JP2017118631A - 回転電機の製造装置及び回転電機の製造方法 - Google Patents

回転電機の製造装置及び回転電機の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】渡り線の表面の損傷を抑えつつ端子部を確実に形成することができる回転電機の製造装置及び回転電機の製造方法を提供する。
【解決手段】回転電機10の製造方法に用いられる製造装置90は、コイル引出線25がインシュレータ22の収納溝62a等内に挿入されるようにコイル引出線25に接触する外周面136aを有する挿入ローラ部122と、挿入ローラ部122を回転自在に支持するローラ支持部120と、端子部84が形成されるようにコイル引出線25に接触してコイル引出線25を屈曲加工する屈曲加工部160とを備えている。
【選択図】図13

Description

本発明は、インシュレータを介して分割鉄心の一部を囲繞するコイルを有する複数の分割コアを円環状に配置して形成されるステータコアを含むステータを備える回転電機の製造装置及び回転電機の製造方法に関する。
この種の回転電機のステータは、インシュレータの外周面にステータコアの周方向に沿って形成された収納溝内にコイルから引き出されたコイル引出線が引き回されることにより形成される渡り線と、渡り線の端部に設けられた端子部とを有している。
このような回転電機の製造方法は、例えば、特許文献1に開示されている。この製造方法では、押込治具の本体部に固定された円板部の外周面をコイル引出線に接触させて当該コイル引出線を収納溝内に挿入することにより渡り線を形成し、前記円板部の外周面をコイル引出線に押し当てて屈曲させることにより端子部を形成している。
特開2012−235593号公報
しかしながら、特許文献1のような製造方法では、渡り線の形成と端子部の形成とを同一の部材(円板部)を用いて行っている。そのため、端子部を確実に形成するために円板部の外周面の曲率を比較的大きくすると、渡り線を形成する際に前記円板部によりコイル引出線(渡り線)の表面が損傷することがある。特に、円板部が押込治具の本体部に対して固定されている場合には、コイル引出線と円板部の外周面との間には比較的大きな滑り摩擦が生じるため、渡り線の表面が損傷し易くなる。
一方、このような渡り線の表面の損傷を抑制するために円板部の外周面の曲率を比較的小さくすると、端子部を確実に形成する(癖付けする)ことができないことがある。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、渡り線の表面の損傷を抑えつつ端子部を確実に形成することができる回転電機の製造装置及び回転電機の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る回転電機の製造装置は、インシュレータを介して分割鉄心の一部を囲繞するコイルを有する複数の分割コアが円環状に配置して形成されるステータコアを含むステータを備え、前記ステータは、前記インシュレータに対して前記ステータコアの周方向に沿って形成された収納溝内に前記コイルから引き出されたコイル引出線が引き回されることにより形成される渡り線と、前記渡り線の端部に設けられた端子部と、を有する回転電機の製造装置であって、前記分割コアに対して前記ステータコアの周方向に沿って相対的に移動可能に設けられ、且つ前記コイル引出線が前記収納溝内に挿入されるように当該コイル引出線に接触する外周面を有する挿入ローラ部と、前記挿入ローラ部を回転自在に支持するローラ支持部と、前記端子部が形成されるように前記コイル引出線に接触して当該コイル引出線を屈曲加工する屈曲加工部と、を備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、渡り線を形成するための挿入ローラ部と端子部を形成するための屈曲加工部とを別々に設けているので、渡り線の表面の損傷を抑えつつ端子部を確実に形成することができる。また、挿入ローラ部がローラ支持部に対して回転自在に支持されているため、コイル引出線を収納溝内に挿入する際に挿入ローラ部の外周面とコイル引出線との間に生じる滑り摩擦を比較的小さくすることができる。これにより、渡り線の表面の損傷を一層抑えることができる。
上記の製造装置において、前記屈曲加工部のうち前記コイル引出線に接触する部位には、前記挿入ローラ部の前記外周面の曲率よりも大きい曲率の湾曲面が形成されていてもよい。
このような構成によれば、屈曲加工部の湾曲面の曲率が挿入ローラ部の外周面の曲率よりも大きいため、渡り線の表面の損傷を効果的に抑えつつ端子部を一層確実に形成することができる。
上記の製造装置において、前記屈曲加工部は、前記コイル引出線に対して進退可能に設けられていてもよい。
このような構成によれば、渡り線を形成する際にコイル引出線に対して屈曲加工部を退避させることができるので、コイル引出線が屈曲加工部に当たり損傷することを抑えることができる。また、端子部を形成する際にコイル引出線に対して屈曲加工部を進行させることにより、コイル引出線を確実に屈曲させることができる。
上記の製造装置において、前記収納溝は、前記ステータコアの径方向外方に開口しており、前記製造装置は、前記挿入ローラ部による前記コイル引出線の引き回し方向に当該挿入ローラ部に近接して配設され、且つ前記ステータコアの軸線方向において前記コイル引出線を前記挿入ローラ部の前記外周面と略同じ位置に支持するガイド部を備えていてもよい。
このような構成によれば、渡り線を形成する際に、コイル引出線が挿入ローラ部の外周面から脱離することを抑えることができる。
上記の製造装置において、前記ガイド部は、前記ステータコアの軸線方向に沿って互いに対向している一対の規制壁を有し、一対の前記規制壁の間には、前記コイル引出線が挿通可能な隙間が形成され、前記隙間には、前記コイル引出線のうち当該隙間に位置する部位に対して進退可能に前記屈曲加工部が設けられていてもよい。
このような構成によれば、簡易な構成により、ガイド部によりステータコアの軸線方向においてコイル引出線を挿入ローラ部の外周面と略同じ位置に確実に支持することができる。
上記の製造装置において、前記ガイド部には、前記コイル引出線を前記隙間に案内するガイドローラが設けられていてもよい。
このような構成によれば、ガイドローラによりコイル引出線を一対の規制壁の隙間に円滑に導入させることができる。
上記の製造装置において、前記挿入ローラ部は、前記収納溝内に挿入可能に構成されていてもよい。
このような構成によれば、挿入ローラ部によりコイル引出線を収納溝内に効率的に挿入することができる。
上記の製造装置において、前記収納溝の溝側面には、前記ステータコアの周方向に沿って延在すると共に前記ステータコアの軸線方向に沿って突出した凸部が形成され、前記ローラ支持部は、前記挿入ローラ部の回転軸線に沿って当該挿入ローラ部をフローティング支持するフローティング部を有していてもよい。
このように収納溝の溝側面に凸部を形成すると、コイル引出線を収納溝内に挿入する際に、凸部が形成されている箇所と凸部が形成されていない箇所とでステータコアの軸線方向におけるコイル引出線の位置が変位する。しかしながら、挿入ローラ部をフローティング部でフローティング支持しているので、コイル引出線の変位に挿入ローラ部を追従させることができる。これにより、コイル引出線が挿入ローラ部の外周面から脱離することを抑えることができる。また、挿入ローラ部が収納溝の溝側面の凸部に当たることを抑えることができる。
上記の製造装置において、前記ローラ支持部には、前記挿入ローラ部の前記外周面に接触して回転するバックアップローラが設けられていてもよい。
このような構成によれば、コイル引出線から挿入ローラ部に作用する力をバックアップローラで受けることができるので、挿入ローラ部を円滑に回転させることができる。
上記の製造装置において、前記製造装置は、前記ローラ支持部が取り付けられるベース部を備え、前記ローラ支持部及び前記ベース部は、前記ベース部と前記ローラ支持部との間に調整板が介設されることにより前記ステータコアの軸線方向における前記ベース部に対する取り付け位置を調整可能に構成されていてもよい。
このような構成によれば、ステータコアの軸線方向において収納溝に対して挿入ローラ部の外周面を精度よく位置決めすることができる。
上記の製造装置において、前記製造装置は、前記コイル引出線のうち前記渡り線から延出する延出部に接触して前記ステータコアの周方向における前記延出部の位置を調整する位置調整ローラを含む位置調整部を備えていてもよい。
このような構成によれば、端子部を精度よく形成することができる。
上記の製造装置において、前記製造装置は、前記コイル引出線の前記延出部を切断する切断装置を備え、前記位置調整部は、前記切断装置に設けられていてもよい。
このような構成によれば、回転電機の製造装置のコンパクト化を図りつつ、位置調整部によって位置決めされた延出部を切断部により容易に切断することができる。
本発明に係る回転電機の製造方法は、インシュレータを介して分割鉄心の一部を囲繞するコイルを有する複数の分割コアが円環状に配置して形成されるステータコアを含むステータを備え、前記ステータは、前記インシュレータに対して前記ステータコアの周方向に沿って形成された収納溝内に前記コイルから引き出されたコイル引出線が引き回されることにより形成される渡り線と、前記渡り線の端部に設けられた端子部と、を有する回転電機の製造方法であって、前記ステータコアの周方向に沿って前記分割コアと挿入ローラ部とを相対的に移動させながら、前記コイル引出線に対し、ローラ支持部に回転自在に支持された前記挿入ローラ部の外周面を接触させることにより、前記収納溝内に前記コイル引出線を挿入して前記渡り線を形成する渡り線形成工程と、前記渡り線形成工程の後に行われ、前記コイル引出線に対して屈曲加工部を接触させることにより前記コイル引出線を屈曲させて前記端子部を形成する端子部形成工程と、を行うことを特徴とする。
このような方法によれば、上述した回転電機の製造装置と同様の効果を奏することができる。以下に示す製造方法についても同様である。
上記の製造方法において、前記屈曲加工部のうち前記コイル引出線に接触する部位には、前記挿入ローラ部のうち前記コイル引出線に接触する外周面の曲率よりも大きい曲率の湾曲面が形成されていてもよい。
上記の製造方法において、前記渡り線形成工程では、前記屈曲加工部を前記コイル引出線に対して退避させ、前記端子部形成工程では、前記屈曲加工部を前記コイル引出線に対して進行させることにより当該コイル引出線を屈曲させてもよい。
上記の製造方法において、前記収納溝は、前記ステータコアの径方向外方に開口しており、前記渡り線形成工程では、前記挿入ローラ部による前記コイル引出線の引き回し方向に当該挿入ローラ部に近接して配設されたガイド部により前記ステータコアの軸線方向において前記コイル引出線を前記挿入ローラ部と略同じ位置に支持してもよい。
上記の製造方法において、前記ガイド部は、前記ステータコアの軸線方向に沿って互いに離間して対向する一対の規制壁を有し、前記渡り線形成工程では、一対の前記規制壁の隙間に前記コイル引出線を挿通させると共に当該隙間に設けられた前記屈曲加工部を退避させ、前記端子部形成工程では、前記コイル引出線のうち前記隙間に位置する部位に対して前記屈曲加工部を進行させてもよい。
上記の製造方法において、前記渡り線形成工程では、前記ガイド部に設けられたガイドローラによって前記隙間に前記コイル引出線を案内してもよい。
上記の製造方法において、前記渡り線形成工程では、前記挿入ローラ部を前記収納溝内に挿入した状態で前記コイル引出線に接触させてもよい。
上記の製造方法において、前記収納溝の溝側面には、前記ステータコアの周方向に沿って延在すると共に前記ステータコアの軸線方向に沿って突出した凸部が形成され、前記渡り線形成工程では、前記ローラ支持部のフローティング部により前記挿入ローラ部の回転軸線に沿ってフローティング支持された前記挿入ローラ部を前記コイル引出線に接触させてもよい。
上記の製造方法において、前記渡り線形成工程では、前記ローラ支持部に設けられて前記挿入ローラ部の前記外周面に接触して回転するバックアップローラにより前記挿入ローラ部を支持しながら当該挿入ローラ部の前記外周面を前記コイル引出線に接触させてもよい。
上記の製造方法において、前記コイル引出線のうち前記渡り線から延出する延出部に位置調整部の位置調整ローラを接触させることにより、前記ステータコアの周方向における前記延出部の位置を調整する位置調整工程を行ってもよい。
本発明によれば、挿入ローラ部により渡り線を形成し屈曲加工部により端子部を形成することができるので、渡り線の表面の損傷を抑えつつ端子部を確実に形成することができる。
本発明の一実施形態に係る回転電機の製造装置によって製造される回転電機の平面図である。 図1の分割コアの斜視図である。 図2の分割コアのコイルを省略した分解斜視図である。 図3の引出線収納部の正面図である。 本発明の一実施形態に係る回転電機の製造方法を説明するフローチャートである。 図5の第1加工工程及び第2加工工程を説明するためのフローチャートである。 分割コア配置工程の一例を示す一部省略縦断面図である。 図7の分割コア及び製造装置の平面図である。 図9Aは図8の第1加工部の一部省略縦断面図であり、図9Bは図8の第2加工部の一部省略縦断面図である。 図10Aは渡り線形成工程を説明するための一部省略断面平面図であり、図10Bは図10Aのコイル引出線を収納溝内に引き回している状態を示す一部省略断面平面図である。 渡り線形成工程を説明するための一部省略断面正面図である。 図12Aは図11のXIIA−XIIA線に沿った縦断面図であり、図12Bは図11のXIIB−XIIB線に沿った縦断面図である。 図13Aは図10Bのコイル引出線を収納溝内にさらに引き回した状態を示す一部省略断面平面図であり、図13Bは端子部形成工程及び位置調整工程を説明するための一部省略断面平面図である。 図14Aは端子部形成工程の第1の状態を示す一部省略縦断面図であり、図14Bは端子部形成工程の第2の状態を示す一部省略縦断面図である。 図15Aは図13Bの一部省略断面側面図であり、図15Bは図15Aの位置調整部の拡大縦断面図である。 位置調整工程を説明するための一部省略断面平面図である。 切断工程が完了した状態を示す一部省略断面平面図である。
以下、本発明に係る回転電機の製造方法について、それを実施するための回転電機の製造装置との関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
まず、回転電機10について説明する。図1に示すように、回転電機10は、例えば、電動機又は発電機として構成されており、ステータ12及び図示しないロータを備えている。ステータ12は、いわゆる3相Y型結線の突極巻のステータであり、中空状のホルダ14と、ホルダ14の内周面に沿って複数(図1では18個)の分割コア16を円環状に配置して形成されたステータコア18とを備えている。ステータコア18の内孔には、前記ロータが配設される。
以下の説明では、ステータコア18の周方向をA方向と規定し、特に、図1に示す方向から視た時計回りをA1方向、図1に示す方向から視た反時計回りをA2方向と規定する。また、ステータコア18の径方向をB方向と規定し、特に、ステータコア18の径方向内方をB1方向、ステータコア18の径方向外方をB2方向と規定する。さらに、ステータコア18の軸線方向をC方向と規定し、特に、図2の上方(図7の下方)をC1方向、図2の下方(図7の上方)をC2方向と規定する。
なお、これらの方向は説明の便宜上のものであり、回転電機10及びその製造装置90は、任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能であることは勿論である。
ステータコア18は、U相、V相、W相のコイル24をそれぞれ有する分割コア16を6つずつ含む。この場合、ステータコア18では、複数の分割コア16を円環状に配置することにより、U相(U1相〜U6相)、V相(V1相〜V6相)、及びW相(W1相〜W6相)の各コイル24が、図1の時計回り(A1方向)に、U1、V1、W1、U2、…、U6、V6、W6の順番に並ぶように配置される。ただし、分割コア16の数は任意に設定可能である。
次に、U1相〜U6相、V1相〜V6相、及びW1相〜W6相のコイル24を有する各分割コア16のうち、代表的に、1つの分割コア16の構成について説明する。なお、ここで説明する分割コア16の構成は、全ての相の分割コア16に共通する構成である。
図2及び図3に示すように、分割コア16は、プレスにより打ち抜いた略T字状の金属板(鋼板)を複数枚積層して構成される分割鉄心20と、分割鉄心20を電気的に絶縁するインシュレータ22と、インシュレータ22を介して分割鉄心20の一部を囲繞するコイル24とを有している。
分割鉄心20は、A方向に沿って延在するヨーク部26と、ヨーク部26におけるA方向の略中央からB1方向に向けて延出する磁極部28とを含んでいる。ヨーク部26のA1方向の端部には略半円状の嵌合凹部30が形成され、ヨーク部26のA2方向の端部には前記嵌合凹部30に嵌合可能な略半円状の嵌合凸部32が形成されている。
インシュレータ22は、可撓性を有しており、樹脂等の絶縁材料で構成されている。インシュレータ22は、コイル24が配置されるコイルボビン34と、コイル24から引き出された入力側の第1コイル引出線25a及び中性点側の第2コイル引出線25bが収納される引出線収納部36とを有している。なお、以下の説明では、第1コイル引出線25a及び第2コイル引出線25bをまとめてコイル引出線25と称することがある。コイル24及びコイル引出線25を構成するワイヤは、横断面が長方形状の平角線として構成されている。ただし、ワイヤは、その横断面が円形状又は正方形状に形成されていてもよい。
コイルボビン34は、第1ボビン構成部38及び第2ボビン構成部40がC方向から磁極部28を挟み込むように互いに嵌合されることにより構成されている。このようなコイルボビン34に対して前記ワイヤが巻回されることによりコイル24が形成される。
図2〜図4に示すように、引出線収納部36は、第2ボビン構成部40のうち第1ボビン構成部38とは反対側(C1方向)の端部からヨーク部26を覆うようにB2方向に向かって延出した平板部42と、平板部42からC1方向に突出した第1壁部44と、第1壁部44からC1方向に突出すると共にA方向に互いに離間したブロック状の第2壁部46a及び第3壁部46bと、第2壁部46a及び第3壁部46bのB1方向の背面側を繋ぐ連結部48とを有している。
引出線収納部36は、第1壁部44からA方向及びB方向に延出した第1板50と、第2壁部46aからA1方向及びB2方向に延出した3つの第2板52a、54a、56aと、第3壁部46bからA2方向及びB2方向に延出した3つの第3板52b、54b、56bとを有している。第1板50、各第2板52a、54a、56a、及び各第3板52b、54b、56bのそれぞれは、平板部42に対して平行に延在している。3つの第2板52a、54a、56aはステータコア18の軸線方向に等間隔に位置し、3つの第3板52b、54b、56bはステータコア18の軸線方向に等間隔に位置している。
引出線収納部36を上記のように構成することにより、引出線収納部36には、コイル引出線25を収納可能な7つの収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bが形成される。すなわち、収納溝58は、平板部42、第1壁部44、及び第1板50によって構成されている。この収納溝58には、W相のコイル24から引き出された第1コイル引出線25a(W相の第1コイル引出線25a)が収納される。
収納溝60aは、第1板50、第2壁部46aの基端部、及び第2板52aによって構成され、収納溝60bは、第1板50、第3壁部46bの基端部、及び第3板52bによって構成されている。収納溝60a及び収納溝60bは略同一の高さに位置しており、これら収納溝60a、60bにはV相のコイル24から引き出された第1コイル引出線25a(V相の第1コイル引出線25a)が収納される。
収納溝62aは、第2板52a、第2壁部46aの中間部、及び第2板54aによって構成され、収納溝62bは、第3板52b、第3壁部46bの中間部、及び第3板54bによって構成されている。収納溝62a及び収納溝62bは略同一の高さに位置しており、これら収納溝62a、62bにはU相のコイル24から引き出された第1コイル引出線25a(U相の第1コイル引出線25a)が収納される。
収納溝64aは、第2板54a、第2壁部46aの先端部、及び第2板56aによって構成され、収納溝64bは、第3板54b、第3壁部46bの先端部、及び第3板56bによって構成されている。収納溝64a及び収納溝64bは略同一の高さに位置しており、これら収納溝64a、64bには各コイル24から引き出された第2コイル引出線25b(中性線)が収納される。
各収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bは、ステータコア18の周方向に延在すると共にステータコア18の径方向外方に開口している。各収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bの溝幅L1は、略同一であって、コイル引出線25の横断面の長辺d1よりも若干大きく形成されている(図14A参照)。
第2コイル引出線25bが収納される各収納溝64a、64bの溝深さは、第1コイル引出線25aが収納される各収納溝58、60a、60b、62a、62bの溝深さよりも深い。すなわち、本実施形態では、各収納溝64a、64bには18本の第2コイル引出線25bが収納可能であり、各収納溝58、60a、60b、62a、62bには3本の第1コイル引出線25aが収納可能である。
収納溝58のC1方向を指向する溝側面のA1側と各収納溝60a、62a、64aのC1方向を指向する溝側面には、C1方向に突出した凸部66a、68a、70a、72aが形成されている。収納溝58のC2方向を指向する溝側面のA1側と各収納溝60a、62a、64aのC2方向を指向する溝側面には、凸部66a、68a、70a、72aに対向してC1方向に窪んだ凹部74a、76a、78a、80aが形成されている。
収納溝58のC2方向を指向する溝側面のA2側と各収納溝60b、62b、64bのC2方向を指向する溝側面には、C2方向に突出した凸部66b、68b、70b、72bが形成されている。収納溝58のC1方向を指向する溝側面のA2側と各収納溝60b、62b、64bのC1方向を指向する溝側面には、凸部66b、68b、70b、72bに対向してC2方向に窪んだ凹部74b、76b、78b、80bが形成されている。
凸部66a及び凹部74aは、ステータコア18の周方向に沿って延在すると共に収納溝58の深さ方向(ステータコア18の径方向)の全長に亘って延在している(図3参照)。凸部66a及び凹部74aの横断面の外形は円弧状に形成されている。凸部66aの突出量と凹部74aの引込量とは略同一である。凸部66b、68a、68b、70a、70b、72a、72bは、上記凸部66aと同様に構成され、凹部74b、76a、76b、78a、78b、80a、80bは、上記凹部74aと同様に構成されている。
このような分割コア16を備えたステータ12は、U相の第1コイル引出線25aが収納溝62a、62b内に収納されることにより形成された渡り線82uと、V相の第1コイル引出線25aが収納溝60a、60b内に収納されることにより形成された渡り線82vと、W相の第1コイル引出線25aが収納溝58内に収納されることにより形成された渡り線82wと、第2コイル引出線25bが収納溝64a、64b内に収納されることにより形成された渡り線82nと、3つの入力端子U、V、Wと、1つの中性端子Nとを有している(図1参照)。
入力端子Uは、U相の各コイル24に渡り線82uを介して接続しており、これら渡り線82uのそれぞれに設けられた6個の端子部84uが1つに束ねられて圧着端子85uが接合されることにより形成されている。
入力端子Vは、V相の各コイル24に渡り線82vを介して接続しており、これら渡り線82vのそれぞれに設けられた6個の端子部84vが1つに束ねられて圧着端子85vが接合されることにより形成されている。
入力端子Wは、W相の各コイル24に渡り線82wを介して接続しており、これら渡り線82wのそれぞれに設けられた6個の端子部84wが1つに束ねられて圧着端子85wが接合されることにより形成されている。
中性端子Nは、全てのコイル24に渡り線82nを介して接続しており、これら渡り線82nのそれぞれに設けられた18個の端子部84nが1つに束ねられて互いに結合されることにより形成されている。
以下の説明では、渡り線82u、82v、82w、82nをまとめて渡り線82と称し、端子部84u、84v、84w、84nをまとめて端子部84と称することがある。
続いて、上記のように構成された回転電機10を製造する製造装置90について説明する。図7、図8、図15A、及び図15B等に示すように、製造装置90は、複数の分割コア16が円環状に配置可能に構成されたコア配置部92と、コア配置部92に配置された分割コア16のコイル引出線25を支持する引出線支持部94と、加工装置96と、切断装置98と、位置調整部100とを備えている。
図7及び図8において、コア配置部92は、ステータコア18の軸線回り(A方向)に回転可能であって、各分割コア16を固定(保持)可能に構成されている。本実施形態では、各分割コア16は、引出線収納部36が分割鉄心20の下方に位置するようにコア配置部92に配置される。ただし、各分割コア16は、上下反転させた状態でコア配置部92に配置してもよい。
引出線支持部94は、コア配置部92に配置された分割コア16の第1コイル引出線25aが巻回される第1プーリ102と、当該分割コア16の第2コイル引出線25bが巻回される第2プーリ104とを有している。第1プーリ102及び第2プーリ104のそれぞれはC方向に沿って昇降可能に構成されている。
加工装置96は、コア配置部92に配置された分割コア16に対してA方向に沿って移動可能に分割コア16の外周側に配置された支持機構110と、支持機構110に設けられた第1加工部112及び第2加工部114とを有している。支持機構110は、第1加工部112及び第2加工部114をC方向に沿って昇降自在に支持している。
図8及び図9Aに示すように、第1加工部112は、渡り線82を形成するためのものであって、支持機構110に固定された第1駆動源116と、一方向に延在して第1駆動源116の作用下に変位(進退)するベース部118と、ベース部118に取り付けられたローラ支持部120と、ローラ支持部120に回転自在に支持された挿入ローラ部122とを備えている。
第1加工部112は、挿入ローラ部122の回転軸線Axがステータコア18の軸線方向(C方向)と略平行となるように配置されている。なお、第1加工部112は、任意の向きで(例えば、上下を反転させて)使用可能である。また、第1加工部112の構成において、第1駆動源116側を基端側と呼び、挿入ローラ部122側を先端側と呼ぶ。
本実施形態では、第1駆動源116はシリンダとして構成されている。ただし、第1駆動源116は、モータ等であってもよい。ベース部118は、支持機構110に対してベース部118の延在方向に沿ってスライド可能に設けられている。ベース部118の基端側は第1駆動源116のロッド(出力軸)116aに固定され、ベース部118の先端部は基端側よりも薄肉に形成されている。
ローラ支持部120は、ベース部118に取り付けられる支持部本体124と、支持部本体124の先端部に形成された貫通孔126に嵌入された円筒状のブッシュ128とを有している。支持部本体124は、ベース部118の延在方向に沿って延在している。支持部本体124の基端部は、支持部本体124の中間部よりも薄肉に形成され、ベース部118の先端部に重ねられた状態で複数のねじ部材130によってベース部118に対して固定されている。
ベース部118の先端部と支持部本体124の基端部の間には、ベース部118の厚み方向(C方向)におけるベース部118に対する支持部本体124の取り付け位置を調整可能な調整板(調整シム)132が介設可能となっている。調整板132の枚数及び厚みは、任意に設定可能であることは言うまでもない。ブッシュ128の上端部(C2方向の端部)には、ブッシュ128が貫通孔126から抜け出ることを防止する環状のフランジ部134が形成されている。
挿入ローラ部122は、コイル引出線25が収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bに挿入されるようにコイル引出線25に接触する外周面136aを有する円板状のローラ本体136と、ローラ本体136の中央部に設けられてブッシュ128の内孔138に回転自在に挿入されたローラ軸140とを有している。
ローラ本体136の厚みd2は各収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bの溝幅L1よりも小さく形成されている(図12A参照)。すなわち、ローラ本体136は収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64b内に挿入可能となっている。これにより、挿入ローラ部122によりコイル引出線25を収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64b内に効率的に挿入することができる。
ローラ本体136の外周面136aは、ローラ支持部120に回転自在に設けられた複数(図8の例では2つ)のバックアップローラ142の外周面に接触している。すなわち、各バックアップローラ142は、挿入ローラ部122(ローラ本体136)の回転に伴って回転する。
これにより、挿入ローラ部122を効率的に回転させながらコイル引出線25からローラ本体136に作用する荷重をバックアップローラ142により受けることができる。よって、ローラ軸140によるブッシュ128の摩耗を効果的に低減することができるので、挿入ローラ部122を円滑に回転させることができる。なお、バックアップローラ142は1つ又は3つ以上であってもよい。
ローラ軸140の下端面(C1方向の端面)には、ブッシュ128の内径よりも大きな外径の頭部144を有するボルト146が螺合するボルト穴148が形成されている。これにより、ローラ軸140がブッシュ128の内孔138から抜け出ることを防止することができる。
ボルト146は、コイル引出線25を収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64b内に挿入する際に挿入ローラ部122が回転する方向とは逆方向の回転によってボルト穴148に締め付けられている。これにより、コイル引出線25を収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64b内に挿入する際にボルト146のローラ軸140に対する締結が緩むことを抑制することができる。
ボルト146の頭部144とブッシュ128との間にはウェーブワッシャ150が介設されている。ローラ軸140のうちブッシュ128よりも上方(C2方向)には、ローラ軸140の全周に亘って延在してローラ軸140の径方向外方に突出した突出部152が形成されている。ブッシュ128のフランジ部134と突出部152との間にはウェーブワッシャ154が介設されている。
これらウェーブワッシャ150、154は、挿入ローラ部122を上下方向(C方向)にフローティング支持するフローティング部として機能する。フローティング部は、ウェーブワッシャ150、154に限定されず、コイルスプリングやゴム等の弾性部材であってもよい。
図8及び図9Bに示すように、第2加工部114は、端子部84を形成するためのものであって、第1加工部112によるコイル引出線25の引き回し方向(図8の例ではA1方向)に第1加工部112に対して近接して配設されている。第2加工部114は、支持機構110に固定された第2駆動源156及びガイド部158と、第2駆動源156の作用下に進退する屈曲加工部160とを備えている。
本実施形態では、第2駆動源156はサーボモータとして構成されている。ただし、第2駆動源156は、サーボモータ以外のモータやシリンダ等であってもよい。第2駆動源156の出力軸156aには、雄ねじが形成されている。
ガイド部158は、C方向においてコイル引出線25をローラ本体136の外周面136aと略同じ位置に支持するものであって、ローラ本体136に対してA方向に近接して配設されている。ガイド部158は、C方向に沿って互いに対向する一対の板状の規制壁162、164を有している。各規制壁162、164は、一方向に(第1加工部112のベース部118の延在方向に沿って)延在しており、図示しない固定具によって互いに接続されている。
一対の規制壁162、164の間には、コイル引出線25が挿通可能な隙間Sが形成されている。具体的には、この隙間SのC方向の間隔L2は、コイル引出線25の横断面の長辺d1よりも大きく、且つ収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bの溝幅L1よりも狭い(図14A参照)。また、一対の規制壁162、164は、C方向において前記隙間Sがローラ本体136と略同じ位置になるように配置されている。ガイド部158には、コイル引出線25を前記隙間Sに案内するガイドローラ166が回転自在に設けられている。これにより、コイル引出線25を一対の規制壁162、164の隙間Sに円滑に導入させることができる。
屈曲加工部160は、各規制壁162、164の延在方向に沿って延在した板状部材であって、一対の規制壁162、164の隙間Sに屈曲加工部160の延在方向に沿って移動可能に配設されている。つまり、屈曲加工部160の厚みd3は、収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bの溝幅L1よりも薄い。屈曲加工部160は、第2駆動源156の出力軸156aの雄ねじに螺合する雌ねじが形成されたナット部168を含んでいる。これにより、屈曲加工部160は、第2駆動源156の作用下にその延在方向に沿ってガイド部158に対して進退可能となる。
屈曲加工部160のうちコイル引出線25に接触する先端部(第2駆動源156が位置する側とは反対側の端部)には、ローラ本体136の外周面136aの曲率よりも大きい曲率の湾曲面160aが形成されている。
図15Aに示すように、切断装置98は、コア配置部92に配置された分割コア16に対して移動可能な切断装置本体170と、切断装置本体170に対してスライド自在に設けられてコイル引出線25を切断する切断部172とを有している。
図15Bに示すように、位置調整部100は、切断装置本体170の下面に形成された穴171に嵌入された固定軸174と、固定軸174のうち切断装置本体170の下面よりも下方に延出した部位に対して2つの軸受176、178を介して回転自在に配設された位置調整ローラ180とを有している。
各軸受176、178は、転がり軸受として構成されている。ただし、各軸受176、178は、すべり軸受等の他の軸受であっても構わない。2つの軸受176、178は、固定軸174の軸線方向(C方向)に沿って互いに離間している。各軸受176、178の内輪の間には、これら軸受176、178の間隔を一定に保持するためのカラー部材182が配置されている。
位置調整ローラ180は、円筒状に形成されており、その内周面が各軸受176、178の外輪の外周面に固着している。位置調整ローラ180の外周面におけるC方向の中央部には、当該外周面のC方向の両端部よりも内側に円弧状に窪んだ支持凹部184が形成されている。支持凹部184には、コイル引出線25が接触する。
本実施形態に係る回転電機10の製造装置90は以上のように構成されるものであって、次にこの製造装置90を用いた回転電機10の製造方法について説明する。
まず、分割コア形成工程において、ステータコア18を構成する全て(18個)の分割コア16を形成する(図5のステップS1)。すなわち、分割鉄心20を挟み込むように第1ボビン構成部38を第2ボビン構成部40に嵌合し、コイルボビン34にワイヤを巻回してコイル24を形成することにより分割コア16を形成する。
次に、分割コア形成工程で形成された各分割コア16について、分割コア配置工程、第1加工工程、及び第2加工工程を行う(ステップS2〜ステップS4)。そして、全ての分割コア16についての作業(ステップS2〜ステップS4の工程)が完了していない場合(ステップS5:NO)には、当該作業が完了していない分割コア16についてステップS2以降の工程を行う。
以下では、最後(18個目)に配置されるU1相のコイル24を有する分割コア16(U1相の分割コア16)についてステップS2〜ステップS4の工程を行う例について説明する。つまり、他の17個の分割コア16についてはステップS2〜ステップS4の工程が行われているものとする。
分割コア配置工程(ステップS2)では、図7に示すように、引出線収納部36が分割鉄心20の下方に位置するようにU1相の分割コア16をコア配置部92の所定箇所に配置して固定する。この場合、図8に示すように、18個の分割コア16が円環状に配置されることとなる。
すなわち、U2〜U6相の第1コイル引出線25aが収納溝62a、62b内に挿入されてW3相の分割コア16の位置まで引き回されて渡り線82u及び端子部84uが形成されている。V1〜V6相の第1コイル引出線25aが収納溝60a、60b内に挿入されてU4相の分割コア16の位置まで引き回されて渡り線82v及び端子部84vが形成されている。
W1〜W6相の第1コイル引出線25aが収納溝58内に挿入されてV4相の分割コア16の位置まで引き回されて渡り線82w及び端子部84wが形成されている。U1相以外の第2コイル引出線25bが収納溝64a、64b内に挿入されてV3相の分割コア16の位置まで引き回されて渡り線82n及び端子部84nが形成されている。
分割コア配置工程では、U1相の第1コイル引出線25aを第1プーリ102に巻回し、U1相の第2コイル引出線25bを第2プーリ104に巻回する。これにより、第1コイル引出線25a及び第2コイル引出線25bがステータコア18の径方向外側に広がることを抑えることができる。つまり、製造装置90の小型化を図ることができる。また、第1プーリ102をC方向に昇降させて収納溝62a、62bと略同じ位置にし、第2プーリ104をC方向に昇降させて収納溝64a、64bと略同じ位置にする。
第1加工工程では、U1相の第1コイル引出線25aについて、渡り線形成工程、端子部形成工程、位置調整工程、切断工程を順次行う(図6のステップS6〜ステップS9)。
渡り線形成工程(ステップS6)では、第1加工部112のローラ本体136の外周面136a及び第2加工部114の一対の規制壁162、164の隙間SがC方向において収納溝62a、62bと略同じ位置になるように支持機構110を昇降させる。この際、ベース部118の先端部と支持部本体124の基端部の間に調整板132を介設することにより、C方向においてローラ本体136の外周面136aを収納溝62a、62bと略同じ位置に精度よく位置決めすることができる。
また、図10Aに示すように、加工装置96が第1コイル引出線25aのA2方向の近傍に位置するように支持機構110を移動させる。このとき、挿入ローラ部122及び屈曲加工部160の進退方向は、ステータコア18の径方向(B方向)に対して交差している。
そして、第1コイル引出線25aを一対の規制壁162、164の隙間Sに挿通させると共にガイドローラ166の外周面に接触させる。なお、屈曲加工部160は退避状態にあるので、屈曲加工部160が第1コイル引出線25aに当たり損傷することを抑えることができる。
続いて、図10Bに示すように、コア配置部92をA2方向に回転させる。このとき、加工装置96の支持機構110についてもA方向に沿って移動させてもよい。そうすると、第1コイル引出線25aは、第1プーリ102から引き出されてガイドローラ166によって一対の規制壁162、164の隙間Sに案内され、これら規制壁162、164によって上下方向の移動が規制された状態でローラ本体136の外周面136aに導かれ、ローラ本体136の外周面136aに接触して収納溝62a、62b内に挿入される(押し込まれる)。そして、コア配置部92のA2方向の回転に伴って第1コイル引出線25aが収納溝62a、62b内にA1方向に向かって引き回されることとなる。
このとき、挿入ローラ部122はローラ本体136の外周面136aが第1コイル引出線25aの表面に接触することによりローラ支持部120に対して回転する。そのため、ローラ本体136の外周面136aと第1コイル引出線25aの表面との間に生じる滑り摩擦を比較的小さくすることができる。
また、第1コイル引出線25aからローラ本体136に作用する荷重をバックアップローラ142で受けるため、ローラ軸140の外周面とブッシュ128の内周面との間の摩擦を比較的小さくすることができる。これにより、挿入ローラ部122を効率的に回転させることができる。
図11及び図12Aに示すように、挿入ローラ部122が収納溝62bの溝側面に形成された凸部70bに位置すると、第1コイル引出線25aのうち挿入ローラ部122に接触している部位(接触部位186)は凸部70bによってC2方向に押し上げられる。そうすると、挿入ローラ部122は、ウェーブワッシャ150を圧縮変形させながら第1コイル引出線25aと共にC2方向に移動する(第1コイル引出線25aに追従する)。そのため、ローラ本体136が凸部70b(収納溝62bの溝側面)に当たることを抑制することができる。
挿入ローラ部122が凸部70bを通過すると、第1コイル引出線25aの前記接触部位186がC1方向に移動するため、挿入ローラ部122は圧縮変形されたウェーブワッシャ150を復元させながら第1コイル引出線25aと共にC1方向に移動する(元の位置に復帰する)。
収納溝62b内に挿入された第1コイル引出線25aのうち凸部70bに接触する部位は、凸部70bに沿ってC2方向に曲げ変形される。これにより、この変形部分にはスプリングバック効果によりC1方向に戻ろうとする反力が作用するため、当該変形部分を凸部70bに確実に保持することができる。
一方、図11及び図12Bに示すように、挿入ローラ部122が収納溝62aの溝側面に形成された凸部70aに位置すると、第1コイル引出線25aの前記接触部位186は凸部70aによってC1方向に押し下げられる。そうすると、挿入ローラ部122は、ウェーブワッシャ154を圧縮変形させながら第1コイル引出線25aと共にC1方向に移動する(第1コイル引出線25aに追従する)。そのため、ローラ本体136が凸部70a(収納溝62aの溝側面)に当たることを抑制することができる。
挿入ローラ部122が凸部70aを通過すると、第1コイル引出線25aの前記接触部位186がC2方向に移動するため、挿入ローラ部122は圧縮変形されたウェーブワッシャ154を復元させながら第1コイル引出線25aと共にC2方向に移動する(元の位置に復帰する)。
収納溝62a内に挿入された第1コイル引出線25aのうち凸部70aに接触する部位は、凸部70aに沿ってC1方向に曲げ変形される。これにより、この変形部分にはスプリングバック効果によりC2方向に戻ろうとする反力が作用するため、当該変形部分を凸部70aに確実に保持することができる。
U1相の第1コイル引出線25aを引き回す場合、既にU2相の第1コイル引出線25aとU3相の第1コイル引出線25aとがA1方向に沿ってW3相の分割コア16の位置まで収納溝62a、62b内に引き回されている(図13A参照)。そのため、U1相の第1コイル引出線25aをU2相の第1コイル引出線25aよりもステータコア18の径方向外方(B2方向)に引き回す際に、第1駆動源116の作用下に挿入ローラ部122を第1駆動源116側に若干後退させる。これにより、挿入ローラ部122の第1コイル引出線25aに対する押込み力が過度に大きくなることを抑制することができる。
第1コイル引出線25aがU2の端子部84uの近く(W3相の分割コア16の位置)まで引き回されると、コア配置部92の回転を停止させる。なお、加工装置96の支持機構110をA方向に沿って移動させている場合にはその移動についても停止させる。このように、U1相の第1コイル引出線25aが収納溝62a、62b内に挿入されてW3相の分割コア16の位置まで引き回されることにより渡り線82uが形成される。
端子部形成工程及び位置調整工程では、図13B〜図15Bに示すように、第2駆動源156の作用下に屈曲加工部160を進行させると共に位置調整ローラ180の支持凹部184を第1コイル引出線25aのうち渡り線82uから延出する延出部188にA1方向から押し当てた状態で切断装置98を第2加工部114が位置する側に移動させる(ステップS7及びステップS8)。
そうすると、屈曲加工部160の先端部の湾曲面160aが第1コイル引出線25aのうち一対の規制壁162、164の隙間Sに位置する部位に接触し、屈曲加工部160に押された当該部位が屈曲加工され、収納溝62a又は収納溝62b内に挿入されると共にU1相の端子部84uが形成される。
このとき、第1コイル引出線25aは、U1相の渡り線82uに対して鋭角に屈曲することになる(図13B参照)。また、位置調整ローラ180の支持凹部184に延出部188が接触しているので、延出部188が位置調整ローラ180から離脱することが抑制される。さらに、位置調整ローラ180は、延出部188に接触して回転するので、位置調整ローラ180の外周面と延出部188の表面との間に生じる滑り摩擦を比較的小さくすることができる。
その後、図16に示すように、切断装置98を第2加工部114から離間するように第1プーリ102が位置する側に移動させる。そうすると、U1相の端子部84u(延出部188)がスプリングバックする。そうすると、U1相の端子部84uがU1相の渡り線82uに対してB2方向に略90度屈曲してU2相の端子部84uに接触する。これにより、U1相の渡り線82uに対するU1相の端子部84uの屈曲角度を適切な角度に保持することができる。すなわち、U1相の端子部84uを精度よく形成することができる。
切断工程では、図17に示すように、切断装置98の切断部172によって延出部188における端子部84uとの境界部を切断する(ステップS9)。
第2加工工程では、U1相の第2コイル引出線25bについて、渡り線形成工程、端子部形成工程、位置調整工程、切断工程を順次行う(ステップS6〜ステップS9)。すなわち、第2加工工程は、上述した第1加工工程と同様に行われるため、その詳細な説明を省略する。なお、本実施形態では、第1加工工程と第2加工工程を同時に行ってもよい。この場合、製造装置90は、加工装置96を2つ用意する必要がある。
第2加工工程の完了により全ての分割コアについての作業が完了する(ステップS5:YES)ので、各端子部84u、84v、84wに圧着端子85u、85v、85wを接合することにより各入力端子U、V、Wを形成し(図1参照)、今回の回転電機10の製造方法が終了する。
上記では、コイル引出線25をA1方向に沿って引き回す例について説明したが、コイル引出線25をA2方向に沿って引き回す場合は、加工装置96の第1加工部112と第2加工部114の位置が入れ替えられる。すなわち、第1加工部112のA2方向に第2加工部114が位置することとなる。
本実施形態によれば、渡り線82を形成するための挿入ローラ部122と端子部84を形成するための屈曲加工部160とを別々に設けているので、渡り線82の表面の損傷を抑えつつ端子部84を確実に形成することができる。また、挿入ローラ部122がローラ支持部120に対して回転自在に支持されているため、コイル引出線25を収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64b内に挿入する際に挿入ローラ部122のローラ本体136の外周面136aとコイル引出線25との間に生じる滑り摩擦を比較的小さくすることができる。これにより、渡り線82の表面の損傷を一層抑えることができる。
また、屈曲加工部160の湾曲面160aの曲率がローラ本体136の外周面136aの曲率よりも大きいため、渡り線82の表面の損傷を効果的に抑えつつ端子部84を一層確実に形成することができる。
本実施形態では、コイル引出線25の引き回し方向にローラ本体136に近接して配設されたガイド部158が、コイル引出線25をローラ本体136の外周面136aと略同じ位置に支持している。そのため渡り線形成工程の際に、コイル引出線25がローラ本体136の外周面136aから脱離することを抑えることができる。
また、一対の規制壁162、164の隙間Sに屈曲加工部160を設けているので、簡易な構成により、コイル引出線25をローラ本体136の外周面136aと略同じ位置に確実に支持することができる。
本実施形態によれば、第1加工部112がウェーブワッシャ150、154(フローティング部)を有しているので、収納溝58、60a、60b、62a、62b、64a、64bの溝側面に凸部66a、66b、68a、68b、70a、70b、72a、72bが形成されている場合であっても、コイル引出線25がローラ本体136の外周面136aから脱離することを抑えることができる。
また、位置調整部100を切断装置98に設けているので、回転電機10の製造装置90のコンパクト化を図りつつ、位置調整部100によって位置決めされた延出部188を切断部172により容易に切断することができる。
本発明に係る回転電機の製造装置及び回転電機の製造方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…回転電機 12…ステータ
16…分割コア 18…ステータコア
20…分割鉄心 22…インシュレータ
24…コイル 25…コイル引出線
25a…第1コイル引出線 25b…第2コイル引出線
36…引出線収納部 58、60a、60b、62a、62b、64a、64b…収納溝
66a、66b、68a、68b、70a、70b、72a、72b…凸部
74a、74b、76a、76b、78a、78b、80a、80b…凹部
82(82n、82u、82v、82w)…渡り線
84(84n、84u、84v、84w)…端子部
90…製造装置 92…コア配置部
96…加工装置 98…切断装置
100…位置調整部 110…支持機構
112…第1加工部 114…第2加工部
116…第1駆動源 118…ベース部
120…ローラ支持部 122…挿入ローラ部
124…支持部本体 132…調整板
136…ローラ本体 136a…外周面
140…ローラ軸 142…バックアップローラ
150、154…ウェーブワッシャ(フローティング部)
156…第2駆動源 158…ガイド部
160…屈曲加工部 162、164…規制壁
166…ガイドローラ 172…切断部
180…位置調整ローラ 188…延出部

Claims (14)

  1. インシュレータを介して分割鉄心の一部を囲繞するコイルを有する複数の分割コアが円環状に配置して形成されるステータコアを含むステータを備え、
    前記ステータは、
    前記インシュレータに対して前記ステータコアの周方向に沿って形成された収納溝内に前記コイルから引き出されたコイル引出線が引き回されることにより形成される渡り線と、
    前記渡り線の端部に設けられた端子部と、を有する回転電機の製造装置であって、
    前記分割コアに対して前記ステータコアの周方向に沿って相対的に移動可能に設けられ、且つ前記コイル引出線が前記収納溝内に挿入されるように当該コイル引出線に接触する外周面を有する挿入ローラ部と、
    前記挿入ローラ部を回転自在に支持するローラ支持部と、
    前記端子部が形成されるように前記コイル引出線に接触して当該コイル引出線を屈曲加工する屈曲加工部と、を備えていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  2. 請求項1記載の回転電機の製造装置において、
    前記屈曲加工部のうち前記コイル引出線に接触する部位には、前記挿入ローラ部の前記外周面の曲率よりも大きい曲率の湾曲面が形成されていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載の回転電機の製造装置において、
    前記屈曲加工部は、前記コイル引出線に対して進退可能に設けられていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転電機の製造装置において、
    前記収納溝は、前記ステータコアの径方向外方に開口しており、
    前記製造装置は、前記挿入ローラ部による前記コイル引出線の引き回し方向に当該挿入ローラ部に近接して配設され、且つ前記ステータコアの軸線方向において前記コイル引出線を前記挿入ローラ部の前記外周面と略同じ位置に支持するガイド部を備えていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  5. 請求項4記載の回転電機の製造装置において、
    前記ガイド部は、前記ステータコアの軸線方向に沿って互いに対向している一対の規制壁を有し、
    一対の前記規制壁の間には、前記コイル引出線が挿通可能な隙間が形成され、
    前記隙間には、前記コイル引出線のうち当該隙間に位置する部位に対して進退可能に前記屈曲加工部が設けられていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  6. 請求項5記載の回転電機の製造装置において、
    前記ガイド部には、前記コイル引出線を前記隙間に案内するガイドローラが設けられていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転電機の製造装置において、
    前記挿入ローラ部は、前記収納溝内に挿入可能に構成されていることを特徴とする回転電機の製造装置。
  8. インシュレータを介して分割鉄心の一部を囲繞するコイルを有する複数の分割コアが円環状に配置して形成されるステータコアを含むステータを備え、
    前記ステータは、
    前記インシュレータに対して前記ステータコアの周方向に沿って形成された収納溝内に前記コイルから引き出されたコイル引出線が引き回されることにより形成される渡り線と、
    前記渡り線の端部に設けられた端子部と、を有する回転電機の製造方法であって、
    前記ステータコアの周方向に沿って前記分割コアと挿入ローラ部とを相対的に移動させながら、前記コイル引出線に対し、ローラ支持部に回転自在に支持された前記挿入ローラ部の外周面を接触させることにより、前記収納溝内に前記コイル引出線を挿入して前記渡り線を形成する渡り線形成工程と、
    前記渡り線形成工程の後に行われ、前記コイル引出線に対して屈曲加工部を接触させることにより前記コイル引出線を屈曲させて前記端子部を形成する端子部形成工程と、を行うことを特徴とする回転電機の製造方法。
  9. 請求項8記載の回転電機の製造方法において、
    前記屈曲加工部のうち前記コイル引出線に接触する部位には、前記挿入ローラ部のうち前記コイル引出線に接触する外周面の曲率よりも大きい曲率の湾曲面が形成されていることを特徴とする回転電機の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の回転電機の製造方法において、
    前記渡り線形成工程では、前記屈曲加工部を前記コイル引出線に対して退避させ、
    前記端子部形成工程では、前記屈曲加工部を前記コイル引出線に対して進行させることにより当該コイル引出線を屈曲させることを特徴とする回転電機の製造方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法において、
    前記収納溝は、前記ステータコアの径方向外方に開口しており、
    前記渡り線形成工程では、前記挿入ローラ部による前記コイル引出線の引き回し方向に当該挿入ローラ部に近接して配設されたガイド部により前記ステータコアの軸線方向において前記コイル引出線を前記挿入ローラ部と略同じ位置に支持することを特徴とする回転電機の製造方法。
  12. 請求項11記載の回転電機の製造方法において、
    前記ガイド部は、前記ステータコアの軸線方向に沿って互いに離間して対向する一対の規制壁を有し、
    前記渡り線形成工程では、一対の前記規制壁の隙間に前記コイル引出線を挿通させると共に当該隙間に設けられた前記屈曲加工部を退避させ、
    前記端子部形成工程では、前記コイル引出線のうち前記隙間に位置する部位に対して前記屈曲加工部を進行させることを特徴とする回転電機の製造方法。
  13. 請求項12記載の回転電機の製造方法において、
    前記渡り線形成工程では、前記ガイド部に設けられたガイドローラによって前記隙間に前記コイル引出線を案内することを特徴とする回転電機の製造方法。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法において、
    前記渡り線形成工程では、前記挿入ローラ部を前記収納溝内に挿入した状態で前記コイル引出線に接触させることを特徴とする回転電機の製造方法。
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