JP5875271B2 - 定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録材上のトナー画像を定着する定着装置に関する。
電子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置に搭載する画像加熱装置としては、例えば、記録材上の未定着画像を記録材に定着する定着装置や、記録材に形成された画像を加熱することにより画像の光沢を増大させる光沢増大化装置等を挙げることができる。
画像加熱装置には各種の構成・方式のものが知られている。特許文献1には、定着部材の基材に発熱体層をもった発熱ローラへの給電方法が、構成の簡略化、耐久性の向上を目的として提案されている。より具体的には、基材上に発熱体層及び絶縁層、摺動用給電層を設け、摺動用給電層に給電部材を当接させている。
特開平9−006166号公報
記録材上の画像を加熱するニップ部は、発熱ローラと加圧部材とが圧する構成により形成される。発熱ローラの回転軸線方向において、ニップ部を形成する加圧部材の加圧部の長さが発熱体層の長さよりも短い構成にすると、加圧部と圧しない発熱体層の領域は、熱が加圧部により奪われないため、昇温が大きくなる。
そのため、前記方向において、加圧部の長さは発熱体層の長さよりも長くする構成が考えられる。そして、このような場合であっても、発熱体層に給電するための給電層は発熱体層の端部に設けられる構成になる。
しかし、前記方向において、加圧部の長さは発熱体層の長さよりも長くする構成の場合には、加圧部は給電層を加圧する構成となる。給電層は、記録材上の画像を加熱するものではないことから給電層への加圧力は必要とされないため、使用による消耗等の観点からできるだけ力学的な負荷を減らすことが望ましい。
本発明の目的は、加圧部材による給電層(導電層)への力学的な負荷を低減することが可能な定着装置を提供することを目的とする。
記の目的を達成するための本発明に係る定着装置の代表的な構成は、記録材上のトナー像をニップ部にて定着する定着ベルトであって、給電により発熱する発熱層と、前記発熱層の上に設けられたゴム層と、前記ゴム層の上に設けられたフッ素樹脂層と、前記定着ベルトの長手方向一端部に設けられた第1の導電層と、前記定着ベルトの長手方向他端部に設けられており、前記発熱層を介して前記第1の導電層と共同して給電部を形成する第2の導電層と、を有する定着ベルトと、前記定着ベルトを回転駆動するとともに前記定着ベルトと共同して前記ニップ部を形成する駆動回転体と、を有し、前記駆動回転体は前記発熱層の長手方向端部を越えて長手方向外側にそれぞれ延在しており、前記フッ素樹脂層は前記第1の導電層の一部および前記第2の導電層の一部をカバーするように延在して前記駆動回転体に対向していることを特徴とする。
本発明の定着装置によれば、加圧部材による導電層(給電層)への力学的な負荷を低減することが可能である。
実施例1における画像形成装置の概略図である。 定着装置の要部の拡大横断面模型図である。 (a)は同じく要部の正面模型図、(b)は縦断正面模型図である。 定着装置の長手方向両端部の要部の模式図である。 実施例及び比較例の装置の定着ベルトの温度推移を表すグラフである。 実施例2における定着装置の長手方向両端部の要部の模式図である。
以下、本発明の実施例について説明する。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は実施例にて説明する各種構成にのみ限定されるものではない。即ち、本発明の思想の範囲内において実施例において説明する各種構成を他の公知の構成に代替可能である。
[実施例1]
(1)画像形成部
図1は本発明に従う画像加熱装置を定着装置20として搭載した画像形成装置の一例である電子写真フルカラープリンタの概略構成を示す縦断面模式図である。まず、画像形成部の概略を説明する。このプリンタは、制御部(制御回路:CPU)100と通信可能に接続した外部ホスト装置200からの入力画像情報に応じて作像動作して、記録材上にフルカラー画像を形成して出力することができる。装置200は、コンピュータ、イメージリーダー等である。回路部100は、装置200や操作部300と信号の授受をする。また各種作像機器と信号の授受をし、作像シーケンス制御を司る。
8は無端状でフレキシブルな中間転写ベルトであり、二次転写対向ローラ9とテンションロ−ラ10との間に張架されていて、ローラ9が駆動されることにより矢印の反時計方向に所定の速度で循環移動駆動される。11は二次転写ローラであり、ローラ9に対して中間転写ベルト8を介して圧接している。中間転写ベルト8とローラ11との当接部が二次転写部である。
1Y・1M・1C・1Bkは第1乃至第4の4つの画像形成部であり、中間転写ベルト8の下側においてベルト移動方向に沿って所定の間隔をおいて一列に配置されている。各画像形成部はレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、それぞれ、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと略記する)2を有する。
各ドラム2の周囲には、一次帯電器3、現像装置4、一次転写ローラ5、ドラムクリーナ装置6が配置されている。各ローラ5は中間転写ベルト8の内側に配置されていて、中間転写ベルト8の下行き側のベルト部分を介して対応するドラム2に対して圧接している。各ドラム2と中間転写ベルト8との当接部がそれぞれ一次転写部である。7は各画像形成部のドラム2に対するレーザ露光装置であり、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光手段、ポリゴンミラー、反射ミラー等で構成されている。
画像形成動作は、装置200や操作部300から制御部100に対して、使用する記録材サイズ、画像データ、枚数等のユーザー設定情報が転送された後に開始される。制御部100は装置200から入力されたカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部を作像動作させる。これにより、第1乃至第4の画像形成部1Y・1M・1C・1Bkにおいて、それぞれ、回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー像が形成される。なお、ドラム2にトナー像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で循環移動駆動されている中間転写ベルト8の外面に対して順次に所定に重畳されて一次転写される。これにより、中間転写ベルト8の面に上記の4つの色トナー像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
一方、制御部100は装置200或いは操作部300の記録材サイズ入力手段からの記録材サイズ選択信号により、その信号に対応したサイズの記録材を給紙部から給紙する。即ち、所定の給紙制御タイミングにて、大小各種幅サイズの記録材Pを積載収容させた上下多段のカセット給紙部13A・13B・13Cのうちの選択されたサイズの記録材が収納されている段位の給紙カセットの給紙ローラ14が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。
手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ18が駆動される。これにより、手差しトレイ(マルチ・パーパス・トレイ)17上に積載セットされている記録材が1枚分離給紙されてパス15を通ってローラ16に搬送される。
ローラ16は、回転する中間転写ベルト8上の上記のフルカラートナー像の先端が二次転写部に到達するタイミングに合わせて記録材Pの先端部が二次転写部に到達するように記録材Pをタイミング搬送する。これにより、二次転写部において、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像が一括して記録材Pの面に二次転写されていく。二次転写部を出た記録材Pは、中間転写ベルト8の面から分離され、縦ガイド19に案内されて、定着装置(定着器)20に導入される。
この定着装置20により、上記の複数色のトナー像が溶融混色されて記録材表面に固着像として定着される。定着装置20を出た記録材はフルカラー画像形成物として搬送パス21を通って排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出される。二次転写部にて記録材分離後の中間転写ベルト8の面はベルトクリーニング装置12により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
モノ黒プリントモードの場合には、ブラックトナー像を形成する第4の画像形成部1Bkのみが作像動作制御される。
また、両面プリントモードが選択されている場合には、第1面プリント済みの記録材がローラ22によりトレイ23上に送り出されていき、後端部がローラ22を通過する直前の時点でローラ22の回転が逆転に変換される。これにより、記録材はスイッチバックされて再搬送パス24に導入される。そして、表裏反転状態になって再びローラ16に搬送される。以後は、第1面プリント時と同様に、二次転写部、定着装置20に搬送されて、両面プリント画像形成物としてトレイ23上に送り出される。
(2)定着装置20
本実施例における定着装置20は、加熱回転体(回転可能な画像加熱部材)として、抵抗発熱層を設けた無端状のベルト(ベルト)を用いたベルト加熱方式・加圧回転体駆動方式(テンションレスタイプ)の画像加熱装置である。
ここで、以下の説明において、定着装置又はこれを構成している部材について長手方向とは、記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向である。本実施例では、この長手方向は、ベルトの回転軸線方向と同じである。定着装置20に関して、正面とは記録材導入側の面、左右とは装置を正面から見て左又は右である。
図2は定着装置20の要部の拡大横断面模型図、図3の(a)は同じく要部の正面模型図、(b)は縦断正面模型図である。10は定着ベルトアセンブリ、18は加圧回転体(回転可能な加圧部材)としての弾性加圧ローラである。アセンブリ10と加圧ローラ18との圧接により定着ニップ部Nを形成させている。
アセンブリ10において、12は記録材上の画像を加熱するための加熱回転体としての、円筒状(スリーブ状:エンドレス)で可撓性を有する定着ベルトである。11はベルト12の内側に挿通されている横断面略半円弧状樋型の耐熱性樹脂製のベルトバックアップ部材である。ベルト12はバックアップ部材11に対してルーズに外嵌されている。14は横断面コ字型の剛性を有する加圧ステイであり、バックアップ部材11の内側に挿通されている。15はステイ14の左右両端部の外方突出腕部14aにそれぞれ嵌着した端部ホルダである。15aはこの端部ホルダ15と一体のフランジ部である。
ベルト12は、図4の模式図に示すように、円筒状の絶縁性の基材(基材層:基層)12aと、その外周に沿って設けられた抵抗発熱層(通電により発熱する発熱層)12bを有する。更にその外周に沿って設けられた絶縁層(表面層、離型層)12dと、を有する複合層構成部材である。必要に応じて、基材層12aと抵抗発熱層12bとの間、発熱層12bと絶縁層12cとの間、他の機能層を介在させた複合層構成にすることもできる。
本実施例においては、発熱層12bと絶縁層12dの間に、トナーの溶融状態を調整するために、弾性層(第一弾性層)12cが設けられている。即ち、発熱層12bの上層に弾性層12cが配置され、弾性層12cの上層に絶縁層12dが配置されている。
また、基材層12aの一端側(長手方向一端部)と他端側(長手方向他端部)の外周面にはそれぞれ周に沿ってリング状に給電層(給電部:第1の導電層と第2の導電層)12eが設けられている。各給電層12eは発熱層12bに対して給電するための低抵抗の電極層であり、それぞれ、発熱層12bの一端側と他端側とにおいて電気的に導通している。即ち、各給電層12eはそれぞれ発熱層12bよりも外側の基材層12a部分の外周面にリング状に設けられており、発熱層12bに電気的に接続されている。給電層12eは、電力が供給されるための接点部(後述する給電手段と接する接触領域)を有する。即ち、各給電層12eは発熱層12bを介して共同して給電部を形成している。
基材層12aは、耐熱性、電気絶縁性、機械的強度を有する材料層である。本実施例において、円筒状の基材層12aは、ポリイミド製で、厚み30μm、内径30mmである。ポリイミドは、耐熱性、電気絶縁性、強靭性に優れた樹脂である。基材層12aの厚みは、剛性の観点から15μm以上が好ましい。また、ベルト12を迅速に加熱するためには、熱容量を抑える必要があり、100μm以下が好ましい。
発熱層12bは、エポキシ樹脂溶液中に導電性を向上させるため、カーボンブラック(炭素)又はグラファイト(石墨、黒鉛)及び金属粉末(例えば、銀粉)を混入することで構成されている。本実施例においては、カーボンブラックに、銀粉を混入したものを使用した。
弾性層12cは、例えば、シリコンゴムあるいはフッ素ゴムからなる弾性層(ゴム層)である。本実施例においては、300μmの厚さのシリコンゴム層である。離型層12dは、例えば、フッ素樹脂からトナー離型層(フッ素樹脂層)である。本実施例においては、離型層12dは厚さ30μmのPFAチューブ層である。
加圧ローラ18は、内側から芯金18a、弾性層(第二弾性層)18b、トナー離型層18cの積層ローラである。本実施例においては、ローラ18は外径30mmであり、芯金18aは中実のSUS、弾性層18bは3.0mのシリコンゴム、離型層18cは30μmのPFAチューブである。本実施例では、ベルト12を圧する領域である加圧部は弾性層18bとPFAチューブ18cである。ローラ18は、芯金18aの左右両端部を装置フレーム16の左右の側板16L・16R間に軸受部材17を介して回転自由に軸受保持させて配設してある。
このローラ18に対して、アセンブリ10を、バックアップ部材11の下面側を対向させて並行に配列する。そして、左右の端部ホルダ15を、それぞれ、加圧バネ(加圧機構)19により所定の力でローラ18の軸線方向に附勢する。即ち、ステイ14をローラ18の軸線方向に附勢する。これにより、バックアップ部材11の下面をベルト12を介してローラ18に対して加圧部の弾性層18bの弾性に抗して圧接させて、ベルト12とローラ18との間に加熱定着に必要な、記録材搬送方向cに関して所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。
本実施例においては、300Nで加圧され、幅8mmのニップ部Nが形成されている。21と22は装置フレーム16に組付けた入り口ガイドと出口ガイドである。
図3におけるGはローラ18の芯金18aの一端部に固着したドライブギアである。このギアGに定着モータMの回転力が不図示の動力伝達機構を介して伝達されることで、ローラ18が図2において矢印の反時計方向に回転駆動される。
このローラ18の回転駆動により、ローラ18とベルト12の外面とのニップ部Nにおける摩擦力でベルト12に回転力が作用する。これにより、ベルト12が、その内面がニップ部Nにおいてバックアップ部材11に密着して摺動しながら矢印の時計方向にバックアップ部材11の外回りを回転する。ベルト12はローラ18の回転スピードにほぼ対応したスピードをもって回転する。即ち、ローラ18はベルト12を回転するとともにベルト12と共同してニップ部Nを形成する駆動回転体(駆動ローラ)である。
左右のフランジ部15aは、回転するベルト12がバックアップ部材11の長手に沿って左方または右方に寄り移動したとき寄り側のベルト端部を受け止めて移動を規制する役目をする。ベルト12の内面にはグリース(潤滑剤)を塗布してバックアップ部材11に対するベルト12の摺動性を確保している。
ニップ部Nに導入された記録材Pは、ローラ18とベルト12の回転により挟持搬送される。本実施例では、記録材Pの搬送は記録材中心の、いわゆる中央基準搬送で行われる。すなわち、装置に通紙使用可能な大小いかなる幅の記録材も、記録材幅方向中央部がベルト12の長手方向中央部を通過することになる。Sはその記録材中央通紙基準線(仮想線)である。WPは装置に通紙使用可能な最大幅(記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の寸法)の記録材(通紙可能な最大サイズの記録材)の通紙域幅(最大通紙域幅)である。
ベルト12の内側には、ベルト12の温度制御のためにベルト温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタTHが配設されている。サーミスタTHは、大小いかなる幅の記録材Pも通紙部となるベルト部分の温度を検出するように、ベルト12の長手方向のほぼ中央部位置においてベルト内面に弾性的に接触させて配設されている。本実施例においては、サーミスタTHはステイ14に基部を固定して配設した弾性部材13の先端部に支持させてあり、弾性部材13の弾性によりベルト12の内面に弾性的に接触している。
ベルト12の両端部の給電層12eの電力が供給されるための接点部に対してそれぞれ給電部材23が弾性的に接触させて配設されている。本実施例においては、給電部材23はカーボンブラックである。給電部材23は回転するベルト12の給電層12eに対して弾性的に接触して摺動して給電層12eとの電気的導通を保つ(接触領域、接点)。この左右の給電部材23間に電源部(AC電源)24から電力が供給されることにより発熱層12bが全域において発熱して、ベルト12の発熱層形成領域が加熱される。
そのベルト12の温度がサーミスタTHにより検出され、サーミスタTHから出力されるベルト温度に関する電気的検知情報(検出温度情報)がA/Dコンバータ25を介して制御部(CPU)26に入力する。制御部26はサーミスタTHからの検出温度情報に基づいてベルト温度を所定の温度(定着温度)に維持するようにトライアッツク27を制御する。即ち、制御部26はAC電源24から給電層12e(発熱層12b)に対する供給電力を制御する。
而して、制御部26は、所定の制御信号に基づいて、定着モータ駆動回路28を制御して、ローラ18の回転駆動を開始させる。また、トライアッツク27を制御して、ベルト12のヒートアップを開始させる。バックアップ部材11はベルト12を断熱保持するとともに、ベルト内面ガイド部材となる。
ベルト12の回転スピードが定常化し、また、ベルト12の温度が所定に立ち上がった状態において、画像形成部側からニップ部Nに未定着トナー像tを担持した記録材Pが入り口ガイド21に沿って案内されて導入される。記録材Pのトナー画像担持面側がベルト12に対面する。
記録材Pはニップ部Nにおいてベルト12に密着してベルト12と一緒にニップ部Nを移動通過していく。その移動通過過程において加熱されるベルト12により記録材Pに熱が付与されてトナー画像tが記録材面に加熱定着される。ニップ部Nを通過した記録材Pはベルト12の面から曲率分離され、出口ガイド22沿って案内されて排出搬送される。
L12はベルト12の長さ寸法、L12bは発熱層12bの長さ寸法、L18はローラ18(=弾性層18b(加圧部))の長さ寸法である。また、L12dは、絶縁層12dの長さ寸法である。本実施例の装置20においては、L12>L12d≧L18>L12b>WPの寸法関係にしてある。
発熱層12bは、ベルト12の回転軸線方向においてニップ部Nの端部よりも内側になるような位置に配置されている。発熱層12bよりも上層に配置されている弾性層12cもベルト12の回転軸線方向においてニップ部Nの端部よりも内側になるような位置に配置されている。図4において、弾性層12cの長さ寸法は発熱層12bの長さ寸法と同じにしてあり、ベルト12の回転軸線方向における弾性層12cの端部は発熱層12bの端部と同じ位置である。ベルト12の回転軸線方向における発熱層12bと弾性層12cの幅は通紙可能な最大サイズの記録材の幅WPよりも大きい。
そして、弾性層12cよりも上層に設けられた表面層である絶縁層12dはニップ部Nの端部の外側(長手方向外側)まで延在し給電層12eの一部をカバーするように設けられている。換言すると、ベルト12の回転軸線方向において、発熱層12bと第一弾性層12cの端部は通紙可能な最大幅の記録材の通紙領域WPの外側であって、ローラ18の第二弾性層18bの内側に配置されている。表面層である絶縁層12dはローラ18の第二弾性層18bの端部よりも外側まで延在し、給電層12eの一部をカバーしている。
絶縁層12dの長手方向端部の位置を位置C、ローラ18の加圧部の端部位置(=ニップ部Nの長手方向端部の位置)を位置B、発熱層12bの長手方向端部の位置を位置Aとした場合に、位置Cは、位置Bと同位置、または位置Bよりも端部側に位置するように構成している。このように構成することで、ローラ18が、位置Aから位置Bの範囲において給電層12eに直接触れることがなくなる。従って、ローラ18による給電層12eの摩耗は起きなくなり、発熱層12eへのより安定した電力供給が可能となる。
また、位置Aから位置Bの間に弾性層12cを設けないことにより、ローラ18の加圧部が給電層12eを圧する圧力を小さくすることができる。なお、図4の模式図においては、ローラ18の端部の位置Aから位置Bの範囲で、ローラ18が絶縁層12dに対して弾性層12cと絶縁層12dの厚み分浮いていて非接触の状態に描かれている。しかし、実際には、弾性層12cと絶縁層12dは厚みが薄く、また弾性層12cとローラ18側の弾性層18bが加圧力で圧縮されることで、ニップ部Nにおいて、ローラ18の端部の位置Aから位置Bの範囲で、ローラ18が絶縁層12dに接触しながら回転する。
ここで、逆に、位置Aが位置Bよりも端部側に配置された場合を比較例として、装置に通紙使用可能な最大幅記録材を連続通紙した場合の、ベルト12の非通紙部の温度比較を行う。表1に、位置Aと位置Bの配置の条件を示す。「A−B間の距離(mm)」は、位置Bが位置Aよりも端部側に配置されている場合を正、位置Aが位置Bよりも端部側に配置されている場合を負とした。
本実施例においては、ローラ18を246mm/sで回転させ、ベルト12は、ローラ18に従動させた。また、記録材PはA4サイズの105g/mの坪量のものを、1分間に51枚の割合で通紙(横送り)した。また、発熱層12bは、全体で抵抗値が10Ωのものを用意した。従って、本実施例においては、100Vの交流電圧を印加することで1000Wの電力を発熱層12bに投入することとした。そのときのベルト12の被通紙部の温度推移を示したのが図5である。
0〜30秒の間は、ベルト12を回しながら温度を上昇させ、ベルト中央温調で190℃温調をし、30秒から通紙を開始した。aはベルト12の長手中央部の温度であり、どの場合もほぼ同じ温度推移を示した。その他の凡例がついた線は、表1の各々の実験条件でのベルト長手端部の非通紙部の温度である。実施例1−1〜1−3は、程度に差はあるが、通紙開始後の60秒間(図5で90秒の部分)で絶縁層12dであるPFAチューブの耐熱温度230℃以上には上がっていない。一方、比較例1−1〜1−4は、通紙開始後10秒程度で、すぐに230℃を越えてしまっている。
従って、非通紙部昇温の観点から、位置Bを位置Aよりも端部側に配置することが有効であることがわかる。図4において、位置Bを位置Aの内側に配置した場合、「最大記録紙サイズ」と位置A間の発熱部の熱が、ローラ18に熱伝導できず、非通紙部で昇温することが原因と考えられる。
この現象は、図5からも明らかなように、位置A=位置B(比較例1−1)の場合にも、ローラ18への熱伝導の効果が十分でなく、非通紙部での昇温が起きてしまう。また、位置A−位置B間の距離は、図5より1mm以上(実施例1−1〜1−3)が好ましいと言える。従って位置A−位置B間の距離は、ゼロより大きい場合、非通紙部の昇温を抑制する効果が得られるが、好ましくは位置A−位置B間の距離が1mm以上である。
次に、弾性層12cと発熱層12bの端部の位置関係について説明する。弾性層12cと発熱層12bの端部の位置は実質的に同じである。一方、弾性層12cの端部が発熱層12bの端部よりも外側にある場合には、加圧部からの圧力が弾性層12cを押圧し、弾性層12cが給電層12eを押圧するため、好ましくない。
一方、弾性層12cの端部が発熱層12bの端部よりも外側にある場合には、弾性層12cが積層されていない発熱層12bの領域の温度の上昇が大きくなるが、弾性層12cの端部と発熱層12bの端部の差が小さい場合には、温度上昇幅を小さくできる。そのため、弾性層12cと発熱層12bの端部の位置は実質的に同じであるか、発熱層12bの端部が弾性層12cの端部よりも外側にあることが好ましい。
次に、位置Bと位置Cについて説明する。離型層12dの端部(位置C)が加圧部の端部(位置B)よりも内側にあると、加圧部が直接給電層12eを押圧することが生じ、給電層12eの摩耗が大きくなる可能性がある。そのため、離型層12dの端部は加圧部の端部の位置と同じ或いは加圧部の端部よりも外側であることが好ましい。
[実施例2]
実施例1では、加圧部材の加圧部の端部が、ベルトの表面層である絶縁層(離型層)の端部よりも中央部側であり、ベルトの弾性層の端部よりも外側に位置する構成であった。それに対して、本実施例では、ベルトの絶縁層の端部が加圧部材の加圧部の端部よりも中央側に配置すると共に、新たな絶縁層を設け、絶縁層の端部が加圧部材の加圧部の端部よりも外側に配置する構成とするものである。
図6は本実施例の構成を示したものである。なお、特に説明がいない実施例1と同じ符号のものは、実施例1と同じ構成である。本実施例では、発熱層12bと弾性層12cの間に、新たな絶縁層12fを設けたものである。そして、表面層である絶縁層12dの端部と弾性層12cの端部は実質的に同じ位置に設けたものである。
先ず、絶縁層12fについて説明する。この絶縁層12fは、発熱層12bと弾性層12cとの間に設けられた絶縁性の層である。本実施例では、絶縁層12fは、ポリイミド製で、厚み10μmである。そして、ベルト12の回転軸線方向における長さ(幅)L12fは、発熱層12bの長さL12bの長さよりも長いものである。また、ローラ18の加圧部の長さL18は、発熱部12bの長さL21bよりも大きいが、絶縁層12fの長さL12fよりも小さい。
即ち、長さ関係は、WP<L12b<L18<L12fとなっている。換言すると、ベルト12の回転軸線方向において、発熱層12bと第一弾性層12cの端部は通紙可能な最大幅の記録材の通紙領域WPの外側であって、ローラ18の第二弾性層18bの内側に配置されている。そして、絶縁層12fはローラ18の第二弾性層18bの端部よりも外側まで延伸し、給電層12eの一部をカバーしている。
このように構成することで、ローラ18が、位置Aから位置Bの範囲において給電層12eに直接触れることがなくなる。従って、ローラ18による給電層12eの摩耗は起きなくなり、発熱層12eへのより安定した電力供給が可能となる。また、位置Aから位置Bの間に弾性層12cを設けないことにより、加圧部が給電層12eを圧する圧力を小さくすることができる。
次に、弾性層12cと発熱層12bの端部の位置関係について説明する。弾性層12cと発熱層12bの端部の位置は実質的に同じである。一方、弾性層12cの端部が発熱層12bの端部よりも外側にある場合には、加圧部からの圧力が弾性層12cを押圧し、弾性層12cが給電層12eを押圧するため、好ましくない。
一方、弾性層12cの端部が発熱層12bの端部よりも外側にある場合には、弾性層12cが積層されていない発熱層12bの領域の温度の上昇が大きくなるが、弾性層12cの端部と発熱層12bの端部の差が小さい場合には、温度上昇幅を小さくできる。そのため、弾性層12cと発熱層12bの端部の位置は実質的に同じであるか、発熱層12bの端部が弾性層12cの端部よりも外側にあることが好ましい。
次に、弾性層12cと表面層である絶縁層12dとの関係について説明する。本実施例では、弾性層12cと絶縁層12dの端部の位置は実質的に同じとする。なお、弾性層12cと絶縁層12dの端部の位置は同じである或いは絶縁層12dの端部が弾性層12cの端部よりも外側にある構成であることが望ましい。
次に、位置Bと位置Cについて説明する。絶縁層12fの端部(位置C)が加圧部の端部(位置B)よりも内側にあると、ローラ18の加圧部が直接給電層12eを押圧することが生じ、給電層12eの摩耗が大きくなる可能性がある。そのため、絶縁層12fの端部は加圧部の端部の位置と同じ或いは加圧部の端部よりも外側であることが好ましい。
[その他]
1)可撓性を有するエンドレスのベルト12を駆動用の懸架部材を含む複数の懸架部材間に懸回張設して駆動用の懸架部材により回転する装置構成にすることもできる。
2)加熱回転体12はベルトではなく、剛性を有する中空あるいは中実の絶縁性ローラ体を基体12aとし、これに、抵抗発熱層12b、絶縁層(12d)と、前記抵抗発熱層12b、弾性層12c、給電層12e等を設けた構成にすることもできる。
以上説明したように、本発明によれば、加圧部の端部が発熱層の端部よりも外側に配置する構成であっても、加圧部材による給電層への力学的な負荷を低減することができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術思想内であらゆる変形が可能である。
かくして、本発明によれば、加熱部材自体に発熱体を設け、該発熱体に通電を行って直接加熱部材を発熱させる方式の定着装置において、給電部の耐久性を確保できる。
12・・画像加熱部材、18・・加圧部材、N・・ニップ部、P・・記録材、t・・画像、12b・・発熱層、12c・・弾性層、12d・・表面層、12e・・給電層

Claims (6)

  1. 記録材上のトナー像をニップ部にて定着する定着ベルトであって、給電により発熱する発熱層と、前記発熱層の上に設けられたゴム層と、前記ゴム層の上に設けられたフッ素樹脂層と、前記定着ベルトの長手方向一端部に設けられた第1の導電層と、前記定着ベルトの長手方向他端部に設けられており、前記発熱層を介して前記第1の導電層と共同して給電部を形成する第2の導電層と、を有する定着ベルトと、
    前記定着ベルトを回転駆動するとともに前記定着ベルトと共同して前記ニップ部を形成する駆動回転体と、
    を有し、前記駆動回転体は前記発熱層の長手方向端部を越えて長手方向外側にそれぞれ延在しており、前記フッ素樹脂層は前記第1の導電層の一部および前記第2の導電層の一部をカバーするように延在して前記駆動回転体に対向していることを特徴とする定着装置。
  2. 前記第1の導電層は前記発熱層の長手方向一端部の側に配置されており、前記第2の導電層は前記発熱層の長手方向他端部の側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 基層を有し、前記発熱層、前記第1の導電層および前記第2の導電層は前記基層の上に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記フッ素樹脂層は前記ゴム層の長手方向端部を越えて長手方向外側に延在していることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の定着装置。
  5. 前記フッ素樹脂層の長手方向一端部は前記ゴム層の長手方向一端部に位置しており、前記フッ素樹脂層の長手方向他端部は前記ゴム層の長手方向他端部に位置していることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の定着装置。
  6. 前記駆動回転体は駆動ローラであることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の定着装置。
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