラ2が図5において矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
このローラ2の回転により、ニップ部Nにおけるローラ2の表面とベルト6の表面との摩擦力でベルト6に回転力が作用する。ベルト6はその内面がパッド8の下面に密着して摺動しながらステー7・パッド8・コア9の外周りを図5において矢印の時計方向にローラ2の回転速度と同じ速度で従動回転する。パッド8には潤滑剤が塗布されており、ベルト6との間の摺動負荷を低減している。本実施例では、定着温調温度(180度)近傍で使用した場合の端部からの回り込みを考慮して、フッ素グリスを用いた。
ベルト6の回転に伴うスラスト方向への移動は左右のフランジ部材10L・10Rのフランジ部により規制される。ベルト6は、少なくとも画像形成実行時には、制御部57で制御されるモータM1によってローラ2が回転駆動されることで上記のように従動回転する。この回転は、二次転写ニップ部側から搬送されてくる、未定着トナー像tを担持した用紙Pの搬送速度とほぼ同一の周速度でなされる。本実施例の場合、ベルト6の表面回転速度が300mm/secであり、フルカラーの画像を1分間にA4サイズで70枚、A4Rサイズで49枚定着することが可能である。
制御部57は電源装置103から加熱部として機能するコイル15に対して、例えば20kHz〜50kHzの交番電流(高周波電流)を供給する。コイル15は交番電流の供給により交番磁束(磁場)を発生する。その交番磁束がコア16により回転しているベルト6の上面側においてベルト6の金属層6aに導かれる。そうすると、金属層6aに渦電流が発生して、その渦電流によるジュール熱により金属層6aが自己発熱(電磁誘導発熱)してベルト6が昇温していく。
即ち、回転するベルト6はユニット3から発生される磁界が存在する領域を通過したときに金属層6aが電磁誘導発熱して全周的に加熱されて昇温する。このベルト6の温度が温度センサTHにより検知される。センサTHはベルト6の通紙域になる部分の温度を検知し、その検知温度情報が制御部57にフィードバックされる。制御部(制御部の温度制御機能部)57はこのセンサTHから入力する検知温度(検知される温度に関する情報)が所定の目標温度(定着温度:所定の温度に対応する情報)に維持されるように電源装置103からコイル15に対する供給電力を制御している。
すなわち、ベルト6の検出温度が所定温度に昇温した場合、コイル15への通電が遮断される。本実施例では、ベルト6の目標温度である180度で一定になるように、センサTHの検出値に基づいて高周波電流の周波数を変化させてコイル15に入力する電力を制御して温度調節を行っている。目標温度は画像形成装置本体に配置されている温湿度センサE(図2)により、用紙温度(記録材温度)を類推して変更するように構成されていても良い。
本実施例において、ベルト6とコイルユニット3のコイル15は0.5mmのモールド(ハウジング14の底板14a)により電気絶縁状態を保つ。そして、ベルト6とコイル15との間隔は1.5mm(モールド表面とベルト表面の距離は1.0mm)で一定であり、ベルト6は均一に加熱される。
コイル15を含むコイルユニット3は、高温になるベルト6の内部ではなく外部に配置されているので、コイル15の温度が高温になりにくく、電気抵抗も上昇せず高周波電流を流してもジュール発熱による損失を軽減する事が可能となる。また、コイル15を外部に配置したことでベルト6の小径化(低熱容量化)にも寄与しており、ひいては省エネルギー性にも優れていると言える。
本実施例の定着装置Fのウォーミングアップタイムは、非常に熱容量が低い構成である。そのため、例えばコイル15に1200W入力すると約15秒で目標温度である180度に到達でき、スタンバイ中の加熱動作が不要であるため、電力消費量を非常に低く抑える事が可能である。
上記のようにローラ2が駆動され、ベルト6が所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、ニップ部Nに未定着のトナー像tを担持した用紙Pがトナー像担持面側をベルト6側に向けてガイド部材24で案内されて導入される。用紙Pはニップ部Nにおいてベルト6の外周面に密着し、ベルト6と一緒にニップ部Nを挟持搬送されていく。
これにより、主にベルト6の熱が付与され、またニップ部Nの圧力を受けて未定着のトナー像tが用紙Pの表面に熱圧定着される。ニップ部Nを通った用紙Pはベルト6の外周面からベルト6の表面がニップ部Nの出口部分の変形によって自己分離(曲率分離)して定着装置外へ搬送される。なお、本実施例において定着装置Fに対する用紙Pの導入は用紙幅中心の所謂中央基準搬送でなされる。図4の(a)において、Oはその中央基準線(仮想線)である。
(2−6)圧力変更動作
カム22L・22Rは、図9のように、2つのピーク形状を有している。カム22L・22Rが回転したときのベルト6の位置を、図10を用いて説明する。
図10の(a)は通常圧モード時である。このモード時においてはカム22L・22Rの平面部が上向きの回転角度姿勢となっていて、カム22L・22Rはレバー18L・18Rに非接触である。そのためばね付きビス19L・19Rのばね19aのばね力がレバー18L・18Rに対して十分に作用して、ニップ部Nの圧力が所定の第1の圧力(通常圧)の状態である(加圧構成)。
本実施例において通常圧モード(第1の加圧モード)の場合、加熱アセンブリ(ベルトユニット)1にかかる力(ニップの総圧力)は500Nである。通常圧としては100N〜900Nが挙げられる。
カム22L・22Rが図10の(a)の通常圧モード時において時計方向に回転して、レバー18L・18Rをばね付きビス19Rのばね19aのばね力に抗して1つ目のピーク(ピーク1)の位置まで押し上げる((a)→(b))。そうすると、フランジ部材10L・10Rへの圧力は半減し、ベルト61の位置はΔY1だけ上に上がる((a)→(b))。これにより、ニップ部Nの圧力が通常圧モード時の第1の圧力よりも低い(弱い、軽圧)所定の封筒圧モード(第2の加圧モード)となる(圧力減少構成)。
本実施例においてはこの封筒圧モードの場合、加熱アセンブリ(ベルトユニット)40にかかる力(ニップの総圧力)は30Nになるように設定されている。軽圧としては10N〜90Nが挙げられる。
カム22L・22Rが更に回転して、最も高い2つ目のピーク(ピーク2)の位置までレバー18L・18Rを押し上げると、ベルト6はさらにΔY2だけ上に上がる。そうすると、ばね付きビス19Rのばね19aのばね力のフランジ部材10L・10Rに対する圧力を無効にし、ベルト6とローラ2が圧解除モード(圧力解除状態:圧力解除構成)になる((b)→(c))。
制御部(実行部)57は、画像形成装置のスタンバイ時や非画像形成時においては定着装置Fを図10の(c)の圧解除モードに制御する。定着装置Fに通紙される用紙が封筒以外である場合には図10の(a)の通常圧モードに制御する。また、封筒である場合には図10の(b)の封筒圧モード(圧力減少構成)に制御する。
(2−7)加圧モードについて
本実施例における定着装置Fの通常圧モードと封筒圧モードのニップ部Nにおける加圧形態を図11、図12を用いて説明する。図11の(a)と図12の(a)は、各モードにおいて封筒以外の用紙(普通紙)Pがニップ部Nを通過するときの断面図、図11の(b)、図12の(b)は各モードにおいて封筒がニップ部Nを通過するときの断面図を示している。また、図11の(c)、図12の(c)は各モードにおいて封筒を通紙した場合の封筒表紙にかかる速度分布を示している。
通常圧モードでは図11の(a)のように圧力付与部材である加圧パッド8の上流側突起部8a、主圧部8b、下流側突起部8cが共にベルト6に圧接する状態になる。封筒以外の用紙Pが通紙された場合、パッド8の上下流の突起部8a、8cにより、ニップ部Nが上凸形状になっているため、ニップ部Nから排紙される用紙が下方向になっている。これにより、坪量が少なく剛性の低い用紙が通紙された場合においても、定着ベルト6への分離性が十分に確保される。
一方、図11の(b)のように通常圧モードにおいて封筒がニップ部Nを通過するときは、封筒の裏表で拘束されていない部分は、加圧パッド8の上下流の突起部8a、8bにより、ニップ部Nが上凸形状になっている。そのために、ニップ部Nを通過する封筒の変形により封筒の上面と下面において搬送量差が発生する。
図11の(c)に封筒が長型3号の場合の表の搬送量(実線矢印)、裏の搬送量(点線矢印)の送り量を示す。封筒は表裏二枚の重なった紙がベルト幅方向の少なくとも一辺は表裏が拘束されている。長型3号の場合、xで示す位置が拘束箇所になる。拘束されている部分では、表裏が連続となるため、裏表の搬送量の中間的な搬送量でニップ部Nを通過する。この封筒の拘束部分と非拘束部分でのベルト幅方向での送り量の差により、白抜き矢印のような回転モーメントが発生しストレスが蓄積に紙の剛性が耐えきれなくなったところから封筒皺wが発生する。
本実施例では、通常圧モードにおいてニップ部Nを上凸形状にすることが目的であるので、加圧パッド8の主圧部8bのすべてにベルト6が接している必要はなく、主圧部8bの一部がベルト6に接していればよい。
封筒圧モードでは図12の(a)のように加圧パッド8の上流側突起部(突出部)8a、下流側突起部(突出部)8cが共にベルト6に圧接しているが、主圧部(ベース部)8bはベルト6から離間する状態になる。具体的には、主圧部8bは、記録材搬送方向中央部を含めて、そのほぼ全域がベルト6の内面から離れた状態となる。
筒以外の用紙Pが通紙された場合は、加圧パッド8の上下流の突起部8a、8cとベルト6の剛性により、ニップ部が上凸形状にならず実質ストレート形状になっている。ニップ部Nから排紙される用紙がストレートに排出される。この場合、封筒のように二枚重ねになっており剛性が高い用紙Pは問題ないが、坪量が小さく剛性の低い普通紙Pが通紙された場合は、ベルト6の曲率が十分に確保できず分離性が不十分になる場合がある。
一方、図12の(b)のように封筒圧モードにおいて封筒がニップ部Nを通過するときは、封筒の裏表で拘束されていない部分は、ニップ部Nが上凸形状にならずストレート形状になっている。そのため、ニップ部Nを通過する封筒の変形を抑え、封筒の表裏二枚の紙の送り量差を抑制できる(図12の(c))。これにより封筒の拘束部分と非拘束部分でのベルト幅方向での速度のずれの発生を抑制し、封筒皺の発生を防ぐことができる。
本実施例では、封筒圧モードにおいては図12の(b)のように加圧パッド8の上流側突起部8a、下流側突起部8cのみでベルト6を支持する構成になっており、主圧部8bがベルト6に接しない構成について説明した。
封筒圧モードにおいては、例外的に、突発的に、主圧部8bの一部が接する場合も有り得る。たとえば、上下流突起部が機械公差範囲で高さが十分ではない場合や、耐久摩耗により上下流突起部が低くなってしまった場合などである。また、封筒圧モードにおいて剛性が高い封筒がニップ部Nを通過した場合に、ベルト6が変形し、加圧パッド8の主圧部3bにベルト6の一部が一瞬接触するようなこともあり得るが、そもそも封筒皺が発生しにくい封筒のため、なんら問題はない。
剛性が高い封筒としては、たとえば、山櫻社製、長3 スミ貼 ARウルトラホワイト 130 〒枠ナシ、120mm×235mm、坪量130g/m2などが挙げられる。
上述した加圧モードをまとめると次の通りである。第1のモードと、第2のモードと、第3のモードの複数のモードがある。そして、制御部(実行部)57は上記のモードを含む複数のモードの中から1つを実行可能である。
第1のモードは、ベルト6の内面が、加圧パッド8の上流側突起部8a、下流側突起部8c、及び、用紙の搬送方向において上流側突起部8aと下流側突起部8cの間に位置する主圧部8bの部位と接しているモードである。第2のモードは、ベルト6の内面が、加圧パッド8の上流側突起部8aと下流側突起部8cの双方と接する一方、用紙の搬送方向において上流側突起部8aと下流側突起部8cの間に位置する主圧部8bの部位とは離れているモードである。第3のモードは、ベルト6とローラ2との間に掛かる圧力を実質解除するモードである。
(2−8)制御
本実施例の制御を図13に示す制御系統のブロック図を使って説明する。制御部(実行部)57は操作部(選択部)Cや外部装置(PCやプリントサーバ等)Dとの間で各種の電気的情報の授受を行い、プリンタ部Bの印刷動作(画像形成動作)を統括的に制御する。操作部Cはユーザ(操作者、使用者)からの印刷モード設定および使用用紙・枚数等の印刷条件の各種の指示・設定の入力、操作者への装置の状態報知を行うユーザインターフェースである。
操作部Cや外部機器Dを入力部として、ユーザが入力する記録材種の情報(用紙サイズ、坪量および用紙種類等の記録材情報)が記録材情報処理部102に送られ、記録材情報処理部102の情報が、プリンタ制御部57のCPU100に転送される。CPU100は、メモリ101を参照し、記録材情報処理部102の情報によって、定着装置Fの圧力を所定の値にするように圧力制御部104に命令する。
即ち、プリンタ制御部57のCPU100は、使用する記録材に関して取得した記録材情報に基づいて変更機構を制御して第1の加圧モードと第2の加圧モードとの切り替えを実行する。
圧力制御部104は、定着装置Fの圧力を所定の圧に制御する。即ち、使用される用紙が普通紙(封筒以外の記録材の設定情報)である場合には定着装置Fの圧力が通常圧(第1の加圧モード)となるように前述したように、モータM2を制御して変更機構を動作させる。また、封筒(封筒の設定情報)である場合には封筒圧(第2の加圧モード)となるようにモータM2を制御して変更機構を動作させる。
また、CPU100は、画像形成装置本体に取り付けられた温湿度センサE(図2)の情報とベルト6の温度センサTHの検知温度をもとに、コイル15に給電する電源装置103を制御してベルト6を所定の温度に制御できる。CPU100は加圧ローラ2を駆動するモータM1を制御して、加圧ローラ2を回転させたり、停止させたりできる。
本実施例の制御を図1に示したフローチャートを使って説明する。まず画像形成装置は画像形成ジョブ(JOB)を受け付ける。その後、通紙される用紙が封筒である封筒ジョブであるかどうかをCPU100が判断する(S1000)。CPU100は通紙する用紙が封筒でなければ、定着装置Fの圧力を通常圧モードにし(S1001)、画像形成動作&定着動作(S1003)を行う。S1000において、通紙する用紙が封筒であれば、封筒圧モードにして(S1002)、画像形成動作&定着動作(S1003)を行う。
通常圧モードと封筒圧モードにおける定着動作を図14に示したフローチャートを使って説明する。まず、CPU100は、加圧ローラ脱着モータM2を駆動させ、定着装置Fの圧力を通常圧に調整する(S1100)。次に、CPU100は、加圧ローラ2を駆動モータMにより駆動させ、加圧ローラ2およびベルト6を回転駆動し、コイル15に電圧を印加し、ベルト6を加熱する(S1101)。ベルト6が所定の温調温度に到達するまで、加熱と回転を継続する(S1102)。
図1のフローで決定されたモードが封筒圧モードの場合は定着装置Fの圧力を封筒圧に切り替える(S1103、S1104)。CPU100は画像形成部の画像形成動作により未定着トナーを載せた用紙Pをニップ部Nに導入して未定着トナーを用紙Pに定着させる(S1105)。
そして、CPU100はプリントジョブ終了するまでS1103〜S1105の動作を行い(S1106)、プリントジョブが終了したら駆動モータMの回転およびコイル15への電力供給を停止させる(S1107)。プリントジョブ終了後の設定により、加圧ローラ脱着モータM2を駆動させ、定着装置Fの圧力を通常圧もしくは圧解除に変更する(S1108)。
表1に本実施例の実験を行った結果を示す。実験は、30度・80%の環境下において、長型3号封筒(長3 中貼 本ケントCoC 80 〒枠ナシ、山櫻社製、120mm×235mm、坪量80g/m2)、を10枚連続して通紙する。そして、10枚中封筒皺が出なかったら○、1枚でも皺が出たら×とした。また、用紙分離性の確認のため、同じ環境で普通紙(Canon製 CS520 A4サイズ、坪量52g/m2)横送りの全面ブルー(Blue)画像を通紙した。
通常圧モードでは、封筒皺が発生するが、薄紙普通紙は問題ない。封筒圧モードでは、封筒皺は発生せず、薄紙普通紙で分離不良による定着ベルト6への紙巻きつきが発生した。これは圧力付与部材である加圧パッド8の上流側突起部8a、下流側突起部8c、圧力調整により実現したものである。すなわち、封筒圧モードではストレートニップを形成し封筒皺を防いで、通常圧モードではニップ上凸形状により問題なく薄紙の分離性を確保できることを示している。
以上説明したように、封筒の場合に圧力付与部材8の上下流側突起部8a、8cで定着ベルト6を支持したストレートニップを形成した封筒圧モードを用いる。これにより封筒皺の発生を防止し、さらに、通常圧モードでは加圧パッド8の上下流側突起部8a、8cと主圧部8bによる加圧で上凸ニップを形成して、普通紙の分離性を両立する定着装置を提供することができた。
《第2実施例》
本第2実施例は、第1実施例の構成において、図1のフローチャートを図15のように変更し、環境温度、湿度、封筒の坪量の少なくともどちらか一つにより封筒の剛性を判断し、封筒圧モードを行うかどうかを判断するものである。第1実施例と同様の構成においては、同じ番号を付与して説明を割愛する。
本第2実施例の制御を図15に示したフローチャートを使って説明する。図1と同様の動作は同じ番号を付与して割愛する。本第2実施例の構成では、S1000で通紙される用紙が封筒である場合において、封筒の剛性が所定値よりも高いと判断された場合は通常圧モードに設定する。封筒の剛性が所定値の剛性以下と判断された場合は封筒圧モードに設定して定着動作を行う(S2000)。
即ち、制御手段であるCPU100は、使用する記録材の剛性を判断する判断部を有し、CPU100は記録材情報が封筒の場合において、封筒の剛性が判断部により所定値よりも高いと判断された場合には第1の加圧モードを実行する。
封筒の剛性は、PC等の外部機器Dや操作部Cの入力部からユーザが設定した封筒の坪量情報、環境センサEによる温湿度情報からCPU100で判断される。本第2実施例では、温湿度センサEによる温湿度情報に基づいてプリンタ制御部57のCPU100が空気中の絶対水分量を判断する。
本第2実施例では、空気1kgあたり水の重さが8g以上である場合は、100g/m2より大きい坪量の封筒は剛性が高いと判断し通常圧モードに設定し、100g/m2以下の坪量の場合は封筒圧モードで定着動作を行う。また、空気1kgあたり水の重さが8gより少ない場合は、80g/m2より大きい坪量の封筒は剛性が高いと判断し通常圧モードに設定し、80g/m2以下の坪量の場合は封筒圧モードで定着動作を行う。
表2、表3に本第2実施例の実験を行った結果を示す。実験は30度・80%(表2)、15度・10%(表3)の環境下において、下記1)〜3)の封筒について、それぞれ、10枚連続して通紙した時の結果である。10枚中封筒皺が出なかったら○、1枚でも皺が出たら×とした。
1)長型3号封筒(長3 中貼 本ケントCoC 80 〒枠ナシ、山櫻社製、120mm×235mm、坪量80g/m2)
2)坪量が100g/m2の封筒(長3 中貼 本ケントCoC 100 〒枠ナシ、山櫻社製、120mm×235mm、坪量100g/m2)
3)坪量130g/m2の封筒(長3 スミ貼 ARウルトラホワイト 130 〒枠ナシ、山櫻社製、120mm×235mm、坪量130g/m2)
30度・80%環境のような高温多湿の場合(表2)、封筒の剛性が低いため、通常圧モードでは坪量80g/m2、100g/m2で封筒皺が発生するが、封筒圧モードでは封筒皺の発生はなく良好な画像が得られる。坪量130g/m2の厚手の封筒では、封筒の剛性により皺は発生しないものの、封筒圧モードではニップ幅が十分に確保できないため、熱量が足りずに定着不良が発生してしまった。
15度・10%環境のような低温低湿の場合(表3)、封筒の剛性が高いため、表2とは異なり通常圧モードでは坪量100g/m2では封筒皺が発生しなくなる。しかし、封筒圧モードではニップ幅が十分に確保できないため、熱量が足りずに軽微な剥がれ(定着不良)が発生してしまった。
以上説明したように、本第2実施例の構成は、環境温度、湿度、封筒の坪量の少なくともどちらか一つにより封筒の剛性を判断し、通常圧モードを行うかどうかを判断するものである。これにより封筒の坪量に最適なモードを選択することで、封筒皺の発生を防止し、用紙への供給熱量不足による定着不良の発生を防止することができる。
《第3実施例》
本第3実施例は、第1実施例の構成において、図14のフローチャートを図16のように変更し、通常圧で所定時間、装置を予熱回転を行う。これにより、耐久後や粘度の高いグリスを用いた場合でもスリップが発生しないようにした構成である。第1実施例と同様の構成においては、同じ番号を付与して説明を割愛する。
本第3実施例の制御を図16に示したフローチャートを使って説明する。図14と同様の 動作は同じ番号を付与して割愛する。本第3実施例の構成では、S1103で封筒圧モードが選択された場合、温調温度を維持しながら所定時間、装置を加熱回転(予熱回転)させる動作を行う。(S3000)。
表4に本第3実施例の実験を行った結果を示す。実験は第1実施例の構成において、CS680(Canon製 A4サイズ、坪量68g/m2)横送りで60万枚通紙を行った。その後、図16のS3000の動作での加熱空回転時間を変え、封筒圧に変更した後に駆動モータM1の回転により定着ベルト6が加圧ローラ2に従動して回転した場合を○とした。
S3000の動作で加熱空回転時間が5秒以下の場合は定着ベルト6がスリップしてしまうことがわかる。これは、定着ニップ部Nにあるグリスが耐久により摩耗粉などと混ざり合い劣化することで、粘度が高くなってしまったためである。封筒圧モードの場合、定着ニップ部Nが狭くなるため加圧ローラ2からの駆動力の伝達が弱くなってしまう。
そこで本第3実施例の構成では、通常圧で定着ベルト6に十分な駆動力を伝えた状態で加熱空回転を行い、定着ニップ部N近傍の耐久劣化したグリスを十分に温めて粘度を下げることで、定着ベルト6のスリップを回避した。即ち、第2の加圧モードを実行する際には第1の加圧モードで所定時間、装置を予熱回転してから第2の加圧モードに移行することが好ましい。
本第3実施例では、常に加熱空回転時間を一定としたが、耐久枚数カウンタが所定の枚数情報や、定着ベルト6の温度センサTHの温度履歴等からグリスの粘度を鑑みて、必要な場合のみ加熱空回転を行う構成でも良い。
《第4実施例》
次に第4実施例について、説明する。なお、実施例1と同様の構成については説明を省略する。
本実施例の制御を図13に示す制御系統のブロック図を使って説明する。制御部57は操作部Cや外部装置(PCやプリントサーバ等)Dとの間で各種の電気的情報の授受を行い、プリンタ部Bの印刷動作(画像形成動作)を統括的に制御する。操作部Cはユーザ(操作者、使用者)からの印刷モード設定および使用用紙・枚数等の印刷条件の各種の指示・設定の入力、操作者への装置の状態報知を行うユーザインターフェースである。
操作部Cや外部機器Dから、ユーザが入力する記録材種の情報(用紙サイズ、坪量および用紙種類等の記録材設定情報)が記録材情報処理部102に送られ、記録材情報処理部102の情報が、プリンタ制御部57のCPU100に転送される。CPU100は、メモリ101を参照し、記録材情報処理部102の情報によって、定着装置Fの圧力を所定の値にするように圧力制御部104に命令する。
圧力制御部104は、定着装置Fの圧力を所定の圧に制御する。即ち、使用される用紙が普通紙(封筒以外の記録材の設定情報)である場合には定着装置Fの圧力が通常圧(第1の加圧モード)となるように前述したように、モータM2を制御して変更機構を動作させる。また、封筒(封筒の設定情報)である場合には封筒圧(第2の加圧モード)となるようにモータM2を制御して変更機構を動作させる。
また、CPU100は、画像形成装置本体に取り付けられた温湿度センサE(図2)の情報とベルト6の温度センサTHの検知温度をもとに、コイル15に給電する電源装置103を制御してベルト6を所定の温度に制御できる。CPU100は加圧ローラ2を駆動するモータM1を制御して、加圧ローラ2を回転させたり、停止させたりできる。
選択部として機能する操作部Cは、図20(a)に示すように、ユーザにより指示を行うためのキー操作が行われるキーを複数備えた操作パネル41と液晶画面等の表示部としてのタッチパネル403を有する。タッチパネル403はユーザが各種情報を入力可能なマニュアル入力手段である。操作パネル41には、ハードキー(ユーザがキー操作を行う部位)である、スタートボタン(画像形成開始を指示するためのボタン)401、数値入力ボタン(0〜9までの各数字のボタン)402、サブ電源スイッチ404が設けられている。
タッチパネル403には、ソフトキー(ユーザがキー操作を行う部位)である、画像形成に関わる指示ボタンが表示されている。その指示ボタンは、例えば、記録材の種類を設定するためのボタン(用紙の坪量を設定する)、記録材の両面への画像形成を指示するためのボタン、ステイプル処理を指示するためのボタンなどである。これらのボタン(キー)をユーザがタッチすることにより各種指示が行われる。
なお、操作パネル41の液晶表示部のタッチパネル403および外部機器DとしてのPC(パソコン)のディスプレイに表示される表示画面は共通のインターフェースであるため、以下、両者の表示画面を同じ符号403を付与して説明する。
ユーザが印刷もしくはコピーする場合には、図20の(b)に示す表示画面403から用紙種類を選択する。このときに封筒キーB101を選択した場合は、表示画面403は図20の(c)に示す画面に切り替わり、封筒皺の改善を優先するキーB201か、画像品質を優先するキーB202かを選択することが可能である。このように操作部Cまたは外部機器Dを通じてユーザにより指定された情報は、記録材情報処理部102を通してCPU100へ送信される構成となっている。
本実施例の制御を図19に示したフローチャートを使って説明する。まず画像形成装置は画像形成ジョブ(JOB)を受け付ける。ユーザが表示画面403から封筒キーB101を設定した封筒ジョブかどうかをCPU100が判断する(S1000’)。CPU100は、通紙する用紙Pが封筒でなければ定着装置Fの圧力を通常圧モードにし(S1002’)、画像形成動作と定着動作を行う(S1004)。
S1000’において、CPU100は、ユーザが表示画面403から封筒キーB101を設定した封筒ジョブである場合、次に、ユーザが封筒皺改善キーB201を設定した皺改善モードを選択しているかどうかを判断する(S1001’)。ユーザが皺改善モードを選択している場合、定着装置Fの圧力を封筒圧モードにし(S1003’)、画像形成動作と定着動作を行う(S1004’)。
また、ユーザが画質優先キーB202を設定した画質優先モードを選択している場合、定着装置Fの圧力を通常圧モードにし(S1002’)、画像形成動作と定着動作を行う(S1004’)。即ち、CPU100は、封筒の設定情報である場合であっても他の画像形成に関する設定情報に基づいて通常圧モード(第1の加圧モード)への切り替えを実行する。
通常圧モードと封筒圧モードにおける定着動作を図14に示したフローチャートを使って説明する。まず、CPU100は、加圧ローラ脱着モータM2を駆動させ、定着装置Fの圧力を通常圧に調整する(S1100)。次に、CPU100は、加圧ローラ2を駆動モータMにより駆動させ、加圧ローラ2およびベルト6を回転駆動し、コイル15に電圧を印加し、ベルト6を加熱する(S1101)。ベルト6が所定の温調温度に到達するまで、加熱と回転を継続する(S1102)。
図19のフローで決定されたモードが封筒モードの場合は定着装置Fの圧力を封筒圧に切り替える(S1103、S1104)。CPU100は画像形成部の画像形成動作により未定着トナーを載せた用紙Pをニップ部Nに導入して未定着トナーを用紙Pに定着させる(S1105)。
そして、CPU100はプリントジョブ終了するまでS1103〜S1105の動作を行い(S1106)、プリントジョブが終了したら駆動モータMの回転およびコイル15への電力供給を停止させる(S1107)。プリントジョブ終了後の設定により、加圧ローラ脱着モータM2を駆動させ、定着装置Fの圧力を通常圧もしくは圧解除に変更する(S1108)。
表5に本実施例の実験を行った結果を示す。実験は、30度・80%の環境下において、画質優先モード、皺改善モード、それぞれのモードにおいて、下記1)のケント封筒および2)のレーザプリンタ用封筒についてそれぞれ全面ブルー(Blue)画像で10枚連続して通紙した。
1)ケント封筒長型3号封筒(長3 中貼 本ケントCoC 100 〒枠ナシ、山櫻社製、120mm×235mm、坪量100g/m2)
2)レーザプリンタ用長型3号封筒(長3 スミ貼 PODホワイト2.0 100g/m2 枠ナシ、山櫻社製、120mm×235mm、坪量100g/m2)
この時、封筒皺は10枚中封筒皺が出なかったら○、1枚でも皺が出たら×とした。
画質優先モードでは、ケント封筒では封筒皺が発生するが、レーザプリンタ用封筒は問題がない。これは、レーザプリンタ用封筒には空気穴などの処理がされているため、封筒皺の発生を抑えているためである。
封筒圧モードでは、どちらの封筒も封筒皺は発生しないが、どちらの封筒も用紙の地合いムラ(ス)や封筒を張り合わせた部分近傍での模様(段差ムラ)が発生した。これは本実施例の封筒圧では、圧力が少なくなるため封筒の用紙表面に定着ベルト6表層が十分に追従できないことによるものである。
本実験で明らかなように、レーザプリンタ用封筒などの封筒皺の発生リスクが少ない封筒を定着する場合にも、封筒圧で定着動作を行うと不必要に画像品質を低下させる恐れがある。よって本実施例の発明のように封筒皺改善を優先させるか画質を優先させるかを、ユーザが自由に選択するように構成することでこのような問題を回避可能である。
《第5実施例》
本実施例は、第4実施例の定着装置構成において、封筒皺改善を優先させるか画質を優先させるかを給紙カセットごとに登録可能としたものである。
即ち、画像形成装置は複数の記録材収容部としての給紙カセットを有する。CPU60はユーザが操作部Dにより複数の給紙カセットの中から選択した給紙カセットに係る用紙情報(記録材設定情報)により変更機構を制御して通常圧モード(第1の加圧モード)と封筒圧モード(第2の加圧モード)との切り替えを実行する。
具体的に、図2における上段の給紙カセット69に収容されている用紙Pとしての封筒が第6実施例における1)のケント封筒であり、下段の給紙カセット70に収容されている用紙Pとしての封筒が2)のレーザプリンタ用封筒である場合を想定する。この場合において、上段の給紙カセット69を皺改善モード、下段の給紙カセット70を画質優先モードに設定しておくことが可能になる。これにより、ユーザがプリント時にモードを意識することなく最適なモードで封筒をプリント可能になる。
以上説明したように、本実施例の定着装置を用いると、低熱容量系の定着装置において、封筒皺の発生を防止し、ユーザの好みに合わせて封筒皺の発生と、画像品位を調整することが可能である。
《第6実施例》
本第6実施例は、第1〜5実施例の構成において、ベルト6を加熱するコイルユニット(誘導加熱装置)3を無くし、ハロゲンヒータ15’によりベルト6を加熱する構成である。第1実施例と同様の構成においては、同じ番号を付与して説明を割愛する。
図17に示すように、ハロゲンヒータ15’はステー7’の内部に配置され、ベルト6を輻射熱で加熱するようになっている。ステー7’はハロゲンヒータ15’の光を透過する耐熱ガラスからなる。ハロゲンヒータ15’は第1実施例と同様に制御部57のCPU100で制御される電源装置103に接続され、定着ベルト6の温度が所定の温度になるように、温度センサTHの温度情報に基づきCPU100によりON/OFF制御される。
以上のように構成することで、コイル15の代わりにハロゲンヒータ15’を用いた場合においても第1〜5実施例と同等の効果が得られる。
《第7実施例》
本第7実施例も、第1〜5実施例の定着装置構成において、ベルト6を加熱するコイルユニット(誘導加熱装置)3を無くし、ベルト6を抵抗発熱層を有するベルト6’にする構成である。第1実施例と同様の構成においては、同じ番号を付与して説明を割愛する。
本実施例の定着装置構成を図18の(a)に示す。第1実施例の定着装置構成から誘導加熱に係わる部分をなくし、ベルト6が抵抗発熱層を有するベルト6’に変更されている。
本実施例における抵抗発熱層を有するベルト6’の構成を図18の(b)を用いて説明する。本実施例におけるベルト6’は、内周側から外周側へ順に、滑性層6d、基層6a’、発熱層6e、弾性層6b、離型層6cの5層複合構造である。また、ベルト幅方向の端部には、給電電極部(不図示)がある。
ベルト6’は内径が4mmのポリイミドからなる基層6a’を有している。この基層6a’の厚みは60μmである。本第5実施例では絶縁性のポリイミドを用いたが、基層6a’としてポリイミドアミド、PEEK、PTFE、PFA、FEP等の樹脂ベルト、更にはSUS、ニッケルなどの金属ベルトを使用できる。尚、基層6a‘として導電性を有する材料を用いる場合は、基層6a’と発熱層6eとの間にポリイミドなどの絶縁層を設ける必要がある。
基層6a’の内面側には、ベルト内面と温度センサTHとの摺動摩擦を低下させるために、フッ素樹脂やポリイミドなどの樹脂層(滑性層)6dを10〜50μm設けても良い。本実施例では、フッ素樹脂を10μm設けた。
発熱層6eは、基層6a’と弾性層6bの間に形成される。発熱層6eは導電粒子としてのカーボンを含有したポリイミド樹脂を均一な厚さで基層6a’上に塗布した抵抗発熱体である。発熱層6eの総抵抗値は10.0Ωである。従って、電圧が100Vの交流電源を通電する際に発生する電力は1000Wである。尚、この抵抗値は定着装置として必要な発熱量によって適宜決定すればよく、カーボンの混合比率により適宜調整することができる。
更に、ベルト6’の両端部には不図示の給電電極部が形成されており、不図示の給電電極部は発熱層6eの両端と電気的に接続される。給電電極部は銀・パラジウムを含んだ導電特性を有する材料を用いている。
ベルト6’の給電電極部は、第1実施例と同様に制御部57のCPU100で制御される電源装置103に接続され、ベルト6’の温度が所定の温度になるように、温度センサTHの温度情報に基づきCPU100によりON/OFF制御される。
以上のように構成することで、コイル15の代わりに抵抗発熱層を有するベルト6’を用いた場合においても第1〜5実施例と同等の効果が得られる。
以上説明したように、本実施例の定着装置を用いると、低熱容量系の定着装置において、封筒皺の発生を防止し、ユーザの好みに合わせて封筒皺の発生と、画像品位を調整することが可能である。
《その他の事項》
(1)実施例の定着装置Fにおいては、加圧パッド8を、ベルト6を介して加圧ローラ2に対して加圧しているが、逆に、加圧ローラ2を、ベルト6を介して加圧パッド8に対して加圧する機構構成にすることもできる。また、加圧パッド8と加圧ローラ2とをベルト6を介して互いに加圧する機構構成にすることもできる。即ち、加圧パッド8と加圧ローラ2とをベルト6を介して相対的に加圧する機構構成にすることができる。
(2)定着部である定着装置Fは記録材に形成された未定着のトナー像を固着像として加熱定着する装置としての使用に限られない。記録材に一旦定着された或いは仮定着されたトナー像を再度加熱加圧して画像の光沢度を向上させるなどの画像の表面性状を調整する装置としても有効である(このような装置についても定着装置と呼ぶ)。
(3)画像形成装置は実施例のようなフルカラーの画像を形成する画像形成装置に限られず、モノクロの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。