JP2016090987A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ベルトへの給電が安定した定着装置を提供する。
【解決手段】 シート上に画像を定着する定着装置において、通電によって発熱する発熱層(31b)を備えた可撓性を有するベルト(31)と、ベルトの長手方向の一端側においてベルトの外面に当接して発熱層と電気的に接続する外リング(46)と、ベルトの長手方向の一端側においてベルトを介して外リングに対向するようにベルトの内面に当接する内リング(47)と、発熱層に給電すべく外リングに電気的に接続する電源回路(101)と、を有し、定着処理時の温度のときの内リングの径から常温のときの内リングの径を引いた差は、定着処理時の温度のときの外リングの径から常温のときの外リングの径を引いた差以上である。
【選択図】 図7
【解決手段】 シート上に画像を定着する定着装置において、通電によって発熱する発熱層(31b)を備えた可撓性を有するベルト(31)と、ベルトの長手方向の一端側においてベルトの外面に当接して発熱層と電気的に接続する外リング(46)と、ベルトの長手方向の一端側においてベルトを介して外リングに対向するようにベルトの内面に当接する内リング(47)と、発熱層に給電すべく外リングに電気的に接続する電源回路(101)と、を有し、定着処理時の温度のときの内リングの径から常温のときの内リングの径を引いた差は、定着処理時の温度のときの外リングの径から常温のときの外リングの径を引いた差以上である。
【選択図】 図7
Description
本発明は、シート上に画像を定着する定着装置に関する。この定着装置は、例えば、複写機、プリンタ、ファックス、及びこれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に用いられる。
従来、電子写真装置、静電記録装置などの画像形成装置においては、シートにトナーの画像(顕画剤画像)を形成し、これを画像加熱装置としての定着装置により加熱、加圧することで画像の定着を行っている。近年では、省エネルギーの観点から、熱伝達効率が高く装置の立ち上がりが速い定着装置として、抵抗発熱層を備えた加熱ベルトを用いる方式の定着装置が提案されている(特許文献1)。この方式では、抵抗発熱層への通電により発熱ベルト自体が発熱するため、ベルトの熱を効率よくシートに伝えて定着することができる。
また、特許文献1に記載されている定着装置では、通電により発熱する抵抗発熱層と、抵抗発熱層の幅方向両端側に接続する電極層と、が円筒状絶縁基材上に積層された加熱ベルトを採用している。そして、この定着装置は、電極層に摺動しながら当接する給電部材によって加熱ベルトに給電を行うことで、抵抗発熱層を発熱させ、加熱ベルトを加熱している。
ところで、特許文献1に記載の加熱ベルトは可撓性を有している。したがって、加熱ベルトの表面は真円とは異なる不規則な回転軌跡を描く。そのため、電極層の表面位置に対して給電部材が追従困難となり、給電部材と電極層の当接が不安定となった場合に、定着装置は加熱ベルトへの給電が不安定となる虞がある。そこで、上述した課題を解決する方法として、剛性の高いリング状の部材を介して給電部材と電極層を電気的に接続する方法を考案することができる。
詳細には、ベルトの表裏を挟み込んで電極層に電気的に接続するリング状部材対を加熱ベルトの長手方向の両端部に取り付ける。そして、リング状部材対のうち外側のリング状部材の外周面に当接するように給電部材を配置する。この構成では、リング状部材の外周面が真円に近い形状であるため、給電部材は回転するリング状部材に対して安定して当接することができる。
しかしながら、加熱ベルトの表裏を挟み込むようにリング状部材対を単純に配置しただけでは、定着処理の実行に伴い外側のリング状部材と加熱ベルトの接触が不安定となる虞がある。なぜならば、定着処理の実行に伴い外側のリング状部材が温度上昇した場合、外側のリング状部材が熱膨張してその内径が広がるためである。そして、外側のリング状部材と、電極層の接触が不安定となると加熱ベルトへの給電が不安定となってしまう。
そのため、本発明は、ベルトへの給電が安定した定着装置を提供することを目的とする。
本発明は、定着装置において、通電により発熱する発熱層を備え、シート上の画像を加熱する無端状で且つ可撓性のベルトと、ベルトを回転駆動させる駆動手段と、ベルトの長手方向の一端側においてベルトの外面に当接して発熱層と電気的に接続する第1のリング状部材と、ベルトの長手方向の一端側においてベルトを介して第1のリング状部材に対向するようにベルトの内面に当接する第2のリング状部材と、発熱層に給電すべく第1のリング状部材に電気的に接続する給電手段と、を有し、所定の温度よりも高い更なる温度のときの第2のリング状部材の径から所定の温度のときの第2のリング状部材の径を引いた差は、更なる温度のときの第1のリング状部材の径から所定の温度のときの第1のリング状部材の径を引いた差以上であることを特徴とするものである。
本発明によれば、ベルトへの給電が安定した定着装置を提供することが出来る。
以下、本発明に係る実施の形態について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、以下の実施例では、画像形成装置について、電子写真プロセスを利用したレーザービームプリンタを例に説明する。以降の説明において、このレーザービームプリンタをプリンタ1と呼ぶ。
(実施例)
[画像形成部]
図1は、画像形成装置としてのプリンタ1の構成図である。図2は、定着装置Fの正面図である。このプリンタ1は、外部のホスト装置200(図2)から制御回路100に入力される画像情報に応じてシートP上に画像を形成する。制御回路100は、各種制御に伴う演算を行うCPUと、各種プログラムを記憶したROM等の不揮発媒体を備えた回路である。このROMにはプログラムが記憶されており、CPUがこれを読みだして実行することで、各種制御を実行する。なお、制御回路100としては、同様の機能を果たせばASIC等の集積回路などでもよい。
[画像形成部]
図1は、画像形成装置としてのプリンタ1の構成図である。図2は、定着装置Fの正面図である。このプリンタ1は、外部のホスト装置200(図2)から制御回路100に入力される画像情報に応じてシートP上に画像を形成する。制御回路100は、各種制御に伴う演算を行うCPUと、各種プログラムを記憶したROM等の不揮発媒体を備えた回路である。このROMにはプログラムが記憶されており、CPUがこれを読みだして実行することで、各種制御を実行する。なお、制御回路100としては、同様の機能を果たせばASIC等の集積回路などでもよい。
シートPは画像形成装置によって画像が形成される媒体であり、例えば、定型或いは不定型の普通紙、厚紙、封筒、葉書、シール、樹脂製シート、OHP用フィルム、光沢紙等が挙げられる。
画像形成部2は、シートP上にトナーの画像を形成するための4つの画像形成ステーション3Y、3M、3C、3Kを有する。各ステーションは、回転ドラム型の感光体4、帯電部材5、レーザースキャナ6、現像器7、転写部材8、感光体クリーナ9を有する。ステーション3Y、3M、3C、3Kは、それぞれ、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色のトナー像を形成する。
ステーション3Y、3M、3C、3Kで形成されたトナー像は、中間転写ベルト11上に重畳されて合成トナー像としての画像tが一次転写される。
一方、給送カセット19、20又はマルチ給送トレイ21に置かれたシートPは、給送機構(不図示)によって1枚ずつ送り出されてレジストローラ対23に送り込まれる。そして、レジストローラ対23は、中間転写ベルト11上の合成トナー像と同期を取って、シートPを中間転写ベルト11と二次転写ローラ12との間に送り込む。こうして、中間転写ベルト11上の画像tがシートPに転写される。その後、シートPは定着装置(画像加熱装置)Fに向かって送り込まれる。そして、定着装置Fは、シートP上の画像tを加熱、加圧してシートPに定着させる。
[定着装置]
次に、定着装置Fについて説明する。図3は、図2における(4)−(4)矢視の図である。図4は、実施例1におけるベルトユニットを分解した様子を示す斜視図である。
次に、定着装置Fについて説明する。図3は、図2における(4)−(4)矢視の図である。図4は、実施例1におけるベルトユニットを分解した様子を示す斜視図である。
定着装置Fは、ベルトユニット30(以後、ユニット30と呼ぶ)と加圧ローラ40(以後、ローラ40と呼ぶ)によってシート上の画像を加熱する画像加熱装置である。定着装置Fは、通電により発熱する定着ベルト31(以後、ベルト31と呼ぶ)をユニット30に用いる発熱定着ベルト方式であり、シートPに効率よく熱を伝えることが出来る。また、定着装置Fは、駆動手段としてのローラ40によってユニット30を回転させる加圧ローラ駆動方式(テンションレスタイプ)である。そのため、ユニット30を低熱容量に構成することができ、定着開始時の立ち上げ性能に優れている。
図2に示すように、ユニット30とローラ40が当接することによってその間にニップ部Nが形成される。そして、図3に示すように、ローラ40が矢印R40方向に回転して、ベルト31が矢印R31方向に回転することで、ニップ部Nに給送されたシートPが矢印X方向に搬送される。このとき、ユニット30の熱がシートPに付与されるため、シートP上の画像tはニップ部Nにて加熱・加圧されてシートPに定着される。ニップ部Nを通過したシートPはベルト31から分離されて排出される。本実施例では、上述のようにして定着処理が行われる。以下、定着装置Fの構成について図面を用いて詳細に説明する。
ここで、本実施例の定着装置F若しくはその構成部材に関して、正面側とは装置のシート入口側から見た面(図2)、背面側とはその反対側の面(シート出口側)である。左右とは装置を正面側から見て左(図2の左側、図3の手前側)または右(図2の右側、図3の奥側)である。上流側と下流側はシート搬送方向に関して上流側と下流側という意味である。また、長手方向(幅方向)やシート幅方向とは、シート搬送路面において、シートPの搬送方向に直交する方向(左右方向、図2)に実質平行な方向である。短手方向とはシート搬送路面において、シートPの搬送方向(左右方向、図3)に実質平行な方向である。
図3に示すように、ユニット30は、通電により発熱する無端状(エンドレス状)のベルト31と、ベルト31の内側に配置された加圧パッド32と、パッド保持部材としての加圧ステイを有する。図4に示すように、ベルト31の長手方向の一端側には電極部としての給電リング38Lが、他端側には給電リング38Rが取り付けられており、給電リング38L・38Rからの給電によりベルト31が発熱する。ベルト31及び給電リング38L・38Rの詳細は後述する。加圧パッド32(ニップパッド:以下、パッド32と記す)は、横断面がほぼ矩形で左右方向に長い断熱性部材である。加圧ステイ33(以後、ステイ33と記す)は横断面が下向きコの字型で左右方向に長い剛性部材であり、高い圧力を掛けられても撓みにくい部材であることが望ましく、例えばSUS304製(ステンレス)の型材である。パッド32とステイ33は上下に平行に配列されており、ステイ33の脚部に対してパッド32が接合されている。パッド32は、ニップ部Nにおいてベルト31の内面に摺動して接触し、ベルト31を内側からローラ40に向けて押圧する押圧部材である。パッド32はニップ部Nの近傍部におけるベルト31の回転軌道を規制するガイドとしての役割を有しているため、耐熱性およびベルト内面との摺動性が求められる。
図4に示すように、パッド32の材料としては、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂やセラミックス、SUS等の金属を用いることができる。ニップ部Nに対応した部分には摺動性に優れたSUS等の材料を用いて、ガイド部には加工性に優れた液晶ポリマー等の耐熱性樹脂を用いても良い。また、ベルト31との摺動面には耐熱性グリスを塗布しても良い。
ステイ33の長手方向のほぼ中央部には、図4に示すように板ばねなどの弾性部材34を介して温度センサとしてのサーミスタTHが配設されている。ベルト31は上記のパッド32、ステイ33、弾性部材34、サーミスタTHの組立体に対してルーズに外嵌されている。このとき、サーミスタTHは弾性部材34の弾性力でベルト31の長手方向のほぼ中央部においてベルト内面に対して弾性的に所定の押圧力で接する。
ユニット30は、上記の組立体の両端部側にそれぞれ装着される端末部材35L・35Rを有する。端末部材35L・35Rは、ベルト31の幅方向への移動を規制するとともに、回転するベルト31の両端部の内周面をガイドする役目をする。端末部材35L・35Rは耐熱性・電気絶縁性樹脂による成形部材であり、ベルトの両端部に左右対称に配置される。
図4に示すように、端末部材35L・35Rはそれぞれ給電リング38L・38Rの端面を内面側の突き当て面35bで受け止める為の、フランジ部(鍔座部)35aを有する。
また、フランジ部35aから、ベルト長手方向の中央側に向けてガイド部35cが突出している。ガイド部35cは、給電リング38L・38Rに内嵌して給電リング38L・38Rの内周面を円形状にガイドする。ガイド部35cから、ベルト長手方向の中央側に向けてさらに円形状部35dが突出している。円形状部35dはガイド部35cとほぼ同軸でガイド部35cよりも小外径となっている。
端末部材35L・35Rのガイド部35cとそれと一連の小外径円形状部35dの内部には穴部35eが設けられている。穴部35eには、ステイ33の左右の端部33aがそれぞれ差し込まれる。また、フランジ部35aからは、ベルト長手方向の外側に向けて受圧ブロック部35fが突出している。受圧ブロック部35fには縦溝部35g(図2、図3)が設けられており、端末部材35L・35Rはそれぞれ側板51L・51Rに係合される。
ステイ33の左右の端部33aは、端末部材35L・35Rの穴部35eにそれぞれ差し込まれる為、ステイ33の長手中央側の部分よりも脚部が短脚となっている。パッド32はステイ33の長手中央側の部分の脚部に対して接合されて保持されている。
穴部35eに対してステイ33の端部33aが十分に嵌入されて係合されることで、端末部材35L・35Rはユニット30の一部として装着された状態になる。このとき、ガイド部35cは、ユニット30の給電リング38L・38Rの内径部に内嵌する状態となる。
図4に示すように、端末部材35L・35Rのフランジ部35aの頂部にはそれぞれSUS等の板ばね61を介して給電部材60L・60Rが配設されている。給電部材60L・60Rはそれぞれベルト31の左右両端部の給電リング38L・38Rの外径面に対して板ばね61のばね力で弾性的に当接する。即ち、給電部材60L・60Rはそれぞれベルト31の左右の給電リング38L・38Rの外径面に対して接触して電気的に導通している。給電部材60と給電リング38との間に12Aの電流が流れるため、給電部材60と給電リング38の接触面積は10mm2以上であることが望ましい。本実施例では給電部材の長手方向の幅を6mm、短手方向の幅を2mmとした。
なお、本実施例では給電部材60L・60Rとして金属ブラシを用いている。また、金属ブラシの代わりに、金属ブロック、カーボンチップ等の導電性の部材を用いてもよい。
ローラ40は、ユニット30(ベルト31)と協働してその間にニップ部Nを形成するニップ形成部材である。図3に示すように、ローラ40は、金属材料からなる芯金41の外周に同心一体にローラ状に形成された弾性層42と、更にその弾性層42の外周面に形成されたフッ素樹脂などの絶縁層43と、を有する弾性ローラである。弾性層42の材料は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム、或いはシリコーンゴムの発泡体などの中から選択すると良い。ニップ部NにおいてシートPにシワなどを発生させることなく安定的に搬送するために、本実施例のローラ40の弾性層42は、その外径形状を逆クラウン形状としている。芯金41の左右の両端部には、それぞれ、芯金41と同心一体に小径軸部41aが設けられている。
図2に示すようにローラ40は左右の小径軸部41aが、それぞれ、装置フレーム50の左右の側板51L・51R間に軸受部材52L・52Rを介して回転可能に保持されて配設されている。右側の小径軸部41aの端部にはドライブギアGが同心一体に配設されている。このギアGに対して制御回路100で制御されるモータM(駆動源)の駆動力が動力伝達機構(不図示)を介して伝達される。これにより、ローラ40は駆動回転体として矢印R40の方向(反時計方向、図3)に所定の周速度にて回転駆動される。
一方、ベルトユニット30は、パッド32がベルト31を介してローラ40と当接するように、ローラ40の上側にローラ40に対して実質平行に配設されている。より詳しくは、ユニット30の左右の端末部材35L・35Rにそれぞれ設けられた縦溝部35g(図2、図3)が左右の側板51L・51Rにそれぞれ設けられた縦ガイドスリット51a(図3)の縦縁部に係合している。
これにより、左右の端末部材35L・35Rは、それぞれ、左右の側板51L・51Rに対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。即ち、ユニット30が左右の側板51L・51Rに対して上下方向にスライド移動可能に保持されている。
図2に示すように、左右の端末部材35L・35Rの受圧ブロック部35fとその上方に配設されている固定のばね受座71との間にはそれぞれ加圧ばね(付勢手段)70L・70Rが縮設されている。加圧ばね70L・70Rは自由状態において、端末部材35L・35Rの受圧ブロック部35fを左右側でほぼ均等の所定の加圧力で下方に押圧している。本実施例に於ける加圧力は一端側が156.8N(16kgf)、総加圧力が313.6N(32kgf)である。
これにより、ステイ33とパッド32を介してベルト31がローラ40の上面に対して弾性層42の弾性に抗して所定の押圧力で圧接する(加圧状態)。そのため、ユニット30(ベルト31)とローラ40との間に短手方向(シート搬送方向)において所定幅のニップ部Nが形成される。
また、定着装置Fは、左右の端末部材35L・35Rをそれぞれ加圧ばね70L・70Rの加圧力に抗して持ち上げてベルト31のローラ40に対する加圧状態を解除する圧解除機構72L・72Rを有する。詳細には、圧解除機構72L・72Rは、制御回路100からの指示に応じてリフタ73を移動させて、端末部材35L・35Rの保持位置を決定する。
端末部材35L・35Rが所定の持ち上げ位置に移動されることで、ユニット30の全体がローラ40から離れる方向に移動してベルト31がローラ40から離間して圧解除状態に保持される。また、この圧解除状態からリフタ73が下降することで端末部材35L・35Rが持ち下げられる。そして、リフタ73が端末部材35L・35Rに対して非作用位置である所定の下降位置に移動することで、再び加圧状態となる。
圧解除機構72L・72Rの具体的な構成は図には省略したが、例えば電磁ソレノイドを用いた機構、カムとモータを用いた機構などを採択することができる。また、圧解除機構は左右の端末部材35L・35Rに対して共通の機構構成にすることもできる。
図2において、ベルト31の全幅を幅W31で示し、ローラ40の幅(小径軸部41aは除く)をW40で示す。ローラ40の幅W40はベルト31の全幅W31よりも所定幅短い。ステイ33の左右の端部33aの部分を除く長さはローラ40の幅W40と実質同じである。パッド32の長さはローラ40の幅W40と実質同じである。ニップ部Nの幅(長手方向)はローラ40の幅W40と同じである。本実施例では、W31は320mmであり、W40は340mmである。
ベルト31の左右の給電リング38L・38Rはそれぞれローラ40の端部(ニップ部Nの端部)よりも長手方向の外側に位置している。Wmaxは定着装置Fに使用可能な最大幅サイズのシート搬送領域幅(シートの最大通過幅)であり、ニップ部Nの幅W40よりも所定に小さい。ベルト31の抵抗発熱層31bの幅(ベルト31の有効発熱領域の幅)は、本実施例においては、シート搬送領域幅Wmaxより大きく、ニップ部Nの幅W40よりも小さい。
図3に示すように、定着装置Fは、上面カバー板53、正面カバー板54、入口側ガイド板55、背面カバー板56、出口側ガイド板57、定着排出ローラ対58を備える。定着排出ローラ対58はローラ40の駆動力が連動機構(不図示)を介して伝達されて所定の方向と周速度をもって回転駆動される。左右の給電部材60L・60Rの導電性の弾性支持部材61はそれぞれ配線102を介して電源回路101(AC電源)に電気的に接続されている。また、サーミスタTHは配線(不図示)を介して制御回路100に電気的に接続されている。
[定着動作]
定着装置Fにおいて、制御回路100はプリントジョブのスタート信号が入力されると、電源回路101を制御してベルト31の抵抗発熱層31b(以後、発熱層31bと呼ぶ)に対する通電を所定の通電制御パターンで開始する。
定着装置Fにおいて、制御回路100はプリントジョブのスタート信号が入力されると、電源回路101を制御してベルト31の抵抗発熱層31b(以後、発熱層31bと呼ぶ)に対する通電を所定の通電制御パターンで開始する。
即ち、左右の給電部材60L・60Rを介して左右の給電リング38L・38Rに電圧が印加される。これにより、給電リング38L・38Rとそれぞれ電気的に導通している後述する電極層31d(図5)を介して発熱層31bに対して通電がなされる。そして、通電による発熱層31bの発熱によりベルト31が有効発熱領域幅において全周的に加熱される。
ベルト31の温度に関する電気的情報がサーミスタTHから制御回路100に入力されると、制御回路100はベルト31の検知温度に基づいて通電制御パターンを決定する。そして、決定した通電制御パターンに応じて電源回路101を位相制御/波数制御などにより制御して発熱層31bに適切な電力を供給する。
また、制御回路100はモータMを起動して駆動回転体としてのローラ40の回転駆動を開始する。
ローラ40は図3において矢印R40の反時計方向に所定の周速度で回転する。ローラ40が回転駆動すると、ローラ40とベルト31の外面とのニップ部Nにおける摩擦力でベルト31に回転トルクが作用する。これにより、ベルト31は、ローラ40の回転周速度にほぼ対応した周速度で矢印R31方向(時計方向、図3)に従動回転する。
回転するベルト31は、パッド32の長手に沿って左方または右方に寄り移動するが、これは左右の端末部材35L・35Rのフランジ部35aによって所定の範囲に規制される。詳細には、左右の端末部材35L・35Rのフランジ部35aは、ベルト31と一緒に回転する給電リング38L・38Rの移動を受けとめる。また、ガイド部35cはベルト31と一緒に回転する給電リング38L・38Rの内周面をガイドする。制御回路100は、その後、サーミスタTHが前記第1の温度(待機温度)よりも高い第2の温度(ジョブ開始温度)を検知すると、画像形成部の画像形成動作を開始する。そして、画像tが転写されたシートPが定着装置Fへと搬送される。一方、制御回路100はサーミスタTHが前記の第2の所定温度よりも高い第3の所定温度(定着温度)を検知すると、ベルト31の発熱層31bに対する通電を温調制御状態にする。温調制御状態では、ベルト31の温度が定着温度である第3の所定温度にほぼ一定に維持されるように、PI制御などを用いて電源回路101から発熱層31bに対する通電制御が行われる。
画像tが転写されたシートPが定着装置Fに搬送されると、シートPは入口側ガイド板55にガイドされてニップ部Nに進入して挟持搬送される。これにより、画像tおよびシートPが加熱加圧されることで画像tはシートPに固着画像として定着される。定着装置Fに対するシートPの導入は本実施例においてはシート幅中心を基準とする所謂中央基準であるが、これのみには限られず、所謂片側基準であってもよい。ニップ部Nを出たシートPはベルト31から分離して出口側ガイド板57にガイドされて定着排出ローラ対58のニップ部Nに進入して排出搬送される。
所定の一枚或いは連続複数枚のプリントジョブが終了すると、制御回路100はベルト31の発熱層31bに対する通電を停止する。また、モータMの駆動を停止する。この状態において、制御回路100は次のプリントジョブのスタート信号が入力するまで定着装置Fを待機状態にする。
[ベルトの構成]
図5の(a)は、ベルト31の発熱領域における横断面の模式図、である。図5の(b)はベルト31の左側端部の層構成を示す断面の模式図である。ベルト31は長手方向において左右対称に構成させるため、ベルト31の右側端部の層構成も図(b)と同様である。
図5の(a)は、ベルト31の発熱領域における横断面の模式図、である。図5の(b)はベルト31の左側端部の層構成を示す断面の模式図である。ベルト31は長手方向において左右対称に構成させるため、ベルト31の右側端部の層構成も図(b)と同様である。
ベルト31は全体的に可撓性を有する無端状の部材(エンドレス状のベルト)である。ベルト31は、長手方向の両端部に給電リング38が取り付け可能となるように、ローラ40よりも長い幅を有する。ベルト31は図5に示すように、外側から内側に順に、少なくとも、絶縁層31a、給電されて発熱する発熱層31b、円筒状絶縁基材31c(以後、基材31cと呼ぶ)が積層された3層複合構造を有する。本実施例では、定着性を向上させるため、絶縁層31aと発熱層31bの間に弾性層31eを設けている。発熱層31bの長手方向の両端部には、その外面の全周に沿って導電層としての電極層31dが設けられている。本実施例では、ベルト31の長手方向の両端部の15mmの領域にそれぞれ電極層31dが設けられている。
基材31cはベルト31の強度を維持するとともに周方向において変形可能な可撓性を有し、そして、絶縁性を有する部材である。基材31cの材料としては例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、PEEK、PTFE、PFA、FEP等の樹脂ベルト、更にはSUS、ニッケルなどの金属ベルトを使用できる。なお、PEEKとはポリエーテルエーテルケトンであり、PTFEとはポリテトラフルオロエチレンであり、PFAとはパーフルオロアルコキシアルカンであり、FEPとはパーフルオロエチレンプロペンコポリマーである。しかしながら、薄すぎると破損しやすく、厚すぎると変形しにくいため、厚さ20μm以上100μm以下のポリイミドなどの耐熱性樹脂材料を用いることが望ましい。本実施例では、厚さ50μm、内径が24mmの円筒状のポリイミドベルトを用いた。
弾性層31eは、シートPの凹凸にベルト31を追従し易くして、定着性を向上させるための層である。熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、厚さとして400μm以下、かつ高熱伝導性のシリコーンゴム、フッ素ゴム材料を使用している。
発熱層31bは基材31cの外周面に形成されて通電により発熱する層である。材料としては、ポリイミド等の耐熱性樹脂に導電性カーボンや金属粉体を分散した材料などが使用できる。本実施例では、カーボンを分散させたポリイミドからなる厚み25μmの抵抗発熱体のコート層を用いており、ベルト両端部側の左右の電極層31d間の抵抗値が常温時において10Ωとなるようにカーボン分散量などを調整している。これにより、100V印加時に発熱層31bは約1000W程度の電力により発熱する。
絶縁層31aは発熱層31bの全体および電極層31dの発熱層31b側の一部の上に形成されてベルト31以外に電流が流れるのを防ぐとともにトナー付着等による汚れを防止する。絶縁層31aはトナーとの離型性が求められ、電極層31dや発熱層31bと接しているため電流が流れないよう絶縁性も求められることから、絶縁性を有するフッ素樹脂材料、例えばPFA、PTFEなどを用いることができる。
絶縁層31aは、薄すぎるとシートPやローラ40との摩擦による摩耗により短寿命となり、厚すぎると熱容量が増大し熱伝達が低下することにより省エネ性を損なう恐れがあるため、10〜50μmのフッ素樹脂材料を使用するのが望ましい。本実施例では、厚さ20μmの絶縁性PFA樹脂チューブを用いた。
電極層31dは発熱層の全周にムラなく通電する為の層である。電極層31dは、発熱層31bよりも十分に抵抗率が小さいことが望ましく、本実施例では、銀・パラジウムを含んだ導電特性を有する材料を用いており、その厚さは10μmである。
なお、給電リング38とベルト31の密着性が良好であり、通電ムラが抑制されていれば必ずしも電極層31dを設けなくてもよい。
なお、本実施例では、発熱層31b上に電極層31dを設けているが、ベルト31はこの構成のみには限られない。例えば、基材31c上の発熱層31bと電極層31dを並べて設けてもよい。
[給電リング]
次に、給電リング38L、38Rの詳細に構成について説明する。図6は、本実施例の給電リング38Lの構成を説明するための図である。図7は、本実施例における定着装置の部分断面図である。
次に、給電リング38L、38Rの詳細に構成について説明する。図6は、本実施例の給電リング38Lの構成を説明するための図である。図7は、本実施例における定着装置の部分断面図である。
本実施例の定着装置Fは、ベルト31の長手方向の一端部に給電リング38Lが設けられ、他端部に給電リング38Rが設けられた左右対称な構造である。そのため、以後の説明では、給電リング38Lを例として用いる。給電リング38Lは、第1のリング状部材としての外リング46Lと、第2のリング状部材としての内リング47Lと、固定部材(リング状保持部材)としての固定リング48L(48R)とを備える。給電リング38Rは、第3のリング状部材としての外リング46Rと、第4のリング状部材としての内リング47Rと、別の固定部材(リング状保持部材)としての固定リング48Rとを備える。以後、給電リング38L(38R)を給電リング38と総称する。外リング46L(46R)を外リング46と総称する。内リング47L(47R)を内リング47と総称する。固定リング48L(48R)を固定リング48と総称する。給電部材60L(60R)を給電部材60と総称する。
給電リング38は、上述した部材を組み合わせることによってベルト31の端部に接合し、ベルト31と一体的に回動可能な電極部として機能する。給電リング38は剛性があり撓みにくいため、表面の回転軌道が真円に近い。そのため、給電部材60との当接状態を良好に保つことができる。つまり、給電リング38を用いずにベルト31の電極層に直接的に給電部材を当接させる従来の方法では、電極が振動して給電部材との間に導通不良が生じるという課題があるが、本実施例ではそれが解決されている。また、本実施例では、従来の方法と異なり、給電部材60が電極層31dに対して直接に接触しない。そのため、電極層表面が摩耗して剥がれることも防止でき、ベルト31を長寿命化させることが可能である。
さらに本実施例では、給電リング38とベルト31の間の密着性が外リング46の熱膨張によって低下しないように給電リング38に工夫を施している。詳細には、内リング47の線膨張率が外リング46の線膨張率よりも大きくなるようにそれぞれの材料の選定をおこなっている。このような構成では、熱膨張による外リング46の内径の変化量よりも熱膨張による内リング47の外径の変化量が大きくなるため、給電リング38の温度に関わらず給電リング38とベルト31を密着させることができる。以下、図面を用いて詳細に説明する。
外リング46は、ベルト端部の外周面側の環状の電極層31dに外嵌し電気的に接続する導電性の部材である。外リング46は、電源回路101とベルト31を電気的に接続する通電経路として用いられるため、電気抵抗の低い金属を用いることが望ましい。また、給電部材60が安定して当接可能となるように、形状を真円に近い状態で維持可能な剛性の高い部材であることが望ましい。本実施例では外リング46として、厚さ1mmの銅板をプレス加工することで作られたリング状の部材を用いた。また、外リング46の片側端部には突起部46dが設けられている。なお、外リング46は、給電部材60と摺動可能に当接して電気的な接続を行う。
内リング47は、ベルト31を介しては外リング46に対向配置された部材である。本実施例の内リング47は、厚さ1mmのアルミニウム板をプレス加工することで作られたリング状の部材である。内リング47はベルト端部の内周面側に挿入される環状部47aとベルト径よりも大径であるフランジ部47bを有する。内リング47の詳細については後述する。
固定リング48は内リング47と外リング46を互いに固定するリング状の部材である。固定リング48は、内リング47の内面に挿入される環状部48aと、端部の爪部48bから成る。本実施例では、固定リング48には耐熱性に優れたPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)を材料として用いている。なお、各リングの内径及び外径について後述するが、これは各リングの環状部の寸法を指す。
そして、ベルトの端部の表裏を挟み込むように外リング46と内リング47を配置し、固定リング48がこれらを固定することで給電リング38が形成される。
詳細には、固定リング48の爪部48bに突起部46dが引っ掛かることで、外リング46は、ベルト31の長手方向における位置が端部に固定される。また、固定リング48と外リング46にフランジ部47bが挟まれることで、内リング47はベルトの長手方向における位置が端部に固定される。つまり、固定リング48は、外リング46の外側端部を保持して且つ内リング47の外側端部を保持して、外リング46と内リング47を一体に固定する。そして、内リング47及び外リング46がベルト31に密着することで給電リング38はベルト31に対して一体的に回動可能となる。
なお、本実施例では、内リング47と外リング46を固定リング48によって固定しているが、固定方法はこれのみには限られない。例えば、内リング47及び外リング46においてそれぞれの対応した位置に穴を空け、ネジ等によって両者を締結することで固定してもよい。
ところで、上述にように発熱するベルト31に取り付けられた給電リング38は、定着処理の進行に伴いしだいに加熱されてしまう。そのため、金属(本実施例では銅)を材料とする外リング46は、温度上昇に伴って膨張し、その径が拡大してしまう。そして、外リング46の径が拡大すると、外リング46の内周面と、ベルト31の外周面(本実施例では電極層31d)との密着性が低下して、両者の接触面積が減少する。そのため、ベルト31への給電が不安定となりベルト31が発熱不良を起こす虞があった。また、外リング46からベルト31への局所的な電流の流入に起因する部分発熱や、外リング46とベルト31間の放電によりベルト31の寿命を低下させる虞があった。
そこで、本実施例では、上述した課題を解決するため、内リング47に用いる材料として上述のようにアルミニウムを用いている。詳細には、次のように内リング47に用いる材料の検討をおこなった。
円筒部材の常温(25℃)時の直径をD0、円筒部材の線膨張係数をα、円筒部材の温度変化量をΔTとすると、熱膨張する円筒部材の直径Dは次の式で表される。
D=D0(1+αΔT) (1)
したがって、外リング46の内径と内リング47の外径の差である隙間Xは次の式で表される。
X=D1(1+α1ΔT)−D2(1+α2ΔT) (2)
ここで、常温時の外リング46の内径をD1、外リング46の線膨張係数をα1、常温状態での内リング47の外径をD2、内リング47の線膨張係数をα2とする。
D=D0(1+αΔT) (1)
したがって、外リング46の内径と内リング47の外径の差である隙間Xは次の式で表される。
X=D1(1+α1ΔT)−D2(1+α2ΔT) (2)
ここで、常温時の外リング46の内径をD1、外リング46の線膨張係数をα1、常温状態での内リング47の外径をD2、内リング47の線膨張係数をα2とする。
式(1)からわかるように、円筒の直径の変化量はD0αΔTである。つまり、αΔTが一定の場合、直径D0が大きいほど円筒の直径の変化量は大きい。したがって、内リング47の直径<外リング46の直径であることから、外リング46と内リング47に同一材料を用いて同一の温度環境下に置いた場合、環境温度が高いほど両者の直径に差が生じることがわかる。つまり、外リング46と内リング47に同一材料を用いた場合、温度が上昇するにつれて両者間の隙間Xが拡大してしまい、ベルト31を挟み込む力が低下してしまう。そこで、外リング46の材料とは異なる材料を内リング47に用いることが考えられる。表1に代表的な金属材料の線膨張係数(線膨張率[×10−6/℃])を示す。
表1に示すように、本実施例で外リング46に用いる銅の線膨張係数は16[×10−6/℃]である。そのため、本実施例ではこれよりも線膨張係数が大きいアルミニウム(線膨張係数:23.9[×10−6/℃])を内リング47の材料として選定した。
次に、給電リング38の構成について詳細に説明する。本実施例の給電リング38は、ベルト31のうち厚さ80μm(基材31cが50μm、発熱層31bが25μm、電極層31dが5μm)の領域を挟持する。また、給電リング38のベルト31への組み付け容易性を考慮して、外リング46の内径と内リング47の外径にはそれぞれ10μmの交差を設ける。したがって、外リング46の内径は40.09mm、内リング47の外径は39.99mmに設計される。上述した内容に基づき、式(2)から隙間Xの大きさを求める。
図9は、給電リング38の温度と隙間Xの関係を示す図である。図9に示すように、給電リング38の温度が上昇するにつれて、隙間Xは小さくなっていることがわかる。具体的には、定着装置Fにおいて定着処理を継続して行い、給電リング38が150℃となったとき、隙間Xは77μmとなる。これは、ベルト31の挟持部分(基材31c+発熱層31b+電極層31d)の厚さ(80μm)よりも小さい。このように本実施例では、ベルト31が加熱された際に外リング46に比べて内リング47をより大きく熱膨張させている。換言すると、常温(25℃)よりも高い定着時温度(150℃)のときの外リング46の径から常温のときの外リング46の径を引いた差は、定着時温度のときの外リング46の径から常温のときの外リング46の径を引いた差以上にしている。そのため、給電リング38は、図9に示すように、温度が高くなるほど隙間Xの大きさが狭くなる。換言すると、外リング47の内径から内リング46の外径を引いた差は、給電リング38が常温のときよりも、給電リング38が定着時温度であるときの方が小さい。そのため、給電リング38はベルト31を強固に挟み込むことができる。
[本実施例による効果]
本実施例の定着装置Fは上述した構成により、ベルト31と給電リング38の電気的な接続を安定させている。詳細には、ベルト31が加熱された際に外リング46に比べて内リング47をより大きく熱膨張させて、ベルト31を外リング46に向けて内リング47で押し付けることで電極層31dと外リング46の密着性を高めている。図8は、本実施例の効果を説明する図である。
本実施例の定着装置Fは上述した構成により、ベルト31と給電リング38の電気的な接続を安定させている。詳細には、ベルト31が加熱された際に外リング46に比べて内リング47をより大きく熱膨張させて、ベルト31を外リング46に向けて内リング47で押し付けることで電極層31dと外リング46の密着性を高めている。図8は、本実施例の効果を説明する図である。
外リング46は少なからず表面粗さを持つため、外リング46の内周面には少なからず凹凸が存在する。そのため、図8(a)に示すように、外リング46と電極層31dが軽微な力で接触している場合には、外リング46と電極層31dの接触面積は低い状態となっている。そのため、この状態では、外リング46からベルト31への局所的な電流の流入に起因する部分発熱や、外リング46とベルト31間の微小隙間で生じる放電により、ベルト31の寿命が低下する虞がある。本実施例では、内リング47がベルト31を外リング46に向けて押しつけるため、外リング46の内周面と電極層31dの関係を図8(b)の状態にすることができる。つまり、外リング46Rの内周面の凹凸を電極層31dに食い込ませるため、外リング46と電極層31dの接触面積を高い状態にすることができる。そのため、本実施例では図8(a)で説明したような課題の発生が抑制されている。
本実施例の効果について検証するため、本実施例の定着装置F及び比較例の定着装置Fに対して耐久試験を行った。なお、比較例の定着装置Fは、内リング47の材料に銅を用いており、それ以外の構成については本実施例と同様である。そして、上述した2つの定着装置Fに対して、A4サイズのシートPを200k(枚)まで連続処理する試験を行い、その結果を表2に示す。表2は、電極層の焦げの発生に関しての本時実施例と比較例を比較した表である。
表2に示すように、比較例では、シートPを150k(枚)処理したあたりで電極層31dの表面に焦げが確認されたが、本実施例では確認されなかった。確認のため、本実施例の定着装置Fにおいて、200k(枚)のシートPを処理するまで耐久試験を行ったが、それでも電極層31の焦げは確認されなかった。このように、本実施例では、外リング46の内周面と電極層31dの電気的な接続が安定していることを確認できた。
なお、本実施例では外リング46の材料に銅を用いて、内リング47の材料にアルミニウムを用いたが、材料の組み合わせはこれのみには限られない。外リング46の線膨張係数<内リング47の線膨張係数の関係を満たせば他の材料の組み合わせてあってもよい。
また、本実施例に、定着処理の実行時に給電リング38がベルト31に強固に固定される。そのため、定着装置Fの組み立て時に給電リング38をベルト31に容易に組み付けられるように、外リング46と内リング47に十分な大きさの交差を設けることができる。
(その他の実施例)
以上、本発明を適用することができる実施例について説明したが、各実施例で例示した寸法等の数値は一例であって、この数値に限定されるものではない。発明を適用できる範囲において、数値は適宜選択できる。また、発明を適用できる範囲において実施例に記載の構成を適宜変更してもよい。
以上、本発明を適用することができる実施例について説明したが、各実施例で例示した寸法等の数値は一例であって、この数値に限定されるものではない。発明を適用できる範囲において、数値は適宜選択できる。また、発明を適用できる範囲において実施例に記載の構成を適宜変更してもよい。
ベルト31は、パッド32によってその内面を支持され、ローラ40によって駆動される構成に限られない。例えば、複数のローラに架け渡され、複数のローラのいずれかによって駆動されるベルトユニット方式のベルトであってもよい。しかしながら、低熱容量化の観点から実施例のような構成が望ましい。
ニップ形成部材を形成するものは、ローラ40のようなローラ部材には限られない。例えば、複数のローラにベルトを架け渡した加圧ベルトユニットを用いてもよい。
プリンタ1を例に説明した画像形成装置は、フルカラーの画像を形成する画像形成装置に限られず、モノクロの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。
以上の説明における定着装置は、未定着のトナー画像をシートPに定着する装置のみには限られない。例えば、半定着済みのトナー画像をシートPに定着させる装置や、定着済みの画像に対して加熱処理を施す装置であってもよい。したがって、定着装置は、例えば、画像の光沢や表面性を調節する表面加熱装置として用いられてもよい。
31 定着ベルト(ベルト)
31b 抵抗発熱層(発熱層)
31d 電極層
40 加圧ローラ(駆動手段)
46L・46R 外リング(第1のリング状部材、第3のリング状部材)
47L・47R 内リング(第2のリング状部材、第4のリング状部材)
60L・60R 給電部材
101 電源回路(給電手段)
31b 抵抗発熱層(発熱層)
31d 電極層
40 加圧ローラ(駆動手段)
46L・46R 外リング(第1のリング状部材、第3のリング状部材)
47L・47R 内リング(第2のリング状部材、第4のリング状部材)
60L・60R 給電部材
101 電源回路(給電手段)
Claims (5)
- 通電により発熱する発熱層を備え、シート上の画像を加熱する無端状で且つ可撓性のベルトと、
前記ベルトを回転駆動させる駆動手段と、
前記ベルトの長手方向の一端側において前記ベルトの外面に当接して前記発熱層と電気的に接続する第1のリング状部材と、
前記ベルトの長手方向の一端側において前記ベルトを介して前記第1のリング状部材に対向するように前記ベルトの内面に当接する第2のリング状部材と、
前記発熱層に給電すべく前記第1のリング状部材に電気的に接続する給電手段と、を有し、
所定の温度よりも高い更なる温度のときの第2のリング状部材の径から前記所定の温度のときの第2のリング状部材の径を引いた差は、前記更なる温度のときの第1のリング状部材の径から前記所定の温度のときの第1のリング状部材の径を引いた差以上であることを特徴とする定着装置。 - 前記第1のリング状部材の内径から前記第2のリング状部材の外径を引いた差は、前記第1のリング状部材及び前記第2のリング状部材が前記所定の温度であるときよりも、前記第1のリング状部材及び前記第2のリング状部材が前記更なる温度であるときの方が小さいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記第2のリング状部材の線膨張率は前記第1のリング状部材の線膨張率よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 前記ベルトは、前記発熱層よりも抵抗率が低くて且つ前記発熱層に電気的に接続された電極層を前記ベルトの長手方向の一端側に備え、前記第1のリング状部材は前記電極層に当接して電気的に接続することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記ベルトの長手方向の他端側において前記ベルトの外面に当接して前記発熱層と電気的に接続する第3のリング状部材であって、前記発熱層に給電すべく前記給電手段に電気的に接続された第3のリング状部材と、
前記ベルトの長手方向の他端側において前記ベルトを介して前記第3のリング状部材に対向するように前記ベルトの内面に当接する第4のリング状部材と、を有し、
所定の温度よりも高い更なる温度のときの第4のリング状部材の径から前記所定の温度のときの第4のリング状部材の径を引いた差は、前記更なる温度のときの第3のリング状部材の径から前記所定の温度のときの第3のリング状部材の径を引いた差以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着装置。
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