JP2019004662A - カフスサポータ、相間絶縁紙、及びモータの製造方法 - Google Patents

カフスサポータ、相間絶縁紙、及びモータの製造方法 Download PDF

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正弘 門脇
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Abstract

【課題】相間絶縁紙をステータコアにセットした直後から、ステータコア軸方向の両端側の相間絶縁紙の位置ずれを防止することができる技術を提供する。【解決手段】ステータコアの軸方向端面に隣接して配置され、ステータコアのスロットに挿入されるスロット内絶縁紙のカフス部を保護するカフスサポータであって、カフスサポータは、ステータコアに接する面の逆側の端面に段差を有する。段差は、カフスサポータの端面に相間絶縁紙が配置される場合に、相間絶縁紙と接する位置において該相間絶縁紙の径方向位置を規制する。【選択図】図2

Description

本発明は、カフスサポータ、カフスサポータに配置される相間絶縁紙、及びカフスサポータを用いたモータの製造方法に関する。
従来、三相交流モータの製造過程において、相間絶縁紙を取り付けたステータコアに各相のコイルを挿入する際、相間絶縁紙がステータコア内径側に飛び出すように位置ずれし、挿入するコイルや、コイルを挿入するためのインサータ装置に引っ掛かってしまう場合がある。特許文献1では、このような位置ずれを防止するための相間絶縁紙押え治具が提案されている(特許文献1参照)。
特開2007−43812号公報
しかしながら、上記の相間絶縁紙押え治具は、相間絶縁紙をステータコアにセットした後に、相間絶縁紙押え治具が有するピンをステータコア軸方向の一端側から挿入して使用するため、ピンの挿入前に相間絶縁紙が位置ずれしていた場合には位置ずれを解決することができない。
また、ピンが挿入される側の逆側に位置する相間絶縁紙においては、ピンと相間絶縁紙とが互いに干渉することにより、相間絶縁紙の位置ずれを引き起こしてしまう可能性もある。
本発明は、相間絶縁紙をステータコアにセットした直後から、ステータコア軸方向の両端側の相間絶縁紙の位置ずれを防止することができる技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るカフスサポータは、ステータコアの軸方向端面に隣接して配置され、ステータコアのスロットに挿入されるスロット内絶縁紙のカフス部を保護するカフスサポータであって、ステータコアに接する面の逆側の端面に段差を有する。段差は、カフスサポータの端面に相間絶縁紙が配置される場合に、該相間絶縁紙と接する位置において該相間絶縁紙の径方向位置を規制する。
本発明によれば、相間絶縁紙をカフスサポータに配置した時点で、カフスサポータが有する段差により相間絶縁紙の径方向位置が規制されるので、相間絶縁紙をステータコアにセットした直後から、ステータコア軸方向の両端側の相間絶縁紙の位置ずれを防止することができる。
図1は、第1実施形態のカフスサポータを説明するための図である。 図2は、第1実施形態のカフスサポータの斜視図である。 図3は、第1実施形態のカフスサポータの側面図及び正面図である。 図4は、一般的な相間絶縁紙の形状を説明するための図である。 図5は、第1実施形態のカフスサポータが相間絶縁紙の位置を保持する態様を説明するための図である。 図6は、第1実施形態のカフスサポータが相間絶縁紙の位置を保持する態様を説明するための図である。 図7は、第1実施形態のカフスサポータが相間絶縁紙の位置を保持する態様を説明するための図である。 図8は、第2実施形態のカフスサポータを説明するための図である。 図9は、第2実施形態のカフスサポータが相間絶縁紙の位置を保持する態様を説明するための図である。 図10は、第3実施形態のカフスサポータを説明するための図である。 図11は、第1実施形態の相間絶縁紙の形状を説明するための図である。 図12は、第2実施形態の相間絶縁紙の形状を説明するための図である。 図13は、第2実施形態の相間絶縁紙がカフスサポータにより径方向位置を規制される態様を説明するための図である。 図14は、第3実施形態の相間絶縁紙の形状を説明するための図である。 図15は、第3実施形態の相間絶縁紙がカフスサポータにより径方向位置を規制される態様を説明するための図である。 図16は、第3実施形態の相間絶縁紙の径方向位置を規制するために使用するカフスサポータを説明するための図である。 図17は、本発明のカフスサポータを用いたモータの製造方法を説明するための概略工程図である。 図18は、本発明のカフスサポータを用いたモータの製造方法を説明するための図である。 図19は、本発明のカフスサポータを用いたモータの製造方法を説明するための図である。 図20は、本発明のカフスサポータを用いたモータの製造方法を説明するための図である。 図21は、本発明のカフスサポータを用いたモータの製造方法を説明するための図である。 図22は、一実施形態のカフスサポータの変形例を説明するための図である。 図23は、一実施形態のカフスサポータの変形例を説明するための図である。 図24は、一実施形態のカフスサポータの変形例を説明するための図である。 図25は、図12で示す相間絶縁紙の変形例を説明するための図である。 図26は、図12及び図14で示す相間絶縁紙の脚部長aを規定する図である。
以下、本願発明のカフスサポータについて、図面等を参照しながら説明する。
<カフスサポータ>
−第1実施形態−
図1は、本実施形態のカフスサポータ10を説明するための図である。同図は、ステータコア2の軸方向から見た斜視図であって、ステータコア2と、ステータコア2の円環状の部分であるバックヨーク3と、バックヨーク3の内径側に周方向に沿って等間隔に複数設けられたティース4と、隣接するティース4間に形成され、コイル(不図示)が挿入されるスロット5と、ステータコア2の軸方向端面に隣接して配置されたカフスサポータ10とが示されている。
なお、図1で示されるカフスサポータ10は一つ配置されているのみであるが、実際には、ステータコア2の周方向にわたる全てのティース4の軸方向両側の端面に隣接して配置される。なお、本明細書において用いられる軸方向、径方向、周方向、内径側、及び外径側等の方向を示す用語は、特に指定しない限り、ステータコア2を基準とする方向を示すものとする。又、これらの用語をカフスサポータ10の形状の説明の際に用いる場合は、カフスサポータ10をステータコア2に配置された状態を基準とする方向を示すものとする。
ここで、一般的なカフスサポータが従来有する機能について説明する。
カフスサポータは、モータの製造工程において、モータの一部を構成するステータコア2にコイルを挿入する際に必要な治具である。三相交流モータの製造工程は、ステータコア2のスロット5に、各相に対応するコイルが順次挿入される工程を含む。その際、各スロット5には、スロット5の内壁に沿うように位置して、挿入されるコイルとステータコア2との絶縁を確保するためのスロット内絶縁紙200が配置されている(例えば、図7、図18等参照)。
このスロット内絶縁紙200は、スロット5内に配置された状態で、スロット5内部に収容される部分と、ステータコア2の軸方向両側の端面において外側に折り返されて、それぞれの端面から外側に突出する部分(カフス部)とを有している。このような形状のスロット内絶縁紙200は、コイルがステータコア2に挿入される際に、コイルとステータコア2との間に介在して、コイルとステータコア2との絶縁を確保する。
一方で、カフスサポータは、ステータコア2に載置された状態で、その軸方向高さがスロット内絶縁紙200のカフス部の軸方向高さよりも高くなるように設定されている(図18参照)。したがって、このような形状を備えたカフスサポータを、ティースの軸方向外側であって、該ティースの周方向両隣のスロット5に配置されたスロット内絶縁紙200のカフス部間に配置することにより、ステータコア2に挿入され、スロット5間を跨いで巻き回されるコイルからスロット内絶縁紙200のカフス部を保護することができる。
以上のとおり、カフスサポータは、モータの製造工程において、スロット内絶縁紙200のカフス部をコイルから保護するという機能を従来有している。本実施形態のカフスサポータ10は、上記の機能に加えて、ステータコア2に巻き回される各相のコイルの相間を絶縁する相間絶縁紙の位置を保持する機能を兼ね備える。
図2は、カフスサポータ10を軸方向外側から見た斜視図である。カフスサポータ10は、本体部11と、ガイド部12と、段差部13とから構成される。
カフスサポータ10は、ステータコア2の軸方向端面において、本体部11がバックヨーク3に隣接して対向し、ガイド部12がティース4に隣接して対向するように配置される。なお、カフスサポータ10を構成する素材は、従来と同様の素材でよく、例えば金属である。また、ガイド部12は、本体部11から延在して構成されてもよいし、本体部11とは別個に成形されて溶接等により接合されてもよい。
また、ガイド部12の周方向幅は、カフスサポータ10がステータコア2に配置された状態で、ティース4の周方向幅よりも短くなるように構成される。また、ガイド部12の径方向長さは、カフスサポータ10がステータコア2に配置された状態で、ティース4の径方向長さよりも短くなるように構成される。本体部11の周方向幅は、カフスサポータ10がステータコア2の全周にわたって隣接して配置可能な長さ以下であればよい。すなわち、カフスサポータ10の軸方向上面から見た外形は、従来と同様で構わない。
段差部13は、ガイド部12の軸方向外側の端面、言い換えると、ガイド部12においてステータコア2に接する面の逆側の端面(以下、単に上面とも称する)に形成された溝である。
図3は、段差部13を説明するための図である。図3(a)は、段差部13を含むガイド部12を周方向側面から見た図を示す。図3(b)は、図3(a)のA−A断面図であって、ガイド部12を内径側から見た図(正面図)である。
段差部13は、側壁12sを備える。側壁12sは、段差部13が形成される位置よりも内径側のガイド部12の上面と、軸方向高さが該上面よりも低い位置にある段差部13の底面12dとを繋ぐ側面である。段差部13は、このように形成される側壁12sを有し、側壁12sによって相間絶縁紙を内径側から引っ掛けることによって、ステータコア2における相間絶縁紙の径方向位置を規制する。
すなわち、段差部13は、その内径側のガイド部12の上面と、それと連続して形成される側壁12sとにより構成される「段差」を含む。
同図より、本実施形態の段差部13は、ガイド部12の上面において周方向に延接して形成された溝であることが分かる。なお、段差部13は、周方向に沿う直線形状である必要は必ずしもなく、ステータコア2の内径、すなわちティース4の内径に対して略平行な弧状であっても良い。また、段差部13が形成される径方向位置は、相間絶縁紙を規制する位置、すなわち、ステータコア2に挿入される1相目、及び2相目のコイルの径方向厚みを考慮して、適宜設定されてよい。
このように形成された段差部13によって、製造工程において各相のコイルを互いに絶縁するために配置される相間絶縁紙の径方向位置を規制することができる。
図4は、相間絶縁紙を説明するための図である。同図を用いて、相間絶縁紙の一般的な形状について説明する。
この図によれば、相間絶縁紙40は、矩形状の紙に矩形状の開口を設けることで形成されており、2つの矩形の絶縁部41、42と、対向する二つの絶縁部41、42を連結する脚部43、44とにより構成されている。脚部43、44は、それぞれ平行に帯状に形成され、2つの絶縁部41、42の対向する辺のそれぞれの両端同士を接続する。なお、相間絶縁紙40は、紙に限らず絶縁性であれば樹脂性のものであってもよい。
以下では、カフスサポータ10により相間絶縁紙40の位置が保持される態様について説明する。
図5〜7は、カフスサポータ10により相間絶縁紙40の位置が保持される態様を説明するための図である。図5〜7は、U相、V相、及びW相を有する三相交流モータの製造工程の一部であって、いずれかの1相目のコイルが巻き回された後の状態を示すものとする。
なお、図5、7におけるカフスサポータ10は、説明の都合上、ステータコア2の一方の端面において一枚の相間絶縁紙を保持する二つのみ示されている。また、図7に示すスロット内絶縁紙200は、図5及び6においては図の見易さを優先して省略されている。なお、図1等を用いて既に説明した構成については、同じ符号をつけて以下の説明では省略する。
図5は、カフスサポータ10により相間絶縁紙40の位置が保持された状態における、ステータコア2の上面図である。コイル50は、スロット5に挿入されるとともに複数のティース4を跨いでステータコア2に巻き回された状態である。この状態において、コイルエンド51がステータコア2の軸方向端面から外側に突出しているのが分かる。
相間絶縁紙40は、1相目のコイル50が挿入された後であって、2相目のコイルが巻き回される前に、少なくともその絶縁部41、42がコイルエンド51よりも内径側に配置される。図示するとおり、相間絶縁紙40の絶縁部41はステータコア2の軸方向端面よりも外側に位置しており、その周方向両端部分から延在する脚部43、44は、複数のティース4を挟んで離れた位置にあるスロット5にそれぞれ収容されている。
この時、相間絶縁紙40は、その絶縁部41、及び42の対向する辺、言い換えると、絶縁部41、42のステータコア2側の辺の長手方向端部近傍(脚部43、44近傍)の部分がカフスサポータ10の段差部13に引っ掛かるように配置される。これにより、相間絶縁紙40は、少なくともその絶縁部41、42がステータコア2においてコイルエンド51より内径側の径方向位置に位置決めされる。
図6は、図5のA−A断面図である。同図から、カフスサポータ10はステータコア2の軸方向両側の端面に配置されており、絶縁部41、42それぞれのステータコア2側の辺が段差部13に収容されていることが分かる。このようにして、相間絶縁紙40は、軸方向両側の端面において、コイルエンド51よりも内径側の径方向位置にて位置決めされる。
また、絶縁部41、42それぞれのステータコア2側の辺が段差部13の内径側及び外形側の両側の側面に挟まれて収容されているので、その後の製造工程においても相間絶縁紙40が容易に位置ずれすることはない。
図7は、ステータコア2の内径側上方からみた斜視図である。図示するとおり、相間絶縁紙40は、カフスサポータ10の段差部13によって、コイルエンド51よりも内径側の径方向位置に位置決めされている。そして、図中の矢印方向から2相目のコイルが挿入される。この時、上述したとおり、相間絶縁紙40はステータコア2の軸方向両端面に配置されたカフスサポータ10によって位置決めされているので、続いて挿入されるコイル、及び、コイルを挿入するための器具(コイルインサータ)に引っ掛かるなどして位置ずれすることはない。
このように、相間絶縁紙40は、その絶縁部41、42のステータコア2側の辺の一部が段差部13にそれぞれ収容されることにより、1相目に巻き回されたコイル50のコイルエンド51と、2相目に巻き回されるコイルのコイルエンド51との間において、径方向位置が位置ずれすることなく配置される。これにより、相間絶縁紙40を位置ずれさせることなくコイルの相間の絶縁を確保することができる。
以上、第1実施形態のカフスサポータ10によれば、ステータコア2の軸方向端面に隣接して配置され、ステータコア2のスロット5に挿入されるスロット内絶縁紙200のカフス部を保護するカフスサポータ10であって、ステータコア2に接する面の逆側の端面に段差部13を有する。段差部13は、カフスサポータ10の端面に相間絶縁紙が配置される場合に、該相間絶縁紙と接する位置において該相間絶縁紙の径方向位置を規制する。
これにより、相間絶縁紙40をカフスサポータ10に配置した時点で、カフスサポータ10が有する段差部13により相間絶縁紙40の径方向位置が規制されるので、相間絶縁紙40をステータコア2にセットした直後から、ステータコア2の軸方向の両端側の相間絶縁紙40の位置ずれを防止することができる。
また、第1実施形態のカフスサポータ10によれば、段差部13は、カフスサポータ10の上面にステータコア2の周方向に延接して形成された溝である。段差部13がこのように形成されることにより、相間絶縁紙の一部を段差部13の溝に収容して、相間絶縁紙の径方向位置を規制することができる。
−第2実施形態−
第2実施形態のカフスサポータ20は、段差部23の内径側の側面の形状が第1実施形態と異なる。以下、図を参照して説明する。
図8は、カフスサポータ20の形状を説明するための図である。同図は、カフスサポータ20においてティース4に対向して配置される部分(カフスサポータ10のガイド部12に対応する部分)を周方向から見た側面を表している。
図示するとおり、カフスサポータ20は、傾斜部24及び湾曲部25を含んで構成される段差部23を有する。
傾斜部24は、段差部23の内径側の側面の一部である。傾斜部24は、段差部23の内径側の軸方向端部(開口端部)が、最も内径側に位置するように、軸方向に対して傾斜して形成されている。すなわち、傾斜部24は、開口端部に向かって内径側に傾斜している。なお、傾斜角度は特に限定されない。
湾曲部25は、段差部23の内径側の開口端部であって、傾斜部24とカフスサポータ20の上面(ステータコア2に接する側の逆側の端面)とを接続する部分である。湾曲部25は、図示するとおり、緩やかに凸な曲面形状に形成される。なお、曲率半径は特に限定されない。
図9は、カフスサポータ20の機能を説明するための図である。同図は、ステータコア2において、カフスサポータ20により相間絶縁紙40の位置が保持された状態を示している。
ここで、カフスサポータは、上述のとおりモータの製造工程において用いられるものの、製造された完成品のモータの構成に含まれるものではない。したがって、カフスサポータ20は、モータの製造工程中において、少なくともコイルアッセンブリ工程の後に、ステータコア2から取り外される。取り外される際は、図中の矢印の方向へ、ステータコア2の外径側へ移動させて取り除かれる。
すなわち、カフスサポータ20は、モータの製造工程中において、その段差部23に絶縁部41、42を収容している状態から図中の矢印方向に取り除かれるので、段差部23の内径側側面の特に開口端部に角形状があると、該角形状により相間絶縁紙40を傷つける虞がある。
しかしながら、カフスサポータ20の段差部23は、傾斜部24と湾曲部25とを有しており、上述のような角形状がないので、取り外される際に相間絶縁紙40やコイル等に該角形状が引っ掛かることでこれらを破損させる虞がない。なお、カフスサポータ20の段差部23は、傾斜部24及び湾曲部25の少なくともいずれか一方を備えた構成であればよい。例えば、段差部23は、傾斜部24のみを備え、段差部23の内径側に位置するガイド部22の上面と傾斜部24とが接続された構成であってもよい。また、段差部23は、湾曲部25のみを備え、段差部23の内径側の側面は第1実施形態のカフスサポータと同様に軸方向と平行に構成されてもよい。段差部23がこのように構成されても、カフスサポータ10の段差部13よりも上記のような角形状部分を緩やかにするので、角形状が引っ掛かることでこれらを破損させる虞を低減することができる。
以上、第2実施形態のカフスサポータ20の段差部23は、ステータコア2における内径側の開口端部(湾曲部25)が曲面に形成される。これにより、モータの製造工程においてカフスサポータ20を取り除く際に相間絶縁紙40と接触する部分をより滑らかな形状にすることができるので、カフスサポータ20の形状によって相間絶縁紙40を損傷する虞を低減することができる。
また、第2実施形態のカフスサポータ20の段差部23は、ステータコア2における内径側の側面が、側面の開口端部に向かって内径側に傾斜して形成される。これにより、モータの製造工程においてカフスサポータ20を取り除く際に相間絶縁紙40と接触する部分をより滑らかな形状にすることができるので、カフスサポータ20の形状によって相間絶縁紙40を損傷する虞を低減することができる。
−第3実施形態−
第3実施形態のカフスサポータ30は、ガイド部32の内径側の側面の形状が第1、第2実施形態と異なっている。以下、図を参照して説明する。
図10は、カフスサポータ30の形状を説明するための図である。同図は、カフスサポータ30におけるガイド部32(カフスサポータ10のガイド部12に対応する部分)を周方向から見た側面を表している。
図示するとおり、カフスサポータ30は、傾斜部34及び湾曲部35を含んで構成されたガイド部32と、段差部33とを有する。なお段差部33は、上述の段差部23と同様の構成で示されているが、本実施形態においては特に限定されない。
傾斜部34は、ガイド部32の内径側の側面の一部である。傾斜部34は、ガイド部32の内径側の軸方向端部(ステータコア2に接する面の逆側の端部)が、最も外径側に位置するように、軸方向に対して傾斜して形成されている。すなわち、傾斜部34は、ステータコア2に接する面の逆側の端部に向かって外径側に傾斜している。なお、傾斜角度は特に限定されない。
湾曲部35は、ガイド部32のステータコア2に接する面の逆側の端部であって、傾斜部34とガイド部32の上面(ステータコア2に接する側の逆側の端面)とを接続する部分である。湾曲部35は、図示するとおり、緩やかに凸な曲面形状に形成される。なお、曲率半径は特に限定されない。
そして、図中の矢印は、モータの製造工程において、相間絶縁紙40がステータコア2の所定位置に挿入される際の挿入方向である。相間絶縁紙40は、内径側から外径側に向かって移動させながら、絶縁部41を段差部33に収容させて位置決めされる。この時、ガイド部32の内径側の特にステータコア2に接する側の逆側の端部に角形状があると、角形状により相間絶縁紙40を傷つける虞がある。
しかしながら、カフスサポータ30のガイド部32は、傾斜部34と湾曲部35とを有しており、上述のような角形状がないので、相間絶縁紙40が挿入される際に絶縁部41、42に引っ掛かることで破損させる虞がない。なお、カフスサポータ30のガイド部32は、傾斜部34及び湾曲部35の少なくともいずれか一方を備えた構成であればよい。
例えば、ガイド部32の内径側の側面は、傾斜部34のみを備え、ガイド部32の上面と傾斜部34とが接続された構成であってもよい。また、ガイド部32の内径側の側面は、その軸方向端部に湾曲部35のみを備え、他の部分は第1実施形態のカフスサポータと同様に軸方向と平行に構成されてもよい。ガイド部32の内径側の側面がこのように構成されても、カフスサポータ10の内径側の側面よりも上記のような角形状部分を緩やかにするので、角形状が引っ掛かることでこれらを破損させる虞を低減することができる。
以上、第3実施形態のカフスサポータ30は、ステータコア2における内径側のステータコア2に接する面の逆側の端部(湾曲部35)が曲面に形成される。これにより、モータの製造工程において、相間絶縁紙40をカフスサポータ30に配置する際に相間絶縁紙と接触する部分をより滑らかな形状にすることができるので、カフスサポータ30の形状によって相間絶縁紙40を損傷する虞を低減することができる。
また、第3実施形態のカフスサポータ30は、ステータコア2における内径側の側面の一部である傾斜部34が、ステータコア2に接する面の逆側の端部に向かって外径側に傾斜して形成される。これにより、モータの製造工程において、相間絶縁紙40をカフスサポータ30に配置する際に相間絶縁紙40と接触する部分をより滑らかな形状にすることができるので、カフスサポータ30の形状によって相間絶縁紙40を損傷する虞を低減することができる。
以上、本発明にかかるカフスサポータ(10、20、30)について説明した。以下では、本発明に係る相間絶縁紙について、図面等を参照しながら説明する。以下で説明する相間絶縁紙は、本願発明に係るカフスサポータ(10、20、30、及び後述する変形例)に使用される際に特に有効な特徴を有している。なお、以下の説明では、特に指定しない限りはカフスサポータ10の使用を前提として説明する。
<相間絶縁紙>
−第1実施形態−
図11は、第1実施形態の相間絶縁紙60を説明するための図である。相間絶縁紙60は、一般的な相間絶縁紙40と同様に、絶縁部61、62と、対向する絶縁部61、62を連結する脚部63、64とを備える。相間絶縁紙60は、脚部63、64の軸方向長さ寸法(以下、単に脚部長aと称する。)が所定の範囲内に納まるように形成される。
具体的には、相間絶縁紙60の脚部長aは、以下の式(1)で規定される。なお、式(1)中の符号(a、s、k、d)は、図11で示す符号と一致しており、図11で示す各構成の軸方向の長さを表している。
Figure 2019004662
ただし、式(1)中のaは脚部長、sはステータコア2の軸方向長さ(積厚寸法)、kはカフスサポータ10の軸方向高さ、dは段差部13に係る溝の深さとする。
すなわち、式(1)によれば、相間絶縁紙60の脚部長aは、カフスサポータ10の軸方向高さk(治具高k)から段差部13の溝の深さd(溝深さd)を引いた長さの2倍と、ステータコア2の軸方向長さs(積厚保寸法s)とを足し合わせた長さより長い。これに加えて、脚部長aは、積厚寸法sと治具高kの2倍とを足し合わせた長さより短い。
脚部63、64の長さがこのように規定されることで、相間絶縁紙60がステータコア2に配置される際、ステータコア2の軸方向の両側の端面において、絶縁部61、62のステータコア2側の辺の一部をカフスサポータ10の段差部13内に確実に収容することができる。
また、上記のとおり脚部長aの上限を設けたことにより、脚部長aと、治具高kから溝深さdを引いた長さの2倍と積厚寸法sとを足し合わせた長さとの差分が小さくなるので、相間絶縁紙60の軸方向位置も所定の範囲内に保持することができる。
また、脚部63、64は、弾性を有するように伸縮性のある材質により構成されてもよい。伸縮性のある材質とは、例えば耐熱ゴムである。このような構成に基づけば、相間絶縁紙60をカフスサポータ10に配置する際、脚部63、64を伸ばしながら挿入することができる。
これにより、相間絶縁紙60を、その絶縁部61、62をカフスサポータ10の内径側の先端部分に干渉させることなくステータコア2へ挿入し、所定位置に配置することができる。また、挿入後は、脚部63、64が縮み元の長さに戻ることで、絶縁部61、62の一部をカフスサポータ10の段差部13に確実に収容させることができる。
以上、第1実施形態の相間絶縁紙60は、カフスサポータ10、20、又は30に配置される相間絶縁紙60である。相間絶縁紙60は、ステータコア2の軸方向両側の端面からそれぞれ突出して、ステータに備わる各相コイルの相間を絶縁する2つの絶縁部61、62と、対向する2つの該絶縁部61、62を接続する軸方向に略平行な2本の脚部63、64とにより構成される。また、脚部63、64は、脚部の長さをaとし、ステータコア2の軸方向積厚寸法をsとし、カフスサポータ10、20、又は30の軸方向高さをkとし、段差部13の高さをdとした場合に、上記(1)式を満たすように形成される。これにより、相間絶縁紙60がステータコア2に配置される際、ステータコア2の軸方向の両側の端面において、絶縁部61、62のステータコア2側の辺の一部をカフスサポータ10の段差部13内に確実に収容することができる。
また、第1実施形態の相間絶縁紙60の脚部63、64は弾性を有する。これにより、相間絶縁紙60をカフスサポータ10に配置する際、脚部63、64を伸ばしながら挿入することができるので、絶縁部61、62をカフスサポータ10の内径側の先端部分に干渉させることなくステータコア2へ挿入することができる。
−第2実施形態−
図12は、第2実施形態の相間絶縁紙70を説明するための図である。相間絶縁紙70は、絶縁部71、72と、対向する絶縁部71、72とを連結する脚部73、74と、絶縁部71、72と脚部73、74とがそれぞれ連結される部分に形成される凸部75、76、77、78とを備える。
凸部75、76、77、78は、図示するように、絶縁部71、72の長手方向端部近傍において、絶縁部71、72と脚部73、74とがそれぞれ連結される部分に、対向する他の脚部側へ突出するように形成された凸形状部である。図示するとおり、対向する脚部73、74にそれぞれ形成された凸部75、76間、及び、77、78間のそれぞれには空間が形成される。換言すると、絶縁部71、72は、そのステータコア2側の辺において対向する凸7部75、76、及び77、78間に形成された切り欠き形状部(凹部)を有する。
凸部75は、絶縁部71と脚部73とが接続される部分において、これらと連続して形成される。凸部76は、絶縁部71と脚部74とが接続される部分において、これらと連続して形成される。凸部77は、絶縁部72と脚部73とが接続される部分において、これらと連続して形成される。凸部78は、絶縁部72と脚部74とが接続される部分において、これらと連続して形成される。なお、ここでの凸部75、76、77、78の絶縁部71、72の長手方向における幅は、カフスサポータ20の周方向幅より短いものとする。
凸部75、76、77、78は、相間絶縁紙70をステータコア2に挿入してカフスサポータに配置させる際に段差部23に引っ掛かる部分である。なお、本実施形態ではカフスサポータ20を用いることを前提に説明する。
図13は、凸部75、76、77、78の機能を説明するための図である。同図は、相間絶縁紙70がカフスサポータ20に配置された状態を示している。同図より、段差部23に凸部75が引っ掛かって収容されているのが分かる。相間絶縁部70は、凸部75が段差部23に引っ掛かって配置されることで、絶縁部71のステータコア2側の辺と、ステータコア2及びスロット内絶縁紙との間に空間79を形成することができる。
このように、相間絶縁紙70は、凸部75、76、77、78がそれぞれカフスサポータ20の段差部23に引っ掛かることにより、絶縁部71、72のステータコア2側の辺とステータコア2との間に空間79を形成する。ここで、従来の相間絶縁紙(例えば相間絶縁紙40)を同様に配置した場合は、この空間79が形成される部分には、相間絶縁紙40の絶縁部41、42が存在する。この部分に相間絶縁紙が存在すると、相間絶縁紙40が配置された後にコイルが挿入される際にコイルと相間絶縁紙40とが干渉して、コイルの挿入荷重が大きくなってしまう場合がある。
したがって、相間絶縁紙70が凸部75、76、77、78を備え、ステータコア2に配置された際に空間79を形成することにより、コイル挿入時における該コイルと相間絶縁紙との干渉を低減することができるので、上記の挿入荷重の増大を防止し、コイル及び相間絶縁紙が損傷等する恐れを低減することができる。
以上、第2実施形態の相間絶縁紙70によれば、脚部73、74は、対向する2つの絶縁部71、72の長手方向端部をそれぞれ連結するように構成されており、絶縁部71、72は、長手方向端部近傍において脚部73、74と連続する部分に、対向する他の脚部73、74側へ突出する凸部75、76、77、78を有する。これにより、コイル挿入時におけるコイルと相間絶縁紙70との干渉を低減することができるので、コイルの挿入荷重の増大を防止し、コイル及び相間絶縁紙が損傷等する恐れを低減することができる。
−第3実施形態−
図14は、第3実施形態の相間絶縁紙80を説明するための図である。相間絶縁紙80は、上記の相間絶縁紙70の凸部75、76、77、78それぞれの脚部73、74との接続部分に所定幅のスリットを形成することにより構成される。
相間絶縁紙80は、絶縁部81、82と、対向する絶縁部81、82を連結する脚部83、84と、凸部85、86、87、88とを備える。また、凸部85、86、87、88と脚部83、84との間には、所定幅のスリット89、90、91、92が形成される。なお、ここでの所定幅は、使用するカフスサポータの周方向幅よりも短いものとする。
凸部85、86、87、88は、図示するように、絶縁部81、82の長手方向端部付近において、脚部83、84から絶縁部81の長手方向に所定幅離れた位置から対向する絶縁部81、82に向かって突出してそれぞれ形成されている。
また、凸部85、86、87、88は、脚部83、84から所定幅のスリット89、90、91、92を介して形成されていることにより、絶縁部81、82との接続部分を中心として可動に構成されている。
図15は、相間絶縁紙80がステータコア2に挿入される際の態様を説明するための図である。同図は、カフスサポータ10が配置された状態のステータコア2とカフスサポータ10とを周方向から見た断面側面図である。図15(a)は、挿入前、図15(b)は、挿入開始時、図15(c)は、挿入中、図15(d)は、挿入完了した状態の相間絶縁紙80を示している。なお、図15(b)〜(d)では、凸部85、86、87、88の挙動を説明しやすいように、脚部83、84は省略されている。なお、図中では凸部85のみ示す。
図15(b)、(c)で示すように、相間絶縁紙80をステータコア2の内径側から挿入する際、凸部85はカフスサポータ10の上面をならいながら移動する。そして、相間絶縁紙80が段差部13の位置に達すると、凸部85は、自重により、又は、相間絶縁紙を構成する素材が有する元に戻ろうとする力(弾性)により、軸方向に平行な状態に戻り、段差部13の溝内に収容される。
このように、相間絶縁紙80の凸部85、86、87、88が可動することにより、相間絶縁紙80を配置する際に、相間絶縁紙80がカフスサポータ10と干渉して損傷してしまうことを防止することができる。
また、相間絶縁紙80が凸部85、86、87、88を備えることにより、相間絶縁紙80の位置決めを行う際に、図16で示すような形状のカフスサポータを用いることができる。
図16は、上記のカフスサポータ10、20、及び30の変形例を示す図である。カフスサポータ100は、カフスサポータ10と、段差部13の形状が異なっている。すなわち、カフスサポータ100は、穴形状の段差部103を備える。なお、段差部103の穴形状部は、図示するような角形に限らず、円形であっても良い。また、軸方向に貫通しているか否かは特に限定されない。
相間絶縁紙80は、凸部85、86、87、88の絶縁部81、82における長手方向の幅が、段差部103の周方向幅より短く、スリット89、90、91、92の絶縁部81、82における長手方向の幅が、ガイド部12の周方向端から段差部103までの距離と略一致することを前提として、すなわち、凸部85、86、87、88が段差部103に収容可能な大きさであることを前提に、カフスサポータ100を用いてステータコア2に位置決めされることができる。
以上、第3実施形態の相間絶縁紙80によれば、脚部83、84は、対向する2つの絶縁部81、82の長手方向端部をそれぞれ連結するように構成されており、絶縁部81、82は、長手方向端部近傍において脚部83、84から所定幅(スリット89、90、91、92の周方向幅)離れた部分に、対向する他の絶縁部81、82側へ突出する凸形状部を有する。これにより、絶縁部81、82の一部であって段差部13に収容される部分(凸部85、86、87、88)が可動するので、カフスサポータの段差部等と干渉して損傷する虞を低減することができる。
また、第3実施形態の相間絶縁紙80によれば、モータの製造工程において、カフスサポータ100を用いることができる。カフスサポータ100の段差部103は、カフスサポータ100のステータコア2に接する面の逆側の端面に形成された穴である。このような形状のカフスサポータ100により、可動する凸部85、86、87、88を有する相間絶縁紙80をステータコア2の所定位置に位置決めすることができる。
<モータの製造方法>
以下では、モータの製造方法において、モータの一部を構成するステータコア2に対して上記のカフスサポータを用いて行われるコイルの挿入方法について説明する。なお該モータは、U相、V相、及びW相のコイルが挿入されてなる三相交流モータとする。また、以下の説明におけるカフスサポータは、上記のカフスサポータ10、20、30、及び後述する変形例のいずれでもよいものとする。
図17は、ステータコアにU相、V相、及びW相のコイルを挿入する方法(三相コイル挿入工程)を説明するための工程概略図である。また、図18〜21は、図17で示す各工程を説明するための図である。コイルの挿入は、U相、V相、W相の相ごとに行われる。コイルの挿入順序は任意であるが、本実施形態では、最初にU相が挿入され、次にV相が挿入され、最後にW相が挿入されるものとする。
図17のP1工程では、各スロット5にスロット内絶縁紙200が挿入されたステータコア2を、パレット201にセットする。パレット201は、モータの製造工程におけるコイル挿入時にステータコア2を支持する一般的な治具である。
P2工程(カフスサポータ配置工程)では、パレット201にセットされたステータコア2にカフスサポータ10を取り付ける。なお、カフスサポータ10の取付け方法は、従来公知の方法で構わない。
図18は、P2工程完了後のステータコア2を側面から見た断面図である。カフスサポータ10は、治具保持リング202とパレット201と挟まれ、ボルト等によりパレット201に固定されている。なお、治具保持リング202は、モータの製造工程においてカフスサポータをパレット201に固定する際に用いられる一般的な治具である。また、コイル絞り治具203は後の工程(コイルエンド拡張工程)において用いられる。コイル絞り治具203も一般的な公知のものを用いればよい。同図より、コイルが挿入される前に、カフスサポータ10がステータコア2の軸方向両側の端面に隣接して配置されているのが分かる。
図17のP3工程では、ステータコア2の内径側の下方より(図19に示す矢印方向を参照)、1相目のコイルとしてのU相のコイルがコイルインサータ(不図示)により挿入される(第1コイル挿入工程)。P3工程におけるコイルの挿入方法は、公知のコイルインサータを用いた一般的な方法で構わない。図19は、カフスサポータ10が取り付けられたステータコア2に、一相目のコイルが挿入された状態を示している。
図16のP4工程では、中間成形工程としてコイルエンド51の拡張が行われる。具体的には、図20で示すように、ステータコア2の軸方向両側の端面から外側に突出したそれぞれのコイルエンド51を径方向外側(外径側)に拡張する。拡張する際、コイルエンド51の外径側の径方向位置は、コイル絞り治具203により規制される。なお、本工程にかかる中間成形工程は、モータの製造工程において用いられる一般的なコイル拡張器を用いて、公知の方法で行われればよい。本工程においてU相のコイルを径方向外方に拡張しておくことにより、挿入後のU相のコイルと、後に挿入されるV相のコイルとの干渉が低減されるので、製造工程中に生じるコイルへの負荷を低減することができる。
そして、P5工程において、相間絶縁紙60(U−V相間絶縁紙)が挿入される(第1相間絶縁紙配置工程)。相間絶縁紙60は、図21で示すように、その絶縁部61、62のステータコア2側の辺の一部がカフスサポータ10の段差部13に引っ掛かる位置において径方向位置が規制されている。相間絶縁紙60がこのように配置されると、その一部である絶縁部61、62が、ステータコア2の軸方向両側端面の外側において、U相コイルのコイルエンド51の内径側に配置される。
すなわち、本発明にかかるカフスサポータを用いれば、一般的なモータの製造工程に加えて、相間絶縁紙60を内径側からステータコア2に挿入し、カフスサポータ10の段差部13に絶縁部61、62を引っ掛けるだけで、相間絶縁紙60を位置ずれすることなく所定の径方向位置に配置することができる。
P5においてU−V相間絶縁紙が配置された後、P3工程に戻り、今度はV相のコイルが、上記のU相のコイルと同様に挿入される(第2コイル挿入工程)。そして、中間工程(P4工程)を経て、P5工程において、今度はV相とW相との間の絶縁を確保するための相間絶縁紙60(V−W相間絶縁紙)が上記のU−V相間絶縁紙と同様に配置される(第2相間絶縁紙配置工程)。
このようにして、P3工程からP5工程までの工程を2回繰り返した後に、P3工程において最後にW相のコイルが挿入されることにより、U−V相間、及び、V−W相間に相間絶縁紙60がそれぞれ位置ずれすることなく配置される。U相、V相、及びW相のコイルが挿入され、W相コイルのコイルエンドが拡張されると(P4工程)、三相コイル挿入工程を完了し、次の製造工程(P6工程)へと進む。
以上、一実施形態のモータの製造方法は、複数相(U、V、W相)のコイルを備え、コイルのコイルエンド51において各相間に相間絶縁紙の一部(絶縁部)を介在させることにより相間絶縁が確保されたステータコア2を含むモータの製造方法である。上述の製造方法によれば、第1から第3実施形態及び変形例のいずれかのカフスサポータ10、20、30、又は100を、ステータコア2のティース4ごとに、ティース4に対して軸方向に隣接して配置するカフスサポータ配置工程と、U、V、W相のコイルのうちの1相であるU相コイルをステータコア2に挿入する第1コイル挿入工程と、相間絶縁紙40、60、70、又は80をカフスサポータ10、20、30、又は100に形成された段差部に接触させ、相間絶縁紙40、60、70、又は80の一部をU相コイルのコイルエンドよりもステータコア2の内径側に配置する第1相間絶縁紙配置工程と、第1相間絶縁紙配置工程において配置された相間絶縁紙40、60、70、又は80よりもステータコア2の内径側において、U、V、W相のコイルのうちの1相であるV相コイルをステータコア2に挿入する第2コイル挿入工程と、相間絶縁紙40、60、70、又は80をカフスサポータ10、20、30、又は100に形成された段差部に接触させ、相間絶縁紙40、60、70、又は80の一部をV相コイルのコイルエンドよりもステータコア2の内径側に配置する第2相間絶縁紙配置工程と、を含む。
このように、スロット内絶縁紙200を保護するために従来から使用していたカフスサポータに相間絶縁紙の位置を保持する機能を兼ね備えさせることにより、相間絶縁紙の位置ずれを防止又は解消するための新たな治具や、該治具を用いた工程を別途に加える必要がないので、製造コストの増大を抑制して、相間絶縁紙40、60、70、又は80の位置ずれを防止することができる。また、ステータコア2にカフスサポータ10、20、30、又は100が固定されている間は相間絶縁紙を保持し続けることができるので、工程移動の際に相間絶縁紙が位置ずれすることを防止することができる。
本発明は、上述した一実施形態に限定されることはない。例えば、上記のカフスサポータ10、20、及び30は、以下の変形例も含む。
図22は、カフスサポータ10の変形例を説明するための図である。同図は、カフスサポータ10の変形例のガイド部12を周方向からみた側面を表している。図示のとおり、カフスサポータ10の段差部13は、図3で示すような凹形状に限定されず、楔(▽)形状(a)、円形状(b)、又は、楕円形状(c)など、上述した側壁12sを有することを前提に他の形状であっても良い。また、図13(d)で示すように、ガイド部12に形成される段差部は一つに限らず、径方向に所定幅空けて、周方向に略平行に複数形成されてもよい。
また、例えば図23で示すように、段差部13は必ずしも溝、又は穴により構成される必要はなく、少なくとも一つ以上の突出部300から構成されてもよい。段差部13を突出部300により構成する場合は、突出部300の外形側の側面を側壁12sと見ることができるので、相間絶縁紙40の一部を側壁12sに引っ掛けることにより、上記のカフスサポータと同様に相間絶縁紙40の径方向位置を位置決めすることができる。
また、カフスサポータ10の段差部13は、図3で示すように、ガイド部12の周方向における一方の端面から他方の端面まで貫通して形成される必要は必ずしもなく、図24で示すような形状であってもよい。すなわち、図24(a)のA−A断面図を示す図24(b)で示すように、段差部13は、ガイド部12の上面において周方向の一方の端面から他方の端面に達しない距離まで延接して形成された溝であってもよい。なお、このようなカフスサポータを用いる場合には、凸部75、76、77、78を有する上記の相間絶縁紙70を使用する。その際、凸部75、76、77、78の幅は、本変形例の段差部13の周方向長さ以下の長さに設定される。
また、上述した一実施形態の相間絶縁紙60、70、又は80は、その外径が全て四角形状として図示したが、必ずしも四角形状に限定されず、曲線で形成される楕円形状等であってもよい。また、脚部と絶縁部との接続位置は、絶縁部の長手方向の両端部であるものとして図示したが、必ずしも両端部である必要はなく、両端部近傍であればよい。すなわち、上述した一実施形態の相間絶縁紙は、その絶縁部の両端部分において、脚部との接続位置よりも周方向外側に位置する部分があってもよい。
また、上述した相間絶縁紙60、70、又は80は、その外径だけでなく、上記した凸部等を含む内径側も図示したように直線で形成される必要は必ずしもなく、上記した機能を奏し得る限り、曲線で形成されてもよい。例えば、図25で示すように、相間絶縁紙70の凸部75、76、及び、絶縁部71の長手方向において対向する凸部75、76間に形成される空間(凹形状部)が連続した曲線により形成されてもよい。
また、第2、第3実施形態の相間絶縁紙70、80に対しても、第1実施形態の相間絶縁紙60の脚部長aに対する上述の規定(式(1)参照)を適用することができる。その際の相間絶縁紙70、80の脚部長aは、図26で示すとおりである。すなわち、相間絶縁紙に式(1)を適用する際の脚部長aは、対向する絶縁部間において、軸方向に平行な最も短い距離とする。
また、上記のモータは、いわゆる回転電機であり、電動機或いは発電機を含むものとする。
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、上記実施形態及び変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態、及びその変形例は、適宜組み合わせ可能である。
2…ステータコア
5…スロット
10、20、30、100…カフスサポータ
13、23…段差部(段差)
50…コイル
51…コイルエンド部(コイルエンド)
60、70、80…相間絶縁紙
61、62、71、72、81、82…絶縁部(相間絶縁紙の一部)
75、76、77、78、85、86、87、88…凸部(凸形状部)

Claims (13)

  1. ステータコアの軸方向端面に隣接して配置され、前記ステータコアのスロットに挿入されるスロット内絶縁紙のカフス部を保護するカフスサポータであって、
    前記カフスサポータは、前記ステータコアに接する面の逆側の端面に段差を有し、
    前記段差は、前記カフスサポータの前記端面に相間絶縁紙が配置される場合に、前記相間絶縁紙と接する位置において前記相間絶縁紙の径方向位置を規制する、
    ことを特徴とするカフスサポータ。
  2. 前記段差は、前記カフスサポータの前記端面に前記ステータコアの周方向に延接して形成された溝である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカフスサポータ。
  3. 前記段差は、前記カフスサポータの前記端面に形成された穴である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカフスサポータ。
  4. 前記段差は、前記カフスサポータの前記端面から前記ステータコアの軸方向に突出して形成された凸部である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカフスサポータ。
  5. 前記溝は、前記ステータコアにおける内径側の開口端部が曲面に形成される、
    ことを特徴とする請求項2に記載のカフスサポータ。
  6. 前記溝は、前記ステータコアにおける内径側の側面が、当該側面の開口端部に向かって内径側に傾斜して形成される、
    ことを特徴とする請求項2又は5に記載のカフスサポータ。
  7. 前記カフスサポータは、前記ステータコアにおける内径側であって、前記ステータコアに接する面の逆側の端部が曲面に形成される、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカフスサポータ。
  8. 前記カフスサポータは、前記ステータコアにおける内径側の側面が、当該側面の前記ステータコアに接する面の逆側の端部に向かって外径側に傾斜して形成される、
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカフスサポータ。
  9. 請求項2または3に記載のカフスサポータに配置される相間絶縁紙であって、
    前記相間絶縁紙は、前記ステータコアの軸方向両側の端面からそれぞれ突出して、ステータコアに備わる各相コイルの相間を絶縁する2つの絶縁部と、対向する2つの絶縁部を接続する軸方向に略平行な2本の連結脚部とにより構成されており、
    前記連結脚部は、連結脚部の長さをaとし、前記ステータコアの軸方向積厚寸法をsとし、前記カフスサポータの軸方向高さをkとし、前記段差の高さをdとした場合に、以下(1)式を満たすように形成される、
    Figure 2019004662
    ことを特徴とする相間絶縁紙。
  10. 前記連結脚部は、弾性を有する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の相間絶縁紙。
  11. 2本の前記連結脚部は、対向する2つの前記絶縁部の長手方向端部をそれぞれ連結するように構成されており、
    前記絶縁部は、長手方向端部近傍において前記連結脚部と連続する部分に、対向する他の前記連結脚部側へ突出する凸形状部を有する、
    ことを特徴とする請求項9及び10に記載の相間絶縁紙。
  12. 2本の前記連結脚部は、対向する2つの前記絶縁部の長手方向端部をそれぞれ連結するように構成されており、
    前記絶縁部は、長手方向端部近傍において前記連結脚部から所定幅離れた部分に、対向する他の前記絶縁部側へ突出する凸形状部を有する、
    ことを特徴とする請求項9及び10に記載の相間絶縁紙。
  13. 複数相のコイルを備え、前記コイルのコイルエンド部において各相間に相間絶縁紙の一部を介在させることにより相間絶縁が確保されたステータコアを含んで構成されるモータの製造方法において、
    請求項1から8のいずれか一項に記載のカフスサポータを、前記ステータコアのティースごとに、当該ティースに対して軸方向に隣接して配置するカフスサポータ配置工程と、
    前記複数相のコイルのうちの1相である第1コイルを前記ステータコアに挿入する第1コイル挿入工程と、
    前記相間絶縁紙を前記カフスサポータに形成された段差に接触させ、当該相間絶縁紙の一部を前記第1コイルのコイルエンド部よりも前記ステータコアの内径側に配置する第1相間絶縁紙配置工程と、
    前記第1相間絶縁紙配置工程において配置された相間絶縁紙よりも前記ステータコアの内径側において、前記複数相のコイルのうちの1相である第2コイルを前記ステータコアに挿入する第2コイル挿入工程と、
    前記相間絶縁紙を前記カフスサポータに形成された段差に接触させ、当該相間絶縁紙の一部を前記第2コイルのコイルエンド部よりも前記ステータコアの内径側に配置する第2相間絶縁紙配置工程と、を含む、
    ことを特徴とするモータの製造方法。
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